説明

移動体内のトイレ用排泄物処理装置

【課題】状態に応じた処理により、高速で大量の排泄物を良好に処理すること。
【解決手段】排泄物を微生物によって処理する鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置であって、車両の下部に配される処理槽2と、処理槽2内の被処理物を攪拌する二つの回転攪拌手段3、3と、処理槽2内の被処理物を加温する6本のシリコンコードヒータ4、4…と、処理槽2内の発生ガスの悪臭成分を除去する脱臭槽5aを備えた排気手段5と、処理槽2中に浄水を供給する浄水供給配管16と、処理槽2内の被処理物の水分状態を検出する被処理物水分測定センサ8と、その水分状態出力を受けて、回転攪拌手段3、3、シリコンコードヒータ4、4…、排気手段5及び浄水供給配管16の動作を制御し、処理槽2内の被処理物の水分状態を適切に保持し、被処理物の微生物処理が好適に行われるように制御する制御手段とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体内のトイレから投入された排泄物を移動体内で微生物によって処理する移動体内のトイレ用排泄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体用のトイレ又はトイレ用排泄物処理装置であって、微生物によって分解処理を行うそれらに関するいくつかの提案がある。
【0003】
その1は、移動体搭載用浄化機能付きトイレ(特許文献1)であり、移動体に搭乗する人が排泄物を排泄するための便器と、この便器を通して排泄された排泄物を貯留し、排泄物を微生物により分解処理する浄化槽とが移動体に搭載されるものである。移動体のラジエータの排熱を媒体液と熱交換し、該媒体液の受け取った熱を均熱板に伝え、該均熱板を通じて該浄化槽を加温するように構成し、更に浄化槽の内部には攪拌羽根を配し、これを駆動用モータで回転駆動し、内部の排泄物を攪拌できるように構成したものである。
【0004】
その2は、乗物用便器(特許文献2)であり、便座が上部に設けられたケース本体と、該ケース本体の内部に弾性部材を介して振動可能に設けられた便槽と、該便槽を振動させる振動発生手段と、便槽を所定温度に加熱する加熱手段と、該便槽内に流動可能に配されている微生物を担持した粒状物とで構成したものである。
【0005】
その3は、バイオ式トイレ搭載車両(特許文献3)であり、バイオ式トイレを車両の前後方向の中央部となる位置に配し、その後面にトイレを利用する人の出入り口を構成したものである。該バイオ式トイレは、便器と、該便器からの汚物を分解消化する微生物が収容された汚物処理タンクとからなり、該汚物処理タンクを便器よりも車両の前後方向中央側に配したものである。
【0006】
その4は、バイオ処理装置であるが、車両にそれを構成したものを含んでいる。この車両に配したバイオ処理装置(特許文献4)は、車両に、便器と、内部を密封する便器本体と、便器本体内又は近傍に位置し汚物を貯留する汚物処理槽と、一端を便器の排出口に接続し他端を汚物処理槽内に配置した排出管と、便器本体の内部空間を負圧にて排出管により汚物を吸収し汚物処理槽内に流下させると共に気体のみを上方に吸引する吸引機構と、便器の排出口より外気を吸い便器本体の内部空間から吸引機構を経て外方側へ内部気体を放出する排気扇とを備えたトイレと、汚物処理槽内に収納した微生物を含有した発酵層と、汚物処理槽内にエアを供給するコンプレッサと、コンプレッサよりのエアを汚物処理槽内に供給するエア供給手段と、エア供給手段と接続し汚物処理槽内の必要箇所に向けエアを噴射させるエア噴射手段とからなるバイオ処理装置とで構成したものである。
【0007】
特許文献1の移動体搭載用浄化機能付きトイレに於ける浄化槽は、排泄物を加温する加温手段及び攪拌する攪拌手段を備えるものであり、排泄物を加温しかつ攪拌することができるものであるが、排泄物の現在の状態に応じた温度や攪拌を行うものではないため、その処理が適切に行われ得ない虞がある。
【0008】
特許文献2の乗物用便器は、加熱手段及び振動発生手段を備え、これらによって便槽内の被処理物を加熱し、かつ振動を加えることができるが、被処理物の状態に応じた処理を行うものではない。温度を測定し、低い場合は加熱動作は行わない等は行われるようであるが、被処理物の状態に応じた適切な温度コントロール等を行うものではないため、その処理が適切に行われない虞がある。
【0009】
特許文献3のバイオ式トイレ搭載車両は、車両内での各部の位置関係を適切に設定して車両のバランスを良好に保持する趣旨のものである。従ってその本来の機能に関しては、特許文献1、2のそれを越えるものではない。
【0010】
特許文献4の車両に配したバイオ処理装置は、汚物処理槽内の汚物は、エアで攪拌する趣旨のもので、それがどの程度適切に行われるかは不明であるが、それらの動作及び加温等は、やはり、汚物の状態に応じて行われるわけではない。それ故、その分解処理が適切に行われない虞がある。
【0011】
【特許文献1】特開2005−199791号公報
【特許文献2】特開2002−356195号公報
【特許文献3】特開2005−186779号公報
【特許文献4】特開2004−313766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解消し、排泄物処理槽内の排泄物の状態に応じて適切な処理を行うことにより、できるだけ高速で移動体の利用者による大量の排泄物を良好に処理できるようにした移動体内のトイレ用排泄物処理装置を提供することを解決の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1は、移動体内のトイレの便器からその排泄物を導入すべくこれに連通し、導入する排泄物を微生物によって処理する移動体内のトイレ用排泄物処理装置であって、
該移動体の一部に配される処理槽と、
該処理槽内の排泄物及び微生物基材を含む被処理物を攪拌する攪拌手段と、
該処理槽内の被処理物を加温する加温手段と、
該処理槽内の発生ガスを排気する排気手段と、
該処理槽内に水分を供給する水分供給手段と、
該処理槽内の排泄物及び微生物基材を含む被処理物の水分状態を検出する水分センサと、
該水分センサの水分状態出力を受けて、前記攪拌手段、前記加温手段、前記排気手段及び前記水分供給手段の動作を制御し、処理槽内の被処理物の水分状態を適切に保持し、該被処理物の微生物処理が好適に行われるように制御する制御手段と、
で構成した移動体内のトイレ用排泄物処理装置である。
【0014】
本発明の2は、本発明の1の移動体内のトイレ用排泄物処理装置に於いて、前記排気手段を、前記処理槽から外気に連通する排気ダクトと、該排気ダクトの途中に挿入したフィルタと、該排気ダクトのフィルタより外気側途中に挿入した排気ファンとで構成し、
更に該フィルタに目詰まり防止手段を配したものである。
【0015】
本発明の3は、本発明の2の移動体内のトイレ用排泄物処理装置に於いて、前記排気手段の排気ダクトの途中に脱臭手段を挿入したものである。
【0016】
本発明の4は、本発明の1、2又は3の移動体内のトイレ用排泄物処理装置に於いて、前記被処理物の水分の状態を、少なくとも、水分不足、正常、水分過多に分け、
前記制御手段は、前記水分センサで検出した水分状態出力が前記水分不足に該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを低下させ、かつ水分供給手段に水分供給動作をさせるべく制御し、
前記水分センサで検出した水分状態出力が前記正常に該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを現在の状態に維持し、かつ水分供給手段による水分供給動作を停止させるべく制御し、
前記水分センサで検出した水分状態出力が前記水分過多に該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを向上させ、かつ水分供給手段による水分供給動作を停止させるべく制御するように構成したものである
【0017】
本発明の5は、本発明の4の移動体内のトイレ用排泄物処理装置に於いて、前記被処理物の水分状態の内、水分過多を、正常な状態より僅かに水分が過剰な水分過多レベルXとそれより水分が更に過剰である水分過多レベルYとの二つに分け、
前記制御手段は、前記水分センサで検出した水分状態出力が、前記水分過多レベルXに該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを向上させるべく制御し、
前記水分センサで検出した水分状態出力が、前記水分過多レベルYに該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを前記水分過多レベルXの場合より向上させるべく制御するように構成したものである。
【0018】
本発明の6は、本発明の1、2又は3の移動体内のトイレ用排泄物処理装置に於いて、
前記処理槽に、その内部の被処理物の量を検出するための被処理物量測定センサと、該被処理物の温度を測定する温度センサと、該被処理物のpHを測定するpHセンサと、前記排気手段の排気風量を測定する排気風量センサを配し、
他方、移動体内に、画像モニタを配し、前記被処理物量測定センサの検出結果、前記温度センサの検出結果、前記水分センサの検出結果、前記pHセンサの検出結果、並びに前記排気風量センサの検出結果の各々を前記画像モニタで表示し、
かつ前記被処理物量測定センサの検出結果により被処理物が所定量を越えていると判断される場合、前記温度センサの検出結果により被処理物の温度が所定温度を下回っていると判断される場合、前記pHセンサの検出結果により被処理物のpHが所定値を上回っていると判断される場合の各々の場合に、各々該当する警告表示又は警告動作を行い、
更に、前記制御手段による制御を手動制御に切り換えて、前記攪拌手段、前記加温手段及び前記排気手段を手動制御するための操作手段を備えたものである。
【0019】
本発明の7は、本発明の1、2又は3の移動体内のトイレ用排泄物処理装置に於いて、前記制御手段を、移動体の停止時には、前記排気手段の排気動作を停止又は微風動作させるべく制御するように構成したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の1の移動体内のトイレ用排泄物処理装置によれば、移動体内のトイレの便器から導入された排泄物を、その水分状態に応じて、加温手段、攪拌手段、排気手段及び水分供給手段の動作を制御することにより、できるだけ排泄物を含む被処理物の水分状態を適切に保持して微生物の活動を良好に保持し、これによって導入された排泄物を含む被処理物をスピーディかつ良好に分解することができる。それ故、移動体に設置する処理槽を無用に大きく構成する必要がない。既存の微生物利用のこの種装置と同様に、車両や船舶等の移動体内で分解処理が行われるので、排泄物を抜き取って処理する地上設備を必要としない。
【0021】
本発明の2の移動体内のトイレ用排泄物処理装置によれば、排気ダクトのフィルタに目詰まりが生じる虞がない。排気手段は長期間使用すると、そのフィルタに基材粉末等による目詰まりが生じることがあるが、本発明の2に於いては、定期的又は非定期的に目詰まり防止手段を動作させ、該フィルタに堆積しつつある基材粉末等を除去して容易にその目詰まりを回避することができる。
【0022】
なお、目詰まり防止手段としては、前記排気ファンとして逆転可能なそれを採用し、前記のように、これを定期的又は非定期的に逆転動作してフィルタの目詰まりを除去するように構成する。または、排気ダクトの排気ファンとフィルタとの間に接続した浄水配管とその途中に配した開閉弁とで構成し、定期的又は非定期的に該開閉弁を開いて浄水を排気ダクト内に噴出させ、フィルタを洗浄するように構成することもできる。或いは、前記排気ダクトのフィルタと排気ファンとの間に接続した常時閉の開閉弁を備えた圧縮空気導入配管で構成することができる。この場合は、該常時閉の開閉弁を開いて、該フィルタと該排気ファンとの間に圧縮空気導入配管を通じて圧縮空気を導入噴出させ、該フィルタを通じて逆流方向である処理槽側にこれを逆流させることにより、その目詰まりを回避することができるようにするものである。
【0023】
本発明の3の移動体内のトイレ用排泄物処理装置によれば、排気ダクトの途中に脱臭手段を配し、処理槽からの排泄物の臭気や微生物による生産物からの臭気等を該脱臭手段で脱臭した上で排気することができる。それ故、悪臭をまき散らす虞を低減することができる。
【0024】
本発明の4の移動体内のトイレ用排泄物処理装置によれば、処理槽内の排泄物を含む被処理物の状態をその大部分の時間で微生物の処理に好適な状態に保持することができる。或いは、急激に状態が悪化しても、スピーディに好適な状態に復帰させることができる。処理槽内の排泄物を含む被処理物の状態は、そのまま放置すれば、特に順次新たに投入される排泄物によって変化する。排泄物の投入量は、乗客数の変化や時間帯によって変化する。乗客数に一時的な増加があれば、多くの場合は排泄物の投入量も増加する。場合によっては一時的に大量の排泄物が投入され、処理槽内が急激に水分過多になってしまうこともある。時間帯によっては排尿量のみが増加し、同様に水分過多になることがある。乗客が少なく、排泄物の処理槽内への投入が比較的長い時間にわたって少なくなることもあり、このような場合には、水分不足になることもある。勿論、排泄物の投入と微生物による処理とのバランスが取れ、正常な水分状態を維持することもある。
【0025】
本発明の4の移動体内のトイレ用排泄物処理装置では、このように種々に変化する処理槽内の排泄物を含む被処理物の水分状態が水分センサで検出され、その状態が、水分不足、水分過多、正常のいずれの場合であれ、制御手段により、攪拌手段、加温手段、排気手段及び水分供給手段が、それらの状態に対処すべく適切に制御され、該被処理物の水分状態を正常状態に導くべく、或いは正常状態に維持すべく動作し、常に微生物の活動を活発化させ、良好な被処理物の分解活動が維持できるようになっている。それ故、処理槽内の被処理物の分解の速度が速く、比較的小型の処理槽で大量の排泄物を含む被処理物の分解処理をすることが可能である。従って移動体に付設する設備として用いるのに適当であることになる。
【0026】
本発明の5の移動体内のトイレ用排泄物処理装置によれば、水分過多レベルを二つに分け、被処理物の水分状態が、若干水分過多な程度の場合には、それに見合った加温手段、攪拌手段及び排気手段の穏やかな動作により、正常な水分状態に回復させ、水分過多の割合が非常に高い場合には、それに見合った加温手段、攪拌手段及び排気手段の急速な動作をさせることにより、スピーディに正常状態に回復させることができるものである。乗客の急な増加等により、被処理物の水分状態が急激に水分過多となり、その水分割合が短時間の内に非常に高くなってしまう場合がある。このような場合に、若干水分過多になった程度と同様な加温手段等の動作をさせていたのでは、正常な水分状態への復帰に時間がかかり過ぎ、微生物による被処理物の分解処理の良好な進行に支障が生じる虞がある。これを、本発明の5の移動体内のトイレ用排泄物処理装置によれば、水分過多のレベルを二つに分け、それぞれの制御の仕方を変えることにより、解決しているものである。
【0027】
なお、前記水分過多レベルX、Yは、後述する実施例のレベル2を、水分過多の程度で二つに分けたものと理解すべきである。具体的には、実施例では、レベル2は、被処理物の水分率を40%以上70%未満としているので、水分過多レベルXは、例えば、40%以上55%未満とし、水分過多レベルYは55以上70%未満とすることができる。
【0028】
本発明の6の移動体内のトイレ用排泄物処理装置によれば、処理槽内の被処理物の量、温度、pH、水分状態、排気風量を、該排泄物処理槽の管理者が前記画像モニタを通じて監視することが可能であり、被処理物の状態が表示されるデータの観点から、現在の攪拌手段、加温手段及び排気手段の動作では不適当である、と判断した場合等には、それらを操作手段を介して手動制御することが可能であり、より適切な処理装置の運転を行うことができる。例えば、排気風量が所定値以下である場合は、排気ダクトのフィルタに目詰まりが生じている虞があるので、手動操作で、該排気ダクトに接続している圧縮空気導入配管の開閉弁を開き、圧縮空気を該排気ダクト内に導き、前記処理槽側に流動させることにより、前記フィルタの目詰まりを除去させる、或いは、排気ファンの故障の可能性もあるので、その点検を行う、こうしてより適切な運転ができることになる。
またいくつかのより重要な検出結果に関しては、それに基づく警告表示又は警告動作が行われるので、管理者は、その重要な検出結果を見過ごす虞が殆どなくなり、速やかに適切な処理を施すことができる。
【0029】
本発明の7の移動体内のトイレ用排泄物処理装置によれば、移動体の駅等での停車時に排気手段の排気動作を停止又は微風動作させることにより、駅構内等に不快な排泄物臭等を排出して、駅構内の乗客等に不快な思いをさせるようなことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を実施する最良の形態を図面を参照しながら実施例に基づいて説明する。
【0031】
この実施例の移動体内のトイレ用排泄物処理装置は、鉄道車両用に適用した物で、図1〜図5に示すように、基本的に、主室1aと副室1bとに区画された直方体状の箱形ケース1と、該箱形ケース1の主室1aに内装された上部開口の処理槽2と、該処理槽2中に配された二列の回転攪拌手段3、3と、該処理槽2の底部外面に配された6本のシリコンコードヒータ(加温手段)4、4…と、副室1bに配された脱臭槽5a、主室1aの前記処理槽2と脱臭槽5aとを繋ぐ排気ダクト5b、該排気ダクト5bの途中に挿入した排気ファン5c及び前記脱臭槽5aから箱形ケース1の外部に延長する排気ダクト5bの最外部である排気口5dからなる排気手段5と、副室1bに配された二つの電動機6、6であって、前記回転攪拌手段3、3を回転駆動すべく、各々の回転軸3a、3aに回転伝達手段を介して連結した電動機6、6と、主室1の上部に横向きに開口した空気導入口7と、副室1bを通じて主室1aの上部から処理槽2中に浄水を供給する浄水供給配管(水分供給手段)16と、検知部が処理槽2内に挿入された被処理物水分測定センサ8、被処理物温度センサ9、pH測定用センサ10、被処理物量センサ15からなるセンサ群と、前記排気口5dに延長する排気ダクト5bの途中に挿入した排気風量センサ11と、処理槽2内を監視する槽内カメラ12と、図示しない制御手段とで構成したものである。
【0032】
前記箱形ケース1は、その外面に図示しない断熱材を施し、内部の保温を図ったものであり、その上面も閉じてあり、この実施例では、主室1a側のほぼ中央に、図示しない列車内のトイレの便器から延長した配管に接続する開口部1ahが開口してあり、その周縁には該配管との接続ようの連結用フランジが構成してある。この開口部1ahは、以上のように、この実施例では主室1aの上部中央付近に開口したものであるが、これに限定されず、自由な位置に開口可能である。
【0033】
前記箱形ケース1には、その主室1a側の端部の上部に一側端をヒンジ13h、13hを介して接続した蓋体13aで開閉自在に構成した基材投入口を兼用する内部点検口13bを構成し、その下方には、開閉自在な蓋体14aで閉じた被処理物取出口14bが開口してある。なお、被処理物取出口14bの蓋体14aは、図示しないボルト部材で確実に固定し、確実に該被処理物取出口14bを閉じることができるようにしてある。また前記内部点検口13bの蓋体13aは、ヒンジ13h、13hで接続した側と反対側の端部には、公知のロック手段13Lが配してあり、これにより確実に閉じた状態を保持できるようになっている。なおこの実施例では、このように構成しているが、内部点検口13bや被処理物取出口14bの位置やその蓋体13a、14aの構成等は、これに限らず、自由に作成可能である。
【0034】
前記処理槽2は、基本的に、上部開口の箱形の容器であるが、この実施例では、その内部に、前記のように、その長さ方向に沿って二本の回転攪拌手段3、3を平行に配するものであり、これに対応すべく、図3(b)に示すように、その両側底部を該回転攪拌手段3、3の回転時の回転羽根3b、3b…の先端の描く円弧に沿った断面円弧状に構成する。この処理槽2は、この実施例では、その容量を375Lとし、その内、その中に投入される後述する基材の容量は200Lとした。
【0035】
前記回転攪拌手段3、3…は、前記し、かつ図3(b)及び図4に示すように、処理槽2の内部にその長さ方向に沿って配する。その回転軸3a、3aの両端付近は各々処理槽2の両端に配した図示しない軸受によって回転自在に支持され、副室1bとの境界壁を貫通して該副室1b内に延長する側の端部は、前記したように、副室1bに配した電動機6、6と回転伝達手段を介して連結する。
【0036】
前記回転攪拌手段3、3は、図3(b)及び図4に示すように、この実施例では、前記回転軸3a、3aと、各回転軸3a、3aに、その軸心と直交する向きに取り付けられた複数の攪拌羽根3b、3b…とで構成したものである。攪拌羽根3b、3b…は、回転軸3a、3aに直交状態に取り付けた羽根軸3b1と、該羽根軸3b1に取り付けた断面V字形の羽根部材3b2とで構成する。該羽根部材3b2は、羽根軸3b1に、そのV字形の溝状部で羽根軸3b1を抱える状態に固定する。該攪拌羽根3b、3b…は、隣接する相互の角度を90度ずつ変えて回転軸3aに取り付ける。また隣接する攪拌手段3、3相互は、相互の攪拌羽根3b、3b…が相手方の隣接する攪拌羽根3b、3bの間に入る位置関係となるように構成する。
【0037】
該回転攪拌手段3、3の回転軸3a、3aと電動機6、6との間に介在する図示しない回転伝達手段は、ギア列やチェーンと鎖車等の種々のそれを自由に採用することが可能である。この実施例では、この回転伝達手段としては、鎖車とチェーンとで構成されたそれを採用した。
【0038】
前記シリコンコードヒータ4、4…は、ニクロム線をシリコンゴムで被覆したコード状のヒーターであり、図3(b)に示すように、これを前記処理槽2の底部にその長さ方向に沿って定間隔で相互に平行に配設したものである。なお、加温手段としては、これに限らず、処理槽2の内部の被処理物を適切に加温できる限り、面ヒータその他を自由に採用可能であることは云うまでもない。或いは、車両のエンジンの排熱や電動モータの発生熱を何らかの液状熱媒体等を利用して熱交換して利用することもできる。
【0039】
前記排気手段5は、前記し、図4及び図5(a)に示すように、排気ダクト5b、該排気ダクト5bの処理槽2側端に位置する図示しないフィルタ、脱臭槽5a、排気ファン5c及び排気口5dで構成したものであり、該排気ダクト5bは、主室1a中の処理槽2の上部に副室1bとの境界壁から開口し、該開口部に前記フィルタを配し、該開口部から途中に前記排気ファン5cを介在させて副室1b内の脱臭槽5aに連結し、更に脱臭槽5aの側部から大気中に延長し、その外端で大気中に開口する。この開口部が前記排気口5dである。なお該排気ダクト5bの該排気口5dの直前には図示しない電磁開閉弁が挿入してある。また同図に示すように、該排気ダクト5bの、前記排気ファン5cの処理槽2側直近の部位に、図示しない常時閉の電磁開閉弁を備えた圧縮空気導入配管5eを接続してある。この圧縮空気導入配管5eは、その他端側が車両に備えてあるコンプレッサのタンクに接続している。
【0040】
この排気手段5は、処理槽2側の開口端のフィルタを通じて排気ファン5cで処理槽2中で発生した種々のガス類を吸引し、該ガス類を脱臭槽5aに導入し、この中で脱臭し、その側部から脱臭済み排気を排出し、その外端の排気口5dを通じて大気中に放出するものである。なお、駅での停車中などには、前記排気ファン5cの動作を停止させ、かつ排気ダクト5b中の電磁開閉弁を閉じ、排気口5dから排気が放出されないようにするようになっている。この排気手段5は、脱臭して排気するものではあるが、完全に臭気が除去されるとは限らないので、このようにすることにより、乗降客等に不快な思いをさせないようにする趣旨である。また前記圧縮空気導入配管5eは、必要に応じて(定期的又は非定期的に)、その内部の電磁開閉弁を開いて、前記排気ダクト5bに、処理槽2側に逆流する圧縮空気を送給して、前記フィルタの目詰まりを防止できるようにする趣旨で配したものである。該フィルタは、処理槽2から排気と共に排出されることのある基材粉で目詰まりする虞があるからである。
【0041】
なお、前記排気ファン5cとしては、排気風量の調整が可能であるそれを採用した。排気風量は、この実施例では、後述する被処理物の水分割合で決まるレベル0の場合(水分不足の場合)に1m3/min、レベル1の場合(水分正常の場合)に3m3/min、レベル2の場合(水分過多の場合)に4.5m3/minに調整されるように設定した。このような排気ファン5cに対する排気風量の制御は、前記制御手段によって行われる。該制御手段は、被処理物水分測定センサ8からの検出信号を受けてレベル0〜2のいずれかであるかを判断し、それに応じて、前記のように排気ファン5cを制御する。なお、以上の排気風量は、他の種々の構成との関係で他の設定も当然可能である。
【0042】
前記脱臭槽2は、脱臭用の複合微生物を担持した基材を充填する。この実施例では、複合微生物を担持した基材として、活性汚泥を付着した木片を採用し、これを充填することとした。これによって処理槽2から導入された悪臭ガスを分解し無臭化しようとするものである。木片の樹種は問わないが、この実施例では、一辺が5〜10mm程度のサイズの立方体又は直方体の杉片を用いた。木片としてこのようなサイズの杉片を採用し、この木片と付着させる活性汚泥との併用割合は、容積に於ける比率で、活性汚泥が5〜20%程度となるようにした。これによって、要処理悪臭ガスとの接触面積を広く取り、かつ微生物の活動を活発にしながら、その間の悪臭ガスの通過をしやすくし、圧力損失を小さくする趣旨である。なお、この脱臭槽2の容量は、この実施例では、31Lとした。またこの脱臭槽2の底部には図示しない水抜き口を開口し、これに接続した水抜き管を通じて水抜きができるようにした。
【0043】
前記活性汚泥は、この実施例では、下水処理場又はし尿処理場に於いて発生する流動性を保持した濃縮活性汚泥を用いることとした。これ以外の活性汚泥を使用することも差し支えない。
【0044】
前記排気ダクト5bの前記排気口5d直前の電磁開閉弁は、前記のように、駅での停車時には、これを閉じて排気の放出を停止し、乗降客その他のホームを通行する客等に不快な思いをさせないようにする。以上の電磁開閉弁の動作は、これを搭載した車両が停止しているか否かを、前記制御手段が、車両に備えている車速センサから供給される車速信号を受け、その内容を判断して制御する。なお、車両の停止は、この他の種々の信号を利用して判断することができる。例えば、車両からドアの開閉信号の供給を受け、これが開を示している場合に車両が停止していると判断することも可能であり、更に、例えば、加速度センサを利用した独自の車速センサを作成して、これを利用することも可能である。
【0045】
前記電動機6、6は、前記したように、各々前記回転攪拌手段3、3の回転軸3a、3aに回転伝達手段を介して連結したものであり、前記制御手段による制御を受けて、該回転攪拌手段3、3を所望の回転速度で正回転及び逆回転させ得るようになっている。この実施例では、該回転攪拌手段3、3の運転は、各々「正転−停止−逆転−停止−」を繰り返すように構成し、その各々の時間は、後述するように、被処理物の水分割合がレベル0の場合は、その動作を完全に停止させ、レベル1の場合は、「正転3分−停止1分−逆転3分−停止1分−の繰り返し」に設定し、レベル2の場合は、「正転4分−停止1分−逆転4分−停止1分−の繰り返し」に設定したものである。その回転速度はこの実施例では各々3.3rpmとしたものである。具体的な事情に応じて種々設定可能であるが、この実施例のようなサイズの処理槽2で、二つの回転攪拌手段3、3を並列に配したような場合には、その回転速度は概ね2〜5rpmの範囲で設定可能である。
【0046】
前記空気導入口7は、前記し、図1、図2、図3(a)、(b)及び図5に示すように、箱形ケース1の主室1aの端部付近の天板に開口し、これを案内体で端部の延長方向に向きを変えて開口させたものであり、その内部には図示しない電磁開閉弁を備えたものである。該電磁開閉弁は、この実施例では、前記制御手段によって、前記排気手段5の排気ダクト5bの電磁開閉弁と連動して開閉するように構成したものである。
【0047】
前記浄水供給配管16は、図4に示すように、前記副室1b端部外から該副室1b内を通じて主室1aとの境界壁に至り、その上部を貫通して処理槽2の上部に開口する配管であり、前記副室1bから延長する側の端部は車両に搭載してある浄水タンクに接続させてある。この浄水供給配管16の処理槽2側の端部近傍には図示しない電磁開閉弁が装着してあり、浄水タンク側の端部付近には、該浄水タンク内の浄水を処理槽2側に送給するための、図示しないポンプ装置が挿入してある。なお、この場合、云うまでもなく、トイレの洗浄用水を、必要に応じて、処理槽2中に供給する浄水として利用することも可能である。なお又この浄水供給配管16の供給する浄水には、必要に応じて、基材中の微生物のための栄養剤やpH調整剤を添加しておくことができる。更に基材中の微生物に悪影響を与えない限り、脱臭剤等を添加しておいても良い。
【0048】
前記被処理物水分測定センサ8は、図5(b)に示すように、この実施例では、主室1aの被処理物取出口14bを閉じる蓋体14aにその検知部が処理槽2内に進入した状態になるように取り付けたものである。該被処理物水分測定センサ8は、前記回転攪拌手段3、3の回転軸3a、3aの一方の端部の側方でそれより低い位置に配置し、その位置の被処理物取出口14bの蓋体14aに取り付けたものである。なおこの実施例では、該被処理物水分測定センサ8として、市販の水分測定センサを採用した。この被処理物水分測定センサ8の検出水分信号は、前記制御手段に入力され、レベル0、1、2のいずれに該当するかの判断が行われ、その判断に基づいた制御対象要素の制御のために用いられる。
【0049】
前記被処理物温度センサ9は、図5(b)に示すように、この実施例では、主室1aの内部点検口13b及び被処理物取出口14bを開口した端部の端部壁にその検知部を処理槽2内に挿入した状態で取り付けたものである。高さ方向には前記回転攪拌手段3、3の回転軸3a、3aとほぼ同じくし、その一方の端部の側方に配置したものである。なおこの実施例では、該被処理物温度センサ9として、市販のサーミスタを採用したが、これ以外の種々の温度センサを採用することも可能である。この被処理物温度センサ9の検出温度信号は、前記制御手段に入力されることになっている。
【0050】
前記pHセンサ10は、図5(b)に示すように、この実施例では、主室1aの被処理物取出口14bを閉じる蓋体14aにその検知部が処理槽2内に進入した状態になるように取り付けたものである。該pHセンサ10は、前記回転攪拌手段3、3の回転軸3a、3aの一方の端部の側方でそれより低い位置に配置し、その位置の被処理物取出口14bの蓋体14aに取り付けたものである。なおこの実施例では、該pHセンサ10として、市販のそれを採用した。このpHセンサ10の検出pH信号は、前記制御手段に入力されることになっている。
【0051】
前記排気風量センサ11は、前記し、図5(a)に示すように、前記排気口5dの直前の排気ダクト5b中に挿入したものであり、この実施例では、該排気ダクト5b中の排気の流速を測定し、測定部位の断面積から単位時間当たりの排気風量を算出するものを採用した。この排気風量センサ11の検出排気風量信号は、前記制御手段に入力されることになっている。
【0052】
前記被処理物量センサ15は、図5(b)に示すように、この実施例では、主室1aの内部点検口13b及び被処理物取出口14bを開口した端部の端部壁にその検知部を処理槽2内に挿入した状態に取り付けたものである。高さ方向には該内部点検口13bの下縁とほぼ同じくし、その一端部の側方に配置したものである。この被処理物量センサ15は、排泄物及び基材からなる被処理物の量を測定するものであり、この実施例では、超音波位置センサを採用し、これにより被処理物の上面のレベルを測定するようにしたものである。これによって、被処理物の前記処理槽2の容量に対する割合を検出できるようにする趣旨である。なお、被処理物の量の検出は、この実施例では、嵩を測定しているが、これに代えて、その重量を測定することとしても良いことは云うまでもない。
【0053】
前記槽内カメラ12は、図1〜図3(a)、(b)及び図5(a)、(b)に示すように、この実施例では、前記箱形ケース1の主室1a側の端部寄りの天板上に保護ケースに内装した状態で固設したものである。保護ケースの下面は開口状態であり、他方、主室1aの天板の該当部位は部分的に透明のガラスで構成してあり、前記槽内カメラ12のカメラ本体は該ガラスを通じて内部を透視し、槽内を撮影可能にしているものである。またこの槽内カメラ12には、照明灯が付設してあり、槽内を照明するようになっている。なお、この槽内カメラ12は、ビデオカメラであり、映像信号は、前記制御手段に入力され、これを介して後記画像モニタで表示できるようになっている。
【0054】
前記制御手段は、この実施例では、演算部と、記憶部と、管理者がデータを入力し、または指令を与えるための入力手段であるキーボードと、センサ類の検出データ、各種の設定、指令の項目の表示その他の表示及び前記槽内カメラ12の撮影した映像等を表示するための画像モニタと、警告表示用のブザーとで構成したものである。なお前記キーボードに代えて画像モニタに構成したタッチパネルを採用することもできる。
【0055】
前記制御手段は、この実施例では、以下の制御動作を行うように構成した。
その1は、前記排気手段5の排気ダクト5bのフィルタの目詰まり防止動作である。
これは、該排気ダクト5bの前記排気ファン5cより処理槽2側で該排気ファン5cに近接する位置に接続した圧縮空気導入配管5eから、その電磁開閉弁を1秒間だけ開操作することにより、車両のコンプレッサで生成された圧縮空気を排気ダクト5bに導入し、該排気ダクト5bのフィルタに堆積しつつある基材粉等を処理槽2中に逆流させ、それらを除去することにより行うものである。
【0056】
その2は、被処理物の温度が異常低温になった場合の処理である。
前記被処理物温度センサ9から被処理物の温度である検出温度信号を受け取り、その温度が4℃を下回ると判定された場合は、前記回転攪拌手段3、3の回転動作を停止させ、同時に前記画像モニタに温度低下がある旨の警告表示をさせ、更にブザーを鳴動させる。その上で、前記シリコンコードヒータ4、4…の温度を120℃に上昇させ、加えて排気手段5の排気ファン5cの動作を停止させる。
【0057】
その3は、被処理物の量が基準値を越えた場合の処理である。
前記被処理物量センサ15から被処理物の上面レベル信号を受け取り、これが基準値である処理槽2の容量に対する一定割合を越えているか否かを判断し、これを越えていると判断された場合は、前記画像モニタに使用停止の表示を行い、前記ブザーを鳴動させる。
【0058】
その4は、被処理物のpHが基準値を越えた場合の処理である。
この実施例では、後述するように、微生物として酸性下で良好に活動するそれを使用することとしたので、その限界となるpH値を越えた場合の処理を行うものである。即ち、前記pH測定用センサ10から被処理物の検出pH信号を受け取り、これがpH7.2を越えていると判断される場合は、前記画像モニタにその旨の警告表示を行わせる。これは、微生物の活動が適切に行われていないことを示しているので、管理者は、詳細に他の全データを検討し、かつ被処理物の状態を観察して適切な処置をとるものとする。回転攪拌手段3、3の動作、シリコンコードヒータ4、4…の加熱動作、排気手段5の排気動作等の各動作の手動制御、水分の添加、微生物基材の追加、その他の処理を行う。
【0059】
その5は、被処理物の水分割合のレベルに応じた処理である。
この処理は、前記被処理物水分測定センサ8から被処理物の水分割合検出信号を受け、その水分割合のレベルが0、1、2のいずれに属するかを判定し、各場合に応じて、前記回転攪拌手段3、3、シリコンコードヒータ4、4…、浄水供給配管16のポンプ装置及び電磁開閉弁並びに排気手段5の動作を制御するものである。なお、排気手段5の排気動作が制御されると、処理槽2の上部空間が大気圧になり、或いは種々のレベルに減圧され、それに応じて前記空気導入口7からの大気の導入が自ずと制御されることになる。
【0060】
前記水分割合のレベルは、季節に応じる等により、被処理物の微生物による分解の進行状況等を観察しつつ、管理者が設定を種々に変更することが可能である。一例を示すと、次の通りである。レベル0=被処理物の水分率10%未満、レベル1=被処理物の水分率10%以上40%未満、レベル2=被処理物の水分率40%以上70%未満である。なお被処理物の水分割合が70%以上になると、回転攪拌手段3、3等の動作によって、微生物の正常な活動を回復することができる範囲を越えたことになる。
【0061】
この場合の制御手段の詳細な制御動作は以下の通りである。
被処理物の水分割合がレベル0の場合は、前記排気手段5は、その排気風量を1m3/minになるようにし、前記回転攪拌手段3、3は、その動作を停止させ、前記シリコンコードヒータ4、4…は、その加熱動作を停止させ、前記浄水供給配管16のポンプ装置はONとし、電磁開閉弁は開動作させ、浄水を処理槽2に供給する。
被処理物の水分割合がレベル1の場合は、前記排気手段5は、その排気風量を3m3/minになるようにし、前記回転攪拌手段3、3は、これを正転3分−停止1分−逆転3分−停止1分−の動作を繰り返させ、前記シリコンコードヒータ4、4…は、その温度が60℃となるようにし、前記浄水供給配管16のポンプ装置はOFFとし、電磁開閉弁は閉動作させ、浄水の供給を停止させる。
また被処理物の水分割合がレベル2の場合は、前記排気手段5は、その排気風量を4.5m3/minになるようにし、前記回転攪拌手段3、3は、これを正転4分−停止1分−逆転4分−停止1分−の動作を繰り返すようにし、前記シリコンコードヒータ4、4…は、その温度が120℃となるようにし、前記浄水供給配管16のポンプ装置はOFFとし、電磁開閉弁は閉動作させ、浄水の供給を停止させる。
【0062】
その6は、前記槽内カメラ12による映像の前記画像モニタによる表示である。
この実施例では、通常、被処理物温度センサ9、被処理物量センサ15、pH測定用センサ10、被処理物水分測定センサ8及び排気風量センサ11の検出結果データを画像モニタに表示する。前記槽内カメラ12の映像は、管理者が入力手段であるキーボードを操作して選択することにより、前記センサ類の検出結果データに代えて画像モニタに表示するように構成してある。
【0063】
その7は、センサ類の検出結果データの保管である。
前記被処理物温度センサ9、前記被処理物量センサ15、前記pH測定用センサ10、前記被処理物水分測定センサ8及び前記排気風量センサ11の検出結果データを受け取ると、前記のように、画像モニタに表示する一方で、それらのデータを記憶部に保存する。これらのデータの記録は、この実施例では、120分間のそれとし、それを越える以前のデータは、新たなデータが書き込まれる毎に削除されていくように構成してある。
【0064】
その8は、車両停止時の処理である。
車両の車速センサから車速信号を受け取り、これが車両の停止を示すものであると判定した場合は、前記排気手段5の排気ファン5cの動作を停止させ、同時に排気ダクト5bの電磁開閉弁及び空気導入口7の電磁開閉弁を閉じさせる。この動作は、引き続いて受け取った車速信号が車両が動き始めたことを示すと判定した場合は、解除され、電磁開閉弁は開き、排気ファン5cも通常通りに動作することになる。こうして車両が動き始めれば直ちに通常通りの動作となる。なお、この実施例では、車速センサを利用して車両の停止を判定しているが、前記のように、他の手段も採用可能であり、その場合も同様の動作となる。
【0065】
前記処理槽2に投入する基材として、この実施例では、好酸性微生物を担持した鋸屑を採用した。この好酸性微生物としては、スルフォロバス アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius ATCC49426)、アリサイクロバチルス センダイエンシス(Alicyclobacillus sendaiensis JCM11817)、バチルス(Bacillus)属細菌、及び乳酸菌などが採用可能である。この実施例では、スルフォロバス アシドカルダリウスを採用した。
【0066】
なお、この実施例では、市販の温度・湿度センサで構成した槽内温度・湿度センサを主室1内上部に配しておくこととする。槽内温度・湿度センサの温度信号及び湿度信号は制御手段に入力され、制御手段を通じて画像モニタに表示するようになっている。
なおまた、図1〜図5中、17a、17bは、車両の底部にこの箱形ケース1を取り付けるための取付片である。
【0067】
以下車両にこの実施例の鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置を取り付けた場合の動作を説明する。なお、この実施例では、この箱形ケース1の上部の開口部1ahには、真空式トイレの便器(大便器、小便器)から延長した排泄物用配管を接続して使用した。勿論、他の種類形式の便器を採用することも可能である。
【0068】
初めに前記蓋体13aを開いて、基材投入口を兼用する内部点検口13bから前記好酸性微生物を担持した基材を主室1a中の処理槽2内に投入する。投入量は、前記したように、200である。投入後には、当然、該蓋体13aで該内部点検口13bを閉じる。
【0069】
その後、この鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の運転を開始する。これを図6及び図7に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0070】
ステップs1に示すように、初めに箱形ケース1の主室1aの天板部に配した槽内カメラ12の撮影動作を開始させる。次いで、ステップs2に示すように、各種の基準値の設定変更をするか否かの応答が求められる。図8に示すように、制御手段の画像モニタに「基準値の設定と変更」画面が表示され、これに対して応答することが要求される訳である。同図に示すように、具体的には、被処理物水分率のレベル0、1、2の基準値の設定、そのレベル0、1、2に対応する排気手段5による三種の排気風量の値の設定、同様の場合のシリコンコードヒータ4、4…の対応する三種のヒータ温度の値の設定、同様の場合の浄水供給配管16のポンプ装置及び電磁開閉弁の対応する三種の動作態様の設定、同様の場合の回転攪拌手段3、3の対応する三種の回転動作態様の設定、更に警告を発する被処理物量(%)の設定、回転攪拌手段3、3の回転攪拌動作を停止させる被処理物の下限温度(℃)の設定、警告を発する被処理物のpH値の設定、データ記録時間の設定の欄が表示され、それらの欄に予め記入されている標準値の変更をするか否かの応答が求められる。
【0071】
変更を要しない場合は、単に決定ボタンをクリックすればよい。そうすれば、ステップs4に移行する。いずれかの変更を行いたい場合は、変更ボタンをクリックすれば、ステップs3に移行し、図8に示したように表示された画面中の変更を希望する欄の数値等を書き換え、所望の欄の全てを書き換えた後に決定ボタンをクリックすればよい。こうしてこの場合もステップs4に移行する。
【0072】
ステップs4は、排気手段5の排気ダクト5bの目詰まり防止動作である。先に説明した通り、前記電磁開閉弁を1秒間だけ開操作する。これによって、該排気ダクト5bの前記排気ファン5cより処理槽2側で該排気ファン5cに近接する位置に接続した圧縮空気導入配管5eから、車両のコンプレッサで生成された圧縮空気が排気ダクト5bに導入され、該排気ダクト5bのフィルタに堆積しつつある基材粉等が処理槽2中に逆流させられ、それらの除去が行われる。この目詰まり防止動作は、この実施例では、運転開始時毎に行うように構成した。
【0073】
この目詰まり防止動作が終了すると、ステップs5に移行し、制御手段は、前記被処理物水分測定センサ8、被処理物温度センサ9、pH測定用センサ10、被処理物量センサ15、排気風量センサ11及び車両が備えている車速センサからそれぞれ検出対象の現時点の検出結果信号を受け取り、これらを、次のステップs6に示すように、該制御手段の記憶部に保存する。
【0074】
続いて該記憶部から被処理物温度センサ9の直近の検出温度データが読み出され、ステップs7に示すように、これが4℃未満か否かの判断が行われ、そうであれば、ステップs8に移行し、前記回転攪拌手段3、3の回転攪拌動作が停止され、続いてステップs9に示すように、前記制御手段の画像モニタに警告表示が表示され、同時にブザーが鳴動することになる。他方、該回転攪拌手段3、3の回転攪拌動作の停止に引き続いて、ステップs10に移行し、前記シリコンコードヒータ4、4…が120℃まで昇温駆動するように制御され、更にステップs11に移行して、前記排気手段5の排気ファン5cの動作が停止される。これに伴って空気導入口7からの空気の導入も停止する。以上の回転攪拌手段3、3の動作停止、画像モニタの警告表示、ブザー鳴動、シリコンコードヒータ4、4…の120℃の加熱動作、排気ファン5cの動作停止は、制御手段によるこれを変更する制御信号が出されるか、手動による強制変更動作操作が行われるまでは、その停止状態又は動作が継続されるのは云うまでもない。
【0075】
この後、また前記ステップs5に移行して、前記したように、前記各種センサからの検出データが制御手段に読み込まれ、引き続いてステップs6でそれらのデータが記憶部に保存され、またステップs7に移行して記憶部から制御手段に被処理物温度の直近のデータが読み込まれ、被処理物温度が4℃未満か否かが判断される。
【0076】
今度は、前記回転攪拌手段3、3の停止及び前記シリコンコードヒータ4、4…の昇温動作等により、通常、被処理物の温度は上昇しているはずであり、そうであれば、ステップs7の判断は、「4℃未満ではない」、即ち、「No」ということになり、次のステップs12に移行することになる。
【0077】
ステップs12では、記憶部より、被処理物量センサ15の直近の検出データである被処理物量が読み出され、これが、基準値を越えているか否かが判断される。この基準値は、図8に標準値として示されている80%(処理槽2の容量の80%)であり、現在の被処理物量がこれを越えている場合は、ステップs13に移行して、使用停止表示が画像モニタに表示され、ブザーが鳴動されることになる。管理者は、この場合は、ブザーの鳴動を手動により停止させ、速やかにこの鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置に接続している車両内のトイレの使用を禁止し、可能な時点(例えば、車両基地などへの入区時)になった際に、蓋体14aを取り外して被処理物取出口14bを開いてオーバーしている被処理物を取り出すこととする。取出後は、当然、蓋体14aは元通りに取り付けておく。その後は、当然、使用禁止を解除し、手動により、動作をステップs5に戻し、動作を進行させる。
【0078】
この後は、既に説明したステップを経て、図7に示すように、ステップs14に移行する。被処理物量が基準値を越えていなかった場合も、当然、ステップs14に移行する。ステップs14では、前記記憶部からpH測定用センサ10の出力した被処理物の直近のpHデータを読み出し、これがpHに関する基準値を越えているか否かの判断がされる。基準値は、図8に示すように、この実施例では、標準値として採用されている「7.2」である。被処理物の直近のpH値が7.2を越えている場合は、ステップs15に移行して、前記画像モニタに警告表示がされる。
【0079】
pHが7.2を越えている場合は、前記微生物が良好な活動をしていない可能性が高いので、管理者は、画像モニタ中の表示を検討して、現在の装置の運転状態、及び槽内並びに被処理物状態を示すデータを検討し、更には、手動で、画像モニタの表示を前記槽内カメラ12の映像に切り換え、処理槽2内の状態の観察を行い、適切に対処する。例えば、回転攪拌手段3、3の動作、シリコンコードヒータ4、4…の加熱動作、排気手段5の排気動作等の各動作の手動制御、浄水供給配管16のポンプ装置及び電磁開閉弁の操作を通じた浄水の添加、微生物基材の追加又は栄養剤の添加、その他の処理を行う。
【0080】
その後、又は該pH値が「7.2」を越えていなかった場合は、いずれもステップs16に移行して、被処理物の水分率(%)がレベル0に該当するか否かが判断される。この実施例では、図8に示すように、レベル0の被処理物水分率は10%未満に、レベル1の被処理物水分率は10%以上40%未満に、レベル2の被処理物水分率は40%以上70%未満にそれぞれ設定されている。ステップs16では、前記記憶部から、被処理物水分測定センサ8の被処理物に関する直近の水分率データが読み出され、以上のように、これがレベル0を越えているか否かが判断される。即ち、10%未満か否かが判断される。
【0081】
この範囲内であると判断されれば、ステップs17に移行して回転攪拌手段3、3の回転攪拌動作が停止され、ステップ18に移行してシリコンコードヒータ4、4…の発熱動作が停止され、ステップs19に移行して排気風量が1m3/minになるように前記排気ファン5cの動作が制御され、更にステップs20に移行して浄水が処理槽2に供給されるように、前記浄水供給配管16のポンプ装置がONとなり、電磁開閉弁が開動作する。こうして被処理物は乾燥が進まないように配慮され、微生物の活動を活発化させるように処理される。なお、以上の回転攪拌手段3、3、シリコンコードヒータ4、4…、排気ファン5c、浄水供給配管16のポンプ装置及び電磁開閉弁の動作停止又は所定動作は、制御手段によってこれを変更する旨の制御信号が与えられるか、又は手動による変更操作が加えられるまではその動作又は動作停止状態が維持されるのは云うまでもない。次いでステップs21に移行し、以上の制御データが記憶部に保存され、前記ステップs5に戻り、以後はまたステップs5以降の動作が繰り返される。
【0082】
前記ステップs16で被処理物水分率がレベル0の範囲内になかった場合は、ステップs22に移行し、今度は、被処理物水分率がレベル1に該当するか否か、即ち、図8に示すように、被処理物の水分率が10%以上40%未満であるか否かが判断される。この範囲内であると判断されれば、ステップs23に移行して回転攪拌手段3、3の攪拌条件Aの動作が行われる。攪拌条件Aは、図8に示してある通り、正転3分−停止1分−逆転3分−停止1分−の繰り返しである。次いで、ステップs24に移行してシリコンコードヒータ4、4…の加熱動作がこれを60℃にすべく制御され、次にステップs25に移行して排気風量が3m3/minになるように前記排気ファン5cの動作が制御され、更にステップs26に移行して浄水が処理槽2に供給されないように、前記浄水供給配管16のポンプ装置がOFFとなり、電磁開閉弁が閉動作する。こうして被処理物は適切な水分状態を維持すべく配慮され、微生物の活発な活動が維持されるべく処理される。なお、この場合の回転攪拌手段3、3、シリコンコードヒータ4、4…、排気ファン5c及び浄水供給配管16のポンプ装置並びに電磁開閉弁の動作又は動作停止もこれを変更する制御信号又は手動による変更操作を受けるまでは、その動作状態又は停止状態を維持するのは同様である。次いで、ステップs21に移行し、以上の制御データが記憶部に保存され、前記ステップs5に戻り、以後は又ステップs5以降の動作が繰り返される。
【0083】
前記ステップs22で被処理物水分率がレベル1の範囲内になかった場合は、レベル2、即ち、図8に示すように、被処理物の水分率が40%以上70%未満であると判断され、直ちにそのステップに移行する。具体的には、ステップs27に移行して回転攪拌手段3、3の攪拌条件Bの動作が行われる。攪拌条件Bは、図8に示してあるとおり、正転4分−停止1分−逆転4分−停止1分−の繰り返しである。次いで、ステップs28に移行してシリコンコードヒータ4、4…の加熱動作がこれを120℃にすべく制御され、更にステップs29に移行して排気風量が4.5m3/minになるように前記排気ファン5cの動作が制御され、又更にステップs30に移行して浄水が処理槽2に供給されないように、前記浄水供給配管16のポンプ装置がOFFとなり、電磁開閉弁が閉動作する。こうして被処理物は過剰な水分を蒸発除去して適切な水分状態に戻すべく配慮され、微生物の活発な活動が回復されるべく処理される。なお、この場合の回転攪拌手段3、3、シリコンコードヒータ4、4…、排気ファン5c、浄水供給配管16のポンプ装置及び電磁開閉弁の動作状態又は不動作状態もこれを変更する制御信号又は手動による変更操作を受けるまでは、その動作状態又は不動作状態を維持するのは云うまでもない。次いで、ステップs21に移行し、以上の制御データが記憶部に保存され、前記ステップs5に戻り、以後は又ステップs5以降の動作が繰り返される。
【0084】
この鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の通常の運転は、以上の通りであるが、これを搭載した車両が駅等で停車した場合は、制御手段が、車両の車速センサから車速信号を受け取り、これが車両の停止を示すものであると判定した場合は、前記排気手段5の排気ファン5cの動作を停止させ、同時に排気ダクト5bの電磁開閉弁及び空気導入口7の電磁開閉弁を閉止させる。この動作は、引き続いて受け取った車速信号が車両が動き始めたことを示すと判定した場合には解除され、両電磁開閉弁は開き、排気ファン5cも通常通りに動作することになる。こうして車両が動き始めれば直ちに通常通りの動作となる。
【0085】
また前記通常の動作中、被処理物のpHが7.2を越えた場合や温度が4℃を下回った場合、その他の異常がセンサ類によって検出された場合、或いはその他の問題を感じた場合は、手動で前記画像モニタに該槽内カメラ12の映像を表示すべく切り換え、内部を詳細に観察検討することができる。例えば、ストッキングなどの回転攪拌手段3、3の攪拌動作を阻害する異物の混入確認等を行うことができる。
【0086】
また被処理物の状態が、外観的に、或いは表示されるデータの観点から、現在の回転攪拌手段3、3、シリコンコードヒータ4、4…、排気ファン5c等の動作では不適当である、と判断した場合等には、それらを前記制御手段のキーボードを介して手動制御することが可能であり、より適切な処理槽2の運転を行うことができる。具体的には、回転攪拌手段3、3の動作パターンを変更して動作させる、或いは停止させる、シリコンコードヒータ4、4…の加熱温度を変更する、或いは停止させる、排気ファン5cの単位時間当たりの排気風量を変更する、或いは停止する等である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】一実施例の鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の概略平面図。
【図2】一実施例の鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の概略側面図。
【図3】(a)は一実施例の鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の箱形ケースの副室側の概略端面図、(b)は図2のX−X線概略断面図。
【図4】一実施例の鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の天板を除去した状態の概略平面図。
【図5】(a)は一実施例の鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の箱形ケースの副室側のカバーを除去した状態の概略端面図、(b)は一実施例の鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の箱形ケースの主室側の概略端面図。
【図6】一実施例の鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の主たる動作の前半部を示したフロー図。
【図7】一実施例の鉄道車両内のトイレ用排泄物処理装置の主たる動作の後半部を示したフロー図。
【図8】画像モニタに表示される基準値の設定と変更画面を示す説明図。
【符号の説明】
【0088】
1 箱形ケース
1a 主室
1ah 開口部
1b 副室
2 処理槽
3 回転攪拌手段
3a 回転軸
3b 回転羽根
3b1 羽根軸
3b2 羽根部材
4 シリコンコードヒータ(加温手段)
5 排気手段
5a 脱臭槽
5b 排気ダクト
5c 排気ファン
5d 排気口
5e 圧縮空気導入配管
6 電動機
7 空気導入口
8 被処理物水分測定センサ
9 被処理物温度センサ
10 pH測定用センサ
11 排気風量センサ
12 槽内カメラ
13a 内部点検口の蓋体
13b 内部点検口
13h ヒンジ
13L ロック手段
14a 被処理物取出口の蓋体
14b 被処理物取出口
15 被処理物量センサ
16 浄水供給配管
17a、17b 取付片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体内のトイレの便器からその排泄物を導入すべくこれに連通し、導入する排泄物を微生物によって処理する移動体内のトイレ用排泄物処理装置であって、
該移動体の一部に配される処理槽と、
該処理槽内の排泄物及び微生物基材を含む被処理物を攪拌する攪拌手段と、
該処理槽内の被処理物を加温する加温手段と、
該処理槽内の発生ガスを排気する排気手段と、
該処理槽内に水分を供給する水分供給手段と、
該処理槽内の排泄物及び微生物基材を含む被処理物の水分状態を検出する水分センサと、
該水分センサの水分状態出力を受けて、前記攪拌手段、前記加温手段、前記排気手段及び前記水分供給手段の動作を制御し、処理槽内の被処理物の水分状態を適切に保持し、該被処理物の微生物処理が好適に行われるように制御する制御手段と、
で構成した移動体内のトイレ用排泄物処理装置。
【請求項2】
前記排気手段を、前記処理槽から外気に連通する排気ダクトと、該排気ダクトの途中に挿入したフィルタと、該排気ダクトのフィルタより外気側途中に挿入した排気ファンとで構成し、
更に該フィルタに目詰まり防止手段を配した請求項1の移動体内のトイレ用排泄物処理装置。
【請求項3】
前記排気手段の排気ダクトの途中に脱臭手段を挿入した請求項2の移動体内のトイレ用排泄物処理装置。
【請求項4】
前記被処理物の水分の状態を、少なくとも、水分不足、正常、水分過多に分け、
前記制御手段は、前記水分センサで検出した水分状態出力が前記水分不足に該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを低下させ、かつ水分供給手段に水分供給動作をさせるべく制御し、
前記水分センサで検出した水分状態出力が前記正常に該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを現在の状態に維持し、かつ水分供給手段による水分供給動作を停止させるべく制御し、
前記水分センサで検出した水分状態出力が前記水分過多に該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを向上させ、かつ水分供給手段による水分供給動作を停止させるべく制御するように構成した請求項1、2又は3の移動体内のトイレ用排泄物処理装置。
【請求項5】
前記被処理物の水分状態の内、水分過多を、正常な状態より僅かに水分が過剰な水分過多レベルXとそれより水分が更に過剰である水分過多レベルYとの二つに分け、
前記制御手段は、前記水分センサで検出した水分状態出力が、前記水分過多レベルXに該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを向上させるべく制御し、
前記水分センサで検出した水分状態出力が、前記水分過多レベルYに該当すると判断した場合は、前記加温手段の加温動作、前記攪拌手段の攪拌動作、前記排気手段の排気動作のそれぞれを前記水分過多レベルXの場合より向上させるべく制御するように構成した請求項4の移動体内のトイレ用排泄物処理装置。
【請求項6】
前記処理槽に、その内部の被処理物の量を検出するための被処理物量測定センサと、該被処理物の温度を測定する温度センサと、該被処理物のpHを測定するpHセンサと、前記排気手段の排気風量を測定する排気風量センサを配し、
他方、移動体内に、画像モニタを配し、前記被処理物量測定センサの検出結果、前記温度センサの検出結果、前記水分センサの検出結果、前記pHセンサの検出結果、並びに前記排気風量センサの検出結果の各々を前記画像モニタで表示し、
かつ前記被処理物量測定センサの検出結果により被処理物が所定量を越えていると判断される場合、前記温度センサの検出結果により被処理物の温度が所定温度を下回っていると判断される場合、前記pHセンサの検出結果により被処理物のpHが所定値を上回っていると判断される場合の各々の場合に、各々該当する警告表示又は警告動作を行い、
更に、前記制御手段による制御を手動制御に切り換えて、前記攪拌手段、前記加温手段及び前記排気手段を手動制御するための操作手段を備えた請求項1、2又は3の移動体内のトイレ用排泄物処理装置。
【請求項7】
前記制御手段を、移動体の停止時には、前記排気手段の排気動作を停止又は微風動作させるべく制御するように構成した請求項1、2又は3の移動体内のトイレ用排泄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−233609(P2009−233609A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84729(P2008−84729)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(590003825)北海道旅客鉄道株式会社 (94)
【出願人】(594133858)スターエンジニアリング株式会社 (20)
【出願人】(506409114)株式会社バイオラファー (5)
【Fターム(参考)】