説明

移動可能機器の位置管理システム及びその方法

【課題】リース物件や定期的にメンテナンスするべき移動可能機器において、物件の個別情報を位置情報を含めて登録しておき、必要に応じて任意の物件を検索すると共に、所在地までナビゲートすることができる管理システムを提供する。
【解決手段】移動可能機器の個別情報を保有するIDタグを移動可能機器に添付すると共に、タグリーダによりIDタグの個別情報を読み出し、更にIDタグの個別情報と該機器のGPS位置情報とを取り込み通信回線を介してサーバ装置に登録する携帯情報端末を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動可能機器の所在を管理する位置管理システムおよびその方法に関し、特に、リース会社におけるリース物件や、設備メンテナンス会社における定期的メンテナンスするべき機器に対する所在地管理を行うものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業ロボットや工作機械等の産業機械、複写機やパソコン等の情報機器、更には車両、船舶等の輸送機器等の動産・不動産の導入に当たっては、近年、財務、税務、管理面で効率化が期待できるリース契約を行うことが多い。このようなリース契約においては、契約期間における継続的なメンテナンス、リース料の徴収等はもちろん、リース契約期間満了後のリース形態の変更管理を行わなければならないため、その所在地を把握しておく必要がある。
【0003】
しかし、上記リース物件は、リース顧客側の事情により配置変更される場合が少なくないが、所在地変更の手続は手間を要するため、その都度行わない場合が多い。この場合は、リース会社の係員が現地へ行っても該当リース物件が存在せず、また顧客側においてその変更位置を正確に管理していない場合には、その調査に多大の労力、時間を要するといった事態が発生していた。
【0004】
従来、この種物品の管理システムとしては、遠隔地の端末から物品格納装置の内部在庫状況を確認する在庫管理システム(例えば、特許文献1参照)が知られている。これによると、物品(食品等)の個別データを記憶した無線タグ(ICカード等の非接触カード)を格納装置(冷蔵庫)内の各物品に添付しておき、出先から携帯電話あるいはPHSにより格納装置近傍に設置した在庫管理部にアクセスすることにより、該当無線タグの個別情報を取得して在庫の有無等の管理を行うものである。
しかしながら、これらの方式では、物品の位置管理は格納装置内の移動に限って行われることが前提となっており、広範囲に亘って移動する上記リース物件等の移動管理装置としては利用できなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−30152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、リース物件や定期的にメンテナンスするべき物件において、当該物件の個別情報をシステムサーバに位置情報を含めて登録しておき、必要に応じて任意の物件を検索したり、当該所在地までナビゲートすることができる管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る移動可能機器の位置管理システムにおいては、上記機器の個別情報を保有するIDタグを該機器に添付すると共に、タグリーダにより上記IDタグの個別情報を読み出し、更にこの個別情報と、移動可能機器のGPS位置情報とを取り込み通信回線を介してサーバ装置に登録する携帯情報端末を設けたものである。
また、この発明に係る移動可能機器の位置管理方法においては、機器に付されたIDタグの個別情報と該機器のGPS位置情報とを取り込みサーバに登録するステップと、上記サーバの保存情報から所定機器の位置情報を検索するステップと、上記検索によって得た位置情報を表示し、当該位置までナビゲートするステップとからなるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、例えば、リース期間中にリース顧客の都合により当該物件を移動させるようなことがあっても、所在地の再登録が簡単にできると共に、後からその所在地を容易に検策することができ、当該位置に出向いて物品の確認、メンテナンス、契約の変更等を簡単に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、図面を参照してこの発明の一実施形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態1における移動可能機器の位置管理システムの概略構成図を示している。以下、リース物件の例により説明する。
図1において、IDタグ1を各リース物件、例えばパソコン、複写機等の表面に取り付ける。このIDタグ1は上記リース物件の個別情報を記憶するメモリ部と信号の授受を行うアンテナコイルとCPU等からなる制御部とからなら最低限の要素で構成され電源を有さないパッシブタイプのものである。
【0010】
ハンディタイプのタグリーダ2を上記IDタグ1に接近させることによりIDタグ1に対し読み取り・書き込みを行う。このタグリーダ2は電源部、送受信アンテナ部、メモリ部、制御部及び通信部等からなり、通信周波数は金属、水分に影響されない例えば125kHzの長波帯のものを使用している。上記IDタグ1との通信は、まずタグリーダ2の送信アンテナから上記周波数の電波を送信し、上記IDタグ1のアンテナコイルを介してその制御部を動作させて、メモリ部に対して所定情報を書き込んだり、メモリ部に保存されている情報を取り出すようになっている。
【0011】
上記タグリーダ2は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)、パソコン等のいずれかからなる携帯情報端末3に無線あるいは有線からなる通信路4で繋がっており、たとえばBluetoothその他の無線通信技術を使用することができる。この携帯情報端末3は、更にインターネット網あるいは移動通信網等の通信回線5を介してシステムサーバ6に接続されている。このシステムサーバ6はデータベース7を含んでおり、上記IDタグ1の個別情報、GPS位置情報(後述)等の取り込み、保存を行っている。
【0012】
一方、上記携帯情報端末3はGPS(Global Positioning System)受信回路を備え、GPS衛星8(複数個)からの送信情報により上記携帯情報端末3の現在位置を測定することができるものである。従って、上記携帯情報端末3は通信機能の他、GPS機能、地図表示機能、及びナビゲーション機能(後述)を備えている。上記通信機能、GPS機能、地図表示機能、及びナビゲーション機能はそれぞれ既知の技術を利用して実現できるので、ここでは詳細説明は省略する。
【0013】
次に、リース物件を例に上記システムの動作機能を図2乃至図4のフローチャートに従って説明する。まず、リース物件を顧客へ納入する際、リース会社の係員が現地に赴き、図2に示すように、物件にIDタグ1を貼付すると共に、当該タグに個別情報、例えば、ID番号、リース発生時期、リース終了時期、機器名、機器分類コード、製品名称、型式、製造番号等を携帯情報端末3を使用して記憶させる。これらの情報は通信回線5を通して遠隔地に位置するシステムサーバ6に転送され、データベース7内に登録する(ステップS1)。図5はデータベース7内で格納形式の一例を示すデータテーブルである。
【0014】
続いて、リース物件に貼付されたタグ情報をタグリーダ2により読み込み(ステップS2)、GPS受信装置を用いて物件の位置情報を入手する(ステップS3)。上記ステップS2とステップS3で読み込んだタグ情報と位置情報とをサーバ装置6に登録する。
上記リース物件の使用後、所定時間経過してから、都合でリース物件の所在地を変更した場合には、リース会社への通報により係員が現地に出向き、上記ステップS2〜S4の操作を行うことにより簡単に新所在地情報を含む再登録ができる。
【0015】
次に、図3に示すように、定期メンテナンス時あるいは契約満了時に、上記リース会社の係員は携帯情報端末3を使用して当該リース物件の検索を行う。この検索は例えばキーワードあるいは導入日等で検索できるようにされ(図6(a)参照)、当該物件に関する名称、登録日等の条件で絞り込めるようにする(ステップS11)。上記絞り込まれたヒット候補のリストから図6(b)のように対象物を一個選択する(ステップS12)。そして、選択した対象物の位置情報をサーバ装置6から入手し(ステップS13)、図6(c)のように上記携帯情報端末3の地図表示機能にて対象物の位置を表示する(ステップS14)。
【0016】
図4はナビゲーション機能を説明するもので、ステップS21からステップS24までは先の検索機能におけるステップS11からステップS14と同一であり、これに続いてステップS25で携帯情報端末3のGPS受信装置を用いて現在位置を取得する(図6(c)参照)。これにより、同一地図上にて対象物の位置と現在位置とが表示されるので、現在位置から対象物の位置までは、地図上の軌跡と、音声ガイダンス等によりナビゲートされる(ステップS26)。
【0017】
以上のように、上記実施形態によれば、例えば、リース期間中にリース顧客の都合により当該物件を移動させるようなことがあっても、所在地の再登録が簡単にできると共に、後からその所在地を容易に検策することができ、当該位置に出向いて物品の確認、メンテナンス、契約の変更等を簡単に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1における移動可能機器の位置管理システムの概略構成図である。
【図2】図1の位置管理システムにおける登録動作を説明するフローチャートである。
【図3】図1の位置管理システムにおける検索動作を説明するフローチャートである。
【図4】図1の位置管理システムにおけるナビゲート動作を説明するフローチャートである。
【図5】この発明の所在管理システムにおけるデータベースへの格納形式の一例を示したものである。
【図6】この発明の携帯情報端末の画面状態を示すもので、(a)は検索状態画面、(b)は候補リストからの絞込み画面、(c)は位置表示画面をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0019】
1 IDタグ、 2 タグリーダ、
3 携帯情報端末、 4 通信路、
5 通信回線、 6 サーバ装置、
7 データベース、 8 GPS衛星。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能機器の個別情報を保有するIDタグを該移動可能機器に添付すると共に、タグリーダにより上記IDタグの個別情報を読み出し、更に上記IDタグの個別情報と該移動可能機器のGPS位置情報とを取り込み通信回線を介してサーバ装置に登録する携帯情報端末を設けたことを特徴とする移動可能機器の位置管理システム。
【請求項2】
上記携帯情報端末は上記サーバ装置に接続し、所望の移動可能機器を検索する機能を有することを特徴とする請求項1記載の移動可能機器の位置管理システム。
【請求項3】
上記携帯情報端末は、検索した所望の移動可能機器の所在地を地図表示する機能を有することを特徴とする請求項2記載の移動可能機器の位置管理システム。
【請求項4】
上記携帯情報端末は、検索した所望の移動可能機器の所在地情報を上記サーバ装置から取得すると共に当該携帯情報端末のGPS位置情報を取得し、両者の位置情報を地図表示してナビゲートする機能を有することを特徴とする請求項3記載の移動可能機器の位置管理システム。
【請求項5】
移動可能機器に付されたIDタグの個別情報と該移動可能機器のGPS位置情報とを取り込みサーバに登録するステップと、上記サーバの保存情報から所定機器の位置情報を検索するステップと、上記検索によって得た位置情報を表示し当該位置までナビゲートするステップとからなる移動可能機器の位置管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−65780(P2006−65780A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250567(P2004−250567)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】