説明

移動体動き体位検出装置

【課題】人等の移動体の動きや体位を正確に検出する装置の提供。
【解決手段】移動体へ送信波を放射し反射波を受信し周波数差分を電気信号として出力する装置と、前記装置から受けた前記電気信号における特定周波数帯域を2以上取り出す2以上のフィルタ回路と、2以上の前記特定周波数帯域の電気信号の各々において、電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判別し、その判断結果を信号として出力する手段と、各々の前記特定周波数帯域において、電圧の絶対値が基準電圧以上である時とそれ以外の時とを区別する信号を出力する手段と、その手段から出力される信号と移動体の姿勢とを関連付けたデータを記録した記録部と、前記手段から出力された信号を受けて、前記記録部に記録されたデータを用いて、前記移動体の姿勢を判断する処理部とを有する、移動体動き体位検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体動き体位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置を人の身体に装着または携帯させて人の動き(歩行状態、動的状態、静的状態など)や体位(立位、座位、臥位など)を加速度センサー、角度センサー、傾斜センサーなどで検出して特定する方法(特許文献1〜3参照)や、設置場所のトイレなどで人の転倒、姿勢、動きや体位をCCDカメラ、人体検知センサー、焦電型赤外線センサーを使用した画像入力装置などで検出して特定する方法が提案されている(特許文献4〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−285046号公報
【特許文献2】特開平10−165395号公報
【特許文献3】特開2004−81632号公報
【特許文献4】特開2001−28086号公報
【特許文献5】特開2001−67567号公報
【特許文献6】特開平05−149725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1〜3に記載のような、装置自体を人の身体に装着または携帯する方法にあっては、一日の24時間中、装着または携帯しなければならない。さらに装着または携帯の行為を忘れてしまうことがある。
また、特許文献4および5に記載のような、人体検知センサーおよび焦電型赤外線センサーを使用した画像入力装置においては、人体以外の熱源である太陽光、白熱電球、暖房機器の温風、加湿器の水蒸気、トイレの暖房便座などに反応して誤動作を起こし易く、また、ガラス、壁、襖など赤外線を透過しにくい物体が人の間にあると検出ができず、さらに、人の移動が高速の場合や睡眠時など身体の動きが小さい場合は検出が困難となり、加えて、トイレ利用時や就寝時には身体の動きが小さくなり検出ができない。
また、特許文献4に記載のCCDカメラにあっては、プライバシーの問題を解決したとされるが、少なくとも人は撮影されている意識が働き敬遠される。さらに、特許文献4に記載の方法では、輝点投影手段とCCDカメラ等による輝点画像撮影手段で体位を判断しているが、各々の手段の設置位置関係を固定した上で判断計算処理を求められる。また取り付け作業も困難である。
また、特許文献5に記載の方法では体位の判断はできない。
また、特許文献6に記載の方法では、画像入力手段である、焦電型赤外線センサーを使用した画像入力装置の設置位置が、人との高さおよび映り込み角度によっては体位の判断が困難となる。さらに、少なくとも撮影範囲に人が存在する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、装置自体を人の身体に装着または携帯すること無く人の近辺に装置を設置する方法であって、人体等の移動体以外の熱源による誤動作が起こらず、就寝時等の移動体の微小な動きを検出することもでき、さらに、体位をより正確に検出することができる移動体動き体位検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意検討し本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(3)である。
(1)移動体へ電波または音波である送信波を放射し、反射波を受信し、前記送信波と前記反射波との周波数差分を電気信号として出力するドップラー装置と、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタおよびバンドパスフィルタからなる群から選ばれる少なくとも1つからなり、前記ドップラー装置から受けた前記電気信号における特定周波数帯域を2以上取り出す2以上のフィルタ回路と、2以上の前記フィルタ回路を通過させることで取り出した、2以上の前記特定周波数帯域の電気信号の各々において、電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判別し、その判断結果を信号として出力するコンパレータ手段と、前記コンパレータ手段から出力された信号を用いて、各々の前記特定周波数帯域において、電圧の絶対値が基準電圧以上である時または当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間の間に含まれる時と、それ以外の時とを区別する、前記特定周波数帯域の情報を含む信号を出力する整流手段と、前記整流手段から出力される信号と移動体の姿勢とを関連付けたデータを記録した記録部と、前記整流手段から出力された信号を受けて、前記記録部に記録されたデータを用いて、前記移動体の姿勢を判断する処理部とを有する、移動体動き体位検出装置。
(2)前記ドップラー装置が、鉛直方向の2箇所以上の高さにおいて前記送信波を放射し、各高さにおける前記電気信号を出力するものであり、前記フィルタ回路が、各高さの前記電気信号において、前記特定周波数帯域を取り出すものであり、前記コンパレータ手段が、各高さの前記電気信号において、前記判断結果を信号として出力するものであり、前記整流手段が、各高さにおいて、前記特定周波数帯域の情報を含む信号を出力するものであり、前記記録部が、各高さにおいて、前記整流手段から出力された信号と移動体の姿勢とを関連付けたデータを記録したものである、上記(1)に記載の移動体動き体位検出装置。
(3)さらに、判断した姿勢が特定の姿勢であるかを判断して、特定の姿勢である場合に警報を発する、上記(1)または(2)に記載の移動体動き体位検出装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ストーブなど暖房器具がある部屋や浴室や暖房便座式トイレなどにおいて、人体以外の熱源による誤動作が起こらない。また、身体の静止時において呼吸による微小な動きを検出することもできる。さらに、体位(立位、座位、臥位)が正確に検出できる。これにより人の歩行時の転倒や生活活動の様子で安否確認ができる。さらに設置された空間範囲への出入りの確認においては、出入口ドアの開閉による磁気式開閉センサーなどを使用せずに、存在と不在、在宅と外出などの状態が確実に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の装置をトイレに設置した例を示す概略図である。
【図2】本発明の装置を浴室に設置した例を示す概略図である。
【図3】本発明の装置を室内に設置した例を示す概略図である。
【図4】本発明の装置を室内に設置した例を示す別の概略図である。
【図5】本発明の装置を説明するためのフロー図である。
【図6】フィルタ回路を説明するための概略図である。
【図7】ドップラー信号切替器について説明するための概略図である。
【図8】ドップラー信号切替器について説明するための別の概略図である。
【図9】本発明の装置におけるコンパレータ手段と整流手段とを説明するための具体例を示す図である。
【図10】実施例において記録部に記録したデータを示す図である。
【図11】別の実施例において記録部に記録したデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について、以下に詳細に説明する。
以下では本発明の移動体動き体位検出装置を、単に「本発明の装置」ともいう。
【0010】
本発明の装置は、例えば図1に示すようにトイレに設置して用いることができる。本発明の装置をトイレに設置すると、トイレを利用する高齢者等がトイレの中で例えば体調不良になって倒れた場合に、トイレの外に存する他者(家族等)に、すみやかに知らせることができる。
また、本発明の装置は、例えば図2に示すように浴室に設置して用いることができる。本発明の装置を浴室に設置すると、浴室を利用する高齢者等が浴室の中で例えば体調不良になって倒れた場合に、浴室の外に存する他者(家族等)に、すみやかに知らせることができる。室内や廊下などに設置して、同様の機能を発揮することもできる。
また、本発明の装置は、例えば図3に示すように防犯装置として用いることができる。本発明の装置を室内や玄関等に設置すると、不在時における侵入者等の有無を判断して、その判断結果を外出中の家主や防犯警備会社等に発信することができる。
また、本発明の装置は、例えば図4に示すように安否確認装置として用いることができる。本発明の装置を室内等に設置すると、留守番をしている子供や高齢者の安否を、例えば外出中の者に知らせることができる。
また、本発明の装置は、安全確認装置として用いることができる。本発明の装置を、例えば列車のレール上を監視するために用いることで、レール上に人等の移動体が存するか否かを判断し、存する場合は、その情報を列車の運転者等に知らせることができる。
【0011】
<ドップラー装置>
本発明の装置は、移動体へ電波または音波である送信波を放射し、反射波を受信し、前記送信波と前記反射波との周波数差分を電気信号として出力するドップラー装置を有する。
ここで移動体とは「移動し得る物」を意味し、具体例としては、生体(人、動物など)、電車、自動車が挙げられる。
また、ドップラー装置から前記移動体へ放射される送信波は、電波または音波であり、電波であることが好ましい。電波または音波である送信波の周波数は、10GHz〜25GHzであることが好ましい。また、20KHz〜1000KHzであることが好ましい。
【0012】
本発明の装置が有するドップラー装置は、移動体へ送信波を放射することができ、それによって反射した反射波を受信することができ、さらに前記送信波と前記反射波との周波数差分を電気信号として出力することができる機能を備えるものである。
このような機能を備えるものであれば、本発明の装置が有するドップラー装置は特に限定されない。本発明の装置が有するドップラー装置として、具体的には、新日本無線株式会社製の型番NJR4178J(10.5GHz帯域)や型番NJR4261J(24GHz帯域)が挙げられる。
【0013】
本発明の装置として、図5に示す態様のもの(本発明の装置10)が挙げられるが、図5に示すもののように、鉛直方向の2箇所以上の高さにおいて前記送信波を放射し、各高さにおける前記電気信号を出力するドップラー装置100を用いることが好ましい。図5に示す態様において、ドップラー装置は、移動体(図5においては人2)へアンテナ121、122から送信波101a、102aを放射することができ、それによって反射した反射波101b、102bを受信することができ、さらに送信波101a、102aと反射波101b、102bとの周波数差分を電気信号111、112として出力することができる。
このように、本発明の装置におけるドップラー装置が、前記移動体へ鉛直方向の2箇所以上の高さにおいて前記送信波を放射し、各高さにおいて反射波を受信し、各高さにおける前記電気信号を出力するドップラー装置であると、前記移動体の姿勢等をより正確に判断することができるので好ましい。このような態様として、図5に示した所望の高さの各々に送信波を放射できるアンテナ等の部分を有する態様の他、送信波を放射できる1つのアンテナ等の部分が鉛直方向に移動し、複数の所望の高さの各々において送信波を放射することができる態様が挙げられる。また、送信波を放射できる2つ以上のアンテナ等の部分が鉛直方向に移動して、所望の高さにおいて送信波を放射してもよい。また、送信波を放射できる1つのアンテナ等の部分が鉛直方向の所望の部位に送信波を放射することができる、例えば首振り方式の態様が挙げられる。
【0014】
また、例えば図1〜4に示したような部屋の中、または屋外を、ドップラー装置自体が移動してもよい。
【0015】
また、送信波を放射するアンテナとして、H面扇型ホーンアンテナを用いることが好ましい。指向性が高く、所望の高さのみに送信波を放射することができるからである。
【0016】
<フィルタ回路>
本発明の装置は、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタおよびバンドパスフィルタからなる群から選ばれる少なくとも1つからなり、前記ドップラー装置から受けた前記電気信号における特定周波数帯域を2以上取り出す2以上のフィルタ回路を有する。
すなわち、本発明の装置は、前記ドップラー装置から受けた前記電気信号の1つに対して、フィルタ回路を2以上有する。例えば図5に示した態様のものであれば、2つのアンテナを用いてドップラー装置が出力した2つの電気信号111および電気信号112の各々に、2つずつフィルタ回路が存在する。
【0017】
フィルタ回路は入力された電気信号における特定の周波数成分を取り出すための電気回路である。ハイパスフィルタは高域通過濾過器ともいい、電気信号の高い周波数成分を取り出すフィルタ回路である。ハイパスフィルタによれば、所望の周波数よりも低い周波数成分は抑制される。また、ローパスフィルタは低域通過濾過器ともいい、電気信号の低い周波数成分を取り出す回路である。ローパスフィルタによれば、所望の周波数よりも高い周波数成分は抑制される。また、バンドパスフィルタは帯域通過濾過器ともいい、電気信号の特定の周波数成分を取り出すフィルタ回路である。
ローパスフィルタ、ハイパスフィルタおよびバンドパスフィルタの各々としては、例えば図6に示す態様が挙げられる。
【0018】
本発明の装置は、例えば図6に示すようなローパスフィルタ、ハイパスフィルタおよびバンドパスフィルタからなる群から選ばれる少なくとも1つからなる。そして、前記電気信号における特定周波数帯域を2以上取り出す2以上のフィルタ回路を有する。
【0019】
本発明の装置が有するフィルタ回路は、例えば図5に示すように、ローパスフィルタとハイパスフィルタとからなるフィルタ回路201aおよびフィルタ回路202a、ならびにローパスフィルタからなるフィルタ回路201bおよびフィルタ回路202bを有する。
ここで、フィルタ回路201a、201bによって、電気信号111における特定周波数帯域を2つ取り出すことができる。例えばフィルタ回路201aが、40Hz以上を通過させないローパスフィルタと2Hz以下を通過させないハイパスフィルタとであると、フィルタ回路201aによって2〜40Hzの特定周波数帯域を取り出すことができる。また、フィルタ回路201bが、2Hz以上を通過させないローパスフィルタであると、フィルタ回路201bによって0〜2Hzの特定周波数帯域を取り出すことができる。
フィルタ回路201aおよびフィルタ回路201bの各々を通過させることで取り出した、特定周波数帯域の電気信号211aおよび電気信号211bは、各々、コンパレータ手段へ出力される。
なお、本発明の装置においては、図5に示すように、ドップラー装置100から出力された電気信号111、112を増幅する増幅器205a、205b、205cを備えることが好ましい。
【0020】
また、本発明の装置が有するフィルタ回路によって取り出す2以上の特定周波数帯域は、相対的に低い周波数帯域と、相対的に高い周波数帯域とを含むことが好ましい。例えば椅子に座っている状態、就寝中、倒れている状態等の場合においては、人等の移動体の動きは静止した状態であり、ドップラー電機信号の出力は低い周波数帯域に集中している。逆に、人等の移動体が歩く等活動的である場合は、ドップラー電気信号の出力は高い周波数帯域に集中する。例えば、上記のように、相対的に低い周波数帯域として0〜2Hzの特定周波数帯域と、相対的に高い周波数帯域として2〜40Hzの特定周波数帯域とを、フィルタ回路で取り出すことが好ましい。
【0021】
また、本発明の装置が有するフィルタ回路によって取り出す特定周波数帯域は、各々、重なる部分がないことが好ましい。例えば、上記のように、フィルタ回路201によって2〜40Hzの特定周波数帯域を取り出し、フィルタ回路202によって0〜2Hzの特定周波数帯域を取り出すと、重なる部分がないこととなる。
【0022】
前記ドップラー装置は、前記移動体へ鉛直方向の2以上の高さにおいて前記送信波を放射し、各高さにおいて反射波を受信し、各高さにおける前記電気信号を出力するドップラー装置である場合、特定の高さにおける前記電気信号のみをフィルタ回路へ入力できるように、ドップラー装置とフィルタ回路との間に、切替器を有することが好ましい。
例えば図7に示すような鉛直方向の3つの高さに送信波を放射できるアンテナを有する場合、本発明の装置がドップラー装置100とフィルタ回路250との間に切替器150を有すると、3つのアンテナ121、122、123から取得した周波数差分を示す電気信号の各々を、自在にフィルタ回路へ入力することができる。
一方、図7に示す場合と同様に、3つのアンテナ121、122、123の各々から周波数差分を示す電気信号を取得した場合でも、図8に示すように、電気信号111、112、113の各々を個別に受信する3つのフィルタ回路201、202、203を有するものであってよい。この場合、上記の切替器150はなくてもよい。なお、ここで各々のフィルタ回路に2以上のフィルタ回路が存する。例えば、図7に示すフィルタ回路250はフィルタ回路250aとフィルタ回路250bとを有し、図8に示すフィルタ回路201はフィルタ回路201aとフィルタ回路201bとを有する。
【0023】
<コンパレータ手段および整流手段>
本発明の装置は、2以上の前記フィルタ回路を通過させることで取り出した、2以上の前記特定周波数帯域の電気信号の各々において、電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判別し、その判断結果を信号として出力するコンパレータ手段を有する。
コンパレータ手段は、コンピュータにおける中央処理装置で実施され得る。
【0024】
本発明の装置は、2以上の前記フィルタ回路を通過させることで取り出した、2以上の前記特定周波数帯域の電気信号の各々についてコンパレータ手段を有する。また、前記ドップラー装置が、前記移動体へ鉛直方向の2箇所以上の高さにおいて前記送信波を放射し、各高さにおいて反射波を受信し、各高さにおける前記電気信号を出力する場合、コンパレータ手段は、各高さの前記電気信号において、前記判断結果を信号として出力することが好ましい。
例えば、本発明の装置が図5に示す態様の場合、本発明の装置10は、フィルタ回路201aを通過させて取り出した電気信号211aにおける電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判別するコンパレータ手段301aと、フィルタ回路201bを通過させて取り出した電気信号211bにおける電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判別するコンパレータ手段301bと、フィルタ回路202aを通過させて取り出した電気信号212aにおける電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判別するコンパレータ手段302aと、フィルタ回路202bを通過させて取り出した電気信号212bにおける電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判別するコンパレータ手段302bとを有する。
そして、コンパレータ手段301aは電気信号211aにおける電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判断して、その結果を、信号311aとして出力する。コンパレータ手段301b、302a、302bについても同様に、電気信号211b、212a、212bにおける電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判断して、その結果を、信号311b、312a、312bとして出力する。
【0025】
また、本発明の装置は、前記コンパレータ手段から出力された信号を用いて、各々の前記特定周波数帯域において、電圧の絶対値が基準電圧以上である時または当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間の間に含まれる時と、それ以外の時とを区別する、前記特定周波数帯域の情報を含む信号を出力する整流手段を有する。
整流手段は、コンピュータにおける中央処理装置で実施され得る。
【0026】
また、前記ドップラー装置が、前記移動体へ鉛直方向の2箇所以上の高さにおいて前記送信波を放射し、各高さにおいて反射波を受信し、各高さにおける前記電気信号を出力する場合、整流手段は、各高さにおいて、前記特定周波数帯域の情報を含む信号を出力することが好ましい。
【0027】
コンパレータ手段および整流手段について図9を用いて説明する。図9(a)は、図5を用いて説明した本発明の装置におけるフィルタ回路201bを通過させることで取り出した、特定周波数帯域の電気信号211bの電圧を時系列で示したグラフの具体例であり、図9(b)は、図9(a)に示した電気信号211bの電圧の絶対値が、基準電圧以上となっているか否かをコンパレータ手段301bによって判別し、その判断結果である信号311bを示したグラフであり、図9(c)は、図9(b)に示した信号311bが、電圧の絶対値が基準電圧以上である時または当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間の間に含まれているかを整流手段400によって判断して、それらを区別する信号410を示したグラフである。
【0028】
図9(a)における基準電圧20、20´は予め設定される。プラス側とマイナス側とに設けられ、通常、それらの絶対値を同一とする。この絶対値は特に限定されず、移動体の性質等によって定められる。例えば移動体が人である場合、基準電圧の絶対値は1V程度が好ましい。
【0029】
図9(a)においてT1、T2およびT3で示される時間は、電気信号211bの絶対値が基準電圧以上となっている。よって、これらの時にコンパレータ手段301bは、電気信号211bの絶対値が基準電圧以上となっていることを示す信号311bを出力する。そして、電気信号211bの絶対値が基準電圧以上となっている場合は信号311bとして「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力しており、その結果を図9(b)に示している。コンパレータ手段は「1」または「0」のような2値の信号を出力することが好ましい。また、コンパレータ手段はデジタル信号を出力してもよいし、アナログ信号を出力してもよい。
【0030】
図9(b)におけるt0、t2およびt4は、基準電圧未満から電気信号211bの絶対値が基準電圧以上へ変化し、コンパレータ手段301bから出力された信号311bが「0」から「1」へ変化した時を示しており、t1、t3およびt5は、電気信号211bの絶対値が基準電圧以上から基準電圧未満へ変化し、コンパレータ手段301bから出力される信号311bが「1」から「0」へ変化した時を示している。
【0031】
図9(c)では、図9(b)に示した信号311bが、「電圧の絶対値が基準電圧以上である時」または「当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間」の間に含まれているかを整流手段400によって判断して、含まれている場合には信号410として「1」、含まれていない場合に「0」を出力していることを示している。このように整流手段は2値の信号を出力することが好ましい。また、整流手段はデジタル信号を出力してもよいし、アナログ信号を出力してもよい。また、図9(c)に示した場合においては、設定時間を2秒としている。この設定時間は特に限定されず、移動体の性質等によって定められる。例えば移動体が人である場合、設定時間は0.5〜5秒であることが好ましく、2秒程度であることがより好ましい。
【0032】
図9(c)では、t0〜t1の間は「電圧の絶対値が基準電圧以上である時」であるので、整流手段400は信号410として「1」を出力している。そしてt1〜t2の間は「電圧の絶対値が基準電圧以上である時」ではないが、予め設定した2秒よりも短い時間であるので、「当該基準電圧以上でなくなった時(:t1)から予め設定した設定時間」に該当するので、整流手段400は信号410として「1」を出力している。t3〜t4の間もt1〜t2の間と同様である。
そして、t5以降は整流手段400から出力される信号410が「0」となっているが、t5から設定時間経過後(ここでは2秒後)であるt6までの間は「当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間」に該当するので、整流手段400は信号410として「0」を出力している。
6以降はコンパレータ手段301bから出力される信号311bが「0」であり、かつ「当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間」にも該当しないため、図9(c)に示される整流手段400が出力する信号410は「0」となる。
【0033】
整流手段から出力される信号には、前記コンパレータ手段から出力される信号が「電圧の絶対値が基準電圧以上である時」または「当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間」の間に含まれているか否かの判断結果が含まれている。例えば、図9(c)に示したような情報(例えば「0」または「1」の情報)が含まれている。
そして、このような整流手段から出力される信号には、前記特定周波数帯域の情報が含まれる。ここで、前記特定周波数帯域の情報とは、前記フィルタ回路を用いて取り出した前記電気信号の周波数帯域の情報(例えば、その周波数帯域の範囲を示す情報)であり、前記ドップラー装置が鉛直方向の2箇所以上の高さにアンテナ等を有し、各高さにおける前記電気信号を出力する場合は、その高さについての情報を含む。例えば、図5および図9を用いて説明した態様の場合、信号410には、「0」または「1」の情報と、その情報がアンテナ121から取得されたことを示す情報と、電気信号111における0〜2Hzの部分を特定周波数帯域として取り出したことを示す情報とを含む。
【0034】
<記録部>
本発明の装置は、前記整流手段から出力される信号と移動体の姿勢とを関連付けたデータを記録した記録部を有する。
すなわち、前記コンパレータ手段から出力される信号が「電圧の絶対値が基準電圧以上である時」または「当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間」の間に含まれているか否かの判断結果の情報(「情報α」とする。)と、その情報がいずれのアンテナから取得されたかを示す情報(「情報β」とする。)と、特定周波数帯域を示す情報(「情報γ」とする。)との組み合わせ、各々の組み合わせに応じて移動体の姿勢を示す情報(「情報θ」とする。)を関連付けたデータを予め実験等を行って求めておき、そのデータを記録部に記録しておく。このデータの内容は、本発明の装置を設置する場所や各種条件によって変化し得る。
【0035】
前述の図5および図9を用いて説明した例を用いて具体的に説明する。ここで、図9を用いて説明した場合と同様に、前記コンパレータ手段から出力される信号が「電圧の絶対値が基準電圧以上である時」または「当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間」の間に含まれている場合、それを示す情報αとして前記整流手段から出力される信号には「1」が含まれ、前記コンパレータ手段から出力される信号が「電圧の絶対値が基準電圧以上である時」および「当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間」の間に含まれていない場合、それを示す情報αとして前記整流手段から出力される信号には「0」が含まれるものとする。
【0036】
このような場合、本発明の装置は、前記整流手段から出力される信号と移動体の姿勢とを関連付けたデータとして、例えば次のようなデータA〜Eを記録した記録部を有する。
【0037】
[データA]
情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であるならば、情報θは「移動体は存在していない」とするデータがデータAである。
【0038】
[データB]
情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「1」であり、かつ、情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「1」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「1」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「1」であるならば、情報θは「移動体は存在しており、立ち状態で活動している。」とするデータがデータBである。
【0039】
[データC]
情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「1」であり、かつ、情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「1」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であるならば、情報θは「移動体は存在しており、立ち状態で静止している。」とするデータがデータCである。
【0040】
[データD]
情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「1」であり、かつ、情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であるならば、情報θは「移動体は存在しており、転倒した状態で静止している。」とするデータがデータDである。
【0041】
[データE]
情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「1」であり、かつ、情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「1」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であるならば、情報θは「移動体は存在しており、転倒した状態で活動している。」とするデータがデータEである。
【0042】
前記特定周波数帯域の情報を含む前記整流手段から出力される信号と移動体との姿勢を関連付けた上記のようなデータを予め実験等を行って作成しておき、本発明の装置が有する記録部に記録しておく。記録部とは、具体的にはハードディスク、CD、FD、MOなどである。
【0043】
<処理部>
本発明の装置は、前記整流手段から出力された信号を受けて、前記記録部に記録されたデータを用いて、前記移動体の姿勢を判断する処理部を有する。
すなわち、前記整流手段から出力された信号に含まれる、前述の情報α、情報βおよび情報γを受けて、前記記録部に記録された、例えばデータA〜Eのようなデータを用いて、前記移動体の姿勢を判断する。
例えば、前記整流手段から出力された信号に、情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ121から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における0〜2Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であり、かつ、情報βがアンテナ122から取得されたことを示す情報であり、情報γがフィルタ回路によってドップラー装置から受けた電気信号における2〜40Hzの周波数帯域を取り出したことを示す情報である場合に情報αが「0」であるならば、データAを用いて、移動体の姿勢を「移動体は存在していない」と判断する。
【0044】
本発明の装置は、上記のような構成を備え、時々刻々と、前記移動体の姿勢を判断する。そして、判断した姿勢が特定の姿勢であるかを判断して、特定の姿勢である場合に警報を発するものであることが好ましい。
例えば、本発明の装置をトイレや浴室に設置して用いる場合であって、本発明の装置の処理部が「移動体は存在しており、転倒した状態で静止している。」と判断した場合、トイレまたは浴室の外に存する他者(家族等)にすみやかに知らせるために、ブザー等の警報を発する構成を備えることが好ましい。
【0045】
また、例えば浴室のような閉空間に、本発明の装置を設置して移動体の動き等を検出する場合、閉空間に入る前に予め移動体の種類を確認することが好ましい。例えば、浴室に犬が浸入した場合、本発明の装置による移動体の動き等の検出の精度が低下してしまう。そこで、例えば浴室に入る前に移動体の重量を測定する機械を本発明の装置が備え、これによって移動体の種類をある程度確認し、その重量等の情報を移動体の動き等の判断に加えることが好ましい。
【実施例】
【0046】
<実施例1>
本発明の装置を、図1のようにトイレに設置した。ここで用いた本発明の装置は図5に示した態様のものである。ドップラー装置として、新日本無線株式会社製の型番NJR4178J(10.5GHz帯域)または型番NJR4261J(24GHz帯域)を用いた。
具体的には、アンテナ121は人が立った状態の場合に膝付近に電波を放射する高さに設置されており、アンテナ122は人が立った状態の場合の胸付近に電波を放射する高さに設置されている。
また、フィルタ回路201aおよびフィルタ回路202aは、いずれも、40Hz以下を通すローパスフィルタと2Hz以上を通すハイパスフィルタからなり2〜40Hzを通すものであり、フィルタ回路201bおよびフィルタ回路202bは、いずれも、2Hzを通すローパスフィルタである。
また、コンパレータ手段301a、301b、302a、302bは、いずれも、図9(a)、(b)を用いて説明した態様と同様であって、基準電圧を1Vとし、基準電圧以上であれば「1」、基準電圧未満であれば「0」を出力する。
また、整流手段400は図9(c)を用いて説明した態様と同様であって、前記コンパレータ手段から出力される信号が「電圧の絶対値が基準電圧以上である時」または「当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間」の間に含まれている場合は「1」、含まれていない場合は「0」を出力する。ここで設定時間は2秒とした。
【0047】
また、図10に示すデータを記録部に記録した。図10に示す表においては、アンテナ121を「高さ(下)」で表しており、アンテナ122を「高さ(上)」で示している。
図10(a)は、いずれの高さにおけるいずれの周波数帯域においても「0」であり、このような場合、移動体の姿勢は「移動体は存在していない」とするデータである。
図10(b)は、いずれの高さにおけるいずれの周波数帯域においても「1」であり、このような場合、移動体の姿勢は「移動体は存在しており、立ち状態で活動している。」とするデータである。
図10(c)は、0〜2Hzの周波数帯域ではいずれの高さにおいても「1」であり、2〜40Hzの周波数帯域ではいずれの高さにおいても「0」であり、このような場合、移動体の姿勢は「移動体は存在しており、立ち状態で静止している。」とするデータである。
図10(d)は、「高さ(上)」ではいずれの周波数帯域においても「0」であり、「高さ(下)」では0〜2Hzの周波数帯域で「1」、2〜40Hzの周波数帯域で「0」であり、このような場合、移動体の姿勢は「移動体は存在しており、転倒した状態で静止している。」とするデータである。
図10(e)は、「高さ(上)」ではいずれの周波数帯域においても「0」であり、「高さ(下)」ではいずれの周波数帯域においても「1」であり、このような場合、移動体の姿勢は「移動体は存在しており、転倒した状態で活動している。」とするデータである。
【0048】
そして、処理部600は整流手段400から出力された信号410を受けて、記録部500に記録されたデータを用いて、人2の姿勢を判断する。
判断した結果、人2が「移動体は存在しており、転倒した状態で静止している。」に該当する場合は、ブザー700から警報を発する。
【0049】
このような本発明の装置をトイレに設置して用いたところ、人がトイレ内で転倒した状態で静止しているときにはブザーがなった。その他の人の姿勢についても、処理部は正確に判断した。
【0050】
<実施例2>
本発明の装置を、図2のように浴室に設置した。ここで用いた本発明の装置は実施例1と同様のものである。
本発明の装置を浴室に設置して用いたところ、人が浴室内で転倒した状態で静止しているときにはブザーがなった。その他の人の姿勢についても、処理部は正確に判断した。
【0051】
<実施例3>
本発明の装置を、図3または図4のように室内に設置した。ここで用いた本発明の装置は実施例1で用いたものと、記録部に記録したデータ以外は同様のものである。
記録部に記録したデータは図11に示すものである。
図11に示す表においては、アンテナ121を「高さ(下)」で表しており、アンテナ122を「高さ(上)」で示している。
図11(a)は、いずれの高さにおけるいずれの周波数帯域においても「0」であり、このような場合、移動体の姿勢は「移動体は存在していない」とするデータである。
図11(b)は、いずれの高さにおけるいずれの周波数帯域においても「1」であり、このような場合、移動体の姿勢は「移動体は存在しており、歩行中。」とするデータである。
図11(c)は、0〜2Hzの周波数帯域ではいずれの高さにおいても「1」であり、2〜40Hzの周波数帯域ではいずれの高さにおいても「0」であり、このような場合、移動体の姿勢は「移動体は存在しており、移動歩行を停止している。」とするデータである。
図11(d)は、「高さ(上)」ではいずれの周波数帯域においても「0」であり、「高さ(下)」では0〜2Hzの周波数帯域で「1」、2〜40Hzの周波数帯域で「0」であり、このような場合、移動体の姿勢は「移動体は存在しており、転倒または座った状態である。」とするデータである。
【0052】
このような本発明の装置を室内に設置して用いたところ、人が室内で転倒した状態で静止しているときにはブザーがなった。その他の人の姿勢についても、処理部は正確に判断した。
【符号の説明】
【0053】
10 本発明の装置
20、20´ 基準電圧
100 ドップラー装置
121、122、123 アンテナ
101a、102a 送信波
101b、102b 受信波
111、112、113 電気信号
150 切替器
201a、202a、201b、202b、250 フィルタ回路
211a、211b 電気信号
205a、205b、205c 増幅器
301a、301b、302a、302b コンパレータ手段
311a、311b、312a、312b 信号
400 整流手段
410 信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体へ電波または音波である送信波を放射し、反射波を受信し、前記送信波と前記反射波との周波数差分を電気信号として出力するドップラー装置と、
ローパスフィルタ、ハイパスフィルタおよびバンドパスフィルタからなる群から選ばれる少なくとも1つからなり、前記ドップラー装置から受けた前記電気信号における特定周波数帯域を2以上取り出す2以上のフィルタ回路と、
2以上の前記フィルタ回路を通過させることで取り出した、2以上の前記特定周波数帯域の電気信号の各々において、電圧の絶対値が基準電圧以上となっているか否かを判別し、その判断結果を信号として出力するコンパレータ手段と、
前記コンパレータ手段から出力された信号を用いて、各々の前記特定周波数帯域において、電圧の絶対値が基準電圧以上である時または当該基準電圧以上でなくなった時から予め設定した設定時間の間に含まれる時と、それ以外の時とを区別する、前記特定周波数帯域の情報を含む信号を出力する整流手段と、
前記整流手段から出力される信号と移動体の姿勢とを関連付けたデータを記録した記録部と、
前記整流手段から出力された信号を受けて、前記記録部に記録されたデータを用いて、前記移動体の姿勢を判断する処理部と
を有する、移動体動き体位検出装置。
【請求項2】
前記ドップラー装置が、鉛直方向の2箇所以上の高さにおいて前記送信波を放射し、各高さにおける前記電気信号を出力するものであり、
前記フィルタ回路が、各高さの前記電気信号において、前記特定周波数帯域を取り出すものであり、
前記コンパレータ手段が、各高さの前記電気信号において、前記判断結果を信号として出力するものであり、
前記整流手段が、各高さにおいて、前記特定周波数帯域の情報を含む信号を出力するものであり、
前記記録部が、各高さにおいて、前記整流手段から出力された信号と移動体の姿勢とを関連付けたデータを記録したものである、請求項1に記載の移動体動き体位検出装置。
【請求項3】
さらに、判断した姿勢が特定の姿勢であるかを判断して、特定の姿勢である場合に警報を発する、請求項1または2に記載の移動体動き体位検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−45051(P2012−45051A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187443(P2010−187443)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(503421128)リバーベル株式会社 (10)
【Fターム(参考)】