説明

移動通信端末、及びデータダウンロード方法

【課題】2種類の通信方式を利用してデータを中継する際に、接続状態に応じて連続的かつ円滑にデータを転送すること。
【解決手段】移動通信端末2は、移動通信網NWに接続してデータをダウンロードする移動通信部121と、ダウンロードデータを近距離通信によって対向設備に送信する近距離通信部122と、対向設備との接続状態を検出する通信管理部123と、ダウンロードデータを一時記憶するデータ記憶部126と、一時記憶されたデータを順次近距離通信部122に引き渡すデータ管理部125とを備え、データ記憶部126は、接続状態が圏外状態を示した時には、移動通信部121によるダウンロードデータを追加して記憶し、データ管理部125は、接続状態が圏外状態から正常状態に遷移した時には、データ記憶部126によって記憶された未送信のデータブロックを近距離通信部122に引き渡す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信と近距離通信との連携によりデータをダウンロードする移動通信端末及びデータダウンロード方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信回線を介してサーバとクライアントの間でデータの送受信を行うクライアント・サーバシステムが知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。このようなクライアント・サーバシステムでは、データ通信中に通信回線が切断された後に復旧した時には、サーバが回線復旧後に一時保持したデータを取り出してクライアントへ再送するようにしている。これにより、回線断から復旧した後にアプリケーション間通信の再開を自動的に行うことを可能にしている。
【0003】
一方で、近年では、携帯電話機等の移動通信端末に赤外線通信、ブルートゥース通信、非接触ICカード通信等の近距離通信機能が搭載されるようになっており、このような移動通信端末において移動通信網からダウンロードされたデータを、近距離通信によってパーソナルコンピュータ等に転送することも実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−336272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した近距離通信機能は対向する設備に対して通信可能な範囲が限定されており、移動通信端末の使用状態によって通信断が発生しやすい傾向にある。例えば、近距離通信によるデータ通信中に着呼があった場合は、移動通信端末を取り上げることにより近距離通信の通信断が生じてしまう場合がある。従って、上記従来のデータ再送方法によっては、2種類の通信方式を利用してデータをダウンロードする際に、アプリケーションプログラムやユーザ操作等の介在無しにリアルタイムにデータを転送することは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、2種類の通信方式を利用してデータを中継する際に、接続状態に応じて連続的かつ円滑にデータを転送することが可能な移動通信端末、及びデータダウンロード方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の移動通信端末は、移動通信網に接続してデータをダウンロードする移動通信手段と、移動通信手段によってダウンロードされたデータを、近距離通信によって対向設備に送信する近距離通信手段と、近距離通信手段による対向設備との接続状態を検出する通信管理手段と、移動通信手段によってダウンロードされたデータを一時記憶するデータ記憶手段と、データ記憶手段によって一時記憶されたデータを順次近距離通信手段に引き渡すデータ管理手段とを備え、データ記憶手段は、通信管理手段によって検出された接続状態が切断状態を示した時には、移動通信手段によってダウンロードされているデータを追加して記憶し、データ管理手段は、通信管理手段によって検出された接続状態が切断状態から正常状態に遷移した時には、データ記憶手段によって記憶されたデータの未送信の部分を、近距離通信手段に引き渡す、ことを特徴とする。
【0008】
或いは、本発明のデータダウンロード方法は、移動通信手段が、移動通信網に接続してデータをダウンロードする移動通信ステップと、近距離通信手段が、移動通信手段によってダウンロードされたデータを、近距離通信によって対向設備に送信する近距離通信ステップと、通信管理手段が、近距離通信手段による対向設備との接続状態を検出する通信管理ステップと、データ記憶手段が、移動通信手段によってダウンロードされたデータを一時記憶するデータ記憶ステップと、データ管理手段が、データ記憶手段によって一時記憶されたデータを順次近距離通信手段に引き渡すデータ管理ステップとを備え、データ記憶ステップでは、通信管理手段によって検出された接続状態が切断状態を示した時には、移動通信手段によってダウンロードされているデータを追加して記憶し、データ管理ステップでは、通信管理手段によって検出された接続状態が切断状態から正常状態に遷移した時には、データ記憶手段によって記憶されたデータの未送信の部分を、近距離通信手段に引き渡す、ことを特徴とする。
【0009】
このような移動通信端末及びデータダウンロード方法によれば、移動通信手段によってデータがダウンロードされ、近距離通信手段によってそのデータが対向設備に送信され、通信管理手段によって近距離通信手段による接続状態が検出され、データ記憶手段によってダウンロードされたデータが一時記憶され、データ管理手段によって一時記憶されたデータが近距離通信手段に引き渡される。ここで、近距離通信手段の接続状態が切断状態であっても、データ記憶手段にはダウンロード中のデータが追加して記憶され、その後、切断状態から正常状態に遷移すると、データ記憶手段に記憶されたデータの未送信の部分が、近距離通信手段に引き渡されて対向設備に送信される。これにより、近距離通信手段が一時切断された場合であっても、ダウンロードデータを欠落や重複を生じることなく対向設備に転送することができる。その結果、移動通信方式及び近距離通信方式の2種類の通信方式を利用してデータを中継する場合に、近距離通信方式の接続状態に応じて円滑にデータをダウンロードさせることができる。
【0010】
ここで、通信管理手段によって検出された接続状態が切断状態を示している時間を測定する計時手段を更に備え、データ記憶手段は、計時手段によって測定された時間が閾値以上の場合には、移動通信手段によってダウンロードされて一時記憶したデータを削除する、ことが好ましい。
【0011】
この場合、近距離通信手段がある一定時間以上切断されている場合に、一時保持したデータを削除するので、再度該当データをダウンロードすることでデータの信頼性を保つことができる。
【0012】
また、データ管理手段は、計時手段によって測定された時間が閾値以上の場合には、データに関連して動作するアプリケーション機能部に対して、切断状態を通知する、ことも好ましい。
【0013】
こうすれば、近距離通信手段がある一定時間以上切断されている場合にアプリケーション機能部による所定の動作を可能にするので、通信障害時のデータ再送等の円滑な復旧処理が実現される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、2種類の通信方式を利用してデータを中継する際に、接続状態に応じて連続的かつ円滑にデータを転送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好適な一実施形態であるデータダウンロードシステムを示す接続構成図である。
【図2】図1の移動通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図1の移動通信端末のデータダウンロード時の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の移動通信端末におけるデータダウンロード処理の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面とともに本発明による移動通信端末、及びデータダウンロード方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の好適な一実施形態であるデータダウンロードシステム1を示す接続構成図である。同図に示すデータダウンロードシステム1は、移動通信網NWに接続されたサーバ装置4から、移動通信端末2を経由して、パーソナルコンピュータ(対向設備)5にテキストデータ、音声データ、画像データ、プログラムコード等の各種データをダウンロードするためのクライアント・サーバシステムである。なお、移動通信端末2とサーバ装置4とは、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)やCDMA2000等の移動通信方式が採用された移動通信網NWを介して相互にデータ通信が可能なように接続され、移動通信端末2とパーソナルコンピュータ5とは、赤外線通信、ブルートゥース通信、非接触ICカード通信等の近距離通信方式によって相互にデータ通信が可能なように接続される。移動通信端末2は、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)等に代表される端末装置であり、基地局3と無線接続されることにより、移動通信網NWに対してデータを送受信する。
【0018】
次に、移動通信端末2の構成について詳細に説明する。
【0019】
図2に示すように、移動通信端末2は、物理的には、CPU22、主記憶装置であるRAM23及びROM24、ハードディスク装置等の補助記憶装置26、入力デバイスである入力キー、マウス等の入力装置27、ディスプレイ等の出力装置28、移動通信網NWとの間でのデータの送受信を司る移動通信モジュール25A、近距離通信方式によるデータの送受信を司る近距離通信モジュール25Bなどを含む情報処理装置として構成されている。移動通信端末2によって実現される機能は、図2に示すCPU22、RAM23等のハードウェア上に所定のプログラムを読み込ませることにより、CPU22の制御のもとで移動通信モジュール25A、近距離通信モジュール25B、入力装置27、出力装置28を動作させるとともに、RAM23や補助記憶装置26におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0020】
移動通信端末2は、図1に示すように、機能的な構成要素として、移動通信部(移動通信手段)121、近距離通信部(近距離通信手段)122、通信管理部(通信管理手段)123、計時部(計時手段)124、データ管理部(データ管理手段)125、データ記憶部(データ記憶手段)126、及びアプリケーションプログラム(アプリケーション機能部)127a,127bを備える。
【0021】
アプリケーションプログラム127a,127bは、サーバ装置4からダウンロードされるデータに関連して動作するプログラムであり、例えば、Webブラウザ、ファイル交換用プログラム等のデータ通信用のプログラムが該当する。このアプリケーションプログラム127a,127bの機能により、サーバ装置4からのデータのダウンロード処理が起動されて、そのデータがパーソナルコンピュータ5に逐次転送される。
【0022】
移動通信部121は、移動通信網NWに対して基地局3を介して移動通信方式を利用して接続することにより、サーバ装置4との間でデータを送受信する。すなわち、移動通信部121は、通信プロトコルにおける下位レイヤの移動通信機能を有し、上位レイヤの通信機能を有するアプリケーションプログラム127a,127bと連携してサーバ装置4からデータをダウンロードする。
【0023】
近距離通信部122は、パーソナルコンピュータ5と赤外線通信、ブルートゥース通信、非接触ICカード通信等の近距離通信方式を利用して接続することにより、パーソナルコンピュータ5との間でデータを送受信する。具体的には、近距離通信部122は、下位レイヤの近距離通信機能を有し、アプリケーションプログラム127a,127bと連携してパーソナルコンピュータ5に対してデータを送信する。ここで、近距離通信部122によってパーソナルコンピュータ5と接続する際には、通信可能なエリアがパーソナルコンピュータ5の近傍に限定されているため、ユーザによって移動通信端末2がパーソナルコンピュータ5の近傍に配置される。
【0024】
通信管理部123は、近距離通信部122によるパーソナルコンピュータ5との接続状態を検出する。詳細には、通信管理部123は、パーソナルコンピュータ5との接続がタイムアウトしたこと、パーソナルコンピュータ5からの信号が検出できず圏外状態になったこと、パーソナルコンピュータ5との間のデータ転送速度(スループット)が低下したこと等を検出する。そして、通信管理部123は、検出した接続状態を示す情報(“正常状態”または“圏外状態”)を、計時部124及びデータ管理部125に出力する。この接続状態“圏外状態”とは、パーソナルコンピュータ5との間の距離が離れた、パーソナルコンピュータ5との間に障害物が存在する等の理由により、パーソナルコンピュータ5との接続が切断状態であることを意味し、“正常状態”とは、パーソナルコンピュータ5の間の接続が正常に維持されスループットも確保されていることを意味する。
【0025】
計時部124は、通信管理部123によって近距離通信の接続状態が“圏外状態”であると検出されてからの経過時間を測定し、得られた経過時間Tを継続的にデータ管理部125に出力する。
【0026】
データ管理部125は、移動通信部121によってダウンロードされているデータをその都度受け取り、そのデータをリアルタイムで近距離通信部122に引き渡し、近距離通信部122によってパーソナルコンピュータ5に自動転送させるように制御する。その際、データ管理部125は、ダウンロードデータをデータ記憶部126に一時記憶させ、近距離通信部122による転送が完了したデータはその都度データ記憶部126から削除するように制御する。すなわち、データ管理部125は、随時、近距離通信部122による転送が完了したデータブロック(部分)を監視し、そのデータブロックをデータ記憶部126から削除する。
【0027】
また、データ管理部125は、通信管理部123から渡された近距離通信の接続状態が“圏外状態”に遷移した場合は、移動通信部121によるデータのダウンロードをそのまま継続させ、ダウンロードデータをパーソナルコンピュータ5に対して未送信であるデータブロックに追加してデータ記憶部126に記憶させる。さらに、データ管理部125は、近距離通信の接続状態が“圏外状態”から“正常状態”に遷移した場合には、まず、未送信のデータブロックをデータ記憶部126から読み出した後に、それらのデータブロックを先に近距離通信部122に引き渡すことによりパーソナルコンピュータ5に転送させる。そして、データ管理部125は、転送済みのデータブロックを随時データ記憶部126から削除しながら全ての未送信のデータブロックの転送が完了した後に、新たに移動通信部121によってダウンロードされてくるデータを、近距離通信部122に引き渡す。このとき、移動通信部121は、既にダウンロードされてデータ記憶部126に記憶済みのデータブロックは二重ではダウンロードしないが、仮に二重でダウンロードされてしまった場合には、データ管理部125によりそのデータブロックは破棄される。
【0028】
また、データ管理部125は、計時部124から通知された“圏外状態”の持続時間Tが予め設定された閾値Tth以上である場合には、移動通信部121によってダウンロードされてデータ記憶部126に一時的に記憶されている未送信のデータブロックを、全て削除するとともに、移動通信部121によるデータダウンロードを中止させる。その結果、近距離通信が復旧した際には、パーソナルコンピュータ5に対してデータ転送中であったデータが、移動通信網NWから最初から再度ダウンロードされることになる。さらに、データ管理部125は、持続時間Tが閾値Tth以上である場合には、ダウンロードデータに関連して動作中のアプリケーションプログラム127a,127bに、近距離通信が“圏外状態”であることを通知する。逆に言えば、データ管理部125は、持続時間Tが閾値Tth未満である場合には、圏外状態を近距離通信プロトコルの下位レイヤに対応する近距離通信部122でのみ検知し、上位レイヤに対応するアプリケーションプログラム127a,127bに対しては通知しない。これにより、アプリケーションプログラム127a,127bは、通信障害を検知してそれに対応するデータ再送処理等の復旧処理を起動することができる。一方、通信障害が短時間で復旧した場合には、アプリケーションプログラム127a,127bが介在しないでスムーズにデータダウンロード処理を自動継続できることになる。
【0029】
以下、図3を参照して、データダウンロード処理時の移動通信端末2の動作について説明するとともに、併せて移動通信端末2におけるデータダウンロード方法について詳述する。図3は、移動通信端末2のデータダウンロード時の動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、移動通信端末2内で動作するアプリケーションプログラム127a,127bによりサーバ装置4からのデータダウンロード処理が起動されると、移動通信網NWを介してデータの受信が開始されると同時に、パーソナルコンピュータ5との間の近距離通信の接続が確立されることにより、ダウンロードされたデータがパーソナルコンピュータ5に向けて自動転送される(ステップS101)。その後、データ管理部125により、定期的に近距離通信の接続状態が“圏外状態”であるか否かが判定される(ステップS102)。判定の結果、接続状態が“圏外状態”でなく“正常状態”である場合は(ステップS102;NO)、処理をステップS109に移行させ、ダウンロード対象の全てのデータが続けて転送される(ステップS109)。
【0031】
一方、接続状態が“圏外状態”である場合は(ステップS102;YES)、データ管理部125によりサーバ装置4からダウンロード中のデータが存在するか否かがさらに判定される(ステップS103)。その結果、ダウンロード中のデータが存在する場合には(ステップS103;YES)、ダウンロードされたデータブロックが、パーソナルコンピュータ5に対して未送信のデータブロックに付加されてデータ記憶部126に記憶される(ステップS104)。それに並行して、定期的に近距離通信部122によってパーソナルコンピュータ5に対する再接続が試みられる(ステップS105)。これに対して、ダウンロード中のデータが存在しない場合には(ステップS103;NO)、そのままパーソナルコンピュータ5に対する再接続が試みられる(ステップS105)。
【0032】
次に、データ管理部125により近距離通信の接続状態が“通常状態”に遷移したか否かが判定される(ステップS106)。判定の結果、接続状態が“通常状態”に遷移した場合には(ステップS106;YES)、データ記憶部126に保存済みの未送信データブロックが存在するか否かが更に判定される(ステップS107)。そして、未送信データブロックが存在する場合には(ステップS107;YES)、そのデータブロックが先に近距離通信によってパーソナルコンピュータ5に転送された後に(ステップS108)、無線通信を利用してダウンロードされてくる残りのデータブロックが転送される(ステップS109)。その一方で、未送信データブロックが存在しない場合には(ステップS107;NO)、その後に無線通信を利用してダウンロードされてくるデータがパーソナルコンピュータ5に転送される(ステップS109)。
【0033】
ステップS106において、近距離通信の接続状態が“圏外状態”のままで維持された場合は(ステップS106;NO)、“圏外状態”の持続時間Tが予め設定された閾値Tth以上の時間を経過したか否かが判定される(ステップS110)。その結果、持続時間Tが閾値Tthを経過していない場合には(ステップS110;NO)、処理をステップS105に移行してパーソナルコンピュータ5に対する再接続が試みられる(ステップS105)。
【0034】
一方、持続時間Tが閾値Tthを経過している場合には(ステップS110;YES)、データ記憶部126に保存された未送信データブロックが存在するか否かが判定される(ステップS111)。そして、未送信データブロックが存在する場合には(ステップS111;YES)、データ管理部125によりデータ記憶部126からそれらのデータブロックが削除される(ステップS112)。その後、データ管理部125からアプリケーションプログラム127a,127bに対して、パーソナルコンピュータ5との接続状態が“切断状態”であることが通知され(ステップS113)、データダウンロード処理が終了される。
【0035】
図4は、移動通信端末2におけるデータダウンロード処理の概念図である。同図では、移動通信端末2を利用して移動通信網NWに接続されたサーバ装置4からパーソナルコンピュータ5に向けて、データをダウンロードすることを想定する。このとき、移動通信端末2に着信があってユーザによって移動通信端末2がパーソナルコンピュータ5から遠ざけられると、ダウンロード中であったデータDの転送が完了する前に移動通信端末2とパーソナルコンピュータ5との間の接続が切断される(図4(a))。その後、パーソナルコンピュータ5との接続が回復されるまでは、移動通信網NWから受信されるデータDのうちの未転送のデータブロックDBが移動通信端末2に一時記憶される。
【0036】
そして、移動通信端末2の位置が元に戻されて移動通信端末2とパーソナルコンピュータ5との間の近距離通信の切断状態が復旧すると、一時記憶された未転送のデータブロックDBが順次パーソナルコンピュータ5に転送される(図4(b))。次に、ダウンロード対象のデータDのうちの移動通信網NWから受信される残りのデータブロックが、パーソナルコンピュータ5に転送される。
【0037】
以上説明した移動通信端末2及びデータダウンロード方法によれば、移動通信部121によってサーバ装置4からデータがダウンロードされ、近距離通信部122によってそのデータがパーソナルコンピュータ5等の対向設備に送信され、通信管理部123によって近距離通信部122による接続状態が検出され、データ記憶部126によってダウンロードされたデータが一時記憶され、データ管理部125によって一時記憶されたデータが近距離通信部122に引き渡される。ここで、近距離通信部122の接続状態が“圏外状態”であっても、データ記憶部126にはダウンロード中のデータブロックが追加して記憶され、その後、“圏外状態”から“正常状態”に遷移すると、データ記憶部126に記憶された未送信のデータブロックが、近距離通信部122に引き渡されて対向設備に送信される。これにより、近距離通信が一時切断された場合であっても、ダウンロードデータを欠落や重複を生じることなく対向設備に転送することができる。その結果、移動通信方式及び近距離通信方式の2種類の通信方式を利用してデータを中継する場合に、近距離通信方式の接続状態に応じて円滑にデータをダウンロードさせることができる。
【0038】
また、近距離通信がある一定時間以上切断されている場合に、一時保持したデータをデータ記憶部126から削除するので、再度該当データをダウンロードすることでデータの同一性を保障してデータの信頼性を保つことができる。また、近距離通信がある一定時間以上切断されている場合にアプリケーションプログラムによる所定の動作を可能にするので、通信障害時のデータ再送等の円滑な復旧処理が実現される。
【0039】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、データをダウンロード元の機器としては移動通信網NWに接続可能な通信機器であれば特定種類の機器には限定されず、携帯電話機、パーソナルコンピュータ等の通信端末であってもよい。また、ダウンロード先の機器としても、近距離通信が可能な機器であれば、携帯電話機、PDA、サーバ装置等の様々な種類の機器を使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
2…移動通信端末、5…パーソナルコンピュータ(対向設備)、121…移動通信部(移動通信手段)、122…近距離通信部(近距離通信手段)、123…通信管理部(通信管理手段)、124…計時部(計時手段)、125…データ管理部(データ管理手段)、126…データ記憶部(データ記憶手段)、127a,127b…アプリケーションプログラム(アプリケーション機能部)、NW…移動通信網。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信網に接続してデータをダウンロードする移動通信手段と、
前記移動通信手段によってダウンロードされた前記データを、近距離通信によって対向設備に送信する近距離通信手段と、
前記近距離通信手段による前記対向設備との接続状態を検出する通信管理手段と、
前記移動通信手段によってダウンロードされたデータを一時記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段によって一時記憶されたデータを順次近距離通信手段に引き渡すデータ管理手段とを備え、
前記データ記憶手段は、前記通信管理手段によって検出された前記接続状態が切断状態を示した時には、前記移動通信手段によってダウンロードされているデータを追加して記憶し、
前記データ管理手段は、前記通信管理手段によって検出された前記接続状態が切断状態から正常状態に遷移した時には、前記データ記憶手段によって記憶された前記データの未送信の部分を、前記近距離通信手段に引き渡す、
ことを特徴とする移動通信端末。
【請求項2】
前記通信管理手段によって検出された前記接続状態が切断状態を示している時間を測定する計時手段を更に備え、
前記データ記憶手段は、前記計時手段によって測定された時間が閾値以上の場合には、前記移動通信手段によってダウンロードされて一時記憶したデータを削除する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記データ管理手段は、前記計時手段によって測定された時間が前記閾値以上の場合には、前記データに関連して動作するアプリケーション機能部に対して、前記切断状態を通知する、
ことを特徴とする請求項2記載の移動通信端末。
【請求項4】
移動通信手段が、移動通信網に接続してデータをダウンロードする移動通信ステップと、
近距離通信手段が、前記移動通信手段によってダウンロードされた前記データを、近距離通信によって対向設備に送信する近距離通信ステップと、
通信管理手段が、前記近距離通信手段による前記対向設備との接続状態を検出する通信管理ステップと、
データ記憶手段が、前記移動通信手段によってダウンロードされたデータを一時記憶するデータ記憶ステップと、
データ管理手段が、前記データ記憶手段によって一時記憶されたデータを順次近距離通信手段に引き渡すデータ管理ステップとを備え、
前記データ記憶ステップでは、前記通信管理手段によって検出された前記接続状態が切断状態を示した時には、前記移動通信手段によってダウンロードされているデータを追加して記憶し、
前記データ管理ステップでは、前記通信管理手段によって検出された前記接続状態が切断状態から正常状態に遷移した時には、前記データ記憶手段によって記憶された前記データの未送信の部分を、前記近距離通信手段に引き渡す、
ことを特徴とするデータダウンロード方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−4258(P2011−4258A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146753(P2009−146753)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】