説明

磁気処理装置

【課題】簡単な構成で磁気処理を充分に且つ効果的に施すことが可能な低コストでコンパクトな磁気処理装置を提供する。
【解決手段】磁気処理装置4は、各種吐水口に対して着脱自在に取り付け可能な磁気処理本体6a,6bと、磁気処理本体に内蔵され、永久磁石8が組み込まれた磁気発生部10と、磁気処理本体に内蔵され、磁気発生部に沿って対向配置された磁性体部12と、磁気発生部と磁性体部との間に形成され、飲み物が流動可能な所定幅の流路14とを備えている。この構成において、磁気発生部と磁性体部との間には、流路の全体に亘って均一の磁力が作用しており、この流路内を飲み物が流動することにより、当該飲み物の全体に磁気処理が施される。これにより吐水口を通して流れる各種飲み物に磁気処理が施され、まろやかな口当たりで風味が良く且つ喉越しの良い飲み物が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば飲料水やコーヒー、紅茶、アルコール類、ジュース類、乳飲料などの各種飲み物に磁気処理を施して、その飲み物に含まれる水の分子集団を細分化することにより、カルキ臭やカビ臭或いは赤錆などを除去し、まろやかな口当たりで風味が良く且つ喉越しの良い飲み物を生成することが可能な磁気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常使用される水には、例えば、カルシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン、二酸化炭素などの各種成分が含まれており、例えばカルキ臭やカビ臭或いは赤錆やスケールといった障害の原因となっている。また、かかる障害は、飲み物にとって、まろやかさ、口当たりの良さ、風味の良さ、喉越しの良さなどを損なう要因ともなっている。
【0003】
このような障害を除去するための技術として、例えば特許文献1に示すような蛇口直結型磁気処理浄水器が知られている。蛇口直結型磁気処理浄水器は、蛇口本体から延出した吐水パイプ(吐水口)に取り付けられるようになっており、その取付状態において、吐水パイプ(吐水口)の外側に複数の永久磁石が対向配置される。かかる構成によれば、吐水パイプ内を流れる水は、複数の永久磁石により磁気処理が施されて活性化される。
【0004】
ところで、永久磁石の磁力をそのまま効果的に水に作用させるためには、永久磁石の間に障害物を介在させないことが好ましい。しかし、上述したような従来の磁気処理浄水器では、永久磁石の間に吐水パイプが介在しているため、永久磁石の磁力は吐水パイプで減ぜられてしまう。この場合、吐水パイプ内を流れる水全体に対して高い磁力を万遍無く均一に作用させることができないため、水全体に対する磁気処理を充分に且つ効果的に施すことが困難になってしまう(第1の問題)。
【0005】
また、水に対して充分に且つ効果的に磁気処理を施すためには、永久磁石を水に近接して配置することが好ましい。しかし、上述したような磁気処理浄水器のように吐水パイプの外側に永久磁石を対向配置する構成では、吐水パイプの中央部分に向うに従って永久磁石からの距離が大きくなるため、それに応じて磁力の大きさ(強さ)が吐水パイプの中央部分に向うに従って小さく(弱く)なる。この場合、水全体に対して万遍無く均一の磁力を作用させることができないため、磁気処理の程度に差が出てしまう。つまり、吐水パイプを流れる水に対して充分に磁気処理を施すことができる部分とそうでない部分とが生じ、その結果、水全体に対する磁気処理を充分に且つ効果的に施すことが困難になってしまう(第2の問題)。
【0006】
このような第1及び第2の問題によれば、吐水パイプ内を流れる水(特に中央部分を流れる水)に対する磁気処理が不十分になり、例えばカルキ臭やカビ臭或いは赤錆やスケールといった障害の原因(例えば、カルシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン、二酸化炭素などの各種成分)を完全に抑制することができない。この結果、まろやかな口当たりで風味が良く且つ喉越しの良い飲み物を生成できなくなってしまう。そして、かかる障害の原因を完全に抑制できない水は、雑菌が繁殖し易くなるだけで無く、例えば排水口などのヌメリや悪臭の要因ともなる。
【0007】
更に、従来の磁気処理浄水器では、濾過処理を施すための部分が磁気処理を施す部分とは別に増設されているため、部品点数が増加して装置全体が大型化すると共に製造コストも上昇してしまう。ところで、蛇口周りは、ある程度のスペースを確保した設計になっているが、このような蛇口に大型の磁気処理浄水器を取り付けると、その分だけスペースが削られてしまう。例えば蛇口が配設されたシンクでは、大型の磁気処理洗浄器を蛇口に取り付けることにより、その分だけシンクスペースが削られることで、シンク内で食器類をスムーズに且つ効率良く洗浄することが困難になってしまう(第3の問題)。
【特許文献1】特開2004−8875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、簡単な構成で磁気処理を充分に且つ効果的に施すことが可能な低コストでコンパクトな磁気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明の磁気処理装置は、各種吐水口に対して着脱自在に取り付け可能な磁気処理本体と、磁気処理本体に内蔵され、永久磁石が組み込まれた磁気発生部と、磁気処理本体に内蔵され、磁気発生部に沿って対向配置された磁性体部と、磁気発生部と磁性体部との間に形成され、飲み物が流動可能な所定幅の流路とを備えている。この構成において、磁気発生部と磁性体部との間には、流路の全体に亘って均一の磁力が作用しており、この流路内を飲み物が流動することにより、当該飲み物の全体に磁気処理が施される。これにより吐水口を通して流れる各種飲み物に磁気処理が施され、まろやかな口当たりで風味が良く且つ喉越しの良い飲み物が生成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の磁気処理装置によれば、例えば、飲料水やコーヒー、紅茶、アルコール類、ジュース類、乳飲料などの飲み物全体に均一の磁力で万遍無く充分に且つ効果的に磁気処理を施して、その飲み物に含まれる水の分子集団を細分化することにより、まろやかな口当たりで風味が良く且つ喉越しの良い飲み物を生成することが可能となる。更に、コンパクトに磁気処理装置を構成することができるため、この磁気処理装置を取り付ける蛇口周りのスペースを削ることも無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る磁気処理装置について、添付図面を参照して説明する。なお、磁気処理装置としては、例えば、水道管を介して供給される飲料水や生活用水用の蛇口(吐水口)に取り付けるタイプ、コーヒーメーカーの吐水口に取り付けるタイプ、紅茶やジュース類の自動販売機の吐水口に取り付けるタイプ、アルコール類の貯蔵タンクの吐水口に取り付けるタイプなど各種のタイプを想定することができる。
図1(a)には、本実施の形態の磁気処理装置の一例として、水道管を介して供給される飲料水や生活用水用の蛇口2に取り付けるタイプの磁気処理装置4の取り付け構成例が示されている。この構成例において、磁気処理装置4は、蛇口2から延出した吐水パイプ2aの先端(図示しない吐水口)に着脱自在に取り付けられている。
【0012】
図1(b)〜(f)に示すように、磁気処理装置4は、吐水パイプ2aの先端(吐水口)に対して着脱自在に取り付け可能な磁気処理本体6a,6bを備えており、磁気処理本体6a,6bには、永久磁石8が組み込まれた磁気発生部10と、磁気発生部10に沿って対向配置された磁性体部12とが内蔵されている。また、磁気発生部10と磁性体部12との間には、飲み物が流動可能な所定幅の流路14が形成されており、流路14の全体に亘って均一の磁力が作用するようになっている。そして、流路14内を飲み物が流動することにより、当該飲み物の全体に磁気処理が施される。
【0013】
磁気処理本体6a,6bは、上部本体6aと下部本体6bとから構成され、これらを互いに接合することにより、中空の球体を成している。そして、上部本体6aの内周面には、補強用のリブ16が周方向に沿って等間隔に複数枚配設されている。この場合、磁気処理本体6a,6bの形状は球体に限定されることは無く、例えば中空円筒状や中空楕円状など使用目的や使用環境に応じて任意の形状や大きさに設計することが可能である。
【0014】
また、上部本体6aの上端(下部本体6bとは反対側の端部)は円形に開口されており、その外周面にはネジ構造(例えば、雄ネジ)18が施され、固定用リングキャップ20を螺合させることができるようになっている。なお、固定用リングキャップ20の内周面にはネジ構造(例えば、雌ネジ)22が施されており、固定用リングキャップ20を上部本体6aの上端に整合させた状態で固定用リングキャップ20を回して雌ネジ18と雄ネジ22とを噛み合わせることにより、固定用リングキャップ20を上部本体6aに螺合させることができる。
【0015】
固定用リングキャップ20の中央部分は開口20aしており、その開口20aに固定用リング24を介在させることができるようになっている。また、上部本体6aの上端(開口)は、カバー体26で閉塞されるようになっており、このカバー体26上に環状パッキン28が支持されている。この場合、まず固定用リングキャップ20の開口20aを蛇口2の吐水パイル2aに通し、次に固定用リング24の開口24aを吐水パイプ2aの先端(吐水口)に外側から嵌め合わせた後、固定用リングキャップ20を上部本体6aに螺合させると、吐水パイプ2aの先端(吐水口)は、固定リング24と環状パッキン28との間で密着挟持された状態で固定される。
【0016】
この結果、磁気処理装置4は、蛇口2から延出した吐水パイプ2aの先端(吐水口)に着脱自在に取り付けられた状態となる。なお、固定用リングキャップ20を回して上部本体6aから外すことにより簡単に磁気処理装置4を取り外すことができる。
なお、環状パッキン28の材料としては、例えば、ニトルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムなどを適用することが可能であるが、これに限定されることは無く、パッキンとして使用することが可能な材料であれば任意に選択することが可能である。
【0017】
なお、固定用リング24としては、例えば図2(a)〜(c)に示すような構成を適用することが可能である。なお、同図(a)は上面図、同図(b)は断面図、同図(c)は下面図である。このような固定用リング24には、その開口24aの一部に複数の凹部24b(図面では2個の凹部)が形成されていると共に、一箇所に切欠24cが施されている。これにより固定用リング24は、切欠24cを境に分断され、その結果、全体的に弾性変形可能な状態となっている。例えば切欠24cの隙間が大きくなるように弾性変形することにより、開口24aの開口径を大きくすることができる。このため、固定用リング24の開口24aを吐水パイプ2aの先端(吐水口)に外側から嵌め合わせる作業をスムーズに行うことが可能となる。また、固定用リング24を吐水パイプ2aに嵌め合わせた後において、固定用リング24には、開口24aの開口径を元の状態に小さく復帰しようとする弾性力が生ずるため、これにより固定用リング24は、吐水パイプ2aを挟持した状態に維持される。
【0018】
また、飲み物に対する磁気発生部10の磁気処理能力を高めるために(磁力を最大限に発生させるために)、磁気発生部10に設けられた複数の永久磁石8は、同極同士が対向するように配列されている。なお、本実施の形態では、円板状の永久磁石8を想定しており、かかる形状の永久磁石8を例えば6個積層することにより、円筒状の磁気発生部10が構成されている。
図4(a)には、複数の永久磁石8の配列の一例が示されており、6個の永久磁石8の中間に1枚の磁性体30を介在させ、この磁性体30を挟んで両側の永久磁石8の磁極が同極(N極)同士で対向している。なお、同図では、N極同士を対向させているが、S極同士が対向するように永久磁石8を配列しても良い。
【0019】
また、磁性体30の材料としては、例えば400番系(403,405,410,430,434)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス430が好ましい。なお、永久磁石8と磁性体30の組合せは、これ以外に例えば図4(b),(c)に示すように配列しても良い。また、永久磁石8や磁性体30の個数や配列は、図4に示された枚数や配列に限定されることは無く、使用目的や使用環境に応じて任意の枚数や配列にすることができることは言うまでも無い。
【0020】
この場合、磁気発生部10に適用可能な永久磁石8の一例としては、ネオジウム系磁石を適用することが好ましい。ネオジウム系磁石は、市販されている永久磁石の中では最も強力な磁石であり、その磁力は、通常のフェライト磁石の10倍以上、アルニコ磁石の6〜7倍である。この結果、ネオジウム系磁石を用いた磁気発生部10では、略7000ガウス程度の強力な磁力を発生させることが可能となる。ただし、ネオジウム磁石は熱に弱く、一定の温度を超過すると磁力が低下する場合がある。そのような場合を考慮すると、耐熱ネオジウム磁石を適用しても良い。なお、これ以外の永久磁石8として、例えば、フェライト磁石(Baフェライト、Srフェライト)、アルニコ磁石、サマリウム系磁石を適用しても良い。
【0021】
なお、磁気発生部10の永久磁石8としてネオジウム系磁石を適用した場合には、これら永久磁石8を防水するための防水カバー32(図1(b))を設けることが好ましい。この場合、防水カバー32は、複数の永久磁石8を覆ってその内部が気密及び液密状態となるように設けられる。また、防水カバー32の材料は、永久磁石8を防水できるようなものであれば任意の材料(例えば、樹脂、ゴムなど)を適用することが可能であるが、永久磁石8の磁力を減ずることの無い非磁性体で形成することが必要である。
【0022】
磁性体部12は、上述したような磁気発生部10に沿って同心円状に対向配置されている。具体的には、磁性体部12は中空筒状を成しており、円筒状の磁気発生部10の外側全体を覆うように同心円状に対向配置されている。この場合、流路14の幅Wが一定寸法値となるように、磁気発生部10に対して磁性体部12を位置決めすることが好ましい。これにより、流路14の全体に亘って均一の磁力を作用させることが可能となる。
なお、流路14の幅Wを小さくすれば流路14を流れる飲料水に対する磁気処理効果を向上させることができる。しかしながら、あまり小さくすると飲料水の流動効率が低下してしまう。そこで、流路14の幅Wは、2mm〜9mmの範囲(特に、2mm)に設定することが好ましい。
【0023】
また、磁気発生部10及び磁性体部12は、支持板34,36により磁気処理本体6a,6b内に位置決め固定されるようになっている。支持板34,36は、磁気発生部10及び磁性体部12の両端(上端、下端)にそれぞれ配置されており、図3(a)〜(f)に示すように、上端及び下端の支持板(上端支持板34、下端支持板36)には、磁気発生部10及び磁性体部12を支持するための支持凹所34a,36aが設けられている。この場合、上端支持板34の支持凹所34aには、磁気発生部10の上端中央に形成された突起端10a(図1(b))を嵌め込むことが可能な嵌込凹部34bが設けられており、一方、下端支持板36の支持凹所36aには、磁気発生部10の下端10b(図1(b))を嵌め込むことが可能な嵌込凹部36bが設けられている。
【0024】
このような構成において、磁気発生部10及び磁性体部12の両端を上端支持板34及び下端支持板36の支持凹所34a,36aに嵌合する際に、磁気発生部10の突起端10a及び下端10bを嵌込凹部34b及び36bに嵌め込むことにより、流路14の幅Wが一定寸法値となるように磁気発生部10及び磁性体部12を位置決め支持(固定)することができる(図1(b))。
【0025】
なお、下端支持板36(支持凹所34a)の肉厚は、その中央部P(後述する磁力作用増大機構の複数の開口部の内側部分)を連続的に薄肉化し、ある程度の弾性を持たせている(図3(e))。これにより、磁気発生部10及び磁性体部12を位置決めして固定支持した後に、複数の永久磁石8は磁気発生部10内に弾性保持された状態に維持される。この場合、磁気処理装置4を落としたり外力が作用して磁気発生部10に衝撃力が加わったときでも、その衝撃力は薄肉化した下端支持板36で吸収され、複数の永久磁石8に直接作用することは無いため、各永久磁石8が損傷したり割れたりするのを防止することが可能となる。
【0026】
また、図1(b)及び図3に示すように、上端支持板34及び下端支持板36の支持凹所34a,36aには、流路14内を流動する飲み物の滞留時間を延長して当該飲み物に対する磁力の作用回数を増大させることが可能な磁力作用増大機構が設けられている。
磁力作用増大機構は、流路14の流入口14a及び流出口14bにそれぞれ設けられており、これら流入口14a及び流出口14bに対向した複数の開口部34c,36cを備えて構成されている。この場合、流路14は環状を成しているため、その流入口14a及び流出口14bに対向した複数の開口部34c,36cも環状に配列されている。
【0027】
このような構成によれば、吐水口から磁気処理本体6a,6bに取り込まれた飲み物は、上端支持板34の複数の開口部34cから流入口14aを通って流路14内を滞留しながら流動した後、流出口14bから下端支持板36の複数の開口部36cを通って磁気処理本体6a,6bの吐水開口部38から外部に吐出される。このように複数の開口部34c,36cを設けることにより、流路14を流れる飲み物の流動方向を螺旋状にすることができるため、その分だけ流路14内に滞留する時間を長引かせることが可能となる。その結果、飲み物に対する磁力の作用回数が増大し、充分に且つ効果的に磁気処理を施すことができる。
なお、各開口部34c,36cの形状は、図3のような長楕円形状に限定されることは無く、円形状であっても良い。また、開口部34c,36cの個数も図3に示した個数(6個)に限定されることは無く、6個以上或いはそれ以下であっても良い。
【0028】
また、図1(b)に示すように、磁気処理本体6a,6b内には、飲み物に含まれる異物(例えば、水道水ではゴミやたんぱく質、水垢)を濾過するためのフィルタ40が設けられている。フィルタ40は、磁気処理装置4の上部本体6aと下部本体6bとにそれぞれ内蔵されている。上部本体6aに内蔵されたフィルタ40は、カバー体26の窪み部26a(図2(d)〜(f))に固定されており、一方、下部本体6bに内蔵されたフィルタ40は、吐水開口部38を覆うように固定されている。
このように二箇所にフィルタ40を設けることにより、異物を完全に除去することができるため、異物感の無い美味しい飲み物を提供することが可能となる。なお、フィルタ40は、二箇所に限定されることは無く、いずれか一方或いは3箇所以上設けても良い。
【0029】
ここで、磁気処理装置4の組立方法について簡単に説明する。
まず、上端支持板34及び下端支持板36で位置決め支持(固定)された磁気発生部10及び磁性体部12を磁気処理本体6a,6b(上部本体6a)の上端開口から挿入する。このとき、下端支持板36が下部本体6bの位置決め凸部42で位置決めされ、同時に、上端支持板34が上部本体6aの位置決め段部44で位置決めされる。このとき、下端支持板36は、位置決め凸部42の内側にセットされたパッキンリング46(図1(b))に圧着した状態に維持される。
【0030】
次に、上部本体6aの上端開口からカバー体26を挿入すると、このカバー体26の下端面に形成された凹部26b(図2(d)〜(f))が、上部支持板34の上端面に形成された凸部34d(図1(b)、図3(a)〜(c))に嵌合することにより、カバー体26が上端開口に位置決めされる。
続いて、カバー体26上に環状パッキン28をセットした後、固定用リング24を介在させた状態で固定用リングキャップ20を上部本体6aに螺合させることにより、図1(a)〜(d)に示すような磁気処理装置4が完成する。
【0031】
なお、このような磁気処理装置4により磁気処理が施される飲み物としては、低温から高温に至るものが想定される。そのため、磁気処理本体6a,6b、固定用リングキャップ20、固定用リング24、カバー体26、上端支持板34、下端支持板36に適用可能な樹脂材料の一例としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS樹脂)を適用することが好ましい。ABS樹脂とは、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンを主原料とする高剛性、衝撃性、耐熱性に優れたアクリル系樹脂である。なお、これ以外の樹脂材料として、例えば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどの樹脂材料を適用しても良い。
【0032】
次に、例えば図1(a)に示すように、磁気処理装置4を蛇口2の吐水パイプ2aの先端(吐水口)に取り付けて、水道水に磁気処理を施すプロセスについて説明する。
吐水パイプ2aを通って吐水口から磁気処理本体6a,6bに取り込まれた水道水は、環状パッキン28の開口28aからフィルタ40を通って水溜まり部48に導入された後、上端支持板34の複数の開口部34cから流入口14aを通って流路14内に流れ込む。
流路14内に流れ込んだ水道水は、ここで滞留しながら流動する間に、磁気発生部10と磁性体部12との間に生じた磁力作用(磁界或いは磁場)を受けることにより、磁気処理が施される。
【0033】
磁気処理とは、磁界の中で導体(水)が動くと導体に電流が流れる現象(電磁誘導現象)を利用した処理方法であり、水に磁気処理する際には、水が磁界(磁場)に対して直角に通過することが条件になる。これはフレミングの右手の法則により、磁界、電流、水流(力)が互いに直角に作用することで磁気処理が成立するからである。
そして、流路14内を流動し磁気処理が施された水道水(磁気を帯びた水)は、流出口14bから下端支持板36の複数の開口部36cを通って水溜まり部50に導入された後、フィルタ40から吐水開口部38を経て磁気処理本体6a,6bの外部に吐出される。
【0034】
このような磁気処理プロセスによれば、例えば錆やスケールといった障害の原因となり得る各種成分(例えば、カルシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン、二酸化炭素など)の結晶構造が変化し、その結晶が大きくならない安定した平衡形になる。この結果、まろやかな口当たりで風味が良く且つ喉越しの良い飲み物を提供することができる。同時に、フィルタ40により異物を完全に除去することができるため、異物感の無い美味しい飲み物を提供するができる。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されることは無く、以下のように変更することが可能である。
上述の実施の形態において、磁性体部12は磁気発生部10の外側全体を覆うように同心円状に対向配置したが、これとは逆に例えば図5に示すように、磁性体部12の外側全体を覆うように磁気発生部10を同心円状に対向配置させても同様の作用効果を実現することができる。この場合、磁気発生部10の各永久磁石8及び磁性体30は、環状に形成されることになる。
また、上述した実施の形態では、球状の磁気処理装置4を例示しているが、これに限定されることは無く、例えば楕円状や円柱状、三角形状や四角形状など使用環境や使用目的或いは利用者のニーズに応じて任意の形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態に係る磁気処理装置の構成を示す図であって、(a)は、蛇口の吐水パイプの先端に磁気処理装置を取り付けた構成例を示す図、(b)は、磁気処理装置の内部構成を示す断面図、(c)は、磁気処理装置の内部構成を示す部分断面図、(d)は、同図(c)の上面図、(e)は、同図(d)の下面図。
【図2】(a)は、固定用リングの上面図、(b)は、固定用リングの断面図、(c)は、固定用リングの下面図、(d)は、カバー体の上面図、(e)は、カバー体の断面図、(f)は、カバー体の下面図。
【図3】(a)は、上端支持板の上面図、(b)は、上端支持板の断面図、(c)は、上端支持板の下面図、(d)は、下端支持板の上面図、(e)は、下端支持板の断面図、(f)は、下端支持板の下面図。
【図4】(a)〜(c)は、磁気発生部における複数の永久磁石の配列の構成例を示す図。
【図5】本発明の変形例に係る磁気処理装置の断面構成図。
【符号の説明】
【0037】
4 磁気処理装置
6a,6b 磁気処理本体
8 永久磁石
10 磁気発生部
12 磁性体部
14 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水口を通して流れる各種飲み物に磁気処理を施して、まろやかな口当たりで風味が良く且つ喉越しの良い飲み物を生成することが可能な磁気処理装置であって、
各種吐水口に対して着脱自在に取り付け可能な磁気処理本体と、
磁気処理本体に内蔵され、永久磁石が組み込まれた磁気発生部と、
磁気処理本体に内蔵され、磁気発生部に沿って対向配置された磁性体部と、
磁気発生部と磁性体部との間に形成され、飲み物が流動可能な所定幅の流路とを備えており、
磁気発生部と磁性体部との間には、流路の全体に亘って均一の磁力が作用しており、この流路内を飲み物が流動することにより、当該飲み物の全体に磁気処理が施されることを特徴とする磁気処理装置。
【請求項2】
磁気発生部には、複数の永久磁石が組み込まれており、少なくとも隣り合う一対の永久磁石は、同極同士が対向するように配列されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気処理装置。
【請求項3】
磁気発生部には、複数の永久磁石を防水するための防水カバーが設けられており、この防水カバーは、非磁性体で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気処理装置。
【請求項4】
磁気発生部は円筒状を成しており、磁性体部は、磁気発生部に対して同心円状に対向配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の磁気処理装置。
【請求項5】
磁気発生部及び磁性体部は、支持板により磁気処理本体内に位置決め固定されており、支持板には、流路内を流動する飲み物の滞留時間を延長して当該飲み物に対する磁力の作用回数を増大させることが可能な磁力作用増大機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の磁気処理装置。
【請求項6】
磁力作用増大機構は、流路の流入口及び流出口にそれぞれ設けられており、これら流入口及び流出口に対向した複数の開口部を備えて構成され、
吐水口から磁気処理本体に取り込まれた飲み物は、複数の開口部から流入口を通って流路内を滞留しながら流動した後、流出口から複数の開口部を通って磁気処理本体から外部に吐出されることを特徴とする請求項5に記載の磁気処理装置。
【請求項7】
磁気処理本体内には、飲み物に含まれる異物を濾過するためのフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の磁気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−822(P2006−822A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182856(P2004−182856)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(504186529)株式会社 日本磁化学研究所 (10)
【出願人】(300033658)
【Fターム(参考)】