説明

磁芯及びそれを用いたコイル部品

【課題】大電流領域(高磁界領域)において使用された場合であっても、飽和せずに良好な直流電流重畳特性を示すことのできる磁芯及びそれを用いたコイル部品を提供すること。
【解決手段】磁性体粉末と樹脂との混成物を硬化させることにより磁芯を得る。本発明による磁芯は急激に飽和したりせず且つ1000×10/4π[A/m]を超える磁界であっても良好な直流電流重畳特性を得ることができた。このように、本発明による磁芯は10以上の十分な比透磁率を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁芯及びそれを用いたコイル部品に関し、特に、電気自動車やハイブリッドカーに搭載される蓄電バッテリーのエネルギー制御においてリアクトルとして用いられるコイル部品用磁芯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂と磁性体粉末とからなる磁芯を備えるコイル部品が知られている(特許文献1参照)。特許文献1のコイル部品は、樹脂と磁性体粉末からなる磁芯に加え、フェライト焼結体又は金属磁性体粉末からなる圧粉磁芯を備えている。コイルは圧粉磁芯の周囲に巻回され、それを覆うようにして樹脂と磁性体粉末とからなる磁芯が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−185421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の目的は、各種電子機器の大電流用途に適するインダクタ、チョークコイル、トランス等の磁性素子を提供することであるとされているが、ここで注意すべきこととしては“大電流”という相対的な概念を有する文言が挙げられる。具体的には、特許文献1の0002欄によれば、特許文献1においてターゲットとされていた電流範囲は、数十A〜数百Aに過ぎないことが理解される。また、当業者における常識として、コイル部品は通常ターゲットとする領域内において可能な限り良好な直流電流重畳特性を有するように設計されることが知られている。換言すると、コイル部品は、通常は、使用される電流範囲において可能な限り高い比透磁率を有する一方で、ターゲットとしている電流の領域を超えた場合にはインダクタンスが飽和してしまっても構わないといったスタンスで設計されている。即ち、特許文献1に記載のコイル部品について言えば、数十A〜数百Aの電流値に対しては可能な限り大きなインダクタンスを得るように設計される一方、その範囲を超えた電流値においてはインダクタンスが飽和してしまっても構わないこととされるのが通常の設計手法から予測される事項である。このような設計手法が採用されるのは、ターゲットとしていない電流範囲中におけるインダクタンスまで考慮して設計しようとするとターゲットとしている電流範囲中でもインダクタンスが劣化してしまうことから、それを避けるためである。
【0005】
一方、電気自動車やハイブリッドカーの蓄電バッテリーのエネルギー制御ような大電力システムにおけるコイル部品は例えば200A以上の領域で使用される可能性もある。電流値が一桁違えば、電力値は二桁異なることになることからも理解されるように、特許文献1に記載されていたコイル部品を電気自動車やハイブリッドカーの蓄電バッテリーのエネルギー制御に流用することは不適切であると考えられる。
【0006】
そこで本発明は例えば200A以上の領域において使用された場合であっても、飽和せずに良好な直流電流重畳特性を示すことのできる磁芯及びそれを用いたコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、磁性体粉末と樹脂の混成物を硬化させて得られる磁芯であって、1000×10/4π[A/m]の磁界中にて10以上の比透磁率を有する、ことを特徴とする磁芯が得られる。
【発明の効果】
【0008】
かかる磁芯のゼロ磁界中における比透磁率は、例えば高い周波数で駆動される電子機器などにおいて用いられる小型コイル部品におけるそれと比較すると低いが、磁界が高くなっても直流電流重畳特性は急激には飽和せず、従って当該磁芯の比透磁率は高い磁界中においても比較的大きな値を保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態による磁芯は樹脂と磁性体粉末との混成物からなるものである。詳しくは、混成物による磁芯は、当該混成物を注型してなる注型品である。ここで、高電力用途のコイル部品のようにサイズが大きい場合、特に当該コイル部品が一定以上の高さを有する場合を考慮すると、混成物は溶剤を加えることなく注型できる材料からなることが好ましい。
【0010】
注型は、基本的には無加圧又は減圧で行われる。一旦、注型した後に、圧力を加え、充填率(磁芯80の密度)を向上させることとしても良い。混成物を注型する際の型については特に制限はなく、従って、混成物からなる磁芯の形状としてはあらゆる形状が考えられる。
【0011】
本実施の形態における磁性体粉末は軟磁性粉末、詳しくは、Fe系の軟磁性金属粉末である。更に具体的には、軟磁性金属粉末はFe−Si系粉末、Fe−Si−Al系粉末、Fe−Ni系粉末、及びFe系アモルファス粉末からなる群から選択された粉末である。ここで、Fe−Si系粉末における平均Si含有量は好ましくは0.0重量%以上11.0重量%以下である。また、Fe−Si−Al系粉末における平均Si含有量は好ましくは0.0重量%以上11.0重量%以下であり、平均Al含有量は好ましくは0.0重量%以上7.0重量%以下である。また、Fe−Ni系粉末における平均Ni含有量は好ましくは30.0重量%以上85.0重量%以下である。
【0012】
本実施の形態による磁性体粉末は略球状粉末である。このように略球状の磁性体粉末を用いると、混成物における磁性体粉末の充填率を向上させることができる。かかる略球状の磁性体粉末は、例えばガスアトマイズ法によって得られる。ガスアトマイズ法によれば、磁性体粉末の粒径及び形状はある程度の分布を有することとなるが、目安としては、最も標準的な磁性体粉末の粒径(平均粒径)が500μm以下であることが望ましく、これを超えると十分な歩留まりや特性・性能が得られない。
【0013】
ガスアトマイズ法によれば、上記のような略球状の粉末の他に、非球状の粉末を意図的に形成することもできる。また、水アトマイズ法によれば、不定形の粉末を得ることもできる。本発明においては、当該実施の形態において採用されている略球状の粉末に代えて上記の手法により得られた非球状粉末や不定形粉末、その他の形状の粉末をも使用することができる。略球状以外のの磁性体粉末を採用する理由としては例えばその形状に起因した異方性を利用することが挙げられる。より具体的には、例えば、非球状、扁平状、又は針状の磁性体粉末を樹脂に混成し、その樹脂を硬化させる前に所定の磁界を加えて粉末群の異方性配向を行い、その後に樹脂を硬化させるといった利用法が考えられる。
【0014】
本実施の形態における樹脂はエポキシ樹脂である。本実施の形態においては、エポキシ樹脂に対して液状で低粘度であるといった要求があるため、添加剤、硬化剤、触媒との相溶性、保存安定性も具体的なエポキシ樹脂選定において考慮されるべき重要な特性である。そういったことを考慮すると、主剤としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、多官能型等のエポキシ樹脂を用いるのが好ましく、硬化剤としては芳香族ポリアミン系、カルボン酸無水物系、潜在性硬化剤系のものを用いることが好ましい。本実施例では、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂と無溶剤型低粘度液状芳香族アミンの硬化剤との組合せを使用した。
【0015】
混成物における樹脂は、例えばシリコーン樹脂のような他の熱硬化性樹脂であっても良い。また、化学反応性硬化樹脂、光硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂など他の硬化性樹脂であっても構わない。
【0016】
混成物における樹脂の配合比率は流動性などを考慮して20体積%以上90体積%以下である必要がある。好ましくは、混成物における樹脂の配合比率は40体積%以上70体積%以下である。
【0017】
混成物からなる磁芯の弾性率は3000MPa以上とする。樹脂は、この磁芯の弾性率を実現すべく、混成物を硬化させて磁芯を得る際の条件と同条件にて樹脂を単独で硬化させた場合の当該樹脂の弾性率が100MPa以上となるようにして、選択される。なお、上記の磁芯又は硬化樹脂の弾性率は、JIS−K6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に従って測定される値である。
【0018】
本実施の形態においては、混成物からなる磁芯の弾性率は15000MPaであり、同一の硬化条件の下で硬化した樹脂単独の弾性率は1500MPaである。磁芯の弾性率が15000MPa以上となると熱伝導率がそれ以下の場合と比較して2W/(K・m)以上と良くなる。従って、磁芯の弾性率は好ましくは15000MPa以上であるとする。
【0019】
図1は、Fe−Si系粉末とエポキシ樹脂とを50体積%ずつ混成してなる混成物から得られる磁芯の直流電流重畳特性を示す。図1を参照すれば明らかなように、本実施の形態における混成物からなる磁芯の比透磁率は急激には飽和せず1000×10/4π[A/m]の磁界中においても15以上という比較的高い比透磁率を有している。
【0020】
上記した磁芯は、その比透磁率が1000×10/4π[A/m]の磁界中において10以上である限り、適宜変更可能である。例えば、初期透磁率を若干大きくするために、磁性体粉末の表面に高透磁率薄膜層を形成することとしても良い。ここで、高透磁率薄膜の例としてはFe−Ni系薄膜が挙げられる。また、磁性体粉末による電気的短絡を避けるべく、磁性体粉末を、樹脂と混成する前に、一以上の絶縁層でコーティングすることとしても良い。ここで、磁性体粉末の表面に高透磁率薄膜を形成する場合は、形成された高透磁率薄膜上に絶縁層をコーティングすることとする。更に、より高磁界中で高い比透磁率を確保すべく磁性体粉末及び樹脂の混成物に対して非磁性フィラーを加えることとしても良い。非磁性フィラーとしては、例えば、シリカ粉、アルミナ粉、酸化チタン粉、石英ガラス粉、ジルコニウム粉、炭酸カルシウム粉または水酸化アルミニウム粉を含む無機質材系粉末、ガラス繊維、及び課粒状樹脂からなる群から選択された一の充填材が挙げられる。非磁性フィラーに代えて、透磁率調整用として、中空ガラス球を樹脂に混ぜることととしても良い。また、直流電流重畳特性をより高磁界中まで良好に伸ばすために永久磁石粉末を少量加えて磁芯に磁気バイアスをかけることとしても良い。
【0021】
以下、図2乃至図8を参照して、上述した磁芯を有するコイル部品について説明する。
【0022】
図2に示される第1のコイル部品100は、上述した混成物からなるトロイダル磁芯10と、その磁芯10の周囲に巻回されたコイルとを備えている。
【0023】
図3に示される第2のコイル部品110は、トロイダルコイル部品の変形例の一つである。コイル20は、該コイル20の端部21,22を除き、混成物からなる磁芯10内部に完全に埋設されている。コイル20は、その一部が磁芯10の外部に曝されていても良い。即ち、磁芯10内部にコイル20の一部分のみが埋設されることとしても良い。
【0024】
図4に示される第3のコイル部品120は、トロイダルコイル部品の他の変形例の一つであり、磁芯10及びコイル20に加えて、特定透磁率磁芯部材30を更に備えている。第2のコイル部品110の場合と同様に、コイル20は、端部21,22を除き、混成物からなる磁芯10内部に完全に埋設されている。更に、第3のコイル部品120においては、特定透磁率磁芯部材30も完全に磁芯10の中に埋設されている。詳しくは、コイル20は、磁芯10内部において、特定透磁率磁芯部材30の周囲に巻回されている。特定透磁率磁芯部材30は、コイル20と関連する磁路の一部をなす限り、どこに配置されていても良い。例えば、特定透磁率磁芯部材30は、コイル20の周囲及び/又は空洞部内に配置されることとしても良い。なお、コイルの空洞部は起磁力部分とも呼ばれることがある。
【0025】
好ましくは、特定透磁率磁芯部材30は混成物からなる磁芯10によりコイル20に対して固定されている。また、好ましくは、特定透磁率磁芯部材30は、Fe系アモルファス粉末、又はFe−Si−Al系、Fe−Si系、若しくはFe−Ni系の粉末からなる圧粉磁芯部材であるか、又は、Fe系積層磁芯部材である。
【0026】
図5に示される第4のコイル部品130は、磁芯10の材料よりも磁気抵抗の高い材料からなる高磁気抵抗部材40が磁芯10内に埋設された構造を備えるものである。高磁気抵抗部材40は、コイル20により生じる磁束が高磁気抵抗部材40を通るように、コイル20により形成される磁路に挿入されている。換言すると、高磁気抵抗部材40は、コイル20の起磁力部分に位置するように、磁芯10内部に埋め込まれている。高磁気抵抗部材40の材料の例としては、例えば、混成物に含まれる樹脂と同一の樹脂からなるものが挙げられる。そういった樹脂を用いると、混成物からなる磁芯10と一体化した高磁気抵抗部材40を形成することができる。高磁気抵抗部材40は、例えば、混成物に含まれる樹脂に対して非磁性フィラーを混ぜたもので形成しても良いし、同樹脂に対して所定量(結果として高磁気抵抗部材40の磁気抵抗が磁芯10よりも高くなる程度の量)の磁性体粉末を混ぜたもので形成しても良い。
【0027】
本実施の形態における高磁気抵抗部材40は磁芯10内に比透磁率20以下の領域を形成する。
【0028】
図6に示されるように、コイル20を絶縁体50によって完全に包囲し、且つ、隣接するコイル線の線間の絶縁も確保されることとしても良い。図示された絶縁体50は、ボビン60及び円筒状のカバー70とを備えている。ボビン60は、その周囲にらせん状の溝61を有しており、隣接する溝部は線間絶縁部62を構成している。コイル20は、ボビン60の溝61とカバー70とで形成された空間に収容されている。このように各コイル20は完全に周囲から絶縁されているため、例えば、2以上のコイル20を連結して一つのコイルを形成するような場合には複数のコイル20間における絶縁も確保することができる。かかる絶縁体50の材料としては、混成物に含まれる樹脂と同一の樹脂が望ましい。なお、コイル20を内包するようにして絶縁物を成形することで図示された絶縁体50と同様の機能を持たせることとしても良い。
【0029】
図6に示されたコイルは平角導線を縦巻してなるものであるが、例えば、図2乃至図5に示されるトロイダルコイルのように他のコイルであっても良い。また、コイル線としては丸線やリッツ線など種々の線を用いることができる。
【0030】
図7に示される第5のコイル部品140は、ケース80を更に備えている。このコイル部品140におけるケース80は直方体形状を有している。但し、図面上では理解を容易にするために上面が省略されている。図7に示されるコイル20も、図6に示されるコイル20と同様に、平角導線を縦巻してなるものである。コイル20は、ケース80内に配置されており、混成物からなる磁芯10がコイル20とケース80との間の空間を満たし且つコイル20を磁芯10内部に封入している。ケース80としてはアルミニウム合金又はFe−Ni合金といった金属からなるものが挙げられる。このようにケース80が金属製の場合、内面に絶縁層を形成することが好ましい。ケース80は、例えば、アルミナ成形体のようなセラミックスケースであっても良い。
【0031】
図8に示される第6のコイル部品150は、第5のコイル部品140と同様にケース82を備えている。しかし、ケース82の形状は第5のコイル部品140のケース80とは異なり球状である。本実施の形態による磁芯10はいかなる形にも応用できるという利点があり、それに基づいた応用である。ケース82が球状であることにより、その内部に形成された磁芯10の形状も球形となっている。その結果、コイル20の軸を中心とした場合、どの方位においても均等な磁束分布が得られることとなる。
【0032】
第6のコイル部品150におけるケース82は、アルミニウム合金やFe−Ni合金から作成される金属ケースであり、その内面には、混成物における磁性体粉末に起因した外部との電気的短絡を防止するため、絶縁層84が形成されている。
【0033】
以上の説明及びそこで用いた図面を参照すれば明らかなように、上述したすべてのコイル部品100,110,120,130,140,150において、混成物からなる磁芯10は、コイル20の中心を通る磁路のループを構成している。また、磁芯10はコイル20の周囲に配置され少なくとも磁路の一部を形成している。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上具体的な例を掲げて説明してきた磁芯及びコイル部品の応用先としては、例えば、太陽光発電や風力発電などに用いられる昇電圧制御用のコイル部品や降電圧制御用のコイル部品などがある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態による樹脂と磁性体粉末との混成物からなる磁芯の直流電流重畳特性を示すグラフである。
【図2】混成物からなる磁芯を用いたコイル部品を示す斜視図である。
【図3】混成物からなる磁芯を用いた他のコイル部品を示す斜視図である。
【図4】混成物からなる磁芯を用いた更に他のコイル部品を示す斜視図である。
【図5】混成物からなる磁芯を用いた更に他のコイル部品を示す斜視図である。
【図6】コイルの絶縁構造を示す断面図である。
【図7】混成物からなる磁芯を用いた更に他のコイル部品を示す斜視図である。
【図8】混成物からなる磁芯を用いた更に他のコイル部品を示す一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 磁芯
20 コイル
21,22 端部
30 特定透磁率磁芯部材
40 高磁気抵抗部材
50 絶縁構造体
60 ボビン
70 カバー
80 ケース
82 ケース
84 絶縁膜
100 コイル部品
110 コイル部品
120 コイル部品
130 コイル部品
140 コイル部品
150 コイル部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体粉末と樹脂の混成物を硬化させて得られる磁芯であって、1000×10/4π[A/m]の磁界中にて10以上の比透磁率を有する、ことを特徴とする磁芯。
【請求項2】
3000MPa以上の弾性率を有する、ことを特徴とする請求項1記載の磁芯。
【請求項3】
前記混成物を硬化させる際の条件と同条件にて前記樹脂を単独で硬化させた場合の当該樹脂の弾性率は100MPa以上である、ことを特徴とする請求項2記載の磁芯。
【請求項4】
前記磁性体粉末は軟磁性粉末である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁芯。
【請求項5】
前記軟磁性粉末は軟磁性金属粉末である、ことを特徴とする請求項4記載の磁芯。
【請求項6】
前記軟磁性金属粉末はFe−Si系粉末である、ことを特徴とする請求項5記載の磁芯。
【請求項7】
前記Fe−Si系粉末における平均Si含有量は0.0重量%以上11.0重量%以下である、ことを特徴とする請求項6記載の磁芯。
【請求項8】
前記軟磁性金属粉末はFe−Si−Al系粉末である、ことを特徴とする請求項5記載の磁芯。
【請求項9】
前記Fe−Si−Al系粉末における平均Si含有量は0.0重量%以上11.0重量%以下であり、平均Al含有量は0.0重量%以上7.0重量%以下である、ことを特徴とする請求項8記載の磁芯。
【請求項10】
前記軟磁性金属粉末はFe−Ni系粉末である、ことを特徴とする請求項5記載の磁芯。
【請求項11】
前記Fe−Ni系粉末における平均Ni含有量は30.0重量%以上85.0重量%以下である、ことを特徴とする請求項10記載の磁芯。
【請求項12】
前記軟磁性金属粉末はFe系アモルファス粉末である、ことを特徴とする請求項5記載の磁芯。
【請求項13】
前記磁性体粉末は略球状粉末である、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の磁芯。
【請求項14】
前記磁性体粉末の表面に高透磁率薄膜層が形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の磁芯。
【請求項15】
前記高透磁率薄膜はFe−Ni系薄膜である、ことを特徴とする請求項14記載の磁芯。
【請求項16】
前記磁性体粉末は、前記樹脂と混成される前に、一層以上の絶縁層でコーティングされている、ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の磁芯。
【請求項17】
前記樹脂は硬化性樹脂である、ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の磁芯。
【請求項18】
前記硬化性樹脂は熱硬化性樹脂である、ことを特徴とする請求項17記載の磁芯。
【請求項19】
前記樹脂はエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂である、ことを特徴とする請求項18記載の磁芯。
【請求項20】
前記混成物における前記樹脂の配合比率は20体積%以上90体積%以下である、ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の磁芯。
【請求項21】
前記混成物における前記樹脂の配合比率は40体積%以上70体積%以下である、ことを特徴とする請求項20記載の磁芯。
【請求項22】
前記混成物は非磁性フィラーを更に含む、ことを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の磁芯。
【請求項23】
前記混成物を注型することにより得られる注型品である、ことを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の磁芯。
【請求項24】
前記混成物は溶剤を用いることなく注型できる材料からなる、ことを特徴とする請求項23記載の磁芯。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれかに記載の磁芯と、該磁芯の周囲に巻回してなるコイルとを備える、ことを特徴とするコイル部品。
【請求項26】
請求項1乃至24のいずれかに記載の磁芯とコイルとを備えるコイル部品であって、前記磁芯は前記コイルの周囲に配置され少なくとも磁路の一部を形成する、ことを特徴とするコイル部品。
【請求項27】
請求項1乃至24のいずれかに記載の磁芯と、該磁芯内部に少なくとも一部を埋設してなるコイルとを備える、ことを特徴とするコイル部品。
【請求項28】
前記コイルは、該コイルの端部を除き、前記磁芯により完全に包囲されている、ことを特徴とする請求項27記載のコイル部品。
【請求項29】
前記コイルの周囲及び/又は空洞部内に配置された少なくとも一つの特定透磁率磁芯部材を更に備えている、ことを特徴とする請求項25乃至28のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項30】
該特定透磁率磁芯部材は前記混成物からなる前記磁芯により前記コイルに対して固定されている、ことを特徴とする請求項28記載のコイル部品。
【請求項31】
前記特定透磁率磁芯部材は、Fe系アモルファス粉末、又はFe−Si−Al系、Fe−Si系、若しくはFe−Ni系の粉末からなる圧粉磁芯部材であるか、又は、Fe系積層磁芯部材である、ことを特徴とする請求項28又は29記載のコイル部品。
【請求項32】
前記磁芯内に埋設された、当該磁芯よりも磁気抵抗の高い高磁気抵抗部材を更に有する、ことを特徴とする請求項25乃至31のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項33】
前記高磁気抵抗部材は前記混成物における前記樹脂と同じ樹脂を含む材料からなる、ことを特徴とする請求項32記載のコイル部品。
【請求項34】
前記高磁気抵抗部材は前記コイルの前記空洞部内に配置されている、ことを特徴とする請求項32又は33記載のコイル部品。
【請求項35】
前記高磁気抵抗部材は前記磁芯内に比透磁率20以下の領域を形成する、ことを特徴とする請求項32乃至34のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項36】
前記混成物からなる前記磁芯は、前記コイルの中心を通る磁路のループを構成している、ことを特徴とする請求項25乃至35のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項37】
ケースを更に備え、前記コイルが前記ケース内に配置され、前記混成物からなる前記磁芯は前記コイルと前記ケースとの間の空間を満たし且つ前記コイルを当該磁芯内部に封入している、ことを特徴とする請求項25乃至36のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項38】
前記ケースはセラミックスケース又は内面に絶縁層の形成された金属ケースである、ことを特徴とする請求項37記載のコイル部品。
【請求項39】
前記金属ケースはアルミニウム合金又はFe−Ni合金からなる、ことを特徴とする請求項38記載のコイル部品。
【請求項40】
前記セラミックスケースはアルミナ成形体である、ことを特徴とする請求項38記載のコイル部品。
【請求項41】
磁性体粉末と樹脂とからなる混成物を硬化させて得られる磁芯と、該磁芯の周囲に巻回してなるコイルとを備える、ことを特徴とするコイル部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−4958(P2006−4958A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−172063(P2004−172063)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】