説明

磁気記録媒体用円盤状基板の研削装置、円盤状基板の製造方法および円盤状基板の研削用砥石

【課題】ワークの内周面および/または外周面を研削する工程において、ワークのチャンファーの研削を行う際にチッピングが生じにくい研削装置等を提供する。
【解決手段】ワーク10の内周面および/または外周面を砥石を用いて研削する研削装置であって、例えば、内周砥石22は、周面を研削する第1の砥石部76a,78aと、第1の砥石部76a,78aの上下に連続して設けられチャンファーを研削する第2の砥石部76b,78bおよび第3の砥石部76c,78cとからなる凹部76,78を有し、第2の砥石部76b,78bおよび第3の砥石部76c,78cは凹状となされていることを特徴とする磁気記録媒体用円盤状基板の研削装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体用円盤状基板の研削装置、円盤状基板の製造方法、円盤状基板の研削用砥石に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録メディアとしての需要の高まりを受け、磁気ディスク等の情報記録媒体の製造が活発化している。ここで磁気ディスク用の基板として用いられる円盤状基板としては、アルミ基板とガラス基板とが広く用いられている。このアルミ基板は加工性も高く安価である点に特長があり、一方のガラス基板は強度、表面の平滑性、平坦性に優れている点に特長がある。特に最近ではディスク基板の小型化と高密度化の要求が著しく高くなり、基板の表面の粗さが小さく高密度化を図ることが可能なガラス基板の注目度が高まっている。
【0003】
ここで、特許文献1には、高さの異なる一の環状凹部の開放角が相異なるように形成されたダイヤモンド砥石面を有し、ダイヤモンド砥石面のダイヤモンドの粒度がそれぞれ上下で異なっているドーナツ状基板の円孔研削工具が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−329037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高さの異なる一の環状凹部の開放角が相異なるようにダイヤモンド砥石面が形成される円孔研削工具によりガラス基板を研削する場合、面取り部においてチッピングと呼ばれるガラス基板の欠けが生じやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ワークの内周面および/または外周面を研削する工程において、ワークのチャンファーの研削を行う際にチッピングが生じにくい研削装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の磁気記録媒体用円盤状基板の研削装置は、磁気記録媒体用円盤状基板の内周面および/または外周面を砥石を用いて研削する研削装置であって、砥石は、周面を研削する第1の砥石部と、第1の砥石部の上下に連続して設けられチャンファーを研削する第2および第3の砥石部とからなる凹部を有し、第2および第3の砥石部は凹状となされていることを特徴とする。
【0008】
ここで、凹部は、砥石の回転軸方向に更に複数配列し、第1の砥石部と第2の砥石部および第3の砥石部とがなす角度が、凹部毎に少なくとも2種類あることが好ましい。
【0009】
また、本発明の円盤状基板の製造方法は、周面を研削する第1の砥石部と、第1の砥石部の上下に連続して設けられ面取り部を研削する第2および第3の砥石部からなる凹部を有し、第2および第3の砥石部が凹状となされている砥石により円盤状基板の内周面および/または外周面を研削する工程を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、凹部は、砥石の回転軸方向に更に複数配列し、第1の砥石部と第2の砥石部および第3の砥石部とがなす角度が、凹部毎に少なくとも2種類あり、大きい角度を有する凹部から小さい角度を有する凹部を順に使用して研削を行うことが好ましく、円盤状基板の内周面の研削と外周面の研削は、同時期に行われることが更に好ましい。
【0011】
更に、本発明の円盤状基板の研削用砥石は、円盤状基板の内周面および/または外周面を研削する砥石であって、周面を研削する第1の砥石部と、第1の砥石部の上下に連続して設けられ面取り部を研削する第2および第3の砥石部とから形成される凹部を回転軸方向に複数有し、第2および第3の砥石部は凹状となされ、第1の砥石部と第2の砥石部および第3の砥石部とがなす角度が、凹部毎に少なくとも2種類あることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように構成された本発明によれば、これらの構成を採用しない場合に比べて、歩留まりが高い円盤状基板の製造方法等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1−1(a)〜(d)、図1−2(e)〜(h)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【0014】
(1次ラップ工程)
図1−1(a)は1次ラップ工程を示している。この工程でまず、ラッピングマシン40により1回目のラッピングを行い、円盤状基板の一例として磁気記録媒体用円盤状基板であるワーク10の表面11を平滑に研削する。
ここで図2は、ラッピングマシン40の構造を説明した図である。
図2に示したラッピングマシン40は、ワーク10を載置する下定盤21aと、ワーク10を上部から押えつけラッピングを行うために必要な圧力を加えるための上定盤21bとを備えている。
ここで、下定盤21aの外周部には歯部42が設けられ、下定盤21aの中央部には太陽歯車44が設けられている、さらに下定盤21aには、ラッピングが行われる際にワーク10を位置決めする円盤状のキャリア30が設置されている。
キャリア30は、図2に示すラッピングマシン40では、5個設置されている。キャリア30の外周部には歯部32が備えられ、下定盤21aの歯部42および太陽歯車44の双方に噛合している。また下定盤21aおよび上定盤21bには、これらを回転させるための回転軸46a,46bがそれぞれ中心部に設置されている。
【0015】
この1次ラップ工程においては、まずラッピングマシン40の下定盤21aにキャリア30を利用してワーク10の載置を行う。
図3は、キャリア30を更に詳しく説明した図である。図3に示したキャリア30には、上述の通り、外周部に歯部32が備えられている。また、ラッピングを行う際にワーク10が内部に載置される円形形状の孔部34が複数開けられている。この孔部34の直径は、ワーク10の直径よりわずかに大きく開けられる。このようにすることで、ラッピングを行う際にワーク10の外周端の一部に余分な応力がかかるのを抑制することができるため、ワーク10の外周端が損傷しにくくなる。本実施の形態において、孔部34の直径はワーク10の直径より、例えば、約1mm大きくなっている。また孔部34は、ほぼ等間隔で並んでおり、本実施の形態の場合、孔部34は、例えば、35個開けられている。
【0016】
キャリア30の材料としては、例えば、アラミド繊維やガラス繊維を混入することで強化されたエポキシ樹脂を使用することができる。またキャリア30の厚さは、本工程において、ラッピングを行う際に、上定盤21bに接触し、ラッピングを阻害しないために、本工程におけるワーク10の仕上げ厚さより薄く作成されている。例えば、ワーク10の仕上げ厚さが1mmであるとすると、キャリア30の厚さは、それより0.2mm〜0.6mm薄くなっている。
【0017】
キャリア30の孔部34にワーク10を載置した後は、上定盤21bをワーク10に接触するまで移動させ、ラッピングマシン40を稼働させる。
この際のラッピングマシン40の動作を図2を用いて説明する。ラッピングマシン40を稼働する際には、図の上方の回転軸46bを一方向に回転させ、上定盤21bを、同様な一方向に回転させる。また、図の下方の回転軸46aを、回転軸46bの回転とは逆方向に回転させ、下定盤21aを回転軸46aと同様な方向に回転させる。これにより下定盤21aの歯部42も回転軸46aと同様な方向に回転する。また中央部の太陽歯車44も、回転軸46aと同様な方向に回転する。
このように上定盤21b、下定盤21a、太陽歯車44を回転させることにより、これらの歯車に噛み合うキャリア30は自転運動と、公転運動が組み合わされたいわゆる遊星運動を行う。同様に、キャリア30にはめ込まれたワーク10も遊星運動を行う。このようにすることによりワーク10のラッピングをより精度よく、また迅速に行うことができる。
【0018】
なお、本実施の形態において、ラッピングは、研削剤を用いて行うことができる。研削剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミナやダイヤモンドからなる研削剤をスラリー化して使用することができる。または、上定盤21bや下定盤21aにこれらの研削剤が分散して含んだ砥石を使用してもよい。
【0019】
(内外周研削工程)
図1−1(b)は内外周研削工程を示している。この工程では、詳しくは後述するが研削装置100(図5参照)により、ワーク10の開孔12の内周面および外周13の外周面の荒削りである研削を行う。また本実施の形態では、内周面と外周面の研削を同時に行う。具体的には、ワーク10の中心に設けられた開孔12の内周面を内周砥石22によって研削し、ワーク10の外周13を外周砥石23によって研削する。このとき、内周砥石22と外周砥石23でワーク10の内周面と外周面を挟み込んで同時加工する。これにより内径と外径の同軸度を確保し易くすることができる。
本実施の形態において、詳しくは後述するが、内周砥石22および外周砥石23は、波状の表面を有している。そのため、ワーク10の開孔12の内周面および外周13の外周面を研削することができるだけでなく、開孔12および外周13におけるチャンファー(面取り部)の面取りを併せて行うことが可能となる。
【0020】
(内周研磨工程)
図1−1(c)は内周研磨工程を示している。この工程では、図1−1(b)に示した内外周研削工程において、荒削りである研削を行ったワーク10の開孔12の内周面を更に平滑にする研磨を行う。
具体的には、まずワーク10を積層し、図示しないホルダにセットする。そして、このホルダにセットされたワーク10の開孔12の中心にブラシ24を挿入する。そして研磨液をワーク10の開孔12に流し込みながら、ブラシ24を高速で回転させることで、ワーク10の内周面を研磨する。本実施の形態では、研磨に際してブラシ24を使用しているので、ワーク10の内周面を研磨すると共に、上述した内外周研削工程において行った開孔12の縁部の面取りした部分も同様に研磨することができる。なお研磨液としては、例えば酸化セリウム砥粒を水に分散してスラリー化したものを用いることができる。
【0021】
図4は、内周研磨工程において使用するブラシ24の一例を示した図である。このブラシ24は、毛先が螺旋状に配列して形成されるブラシ部61と、このブラシ部61の両端部に連続して形成され、一端と他端とを形成する軸62とを備えている。ワーク10の開孔12として例えば0.85インチ等の小径ディスクの内周面を研磨するような場合は、ブラシ24の芯を細くする必要がある。その場合、本実施の形態では、例えば、複数本のワイヤ(材質:例えば、軟鋼線材(SWRM)、硬鋼線材(SWRH)、ステンレス線材(SUSW)、黄銅線(BSW)など、加工性、剛性などから適宜選定できよう)の間に、ブラシの毛(材質:例えばナイロン(デュポン社の商品名))を挟み込み、この毛が挟み込まれたワイヤをねじることで、ブラシ部61を形成している。このワイヤをねじってブラシ部61を形成することで、ブラシ部61に形成されるブラシ毛先を螺旋状とすることができ、挿入されているワーク10の開孔12にて、研磨液を軸方向に流すことが可能となる。そのため研磨液の搬送を良好に行うことができる。
【0022】
(2次ラップ工程)
図1−1(d)は2次ラップ工程を示している。この工程では、図1−1(a)に示した1次ラップ工程において、ラッピングを行ったワーク10の表面11を再度ラッピングを行うことにより更に平滑に研削する。
2次ラップ工程において、ラッピングを行う装置としては、図1−1(a)に示したラッピングマシン40を使用することができる。またラッピングの方法、条件等は、図1−1(a)で説明した場合と同様に行うことができる。
【0023】
(外周研磨工程)
図1−2(e)は外周研磨工程を示している。この工程では、図1−1(b)に示した内外周研削工程において、荒削りである研削を行ったワーク10の外周13の外周面を更に平滑にする研磨を行う。
具体的には、まずワーク10の開孔12の部分に治具25を通して積層させ、ワーク10を治具25にセットする。そして研磨液をワーク10の外周13の箇所に流し込みながら、ブラシ26を積層したワーク10に接触させ、高速で回転させる。これにより、ワーク10の外周面を研磨することができる。本実施の形態では、研磨に際してブラシ26を使用しているので、ワーク10の外周面を研磨すると共に、上述した内外周研削工程において行った外周13の縁部の面取りした部分も同様に研磨することができる。なお研磨液としては、内周研磨工程の場合と同様に、例えば酸化セリウム砥粒を水に分散してスラリー化したものを用いることができる。
【0024】
(1次ポリッシュ工程)
図1−2(f)は1次ポリッシュ工程を示している。この工程では、図1−1(d)に示した2次ラップ工程において、ラッピングを行ったワーク10の表面11を、ポリッシングマシン50を用いてポリッシングを行うことで更に研磨し、更に平滑度を上げていく。このポリッシングマシン50は、上述したラッピングマシン40とほぼ同様な構成を有するが、下記に示すように研磨に使用する材料等が一部異なる。
本実施の形態において、ポリッシングを行うに際し、例えばウレタンにより形成された硬質研磨布を用い、酸化セリウム砥粒を水に分散してスラリー化したものを研磨材として用いることができる。
【0025】
(2次ポリッシュ工程)
図1−2(g)は2次ポリッシュ工程を示している。この工程では、図1−2(f)に示した1次ポリッシュ工程において、ポリッシングを行ったワーク10の表面11を、精密ポリッシングを行うことで更に研磨し、表面11の最終的な仕上げを行う。
本実施の形態において、このポリッシングを行うに際し、例えばスエード状の軟質研磨布を用い、酸化セリウム砥粒若しくはコロイダルシリカを水等の溶媒に分散してスラリー化したものを研磨材として用いることができる。
【0026】
(最終洗浄・検査工程)
図1−2(h)は最終洗浄・検査工程を示している。最終洗浄では、上述した一連の工程において、使用した研磨剤等の汚れの除去を行う。洗浄には超音波を併用した洗剤(薬品)による化学的洗浄などの方法を用いることができる。
また、検査工程においては、例えばレーザを用いた光学式検査器により、ワーク10の表面の傷やひずみの有無等の検査が行われる。
【0027】
ここで、本実施の形態の特徴的な工程である図1−1(b)に示す内外周研削工程について詳述する。
まず、図5〜図7を用いて、内外周研削工程にて用いられる研削装置100について説明する。図5は研削装置100の全体構成図を示し、図6はワーク10を研削する研削装置100の研削機構部分を拡大して示している。更に、図7は、ワーク10と内周砥石22および外周砥石23との関係を平面軸上に表現している。
本実施の形態が適用される研削装置100は、ワーク10の開孔12の内周を研削する内周研削機構130と、ワーク10の外周13を研削する外周研削機構150と、ワーク10の上下面を押圧して保持し、保持したワーク10を回転させる基板保持・回転機構170とを備えている。また、この内周研削機構130や外周研削機構150、基板保持・回転機構170の動きは、制御部(図示せず)によって制御されている。
【0028】
内周研削機構130は、図5および図6に示すように、回転する研削面を有する内周砥石22と、内周砥石22を回転させる回転軸134とを備えている。また、図5に示すように、内周砥石22を回転させる回転駆動装置135と、回転駆動装置135を保持し図のZ軸方向(図の上下方向)に移動させるための内周砥石用テーブル136とを備えている。更に、この内周砥石用テーブル136をZ軸方向に移動させるためのZ軸方向移動機構として、スライドレール137と、駆動源であるサーボモータ138と、サーボモータ138の回転力を内周砥石用テーブル136のスライド方向の移動に変えるボールネジ139とを備えている。また、この内周砥石用テーブル136とZ軸方向移動機構とをX軸方向(図7のC方向およびD方向、ワーク10の半径方向)に移動させるためのX軸方向移動機構として、スライドレール141と、駆動源であるサーボモータ142とを備えている。
【0029】
内周砥石22は、例えばダイヤモンドの粒をSK材(炭素工具鋼鋼材)に散りばめた構造を有している。そして、図7に示すように、図の下方である先端側に粗削り用に粒径の大きなダイヤモンド(例えば、#240〜#400)を散りばめた粗削り面(粗削り部)72が設けられている。そして、この粗削り面72に連続して回転軸側に一体的に設けられ、仕上げ用に粒径の小さなダイヤモンド(例えば、#500〜#1000)を散りばめた仕上げ削り面(仕上げ削り部)74を有している。ここで、粗削り面72を用いた研削に比べて仕上げ削り面74を用いた研削ではより高い精度が要求される。そこで、回転むらの影響を考慮して、回転軸134に近い方に仕上げ削り面74を設け、回転むらの大きい回転軸134から遠い方に粗削り面72を設けている。尚、粗削り面72および仕上げ削り面74のZ軸方向の長さは、ワーク10の厚さに比べて充分に長い。
【0030】
この内周研削機構130は、研削前の状態では、ワーク10が載置される研削位置に対して内周砥石22をZ軸の上方に位置させている。ワーク10が基板保持・回転機構170に上下面を押圧されて保持された際に、図5に示すサーボモータ138を駆動し、ボールネジ139とスライドレール137とによって内周砥石用テーブル136がZ軸の下方(図7のZ1方向)に移動する。尚、サーボモータ138の制御によって、図7に示す粗削り面72および仕上げ削り面74の何れか一方が、ワーク10の開孔12の内周に対峙する。また、粗削り作業から仕上げ削り作業に移行する際、または研削作業が終了した際に、サーボモータ138の回転駆動と、ボールネジ139およびスライドレール137とによって、内周砥石用テーブル136がZ軸の上方(図7のZ2方向)に移動する。
【0031】
また、内周研削機構130は、研削時には、内周砥石22の歯先が、例えば図7の移動開始位置(第1の移動開始位置または第2の移動開始位置)から移動終了位置(第1の移動終了位置または第2の移動終了位置)までC方向(外周方向)へ移動する。このとき、回転駆動装置135による回転駆動力が回転軸134に加わり、内周砥石22を一方向に回転させる。また、研削終了後は、内周砥石22の歯先が、例えば図7の移動終了位置から所定の位置までD方向へ移動する。このC方向およびD方向の移動に際し、図5に示すサーボモータ142を駆動させ、スライドレール141と、図示しないボールネジなどの作用によって、内周砥石用テーブル136とZ軸方向移動機構とを移動させる。
【0032】
外周研削機構150は、図5に示すように、回転する研削面を有する外周砥石23と、外周砥石23を回転させる回転軸154とを備えている。また、外周砥石23を回転させる回転駆動装置155と、回転駆動装置155からの回転力を回転軸154に伝える伝達機構160とを備えている。更に、回転駆動装置155および伝達機構160を保持し、これらを図のZ軸方向(図の上下方向)に移動させるための外周砥石用テーブル156を備えている。また、この外周砥石用テーブル156をZ軸方向に移動させるためのZ軸方向移動機構として、スライドレール157と、駆動源であるサーボモータ158と、サーボモータ158の回転力を外周砥石用テーブル156のスライド方向の移動に変えるボールネジ159とを備えている。更に、この外周砥石用テーブル156とZ軸方向移動機構とをX軸方向(ワーク10の半径方向)に移動させるためのX軸方向移動機構として、スライドレール161と、駆動源であるサーボモータ162とを備えている。ここで、本実施の形態で定義するX軸方向は、図の鉛直方向であるZ軸方向に対してワーク10の半径方向を意味しており、所謂三軸(XYZ軸)方向定義のX軸およびY軸で形成される平面軸(水平軸)である。尚、図5および図6に示す例では、基板保持・回転機構170によって保持されるワーク10の中心と外周砥石23の中心軸とは、図面上のそのまま左側ではなく、紙面の手前側(または紙面の後方側)に向けて所定の角度を有した関係にある。
【0033】
外周砥石23は、内周砥石22と同様に、例えばダイヤモンドの粒をSK材に散りばめた構造を有している。そして、図7に示すように、内周砥石22と同様に、図の下方に粗削り用に粒径の大きなダイヤモンド(例えば、#240〜#400)を散りばめた粗削り面(粗削り部)82が設けられている。そして、この粗削り面82に連続してその上方に一体的に設けられ、仕上げ用に粒径の小さなダイヤモンド(例えば、#500〜#1000)を散りばめた仕上げ削り面(仕上げ削り部)84が備えられている。上方に仕上げ削り面84を設けているのは、仕上げ削りに際して回転むらの影響を少なくするためである。尚、粗削り面82および仕上げ削り面84のZ軸方向の長さは、ワーク10の厚さに比べて充分に長い。そして、内周砥石22の粗削り面72と外周砥石23の粗削り面82とのZ軸方向の長さをほぼ等しくし、内周砥石22の仕上げ削り面74と外周砥石23の仕上げ削り面84とのZ軸方向の長さをほぼ等しくすれば、ワーク10の内周面の研削と外周面の研削を同時期に行う際に両者のZ軸方向の位置制御を簡易に行うことができる。
【0034】
この外周研削機構150は、内周研削機構130と同様に、研削前の状態ではワーク10が載置される研削位置に対して外周砥石23を上方に位置させている。ワーク10が基板保持・回転機構170にセット(調整されて保持)された際に、図5に示すサーボモータ158を駆動させ、ボールネジ159とスライドレール157とによって外周砥石用テーブル156がZ軸の下方(図7のZ1方向)に移動する。尚、サーボモータ158の制御によって、図7に示す粗削り面82および仕上げ削り面84の何れか一方が、ワーク10の外周13に対峙する。また、粗削り作業から仕上げ削り作業に移行する際、または研削作業が終了した際に、サーボモータ158の回転駆動と、ボールネジ159およびスライドレール157とによって、外周砥石用テーブル156がZ軸の上方(図7のZ2方向)に移動する。
【0035】
また、外周研削機構150は、研削時には、外周砥石23の歯先が、例えば図7の移動開始位置から移動終了位置までA方向(内周方向)へ移動する。このとき、回転駆動装置155による回転駆動力が伝達機構160を介して回転軸154に加わり、外周砥石23を一方向に回転させる。また、研削終了後は、外周砥石23の歯先が、例えば図7の移動終了位置から所定の位置までB方向へ移動する。これらの移動に際し、図5に示すサーボモータ162を駆動させ、スライドレール161と、図示しないボールネジなどの作用によって、外周砥石用テーブル156とZ軸方向移動機構とを移動させる。
【0036】
一方、基板保持・回転機構170は、図5および図6に示すように、ワーク10の上下面を押圧して保持するための第1の保持機構171と第2の保持機構172とを備えている。また、図5に示すように、第1の保持機構171および第2の保持機構172によって保持されたワーク10を回転させるための回転軸173と、回転のための駆動力を提供する駆動源174と、駆動源174からの駆動力を回転軸173に伝達する伝達機構175とを備えている。更に、第2の保持機構172をZ軸方向に上下動させる機構として、駆動源である油圧シリンダなどのシリンダ176と、このシリンダ176からの駆動力を第2の保持機構172に伝達する伝達軸177とを備えている。
【0037】
この第1の保持機構171にワーク10が置かれて位置決めされた後に、シリンダ176の動作によって伝達軸177を介して第2の保持機構172が図の下方に移動し、この第1の保持機構171と第2の保持機構172とによってワーク10を押さえ込む。これによって、基板保持・回転機構170にてワーク10の面を押圧し、ワーク10をしっかりと押さえて保持することができる。また、駆動源174からの駆動力は伝達機構175を介して回転軸173に伝わり、ワーク10を保持した第1の保持機構171および第2の保持機構172を回転させる。
【0038】
また、図6に示すように、この第1の保持機構171には、第1の保持機構171のステージに載置されたワーク10を吸引する吸着ヘッド178と、ワーク10の開孔12の内周を基準として芯を出すためのチャック機構179とを備えている。
基板保持・回転機構170は、第1の保持機構171の先端であるステージ上にワーク10が置かれた後、吸着ヘッド178によりワーク10を吸着する。また、このとき、チャック機構179は、例えば横方向に開く複数の突出部を閉じた状態でワーク10の開孔12に挿入し、この複数の突出部を均等に横に開き開孔12の内周の位置を特定してワーク10を移動させる。これにより、ワーク10の開孔12の内周に対して芯を出した状態でワーク10が第1の保持機構171に位置決め配置される。
【0039】
次に本実施の形態が適用される内周砥石22および外周砥石23について詳述する。
図8および図9は、本実施の形態が適用される内周砥石22および外周砥石23の構造例を説明するための図である。このうち図8は、内周砥石22および外周砥石23の回転中心部を通る平面で切断した場合の断面図である。また、図9は、図8に示した凹部76,78,86,88を更に詳しく説明するための図である。
図8に示した内周砥石22は、上述の通りワーク10の開孔12の内周の粗削りを行う粗削り面72および仕上げ削りを行う仕上げ削り面74とを有している。そして粗削り面72および仕上げ削り面74の双方にそれぞれ凹部76および凹部78が回転軸方向に複数配列する。本実施の形態では、凹部76および凹部78は内周砥石22に5つずつ配される。
凹部76は、ワーク10の内周面を研削する第1の砥石部76aと、第1の砥石部76aの上下に連続して設けられワーク10の内周面のチャンファー(面取り部)12a,12bを研削する第2および第3の砥石部76b,76cとからなる。また凹部78は、ワーク10の内周面を研削する第1の砥石部78aと、第1の砥石部78aの上下に連続して設けられワーク10のチャンファー12a,12bを研削する第2および第3の砥石部78b,78cとからなる。
【0040】
同様に外周砥石23は、ワーク10の外周の粗削りを行う粗削り面82および仕上げ削りを行う仕上げ削り面84とを有している。そして粗削り面82および仕上げ削り面84の双方にそれぞれ凹部86および凹部88が回転軸方向に複数配列する。本実施の形態では、凹部86および凹部88は外周砥石23に5つずつ配される。
凹部86は、ワーク10の外周面を研削する第1の砥石部86aと、第1の砥石部86aの上下に連続して設けられワーク10の外周面のチャンファー13a,13bを研削する第2および第3の砥石部86b,86cとからなる。また凹部88は、ワーク10の外周面を研削する第1の砥石部88aと、第1の砥石部88aの上下に連続して設けられワーク10の外周面のチャンファー13a,13bを研削する第2および第3の砥石部88b,88cとからなる。
【0041】
ここで、内周砥石22において、凹部76の第2および第3の砥石部76b,76cは図9に示すように凹状となされている。即ちこの凹状部76dは、所定の曲率を有する曲面にて作成されている。このようにすることで、ワーク10のチャンファーを研削する際に、チャンファーと第2および第3の砥石部76b,76cとの接触がまず浅い角度で接触し、研削が進むにつれ深い角度で接触することになる。そのため研削の際にワーク10のチャンファーにかかる負荷がより緩和されることになり、その結果チッピングを抑制することができる。
なお内周砥石22における凹部78の第2および第3の砥石部78b,78c、外周砥石23における凹部86の第2および第3の砥石部86b,86c、外周砥石23における凹部88の第2および第3の砥石部88b,88cについても図9に示すように同様に凹状とされている凹状部78d,86d,88dをそれぞれ有している。
【0042】
また、内周砥石22において、凹部76の第1の砥石部76aと第2の砥石部76bおよび第3の砥石部76cとがなす角度を図9に示すようにθ1とする。また、凹部78の第1の砥石部78aと第2の砥石部78bおよび第3の砥石部78cとがなす角度を図9に示すようにθ2とする。本実施の形態の場合、このθ1とθ2との関係は、θ1>θ2となっている。これにより、ワーク10のチャンファーを研削する場合、ワーク10の開孔12の内周の粗削りを行うときは、チャンファーと凹部76の第2の砥石部76bおよび第3の砥石部76cとが浅い角度で接触して研削を行う。そしてワーク10の開孔12の内周の仕上げ削りを行うときは、チャンファーと凹部78の第2の砥石部78bおよび第3の砥石部78cとが粗削りのときより、より深い角度で接触して研削を行う。このようにすることで、研削の際にワーク10のチャンファーにかかる負荷がより緩和されることになり、その結果チッピングを更に抑制することが可能となる。
【0043】
また、外周砥石23において、凹部86の第1の砥石部86aと第2の砥石部86bおよび第3の砥石部86cとがなす角度を図9に示すようにθ3とする。また、凹部88の第1の砥石部88aと第2の砥石部88bおよび第3の砥石部88cとがなす角度を図9に示すようにθ4とする。この場合も内周砥石22と同様に、θ3とθ4との関係は、θ3>θ4となっている。
即ち、ワーク10のチャンファーを研削する場合、ワーク10の外周13の粗削りを行うときは、チャンファーと凹部86の第2の砥石部86bおよび第3の砥石部86cとが浅い角度で接触して研削を行う。そしてワーク10の外周13の仕上げ削りを行うときは、チャンファーと凹部88の第2の砥石部88bおよび第3の砥石部88cとが粗削りのときより、より深い角度で接触して研削を行う。これにより内周砥石22の場合で説明したのと同様に、研削の際にワーク10のチャンファーにかかる負荷がより緩和されることになり、その結果チッピングを更に抑制することが可能となる。
【0044】
なお、上述した内周砥石22および外周砥石23の場合は、凹部における第1の砥石部と第2の砥石部および第3の砥石部とがなす角度は2種類であったが、更にワーク10のチャンファーにかかる負荷を軽減するため2種類以上としてもよい。この場合は、大きい角度を有する凹部から小さい角度を有する凹部を順に使用して研削を行うことになる。
【0045】
次に、上述した研削装置100を用いて実行される内外周研削処理の流れについて説明する。
図10は、内外周研削工程の処理を示すフローチャートである。ここでは、1枚ごとに行われる研削処理を示しており、この処理が1枚毎に繰り返し行われる。図5〜図7を用いて説明すると、まず、例えばロボット機構(図示せず)等を用いて、ワーク10を第1の保持機構171の先端(ステージ)に置く(ステップ101)。次いで、前述したチャック機構179の動作によってワーク10の開孔12の内周に対して芯出しを行い、吸着ヘッド178によってワーク10を第1の保持機構171の先端(ステージ)に吸着した状態で、第2の保持機構172を移動させ、ワーク10を保持する(ステップ102)。このワーク10の保持では、シリンダ176を動作させ、伝達軸177を介して第2の保持機構172を図のZ軸の下方に移動させることで行われる。
【0046】
その後、内周砥石22と外周砥石23とを図6のZ軸の下方(図7のZ1方向)に移動し、図7に示すように、内周砥石22の粗削り面72をワーク10の開孔12の内周に対峙させ、外周砥石23の粗削り面82をワーク10の外周13に対峙させる(ステップ103)。この工程にて、内周砥石22のZ1方向の移動は、図5に示すサーボモータ138を駆動し、ボールネジ139とスライドレール137とによって内周砥石用テーブル136を移動させることによって行う。このサーボモータ138の回転を制御することによって、内周砥石22の粗削り面72が開孔12の内周を研削できる位置となるように、内周砥石22のZ軸方向の位置を調整する。
【0047】
同様に外周砥石23のZ1方向の移動は、図5に示すサーボモータ158を駆動し、ボールネジ159とスライドレール157とによって外周砥石用テーブル156を移動させることによって行う。このサーボモータ158の回転を制御することによって外周砥石23の粗削り面82が外周13を研削できる位置となるように、外周砥石23のZ軸方向の位置を調整する。
尚、例えば粗削り面72,82のZ軸方向の略中央位置がワーク10のZ軸方向の中心位置と一致する等、粗削り面72,82のZ軸方向の位置(上下位置)からワーク10の端面が外れないように、Z軸方向の位置が調整される。
【0048】
そして、内周砥石22をC方向、外周砥石23をA方向に移動させ、内周砥石22および外周砥石23を第1の移動開始位置(図7参照)まで送る(ステップ104)。この第1の移動開始位置は、内周砥石22の外周方向(C方向)への送りと、外周砥石23の内周方向(A方向)への送りを決定するものであり、研削対象であるワーク10の受け入れ寸法精度や研削距離などを考慮して所定の余裕を持った値として決定されている。尚、ステップ103によるZ方向の移動前に予め第1の移動開始位置に設定されている場合には、このステップ104の処理を省略することができる。
【0049】
そして、内周砥石22、外周砥石23、ワーク10を回転させながら、第1の移動開始位置から第1の移動終了位置まで内周砥石22を送り(C方向に内周砥石22を移動させ)、同時に、第1の移動開始位置から第1の移動終了位置まで外周砥石23を送る(A方向に外周砥石23を移動させる)(ステップ105)。尚、このとき、例えばアルカリ溶液からなるクーラント液が研削部分に供給される。このクーラント液は、例えば冷却や装置の錆の防止、ドレス作用(ダイヤモンド砥石のパッド表面を削り落としてパッドの新鮮な面を出す作用)を促すこと等を目的として用いられる。
【0050】
そして、このステップ105の処理により、ワーク10の内周面、外周面、および内周面と外周面のチャンファー12a,12b,13a,13b(図8参照)が粗削りされる。
【0051】
またこのステップ105の処理にて、内周砥石22および外周砥石23の回転は、回転駆動装置135,155によって行われる。また、ワーク10の回転は、駆動源174を介して行われる。これらの回転は、対峙する位置(接触方向)にてそれぞれが反対方向となるように、即ち、ワーク10の回転に対して、開孔12の内周も外周13もアッパーカットとなるような方向にて回転する。ワーク10と外周砥石23とは同方向、ワーク10と内周砥石22とは逆方向に回転する。
【0052】
そして、サーボモータ142を制御して内周砥石22をC方向へ移動し、サーボモータ162を制御して外周砥石23をA方向へ移動させる。そして、内周砥石22および外周砥石23が第1の移動終了位置まで送られた際に、サーボモータ142によるC方向への送り動作、およびサーボモータ162によるA方向への送り動作を終了する。
【0053】
その後、移動終了位置にて送りを停止させ、位置を保持したそのままの状態で、内周砥石22、外周砥石23、およびワーク10を一定時間回転させ、所謂スパークアウトを行う(ステップ106)。この一定時間としては、例えば12〜18秒程度が好ましい。このスパークアウトによって、開孔12の内周や外周13の周面表面を滑らかに仕上げることができる。このスパークアウトでは、内周砥石22、外周砥石23の回転数は、水平方向へ移動させながらの研削時と同様な回転数である。一方、ワーク10は、例えば24rpm程度まで等、負荷が掛からなくなる分だけ回転数を高くして、スパークアウトの処理速度を速めている。
【0054】
以上によって、粗削り面72,82を用いた粗削り研削である第1段階が終了し、砥石をワーク10から離間させる。即ち、サーボモータ142を制御して内周砥石22をD方向、サーボモータ162を制御して外周砥石23をB方向に移動する(ステップ107)。次いで、サーボモータ138,158を制御して内周砥石22および外周砥石23を図の下方であるZ1方向に移動し、仕上げ削り面74,84を開孔12の内周および外周13に対峙させる(ステップ108)。その後、サーボモータ142,162を制御して内周砥石22をC方向、外周砥石23をA方向に移動して、それぞれの第2の移動開始位置まで共に送る(ステップ109)。この図7に示す例では、第1の移動終了位置と第2の移動開始位置とが共に同じ位置となっている。尚、このときに、既に内周砥石22および外周砥石23を回転させていることが好ましい。
【0055】
そして、内周砥石22、外周砥石23、ワーク10を回転させながら、第2の移動開始位置から第2の移動終了位置まで内周砥石22を送り(C方向に内周砥石22を移動させ)、第2の移動開始位置から第2の移動終了位置まで外周砥石23を送る(A方向に外周砥石23を移動させる)(ステップ110)。そして、内周砥石22および外周砥石23が第2の移動終了位置まで送られた際に、サーボモータ142によるC方向への送り動作、およびサーボモータ162によるA方向への送り動作を終了する。
【0056】
そして、このステップ110の処理により、ワーク10の内周面、外周面、および内周面と外周面のチャンファー12a,12b,13a,13b(図8参照)が仕上げ削りされる。
【0057】
その後、第2の移動終了位置にて送りを停止させ、位置を保持したそのままの状態で、内周砥石22、外周砥石23、およびワーク10を一定時間回転させ、所謂スパークアウトを行う(ステップ111)。これによって、仕上げ削り面74,85による仕上げ削り研削である第2段階を終了する。このスパークアウトを行う一定時間は、例えば12〜18秒程度である。このスパークアウトでは、内周砥石22、外周砥石23の回転数は、C方向、A方向へ移動させながらの研削時と同様な回転数で行っても良い。一方、ワーク10は、例えば負荷がかからなくなる分だけ回転数を高くし(例えば24rpm程度)、スパークアウトの処理速度を速めることができる。これらの条件は、粗削り研削を行った第1段階と同様である。
【0058】
その後、離間方向、即ち内周砥石22をD方向、外周砥石23をB方向に移動し、内周砥石22および外周砥石23をZ2方向(図7の上方向)に移動させ(ステップ112)て、内周砥石22および外周砥石23をワーク10の設置位置から待避させる。そして、第2の保持機構172(図6参照)を図6のZ方向に移動してワーク10に対する押圧を解除し、例えば自動ロボット(図示せず)によってワーク10を取り除いて(ステップ113)、内外周研削工程を終了する。
【0059】
そして、図8に示すように、内周砥石22の粗削り面72と仕上げ削り面74とに、また、外周砥石23の粗削り面82と仕上げ削り面84とに、それぞれ複数(図8に示す例では5つ)の凹部76,78,86,88が、それぞれ設けられている。これによって、例えば研削加工により一つの凹部76,78,86,88が摩耗した場合でも、Z1方向またはZ2方向にシフトして摩耗していない他の凹部76,78,86,88を使用することで、砥石の有効利用と連続加工を実現している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1−1】(a)〜(d)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【図1−2】(e)〜(h)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【図2】ラッピングマシンの構造を説明した図である。
【図3】キャリアを更に詳しく説明した図である。
【図4】内周研磨工程において使用するブラシの一例を示した図である。
【図5】内外周研削工程にて用いられる研削装置の全体構成を示した図である。
【図6】ワークを研削する研削装置の研削機構部分を拡大して示した図である。
【図7】ワークと内周砥石および外周砥石との関係を平面軸上に表現した図である。
【図8】内周砥石および外周砥石の回転中心部を通る平面で切断した場合の断面図である。
【図9】図8に示した凹部を更に詳しく説明するための図である。
【図10】内外周研削工程の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
10…ワーク、11…表面、12…開孔、13…外周、12a,12b,13a,13b…チャンファー(面取り部)、22…内周砥石、23…外周砥石、72,82…粗削り面(粗削り部)、74,84…仕上げ削り面(仕上げ削り部)、76,78,86,88…凹部、76a,78a,86a,88a…第1の砥石部、76b,78b,86b,88b…第2の砥石部、76c,78c,86c,88c…第3の砥石部、76d,78d,86d,88d…凹状部、100…研削装置、130…内周研削機構、150…外周研削機構、170…基板保持・回転機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録媒体用円盤状基板の内周面および/または外周面を砥石を用いて研削する研削装置であって、
前記砥石は、周面を研削する第1の砥石部と、当該第1の砥石部の上下に連続して設けられチャンファーを研削する第2および第3の砥石部とからなる凹部を有し、
前記第2および第3の砥石部は凹状となされていることを特徴とする磁気記録媒体用円盤状基板の研削装置。
【請求項2】
前記凹部は、当該砥石の回転軸方向に更に複数配列し、
前記第1の砥石部と前記第2の砥石部および前記第3の砥石部とがなす角度が、前記凹部毎に少なくとも2種類あることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用円盤状基板の研削装置。
【請求項3】
円盤状基板の製造方法であって、
周面を研削する第1の砥石部と、当該第1の砥石部の上下に連続して設けられ面取り部を研削する第2および第3の砥石部からなる凹部を有し、当該第2および第3の砥石部が凹状となされている砥石により前記円盤状基板の内周面および/または外周面を研削する工程を有することを特徴とする円盤状基板の製造方法。
【請求項4】
前記凹部は、当該砥石の回転軸方向に更に複数配列し、
前記第1の砥石部と前記第2の砥石部および前記第3の砥石部とがなす角度が、前記凹部毎に少なくとも2種類あり、
大きい角度を有する凹部から小さい角度を有する凹部を順に使用して研削を行うことを特徴とする請求項3に記載の円盤状基板の製造方法。
【請求項5】
前記円盤状基板の内周面の研削と外周面の研削は、同時期に行われることを特徴とする請求項3または4に記載の円盤状基板の製造方法。
【請求項6】
円盤状基板の内周面および/または外周面を研削する砥石であって、
周面を研削する第1の砥石部と、当該第1の砥石部の上下に連続して設けられ面取り部を研削する第2および第3の砥石部とから形成される凹部を回転軸方向に複数有し、
前記第2および第3の砥石部は凹状となされ、
前記第1の砥石部と前記第2の砥石部および前記第3の砥石部とがなす角度が、前記凹部毎に少なくとも2種類あることを特徴とする円盤状基板の研削用砥石。


【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−211882(P2010−211882A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58291(P2009−58291)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】