説明

移動体によって個人情報を転送するデータ同期方法及びシステム

【課題】管理サーバの位置と端末の位置との間に移動体が存在する場合、遠隔地の端末から見て、管理サーバに蓄積された個人情報を高速にダウンロードする方法等を提供する。
【解決手段】メインストレージサーバが、個人情報主記憶部に記憶された所定のユーザ識別子における個人情報を、汎用データ及びユーザ差分データに分割し、ローカルストレージサーバへ、汎用データのみを転送する。その後、ローカルストレージサーバを搭載した移動体が、端末の近郊へ移動する。次に、端末が、ローカルストレージサーバから、当該ユーザ識別子に基づく汎用データを取得すると共に、メインストレージサーバへ、当該ユーザ識別子に基づくユーザ差分データを取得する。そして、端末が、汎用データとユーザ差分データとを組み合わせた個人情報を復元し、該個人情報を個人情報副記憶部へ記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、秘匿性を要する個人情報を、管理サーバから端末へ転送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、秘匿性を要する個人情報として、例えば医療分野における電子カルテ情報がある。電子カルテ情報としては、SOAP(Subject, Object, Assessment, Plan)情報があり、患者毎に、例えば以下のような情報が記述されている。
「Subject」 :主観的データ(患者からの症状)
「Object」 :客観的データ(医学的所見)
「Assessment」:結果又は考察(検査結果)
「Plan」 :計画又は立案(治療計画)
一般に、このような個人情報は秘匿性を要するために、管理サーバによって管理されている。通常、端末は、ネットワークを介して管理サーバに直接的にアクセスする。そして、当該端末を操作するユーザ又は医療従事者が認証された後、個人情報の閲覧/更新が可能となる。
【0003】
また、医療施設が保有する個人情報について、医療施設の内部の端末からの内部医療予約情報と、医療移設の外部の端末からの外部医療予約情報とを別々に管理し、それら情報を同期する技術もある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、医療施設の管理サーバのセキュリティを確保しつつ、予約情報を迅速に処理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−234381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば患者の自宅に配置された端末が、病院内の管理サーバへアクセスする場合、携帯電話網のような広域無線回線を用いる必要がある。しかしながら、医療分野における個人情報(例えばSOAP情報)は、日々発生するオブジェクトデータとして表現されているために、その情報量は極めて大容量となっている。これに対し、広域無線回線は比較的低速であるために、端末は、個人情報を高速にダウンロードすることができない。ユーザは、端末の操作性におけるレスポンスの低下を感じることとなる。
【0006】
また、近年、医療行為の場所も、病院内に限らなくなってきている。特に高齢化に伴って、検診バスのような移動体が医療行為の場所となる場合も多くなってきている。このような検診バスに搭載された記憶装置に、管理サーバの個人情報の全てを記憶させることは、情報セキュリティの観点からも好ましくない。あくまで、個人情報は、管理サーバに集中的に記憶させるべきである。
【0007】
そこで、本発明は、管理サーバの位置と端末の位置との間に移動体が存在する場合、遠隔地の端末から見て、管理サーバに蓄積された個人情報を高速にダウンロードすることができるデータ同期方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、固定設置されたメインストレージサーバと、移動体に搭載されたローカルストレージサーバと、メインストレージサーバ及びローカルストレージサーバと無線を介して通信可能な端末とを有するシステムにおけるデータ同期方法であって、
メインストレージサーバは、ユーザ識別子毎に、汎用データ及びユーザ差分データからなる個人情報を記憶した個人情報主記憶部を有し、
ローカルストレージサーバは、汎用データを記憶する汎用データ記憶部を有し、
端末は、当該ユーザにおける個人情報を記憶した個人情報副記憶部を有し、
メインストレージサーバが、所定のユーザ識別子における個人情報主記憶部の個人情報を、汎用データ及びユーザ差分データに分割し、当該汎用データのみを、ローカルストレージサーバへ転送する第1のステップと、
ローカルストレージサーバを搭載した移動体が、端末の近郊へ移動する第2のステップと、
端末が、ローカルストレージサーバから、当該ユーザ識別子に基づく汎用データを取得すると共に、メインストレージサーバから、当該ユーザ識別子に基づくユーザ差分データを取得する第3のステップと、
端末が、汎用データとユーザ差分データとを組み合わせた個人情報を復元し、該個人情報を個人情報副記憶部へ記憶する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【0009】
本発明のデータ同期方法における他の実施形態によれば、
メインストレージサーバは、
移動体の識別番号毎に、移動先となるユーザ識別子及び時間帯を登録したスケジュール記憶部を更に有し、
第1のステップについて、メインストレージサーバは、スケジュール記憶部を用いて、通信可能なローカルストレージが搭載された移動体の識別番号から、ユーザ識別子を特定し、当該ユーザ識別子における個人情報を分割し、分割された汎用データのみを送信するものであってもよい。
【0010】
本発明のデータ同期方法における他の実施形態によれば、
端末は、現在位置を測定できる測位部を有し、
メインストレージサーバの個人情報主記憶部は、ユーザ識別子毎に、更に位置範囲情報を対応付けて記憶しており、
第3のステップについて、
端末は、ユーザ識別子と共に、測位部によって測位した位置情報を、メインストレージサーバへ送信し、
メインストレージサーバが、ユーザ識別子に対応する位置範囲情報に、端末から受信した位置情報が含まれるか否かを判定し、真と判定した際に、対応するユーザ差分データを、端末へ転送するものであってもよい。
【0011】
本発明のデータ同期方法における他の実施形態によれば、
第1のステップについて、メインストレージサーバは、ローカルストレージサーバとの間で、比較的高速な狭域無線インタフェースを用いて通信し、
第3のステップについて、端末は、ローカルストレージサーバとの間で、比較的高速な狭域無線インタフェースを用いて通信し、メインストレージサーバとの間で、比較的低速な広域無線インタフェースを用いて通信するものであってもよい。
【0012】
本発明のデータ同期方法における他の実施形態によれば、
汎用データは、電子カルテデータにおけるユーザ共通のデータであり、
ユーザ差分データは、電子カルテデータにおける当該ユーザ特有のデータであり、
メインストレージサーバは、電子カルテデータベースであり、
ローカルストレージサーバを搭載した移動体は、医療検診用移動車両であり、
ユーザ識別子は、端末がローカルストレージサーバと通信する際に用いる物理アドレスであってもよい。
【0013】
本発明によれば、固定設置されたメインストレージサーバと、移動体に搭載されたローカルストレージサーバと、メインストレージサーバ及びローカルストレージサーバと無線を介して通信可能な端末とを有するデータ同期システムであって、
メインストレージサーバは、
ユーザ識別子毎に、汎用データ及びユーザ差分データからなる個人情報を記憶した個人情報主記憶手段と、
個人情報を、汎用データ及びユーザ差分データに分割する個人情報分割手段と、
ローカルストレージサーバへ、所定のユーザ識別子における汎用データを転送する汎用データ転送手段と、
端末へ、当該ユーザ識別子に基づくユーザ差分データを転送するユーザ差分データ転送手段と
を有し、
ローカルストレージサーバは、汎用データを記憶する汎用データ記憶手段を有し、
当該ローカルストレージサーバを搭載した移動体が、端末の近郊へ移動可能であり、
端末は、
ローカルストレージサーバから、当該ユーザ識別子に基づく汎用データを取得する汎用データ取得手段と、
メインストレージサーバから、当該ユーザ識別子に基づくユーザ差分データを取得するユーザ差分データ取得手段と、
汎用データとユーザ差分データとを組み合わせた個人情報を復元する個人情報復元手段と、
復元された個人情報を記憶する個人情報副記憶手段と
を有することを特徴とする。
【0014】
本発明のデータ同期システムにおける他の実施形態によれば、
メインストレージサーバは、
移動体の識別番号毎に、移動先となるユーザ識別子及び時間帯を登録したスケジュール記憶手段を更に有し、
個人情報分割手段は、スケジュール記憶手段を用いて、通信可能なローカルストレージが搭載された移動体の識別番号から、ユーザ識別子を特定し、当該ユーザ識別子における個人情報のみを分割し、分割された汎用データのみを送信するものであってもよい。
【0015】
本発明のデータ同期システムにおける他の実施形態によれば、
端末について、
現在位置を測定できる測位手段を更に有し、
ユーザ差分データ取得手段は、ユーザ識別子と共に、測位部によって測位した位置情報を、メインストレージサーバへ送信し、
メインストレージサーバについて、
個人情報主記憶手段は、ユーザ識別子毎に、更に位置範囲情報を対応付けて記憶しており、
ユーザ差分データ転送手段は、ユーザ識別子に対応する位置範囲情報に、端末から受信した位置情報が含まれるか否かを判定し、真と判定した際に、対応するユーザ差分データを、端末へ転送するものであってもよい。
【0016】
本発明のデータ同期システムにおける他の実施形態によれば、
メインストレージサーバは、ローカルストレージサーバとの間で、比較的高速に通信可能な狭域無線インタフェースと、端末との間で、比較的低速に通信可能な広域無線インタフェースとを有し、
ローカルストレージサーバは、メインストレージサーバ及び端末との間で、比較的高速に通信可能な狭域無線インタフェースを有し、
端末は、ローカルストレージサーバとの間で、比較的高速に通信可能な狭域無線インタフェースと、メインストレージサーバとの間で、比較的低速に通信可能な広域無線インタフェースと
を有するものであってもよい。
【0017】
本発明のデータ同期システムにおける他の実施形態によれば、
汎用データは、電子カルテデータにおけるユーザ共通のデータであり、
ユーザ差分データは、電子カルテデータにおける当該ユーザ特有のデータであり、
メインストレージサーバは、電子カルテデータベースであり、
ローカルストレージサーバを搭載した移動体は、医療検診用移動車両であり、
ユーザ識別子は、端末がローカルストレージサーバと通信する際に用いる物理アドレスであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のデータ同期方法及びシステムによれば、管理サーバの位置と端末の位置との間に移動体を中継することによって、遠隔地の端末から見て、管理サーバに蓄積された個人情報を高速にダウンロードすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明におけるシステム構成図である。
【図2】本発明のメインストレージサーバにおける個人情報主記憶部及びスケジュール記憶部のテーブル構成図である。
【図3】本発明における下りのシーケンス図である。
【図4】本発明における上りのシーケンス図である。
【図5】本発明におけるメインストレージサーバ及び端末の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0022】
図1のシステムによれば、固定設置されたメインストレージサーバ1と、移動体に搭載されたローカルストレージサーバ2と、メインストレージサーバ1及びローカルストレージサーバ2と無線を介して通信可能な端末3とを有する。
【0023】
メインストレージサーバ1は、例えば病院内に設置された電子カルテ管理データベースである。メインストレージサーバ1は、個人情報主記憶部と、スケジュール記憶部とを有する。
【0024】
図2は、本発明のメインストレージサーバにおける個人情報主記憶部及びスケジュール記憶部のテーブル構成図である。
【0025】
「個人情報主記憶部」は、ユーザ識別子(患者)毎に、個人情報(電子カルテ情報)と、そのユーザの位置情報(緯度・経度)とが対応付けて記憶されている。「ユーザ識別子」は、例えば端末がローカルストレージサーバと通信する際に用いる物理アドレスであってもよい。
【0026】
ここで、個人情報は、「汎用データ」及び「ユーザ差分データ」を組み合わせて構成されている。
「汎用データ」 :個人情報におけるユーザ共通のデータ(大容量)
「ユーザ差分データ」:個人情報における当該ユーザ特有のデータ(小容量)
【0027】
個人情報は、木構造に構成されている。汎用データの木構造における末端ノード(リーフ)に、ユーザ差分データの木構造(部分木)が対応付けられる。ユーザ差分データの最上位ノードを、汎用データの末端ノードに接続することによって、汎用データとユーザ差分データとを組み合わせることができる。そのために、ユーザ差分データは、汎用データの木構造の中で、接続すべきノードの情報(例えばノード番号)を有する。汎用データは、例えば個人情報の木構造について、ユーザ差分データに該当する下位ノードをマスクすることによって得られたデータであってもよい。尚、個人情報は、XMLのような構造化データによって構成されることも好ましい。
【0028】
「スケジュール記憶部」は、移動体の識別番号毎に、移動先となるユーザ識別子及び時間帯を登録する。移動体が検診バスである場合、その検診バスが、どのユーザに、いつ訪問するかが登録されている。
【0029】
再び図1に戻って説明する。メインストレージサーバ1は、無線LAN(Local Area Network)又はBluetoothのような狭域無線インタフェースと、携帯電話網(3G)のような広域無線インタフェースとを有する。メインストレージサーバ1は、ローカルストレージサーバ2との間では狭域無線インタフェースを用いて通信すると共に、端末3との間で広域無線インタフェースを用いて通信する。ここで、メインストレージサーバ1は、「汎用データ」をローカルストレージサーバ2へ送信し、「ユーザ差分データ」を端末3へ直接的に送信する。
【0030】
ローカルストレージサーバ2が搭載された移動体は、例えば医療検診用移動車両(検診バス)であってもよい。ローカルストレージサーバ2は、メインストレージサーバ1及び端末3と通信可能な狭域無線インタフェースを有する。また、移動体は、病院と患者宅との間を移動することができる。そのために、ローカルストレージサーバ2は、狭域無線インタフェースのみを用いて、病院の近郊ではメインストレージサーバ1から「汎用データ」を受信する。また、患者宅の近郊ではその「汎用データ」を端末3へ送信する。
【0031】
端末3は、例えばユーザ宅内のような、メインストレージサーバ1が配置された病院から見て、遠隔地に位置する。端末3は、患者又は医療従事者によって操作される。また、端末3は、狭域無線インタフェースと、広域無線インタフェースとを有する。端末3は、ローカルストレージサーバ2との間では狭域無線インタフェースを用いて通信すると共に、メインストレージサーバ1との間で広域無線インタフェースを用いて通信する。ここで、端末3は、「汎用データ」をローカルストレージサーバ2から受信する。また、「ユーザ差分データ」をメインストレージサーバ1から受信する。
【0032】
図3は、本発明における下りのシーケンス図である。
【0033】
(S311)メインストレージサーバ1は、狭域無線インタフェースを介して、ローカルストレージサーバ2を検出する。そして、メインストレージサーバ1は、ローカルストレージサーバ2から移動体識別番号を取得する。移動体識別番号は、例えばローカルストレージサーバ2の無線LANアドレスやBluetoothアドレスであってもよい。
【0034】
(S312)メインストレージサーバ1は、スケジュール記憶部から、移動体識別番号に基づく検診バスについて、その訪問先となるユーザのユーザ識別子を検索する。更に、個人情報主記憶部から、検索されたユーザ識別子における個人情報が検索される。
【0035】
(S313)メインストレージサーバ1は、検索された個人情報を、汎用データ及びユーザ差分データに分割する。
【0036】
(S314)そして、メインストレージサーバ1は、ローカルストレージサーバ2へ、汎用データのみを転送する。ローカルストレージサーバ2は、訪問先となるユーザに基づく汎用データのみを蓄積する。
【0037】
(S32)次に、ローカルストレージサーバ2を搭載した移動体は、端末3の近郊へ移動する。
【0038】
(S331)端末3は、起動と同時に、狭域無線インタフェースを介してローカルストレージサーバ2をサーチする。そして、端末3は、検出されたローカルストレージサーバ2との間で、認証シーケンスを実行する。認証要素としては、ユーザのユーザ識別子及びパスワードが用いられるものであってもよい。これによって、ローカルストレージサーバ2は、端末が正当であることを認識する。認証に失敗した場合、以降の処理ステップを実行しない。認証シーケンスが成功することによって、端末3は、ローカルストレージサーバ2から、移動体識別番号を取得する。
【0039】
(S332)次に、端末3は、ローカルストレージサーバ2へ、汎用データ要求を送信する。ここで、汎用データ要求には、ユーザ識別子と、当該端末の位置情報とが含まれる。位置情報は、当該端末に搭載された測位部(GPS(Global Positioning System))によって取得されたものであってもよいし、予め固定的に設定されたものであってもよい。ローカルストレージサーバ2は、受信した位置情報が、既に記憶しているユーザの位置情報の所定範囲内にあるか否かを判定する。この判定が偽である場合、以降の処理ステップを実行しない。
【0040】
(S333)そして、ローカルストレージサーバ2は、そのユーザ識別子に基づく汎用データを、端末3へ送信する。
【0041】
(S334)また、端末3は、広域無線インタフェースを介してメインストレージサーバ1との間で、認証シーケンスを実行する。認証要素としては、ユーザのユーザ識別子及びパスワードが用いられるものであってもよい。これによって、メインストレージサーバ1は、正当な端末であることを認識する。認証に失敗した場合、以降の処理ステップを実行しない。
【0042】
(S335)次に、端末3は、メインストレージサーバ1へ、ユーザ差分データ要求を送信する。ここで、ユーザ差分データ要求には、ユーザ識別子と、移動体識別番号と、当該端末の位置情報とが含まれることも好ましい。メインストレージサーバ1は、受信した位置情報が、既に記憶しているユーザの位置情報の所定範囲内にあるか否かを判定することができる。この判定が偽である場合、以降の処理ステップを実行しない。
【0043】
(S336)そして、メインストレージサーバ1は、そのユーザ識別子に基づくユーザ差分データを、端末3へ送信する。
【0044】
(S35)端末3は、汎用データとユーザ差分データとを組み合わせた個人情報を復元し、その個人情報を個人情報副記憶部へ記憶する。ユーザ差分データが、汎用データにおける所定のノードに接続されることによって、元の個人情報が復元される。
【0045】
前述した下りシーケンスによれば、ユーザ差分データ(ユーザ特有のデータ)が広域ネットワークを経由することなく、端末3から見ると、個人情報を高速にダウンロードすることができる。
【0046】
図4は、本発明における上りのシーケンス図である。
【0047】
(S411)端末3によって、個人情報が更新されたとする。
(S412)このとき、端末3は、データ更新通知を、広域無線インタフェースを用いてメインストレージサーバ1へ送信する。データ更新通知には、個人情報に対して更新されたノード情報(例えば更新されたノード番号)が含まれる。
(S413)更新データの情報量は比較的大容量である。端末3は、個人情報の更新データを、狭域無線インタフェースを用いて高速にローカルストレージサーバ2へアップロードする。
【0048】
(S42)次に、ローカルストレージサーバ2を搭載した移動体は、メインストレージサーバ1の近郊へ移動する。
【0049】
(S43)そして、ローカルストレージサーバ2は、更新データを、狭域無線インタフェースを用いてメインストレージサーバ1へ送信する。
【0050】
(S44)これによって、メインストレージサーバ1は、先に受信したデータ更新通知のノード情報に基づいて、更新データを、元の個人情報に対して更新する。
【0051】
前述した上りシーケンスによれば、更新データ自体が広域ネットワークを経由することなく、端末3から見ると、更新データを高速にアップロードすることができる。
【0052】
図5は、本発明におけるメインストレージサーバ及び端末の機能構成図である。
【0053】
図5によれば、メインストレージサーバ1は、狭域無線インタフェース101と、広域無線インタフェース102と、個人情報主記憶部111と、個人情報分割部112と、汎用データ転送部113と、ユーザ差分データ転送部114と、スケジュール記憶部115と、認証部116とを有する。通信インタフェースを除くこれら機能構成部は、サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0054】
狭域無線インタフェース101は、ローカルストレージサーバ2との間で、例えば無線LAN又はBluetoothによって比較的高速に通信する。広域無線インタフェース102は、端末3との間で、例えば携帯電話網によって比較的低速で通信する。
【0055】
個人情報主記憶部111は、ユーザ識別子毎に、個人情報を記憶している(図2参照)。また、ユーザ識別子毎に、ユーザパスワード及び位置情報も対応付けて記憶していることも好ましい。
【0056】
スケジュール記憶部115は、移動体の識別番号毎に、移動先となるユーザ識別子及び時間帯を登録している(図2参照)。
【0057】
個人情報分割部112は、個人情報を、汎用データ及びユーザ差分データに分割する(図3のS313と同様)。汎用データが木構造に構成されており、その末端ノード(リーフ)にユーザ差分データが対応付けられるものであってもよい。
【0058】
尚、個人情報分割部112は、スケジュール記憶部115を用いて、通信可能なローカルストレージが搭載された移動体の識別番号から、ユーザ識別子を特定し(図3のS312参照)、当該ユーザ識別子における個人情報を分割する。
【0059】
汎用データ転送部113は、ローカルストレージサーバ2へ、所定のユーザ識別子における汎用データを転送する(図3のS314と同様)。
【0060】
ユーザ差分データ転送部114は、端末3へ、当該ユーザ識別子に基づくユーザ差分データを転送する(前述した図3のS336と同様)。ここで、ユーザ差分データ要求に含まれる端末の位置情報が、そのユーザ識別子に対応する位置範囲情報(図2参照)に含まれるか否かを判定する。真と判定された際に、対応するユーザ差分データを、端末へ転送する。
【0061】
認証部116は、端末3を操作するユーザを認証する(図3のS334と同様)。個人情報主記憶部111に記憶されたユーザ識別子及びパスワードを用いる。
【0062】
また、図3によれば、ローカルストレージサーバ2は、狭域無線インタフェース20と、汎用データ記憶部21と、認証部22とを有する。汎用データ記憶部21は、メインストレージサーバ1から受信した汎用データを記憶する(図3のS314参照)。その上で、ローカルストレージサーバ2を搭載した移動体が、端末3の近郊へ移動する(図3のS32参照)。また、認証部22は、端末3を操作するユーザが正当であることを認証する(図3のS331参照)。そして、汎用データ記憶部21は、汎用データを端末3へ向けて出力する(図3のS333参照)。
【0063】
更に、図3によれば、端末3は、狭域無線インタフェース301と、広域無線インタフェース302と、測位部303と、個人情報副記憶部311と、個人情報復元部312と、汎用データ取得部313と、ユーザ差分データ取得部314と、認証部316とを有する。通信インタフェースを除くこれら機能構成部は、端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0064】
狭域無線インタフェース301は、ローカルストレージサーバ2との間で、例えば無線LAN又はBluetoothによって比較的高速に通信する。広域無線インタフェース302は、メインストレージサーバ1との間で、例えば携帯電話網によって比較的低速で通信する。
【0065】
測位部303は、GPS衛星からの測位電波を受信することによって、当該端末の現在位置を取得する。取得された現在位置は、汎用データ取得部313及びユーザ差分データ取得部314へ出力される。
【0066】
認証部316は、ローカルストレージサーバ2及びメインストレージサーバ1へ、ユーザ識別子及びパスワードを送信し、認証を受ける(図3のS331及びS334参照)。尚、ユーザ識別子は、例えば当該端末がローカルストレージサーバ2と通信する際に用いる物理アドレスであってもよい。
【0067】
汎用データ取得部313は、ローカルストレージサーバ2へ汎用データ要求を送信する(図3のS332参照)。これによって、汎用データ取得部313は、ローカルストレージサーバ2から、当該ユーザ識別子に基づく汎用データを取得する(図3のS333参照)。汎用データは、個人情報復元部312へ出力される。
【0068】
ユーザ差分データ取得部314は、メインストレージサーバ1へ、ユーザ識別子と共に、測位部303によって測位した位置情報を含むユーザ差分データ要求を送信する(図3のS335参照)。これによって、メインストレージサーバ1は、ユーザ識別子に対応する位置範囲情報に、端末3から受信した位置情報が含まれるか否かを判定する。真と判定された際に、メインストレージサーバ1から、ユーザ差分データを受信できる(図3のS336参照)。ユーザ差分データは、個人情報復元部312へ出力される。
【0069】
個人情報復元部312は、汎用データとユーザ差分データとを組み合わせた個人情報を復元する(図3のS34参照)。復元された個人情報は、個人情報副記憶部311へ出力される。
【0070】
個人情報副記憶部311は、当該端末3を操作するユーザにおける汎用データ及びユーザ差分データを組み合わせた個人情報を記憶する。
【0071】
以上、詳細に説明したように、本発明のデータ同期方法及びシステムによれば、管理サーバの位置と端末の位置との間に移動体が存在する場合、遠隔地の端末から見て、管理サーバに蓄積された個人情報を高速にダウンロードすることができる。
【0072】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0073】
1 メインストレージサーバ
101 狭域無線インタフェース
102 広域無線インタフェース
111 個人情報主記憶部
112 個人情報分割部
113 汎用データ転送部
114 ユーザ差分データ転送部
115 スケジュール記憶部
116 認証部
2 ローカルストレージサーバ
20 狭域無線インタフェース
21 汎用データ記憶部
22 認証部
3 端末
301 狭域無線インタフェース
302 広域無線インタフェース
303 測位部
311 個人情報副記憶部
312 個人情報復元部
313 汎用データ取得部
314 ユーザ差分データ取得部
316 認証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定設置されたメインストレージサーバと、移動体に搭載されたローカルストレージサーバと、前記メインストレージサーバ及び前記ローカルストレージサーバと無線を介して通信可能な端末とを有するシステムにおけるデータ同期方法であって、
前記メインストレージサーバは、ユーザ識別子毎に、汎用データ及びユーザ差分データからなる個人情報を記憶した個人情報主記憶部を有し、
前記ローカルストレージサーバは、前記汎用データを記憶する汎用データ記憶部を有し、
前記端末は、当該ユーザにおける前記個人情報を記憶した個人情報副記憶部を有し、
前記メインストレージサーバが、所定のユーザ識別子における前記個人情報主記憶部の前記個人情報を、汎用データ及びユーザ差分データに分割し、当該汎用データのみを、前記ローカルストレージサーバへ転送する第1のステップと、
前記ローカルストレージサーバを搭載した前記移動体が、前記端末の近郊へ移動する第2のステップと、
前記端末が、前記ローカルストレージサーバから、当該ユーザ識別子に基づく前記汎用データを取得すると共に、前記メインストレージサーバから、当該ユーザ識別子に基づく前記ユーザ差分データを取得する第3のステップと、
前記端末が、前記汎用データと前記ユーザ差分データとを組み合わせた個人情報を復元し、該個人情報を前記個人情報副記憶部へ記憶する第4のステップと
を有することを特徴とするデータ同期方法。
【請求項2】
前記メインストレージサーバは、
前記移動体の識別番号毎に、移動先となる前記ユーザ識別子及び時間帯を登録したスケジュール記憶部を更に有し、
第1のステップについて、前記メインストレージサーバは、前記スケジュール記憶部を用いて、通信可能なローカルストレージが搭載された移動体の識別番号から、前記ユーザ識別子を特定し、当該ユーザ識別子における前記個人情報を分割し、分割された汎用データのみを送信することを特徴とする請求項1に記載のデータ同期方法。
【請求項3】
前記端末は、現在位置を測定できる測位部を有し、
前記メインストレージサーバの個人情報主記憶部は、前記ユーザ識別子毎に、更に位置範囲情報を対応付けて記憶しており、
第3のステップについて、
前記端末は、前記ユーザ識別子と共に、前記測位部によって測位した位置情報を、前記メインストレージサーバへ送信し、
前記メインストレージサーバが、前記ユーザ識別子に対応する前記位置範囲情報に、前記端末から受信した前記位置情報が含まれるか否かを判定し、真と判定した際に、対応する前記ユーザ差分データを、前記端末へ転送する
ことを特徴とする請求項2に記載のデータ同期方法。
【請求項4】
第1のステップについて、前記メインストレージサーバは、前記ローカルストレージサーバとの間で、比較的高速な狭域無線インタフェースを用いて通信し、
第3のステップについて、前記端末は、前記ローカルストレージサーバとの間で、比較的高速な狭域無線インタフェースを用いて通信し、前記メインストレージサーバとの間で、比較的低速な広域無線インタフェースを用いて通信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ同期方法。
【請求項5】
前記汎用データは、電子カルテデータにおけるユーザ共通のデータであり、
前記ユーザ差分データは、前記電子カルテデータにおける当該ユーザ特有のデータであり、
前記メインストレージサーバは、電子カルテデータベースであり、
前記ローカルストレージサーバを搭載した移動体は、医療検診用移動車両であり、
前記ユーザ識別子は、前記端末が前記ローカルストレージサーバと通信する際に用いる物理アドレスである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のデータ同期方法。
【請求項6】
固定設置されたメインストレージサーバと、移動体に搭載されたローカルストレージサーバと、前記メインストレージサーバ及び前記ローカルストレージサーバと無線を介して通信可能な端末とを有するデータ同期システムであって、
前記メインストレージサーバは、
ユーザ識別子毎に、汎用データ及びユーザ差分データからなる個人情報を記憶した個人情報主記憶手段と、
前記個人情報を、汎用データ及びユーザ差分データに分割する個人情報分割手段と、
前記ローカルストレージサーバへ、所定のユーザ識別子における前記汎用データを転送する汎用データ転送手段と、
前記端末へ、当該ユーザ識別子に基づく前記ユーザ差分データを転送するユーザ差分データ転送手段と
を有し、
前記ローカルストレージサーバは、前記汎用データを記憶する汎用データ記憶手段を有し、
当該ローカルストレージサーバを搭載した前記移動体が、前記端末の近郊へ移動可能であり、
前記端末は、
前記ローカルストレージサーバから、当該ユーザ識別子に基づく前記汎用データを取得する汎用データ取得手段と、
前記メインストレージサーバから、当該ユーザ識別子に基づく前記ユーザ差分データを取得するユーザ差分データ取得手段と、
前記汎用データと前記ユーザ差分データとを組み合わせた個人情報を復元する個人情報復元手段と、
復元された個人情報を記憶する個人情報副記憶手段と
を有することを特徴とするデータ同期システム。
【請求項7】
前記メインストレージサーバは、
前記移動体の識別番号毎に、移動先となる前記ユーザ識別子及び時間帯を登録したスケジュール記憶手段を更に有し、
前記個人情報分割手段は、前記スケジュール記憶手段を用いて、通信可能なローカルストレージが搭載された移動体の識別番号から、前記ユーザ識別子を特定し、当該ユーザ識別子における前記個人情報のみを分割し、分割された汎用データのみを送信する
ことを特徴とする請求項6に記載のデータ同期システム。
【請求項8】
前記端末について、
現在位置を測定できる前記測位手段を更に有し、
前記ユーザ差分データ取得手段は、前記ユーザ識別子と共に、前記測位部によって測位した位置情報を、前記メインストレージサーバへ送信し、
前記メインストレージサーバについて、
前記個人情報主記憶手段は、前記ユーザ識別子毎に、更に位置範囲情報を対応付けて記憶しており、
前記ユーザ差分データ転送手段は、前記ユーザ識別子に対応する前記位置範囲情報に、前記端末から受信した前記位置情報が含まれるか否かを判定し、真と判定した際に、対応する前記ユーザ差分データを、前記端末へ転送する
ことを特徴とする請求項7に記載のデータ同期システム。
【請求項9】
前記メインストレージサーバは、前記ローカルストレージサーバとの間で、比較的高速に通信可能な狭域無線インタフェースと、前記端末との間で、比較的低速に通信可能な広域無線インタフェースとを有し、
前記ローカルストレージサーバは、前記メインストレージサーバ及び前記端末との間で、比較的高速に通信可能な狭域無線インタフェースを有し、
前記端末は、前記ローカルストレージサーバとの間で、比較的高速に通信可能な狭域無線インタフェースと、前記メインストレージサーバとの間で、比較的低速に通信可能な広域無線インタフェースと
を有することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のデータ同期システム。
【請求項10】
前記汎用データは、電子カルテデータにおけるユーザ共通のデータであり、
前記ユーザ差分データは、前記電子カルテデータにおける当該ユーザ特有のデータであり、
前記メインストレージサーバは、電子カルテデータベースであり、
前記ローカルストレージサーバを搭載した移動体は、医療検診用移動車両であり、
前記ユーザ識別子は、前記端末が前記ローカルストレージサーバと通信する際に用いる物理アドレスである
ことを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のデータ同期システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178096(P2012−178096A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41292(P2011−41292)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】