説明

移動体通信端末

【課題】端末機能を現在位置に応じて自動的に規制するためには、自端末の位置と規制エリアの位置とを比較するための処理量および消費電力が増加すること。
【解決手段】規制エリア情報記憶手段14は、無線基地局がカバーする1以上のセルの識別子に対応して、セル内に存在する規制エリアの位置情報を記憶する。セル検出手段12は自端末が在圏するセルを検出する。判定手段15は自端末が在圏するセルに規制エリアが存在するか否かを判定する。位置測定手段13は自端末の位置情報を測定する。位置比較手段16は自端末が在圏するセルに規制エリアが存在する場合に、自端末の位置情報と自端末が在圏するセルの規制エリアの位置情報とを比較する。規制手段17は上記比較により自端末が規制エリア内に存在することを検出した場合に、自端末の機能を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体通信端末に関し、特に規制エリア内に進入したときに端末機能を自動的に規制する機能を有する移動体通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの移動体通信端末の普及に伴い、空港や病院等の場所での電磁波による電子機器の誤動作、多くの人が集まる場所での使用マナーなどが社会問題となっている。また、映画館など公共の場では、着信音を用いないマナーモードの使用が望まれている。一方で、現在普及している携帯端末は、マナーモード設定ボタンを操作することで着信動作モードを設定できるが、使用者が設定を忘れて周囲に不快感を与えてしまうことや、マナーモードの解除をし忘れて着信に気がつかないことがある。
【0003】
このような状況に鑑みて、自端末の位置情報を測定して、自動的に動作モードを制御する機能を有する移動体通信端末が、特許文献1に提案されている。特許文献1に記載の移動体通信端末は、或る基地局のカバーするエリアに侵入した際に、その基地局からそのカバーエリア内に存在する規制エリアの地理的位置情報をダウンロードしてメモリに保存する。次に移動体通信端末は、GPSによって自端末の現在位置を常時または定期的に測定し、測定した自端末の位置と当該カバーエリア内に存在する全ての規制エリアの位置とを比較する。そして、移動体通信端末は、自端末が何れかの規制エリアに存在していることを検出すると、自端末の機能を規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−109574号公報
【特許文献2】特開2006−71389号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】NTT docomo オープンiエリア(国内版)、[online]、[平成23年2月1日検索]、インターネット〈URL:http://tokkyo.shinsakijun.com/information/newtech.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の移動体通信端末では、自端末が或る基地局のカバーするエリアに存在する場合、自端末の位置とその基地局のカバーエリア内に存在する全ての規制エリアの位置とを比較しなければならないため、比較のための処理量が増加し、それに伴って消費電力も増加する。例えば基地局のカバーエリア内に50個の規制エリアが存在する場合、自端末の位置と規制エリアの位置とを比較する処理を50回繰り返す処理を定期的に実施する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、上述したような課題、すなわち、端末機能を現在位置に応じて自動的に規制するためには、自端末の位置と規制エリアの位置とを比較するための処理量および消費電力が増加する、という課題を解決する移動体通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態にかかる移動体通信端末は、
無線基地局がカバーする1以上のセルの識別子に対応して、上記セル内に存在する規制エリアの位置情報を記憶する規制エリア情報記憶手段と、
自端末が在圏する上記セルを検出するセル検出手段と、
自端末が在圏する上記セルに上記規制エリアが存在するか否かを上記規制エリア情報記憶手段を参照して判定する判定手段と、
自端末の位置情報を測定する位置測定手段と、
自端末が在圏する上記セルに上記規制エリアが存在する場合に、上記測定された自端末の位置情報と自端末が在圏する上記セルの上記規制エリアの位置情報とを比較する位置比較手段と、
上記比較により自端末が上記規制エリア内に存在することを検出した場合に、自端末の機能を規制する規制手段と
を備える、という構成を採る。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述したような構成を有するため、自端末の位置と規制エリアの位置とを比較するための処理量および消費電力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる移動体通信端末のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる移動体通信端末の動作例を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS3の詳細を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態のブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における携帯端末使用規制対象エリアデータの構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態における携帯端末使用規制エリアでの動作モードの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態にかかる移動体通信端末1は、通信手段11、セル検出手段12、位置測定手段13、規制エリア情報記憶手段14、判定手段15、位置比較手段16、および規制手段17を備えている。
【0012】
通信手段11は、アンテナ、無線回路、および電話送受信回路などで構成され、図示しない基地局と無線信号の送受信を行い、他の移動体通信端末や固定電話などと通話や通信を行うための各種処理を行う機能を有する。
【0013】
セル検出手段12は、自端末1が在圏するセルを検出する機能を有する。本発明は、1つの基地局がカバーするエリアが複数の領域(セクタ)に分割されている移動体通信を前提としている。この領域を本明細書ではセルと呼んでいる。セル検出手段12は、基地局から受信する報知情報に基づいて、自端末1が在圏するセルを検出する。
【0014】
位置測定手段13は、自端末1の位置情報を測定する機能を有する。位置測定手段13は、例えば基地局から受信する報知情報から自端末1の緯度および経度を取得することで、自端末1の位置情報を測定する機能を有する。また位置測定手段13は、受信するGPS信号に基づいて、自端末1の緯度および経度をより精度良く測定する機能を有する。報知情報から自端末1の緯度および経度の情報を取得できる例として、OTDOA(Observed Time Difference Of Arrival)測位(特許文献2参照)と、NTTドコモのiエリア(非特許文献1参照)がある。
【0015】
規制エリア情報記憶手段14は、無線基地局がカバーする1以上のセルの識別子に対応して、そのセル内に存在する規制エリアの位置情報を記憶する。規制エリアの位置情報は、例えば、規制エリアの外接矩形を一意に定める複数の端点の緯度および経度の情報により表現される。
【0016】
判定手段15は、自端末1が在圏するセルに規制エリアが存在するか否かを規制エリア情報記憶手段14を参照して判定する機能を有する。判定手段15は、セル検出手段12で検出されたセルの識別子に対応して、規制エリアの位置情報が1つも規制エリア情報記憶手段14に記憶されていなければ、自端末1が在圏するセルに規制エリアは存在しないと判定する。
【0017】
位置比較手段16は、自端末1が在圏するセルに規制エリアが存在する場合に、位置測定手段13で測定された自端末1の位置情報と自端末1が在圏するセルの規制エリアの位置情報とを比較する機能を有する。位置比較手段16は、自端末1が在圏するセルに存在する規制エリア毎に、その規制エリアを特定する緯度および経度の情報と自端末1の緯度および経度の情報とを比較することにより、自端末1がその規制エリア内に存在するか否かを判定する。
【0018】
規制手段17は、位置比較手段16により自端末1が何れかの規制エリア内に存在することが検出された場合に、通信手段11を制御することにより自端末1を通常状態からマナーマード等の規制状態に切替える機能を有する。また、規制手段17は、位置比較手段16により自端末1が何れかの規制エリア外に出たことが検出された場合に、通信手段11を制御することにより自端末1をマナーマード等の規制状態から通常状態に切替える機能を有する。
【0019】
上記の規制エリア情報記憶手段14は、移動体通信端末1を構成するコンピュータの主記憶や補助記憶で構成することができる。また、上記のセル検出手段12、位置測定手段13、規制エリア情報記憶手段14、判定手段15、位置比較手段16、および規制手段17は、上記コンピュータとプログラムとで実現することができる。プログラムは、磁気ディスクや半導体メモリ等のコンピュータ可読記録媒体に記録されて提供され、コンピュータの立ち上げ時などにコンピュータに読み取られ、そのコンピュータの動作を制御することにより、そのコンピュータを上述したセル検出手段12、位置測定手段13、規制エリア情報記憶手段14、判定手段15、位置比較手段16、および規制手段17として機能させる。
【0020】
次に本実施形態の動作を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0021】
移動体通信端末1は、セル検出手段12を用いて、自端末1の在圏するセルを検出する(ステップS1)。次に移動体通信端末1は、判定手段15を用いて、自端末1の在圏するセル内に、規制エリアが存在するか否かを規制エリア情報記憶手段14を参照して判定する(ステップS2)。そして、移動体通信端末1は、自端末1の在圏するセル内に規制エリアが1つも存在しなければ、ステップS1に戻り、自端末1の在圏するセルの検出を繰り返す。
【0022】
また移動体通信端末1は、自端末1の在圏するセル内に1つ以上の規制エリアが存在する場合、位置測定手段13を用いて自端末1の現在位置を測定し、位置比較手段16を用いて自端末1の現在位置と自端末1の在圏するセル内の各規制エリアの位置情報とを比較することにより、自端末1が何れかの規制エリア内か否かを判定する(ステップS3)。移動体通信端末1は、自端末1が何れかの規制エリア内であれば、規制手段17を用いて自端末1の通信手段11を通常状態からマナーモード等の規制状態へと変更する(ステップS4)。そして、ステップS1の処理へ戻る。他方、移動体通信端末1は、自端末1が何れかの規制エリア外であれば、規制手段17を用いて自端末1の通信手段11の規制状態を解除する(ステップS6)。そして、ステップS1の処理へ戻る。
【0023】
図3は図2のステップS3の詳細を示すフローチャートである。移動体通信端末1は、位置測定手段13を用いて、基地局から受信する報知情報から自端末1の位置情報を取得する(ステップS11)。次に、移動体通信端末1は、位置比較手段16を用いて、上記取得した自端末1の位置情報と自端末1が在圏するセル内の各規制エリアの位置情報とを比較する(ステップS12)。そして、移動体通信端末1は、この比較の結果、報知情報から得た自端末の位置情報と何れかの規制エリアの位置情報との差が予め設定された閾値以下になった場合には、自端末1が何れかの規制エリアに接近したと判断し(ステップS13)、ステップS14の処理へ進む。他方、報知情報から得た自端末の位置情報と何れかの規制エリアの位置情報との差が予め設定された閾値以下でなければ、自端末1は規制エリアに接近していないと判断し、図2のステップS5へ進む。
【0024】
ステップS14では、移動体通信端末1は、位置測定手段13を用いてGPS信号を使用した高精度な位置測定を行う。次に、移動体通信端末1は、GPS信号により測定した自端末1の位置情報と、上記接近したと判定した規制エリアの位置情報とを比較する(ステップS15)。そして、移動体通信端末1は、この比較の結果、自端末1が何れかの規制エリア内であると判断すれば(ステップS16)、図2のステップS4へ進み、そうでなければ図2のステップS5へ進む。
【0025】
上記ステップS12、S13において、報知情報から取得した端末1の位置情報と規制エリアの位置情報とを比較して判定する具体例を以下説明する。今、規制エリアの位置情報は、その規制エリア内の最大の緯度x2と最小の経度y1とによって定まるA点と、その規制エリア内の最小の緯度x1と最大の経度y2とによって定まるB点との2点によって表現されているとする。すなわち、規制エリアはその外接矩形によって表現されているものとする。また、報知情報から取得した端末1の緯度と経度をx0とy0とし、緯度方向の誤差をΔx、経度方向の誤差をΔyとする。この場合、ステップS13においては、以下の2つの式1,2が共に成立する場合に、自端末1は規制エリアに接近したと判断し、満足しない場合には接近していないと判断する。
x1−Δx≦x0≦x2+Δx …式1
y1−Δy≦y0≦y2+Δy …式2
【0026】
ここで、緯度方向の誤差Δxと経度方向の誤差Δyとは、全てのセルで同じであっても良いし、各セル毎に設定されたものであっても良い。後者の場合、緯度方向および経度方向の誤差の値を各セルの識別子に対応付けて記憶する誤差テーブルを移動体通信端末1の図示しない記憶手段に記憶しておき、位置比較手段16が自端末の在圏するセルに対応する誤差の値を上記誤差テーブルから取得して使用する。
【0027】
このように本実施形態によれば、自端末の位置と規制エリアの位置とを比較するための処理量が削減され、それによって消費電力も削減される。その理由は、基地局のカバーするエリア単位でなく、基地局のカバーエリアを構成するセル単位で、セル内の規制エリアの位置と移動体通信端末の現在位置とを比較するためである。特に、同じカバーエリアの他のセルには規制エリアが存在していても、移動体通信端末が現在存在するセル内に一つも規制エリアが存在しなければ、比較処理自体が行われないため、大幅な削減が可能になる。
【0028】
また、本実施形態によれば、同じカバーエリアの他のセルには規制エリアが存在していても、移動体通信端末が現在存在するセル内に一つも規制エリアが存在しなければ、自端末の現在位置の測定が行われないため、自端末の現在位置を測定する頻度が低下する。
【0029】
さらに、本実施形態によれば、報知情報に基づく自端末の位置と規制エリアの位置とを比較して、自端末が規制エリアに接近したか否かを判定し、接近した場合にGPS信号による高精度な位置測定を行って自端末が規制エリア内か否かを判定する。このため、GPS信号を用いて常時あるいは周期的に端末位置を測定する場合に比べて、消費電力を低減することができる。
【0030】
[第2の実施形態]
[概要]
本実施形態では、携帯端末の使用を規制する対象としてのエリア情報の登録は、多分木の構造を使用し登録を行う。この多分木は、RNC(Radio Network Controller)を親として、RNCの子には基地局を登録し、基地局の子には基地局内のcellを登録し、基地局内のcellを親としてcellに存在する携帯端末使用規制対象エリアを登録する。携帯端末使用規制対象エリアのマスタファイルとして、全ての基地局を登録した多分木をRNCごとに用意し、基地局の配下に存在する携帯端末使用規制対象エリアを地図情報と合わせて登録を行う。
【0031】
携帯端末では、現在位置と携帯端末使用規制対象エリアの照合は、GPSの測位結果だけを使用するのではなく、3段階での測定結果を使用する。RNC、基地局を任意に特定できるように、識別番号を付与する。現在、携帯端末がどの基地局の配下に存在するか、基地局はどのRNC配下に存在するかは報知情報よりRNC・基地局の識別番号を取得することで判断する。携帯端末が移動しRNCまたは基地局、cellの変更が行われた場合、ハンドオーバなどのイベントによって推知することが可能である。携帯端末が別の基地局配下へ移動したら、マスタファイルから現在携帯端末が属している基地局の携帯端末使用規制対象エリア情報を取得し携帯端末側で位置情報の照合を行う。
【0032】
現在携帯端末が属している基地局のcellに、携帯端末使用規制対象エリアが存在する場合は、携帯端末位置の観測を行い、存在しない場合は観測を行わない。報知情報から取得した現在位置が、携帯端末使用規制対象エリアに近づいた場合はGPS機能を用いて詳細な位置情報の取得を行う。その結果、携帯端末使用規制対象エリアに属すると判断した場合は、場所に応じた動作モードの設定を行う。また、携帯端末使用規制対象エリアからユーザが離れた場合は、ユーザ設定モードへ移行する。
【0033】
これによって、携帯端末使用規制対象エリア情報を全て登録した場合でも、サーバ上のデータサイズを抑えることができ、携帯端末で扱う携帯端末使用規制対象エリア情報のデータサイズも抑えることができる。また、多分木を使用することでデータの探索時間を短縮できる。そしてcell単位で携帯端末使用規制対象エリア情報を保持することで、携帯端末が常に位置検索を行う必要がなくなり、電源の消費を抑えることができる。また、3段階での位置検索を行うことで、携帯端末とサーバシステム間での通信回数を減らすことができ、サーバと端末間の輻輳を防ぐことができる。
【0034】
以下、本実施形態について詳細に説明する。
[本実施形態の構成]
本実施形態の構成について、図4および図5を用いて説明する。本実施形態は、図4のようにGPS機能を備えた携帯端末2と、既存の通信網3と、携帯端末使用規制対象エリア情報を保存するサーバ4とで構成される。サーバ4は、RNC、基地局と独立した装置として設置しても良いし、何れかのRNC、基地局と兼用する装置として配置してもよい。
【0035】
携帯端末使用規制対象エリア情報を保存するサーバ4では、各RNCを親とした図5のような多分木を作成しデータの格納を行う。実際に、RNCに属する全基地局とその基地局に属するcellを登録対象とし、地図情報と合わせて事前に携帯端末使用規制対象エリア情報を登録し、これをマスタファイルとする。携帯端末2で扱う携帯端末使用規制対象エリア情報は、マスタファイルより現在端末が属する基地局の携帯端末使用規制対象エリア情報を取得し使用する。
【0036】
[本実施形態の動作]
携帯端末2は、携帯端末使用規制対象エリア情報と報知情報とから取得した携帯端末の現在位置とを比較し、携帯端末使用規制対象エリアに近づいた場合はGPS機能を使用し、詳細な位置情報の取得を行い、携帯端末使用規制対象エリアに属する場合は動作モード自動設定処理行う。この動作を、携帯端末2の動作例を示す図6、図7、図8を用いて説明する。
【0037】
携帯端末2は、図6の処理1として、携帯端末電源ONまたは圏外状態からの復帰時に、報知情報より現在端末が位置するRNC、基地局、cellの情報を取得する。次に携帯端末2は、処理2で、サーバ4のマスタファイルから端末2が属する基地局の携帯端末使用規制エリア情報を取得する。次に携帯端末2は、取得した携帯端末使用規制エリア情報から現在属しているcell内に携帯端末使用規制エリアが存在するか否かの照合を行う。照合の結果、携帯端末使用規制エリアが存在する場合は、処理3、4として位置情報の更新が行われるまで位置情報の比較を行う。
【0038】
位置情報の比較は、図8を使用して説明を行う。現在属しているcell内に携帯端末使用規制エリアが存在する場合は、処理51として携帯端末使用規制エリア情報と報知情報から取得した端末の位置情報とを比較し、規制エリアに接近したか否かの判定を行う(処理52、53)。図8の例では、報知情報による位置精度の誤差を数10mとしている。携帯端末使用規制エリアに近づいた場合は、処理54としてGPS機能を用いて詳細な位置情報の取得を行う。処理55としてGPSからの位置情報を使用し、携帯端末が携帯端末使用規制エリアに属すると判断した場合は、処理56にてその場所に応じた動作モードへの変更を行う。一方、携帯端末使用規制エリアから離れた場合は、GPSを使用した位置情報の取得を停止する。また、携帯端末使用規制エリアに存在していない場合は、RNCまたは基地局、cellの変更があるまで何もしない。
【0039】
RNCまたは基地局、cellの変更は、ハンドオーバ、セルリセレクションなどのイベント発生により、推知することが可能である。位置情報の更新は、図7に示すシーケンスにて行う。位置情報は、報知情報より取得しハンドオーバ、セルリセレクションなどのイベントが発生した場合は、処理11として報知情報を取得し、処理12にて保存を行う。また、RNCおよび基地局の変更の有無を処理13、処理15で判定し、処理14、16として必要な情報(RNC識別番号や基地局識別番号)の更新を行う。
【0040】
携帯端末2では、携帯端末使用規制エリアに属していると判断した場合は、その場所に合わせた動作モードへ自動的に遷移する。動作モードの例を図9に示す。例として、病院の場合を説明する。現在では、病院内でも通話可能エリアを設けている病院があり、携帯端末2を自動電源OFFしてしまうのでは、ユーザは不便である。そこで、携帯端末2の電源は入れたままで圏外状態を維持するセルフモードを使用する。携帯端末の画面には、セルフモード解除画面を表示させておき、通話可能エリアでの使用の際はセルフモードをユーザが解除をして端末を使用可能にする。端末使用後、数分後には動作モードの制御を開始する。
【0041】
[本実施形態の効果の説明]
第一の効果として、本実施形態では携帯端末使用規制エリアに属するかどうか、常に位置情報を監視する必要がなく、ネットワークの輻輳の抑制や携帯端末の省電に有効である。
【0042】
第二の効果として、多分木を使用することでデータサイズの縮小、データの検索時間を短縮することが可能であり、携帯端末の動作の妨げの防止や省電に有効である。
【0043】
第三の効果として、多分木でデータを保持することでユーザ自身で携帯端末使用規制エリアの登録を容易なアルゴリズムで行うことができ、機能の拡張をはかることが出来る。
【0044】
[その他の実施形態]
以上本発明を幾つかの実施形態を挙げて説明したが、本発明は以上の実施形態にのみ限定されず、その他各種の付加変更が可能である。例えば、携帯端末使用規制エリアでのモード変更は、動作モードの変更先をユーザで指定できるようにしてもよい。例えば、子供に持たせた携帯端末が学校に到着したら、親の携帯端末へ到着したことを通知し、通信機能の停止を行う。学校の就業時間が終了したら通信機能を再開するなど、他のサービスと合わせた動作を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…移動体通信端末
2…携帯端末
3…既存の通信網
4…サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局がカバーする1以上のセルの識別子に対応して、前記セル内に存在する規制エリアの位置情報を記憶する規制エリア情報記憶手段と、
自端末が在圏する前記セルを検出するセル検出手段と、
自端末が在圏する前記セルに前記規制エリアが存在するか否かを前記規制エリア情報記憶手段を参照して判定する判定手段と、
自端末の位置情報を測定する位置測定手段と、
自端末が在圏する前記セルに前記規制エリアが存在する場合に、前記測定された自端末の位置情報と自端末が在圏する前記セルの前記規制エリアの位置情報とを比較する位置比較手段と、
前記比較により自端末が前記規制エリア内に存在することを検出した場合に、自端末の機能を規制する規制手段と
を備えることを特徴とする移動体通信端末。
【請求項2】
前記位置測定手段は、前記無線基地局から受信する報知情報から自端末の位置情報を取得する第1の位置測定手段と、GPS信号に基づいて自端末の位置情報を測定する第2の位置測定手段とを有し、
前記位置比較手段は、前記第1の位置測定手段で測定した自端末の位置情報と前記規制エリアの位置情報との差が予め設定された閾値以下になった場合に、前記第2の位置測定手段による自端末の位置情報の測定と、該測定した自端末の位置情報と前記規制エリアの位置情報との比較を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体通信端末。
【請求項3】
前記規制エリアの位置情報は、前記規制エリア内の最大の緯度と最小の経度とによって定まる第1の位置(x2、y1)と、前記規制エリア内の最小の緯度と最大の経度とによって定まる第2の位置(x1、y2)とを有し、
前記位置比較手段は、前記報知情報による端末の位置情報の緯度および経度をx0、y0とし、緯度方向および経度方向の誤差をΔx、Δyとするとき、
x1−Δx≦x0≦x2+Δx …式1
y1−Δy≦y0≦y2+Δy …式2
が共に成立する場合に、自端末の位置情報と前記規制エリアの位置情報との差が予め設定された閾値以下になったと判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の移動体通信端末。
【請求項4】
前記緯度方向および経度方向の誤差の値を各セル毎に保持する誤差テーブルを備え、
前記位置比較手段は、前記誤差テーブルから前記式の計算に使用する誤差を取得する
ことを特徴とする請求項3に記載の移動体通信端末。
【請求項5】
前記規制エリア情報記憶手段は、セル内に存在する規制エリアの位置情報を多分木構成のツリー構造で保持する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の移動体通信端末。
【請求項6】
無線基地局がカバーする1以上のセルの識別子に対応して、前記セル内に存在する規制エリアの位置情報を記憶する規制エリア情報記憶手段と、セル検出手段と、判定手段と、位置測定手段と、位置比較手段と、規制手段とを有する移動体通信端末が実行する動作モード自動設定方法であって、
前記セル検出手段が、自端末が在圏する前記セルを検出し、
前記判定手段が、自端末が在圏する前記セルに前記規制エリアが存在するか否かを前記規制エリア情報記憶手段を参照して判定し、
前記位置測定手段が、自端末の位置情報を測定し、
前記位置比較手段が、自端末が在圏する前記セルに前記規制エリアが存在する場合に、前記測定された自端末の位置情報と自端末が在圏する前記セルの前記規制エリアの位置情報とを比較し
前記規制手段が、前記比較により自端末が前記規制エリア内に存在することを検出した場合に、自端末の機能を規制する
ことを特徴とする動作モード自動設定方法。
【請求項7】
無線基地局がカバーする1以上のセルの識別子に対応して、前記セル内に存在する規制エリアの位置情報を記憶する規制エリア情報記憶手段を有するコンピュータを、
自端末が在圏する前記セルを検出するセル検出手段と、
自端末が在圏する前記セルに前記規制エリアが存在するか否かを前記規制エリア情報記憶手段を参照して判定する判定手段と、
自端末の位置情報を測定する位置測定手段と、
自端末が在圏する前記セルに前記規制エリアが存在する場合に、前記測定された自端末の位置情報と自端末が在圏する前記セルの前記規制エリアの位置情報とを比較する位置比較手段と、
前記比較により自端末が前記規制エリア内に存在することを検出した場合に、自端末の機能を規制する規制手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−165056(P2012−165056A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21829(P2011−21829)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】