説明

磁界計測用素子、磁界領域計測装置および磁界領域計測方法

【課題】磁気ライト素子による磁界領域幅(実効コア幅)を精度良く且つ、高速に計測することができる磁界計測用素子、磁界領域計測装置および磁界領域計測方法を提供する。
【解決手段】磁界計測センサ1は、既存の磁気ライト素子を形成する磁気ヨーク10と、当該磁気ヨーク10の浮上面側に積層されるとともに、当該磁気ヨーク10との間で閉磁路を形成する軟磁性薄膜体40と、軟磁性薄膜体40の近傍に設けられ、当該軟磁性薄膜体40に対して、所定の飽和磁束を発生する磁束発生コイル50と、計測対象の磁気ライト素子2から出力される漏れ磁界領域を検出する磁界領域検出用の磁界検出コイル30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置に用いられる磁気ヘッド(磁気ライト素子)の特性を評価するセンサとして使用される磁界計測用素子、磁界領域計測装置および磁界領域計測方法に関し、特に、磁気記録媒体へのデータの書き込み時に発生する磁気ライト磁界の発生領域の大きさ(磁気ヘッド素子のライト磁界範囲)を正確に計測することができる磁界計測用素子、磁界領域計測装置および磁界領域計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、磁気ディスク装置に用いられる磁気ヘッドの製造工程では、この磁気ヘッドの特性を評価する一連の特性評価試験が行なわれている。そして、近年の磁気ディスクにおいては、記録密度の向上のために磁気ヘッドにより高密度でデータを書き込むことが必要であり、そのためには磁気ライト素子によるライト磁界範囲も小さくなくてはならない。したがって、特性評価試験のなかでも磁気ライト素子で発生するライト磁界範囲の計測は重要な評価項目となっている。
【0003】
この場合の特性評価試験では、磁気ヘッド素子をサスペンションに搭載した状態で、試験装置を用いて、磁気ディスク媒体にデータトラックを書き込み、そのトラック幅を計測することで、ライト磁界領域を評価する方法が採用されている。具体的に説明すると、この特性評価試験では、計測対象となる磁気ライト素子自身で信号を磁気ディスク媒体に書き、この磁気ライト素子自身で信号を読み取り、その読み取り信号により磁気ヘッド(磁気ライト素子)の特性を評価することとなる。
【0004】
この種のライト磁界領域を計測するセンサとして、特許文献1には、磁気ヘッドの磁気分布強度を計測するために、ライト磁界を軟磁性層に転写して磁気光学効果による測定系を用いて磁界分布を測定するものについて開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、2層の磁性薄膜層が2カ所で接触して閉磁路を形成することで、薄膜形成平面に対して垂直方向の磁界を検出する薄膜型磁気センサについて開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開昭61−286763号公報
【特許文献2】特開平7−174835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述したように、従来では、磁気記録媒体にデータトラックを書き込み、そのトラック幅をリード素子によりリードすることで、ライト磁界領域を計測するものであるが、この場合の計測データは、データを書き込む磁気記録媒体やリード素子の特性(製品自体の良否)に影響されるため必ずしも正確なデータが得られるとは言えない。
【0008】
また、前述したように、磁気ライト素子の特性試験は、磁気ヘッド素子をサスペンションに搭載した(最終工程時の浮上面加工を施したHGA形状)、製造工程の最終段階で行なうため、不良素子が多くなると製造コストなどが無駄になってしまうという問題がある。
【0009】
また、特性試験以外の方法により磁気ライト磁界の範囲(ライト幅)を計測するためには、何らかの磁界センサ等でライト素子からの磁界範囲を計測する必要があるが、近年の磁気ディスクの高密度化に伴い、ライト磁界範囲も微小領域となっているため、その計測自体が容易ではなく、さらに、計測用のセンサとしては、小さな磁気センサも限られてくる。さらに、計測の分解能を上げるためには、さらに微小な精度での制御が要求されるため、結果として計測時間が長くなるという問題がある。
【0010】
また、前述した特許文献1の場合には、高密度化を実現するために近年の磁気ヘッドは微細化が進んでいるため、ライト磁界を軟磁性層に転写しただけでは磁気光学効果を用いた測定系では測定できないうえ、軟磁性層や磁気記録媒体などに転写する方法は、その転写媒体特性によって、記録領域の大きさが変動する恐れがあるという問題がある。
【0011】
また、前述した特許文献2の場合には、2層の磁性薄膜層が2カ所で接触して閉磁路を形成することで、この閉磁路の形成面に平行な磁界を検出することができるが、この場合には、磁界領域の大きさ(漏れ磁界の範囲)を計測するものではなく、単に磁界の大小を計測するだけであるため、磁気ライト素子の漏れ磁界を正確に計測することはできないという問題がある。
【0012】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、磁気ライト素子のライト磁界の漏れ範囲を精度良く且つ、短時間で計測することが可能となる磁界計測用素子、磁界領域計測装置および磁界領域計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示の磁界計測用素子は、磁気ライト素子のライト磁極と同様に生成され、計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる磁気ヨークと、磁気ヨークの浮上面側に積層され、当該磁気ヨークとともに閉磁路を形成する軟磁性薄膜体と、軟磁性薄膜体の近傍に配置され、閉磁路に対して所定の磁束を発生させる磁束発生手段と、閉磁路に発生した磁束を検出する磁束検出用コイルとを備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0014】
開示の磁界計測用素子は、磁気ヨークの浮上面側に積層した軟磁性薄膜体の近傍に設けた磁束発生手段により磁束を発生させ、磁界計測用素子の磁気ヨークと軟磁性薄膜体とで形成される閉磁路(磁気回路)に所定の磁束を生成し、磁気ヨークにより計測対象の磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れ、磁束検出用コイルにより磁気ヨークと軟磁性薄膜体との閉磁路に発生した磁束(磁束密度)の変化量を、磁気ライト素子による電圧量の変化として検出するので、磁気ライト素子のライト磁界の微小なライト磁界範囲(漏れ範囲)を精度良く且つ、短時間で計測することが可能となり、しかも、製造工程の上流におけるライト素子特性の評価が可能となるため、製造コストの削減を実現することができる。
【0015】
また、磁気ヘッドのライト素子の製造プロセスと同等なプロセスで作製したコアと磁性薄膜を用いて磁気回路を構成することができるため、ライト磁極と同等な磁束検出面を得ることができ、これによって、ライト磁界のような微小な領域を正確に計測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る磁界計測センサの好適な実施例1を詳細に説明する。ここで、本実施例1の磁界計測センサは、記憶媒体として磁気ディスク、記憶装置として、磁気ディスク装置を対象とし、この磁気ディスク装置に備えた磁気ヘッドの磁気ライト素子(ライトヘッド)への適用例を示す。なお、本実施例1によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
[磁界計測センサ1の概要および構成]
先ず、図1〜図4を用いて、本実施例1に係る磁界計測センサ1の概要および全体構成について説明する。ここで、図1は、実施例1に係る磁界計測センサ1の概要および全体構成を示す斜視図である。また、図2は、磁界計測センサ1の全体構成を示す側面図である。また、図3は、磁界計測センサ1と軟磁性薄膜体40との接合状態を、図4は、軟磁性薄膜体40の平面図をそれぞれ示す図である。
【0018】
ここで、本実施例1では、計測対象の磁気ライト素子2は所謂、垂直磁気記録用のライトヘッドを想定して説明する。また、磁界計測センサ1の磁気ヨーク10は、この磁気ヨーク10の浮上面(図3)で漏れ磁界を発生させる目的でコ字型に形成されている。なお、この磁界計測センサ1は、既存の磁気ヘッドの磁気ライト素子を流用して製造することが可能であり、また、磁気ライト素子の製造プロセスを用いて構築することが可能である。
【0019】
[磁界計測センサ1の概要]
先ず、図1〜図4を用いて、本実施例1に係る磁界計測センサ1の詳細について説明する。本実施例1の磁界計測センサ1では、磁界計測センサ1として、フラックスゲート型センサを利用するとともに、磁界切り出し法を採用したものである。
【0020】
すなわち、図1および図2に示すように、本実施例1に係る磁界計測センサ1は、概略的に既存の磁気ヘッドを形成する磁気ライト素子(磁気ヨーク10)に設けたコイルを磁界検出用(漏れ磁束)の磁界検出コイル30とするとともに、磁束生成用の磁束発生コイル50と軟磁性薄膜体40とにより磁気回路を形成している。
【0021】
そして、磁束発生コイル50により磁束を生成させ、この磁界計測センサ1に近接させた計測対象である磁気ライト素子2から出力される磁界(磁束)を切り出すことにより、この計測対象の磁気ライト素子2による漏れ磁界領域を計測するようにしている。
【0022】
ここで、本実施例1では、磁気センサとして、通常の磁気ヘッドに使用されているライトヘッド素子(磁気ライト素子2)を用いている。そして、このように、既存のライトヘッド素子を用いることによって、容易に磁気センサを構築することが可能となる。
【0023】
概略的に説明すると、磁界計測センサ1の磁気ヨーク10と軟磁性薄膜体40とにより磁気回路を構成し、磁気ヨーク10の一端面13(図1、2の外部磁界検出面P)で、計測対象となる磁気ライト素子2を走査させた時に磁気回路に流れる磁束の変化から実効コア幅T(図5)を算出することで、磁気ヘッドの磁気ライト素子2による微小な漏れ磁界領域を計測することとしている。これにより、磁気ヘッドの磁気ライト素子2により磁気ディスク媒体に対する書き込み時の実効コア幅Tを計測することができる。
【0024】
すなわち、図1および図2に示すように、磁界計測センサ1は、全体がコ字型に形成されるとともに、一対のヨーク部11と本体ヨーク12とを有する磁気ヨーク10と、この磁気ヨーク10の本体ヨーク12に巻回された磁界検出コイル30とを備えている。
【0025】
また、この磁界計測センサ1は、磁気ヨーク10の浮上面(図3)に対して接合された軟磁性薄膜体40と、この軟磁性薄膜体40の内側(図2、3の右側)に配置した飽和磁束を発生させる磁束発生コイル50とをそれぞれ順に積層した状態で接合固定している。そして、磁気ヨーク10と軟磁性薄膜体40とにより所謂、磁気回路を構成している。
【0026】
磁束発生コイル50の駆動により、この磁束発生コイル50と軟磁性薄膜体40との周囲に磁界が発生し、これにより、磁界計測センサ1の磁気ヨーク10に所定の磁束が生成される。
【0027】
一方、磁気ライト素子2は、全体がコ字型に形成されるとともに、一対のヨーク部21と本体ヨーク22とを有する磁気ヨーク20と、この磁気ヨーク20の本体ヨーク22に巻回された磁界発生コイル23とを備えている。
【0028】
そして、この磁気ライト素子2の磁気ヨーク20の一端面(図2の左側)から所定の磁界が出力され、この磁界(漏れ磁界領域)が磁界計測センサ1により検出されることとなる。なお、この磁気ライト素子2の磁気ヨーク20の幅は、磁界計測センサ1の磁気ヨーク10の幅寸法Tとほぼ同寸法である幅寸法Tに設定されている。
【0029】
ここで、軟磁性薄膜体40(図4)は、全体が薄肉で四角形状の本体部41と、この本体部41のほぼ中央部から一端側(図4の上側)に向けて長尺状に延出された延出部42とを備えている。
【0030】
この延出部42の先端部43は、磁気ヨーク10のヨーク部11の一端面(図2の上側)と当接された状態で接合固定されている。軟磁性薄膜体40の延出部42の先端部43の幅寸法Tは、磁気ヨーク10のヨーク部11の一端面(図2の右側)と同じ幅(幅寸法T)で接合することとなる。
【0031】
そして、前述したように、この軟磁性薄膜体40の本体部41の内方(図3の左側)に飽和磁界を発生させるための飽和磁束発生用の磁気発生コイル50が配置されている。このように、軟磁性薄膜体40の延出部42の先端部43の幅寸法Tは、計測対象の磁気ライト素子2を走査した際に、入射磁束の切り出し精度を向上させるべく磁界計測センサ1の磁気ヨーク10の外部磁界検出面Pと同寸法(幅寸法T)としている。なお、本実施例1において、軟磁性薄膜体40の延出部42の先端部43の幅は、幅寸法Tとしているが、本体部41の幅寸法は任意の幅寸法でよい。
【0032】
そして、この軟磁性薄膜体40と磁束発生コイル50との接合は、半導体の製造プロセスなどを使用したスパッタリングや蒸着接合により行なうことができる。この場合、磁界計測センサ1に形成された磁気ヨーク10の一端面(図2、3の上部右側)に対して、軟磁性薄膜体40に形成された延出部42の先端部43が合わされた状態で接合されている。
【0033】
ここで、軟磁性薄膜体40の延出部42の先端部43は、計測対象の磁気ライト素子2から出力される漏れ磁界領域の外部磁界検出面P(図1の斜線部分)となる。
【0034】
すなわち、磁界計測センサ1は、磁気ライト素子2から入力される漏れ磁界による磁束の大きさ(量)に応じて、磁気ヨーク10内の磁束の変化量(磁束密度の変化)を信号量として取得することができる。具体的に説明すると、外部磁界検出面Pにおいて被計測対象である微小漏れ磁界を伴う磁気ライト素子2を走査することで磁界計測センサ1の磁気ヨーク10と軟磁性薄膜体40とにより形成された磁気回路に流れ込む磁束を切り出すことができる。
【0035】
つまり、この外部磁界検出面Pに対し被計測対象の漏洩磁界発生領域から漏洩する磁束を入射し、飽和磁束発生コイルに印加したパルス電流波形とライト磁界発生コイルを信号検出コイル(磁界検出コイル30)として動作させることで出力されるパルス信号波形とのタイミング差によって入射した磁束の大きさを計測することができる。
【0036】
上述したように、本実施例1の磁界計測センサ1は、計測対象の磁気ライト素子2を磁界計測センサ1の磁気ヨーク10の一端面(図1の上面側)に対して近接させた状態でスキャン移動させることにより、この近接させた磁気ライト素子2の一端面から出力される漏れ領域幅を検出することができる。
【0037】
すなわち、本実施例1では、磁気ライト素子2の漏れ磁界の領域の大きさを計測する場合に、磁気ヨーク10の一端面(図1の左側)に設けられた外部磁界検出面Pの上を微細に走査しながら漏れ磁界を計測することとなる。つまり、磁気ライト素子2から出力される漏れ磁界を微細に切り出しながら計測していることになる。
【0038】
具体的に説明すると、磁界計測センサ1の磁気ヨーク10(ヨーク部11)と軟磁性薄膜体40との間に配置された磁束発生コイル50から所定の飽和磁束が発生すると、軟磁性薄膜体40と磁気ヨーク10との間で磁気回路が形成される。
【0039】
ここで、前述したように、軟磁性薄膜体40の延出部41の先端部43の幅寸法Tは、外部磁界検出面P(幅寸法T)とほぼ同じ幅寸法としているので、計測対象である磁気ライト素子2を外部磁界検出面Pに対向させた状態で走査した場合の磁界範囲の計測精度を向上させることができる。
【0040】
図5および図6は、磁気ライト素子の走査量に対応する検出信号量をそれぞれ示す線図である。このうち、図5は、磁界計測センサ1の幅寸法が計測対象の磁気ライト素子の幅寸法(漏れ磁界幅)よりも小さい(或いは同一)場合の線図を示している(センサ幅≦計測対象の磁気ライト素子の幅)。
【0041】
また、図6は、磁界計測センサ1の幅寸法が計測対象の磁気ライト素子の幅寸法(漏れ磁界幅)より大きい場合の線図を示している(センサ幅>磁気ライト素子の幅)。
【0042】
ここで、図5および図6の線図において、縦軸は、検出された信号量(信号の大きさ)を、横軸は、領域幅(磁気ライト素子2のスキャン移動量)をそれぞれ示している。すなわち、飽和磁界の発生するパルスタイミングと検出信号の飽和タイミングのズレ量を計測対象の磁気ライト素子2の走査位置に対する関数としてプロットした線図である。
【0043】
図5および図6に示すように、磁界計測センサ1の磁気ヨーク10に形成された外部磁界検出面P(図1)に計測対象の磁気ライト素子2を、離隔した位置から近接させX方向(図1)にスキャン移動させると、磁気ライト素子2の一端面が外部磁界検出面Pに近づくに従って、徐々に漏れ磁界幅の検出量が増大することとなる。
【0044】
同図に示すように、計測対象の磁気ライト素子2のスキャン走査により磁界計測センサ1の外部磁界検出面Pと計測対象の磁気ライト素子2とが対向した時に磁束量が最大となる。
【0045】
すなわち、図5に示すように、磁界計測センサ1の幅寸法が計測対象の磁気ライト素子2の幅寸法よりも小さい場合には、磁気ライト素子の実効コア幅Tは、信号プロファイルの半値幅となる。具体的に説明すると、最大振幅(ピーク検出量)の1/2の位置の幅が、漏れ磁界領域の幅と等価となるため、この半値幅が磁気ライト素子2の実効コア幅Tとなる。
【0046】
一方、図6に示すように、磁界計測センサ1の幅寸法が計測対象の磁気ライト素子の幅寸法(漏れ磁界幅)より大きい(或いは同一)場合には、最大振幅(ピーク検出量)の半分の値に対応する半値幅が磁界計測センサ1の磁界領域幅となる。また、この半値幅と交差する接線とベースラインの交点の距離が、漏れ磁界領域の1/2と等価の値となる。このため、この場合の磁気ライト素子2による実効コア幅Tの算出は、プロファイルの両側で求めた値(1/2領域幅)を加算して算出した値が漏れ磁界領域の幅として算出することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施例1における磁界計測センサ1は、磁気ライト素子を形成する磁気ヨーク10と、当該磁気ヨーク10の浮上面側に積層されるとともに、当該磁気ヨーク10との間で閉磁路を形成する軟磁性薄膜体40と、軟磁性薄膜体40の近傍に設けられ、当該軟磁性薄膜体40に対して、所定の(飽和)磁束を発生する(飽和)磁束発生コイル50と、計測対象の磁気ライト素子2から出力される漏れ磁界領域信号を検出する漏れ磁界検出用の検出コイル30とを備えるので、磁気記録媒体にデータを書き込んだ時に発生する磁気ライト素子2によるライト磁界の発生領域の大きさを正確に計測し評価することができる。
【0048】
また、磁気ライト素子のライト磁界の微小なライト磁界範囲(漏れ範囲)を精度良く且つ、高速に計測することが可能となり、しかも、製造工程の上流におけるライト素子特性の評価が可能であり、不良ヘッド素子が製造工程の途中で発生することがないため、これによって、製造コストの削減を図ることができる。
【0049】
また、垂直磁気記録用のライトヘッドである計測対象の磁気ライト素子の微細領域から漏洩しているライト磁界を直接計測することができる。磁気記録媒体にデータを書き込んだ時に発生するライト磁界の発生領域の大きさを精度良く計測できるとともに、微少な磁気ライト素子による磁界領域幅(実効コア幅)を精度良く且つ、高速に計測することができる。
【実施例2】
【0050】
次に、本発明の本実施例2に係る磁界計測センサ1Aついて説明する。図7は、実施例2に係る磁界計測センサ1Aの概要および全体構成を示す斜視図である。
【0051】
ここで、前述した実施例1では、磁界計測センサ1の磁気ヨーク10の浮上面と軟磁性薄膜体40との間に飽和磁束発生用の磁束発生コイル50(図1)を設ける構成としているが、本実施例2では、磁気回路中の磁束の生成は外部から与えることもできるとの着想から軟磁性薄膜体40の外部の外部磁束発生機構(磁束発生コイル51)から飽和磁束を磁気回路に発生させるものである。
【0052】
すなわち、図7に示すように、本実施例2の磁界計測センサ1Aは、磁気ヨーク10に対する飽和磁束発生用の磁束発生コイル51を磁界計測センサ1Aおよび軟磁性薄膜体40の外部に配置し、磁気回路の外部から飽和磁束を磁気回路に発生させる構成としている。このような磁界計測センサ1Aの場合、前述した実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】
また、本実施例2の磁界計測センサ1Aによれば、外部から飽和磁束を磁気回路に発生させることができるので、より単純なセンサ構成を実現することが可能となるため、製造工程の削減によりコスト低減を図ることができる。
【0054】
図8は、軟磁性薄膜体40aの別例を示している。ここで、前述した軟磁性薄膜体40(図4)では、長尺状に形成された延出部42の幅寸法は、一定であり磁界計測センサ1の磁気ヨーク10の幅寸法Tと、同一寸法である幅寸法Tとしているが、本例の軟磁性薄膜体40aでは、この軟磁性薄膜体40aの本体部41から延出された延出部42の一部に凸部44を形成し、延出部42の一部を細板部45として形成している。
【0055】
すなわち、同図に示すように、軟磁性薄膜体40aの延出部42の一部の幅寸法を狭くすることで、飽和磁束の大きさを制御する作用効果を備えることができる。具体的に説明すると、計測対象の磁気ライト素子2による漏れ磁界の大きさに応じて、軟磁性薄膜体40aの延出部42を部分的に狭くすることによって容易に飽和磁束密度を小さくすることが可能となる。
【0056】
そして、これによって、磁気ライト素子2の特性に応じて、感度を調整することができる。また、計測対象の磁気ライト素子2から発生する磁束密度が小さい場合であっても、最適な計測感度を得られる磁気センサを容易に得ることが可能となるうえ、磁界の切り出し分解能を向上(磁界検出精度の向上)させるとともに、結果として幅広い計測感度を備えることが可能となる。すなわち、計測対象である磁気ライト素子が生じる磁界の強さが異なる場合でも計測精度の低下を防止することが可能となる。
【0057】
実際には、磁気ライト素子2の特性に応じて、軟磁性薄膜体40aの延出部42の一部の幅寸法を調整した磁界計測センサを適宜用意することにより、容易に磁界検出精度の向上を図ることができる。
【0058】
[磁界領域計測装置60の全体構成]
図9は、本発明の実施例1に係る磁界計測センサ1を用いた磁界領域計測装置60の全体構成を示すブロック図である。
【0059】
図9に示すように、磁界領域計測装置60は、XYステージ62およびZステージ63を有するステージ駆動機構部61と、磁気ライト素子駆動回路64と、ステージコントローラ65と、センサ駆動回路66と、信号処理回路67と、制御計算部68と、表示部70とを備えている。
【0060】
ステージ駆動機構部61は、計測対象となる磁気ライト素子2をXY方向(左右、上下方向)およびZ方向(前後方向)に動かすためのXYステージ62およびZステージ63とを備えている。具体的には、XYステージ62およびZステージ63を駆動させることにより、磁界計測センサ1の磁気ヨーク10(図2)の一端面に設けられた外部磁界検出面Pに対して、計測対象の磁気ライト素子2を所定の方向(XY方向およびZ方向)に対して微細にスキャン走査させることができる。
【0061】
磁気ライト素子駆動回路64は、計測対象の磁気ライト素子2を駆動する回路部である。具体的には、この計測対象となる磁気ライト素子2の磁界発生コイル23(図2)に低周波或いは、高周波を印加することにより、磁気ライト素子2の磁気ヨーク20の外部磁界検出面P(図2)に漏れ磁界を出力させる回路部である。すなわち、この磁気ライト素子駆動回路64の駆動により磁気ライト素子2の一端面(図2)から所定の漏れ磁界が出力されることとなる。
【0062】
ステージコントローラ65は、ステージ駆動機構部61のXYステージ62およびZステージ63による移動方向および移動量をコントロールする制御部である。このステージコントローラ65によりXYステージ62およびZステージ63の移動方向および移動量が制御される。ステージコントローラ65により制御されたXYステージ62およびZステージ63の移動方向および移動量データは制御計算部68に送信される。
【0063】
センサ駆動回路66は、磁界計測センサ1を駆動する回路部である。具体的には飽和磁束発生用の磁束発生コイル50の駆動により発生させた磁束により駆動を行なう回路である。
【0064】
信号処理回路67は、磁界計測センサ1に備えた磁界検出コイル30から検出された電圧を処理する回路である。具体的には、磁束発生コイル50により生成された磁気回路による磁界と、磁気ライト素子2から出力された磁界とに基づいて、磁界計測センサ1内で構成された磁気回路の磁束変化を電気的な信号として抽出する回路部であり、磁界計測センサ1の外部磁界検出面Pに対する計測対象の磁気ライト素子2の走査に伴って変化する磁束の変化量(電圧の値)が検出される。
【0065】
制御計算部68は、磁界領域計測装置60の全体制御を行なう処理部である。また、制御計算部68は、実効コア幅算出部69を備えており、この実効コア幅算出部69により信号処理回路67から送信された出力信号と、ステージコントローラ65から送出された出力信号とを用いて、計測対象の磁気ライト素子2による磁界の強さを算出することができる。
【0066】
具体的に説明すると、実効コア幅算出部69は、ステージ駆動機構部61により移動した磁気ライト素子2による移動距離と信号処理回路67により検出された磁界の強さとに基づく計測結果から磁気ライト素子2による漏れ磁界の範囲(実効コア幅T)を算出することができる。
【0067】
表示部70は、表示パネルなどの表示装置(ディスプレイパネル)であり、制御計算部68の実効コア幅算出部69により算出された計測対象の磁気ライト素子2から出力される漏れ磁界領域(実効コア幅T)をデータとして表示する。
【0068】
[実効コア幅算出処理手順のフローチャート]
次に、磁気ライト素子の実効コア幅を算出する手順の詳細について説明する。図10は、磁界計測センサ1による実効コア幅算出手順のフローチャートを示している。ここで、この図10のフローチャートは、磁界領域計測装置60(図9)の制御計算部68で行なわれる実効コア幅算出処理の一例を示している。
【0069】
同図に示すように、先ず、計測対象の磁気ライト素子2をステージ駆動機構部61(図9)の所定位置(上面部)に配置(セット)する(ステップS1)。
【0070】
次に、計測対象の磁気ライト素子2の駆動を開始する(ステップS2)。具体的には、磁気ライト素子2の磁界発生コイル23(図2)に低周波数(高周波数)を印加させることで磁束を発生させ磁気ライト素子2を駆動する。
【0071】
次に、磁界計測センサ1の駆動を開始する(ステップS3)。具体的には、飽和磁気発生用の磁束発生コイル50により磁束を発生させ、磁界計測センサ1を駆動する。これにより、磁界計測センサ1の磁気ヨーク10と軟磁性薄膜体40と間で所定の磁気回路が形成される。
【0072】
次に、磁気ライト素子2のスキャン走査を開始する(ステップS4)。具体的には、ステージ駆動機構部61のX、Yステージ62(Zステージ63)を作動させ、磁気ライト素子2を外部磁界検出面P(図1)と対向する所定の方向(X方向、Y方向、Z方向)にスキャン移動させる。
【0073】
この磁気ライト素子2のスキャン移動に伴い磁気回路内での磁束の変化量が磁界検出コイル30(図1)により検出される。
【0074】
次に、磁界計測センサ1の外部磁界検出面Pに対する磁気ライト素子2のスキャン走査が終了したならば(ステップS5肯定)、この磁気ライト素子2のスキャン移動に伴って検出された磁気ライト素子2の漏れ磁界領域を検出する(ステップS6)。
【0075】
次に、磁気ライト素子2の駆動を終了し(ステップS7)、続いて、磁界計測センサ1の駆動を終了する(ステップS8)。
【0076】
次に、計測対象の磁気ライト素子2による実効コア幅Tを算出する(ステップS9)。この実効コア幅Tの算出は、図5或いは図6のプロットデータに基づいて行なう。そして、最後に、ステップS9により算出された磁界計測センサ1の実効コア幅Tを表示部70(図9)に表示する(ステップS10)。
【0077】
(他の実施例)
さて、これまで本発明の実施例1、2について説明したが、本発明は上述した実施例1、2以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において、種々の異なる実施例にて実施することもできる。
【0078】
すなわち、上記実施例1、2で適用される各処理は、予め用意されたプログラムを、磁気ディスク装置に備えられたMPUなどの処理装置で実行することができる。また、各種プログラムは、予めMPUのROMに記憶させる必要はなく、必要に応じて、可搬型の記憶媒体若しくは、ネットワークを介して接続される外部のコンピュータシステムから読み出して実行されることとしてもよい。
【0079】
また、各処理は、予めROMに記憶されているコードがMPUにより読み出されて実行されるものに限らず、結線論理回路(ワイヤードロジック)で実現されてもよいものである。
【0080】
以上の実施例1、2を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0081】
(付記1)磁気記録媒体に対してデータを書き込む磁気ライト素子からの漏れ磁界領域を計測するために用いられる磁界計測用素子であって、
磁気ライト素子のライト磁極と同様に生成され、前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる磁気ヨークと、
前記磁気ヨークの浮上面側に積層され、当該磁気ヨークとともに閉磁路を形成する軟磁性薄膜体と、
前記軟磁性薄膜体の近傍に配置され、前記閉磁路に対して所定の磁束を発生させる磁束発生手段と、
前記磁気ヨークにコイルとして巻かれ、前記閉磁路に発生した磁束を検出する磁束検出用コイルと、
を備えたことを特徴とする磁界計測用素子。
【0082】
(付記2)前記磁気ヨークの一端面は、前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる外部磁界検出面として機能し、
前記軟磁性薄膜体の一端から延出された延出部の先端部は、当該外部磁界検出面と接合固定され、当該先端部の幅寸法は、前記外部磁界検出面の幅寸法と同様となるように形成されていることを特徴とする付記1に記載の磁界計測用素子。
【0083】
(付記3)前記軟磁性薄膜体の一端から延出された延出部の幅寸法は、前記外部磁界検出面の幅寸法よりも当該延出部の一部で狭くなるように形成されていることを特徴とする付記2に記載の磁界計測用素子。
【0084】
(付記4)前記軟磁性薄膜体の一端から延出された延出部の幅寸法は、前記外部磁界検出面の幅寸法よりも当該延出部の複数の部位が小面積の領域となるように形成されていることを特徴とする付記2に記載の磁界計測用素子。
【0085】
(付記5)前記磁束発生手段は、前記磁束を発生させるためのコイルを、前記磁気ヨークの浮上面と前記軟磁性膜体との間に配置して形成されることを特徴とする付記1〜4の何れか一つに記載の磁界計測用素子。
【0086】
(付記6)前記磁束発生手段は、前記磁束を発生させるためのコイルを、前記磁気ヨークの浮上面に積層された前記軟磁性膜体の外側に配置して形成されることを特徴とする付記1〜4の何れか一つに記載の磁界計測用素子。
【0087】
(付記7)磁気記録媒体に対してデータを書き込む磁気ライト素子からの漏れ磁界領域を計測する磁界領域計測装置であって、
磁気ライト素子のライト磁極と同様に生成され、前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる磁気ヨークと、
前記磁気ヨークの浮上面側に積層され、当該磁気ヨークとともに閉磁路を形成する軟磁性薄膜体と、
前記軟磁性薄膜体の近傍に配置され、前記閉磁路に対して所定の磁束を発生させる磁束発生手段と、
前記磁気ヨークにコイルとして巻かれ、前記閉磁路に発生した磁束を検出する磁束検出用コイルと、
前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる外部磁界検出面として機能する前記磁気ヨークの一端面上で、前記計測対象である磁気ライト素子を走査する走査手段と、
前記走査手段による走査にともなって前記磁束検出用コイルから検出される磁束の変化に基づいて、前記計測対象の磁気ライト素子からの漏れ磁界を算出する磁界算出手段と、
を備えたことを特徴とする磁界領域計測装置。
【0088】
(付記8)磁気ライト素子のライト磁極と同様に生成され、前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる磁気ヨークと、前記磁気ヨークの浮上面側に積層され、当該磁気ヨークとともに閉磁路を形成する軟磁性薄膜体と、前記軟磁性薄膜体の近傍に配置され、前記閉磁路に対して所定の磁束を発生させる磁束発生手段と、前記磁気ヨークにコイルとして巻かれ、前記閉磁路に発生した磁束を検出する磁束検出用コイルとを備えた磁界計測用素子により磁気記録媒体に対してデータを書き込む磁気ライト素子からの漏れ磁界領域を計測する磁界領域計測装置であって、
前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる外部磁界検出面として機能する前記磁気ヨークの一端面上で、前記計測対象である磁気ライト素子を走査する走査手段と、
前記磁界計測用素子に対して、前記磁束発生コイルにより所定の磁束を発生させる磁束発生手段と、
前記計測側の磁気ライト素子から出力される磁束を検出する信号検出手段と、
前記磁束発生手段により発生された磁束と、前記信号検出手段により検出された磁束とにより、前記磁界計測用素子内で生成された磁気回路での磁束変化を電気信号として検出する信号処理手段と、
前記走査手段により移動した前記計測側の磁気ライト素子の移動量と前記信号処理手段とにより検出した電気信号とに基づいて、前記計測側の磁気ライト素子による磁界領域の大きさを算出する磁界算出手段と、
を備えたことを特徴とする磁界領域計測装置。
【0089】
(付記9)前記磁界算出手段は、
前記磁気ヨークの幅寸法が、前記計測対象の磁気ライト素子における磁気ヨークの幅寸法よりも小さい場合に、前記磁束検出用コイルから検出された最大検出量の半分の値に対応する走査量を、前記計測対象の磁気ライト素子からの漏れ磁界として算出することを特徴とする付記7または8に記載の磁界領域計測装置。
【0090】
(付記10)前記磁界算出手段は、
前記磁気ヨークの幅寸法が、前記計測対象の磁気ライト素子における磁気ヨークの幅寸法と同寸法或いは大きい幅寸法である場合に、前記磁束検出用コイルから検出された最大検出量の半分の値と接する接線から定まる走査量に対して、前記最大検出量の半分の値に対応する走査量を除いた走査量を、前記計測対象の磁気ライト素子からの漏れ磁界として算出することを特徴とする付記7または8に記載の磁界領域計測装置。
【0091】
(付記11)磁気ライト素子のライト磁極と同様に生成され、前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる磁気ヨークと、前記磁気ヨークの浮上面側に積層され、当該磁気ヨークとともに閉磁路を形成する軟磁性薄膜体と、前記軟磁性薄膜体の近傍に配置され、前記閉磁路に対して所定の磁束を発生させる磁束発生手段と、前記磁気ヨークにコイルとして巻かれ、前記閉磁路に発生した磁束を検出する磁束検出する磁束検出用コイルとを備えた磁界計測用素子により磁気記録媒体に対してデータを書き込む磁気ライト素子からの漏れ磁界領域を計測する磁界領域計測方法であって、
前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる外部磁界検出面として機能する前記磁気ヨークの一端面上で、前記計測対象である磁気ライト素子を走査する走査工程と、
前記走査工程による走査にともなって前記磁束検出用コイルから検出される磁束の変化に基づいて、前記計測対象の磁気ライト素子からの漏れ磁界を算出する磁界算出工程と、
を含むことを特徴とする磁界領域計測方法。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】実施例1に係る磁界計測センサの概要および全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した磁界計測センサの全体構成を示す側面図である。
【図3】磁界計測センサの磁気ヨークと軟磁性薄膜体との結合手順を示す図である。
【図4】軟磁性薄膜体の全体構成を示す平面図である。
【図5】磁気ライト素子の走査量に対応する検出信号量を示す線図である(センサ幅≦磁気ライト素子の幅)。
【図6】磁気ライト素子の走査量に対応する検出信号量を示す線図である(センサ幅>磁気ライト素子の幅)。
【図7】実施例2に係る磁界計測センサの概要および全体構成を説明する斜視図である。
【図8】軟磁性薄膜体の全体構成を示す平面図である。
【図9】磁界領域計測装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】実効コア幅算出手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1、1A 磁界計測センサ
2 磁気ライト素子
10、20 磁気ヨーク
11、21 ヨーク部
12、22 本体ヨーク
23 磁界発生コイル
30 磁界検出コイル
40、40a 軟磁性薄膜体
41 本体部
42 延出部
43 先端部
50、51 磁束発生コイル
60 磁界領域計測装置
61 ステージ駆動機構部
62 XYステージ
63 Zステージ
64 磁気ライト素子駆動回路
65 ステージコントローラ
66 センサ駆動回路
67 信号処理回路
68 制御計算部
69 実効コア幅算出部
70 表示部
P 外部磁界検出面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録媒体に対してデータを書き込む磁気ライト素子からの漏れ磁界領域を計測するために用いられる磁界計測用素子であって、
磁気ライト素子のライト磁極と同様に生成され、前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる磁気ヨークと、
前記磁気ヨークの浮上面側に積層され、当該磁気ヨークとともに閉磁路を形成する軟磁性薄膜体と、
前記軟磁性薄膜体の近傍に配置され、前記閉磁路に対して所定の磁束を発生させる磁束発生手段と、
前記磁気ヨークにコイルとして巻かれ、前記閉磁路に発生した磁束を検出する磁束検出用コイルと、
を備えたことを特徴とする磁界計測用素子。
【請求項2】
前記磁気ヨークの一端面は、前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる外部磁界検出面として機能し、
前記軟磁性薄膜体の一端から延出された延出部の先端部は、当該外部磁界検出面と接合固定され、当該先端部の幅寸法は、前記外部磁界検出面の幅寸法と同様となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁界計測用素子。
【請求項3】
前記軟磁性薄膜体の一端から延出された延出部の幅寸法は、前記外部磁界検出面の幅寸法よりも当該延出部の一部で狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の磁界計測用素子。
【請求項4】
前記磁束発生手段は、前記磁束を発生させるためのコイルを、前記磁気ヨークの浮上面と前記軟磁性膜体との間に配置して形成されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の磁界計測用素子。
【請求項5】
前記磁束発生手段は、前記磁束を発生させるためのコイルを、前記磁気ヨークの浮上面に積層された前記軟磁性膜体の外側に配置して形成されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の磁界計測用素子。
【請求項6】
磁気記録媒体に対してデータを書き込む磁気ライト素子からの漏れ磁界領域を計測する磁界領域計測装置であって、
磁気ライト素子のライト磁極と同様に生成され、前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる磁気ヨークと、
前記磁気ヨークの浮上面側に積層され、当該磁気ヨークとともに閉磁路を形成する軟磁性薄膜体と、
前記軟磁性薄膜体の近傍に配置され、前記閉磁路に対して所定の磁束を発生させる磁束発生手段と、
前記磁気ヨークにコイルとして巻かれ、前記閉磁路に発生した磁束を検出する磁束検出用コイルと、
前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる外部磁界検出面として機能する前記磁気ヨークの一端面上で、前記計測対象である磁気ライト素子を走査する走査手段と、
前記走査手段による走査にともなって前記磁束検出用コイルから検出される磁束の変化に基づいて、前記計測対象の磁気ライト素子からの漏れ磁界を算出する磁界算出手段と、
を備えたことを特徴とする磁界領域計測装置。
【請求項7】
前記磁界算出手段は、
前記磁気ヨークの幅寸法が、前記計測対象の磁気ライト素子における磁気ヨークの幅寸法よりも小さい場合に、前記磁束検出用コイルから検出された最大検出量の半分の値に対応する走査量を、前記計測対象の磁気ライト素子からの漏れ磁界として算出することを特徴とする請求項6に記載の磁界領域計測装置。
【請求項8】
前記磁界算出手段は、
前記磁気ヨークの幅寸法が、前記計測対象の磁気ライト素子における磁気ヨークの幅寸法と同寸法或いは大きい幅寸法である場合に、前記磁束検出用コイルから検出された最大検出量の半分の値と接する接線から定まる走査量に対して、前記最大検出量の半分の値に対応する走査量を除いた走査量を、前記計測対象の磁気ライト素子からの漏れ磁界として算出することを特徴とする請求項6に記載の磁界領域計測装置。
【請求項9】
磁気ライト素子のライト磁極と同様に生成され、前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる磁気ヨークと、前記磁気ヨークの浮上面側に積層され、当該磁気ヨークとともに閉磁路を形成する軟磁性薄膜体と、前記軟磁性薄膜体の近傍に配置され、前記閉磁路に対して所定の磁束を発生させる磁束発生手段と、前記磁気ヨークにコイルとして巻かれ、前記閉磁路に発生した磁束を検出する磁束検出用コイルとを備えた磁界計測用素子により磁気記録媒体に対してデータを書き込む磁気ライト素子からの漏れ磁界領域を計測する磁界領域計測方法であって、
前記計測対象である磁気ライト素子からの漏れ磁界を受け入れる外部磁界検出面として機能する前記磁気ヨークの一端面上で、前記計測対象である磁気ライト素子を走査する走査工程と、
前記走査工程による走査にともなって前記磁束検出用コイルから検出される磁束の変化に基づいて、前記計測対象の磁気ライト素子からの漏れ磁界を算出する磁界算出工程と、
を含むことを特徴とする磁界領域計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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