移動手摺の製造方法
【課題】樹脂表面層を有する移動手摺の製造方法を提案する。
【解決手段】手摺基材上に樹脂表面層を形成する表面層形成工程を含んだ移動手摺の製造方法であり、表面層形成工程は表面層形成ラインで実行され、この表面層形成ラインは、手摺基材が入力される入力ブロックと、手摺基材上に樹脂表面層を接合した移動手摺が出力される出力ブロックと、入力ブロックと出力ブロックとの間に配置された樹脂注入ブロックとを有する。樹脂注入ブロックでは、溶融した樹脂部材が入力ブロックから供給される手摺基材上に供給され、手摺基材上にこの手摺基材と接合した樹脂表面層が形成される。
【解決手段】手摺基材上に樹脂表面層を形成する表面層形成工程を含んだ移動手摺の製造方法であり、表面層形成工程は表面層形成ラインで実行され、この表面層形成ラインは、手摺基材が入力される入力ブロックと、手摺基材上に樹脂表面層を接合した移動手摺が出力される出力ブロックと、入力ブロックと出力ブロックとの間に配置された樹脂注入ブロックとを有する。樹脂注入ブロックでは、溶融した樹脂部材が入力ブロックから供給される手摺基材上に供給され、手摺基材上にこの手摺基材と接合した樹脂表面層が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エスカレータ、動く歩道などに、乗客の通路に沿って設置される移動手摺の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の移動手摺は、手摺基材上に表面層を接合して作られる。この表面層は移動手摺の化粧層として作られる。この表面層には、ゴム材がもっぱら使用されている。このゴム材からなる表面層を形成する移動手摺の製造方法が特開平6−71780号公報に開示されている。
【0003】
この先行技術では、未加硫のゴム材で表面層を作り、これを保管した後、手摺基材上に載せ、加硫装置により表面層を加硫し、手摺基材に接合する方法では、保管中に未加硫の表面層が変形する不都合があり、また保管中に未加硫の表面層に異物が付着するのを防止するために表面層をフィルムシートで被覆する必要があることが指摘されており、これらの不都合を改善するために、前記先行技術は、手摺基材の押出機の押出端部に未加硫のゴム材を供給し、未加硫のゴム材からなる表面層を手摺基材上に接合するものが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−71780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記先行技術で提案されたものでも、手摺基材上に未加硫のゴム材からなる表面層を接合した半完成状態の手摺を、改めて加硫装置で加硫して手摺を完成する必要がある。このようにゴム材の表面層を使用するものでは、未加硫の表面層を改めて加硫するための加硫工程が必要で、製造工程も複雑となる。
【0006】
この発明は、表面層を樹脂表面層として従来の問題を改善する新規で改良された移動手摺の製造方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による移動手摺の製造方法は、手摺基材上に樹脂表面層を形成する表面層形成工程を含んだ移動手摺の製造方法であって、前記表面層形成工程は表面層形成ラインで実行され、この表面層形成ラインは、前記手摺基材が入力される入力ブロックと、前記手摺基材上に前記樹脂表面層を接合した移動手摺を出力する出力ブロックと、前記入力ブロックと出力ブロックとの間に配置された樹脂注入ブロックとを有し、前記樹脂注入ブロックでは、溶融した樹脂が前記入力ブロックから供給される前記手摺基材上に供給され、前記手摺基材上にこの手摺基材と接合した前記樹脂表面層が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明による移動手摺の製造方法では、手摺基材上に樹脂表面層を形成する表面層形成工程を含み、この表面層形成工程では、入力ブロックと出力ブロックとの間に配置された樹脂注入ブロックにおいて、溶融した樹脂が入力ブロックから供給される手摺基材上に供給され、この手摺基材上にこの手摺基材と接合した樹脂表面層が形成されるので、樹脂表面層を有する良品質の移動手摺を、効率よく製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下この発明のいくつかの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の移動手摺の製造方法により製造される移動手摺10を示す断面図である。この移動手摺についてまず説明する。
【0011】
この移動手摺10は、図1において紙面と直角な方向に帯状に作られる。この移動手摺10は、ほぼC字状の断面を有する。この移動手摺10は、ほぼ平坦な上板部分11と、この上板部分11の両端からほぼ半円形状に内側に湾曲した一対の側縁部分12、13とを有し、下面には取付空間14が形成されている。取付空間14は、上側が上板部分11で覆われ、また両側が一対の側縁部分12、13で覆われるが、下端には開口16が形成されている。取付空間14は、エスカレータまたは動く歩道の側部に設置されるガイドレール(図示せず)に、被さるようにして嵌め込まれ、エスカレータまたは動く歩道の乗客コンベア部分とともに移動する。ガイドレールに代わって、エスカレータまたは動く歩道の駆動ローラ上に取付られることもある。この移動手摺10は、帯状に作られた後、所定の長さに切断され、その両端を互いに接合して、エンドレスとされる。
【0012】
移動手摺10は、手摺基材20と、表面樹脂層50とにより構成される。手摺基材20は、移動手摺10の下層を構成するベース部材であり、移動手摺10の上板部分11、一対の側縁部分12、13におけるベース部材を構成する。表面樹脂層50は、手摺基材20の表面上に接合して形成される。この表面樹脂層50は移動手摺10の上板部分11と、一対の側縁部分12、13の表面に形成され、手摺基材20に接合される。
【0013】
手摺基材20は、芯材30とスライダ40とを接合して構成される。芯材30は熱可塑性エラストマによりほぼC字状の断面を持つように帯状に構成される。この芯材30は、上板部分311と、一対の側縁部分312、313を有し、上板部分311は移動手摺10の上板部分11の中間層を構成する。一対の側縁部分312、313は、上板部分311の両端からほぼ半円形状に内側に湾曲しており、移動手摺10の一対の側縁部分12、13の中間層を構成する。
【0014】
芯材30の上板部分311内には、抗張帯またはテンションバンド31が包み込まれており、この抗張帯またはテンションバンド31は移動手摺10の上板部分11の中心部に、移動手摺10の延長方向に延在するように配置される。この抗張帯またはテンションバンド31は、スチールテープなどで構成され、高い引張強度を有する。この抗張帯またはテンションバンド31により移動手摺10の長手方向における伸びが規制され、また移動手摺10の機械的強度が補強される。
【0015】
芯材30を構成する熱可塑性エラストマには、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系の樹脂が使用される。
【0016】
抗張帯またはテンションバンド31は、例えばスチールテープなどの金属テープで構成されるが、この金属テープに代わって、金属または合成繊維から構成される低い伸張性を有するワイヤを複数本使用することもできる。複数本のワイヤは、互いに平行に、移動手摺10の延長方向に延在するようにして、芯材30の上板部分311内に包み込まれる。金属ワイヤとしては、例えばスチールワイヤが使用される。合成繊維ワイヤとしては、カーボン繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維などからなるワイヤが使用される。このワイヤには、単線ワイヤまたは撚線ワイヤが使用される。
【0017】
スライダ40は芯材30の内周面に接合され、移動手摺10の取付空間14の周壁15を構成する。このスライダ40は、エスカレータまたは動く歩道の側部に設置されるガイドレール(図示せず)に、被さるようにして嵌め込まれ、このガイドレールに直接当接する。このスライダ40は、上板部分411と、一対の側縁部分412、413と、一対の端面部416、417と、一対の折返部418、419を有する。スライダ40の上板部分411は、移動手摺10の上板部分11の下層を構成し、芯材30の上板部分311の内側に接合される。スライダ40の一対の側縁部分412、413は、移動手摺10の一対の側縁部分12、13の下層を構成し、芯材30の一対の側縁部分312、313の内側に接合される。
【0018】
このスライダ40の一対の端面部416、417は、一対の側縁部分412、413の下端に形成される。これらの一対の端面部416、417ほぼ垂直な端面を有し、互いに対向して、移動手摺10の開口16を形成する。これらの端面部416、417の垂直方向の幅Wは、移動手摺10の上板部分11の厚さTとほぼ等しくされる。スライダ40の一対の折返部418、419は、端面部416、417の下端から芯材30の下周面に向かって斜めに折り返され、端面部416、417とともに芯材30の下端部を包み込むようにして覆っている。
【0019】
スライダ40は、各種の布地またはシートを複数枚積層しそれを接着材で固めて構成される。布地としては、帆布などの丈夫な布地が使用される。具体的には天然繊維、合成繊維の編成地または織物地が使用される。天然繊維の布地は、屋内に設置される移動手摺に使用され、合成繊維の布地は屋外に設置される移動手摺に使用される。ただし、天然繊維の布地と合成繊維の布地を組み合わせ使用することもできる。天然繊維としては、綿繊維または麻繊維が使用される。また合成繊維としては、ポリエステル系、ナイロン系の繊維を使用することができる。シートとしては、合成樹脂の丈夫なシートが使用される。
【0020】
スライダ40は、上板部分411、一対の側縁部分412、413、一対の端面部416、417、および一対の折返部418、419を有する断面C字状の帯状体として準備される。このスライダ40の帯状体の上に、熱可塑性エラストマを押出成形機により押出し、芯材30を成形すると同時に、この芯材30とスライダ40とを熱溶着により接合する方法で、手摺基材20を製作する。しかし、スライダ40の上に、別に製作された断面C字状の芯材30を、後から熱圧着などの方法で接合して作ることもできる。さらに、折返部418、419は、スライダ40上に芯材30を接合した後で、芯材30の下端部を包むように、折り曲げすることもできる。
【0021】
樹脂表面層50は手摺基材20の表面を覆う化粧層であり、エスカレータまたは動く歩道の乗客コンベア上の乗客がその上に手をおいて姿勢を安定化するのに利用される。この樹脂表面層50は、上板部分511と、一対の側縁部分512、513を有し、移動手摺10の上板部分11と、一対の側縁部分12、13の上層を構成する。樹脂表面層50の上板部分511は、移動手摺10の上板部分11の上層を構成し、芯材30の上板部分311上に接合される。樹脂表面層50の一対の側縁部分512、513は、移動手摺10の一対の側縁部分12、13の上層を形成し、芯材30の一対の側縁部分312、313上に接合される。
【0022】
この樹脂表面層50は、客先からの指定に応じて所定の色に着色される。この樹脂表面層50も熱可塑性エラストマを用いて、手摺基材20上に手摺基材20と接合するように成形して構成される。所定の色に着色するには、熱可塑性エラストマに所定の色の着色剤を混入する。なお、樹脂表面層50は透明または無彩色(素材色を含む)のまま使用してもよい。
【0023】
樹脂表面層50を構成する熱可塑性エラストマには、芯材30を構成する熱可塑性エラストマと同じ材料を使用する。具体的には、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系の樹脂を使用する。この樹脂表面層50の硬度は、芯材30の硬度と同じにされるが、必要に応じて違えることもできる。
【0024】
さて、この発明による移動手摺10の製造方法について説明する。この移動手摺10の製造方法は、手摺基材20の製造ライン60と、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成する表面層形成ライン70とを含む。図2は手摺基材20の製造ライン60を示し、図3は表面層形成ライン70を示す。
【0025】
樹脂表面層50の色が客先により指定される場合には、図2に示す製造ライン60により、先に手摺基材20を製作しておき、客先から樹脂表面層50の色が指定された段階で、表面層形成ライン70により、その指定された色の樹脂表面層50を手摺基材20上に形成する。表面樹脂層50の色は、客先の仕様が決定されるのが遅い場合が多いので、先に長尺の帯状の手摺基材20を先に製造しておき、客先から樹脂表面層50の色が指定された後で、その指定された色の樹脂表面層50を手摺基材20上に形成し、所定の長さの移動手摺10を切断する。
【0026】
図2の手摺基材20の製造ライン60は、供給リール61、62、成形装置63、手摺基材押出機64、冷却水槽65、引出駆動機構66、巻取リール67を備えている。供給リール61は、スライダ40を構成する布地積層帯40aを供給し、供給リール62は抗張帯またはテンションバンド31を供給する。これらの布地積層帯40aと抗張帯またはテンションバンド31は、ともに成形装置63に供給される。この成形装置63は、布地積層帯40aを、断面C字状に成形し、スライダ40を形成する。このスライダ40は、一対の端面部416、417と、一対の折返部418、419を有するが、折返部418、419は芯材30の形成後に折り返すこともできる。
【0027】
スライダ40は抗張帯またはテンションバンド31とともに手摺基材押出機64に送られる。手摺基材押出機64は知られているので、詳細な説明は省略するが、手摺基材押出機64では、スライダ40の上の所定の位置に抗張帯またはテンションバンド31が保持された状態で、芯材30を構成する熱可塑性エラストマが溶融してスライダ40上に供給され、スライダ40上に熱溶着されて芯材30が成形され、手摺基材20を押し出す。抗張帯またはテンションバンド31は芯材30内に包み込まれる。
【0028】
手摺基材押出機64は、芯材30を構成する熱可塑性エラストマを送り出すスクリューなどを備えた樹脂送給装置と、この樹脂送給装置からの溶融した樹脂エラストマをスライダ40上に押出す押出しヘッドを有する。
【0029】
手摺基材押出機64から押出された手摺基材20は、冷却水槽65、引出駆動機構66を通り、巻取リール67に巻き取られる。引出駆動機構66は、上下の一対の駆動要素の間に手摺基材20を挟み、供給リール61から布地積層帯40aを、また供給リール62から抗張帯またはテンションバンド31をそれぞれ引出し、これらを成形装置63、手摺基材押出機64に通過させ、また手摺基材押出機64から押出される手摺基材20を冷却水槽65に通過させる。
【0030】
図3に示される表面層形成ライン70は、供給リール71、移動手摺押出機73、平滑化装置74、冷却水槽75、引出駆動機構76および巻取リール77を有する。供給リール71は図2に示す製造ライン60によって製造された手摺基材20を供給するリールであり、図2の巻取リール67を供給リール71として付け替えて使用する。移動手摺押出機73は手摺基材20上に樹脂表面層50を形成した移動手摺10を押出す押出機である。平滑化装置74は、移動手摺押出機73から押出された移動手摺10について、その上板部分11上の樹脂表面層50の表面を平坦に加工する。
【0031】
引出駆動機構76は、上下の一対の駆動要素の間に、移動手摺10を挟んで移動手摺10を引出すもので、供給リール71から手摺基材20を引出し、この手摺基材20を移動手摺押出機73に通過させ、また移動手摺押出機73から押出される移動手摺10を平滑化装置74、冷却水槽75に通過させる。
【0032】
図4は、図3に示された表面層形成ライン70における移動手摺押出機73と、平滑化装置74の詳細を示す。この図4では、表面層形成ライン70の中心ラインが仮想線L−Lで示される。この図4では、手摺基材20が中心ラインL−Lに沿って右側の矢印Aの方向に入力される。
【0033】
移動手摺押出機73は、中心ラインL−Lに沿って配置された7つのブロック710、720、730、740、750、760、770を含んでおり、これらの7つのブロック710、720、730、740、750、760、770は、矢印Aに方向に順番に互いに隣接して配置される。7つのブロック710、720、730、740、760、770は、それぞれの中心部を中心ラインL−Lが貫通するように、中心ラインL−Lを共通の中心軸線として配置されている。
【0034】
図4において、ブロック710、720では、手摺基材20が中心ラインL−Lに沿って送られるが、ブロック730ではこの手摺基材20が移動手摺10となり、ブロック730、740、750、760、770では、移動手摺10が中心ラインL−Lに沿って送られる。移動手摺10は、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成したものであり、図4では、移動手摺10はこの樹脂表面層50の厚さの分だけ厚く図示されている。
【0035】
ブッロク710は入力ブロックであり、供給リール71からの手摺基材20が入力される。ブロック720は補助入力ブロックである。ブロック730は樹脂注入ブロックであり、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成するための熱可塑性エラストマが溶融した状態で供給される。ブロック740、750は成形ブロックであり、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成した移動手摺10を成形する。成形ブロック740を第1成形ブロック、成形ブロック750を第2成形ブロックという。ブロック760は移動手摺10を出力する出力ブロックである。ブロック770は、移動手摺10に対する寸法修正ブロックである。
【0036】
入力ブロック710は、移動手摺押出機73の最も入力側に配置される。出力ブロック760は、移動手摺押出機73の出力側に配置されるが、この出力ブロック760の出力側にさらに寸法修正ブロック770が配置される。この寸法修正ブロック770は、移動手摺10の最も出力側に配置される。
【0037】
入力ブロック710と出力ブロック760との間に、樹脂注入ブロック730が配置される。この樹脂注入ブロック730と入力ブロック710との間に補助入力ブロック720が配置される。樹脂注入ブロック730と出力ブロック760との間に、第1、第2成形ブロック740、750が配置される。
【0038】
図5は図4に示された移動手摺押出機52の各ブロック710、720、730、740、750、760、770と、平滑化装置74とに対応する温度変化を示す。図5の横軸は、移動手摺押出機73の各ブロックと、平滑化装置74に対応する位置を示し、縦軸は、それらを通過する移動手摺10、手摺基材20の表面温度を示す。
【0039】
温度は、樹脂注入ブロック730で最大であり、この樹脂注入ブロック730の入力側と、出力側では温度が室温まで低下している。樹脂注入ブロック730の入力側では、この樹脂注入ブロック730から遠ざかるに伴ない、補助入力ブロック720、入力ブロック710の順に温度が低下し、入力ブロック710の入力端では室温となる。樹脂注入ブロック730の出力側では、樹脂注入ブロック730から遠ざかるに伴ない、成形ブロック740、750、出力ブロック760、寸法修正ブロック770の順に温度が低下する。
【0040】
図4に示された各ブロック710、720、730、740、750、760、770の詳細について、図6〜図12を参照して説明する。図6は入力ブロック710、図7は補助入力ブロック720、図8は樹脂注入ブロック730、図9は第1成形ブロック740、図10は第2成形ブロック750、図11は出力ブロック760、図12は寸法修正ブロック770のそれぞれの拡大断面図である。図6〜図12は各ブロックの中心ラインL−Lに直交する方向の断面を拡大して示す。
【0041】
まず、入力ブロック710について説明する。この入力ブロック710は、図6に示すように、所定の大きさを持った直方体形状の入力金型711により構成される。この入力金型711は、中心部に断面C字状の型空間712を有し、この型空間712は、手摺基材20に対する案内空間を構成する。この型空間または案内空間712は中心ラインL−Lに沿って入力ブロック710の中心部を貫通する。この型空間または案内空間712は、供給リール71から供給される手摺基材20を受け入れ、この手摺基材20を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0042】
型空間または案内空間712の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、手摺基材20の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または案内空間712の周壁713は、手摺基材20の全周面にぴったりと接触しており、この型空間または案内空間713の周壁713と手摺基材20の全周面との接触面は、樹脂が逆流しないように、実質的に封じされる。この接触面の封じにより、樹脂注入ブロック730に注入された溶融した樹脂が入力ブロック710のさらに入力側に逆流するのが防止される。具体的には、型空間または案内空間712の周壁713は、芯材30の上板部分311の上表面と、一対の側縁部分312、313の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。
【0043】
入力金型711には、電気ヒータ718と、温度センサ719が付設される。電気ヒータ718は、高温のシリコンなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。入力金型711は、温度センサ719により検出された入力金型711の温度に基づき、所定
に温度に制御される。
【0044】
補助入力ブロック720も、図7に示すように、所定の大きさを持った直方体形状の補助入力金型721により構成される。この補助入力金型721は、中心部に断面C字状の型空間722を有し、この型空間722は手摺基材20に対する補助案内空間を構成する。この型空間または補助案内空間722はの中心ラインL−Lに沿って補助入力ブロック720の中心部を貫通している。この型空間または補助案内空間722は入力ブロック710から供給される手摺基材20を受け入れ、この手摺基材20を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0045】
型空間または補助案内空間722の中心ラインL−Lと直交する方向の断面も、手摺基材20の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または補助案内空間722の周壁723は、手摺基材20の全周面にぴったりと接触し、この型空間または補助案内空間723の周壁723と手摺基材20の全周面との接触面は、樹脂が逆流しないように、実質的に封じされる。この接触面の封じにより、樹脂注入ブロック730に注入された溶融した樹脂が補助入力ブロック720から入力ブロック710に逆流するのが防止される。具体的には、型空間または補助案内空間722の周壁723も、芯材30の上板部分311の上表面と、一対の側縁部分312、313の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。
【0046】
入力補助金型721にも、電気ヒータ728と、温度センサ729が付設される。電気ヒータ728は、高温のシリコンなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。入力金型721は、温度センサ729により検出された入力金型721の温度に基づき、所定に温度に制御される。
【0047】
次に樹脂注入ブロック730について説明する。この樹脂注入ブロック730は、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成し、手摺基材20を移動手摺10に変化させる。
【0048】
この樹脂注入ブロック730は、図8に示すように、所定の大きさを持った直方体形状の樹脂注入金型731により構成される。この樹脂注入金型731は、中心部に断面C字状の型空間732を有し、この型空間732は中心ラインL−Lに沿って樹脂注入ブロック730の中心部を貫通している。
【0049】
樹脂注入金型731の型空間732の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形と大きさを持っている。この型空間732は、手摺基材20の断面に相当する案内空間732aの上に、樹脂表面層50を形成するための樹脂注入空間732bを重ねた形状と大きさを持っている。案内空間732aには、補助入力ブロック720からの手摺基材20が案内され、この手摺基材20上に接するように、樹脂注入空間732bが形成される。樹脂注入金型731に形成された型空間732は、入力金型711に形成された型空間または案内空間712、または補助入力金型721に形成された型空間または補助案内空間722に比べて、樹脂注入空間732bだけ大きい。
【0050】
型空間732の中の案内空間732aの中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、手摺基材20の断面と同じ形状と大きさを有し、この案内空間732aの下側の周壁733は、手摺基材20の下側の取付空間14の周面にぴったりと接触し、この周壁733と手摺基材20の取付空間14との接触面は、溶融した樹脂が侵入しないように、実質的に封じされる。具体的には、案内空間732aの下側の周壁733は、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面に、ぴったりと接触する。
【0051】
型空間732の樹脂注入空間732bの中心ラインと直交する方向の断面は、樹脂表面層50の断面と同じ形状と大きさと持つ。具体的には、この樹脂注入空間732bは、芯材30の上板部分311の上表面と、一対の側縁部分312、313の外周面と、一対の折返部418、419の外周面とに接触するように形成され、樹脂表面層50と同じ厚さを持っている。
【0052】
樹脂注入ブロック730の上には、樹脂供給装置735が配置される。この樹脂供給装置735は、樹脂注入金型731に形成された樹脂通路736を通じて、樹脂注入空間732bに樹脂表面層50を形成するための溶融した樹脂を供給する。
【0053】
樹脂供給装置735からの溶融した樹脂は、型空間732の樹脂注入空間732bに注入され、案内空間732aを移動する手摺基材20の上に、溶融状態の樹脂表面層を形成する。樹脂注入空間732bに注入された樹脂は、温度の低下に伴なって樹脂注入金型731の中で硬化を開始し、手摺部材20の上面に接合した樹脂表面層50が徐々に形成される。この樹脂表面層50の形状と大きさは、樹脂注入空間732bの形状に応じて決定されるので、結果として樹脂表面層50は型空間732の樹脂注入空間732bにより成形される。
【0054】
樹脂注入金型731にも、電気ヒータ738と、温度センサ739が付設される。電気ヒータ738は、高温のシリコンなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。樹脂注入金型721は、温度センサ729により検出された入力金型721の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0055】
次に第1成形ブロック740について説明する。第1成形ブロック740は、樹脂注入ブロック730から供給される移動手摺10に対し、その樹脂表面層50の硬化を進めながら、成形を行なう。
【0056】
この第1成形ブロック740は、図9に示すように、直方体形状の第1成形金型741により構成される。この第1成形金型741は、直方体状の金属ケース745の内部に配置される。第1成形金型741は、中心部に断面C字状の型空間742を有し、この型空間742は、樹脂注入ブロック730から供給される移動手摺10の樹脂表面層50に対する第1成形空間を構成する。この型空間または第1成形空間742は、中心ラインL−Lに沿って第1成形金型741と金属ケース745の中心部を貫通している。この型空間または第1成形空間742は樹脂注入ブロック730から供給される移動手摺10を受け入れ、この移動手摺10を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0057】
型空間または第1成形空間742の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または第1成形空間742の周壁743は、樹脂表面層50の上表面にぴったりと接触する。具体的には、型空間または第1成形空間742の周壁743は、硬化中の樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、その一対の側縁部分512、513の外周面とに、ぴったりと接触する。この接触に基づき、型空間または第1成形空間742は、その中を通過する樹脂表面層50を、その周壁743により成形する。
【0058】
金属ケース745の底部の上には、中心ラインL−Lに沿って延びるように、案内レール744が形成される。この案内レール744は、第1成形金型741内に突出するように形成され、移動手摺10の取付空間14に嵌り込み、取付空間14の周壁15にぴったりと接触する。具体的には、案内レール744の上部表面は、取付空間14の周壁15を形成するスライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417とに、ぴったりと接触する。この案内レール744は、移動手摺10をその下部で、中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0059】
第1成形金型741は、多数の微小な孔を有するポーラスの金型として構成される。この第1成形金型741の多数の微小な孔は、型空間または第1成形空間742の周壁743に、シリコンオイルを供給し、型空間または第1成形空間742を通る移動手摺10の外表面、すなわち樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、一対の側縁部分512、513の外周面に、シリコンオイル膜17を形成する。このシリコンオイル膜17は、移動手摺10の移動に伴なう摩擦を低減する。
【0060】
金属ケース745の上には、シリコンオイルの供給パイプ746が付設される。第1成形金型741の上部には、シリコンオイルを溜めるオイル溜め747が形成される。シリコンオイルは、供給パイプ746、オイル溜め747、第1成形金型741の微小な孔を通り、移動手摺10の樹脂表面層50の外表面に塗布される。
【0061】
第1成形金型741にも、電気ヒータ748と、温度センサ749が付設される。電気ヒータ748は、高温のシリコンオイルなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。第1成形金型741は、温度センサ749により検出された第1成形金型741の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0062】
第2成形ブロック750は、第1成形ブロック740から供給される移動手摺10に対し、その樹脂表面層50の硬化ほぼ完了させるとともに、その成形を行なう。
【0063】
この第2成形ブロック750は、図10に示すように、所定の大きさの直方体形状の第2成形金型751により構成される。この第2成形金型751は、中心部に断面C字状の型空間752を有し、この型空間752は、第1成形ブロック740から供給される移動手摺10に対する第2成形空間を構成する。この型空間または第1成形空間752は、中心ラインL−Lに沿って第2成形金型751の中心部を貫通している。この型空間または第2成形空間752は第1成形ブロック740から供給される移動手摺10を受け入れ、この移動手摺10を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0064】
型空間または第2成形空間752の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または第2成形空間752の周壁753は、移動手摺10の全周面にぴったりと接触する。具体的には、型空間または第1成形空間752の周壁753は、硬化をほぼ完了した樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、その一対の側縁部分512、513の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。この接触に基づき、型空間または第2成形空間752は、その中を通過する移動手摺10の樹脂表面層50を、その周壁753により成形する。移動手摺10の外表面に塗布されたシリコンオイル膜17は、型空間または第2成形空間752の周壁753と、移動手摺10との接触面の摩擦を低減する。
【0065】
第2成形金型751にも、電気ヒータ758と、温度センサ759が付設される。電気ヒータ758は、高温のシリコンオイルなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。第2成形金型751は、温度センサ759により検出された第2成形金型751の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0066】
次に出力ブロック760について説明する。この出力ブロック760は、第2成形ブロック750から供給される移動手摺10の樹脂表面層50に対して、仕上げ成形を行ない、移動手摺10を出力する。
【0067】
この出力ブロック760は、図11に示すように、所定の大きさの直方体形状の出力金型761により構成される。この出力金型761は、中心部に断面C字状の型空間762を有し、この型空間762は、第2成形ブロック750から供給される移動手摺10の樹脂表面層50に対する仕上げ成形空間を構成する。この型空間または仕上げ成形空間762は、中心ラインL−Lに沿って出力金型761の中心部を貫通している。この型空間または仕上げ成形空間762は第2成形ブロック750から供給される移動手摺10を受け入れ、この移動手摺10を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0068】
型空間または仕上げ成形空間762の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または仕上げ成形空間762の周壁763は、移動手摺10の全周面にぴったりと接触する。具体的には、型空間または仕上げ成形空間762の周壁763は、硬化をほぼ完了した樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、その一対の側縁部分512、513の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。この接触に基づき、型空間または成形空間762は、その中を通過する移動手摺10の樹脂表面層50をその周壁763により成形し、移動手摺10を出力する。
【0069】
移動手摺10の樹脂表面層50の寸法は、樹脂注入ブロック730の型空間732の樹脂注入空間732b、第1成形ブロック740の型空間または第1成形空間742、第2成形ブロック750の型空間または第2成形空間752、および出力ブロック760の型空間または仕上げ成形空間762を通過することにより、ほぼ所定の寸法に仕上げされる。移動手摺10の樹脂表面層50の外表面に塗布されたシリコンオイル膜17は、型空間または仕上げ成形空間762の周壁763と、移動手摺10との接触面の摩擦を低減する。
【0070】
出力金型761にも、電気ヒータ768と、温度センサ769が付設される。電気ヒータ768は、高温のシリコンオイルなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。出力金型761は、温度センサ769により検出された出力金型761の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0071】
最後に寸法修正ブロック770について説明する。この出力ブロック770は、出力ブロック760から供給される移動手摺10に対して、その寸法が所定値からずれていた場合に、寸法修正を行ない、移動手摺10を出力する。
【0072】
この寸法修正ブロック770は、図12に示すように、所定の大きさの直方体形状の寸法修正金型771により構成される。この寸法修正金型771は、中心部に断面C字状の型空間772を有し、この型空間772は、出力ブロック760からの移動手摺10の樹脂表面層50に対する寸法修正空間を構成する。この型空間または寸法修正空間772は、中心ラインL−Lに沿って寸法修正金型771の中心部を貫通している。この型空間または寸法修正成形空間772は出力ブロック760から供給される移動手摺10を受け入れ、この移動手摺10を中心ラインL−Lに沿って案内しながら、樹脂表面層50の寸法の修正を行なう。
【0073】
型空間または寸法修正空間772の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または寸法修正空間772の周壁773は、移動手摺10の全周面にぴったりと接触する。具体的には、型空間または寸法修正空間772の周壁773は、樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、その一対の側縁部分512、513の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。この接触に基づき、型空間または寸法修正空間772は、その中を通過する移動手摺10の樹脂表面層50を、その周壁773により寸法修正し、移動手摺10を出力する。
【0074】
寸法修正金型761にも、電気ヒータ768と、温度センサ769が付設される。電気ヒータ768は、高温のシリコンオイルなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。寸法修正金型761は、温度センサ769により検出された寸法修正金型761の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0075】
移動手摺押出機73の寸法修正ブロック770から送り出される移動手摺10は、平滑化装置74に入力される。この平滑化装置74は、表面樹脂層50の外表面、とくに上板部分511の外表面を平滑に仕上げるものである。
【0076】
この平滑化装置74は、平滑化ローラ78と、支持ガイド79を有する。平滑化ローラ78は、樹脂表面層50の上板部分511の外表面に圧接され、この外表面を平坦に、鏡面仕上げする。支持ガイド79は、移動手摺10の取付空間14に嵌め込まれ、平滑化ローラ78の押付力を支持するとともに、取付空間14の周面の形状を整形する。
【0077】
図4に示す各ブロック710、720、730、740、750、760、770は、それぞれがヒータ7118、728、738、748、758、768、778を有し、またそれぞれが温度センサ719、729、739、749、759、769、779を有するので、互いに独立して温度制御される。この各ブロックの温度制御には、例えばコンピュータを利用することができる。しかし、コンピュータを使用せずに、各ブロックを独立して温度制御することも可能である。
【0078】
なお、図4に示す補助入力ブロック720は省略することもできる。この場合、入力ブロック710と樹脂注入ブロック730との間には、樹脂注入ブロック730から入力ブロック710への熱伝導を抑制する熱伝導抑制部材を配置する。この熱伝導抑制部材は、例えば断熱特性を有する耐熱性の絶縁部材で構成される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
この発明による移動手摺の製造方法は、エスカレータの移動手摺または動く歩道の移動手摺などの製造方法として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1はこの発明が製造する移動手摺を示す断面図である。
【図2】図2はこの発明による移動手摺の製造方法の中の手摺基材の製造ラインを示す配置図である。
【図3】図3はこの発明による移動手摺の製造方法の中の移動手摺製造ラインを示す配置図である。
【図4】図4はこの発明による移動手摺の製造方法に含まれる表面層形成工程と平滑化装置の詳細を示す配置図である。
【図5】図5は図4の配置に対応する移動手摺の表面温度の変化を示すグラフである。
【図6】図6は、この発明による表面層形成工程で使用される入力ブロックの一例を示す断面図である。
【図7】図7は、この発明による表面層形成工程で使用される補助入力ブロックの一例を示す断面図である。
【図8】図8は、この発明による表面層形成工程で使用される樹脂注入ブロックの一例を示す断面図である。
【図9】図9は、この発明による表面層形成工程で使用される第1成形ブロックの一例を示す断面図である。
【図10】図10は、この発明による表面層形成工程で使用される第2成形ブロックの一例を示す断面図である。
【図11】図11は、この発明による表面層形成工程で使用される出力ブロックの一例を示す断面図である。
【図12】図12は、この発明による表面層形成工程で使用される寸法修正ブロックの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0081】
10:移動手摺、11:上板部分、12、13:側縁部分、14:取付空間、
16:開口、20:手摺基材、30:芯材、31:抗張帯またはテンションバンド、
311:上板部分、312、313:側縁部分、40:スライダ、411:上板部分、
412、413:側縁部分、416、417:端面部、418、419:折返部、
60、70:製造ライン、73:移動手摺押出機、710:入力ブロック、
711:入力金型、712:案内空間、713:周壁、720:補助入力ブロック、
721:補助入力金型、722:補助案内空間、723:周壁、
730:樹脂注入ブロック、731:樹脂注入金型、732b:樹脂注入空間、
740:第1成形ブロック、741:第1成形金型、742:第1成形空間、
750:第2成形ブロック、751:第2成形金型、752:第2成形空間、
760:出力ブロック、761:出力金型、762:成形空間、
770:寸法修正ブロック、771:寸法修正金型、772:寸法修正空間。
【技術分野】
【0001】
この発明は、エスカレータ、動く歩道などに、乗客の通路に沿って設置される移動手摺の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の移動手摺は、手摺基材上に表面層を接合して作られる。この表面層は移動手摺の化粧層として作られる。この表面層には、ゴム材がもっぱら使用されている。このゴム材からなる表面層を形成する移動手摺の製造方法が特開平6−71780号公報に開示されている。
【0003】
この先行技術では、未加硫のゴム材で表面層を作り、これを保管した後、手摺基材上に載せ、加硫装置により表面層を加硫し、手摺基材に接合する方法では、保管中に未加硫の表面層が変形する不都合があり、また保管中に未加硫の表面層に異物が付着するのを防止するために表面層をフィルムシートで被覆する必要があることが指摘されており、これらの不都合を改善するために、前記先行技術は、手摺基材の押出機の押出端部に未加硫のゴム材を供給し、未加硫のゴム材からなる表面層を手摺基材上に接合するものが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−71780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記先行技術で提案されたものでも、手摺基材上に未加硫のゴム材からなる表面層を接合した半完成状態の手摺を、改めて加硫装置で加硫して手摺を完成する必要がある。このようにゴム材の表面層を使用するものでは、未加硫の表面層を改めて加硫するための加硫工程が必要で、製造工程も複雑となる。
【0006】
この発明は、表面層を樹脂表面層として従来の問題を改善する新規で改良された移動手摺の製造方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による移動手摺の製造方法は、手摺基材上に樹脂表面層を形成する表面層形成工程を含んだ移動手摺の製造方法であって、前記表面層形成工程は表面層形成ラインで実行され、この表面層形成ラインは、前記手摺基材が入力される入力ブロックと、前記手摺基材上に前記樹脂表面層を接合した移動手摺を出力する出力ブロックと、前記入力ブロックと出力ブロックとの間に配置された樹脂注入ブロックとを有し、前記樹脂注入ブロックでは、溶融した樹脂が前記入力ブロックから供給される前記手摺基材上に供給され、前記手摺基材上にこの手摺基材と接合した前記樹脂表面層が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明による移動手摺の製造方法では、手摺基材上に樹脂表面層を形成する表面層形成工程を含み、この表面層形成工程では、入力ブロックと出力ブロックとの間に配置された樹脂注入ブロックにおいて、溶融した樹脂が入力ブロックから供給される手摺基材上に供給され、この手摺基材上にこの手摺基材と接合した樹脂表面層が形成されるので、樹脂表面層を有する良品質の移動手摺を、効率よく製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下この発明のいくつかの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の移動手摺の製造方法により製造される移動手摺10を示す断面図である。この移動手摺についてまず説明する。
【0011】
この移動手摺10は、図1において紙面と直角な方向に帯状に作られる。この移動手摺10は、ほぼC字状の断面を有する。この移動手摺10は、ほぼ平坦な上板部分11と、この上板部分11の両端からほぼ半円形状に内側に湾曲した一対の側縁部分12、13とを有し、下面には取付空間14が形成されている。取付空間14は、上側が上板部分11で覆われ、また両側が一対の側縁部分12、13で覆われるが、下端には開口16が形成されている。取付空間14は、エスカレータまたは動く歩道の側部に設置されるガイドレール(図示せず)に、被さるようにして嵌め込まれ、エスカレータまたは動く歩道の乗客コンベア部分とともに移動する。ガイドレールに代わって、エスカレータまたは動く歩道の駆動ローラ上に取付られることもある。この移動手摺10は、帯状に作られた後、所定の長さに切断され、その両端を互いに接合して、エンドレスとされる。
【0012】
移動手摺10は、手摺基材20と、表面樹脂層50とにより構成される。手摺基材20は、移動手摺10の下層を構成するベース部材であり、移動手摺10の上板部分11、一対の側縁部分12、13におけるベース部材を構成する。表面樹脂層50は、手摺基材20の表面上に接合して形成される。この表面樹脂層50は移動手摺10の上板部分11と、一対の側縁部分12、13の表面に形成され、手摺基材20に接合される。
【0013】
手摺基材20は、芯材30とスライダ40とを接合して構成される。芯材30は熱可塑性エラストマによりほぼC字状の断面を持つように帯状に構成される。この芯材30は、上板部分311と、一対の側縁部分312、313を有し、上板部分311は移動手摺10の上板部分11の中間層を構成する。一対の側縁部分312、313は、上板部分311の両端からほぼ半円形状に内側に湾曲しており、移動手摺10の一対の側縁部分12、13の中間層を構成する。
【0014】
芯材30の上板部分311内には、抗張帯またはテンションバンド31が包み込まれており、この抗張帯またはテンションバンド31は移動手摺10の上板部分11の中心部に、移動手摺10の延長方向に延在するように配置される。この抗張帯またはテンションバンド31は、スチールテープなどで構成され、高い引張強度を有する。この抗張帯またはテンションバンド31により移動手摺10の長手方向における伸びが規制され、また移動手摺10の機械的強度が補強される。
【0015】
芯材30を構成する熱可塑性エラストマには、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系の樹脂が使用される。
【0016】
抗張帯またはテンションバンド31は、例えばスチールテープなどの金属テープで構成されるが、この金属テープに代わって、金属または合成繊維から構成される低い伸張性を有するワイヤを複数本使用することもできる。複数本のワイヤは、互いに平行に、移動手摺10の延長方向に延在するようにして、芯材30の上板部分311内に包み込まれる。金属ワイヤとしては、例えばスチールワイヤが使用される。合成繊維ワイヤとしては、カーボン繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維などからなるワイヤが使用される。このワイヤには、単線ワイヤまたは撚線ワイヤが使用される。
【0017】
スライダ40は芯材30の内周面に接合され、移動手摺10の取付空間14の周壁15を構成する。このスライダ40は、エスカレータまたは動く歩道の側部に設置されるガイドレール(図示せず)に、被さるようにして嵌め込まれ、このガイドレールに直接当接する。このスライダ40は、上板部分411と、一対の側縁部分412、413と、一対の端面部416、417と、一対の折返部418、419を有する。スライダ40の上板部分411は、移動手摺10の上板部分11の下層を構成し、芯材30の上板部分311の内側に接合される。スライダ40の一対の側縁部分412、413は、移動手摺10の一対の側縁部分12、13の下層を構成し、芯材30の一対の側縁部分312、313の内側に接合される。
【0018】
このスライダ40の一対の端面部416、417は、一対の側縁部分412、413の下端に形成される。これらの一対の端面部416、417ほぼ垂直な端面を有し、互いに対向して、移動手摺10の開口16を形成する。これらの端面部416、417の垂直方向の幅Wは、移動手摺10の上板部分11の厚さTとほぼ等しくされる。スライダ40の一対の折返部418、419は、端面部416、417の下端から芯材30の下周面に向かって斜めに折り返され、端面部416、417とともに芯材30の下端部を包み込むようにして覆っている。
【0019】
スライダ40は、各種の布地またはシートを複数枚積層しそれを接着材で固めて構成される。布地としては、帆布などの丈夫な布地が使用される。具体的には天然繊維、合成繊維の編成地または織物地が使用される。天然繊維の布地は、屋内に設置される移動手摺に使用され、合成繊維の布地は屋外に設置される移動手摺に使用される。ただし、天然繊維の布地と合成繊維の布地を組み合わせ使用することもできる。天然繊維としては、綿繊維または麻繊維が使用される。また合成繊維としては、ポリエステル系、ナイロン系の繊維を使用することができる。シートとしては、合成樹脂の丈夫なシートが使用される。
【0020】
スライダ40は、上板部分411、一対の側縁部分412、413、一対の端面部416、417、および一対の折返部418、419を有する断面C字状の帯状体として準備される。このスライダ40の帯状体の上に、熱可塑性エラストマを押出成形機により押出し、芯材30を成形すると同時に、この芯材30とスライダ40とを熱溶着により接合する方法で、手摺基材20を製作する。しかし、スライダ40の上に、別に製作された断面C字状の芯材30を、後から熱圧着などの方法で接合して作ることもできる。さらに、折返部418、419は、スライダ40上に芯材30を接合した後で、芯材30の下端部を包むように、折り曲げすることもできる。
【0021】
樹脂表面層50は手摺基材20の表面を覆う化粧層であり、エスカレータまたは動く歩道の乗客コンベア上の乗客がその上に手をおいて姿勢を安定化するのに利用される。この樹脂表面層50は、上板部分511と、一対の側縁部分512、513を有し、移動手摺10の上板部分11と、一対の側縁部分12、13の上層を構成する。樹脂表面層50の上板部分511は、移動手摺10の上板部分11の上層を構成し、芯材30の上板部分311上に接合される。樹脂表面層50の一対の側縁部分512、513は、移動手摺10の一対の側縁部分12、13の上層を形成し、芯材30の一対の側縁部分312、313上に接合される。
【0022】
この樹脂表面層50は、客先からの指定に応じて所定の色に着色される。この樹脂表面層50も熱可塑性エラストマを用いて、手摺基材20上に手摺基材20と接合するように成形して構成される。所定の色に着色するには、熱可塑性エラストマに所定の色の着色剤を混入する。なお、樹脂表面層50は透明または無彩色(素材色を含む)のまま使用してもよい。
【0023】
樹脂表面層50を構成する熱可塑性エラストマには、芯材30を構成する熱可塑性エラストマと同じ材料を使用する。具体的には、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系の樹脂を使用する。この樹脂表面層50の硬度は、芯材30の硬度と同じにされるが、必要に応じて違えることもできる。
【0024】
さて、この発明による移動手摺10の製造方法について説明する。この移動手摺10の製造方法は、手摺基材20の製造ライン60と、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成する表面層形成ライン70とを含む。図2は手摺基材20の製造ライン60を示し、図3は表面層形成ライン70を示す。
【0025】
樹脂表面層50の色が客先により指定される場合には、図2に示す製造ライン60により、先に手摺基材20を製作しておき、客先から樹脂表面層50の色が指定された段階で、表面層形成ライン70により、その指定された色の樹脂表面層50を手摺基材20上に形成する。表面樹脂層50の色は、客先の仕様が決定されるのが遅い場合が多いので、先に長尺の帯状の手摺基材20を先に製造しておき、客先から樹脂表面層50の色が指定された後で、その指定された色の樹脂表面層50を手摺基材20上に形成し、所定の長さの移動手摺10を切断する。
【0026】
図2の手摺基材20の製造ライン60は、供給リール61、62、成形装置63、手摺基材押出機64、冷却水槽65、引出駆動機構66、巻取リール67を備えている。供給リール61は、スライダ40を構成する布地積層帯40aを供給し、供給リール62は抗張帯またはテンションバンド31を供給する。これらの布地積層帯40aと抗張帯またはテンションバンド31は、ともに成形装置63に供給される。この成形装置63は、布地積層帯40aを、断面C字状に成形し、スライダ40を形成する。このスライダ40は、一対の端面部416、417と、一対の折返部418、419を有するが、折返部418、419は芯材30の形成後に折り返すこともできる。
【0027】
スライダ40は抗張帯またはテンションバンド31とともに手摺基材押出機64に送られる。手摺基材押出機64は知られているので、詳細な説明は省略するが、手摺基材押出機64では、スライダ40の上の所定の位置に抗張帯またはテンションバンド31が保持された状態で、芯材30を構成する熱可塑性エラストマが溶融してスライダ40上に供給され、スライダ40上に熱溶着されて芯材30が成形され、手摺基材20を押し出す。抗張帯またはテンションバンド31は芯材30内に包み込まれる。
【0028】
手摺基材押出機64は、芯材30を構成する熱可塑性エラストマを送り出すスクリューなどを備えた樹脂送給装置と、この樹脂送給装置からの溶融した樹脂エラストマをスライダ40上に押出す押出しヘッドを有する。
【0029】
手摺基材押出機64から押出された手摺基材20は、冷却水槽65、引出駆動機構66を通り、巻取リール67に巻き取られる。引出駆動機構66は、上下の一対の駆動要素の間に手摺基材20を挟み、供給リール61から布地積層帯40aを、また供給リール62から抗張帯またはテンションバンド31をそれぞれ引出し、これらを成形装置63、手摺基材押出機64に通過させ、また手摺基材押出機64から押出される手摺基材20を冷却水槽65に通過させる。
【0030】
図3に示される表面層形成ライン70は、供給リール71、移動手摺押出機73、平滑化装置74、冷却水槽75、引出駆動機構76および巻取リール77を有する。供給リール71は図2に示す製造ライン60によって製造された手摺基材20を供給するリールであり、図2の巻取リール67を供給リール71として付け替えて使用する。移動手摺押出機73は手摺基材20上に樹脂表面層50を形成した移動手摺10を押出す押出機である。平滑化装置74は、移動手摺押出機73から押出された移動手摺10について、その上板部分11上の樹脂表面層50の表面を平坦に加工する。
【0031】
引出駆動機構76は、上下の一対の駆動要素の間に、移動手摺10を挟んで移動手摺10を引出すもので、供給リール71から手摺基材20を引出し、この手摺基材20を移動手摺押出機73に通過させ、また移動手摺押出機73から押出される移動手摺10を平滑化装置74、冷却水槽75に通過させる。
【0032】
図4は、図3に示された表面層形成ライン70における移動手摺押出機73と、平滑化装置74の詳細を示す。この図4では、表面層形成ライン70の中心ラインが仮想線L−Lで示される。この図4では、手摺基材20が中心ラインL−Lに沿って右側の矢印Aの方向に入力される。
【0033】
移動手摺押出機73は、中心ラインL−Lに沿って配置された7つのブロック710、720、730、740、750、760、770を含んでおり、これらの7つのブロック710、720、730、740、750、760、770は、矢印Aに方向に順番に互いに隣接して配置される。7つのブロック710、720、730、740、760、770は、それぞれの中心部を中心ラインL−Lが貫通するように、中心ラインL−Lを共通の中心軸線として配置されている。
【0034】
図4において、ブロック710、720では、手摺基材20が中心ラインL−Lに沿って送られるが、ブロック730ではこの手摺基材20が移動手摺10となり、ブロック730、740、750、760、770では、移動手摺10が中心ラインL−Lに沿って送られる。移動手摺10は、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成したものであり、図4では、移動手摺10はこの樹脂表面層50の厚さの分だけ厚く図示されている。
【0035】
ブッロク710は入力ブロックであり、供給リール71からの手摺基材20が入力される。ブロック720は補助入力ブロックである。ブロック730は樹脂注入ブロックであり、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成するための熱可塑性エラストマが溶融した状態で供給される。ブロック740、750は成形ブロックであり、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成した移動手摺10を成形する。成形ブロック740を第1成形ブロック、成形ブロック750を第2成形ブロックという。ブロック760は移動手摺10を出力する出力ブロックである。ブロック770は、移動手摺10に対する寸法修正ブロックである。
【0036】
入力ブロック710は、移動手摺押出機73の最も入力側に配置される。出力ブロック760は、移動手摺押出機73の出力側に配置されるが、この出力ブロック760の出力側にさらに寸法修正ブロック770が配置される。この寸法修正ブロック770は、移動手摺10の最も出力側に配置される。
【0037】
入力ブロック710と出力ブロック760との間に、樹脂注入ブロック730が配置される。この樹脂注入ブロック730と入力ブロック710との間に補助入力ブロック720が配置される。樹脂注入ブロック730と出力ブロック760との間に、第1、第2成形ブロック740、750が配置される。
【0038】
図5は図4に示された移動手摺押出機52の各ブロック710、720、730、740、750、760、770と、平滑化装置74とに対応する温度変化を示す。図5の横軸は、移動手摺押出機73の各ブロックと、平滑化装置74に対応する位置を示し、縦軸は、それらを通過する移動手摺10、手摺基材20の表面温度を示す。
【0039】
温度は、樹脂注入ブロック730で最大であり、この樹脂注入ブロック730の入力側と、出力側では温度が室温まで低下している。樹脂注入ブロック730の入力側では、この樹脂注入ブロック730から遠ざかるに伴ない、補助入力ブロック720、入力ブロック710の順に温度が低下し、入力ブロック710の入力端では室温となる。樹脂注入ブロック730の出力側では、樹脂注入ブロック730から遠ざかるに伴ない、成形ブロック740、750、出力ブロック760、寸法修正ブロック770の順に温度が低下する。
【0040】
図4に示された各ブロック710、720、730、740、750、760、770の詳細について、図6〜図12を参照して説明する。図6は入力ブロック710、図7は補助入力ブロック720、図8は樹脂注入ブロック730、図9は第1成形ブロック740、図10は第2成形ブロック750、図11は出力ブロック760、図12は寸法修正ブロック770のそれぞれの拡大断面図である。図6〜図12は各ブロックの中心ラインL−Lに直交する方向の断面を拡大して示す。
【0041】
まず、入力ブロック710について説明する。この入力ブロック710は、図6に示すように、所定の大きさを持った直方体形状の入力金型711により構成される。この入力金型711は、中心部に断面C字状の型空間712を有し、この型空間712は、手摺基材20に対する案内空間を構成する。この型空間または案内空間712は中心ラインL−Lに沿って入力ブロック710の中心部を貫通する。この型空間または案内空間712は、供給リール71から供給される手摺基材20を受け入れ、この手摺基材20を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0042】
型空間または案内空間712の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、手摺基材20の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または案内空間712の周壁713は、手摺基材20の全周面にぴったりと接触しており、この型空間または案内空間713の周壁713と手摺基材20の全周面との接触面は、樹脂が逆流しないように、実質的に封じされる。この接触面の封じにより、樹脂注入ブロック730に注入された溶融した樹脂が入力ブロック710のさらに入力側に逆流するのが防止される。具体的には、型空間または案内空間712の周壁713は、芯材30の上板部分311の上表面と、一対の側縁部分312、313の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。
【0043】
入力金型711には、電気ヒータ718と、温度センサ719が付設される。電気ヒータ718は、高温のシリコンなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。入力金型711は、温度センサ719により検出された入力金型711の温度に基づき、所定
に温度に制御される。
【0044】
補助入力ブロック720も、図7に示すように、所定の大きさを持った直方体形状の補助入力金型721により構成される。この補助入力金型721は、中心部に断面C字状の型空間722を有し、この型空間722は手摺基材20に対する補助案内空間を構成する。この型空間または補助案内空間722はの中心ラインL−Lに沿って補助入力ブロック720の中心部を貫通している。この型空間または補助案内空間722は入力ブロック710から供給される手摺基材20を受け入れ、この手摺基材20を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0045】
型空間または補助案内空間722の中心ラインL−Lと直交する方向の断面も、手摺基材20の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または補助案内空間722の周壁723は、手摺基材20の全周面にぴったりと接触し、この型空間または補助案内空間723の周壁723と手摺基材20の全周面との接触面は、樹脂が逆流しないように、実質的に封じされる。この接触面の封じにより、樹脂注入ブロック730に注入された溶融した樹脂が補助入力ブロック720から入力ブロック710に逆流するのが防止される。具体的には、型空間または補助案内空間722の周壁723も、芯材30の上板部分311の上表面と、一対の側縁部分312、313の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。
【0046】
入力補助金型721にも、電気ヒータ728と、温度センサ729が付設される。電気ヒータ728は、高温のシリコンなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。入力金型721は、温度センサ729により検出された入力金型721の温度に基づき、所定に温度に制御される。
【0047】
次に樹脂注入ブロック730について説明する。この樹脂注入ブロック730は、手摺基材20上に樹脂表面層50を形成し、手摺基材20を移動手摺10に変化させる。
【0048】
この樹脂注入ブロック730は、図8に示すように、所定の大きさを持った直方体形状の樹脂注入金型731により構成される。この樹脂注入金型731は、中心部に断面C字状の型空間732を有し、この型空間732は中心ラインL−Lに沿って樹脂注入ブロック730の中心部を貫通している。
【0049】
樹脂注入金型731の型空間732の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形と大きさを持っている。この型空間732は、手摺基材20の断面に相当する案内空間732aの上に、樹脂表面層50を形成するための樹脂注入空間732bを重ねた形状と大きさを持っている。案内空間732aには、補助入力ブロック720からの手摺基材20が案内され、この手摺基材20上に接するように、樹脂注入空間732bが形成される。樹脂注入金型731に形成された型空間732は、入力金型711に形成された型空間または案内空間712、または補助入力金型721に形成された型空間または補助案内空間722に比べて、樹脂注入空間732bだけ大きい。
【0050】
型空間732の中の案内空間732aの中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、手摺基材20の断面と同じ形状と大きさを有し、この案内空間732aの下側の周壁733は、手摺基材20の下側の取付空間14の周面にぴったりと接触し、この周壁733と手摺基材20の取付空間14との接触面は、溶融した樹脂が侵入しないように、実質的に封じされる。具体的には、案内空間732aの下側の周壁733は、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面に、ぴったりと接触する。
【0051】
型空間732の樹脂注入空間732bの中心ラインと直交する方向の断面は、樹脂表面層50の断面と同じ形状と大きさと持つ。具体的には、この樹脂注入空間732bは、芯材30の上板部分311の上表面と、一対の側縁部分312、313の外周面と、一対の折返部418、419の外周面とに接触するように形成され、樹脂表面層50と同じ厚さを持っている。
【0052】
樹脂注入ブロック730の上には、樹脂供給装置735が配置される。この樹脂供給装置735は、樹脂注入金型731に形成された樹脂通路736を通じて、樹脂注入空間732bに樹脂表面層50を形成するための溶融した樹脂を供給する。
【0053】
樹脂供給装置735からの溶融した樹脂は、型空間732の樹脂注入空間732bに注入され、案内空間732aを移動する手摺基材20の上に、溶融状態の樹脂表面層を形成する。樹脂注入空間732bに注入された樹脂は、温度の低下に伴なって樹脂注入金型731の中で硬化を開始し、手摺部材20の上面に接合した樹脂表面層50が徐々に形成される。この樹脂表面層50の形状と大きさは、樹脂注入空間732bの形状に応じて決定されるので、結果として樹脂表面層50は型空間732の樹脂注入空間732bにより成形される。
【0054】
樹脂注入金型731にも、電気ヒータ738と、温度センサ739が付設される。電気ヒータ738は、高温のシリコンなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。樹脂注入金型721は、温度センサ729により検出された入力金型721の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0055】
次に第1成形ブロック740について説明する。第1成形ブロック740は、樹脂注入ブロック730から供給される移動手摺10に対し、その樹脂表面層50の硬化を進めながら、成形を行なう。
【0056】
この第1成形ブロック740は、図9に示すように、直方体形状の第1成形金型741により構成される。この第1成形金型741は、直方体状の金属ケース745の内部に配置される。第1成形金型741は、中心部に断面C字状の型空間742を有し、この型空間742は、樹脂注入ブロック730から供給される移動手摺10の樹脂表面層50に対する第1成形空間を構成する。この型空間または第1成形空間742は、中心ラインL−Lに沿って第1成形金型741と金属ケース745の中心部を貫通している。この型空間または第1成形空間742は樹脂注入ブロック730から供給される移動手摺10を受け入れ、この移動手摺10を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0057】
型空間または第1成形空間742の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または第1成形空間742の周壁743は、樹脂表面層50の上表面にぴったりと接触する。具体的には、型空間または第1成形空間742の周壁743は、硬化中の樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、その一対の側縁部分512、513の外周面とに、ぴったりと接触する。この接触に基づき、型空間または第1成形空間742は、その中を通過する樹脂表面層50を、その周壁743により成形する。
【0058】
金属ケース745の底部の上には、中心ラインL−Lに沿って延びるように、案内レール744が形成される。この案内レール744は、第1成形金型741内に突出するように形成され、移動手摺10の取付空間14に嵌り込み、取付空間14の周壁15にぴったりと接触する。具体的には、案内レール744の上部表面は、取付空間14の周壁15を形成するスライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417とに、ぴったりと接触する。この案内レール744は、移動手摺10をその下部で、中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0059】
第1成形金型741は、多数の微小な孔を有するポーラスの金型として構成される。この第1成形金型741の多数の微小な孔は、型空間または第1成形空間742の周壁743に、シリコンオイルを供給し、型空間または第1成形空間742を通る移動手摺10の外表面、すなわち樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、一対の側縁部分512、513の外周面に、シリコンオイル膜17を形成する。このシリコンオイル膜17は、移動手摺10の移動に伴なう摩擦を低減する。
【0060】
金属ケース745の上には、シリコンオイルの供給パイプ746が付設される。第1成形金型741の上部には、シリコンオイルを溜めるオイル溜め747が形成される。シリコンオイルは、供給パイプ746、オイル溜め747、第1成形金型741の微小な孔を通り、移動手摺10の樹脂表面層50の外表面に塗布される。
【0061】
第1成形金型741にも、電気ヒータ748と、温度センサ749が付設される。電気ヒータ748は、高温のシリコンオイルなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。第1成形金型741は、温度センサ749により検出された第1成形金型741の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0062】
第2成形ブロック750は、第1成形ブロック740から供給される移動手摺10に対し、その樹脂表面層50の硬化ほぼ完了させるとともに、その成形を行なう。
【0063】
この第2成形ブロック750は、図10に示すように、所定の大きさの直方体形状の第2成形金型751により構成される。この第2成形金型751は、中心部に断面C字状の型空間752を有し、この型空間752は、第1成形ブロック740から供給される移動手摺10に対する第2成形空間を構成する。この型空間または第1成形空間752は、中心ラインL−Lに沿って第2成形金型751の中心部を貫通している。この型空間または第2成形空間752は第1成形ブロック740から供給される移動手摺10を受け入れ、この移動手摺10を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0064】
型空間または第2成形空間752の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または第2成形空間752の周壁753は、移動手摺10の全周面にぴったりと接触する。具体的には、型空間または第1成形空間752の周壁753は、硬化をほぼ完了した樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、その一対の側縁部分512、513の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。この接触に基づき、型空間または第2成形空間752は、その中を通過する移動手摺10の樹脂表面層50を、その周壁753により成形する。移動手摺10の外表面に塗布されたシリコンオイル膜17は、型空間または第2成形空間752の周壁753と、移動手摺10との接触面の摩擦を低減する。
【0065】
第2成形金型751にも、電気ヒータ758と、温度センサ759が付設される。電気ヒータ758は、高温のシリコンオイルなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。第2成形金型751は、温度センサ759により検出された第2成形金型751の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0066】
次に出力ブロック760について説明する。この出力ブロック760は、第2成形ブロック750から供給される移動手摺10の樹脂表面層50に対して、仕上げ成形を行ない、移動手摺10を出力する。
【0067】
この出力ブロック760は、図11に示すように、所定の大きさの直方体形状の出力金型761により構成される。この出力金型761は、中心部に断面C字状の型空間762を有し、この型空間762は、第2成形ブロック750から供給される移動手摺10の樹脂表面層50に対する仕上げ成形空間を構成する。この型空間または仕上げ成形空間762は、中心ラインL−Lに沿って出力金型761の中心部を貫通している。この型空間または仕上げ成形空間762は第2成形ブロック750から供給される移動手摺10を受け入れ、この移動手摺10を中心ラインL−Lに沿って案内する。
【0068】
型空間または仕上げ成形空間762の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または仕上げ成形空間762の周壁763は、移動手摺10の全周面にぴったりと接触する。具体的には、型空間または仕上げ成形空間762の周壁763は、硬化をほぼ完了した樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、その一対の側縁部分512、513の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。この接触に基づき、型空間または成形空間762は、その中を通過する移動手摺10の樹脂表面層50をその周壁763により成形し、移動手摺10を出力する。
【0069】
移動手摺10の樹脂表面層50の寸法は、樹脂注入ブロック730の型空間732の樹脂注入空間732b、第1成形ブロック740の型空間または第1成形空間742、第2成形ブロック750の型空間または第2成形空間752、および出力ブロック760の型空間または仕上げ成形空間762を通過することにより、ほぼ所定の寸法に仕上げされる。移動手摺10の樹脂表面層50の外表面に塗布されたシリコンオイル膜17は、型空間または仕上げ成形空間762の周壁763と、移動手摺10との接触面の摩擦を低減する。
【0070】
出力金型761にも、電気ヒータ768と、温度センサ769が付設される。電気ヒータ768は、高温のシリコンオイルなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。出力金型761は、温度センサ769により検出された出力金型761の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0071】
最後に寸法修正ブロック770について説明する。この出力ブロック770は、出力ブロック760から供給される移動手摺10に対して、その寸法が所定値からずれていた場合に、寸法修正を行ない、移動手摺10を出力する。
【0072】
この寸法修正ブロック770は、図12に示すように、所定の大きさの直方体形状の寸法修正金型771により構成される。この寸法修正金型771は、中心部に断面C字状の型空間772を有し、この型空間772は、出力ブロック760からの移動手摺10の樹脂表面層50に対する寸法修正空間を構成する。この型空間または寸法修正空間772は、中心ラインL−Lに沿って寸法修正金型771の中心部を貫通している。この型空間または寸法修正成形空間772は出力ブロック760から供給される移動手摺10を受け入れ、この移動手摺10を中心ラインL−Lに沿って案内しながら、樹脂表面層50の寸法の修正を行なう。
【0073】
型空間または寸法修正空間772の中心ラインL−Lと直交する方向の断面は、移動手摺10の断面と同じ形状と大きさを有し、この型空間または寸法修正空間772の周壁773は、移動手摺10の全周面にぴったりと接触する。具体的には、型空間または寸法修正空間772の周壁773は、樹脂表面層50の上板部分511の上表面と、その一対の側縁部分512、513の外周面と、スライダ40の上板部分411の下表面と、一対の側縁部分412、413の内周面と、一対の端面部416、417の端面と、折返部418、419の外周面とに、ぴったりと接触する。この接触に基づき、型空間または寸法修正空間772は、その中を通過する移動手摺10の樹脂表面層50を、その周壁773により寸法修正し、移動手摺10を出力する。
【0074】
寸法修正金型761にも、電気ヒータ768と、温度センサ769が付設される。電気ヒータ768は、高温のシリコンオイルなどの流体を通す流体ヒータに代えることができる。寸法修正金型761は、温度センサ769により検出された寸法修正金型761の温度に基づき、所定温度に制御される。
【0075】
移動手摺押出機73の寸法修正ブロック770から送り出される移動手摺10は、平滑化装置74に入力される。この平滑化装置74は、表面樹脂層50の外表面、とくに上板部分511の外表面を平滑に仕上げるものである。
【0076】
この平滑化装置74は、平滑化ローラ78と、支持ガイド79を有する。平滑化ローラ78は、樹脂表面層50の上板部分511の外表面に圧接され、この外表面を平坦に、鏡面仕上げする。支持ガイド79は、移動手摺10の取付空間14に嵌め込まれ、平滑化ローラ78の押付力を支持するとともに、取付空間14の周面の形状を整形する。
【0077】
図4に示す各ブロック710、720、730、740、750、760、770は、それぞれがヒータ7118、728、738、748、758、768、778を有し、またそれぞれが温度センサ719、729、739、749、759、769、779を有するので、互いに独立して温度制御される。この各ブロックの温度制御には、例えばコンピュータを利用することができる。しかし、コンピュータを使用せずに、各ブロックを独立して温度制御することも可能である。
【0078】
なお、図4に示す補助入力ブロック720は省略することもできる。この場合、入力ブロック710と樹脂注入ブロック730との間には、樹脂注入ブロック730から入力ブロック710への熱伝導を抑制する熱伝導抑制部材を配置する。この熱伝導抑制部材は、例えば断熱特性を有する耐熱性の絶縁部材で構成される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
この発明による移動手摺の製造方法は、エスカレータの移動手摺または動く歩道の移動手摺などの製造方法として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1はこの発明が製造する移動手摺を示す断面図である。
【図2】図2はこの発明による移動手摺の製造方法の中の手摺基材の製造ラインを示す配置図である。
【図3】図3はこの発明による移動手摺の製造方法の中の移動手摺製造ラインを示す配置図である。
【図4】図4はこの発明による移動手摺の製造方法に含まれる表面層形成工程と平滑化装置の詳細を示す配置図である。
【図5】図5は図4の配置に対応する移動手摺の表面温度の変化を示すグラフである。
【図6】図6は、この発明による表面層形成工程で使用される入力ブロックの一例を示す断面図である。
【図7】図7は、この発明による表面層形成工程で使用される補助入力ブロックの一例を示す断面図である。
【図8】図8は、この発明による表面層形成工程で使用される樹脂注入ブロックの一例を示す断面図である。
【図9】図9は、この発明による表面層形成工程で使用される第1成形ブロックの一例を示す断面図である。
【図10】図10は、この発明による表面層形成工程で使用される第2成形ブロックの一例を示す断面図である。
【図11】図11は、この発明による表面層形成工程で使用される出力ブロックの一例を示す断面図である。
【図12】図12は、この発明による表面層形成工程で使用される寸法修正ブロックの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0081】
10:移動手摺、11:上板部分、12、13:側縁部分、14:取付空間、
16:開口、20:手摺基材、30:芯材、31:抗張帯またはテンションバンド、
311:上板部分、312、313:側縁部分、40:スライダ、411:上板部分、
412、413:側縁部分、416、417:端面部、418、419:折返部、
60、70:製造ライン、73:移動手摺押出機、710:入力ブロック、
711:入力金型、712:案内空間、713:周壁、720:補助入力ブロック、
721:補助入力金型、722:補助案内空間、723:周壁、
730:樹脂注入ブロック、731:樹脂注入金型、732b:樹脂注入空間、
740:第1成形ブロック、741:第1成形金型、742:第1成形空間、
750:第2成形ブロック、751:第2成形金型、752:第2成形空間、
760:出力ブロック、761:出力金型、762:成形空間、
770:寸法修正ブロック、771:寸法修正金型、772:寸法修正空間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺基材上に樹脂表面層を形成する表面層形成工程を含んだ移動手摺の製造方法であって、前記表面層形成工程は表面層形成ラインで実行され、この表面層形成ラインは、前記手摺基材が入力される入力ブロックと、前記手摺基材上に前記樹脂表面層を接合した移動手摺を出力する出力ブロックと、前記入力ブロックと出力ブロックとの間に配置された樹脂注入ブロックとを有し、前記樹脂注入ブロックでは、溶融した樹脂が前記入力ブロックから供給される前記手摺基材上に供給され、前記手摺基材上にこの手摺基材と接合した前記樹脂表面層が形成されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の移動手摺の製造方法であって、前記樹脂注入ブロックは樹脂注入金型で構成され、この樹脂注入金型は、前記入力ブロックから供給される前記手摺基材上に樹脂注入空間を有し、この樹脂注入空間に前記溶融した樹脂が注入されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力ブロックと前記樹脂注入ブロックとの間に少なくとも1つの成形ブロックが配置され、この成形ブロックは、前記表面樹脂層を成形することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の移動手摺の製造方法であって、前記成形ブロックは成形金型で構成され、この成形金型には成形空間が形成され、前記手摺基材とそれに接合した前記樹脂表面層とが前記成形空間を通過することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の移動手摺の製造方法であって、前記樹脂注入金型と前記成形金型とは、互いに独立して温度制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の移動手摺の製造方法であって、前記成形金型は、前記樹脂注入金型よりも低い温度に制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項7】
請求項4記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力ブロックは出力金型で構成され、この出力金型にも成形空間が形成され、前記手摺基材上に前記樹脂表面層が接合した前記移動手摺が、前記出力金型に形成された成形空間を通過して出力されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力金型は、前記樹脂注入金型および前記成形金型と独立して温度制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力金型は、前記成形金型よりも低い温度に制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項10】
請求項7記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力ブロックの出口側に、寸法修正ブロックが配置され、この寸法修正ブロックでは、前記移動手摺の寸法修正が行われることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の移動手摺の製造方法であって、前記寸法修正ブロックは寸法修正金型で構成され、この寸法修正金型には寸法修正空間が形成され、前記出力ブロックから出力された移動手摺が前記寸法修正空間を通過することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の移動手摺の製造方法であって、前記寸法修正金型は、前記樹脂注入金型、前記成形金型、および前記出力金型と独立して温度制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の移動手摺の製造方法であって、前記寸法修正金型は、前記出力金型よりも低い温度に制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項14】
請求項2記載の移動手摺の製造方法であって、前記入力ブロックは入力金型で構成され、この入力金型には案内空間が形成され、前記手摺基材がこの案内空間を通過することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の移動手摺の製造方法であって、前記案内空間は前記手摺基材の全周面に接合する周壁を有することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項16】
請求項14記載の移動手摺の製造方法であって、前記樹脂注入金型と前記入力金型との間に、熱伝導を抑制する熱伝導抑制部材が配置されたことを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項17】
請求項14記載の移動手摺の製造方法であって、前記樹脂注入金型と前記入力金型との間に補助入力金型が配置され、この補助入力金型には補助案内空間が形成され、前記入力金型からの手摺基材がこの補助案内空間を通過することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の移動手摺の製造方法であって、前記補助案内空間は前記手摺基材の全周面に接合する周壁を有することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項1】
手摺基材上に樹脂表面層を形成する表面層形成工程を含んだ移動手摺の製造方法であって、前記表面層形成工程は表面層形成ラインで実行され、この表面層形成ラインは、前記手摺基材が入力される入力ブロックと、前記手摺基材上に前記樹脂表面層を接合した移動手摺を出力する出力ブロックと、前記入力ブロックと出力ブロックとの間に配置された樹脂注入ブロックとを有し、前記樹脂注入ブロックでは、溶融した樹脂が前記入力ブロックから供給される前記手摺基材上に供給され、前記手摺基材上にこの手摺基材と接合した前記樹脂表面層が形成されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の移動手摺の製造方法であって、前記樹脂注入ブロックは樹脂注入金型で構成され、この樹脂注入金型は、前記入力ブロックから供給される前記手摺基材上に樹脂注入空間を有し、この樹脂注入空間に前記溶融した樹脂が注入されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力ブロックと前記樹脂注入ブロックとの間に少なくとも1つの成形ブロックが配置され、この成形ブロックは、前記表面樹脂層を成形することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の移動手摺の製造方法であって、前記成形ブロックは成形金型で構成され、この成形金型には成形空間が形成され、前記手摺基材とそれに接合した前記樹脂表面層とが前記成形空間を通過することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の移動手摺の製造方法であって、前記樹脂注入金型と前記成形金型とは、互いに独立して温度制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の移動手摺の製造方法であって、前記成形金型は、前記樹脂注入金型よりも低い温度に制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項7】
請求項4記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力ブロックは出力金型で構成され、この出力金型にも成形空間が形成され、前記手摺基材上に前記樹脂表面層が接合した前記移動手摺が、前記出力金型に形成された成形空間を通過して出力されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力金型は、前記樹脂注入金型および前記成形金型と独立して温度制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力金型は、前記成形金型よりも低い温度に制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項10】
請求項7記載の移動手摺の製造方法であって、前記出力ブロックの出口側に、寸法修正ブロックが配置され、この寸法修正ブロックでは、前記移動手摺の寸法修正が行われることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の移動手摺の製造方法であって、前記寸法修正ブロックは寸法修正金型で構成され、この寸法修正金型には寸法修正空間が形成され、前記出力ブロックから出力された移動手摺が前記寸法修正空間を通過することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の移動手摺の製造方法であって、前記寸法修正金型は、前記樹脂注入金型、前記成形金型、および前記出力金型と独立して温度制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の移動手摺の製造方法であって、前記寸法修正金型は、前記出力金型よりも低い温度に制御されることを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項14】
請求項2記載の移動手摺の製造方法であって、前記入力ブロックは入力金型で構成され、この入力金型には案内空間が形成され、前記手摺基材がこの案内空間を通過することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の移動手摺の製造方法であって、前記案内空間は前記手摺基材の全周面に接合する周壁を有することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項16】
請求項14記載の移動手摺の製造方法であって、前記樹脂注入金型と前記入力金型との間に、熱伝導を抑制する熱伝導抑制部材が配置されたことを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項17】
請求項14記載の移動手摺の製造方法であって、前記樹脂注入金型と前記入力金型との間に補助入力金型が配置され、この補助入力金型には補助案内空間が形成され、前記入力金型からの手摺基材がこの補助案内空間を通過することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の移動手摺の製造方法であって、前記補助案内空間は前記手摺基材の全周面に接合する周壁を有することを特徴とする移動手摺の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−76069(P2006−76069A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261016(P2004−261016)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(591040122)株式会社トーカン (15)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(591040122)株式会社トーカン (15)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]