説明

移動式クレーン

【課題】大重量物の吊り上げ作業などに最適な移動式クレーンを提供する。
【解決手段】移動式クレーンAは、円環状のベースリング1と、このベースリング上に旋回ローラ装置2を介在してベースリングの中心回りに旋回可能に載置された旋回台3と、この旋回台上に装備された吊り上げ設備4と、上記ベースリングを支持するようにその下面に円周方向に沿って所定角度毎に設けられた各々走行可能な複数の走行体5とを備える。好ましくは、各走行体は、左右一対のクローラ61を有し、かつベースリングの下面にそれぞれ旋回装置62を介して旋回可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大重量物の吊り上げ作業などに用いる大型の移動式クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、移動式クレーンとしては、例えば特許文献1に開示されているように、クローラ又は車輪で走行可能な下部走行体と、この下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体上に装備されたブームやウインチなどからなる吊り上げ設備とを備えたものがよく知られている。この場合、全周で同じ安定度を確保するために、下部走行体の例えば左右のクローラを、その前後長さとほぼ同じ距離だけ左右に離して配置したり、下部走行体の周囲にアウトリガを設けたりする構造が採られている。
【0003】
しかし、このような移動式クレーンを大型化した場合、上部旋回体側の曲げモーメントが大きくなり、旋回装置を大型化しないと上部旋回体側の曲げモーメントを下部走行体に伝達することに限界がある。また、輸送可能な寸法内に納めることができなくなったり、経済的に大きく不利になったりすることからも大型化に限界がある。
【0004】
一方、大重量物の吊り上げ作業などでは2台の移動式クレーンで相吊りを行うこともあるが、このときには、2台のクレーンの旋回中心が異なるため、各クレーンの負荷分担が作業中に変化し、円滑な旋回作業が困難になり、相吊りの効率が極めて低いという問題がある。
【0005】
また、特殊なクレーンとして、例えば図13及び図14に示すように、地盤上に大きな円環状のベースリングaを設置し、このベースリングa上に旋回ローラ装置bを介在して旋回台cをベースリングaの中心回りに旋回可能に載置するとともに、この旋回台c上に吊り上げ設備dを装備してなるものは知られている。上記旋回台cは、ベースリングa上でかつベースリングaの中心を挟む2箇所にそれぞれ旋回ローラ装置bを介在して載置された前側旋回台c1及び後側旋回台c2と、この前側旋回台c1及び後側旋回台c2にそれぞれ一端が連結されて両旋回台c1,c2間に架け渡された連結架台c3とからなる。この連結架台c3の中央部にはベースリングaの中心線上に垂直に配置した旋回軸eの上部が相対回転自在に貫通又は嵌合されており、この旋回軸eの下端は、ベースリングaの内側に十字状に組み立ててなる支持梁fの中心部上に支持されている。しかして、旋回台cは、旋回ローラ装置bがベールリングa上を走行することにより旋回軸eを中心として旋回するようになっている。また、上記吊り上げ設備dは、前側旋回台c1にそれぞれ基端が支持されたブームg及びマストhと、後側旋回台c2上に載置されたカウンタウエイトiと、連結架台c3上に載置された複数のウインチj,j,…とを有してなる。
【0006】
このようなクレーンの場合、ベースリングa上を旋回台cが旋回するので、地盤の影響を受けず、また荷重はベースリングaで支持されるので、曲げモーメントの影響を受けずに大型化することができるが、移動するにはベースリングaを設置し直す必要があり、大変な手間と時間と労力を必要とし、また軽負荷でも吊り荷走行が全くできないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−64818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、特に、上述した特殊なクレーンの大型化に適するとの特性を活かしつつ、移動性を持たすように改良することにより、大重量物の吊り上げ作業などに最適な移動式クレーンを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、移動式クレーンとして、円環状のベースリングと、このベースリング上に旋回ローラ装置を介在してベースリングの中心回りに旋回可能に載置された旋回台と、この旋回台上に装備された吊り上げ設備と、上記ベースリングを支持するようにその下面に円周方向に沿って所定角度毎に設けられた各々走行可能な複数の走行体とを備える構成にする。
【0010】
この構成では、ベースリング上を旋回ローラ装置が走行することで旋回台がベースリングの中心回りに旋回し、旋回台上に装備された吊り上げ設備の向きが変更されるだけでなく、ベースリングを支持する複数の走行体が走行することにより、ベースリングの位置を移動させることができ、また、強固な地盤上では吊り荷走行も可能になる。その上、荷重はベースリングで支持されるので、曲げモーメントの影響を受けずに容易に大型化することができ、大重量物の吊り上げ作業などに最適である。
【0011】
請求項2及び請求項3は、いずれも請求項1記載の移動式クレーンにおいて、上記旋回台及び吊り上げ設備の具体的な形態を提供するものである。すなわち、請求項2に係る発明では、上記旋回台は、ベースリング上でかつベースリングの中心を挟む2箇所にそれぞれ旋回ローラ装置を介在して載置された前側旋回台及び後側旋回台と、この前側旋回台及び後側旋回台にそれぞれ一端が連結され、中央部に、ベースリングの中心回りに旋回するようにベースリング側の部分と共に旋回軸を構成する部分が設けられた連結架台とからなり、上記吊り上げ設備は、上記前側旋回台に基端が起伏可能に支持されたブームと、上記後側旋回台上に載置されたカウンタウエイトと、上記連結架台上に載置された複数のウインチとを有してなる構成にする。
【0012】
また、請求項3に係る発明では、上記旋回台は、ベースリング上でかつベースリングの中心を挟む2箇所にそれぞれ旋回ローラ装置を介在して載置された左右一対ずつの前側旋回台及び後側旋回台と、この左側の前側旋回台及び後側旋回台又は右側の前側旋回台及び後側旋回台にそれぞれ一端が連結された左右一対の第1連結架台と、この両第1連結架台の中央部にそれぞれ一端が連結され、中央部に、ベースリングの中心回りに旋回するようにベースリング側の部分と共に旋回軸を構成する部分が設けられた第2連結架台とからなり、上記吊り上げ設備は、上記各前側旋回台に基端が起伏可能に支持された左右一対のブームと、上記各後側旋回台上に載置された左右一対のカウンタウエイトと、上記各第1連結架台上にそれぞれ複数ずつ載置されたウインチとを有し、上記両ブームの起伏動作並びに各ブームの先端からロープを介して吊り下げたフックの吊り上げ動作又は吊り下げ動作が同期するように構成する。
【0013】
この構成では、旋回台上に装備した吊り上げ設備の左右一対のブームの先端からそれぞれロープを介して吊り下げたフックで大重量物の相吊りを行うときには、各ブームの旋回中心が同じであるため、各ブームに作用する負荷分担が旋回台の旋回に伴って変化することはない。また、両ブームの起伏動作並びに各ブームの先端からロープを介して吊り下げたフックの吊り上げ動作又は吊り下げ動作が同期するようになっているため、各ブームに作用する負荷分担がこれらの動作に伴って変更することもない。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3記載の移動式クレーンにおいて、上記旋回ローラ装置の好ましい形態を提供するものである。すなわち、上記旋回ローラ装置は、上記前側旋回台及び後側旋回台にそれぞれ複数ずつ取り付けられており、この各旋回ローラ装置は、直線上に沿って所定間隔毎に配列された複数のローラと、これらのローラを前側旋回台の下面又は後側旋回台の下面に取り付けるための取付部材とを有し、この取付部材の中心部には、前側旋回台の下面又は後側旋回台の下面に形成した円形状の嵌合穴に嵌合可能な嵌合凸部が形成され、この嵌合凸部を上記嵌合穴に嵌合させた状態のまま取付部材の向きを変えることで複数のローラの配列方向が旋回ローラ装置毎に調整可能に設けられている構成にする。この構成では、旋回ローラ装置を前側旋回台の下面又は後側旋回台の下面に取り付けるに当たり、その直線上に配列された複数のローラの配列方向が旋回台側の嵌合穴に取付部材側の嵌合凸部を嵌合された状態のまま取付部材の向きを変えることで旋回ローラ装置毎に容易に調整することができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の移動式クレーンにおいて、上記各走行体の好ましい形態を提供するものである。すなわち、上記各走行体は、左右一対のクローラを有し、かつベースリングの下面にそれぞれ旋回装置を介して旋回可能に設けられている構成にする。この構成では、ベースリングを支持する各走行体が、従来のクローラクレーンの下部走行体の如く左右一対のクローラを有し、かつベースリングの下面に旋回装置を介して旋回可能に設けられているため、ベースリングの位置変更を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の如く、本発明の移動式クレーンによれば、ベースリング上を旋回台が旋回して吊り上げ設備の向きが変更されるだけでなく、ベースリングを支持する複数の走行体が走行してベースリングの位置を移動させることができるので、移動に要する手間と時間と労力を大幅に軽減又は短縮することができ、作業の効率化を図ることができる。その上、荷重がベースリングで支持され、曲げモーメントの影響を受けずに容易に大型化することができるので、大重量物の吊り上げ作業などに最適なものであるという効果を奏する。
【0017】
特に、請求項3に係る発明では、旋回台上に装備した吊り上げ設備の左右一対のブームの先端からそれぞれロープを介して吊り下げたフックで大重量物の相吊りを行うときには、各ブームの旋回中心が同じであるため、各ブームに作用する負荷分担が旋回台の旋回に伴って変化することはなく、また、両ブームの起伏動作並びに各ブームの先端からロープを介して吊り下げたフックの吊り上げ動作又は吊り下げ動作が同期するようになっているため、各ブームに作用する負荷分担がこれらの動作に伴って変更することもない。この結果、大重量物の相吊り作業を安全にかつ効率良く行うことができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明では、旋回ローラ装置を前側旋回台の下面又は後側旋回台の下面に取り付けるに当たり、その直線上に配列された複数のローラの配列方向が旋回台側の嵌合穴に取付部材側の嵌合凸部を嵌合された状態のまま取付部材の向きを変えることで旋回ローラ装置毎に容易に調整することができるので、取付作業の容易化に寄与することができる。
【0019】
さらに、請求項5に係る発明では、ベースリングを支持する各走行体が、従来のクローラクレーンの下部走行体の如く左右一対のクローラを有し、かつベースリングの下面に旋回装置を介して旋回可能に設けられているため、ベースリングの位置変更を容易に行うことができ、作業の効率化を一層図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係る移動式クレーンの一部を切開して見た側面図である。
【図2】図2は同正面図である。
【図3】図3は上記移動式クレーンの旋回台上に吊り上げ設備を装備する前の状態を示す平面図である。
【図4】図4は前側旋回台又は後側旋回台に対する各旋回ローラ装置の取付状態を示す図である。
【図5】図5は上記旋回ローラ装置を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図6】図6は上記移動式クレーンの油圧駆動系の概略構成図である。
【図7】図7は第2の実施形態を示す図1相当図である。
【図8】図8は同じく図2相当図である。
【図9】図9は同じく図3相当図である。
【図10】図10は第3の実施形態を示す図1相当図である。
【図11】図11は同じく図2相当図である。
【図12】図12は同じく図3相当図である。
【図13】図13は従来例を示す図1相当図である。
【図14】図14は同じく図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1ないし図3は本発明の第1の実施形態に係る移動式クレーンAの全体構成を示す。この移動式クレーンAは、直径が数メートルないし数十メートルの大きな円環状のベースリング1と、このベースリング1の上面上に旋回ローラ装置2を介在してベースリング1の中心P回りに旋回可能に載置された旋回台3と、この旋回台3上に装備された吊り上げ設備4と、上記ベースリング1を支持するようにその下面に円周方向に沿って所定角度毎に設けられた各々走行可能な複数台(図では8台)の走行体5,5,…とを備えている。
【0023】
上記ベースリング1は、断面が矩形閉断面状に形成されており、このベースリング1の内側には、4本の梁材11,11,…を1つの梁連結材12を中心にして十字状に組み立ててなる支持梁13が取り付けられている。この支持梁13の梁連結材12は、ベースリング1の中心Pに配置されており、この梁連結材12上に、ベースリング1の中心Pと同軸上に垂直に配置した円筒状の旋回軸14の下端が支持されている。
【0024】
上記旋回台3は、ベースリング1上でかつベースリング1の中心Pを挟む2箇所にそれぞれ旋回ローラ装置2を介在して載置された前側旋回台21及び後側旋回台22と、この前側旋回台21及び後側旋回台22にそれぞれ一端が連結されて両旋回台21,22間に架け渡された連結架台23とからなり、連結架台23は、3つの矩形台24,24,24を長辺方向に一列に連結してなる。この連結架台23の中央部(詳しくは中央の矩形台24の中心部)には上記旋回軸14の上部がベアリング(図示せず)を介して相対回転可能に貫通又は嵌合されている。しかして、旋回台3は、旋回ローラ装置2がベースリング1上を走行するとき旋回軸14を中心に旋回するようになっている。
【0025】
上記吊り上げ設備4は、上記前側旋回台21にそれぞれ基端が支持されたブーム31及びマスト32と、このブーム31及びマスト32の側方で前側旋回台21上に搭載されたキャブ33と、上記後側旋回台22上に搭載されたカウンタウエイト34と、上記マスト32の先端と後側旋回台22とを連結する連結ポール35と、上記連結架台23上に搭載された複数のウインチ36,36a,36bとを有している。この連結架台23上の複数のウインチ36,36a,36bのうち、前側旋回台21に近い側のウインチ36aは、ブーム31の先端から巻上ロープ37を介して吊り下げたフック38を吊り上げたり吊り下げたりするためのものであり、後側旋回台22に近い側のウインチ36bは、マスト32の先端に設けた下部スプレッダ39と、ブーム31の先端にブームガイライン40を介して連結した上部スプレッダ41との間に掛け渡したブーム起伏ロープ42の一端を巻き取り又は巻き戻すことで上部スプレッダ41と下部スプレッダ39との間の距離を伸縮し、ブーム31の起伏角度を変更するものである。
【0026】
上記旋回ローラ装置2は、図3及び図4に示すように、上記前側旋回台21及び後側旋回台22にそれぞれ4つずつ取り付けられている。この各旋回ローラ装置2は、図5に拡大詳示するように、直線上に沿って所定間隔毎に1列4個ずつ2列並行に配列された計8個のローラ51,51,…と、前側4個及び後側4個のローラ51,51,…をそれぞれ前後2つの支軸52,52を介して回転可能に保持する前後2つのローラ保持部材53,53と、この両ローラ保持部材53,53にそれぞれ一端が連結軸54を介して連結された連結レバー55と、この連結レバー55の中央部が支軸56を介して揺動可能に支持され、この連結レバー55及びローラ保持部材53を介して上記8個のローラ51,51,…を前側旋回台21の下面又は後側旋回台22の下面に取り付けるための取付部材57とを有している。取付部材57は、その取付面として矩形状の水平板57aを有し、この水平板57aの中央部には、被取付面である前側旋回台21の下面又は後側旋回台22の下面に形成した円形状の嵌合穴58に嵌合可能な嵌合凸部57bが形成されている。そして、この嵌合凸部57bを上記嵌合穴58に嵌合させた状態のまま取付部材57の水平板57aの向きを変え、その後この水平板57aの四隅部をネジ止めにより固定することで8個のローラ51,51,…の配列方向を旋回ローラ装置2毎にベースリング1の中心Pと旋回ローラ装置2の中心とを結ぶ直線に対し直交するよう調整可能に設けられている。
【0027】
上記旋回ローラ装置2は、更に、上記各ローラ保持部材53に取り付けられた前後2つのローラ駆動用の油圧モータ59,59を有しており、この各油圧モータ59は、動力伝達部60を介して前側2個又は後側2個のローラ51,51に動力伝達可能に連結されている。
【0028】
上記各走行体5は、図で詳示していないが、従来のクローラクレーンの下部走行体の場合と同じく、左右一対のクローラ61,61を有し、油圧モータにより各クローラ61を回転させることで走行可能に設けられている。また、各走行体5は、ベースリング1の下面にそれぞれ旋回装置62を介して旋回可能に設けられている。
【0029】
図6は上記移動式クレーンAの油圧駆動系の概略構成を示し、71は旋回台3上に搭載されたエンジンなどのパワーユニットであって、このパワーユニット71は複数(図では3つ)の油圧ポンプ72,73,74を駆動するようになっている。そのうちの1つの油圧ポンプ74から吐出した圧油は、走行体用バルブユニット75を経た後、旋回台3の旋回軸14内に配置したスイベルジョイント76を通して各走行体5に供給されるようになっている。また、油圧ポンプ73から吐出した圧油は、旋回ローラ装置用バルブユニット77を経た後各旋回ローラ装置2の油圧モータ59に供給されるようになっており、油圧ポンプ72から吐出した圧油は、ウインチ36の油圧モータなどの他のアクチュエータの油圧回路に供給されるようになっている。
【0030】
次に、上記移動式クレーンAの作用効果を説明するに、大重量物の吊り上げ作業などではベースリング1上を旋回ローラ装置2が走行することで旋回台3がベースリング1の中心P回りに旋回し、旋回台3上に装備された吊り上げ設備4の向きが変更されるだけでなく、ベースリング1を支持する複数の走行体5,5,…が走行することにより、ベースリング1の位置を移動させることができる。この結果、移動に要する手間と時間と労力を大幅に軽減又は短縮することができ、作業の効率化を図ることができる。また、強固な地盤上では吊り上げ設備4により吊り荷を吊り上げた状態のまま走行する吊り荷走行も行うことができるので、作業の効率化をより図ることができる。
【0031】
その上、吊り上げ作業などに伴う旋回台3側の荷重はベースリング1で支持されるので、曲げモーメントの影響を受けずにクレーンAを容易に大型化することができ、大重量物の吊り荷作業などに最適である。
【0032】
特に、本実施形態の場合、上記旋回ローラ装置2は、旋回台3の前側旋回台21及び後側旋回台22にそれぞれ4つずつ取り付けられているが、この各旋回ローラ装置2は、直線上に沿って所定間隔毎に1列4個ずつ2列並行に配列された計8個のローラ51,51,…と、これらのローラ51,51,…を前側旋回台21の下面又は後側旋回台22の下面に取り付けるための取付部材57とを有し、この取付部材57の取付面である水平板57aに形成した嵌合凸部57bを前側旋回台21の下面又は後側旋回台22の下面に形成した円形状の嵌合穴58に嵌合させた状態のまま取付部材57の水平板57aの向きを変え、その後この水平板57aの四隅部をネジ止めにより固定することで8個のローラ51,51,…の配列方向を旋回ローラ装置2毎にベースリング1の中心Pと旋回ローラ装置2の中心とを結ぶ直線に対し直交するよう調整可能に設けられているため、ベースリング1上での各旋回ローラ装置2の走行による旋回台3のベースリング1中心P回りの旋回を円滑に行うことができる上、ローラ51の配列方向の調整ひいては旋回ローラ装置2の取付作業を容易に行うことができる。
【0033】
また、上記ベースリング1を支持する複数の走行体5,5,…は、いずれも従来のクローラクレーンの下部走行体の如く左右一対のクローラ61,61を有し、かつベースリング1の下面に旋回装置62を介して旋回可能に設けられているため、ベースリング1の位置変更を容易に行うことができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図7ないし図9は本発明の第2の実施形態に係る移動式クレーンBの全体構成を示す。この移動式クレーンBは、第1の実施形態に係る移動式クレーンAの場合と同じく、円環状のベースリング101と、このベースリング101の上面上に旋回ローラ装置102を介在してベースリング101の中心P回りに旋回可能に載置された旋回台103と、この旋回台103上に装備された吊り上げ設備104と、上記ベースリング101を支持するようにその下面に円周方向に沿って所定角度毎に設けられた各々走行可能な複数台(図では12台)の走行体105,105,…とを備えている。走行体105の台数は、クレーン作業時により大きな荷重を支持できるようにするために、第1の実施形態の場合よりも増設されている。
【0035】
上記ベースリング101は、第1の実施形態の場合のベースリング1と同じく、断面が矩形閉断面状に形成されている。また、このベースリング101の内側には、4本の梁材111,111,…を1つの梁連結材112を中心にして十字状に組み立ててなる支持梁113が取り付けられている。この支持梁113の梁連結材112は、ベースリング101の中心Pに配置されており、この梁連結材112上に、ベースリング101の中心Pと同軸上に垂直に配置した円筒状の旋回軸114の下端が支持されている。
【0036】
上記旋回台103は、ベースリング101上でかつベースリング101の中心Pを挟む2箇所にそれぞれ旋回ローラ装置102を介在して載置された左右一対ずつの前側旋回台121,121及び後側旋回台122,122と、この左側の前側旋回台121及び後側旋回台122又は右側の前側旋回台121及び後側旋回台122にそれぞれ一端が連結されて両旋回台121,122間に架け渡された左右一対の第1連結架台123,123と、この両第1連結架台123,123の中央部にそれぞれ一端が連結されて両第1連結架台123,123間に架け渡された第2連結架台124とからなる。左右一対の前側旋回台121,121同士及び後側旋回台122,122同士は、いずれもヒンジ結合されている一方、各第1連結架台123は、3つの矩形台125,125,125を長辺方向に一列に連結してなる。また、第2連結架台124の中央部には上記旋回軸114の上部がベアリング(図示せず)を介して相対回転可能に貫通又は嵌合されている。しかして、旋回台103は、旋回ローラ装置102がベースリング101上を走行するとき旋回軸114を中心に旋回するようになっている。
【0037】
上記吊り上げ設備104は、上記各前側旋回台121にそれぞれ基端が支持された左右一対ずつのブーム131,131及びマスト132(1つのみ図示)と、このブーム131及びマスト132の側方で各前側旋回台121上にそれぞれ搭載された左右一対のキャブ133,133と、上記各後側旋回台122上にそれぞれ搭載された左右一対のカウンタウエイト134(1つのみ図示)と、上記各マスト132の先端と対応する後側旋回台122とをそれぞれ連結する左右一対の連結ポール135(1つのみ図示)と、上記各第1連結架台123上にそれぞれ複数ずつ搭載されたウインチ136,136a,136bとを有している。各第1連結架台123上の複数のウインチ136,136a,136bのうち、前側旋回台121に近い側のウインチ136aは、ブーム131の先端から巻上ロープ137を介して吊り下げたフック138を吊り上げたり吊り下げたりするためのものであり、後側旋回台122に近い側のウインチ136bは、マスト132の先端に設けた下部スプレッダ139と、ブーム131の先端にブームガイライン140を介して連結した上部スプレッダ141との間に掛け渡したブーム起伏ロープ142の一端を巻き取り又は巻き戻すことで上部スプレッダ141と下部スプレッダ139との間の距離を伸縮し、ブーム131の起伏角度を変更するものである。
【0038】
ここで、移動式クレーンBに装備される制御システムは、図示していないが、上記左右一対のキャブ133,133のうちの一方、例えば右側(図8で左側)のキャブ133内で操作が行われるようになっている。また、吊り上げ設備104の左右一対のブーム131,131の起伏動作並びに各ブーム131の先端から巻上ロープ137を介して吊り下げたフック138の吊り上げ動作又は吊り下げ動作は、制御システム上同期するように構成されている。さらに、各ブーム131の先端から巻上ロープ137を介してフック138を吊り下げるに当たり、各ブーム131の先端からそれぞれ巻上ロープ137を介して吊り下げられる左右一対の吊り部材146,146と、この両吊り部材146,146にそれぞれ一端が連結される吊りビーム147とを用い、この吊りビーム147の中間部にフック138を吊り下げるように構成されている。
【0039】
上記旋回ローラ装置102は、上記各前側旋回台121及び各後側旋回台122にそれぞれ4つずつ取り付けられている。この各旋回ローラ装置102は、図で詳示していないが、第1の実施形態の場合の旋回ローラ装置2と同じ構成になっている。
【0040】
上記各走行体105は、図で詳示していないが、従来のクローラクレーンの下部走行体の場合と同じく、左右一対のクローラ161,161を有し、油圧モータにより各クローラ161を回転させることで走行可能に設けられている。また、各走行体105は、ベースリング101の下面にそれぞれ旋回装置162を介して旋回可能に設けられている。
【0041】
そして、上記移動式クレーンBにおいても、第1の実施形態の移動式クレーンAの場合と同じく、ベースリング101上を旋回台103が旋回して吊り上げ設備104の向きが変更されるだけでなく、ベースリング101を支持する複数の走行体105,105,…が走行してベースリング101の位置を移動させることができるので、移動に要する手間と時間と労力を大幅に軽減又は短縮することができ、作業の効率化を図ることができる。その上、荷重がベースリング101で支持され、曲げモーメントの影響を受けずに容易に大型化することができるので、大重量物の吊り上げ作業などに最適なものであるという効果なども奏する。
【0042】
特に、本実施形態の場合、旋回台103上に装備した吊り上げ設備104の左右一対のブーム131,131の先端からそれぞれ巻上ロープ137を介して吊り下げたフック138で大重量物の相吊りを行うときには、各ブーム131の旋回中心が同じであるため、各ブーム131に作用する負荷分担が旋回台103の旋回に伴って変化することはない。また、両ブーム131,131の起伏動作並びに各ブーム131の先端から巻上ロープ137を介して吊り下げたフック138の吊り上げ動作又は吊り下げ動作が同期するようになっているため、各ブーム131に作用する負荷分担がこれらの動作に伴って変更することもない。この結果、大重量物の相吊り作業を安全にかつ効率良く行うことができるという特有の効果を奏する。
【0043】
(第3の実施形態)
図10ないし図12は本発明の第3の実施形態に係る移動式クレーンCの全体構成を示す。この移動式クレーンCは、第1の実施形態に係る移動式クレーンAの場合と同じく、円環状のベースリング201と、このベースリング201の上面上に旋回ローラ装置202を介在してベースリング201の中心P回りに旋回可能に載置された旋回台203と、この旋回台203上に装備された吊り上げ設備204と、上記ベースリング201を支持するようにその下面に円周方向に沿って所定角度毎に設けられた各々走行可能な複数台(図では16台)の走行体205,205,…とを備えている。
【0044】
上記ベースリング201は、内外2つのリング201a,201bからなり、各リング201a,201bの断面は、いずれも矩形閉断面状に形成されている。このベースリング201の内側(詳しくは内側リング201aの内側)には、4本の梁材211,211,…を1つの梁連結材212を中心にして十字状に組み立ててなる支持梁213が取り付けられている。この支持梁213の梁連結材212は、ベースリング201の中心Pに配置されており、この梁連結材212上に、ベースリング201の中心Pと同軸上に垂直に配置した円筒状の旋回軸214の下端が支持されている。
【0045】
上記旋回台203は、ベースリング201上でかつベースリング201の中心Pを挟む2箇所にそれぞれ旋回ローラ装置202を介在して載置された左右一対ずつの前側旋回台221,221及び後側旋回台222,222と、この左側の前側旋回台221及び後側旋回台222又は右側の前側旋回台221及び後側旋回台222にそれぞれ一端が連結されて両旋回台221,222間に架け渡された左右一対の第1連結架台223,223と、この両第1連結架台223,223の中央部にそれぞれ一端が連結されて両第1連結架台223,223間に架け渡された第2連結架台224とからなる。左右一対の前側旋回台221,221同士及び後側旋回台222,222同士は、いずれも第3連結架台225を介在して連結されている一方、各第1連結架台223は、3つの矩形台226,226,226を長辺方向に一列に連結してなる。また、第2連結架台224の中央部には上記旋回軸214の上部がベアリング(図示せず)を介して相対回転可能に貫通又は嵌合されている。しかして、旋回台203は、旋回ローラ装置202がベースリング201上を走行するとき旋回軸214を中心に旋回するようになっている。
【0046】
上記吊り上げ設備204は、上記各前側旋回台221にそれぞれ基端が支持された左右一対ずつのブーム231,231及びマスト232(1つのみ図示)と、このブーム231及びマスト232の側方で各前側旋回台221上にそれぞれ搭載された左右一対のキャブ233,233と、上記各後側旋回台222上にそれぞれ搭載された左右一対のカウンタウエイト234(1つのみ図示)と、上記各マスト232の先端と対応する後側旋回台222とをそれぞれ連結する左右一対の連結ポール235(1つのみ図示)と、上記各第1連結架台223上にそれぞれ複数ずつ搭載されたウインチ236,236a,236bとを有している。各第1連結架台223上の複数のウインチ236,236a,236bのうち、前側旋回台221に近い側のウインチ236aは、ブーム231の先端から巻上ロープ237を介して吊り下げたフック238を吊り上げたり吊り下げたりするためのものであり、後側旋回台222に近い側のウインチ236bは、マスト232の先端に設けた下部スプレッダ239と、ブーム231の先端にブームガイライン240を介して連結した上部スプレッダ241との間に掛け渡したブーム起伏ロープ242の一端を巻き取り又は巻き戻すことで上部スプレッダ241と下部スプレッダ239との間の距離を伸縮し、ブーム231の起伏角度を変更するものである。
【0047】
ここで、移動式クレーンCに装備される制御システムは、図示していないが、上記左右一対のキャブ233,233のうちの一方、例えば右側(図11で左側)のキャブ233内で操作が行われるようになっている。また、吊り上げ設備204の左右一対のブーム231,231の起伏動作並びに各ブーム231の先端から巻上ロープ237を介して吊り下げたフック238の吊り上げ動作又は吊り下げ動作は、制御システム上同期するように構成されている。さらに、各ブーム231の先端から巻上ロープ237を介してフック238を吊り下げるに当たり、各ブーム231の先端からそれぞれ巻上ロープ237を介して吊り下げられる左右一対の吊り部材246,246と、この両吊り部材246,246にそれぞれ一端が連結される吊りビーム247とを用い、この吊りビーム247の中間部にフック238を吊り下げるように構成されている。
【0048】
上記旋回ローラ装置202は、上記各前側旋回台221及び各後側旋回台222にそれぞれ4つずつ取り付けられており、この旋回台221,222毎の4つの旋回ローラ装置202,202,…のうち、第3連結部材225寄りの2つの旋回ローラ装置202,202はベースリング201の内側リング201a上を、第3連結部材225から離れた側の2つの旋回ローラ装置202,202はベースリング201の外側リング201b上をそれぞれ走行するようになっている。この各旋回ローラ装置202は、図で詳示していないが、第1の実施形態の場合の旋回ローラ装置2と同じ構成になっている。
【0049】
上記各走行体205は、図で詳示していないが、従来のクローラクレーンの下部走行体の場合と同じく、左右一対のクローラ261,261を有し、油圧モータにより各クローラ261を回転させることで走行可能に設けられている。また、各走行体205は、ベースリング1の円周方向に沿って内側リング201aの下面又は外側リング201bの下面に交互にかつそれぞれ旋回装置262を介して旋回可能に設けられている。
【0050】
そして、上記移動式クレーンCにおいても、第1の実施形態の移動式クレーンAの場合と同じく、ベースリング201上を旋回台203が旋回して吊り上げ設備204の向きが変更されるだけでなく、ベースリング201を支持する複数の走行体205,205,…が走行してベースリング201の位置を移動させることができるので、移動に要する手間と時間と労力を大幅に軽減又は短縮することができ、作業の効率化を図ることができる。その上、荷重がベースリング201で支持され、曲げモーメントの影響を受けずに容易に大型化することができるので、大重量物の吊り上げ作業などに最適なものであるという効果なども奏する。
【0051】
また、第2の実施形態の移動式クレーンBの場合と同じく、旋回台203上に装備した吊り上げ設備204の左右一対のブーム231,231の先端からそれぞれ巻上ロープ237を介して吊り下げたフック238で大重量物の相吊りを行うときには、各ブーム231の旋回中心が同じであるため、各ブーム231に作用する負荷分担が旋回台203の旋回に伴って変化することはない。また、両ブーム231,231の起伏動作並びに各ブーム231の先端から巻上ロープ237を介して吊り下げたフック238の吊り上げ動作又は吊り下げ動作が同期するようになっているため、各ブーム231に作用する負荷分担がこれらの動作に伴って変更することもない。この結果、大重量物の相吊り作業を安全にかつ効率良く行うことができるという特有の効果を奏する。
【0052】
尚、本発明は上記第1ないし第3の実施形態に限定されるものではなく,その他種々の形態を包含するものである。例えば上記各実施形態では、いずれも各走行体5,105,205を、左右一対のクローラ61,61、161,161又は261,261を有し、かつベースリング1,101,201の下面にそれぞれ旋回装置62,162,262を介して旋回可能に設ける構成にしたが、本発明は、このような構成の代わりに、各走行体を、1つのクローラで走行するように構成したり、複数の車輪で走行するように構成したりしてもよい。
【0053】
また、上記各実施形態では、吊り上げ設備4,104,204として、ブーム31,131,231を有し、このブーム31,131,231の先端から巻上ロープ37,137,237を介して吊り下げたフック38,138,238で吊り荷作業を行うものについて述べたが、本発明は、このものに限らず、ブームの先端にジブの基端を連結し、このジブの先端から巻上ロープを介して吊り下げたフックで吊り荷作業を行うものなどにも適用することができるのは勿論である。
【0054】
さらに、上記各実施形態では、ベースリング1,101,201上に旋回ローラ装置2,102,202を介在して旋回台3,103,203をベースリング1,101,201の中心P回りに旋回可能に載置するに当たり、いずれもベースリング1,101,201の内側に取り付けた支持梁13,113,213の梁連結材12,112,212上に垂直上方に延びる旋回軸14,114,214を設け、この旋回軸14,114,214の上部を旋回台3,103,203の連結架台23又は第2連結架台124,224にベアリングを介して相対回転可能に貫通又は嵌合させるように構成したが、本発明は、逆に、旋回台3,103,203の連結架台23又は第2連結架台124,224の下面に垂直下方に延びる旋回軸を設け、この旋回軸の下部を支持梁13,113,213の梁連結材12,112,212にベアリングを介して相対回転可能に貫通又は嵌合させるように構成してもよく、また、ベースリング1,101,201の内側に取り付けた支持梁13,113,213の梁連結材12,112,212上に垂直上方に延びる円筒状の第1部材を設けるとともに、旋回台3,103,203の連結架台23又は第2連結架台124,224の下面に垂直下方に延びかつ上記第1部材内にベアリングを介して嵌合する第2部材を設け、第1部材及び第2部材により旋回軸を構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
A,B,C 移動式クレーン
P ベースリングの中心
1,101,201 ベースリング
2,102,202 旋回ローラ装置
3,103,203 旋回台
4,104,204 吊り上げ設備
5,105,205 走行体
14,114,214 旋回軸
21,121,221 前側旋回台
22,122,222 後側旋回台
23 連結架台
31,131,231 ブーム
34,134,234 カウンタウエイト
36,36a,36b,136,136a,136b,236,236a,236b ウインチ
51 ローラ
57 取付部材
57b 嵌合凸部
58 嵌合穴
61,161,261 クローラ
62,162,262 旋回装置
123,223 第1連結架台
124,224 第2連結架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状のベースリングと、
このベースリング上に旋回ローラ装置を介在してベースリングの中心回りに旋回可能に載置された旋回台と、
この旋回台上に装備された吊り上げ設備と、
上記ベースリングを支持するようにその下面に円周方向に沿って所定角度毎に設けられた各々走行可能な複数の走行体とを備えたことを特徴とする移動式クレーン。
【請求項2】
上記旋回台は、ベースリング上でかつベースリングの中心を挟む2箇所にそれぞれ旋回ローラ装置を介在して載置された前側旋回台及び後側旋回台と、この前側旋回台及び後側旋回台にそれぞれ一端が連結され、中央部に、ベースリングの中心回りに旋回するようにベースリング側の部分と共に旋回軸を構成する部分が設けられた連結架台とからなり、
上記吊り上げ設備は、上記前側旋回台に基端が起伏可能に支持されたブームと、上記後側旋回台上に載置されたカウンタウエイトと、上記連結架台上に載置された複数のウインチとを有してなる請求項1記載の移動式クレーン。
【請求項3】
上記旋回台は、ベースリング上でかつベースリングの中心を挟む2箇所にそれぞれ旋回ローラ装置を介在して載置された左右一対ずつの前側旋回台及び後側旋回台と、この左側の前側旋回台及び後側旋回台又は右側の前側旋回台及び後側旋回台にそれぞれ一端が連結された左右一対の第1連結架台と、この両第1連結架台の中央部にそれぞれ一端が連結され、中央部に、ベースリングの中心回りに旋回するようにベースリング側の部分と共に旋回軸を構成する部分が設けられた第2連結架台とからなり、
上記吊り上げ設備は、上記各前側旋回台に基端が起伏可能に支持された左右一対のブームと、上記各後側旋回台上に載置された左右一対のカウンタウエイトと、上記各第1連結架台上にそれぞれ複数ずつ載置されたウインチとを有し、上記両ブームの起伏動作並びに各ブームの先端からロープを介して吊り下げたフックの吊り上げ動作又は吊り下げ動作が同期するように構成されている請求項1記載の移動式クレーン。
【請求項4】
上記旋回ローラ装置は、上記前側旋回台及び後側旋回台にそれぞれ複数ずつ取り付けられており、この各旋回ローラ装置は、直線上に沿って所定間隔毎に配列された複数のローラと、これらのローラを前側旋回台の下面又は後側旋回台の下面に取り付けるための取付部材とを有し、この取付部材の中心部には、前側旋回台の下面又は後側旋回台の下面に形成した円形状の嵌合穴に嵌合可能な嵌合凸部が形成され、この嵌合凸部を上記嵌合穴に嵌合させた状態のまま取付部材の向きを変えることで複数のローラの配列方向が旋回ローラ装置毎に調整可能に設けられている請求項2又は3記載の移動式クレーン。
【請求項5】
上記各走行体は、左右一対のクローラを有し、かつベースリングの下面にそれぞれ旋回装置を介して旋回可能に設けられている請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の移動式クレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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