説明

移動通信端末及び動作モード切替方法

【課題】ユーザの変化する端末利用環境に応じて最適な動作モードに切り替えること。
【解決手段】この移動通信端末1は、時刻情報を取得する時刻情報取得部12と、近接機器を検出する近距離無線部13と、切替指示の受付に応じて動作モードを切り替える切替制御部15と、動作モードの切替に関する切替履歴情報を、時刻情報と近接機器に関する機器情報とを含んで格納する切替履歴情報格納部18とを備え、切替制御部15は、切替履歴情報格納部18から読み出した切替履歴情報に含まれる時刻情報及び機器情報が、時刻情報取得部12によって取得される時刻情報、及び近距離無線部13によって検出される機器情報に対応していると判定した場合に、切替履歴情報に従って動作モードを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末及び動作モード切替方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動通信端末の動作モードを切り替える技術に関しては、加速度センサによって検知された加速度情報と時刻情報とに基づいて、マナーモード等の特定の動作モードに設定するような移動通信端末が知られている(下記特許文献1参照)。この技術は、移動通信端末に設けられたセンサによる検出情報を用いて動作モードの切替制御を可能にしようとするものである。すなわち、加速度データによって加速度の変化を分析して振動パターンを認識し、その振動パターンと予め記憶しておいた振動パターンとを比較して、その比較結果に応じてマナーモードに設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−192206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の動作モードの切替技術においては、予め記憶されたパターンデータを用いるため、ユーザの時々刻々と変化する行動に対応して動作モードの切替を行うことは困難である。また、加速度データによって動作モードを切り替える方法では、ユーザの多様化する端末利用環境に合わせてモード切替を行うことも困難である。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、ユーザの変化する端末利用環境に応じて最適な動作モードに切り替えることが可能な移動通信端末及び動作モード切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の移動通信端末は、現在時刻に関する時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、近距離無線通信によって近接する機器を検出する近距離無線手段と、動作モードの切替指示の受付に応じて、動作モードを切り替える切替制御手段と、切替制御手段による動作モードの切替に関する切替履歴情報を、時刻情報取得手段によって取得された時刻情報と、近距離無線手段によって検出された機器に関する機器情報とを含んで格納する履歴情報格納手段とを備え、切替制御手段は、履歴情報格納手段から読み出した切替履歴情報に含まれる時刻情報及び機器情報が、時刻情報取得手段によって取得される時刻情報、及び近距離無線手段によって検出される機器情報に対応していると判定した場合に、切替履歴情報に従って動作モードを切り替える。なお、ここでいう「動作モード」とは、移動通信端末における通信機能、音声出力機能、バイブレータを用いた振動機能、LED等を用いた発光機能や、アプリケーションプログラムの動作条件等に関する選択可能な複数の動作状態を示している。
【0007】
或いは、本発明の動作モード切替方法は、移動通信端末が、現在時刻に関する時刻情報を取得する時刻情報取得ステップと、移動通信端末が、近距離無線通信によって近接する機器を検出する近距離無線ステップと、移動通信端末が、動作モードの切替指示の受付に応じて、動作モードを切り替える切替制御ステップと、移動通信端末が、切替制御ステップによる動作モードの切替に関する切替履歴情報を、時刻情報取得ステップによって取得された時刻情報と、近距離無線ステップによって検出された機器に関する機器情報とを含んで格納する履歴情報格納ステップとを備え、切替制御ステップでは、履歴情報格納ステップによって格納された切替履歴情報に含まれる時刻情報及び機器情報が、時刻情報取得ステップによって取得される時刻情報、及び近距離無線ステップによって検出される機器情報に対応していると判定した場合に、切替履歴情報に従って動作モードを切り替える。
【0008】
このような移動通信端末及び動作モード切替方法によれば、動作モードの切替要求の受付の際に、切替履歴情報が時刻情報及び近接する機器に関する機器情報を含んで記憶され、現在時刻及び近距離無線通信によって検出された機器情報が切替履歴情報に対応している場合に、その切替履歴情報に従って動作モードが切り替えられる。これにより、動作モード切替時の時刻及び近接機器の検出状況と現在の検出状況とを照らし合わせて動作モードが切り替えられることになり、時間的に変化する端末利用環境に応じて最適な動作モードに切り替えることができる。特に、近接機器の検出結果を利用することで精度よく端末利用環境を判定することができる。
【0009】
現在位置に関する位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、履歴情報格納手段は、切替履歴情報を位置情報取得手段によって取得された位置情報を含んで格納し、切替制御手段は、履歴情報格納手段から読み出した切替履歴情報に含まれる位置情報が、位置情報取得手段によって取得される位置情報に対応しているとさらに判定した場合に、切替履歴情報に従って動作モードを切り替える、ことが好ましい。こうすれば、位置情報と機器情報とを組み合わせることで端末利用環境を判定する範囲が広くなり、空間的に広い範囲で最適な動作モードへの切替を実現することができる。
【0010】
また、履歴情報格納手段は、切替履歴情報に対応付けて、該切替履歴情報によって示される動作モード切替の優先度に関する優先度情報を格納し、切替制御手段は、切替履歴情報に従った動作モードの切替後の継続時間が所定時間を超えた場合に、該動作モードに対応する優先度を上げるように優先度情報を更新する、ことも好ましい。かかる構成を採れば、動作モードの自動切替後のユーザによる動作モードの切替状況に応じて、自動切替の優先度を更新することで、ユーザの必要度に応じた動作モードの自動切替を実現することができる。
【0011】
さらに、履歴情報格納手段は、切替履歴情報に対応付けて、該切替履歴情報によって示される動作モード切替の優先度に関する優先度情報を格納し、切替制御手段は、切替履歴情報に従った動作モードの切替後の継続時間が所定時間未満であった場合に、該動作モードに対応する優先度を下げるように優先度情報を更新する、ことも好ましい。この場合、かかる構成を採れば、動作モードの自動切替後のユーザによる動作モードの切替状況に応じて、自動切替の優先度を更新することで、ユーザの必要度に応じた動作モードの自動切替を実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの変化する端末利用環境に応じて最適な動作モードに切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好適な一実施形態にかかる移動通信端末の概略構成図である。
【図2】図1の切替履歴情報格納部18に格納されるデータの構成を示す図である。
【図3】移動通信端末1による動作モードの切替履歴情報の記憶時の動作を示すフローチャートである。
【図4】移動通信端末1による動作モードの自動切替時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面とともに本発明による移動通信端末及び動作モード切替方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の好適な一実施形態にかかる移動通信端末1の概略構成図である。図1に示すように、本実施形態にかかる移動通信端末1は、音声通信機能及びデータ通信機能を有する携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)、又は可搬型パーソナルコンピュータ等の通信端末であり、基地局2とIMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000)等の移動体通信方式によって接続(在圏)することによって、移動体通信網NWとの間で音声通信及びデータ通信を行うことが可能とされている。また、移動通信端末1は、ブルートゥース通信、赤外線通信や、非接触ICカード通信等の近距離無線通信によって外部機器3A,3Bとの間でデータ通信を行うことが可能とされている。ここで、同図には、便宜上、基地局2を1台、外部機器3A,3Bを2台図示しているが、それぞれ、それ以上の複数台存在してもよいことは言うまでもない。
【0016】
この移動通信端末1は、機能的な構成要素として、位置情報取得部(位置情報取得手段)11と、時刻情報取得部(時刻情報取得手段)12と、近距離無線部(近距離無線手段)13と、機器情報格納部14と、モード切替処理部16及びモード変更検出部17を含む切替制御部(切替制御手段)15と、切替履歴情報格納部(履歴情報格納手段)18とを備えている。以下、移動通信端末1の各構成要素について詳細に説明する。
【0017】
位置情報取得部11は、GPS(Global Positioning System)測位を実行することにより、移動通信端末1の現在位置を示す位置情報を取得する。例えば、位置情報取得部11は、移動通信端末1の現在位置に対応する緯度情報及び経度情報を含む位置情報“(45,135)”を取得する。また、位置情報取得部11は、GPS測位により位置情報を取得する以外にも、基地局2や移動体通信網NWに接続されたサーバ装置(図示せず)から移動通信端末1が現在在圏している通信エリアを特定する基地局特定情報等の位置情報を取得してもよい。ただし、位置情報の精度の観点からはGPS測位によるほうがより好ましい。
【0018】
時刻情報取得部12は、時計機能等を内蔵することにより、現在時刻を取得する。例えば、時刻情報取得部12は、現在時刻に対応する曜日及び時刻を特定する時刻情報“Mon 19:35”を取得する。
【0019】
近距離無線部13は、ブルートゥース通信等の近距離無線通信を利用して移動通信端末1に近接する機器である外部機器3A,3Bと接続し、外部機器3A,3Bの近距離無線部31A,31Bとの間でデータを送受信する。また、近距離無線部13は、外部機器3A,3Bとの接続を確立する際に、外部機器3A,3Bを検出する機能を有し、外部機器3A,3Bを検出したときには外部機器3A,3Bを特定する通信アドレス等の機器情報を取得して機器情報格納部14に格納する。例えば、近距離無線部13は、外部機器3A,3Bを特定する機器情報“機器A”,“機器B”を取得して、その検出時刻を付加して機器情報格納部14に格納する。
【0020】
切替制御部15のモード変更検出部17は、モード切替処理部16から動作モードの切り替えが通知される(詳細は後述する。)と、それと同時に、位置情報取得部11及び時刻情報取得部12から位置情報及び時刻情報を受け取るとともに、機器情報格納部14から直近の時刻に取得された機器情報を読み出す。そして、モード変更検出部17は、モード切替処理部16による動作モードの切り替えに関する切替履歴情報に、位置情報、時刻情報、及び機器情報を付加して、切替履歴情報格納部18に格納する。図2には、切替履歴情報格納部18に格納された切替履歴情報のデータ構成の一例を示している。同図に示すように、動作モードの切替履歴を示す動作モード変更情報“マナーモード ON”が、切替時刻に対応する曜日及び時間帯を示す時刻情報“Wed 15:00”、切り替え時の移動通信端末1の位置に対応する緯度及び経度を示す位置情報“(45,135)”、切り替え時に移動通信端末1に近接する機器を示す機器情報“無し”、及び動作モードの切り換えの優先度情報“10”に対応付けて記憶される。この優先度情報は、既に切替履歴情報格納部18に格納されている切替履歴情報と共通する切替履歴情報が、モード変更検出部17によって再生成された場合に、当該切替履歴情報の優先度が加算されるように更新される。
【0021】
図1に戻って、切替制御部15のモード切替処理部16は、移動通信端末1のユーザからの動作モードの切替要求が、ボタン操作等を検出することにより受け付けられた場合に、移動通信端末1の動作モードの切り替えを制御する。そして、モード切替処理部16は、動作モードの切り替えを実施したことをモード変更検出部17に通知する。この「動作モード」としては、着信音を制限してバイブレータ機能を起動するマナーモード、特定のアプリケーションプログラムや通信機能の起動を制限したり停止したりするモード、特定の機能の電力消費を抑える省電力モードや、特定のデータ格納領域へのアクセスを制限するモード等が挙げられる。例えば、ユーザから“マナーモード”への切り替え要求が受け付けられると、モード切替処理部16は、“マナーモード”への切替を実行すると同時に、モード変更検出部17にその切り替えを通知する。
【0022】
また、モード切替処理部16は、上述したようなユーザからの切替要求に応じた動作モードの切替機能のほか、切替履歴情報格納部18から読み出される切替履歴情報に従った動作モードの自動切替機能も有する。すなわち、モード切替処理部16は、定期的又は随時に、位置情報取得部11及び時刻情報取得部12から最新の位置情報及び時刻情報を受け取ると同時に、機器情報格納部14から最新の近接機器情報を読み出す。さらに、モード切替処理部16は、受け取った位置情報、時刻情報、及び機器情報に対応する情報を含む切替履歴情報が、切替履歴情報格納部18に格納されているかを判定する。この判定は、切替履歴情報が現在位置から所定範囲内の位置を示しているか、切替履歴情報が現在時刻と同じ曜日及び時間帯を示しているか、現在の近接機器が切替履歴情報に含まれる機器情報に一致しているかで行われる。その判定によって、モード切替処理部16は、位置情報、時刻情報、及び機器情報が対応する切替履歴情報を特定して、その切替履歴情報に従って動作モードを切り替えるように制御する。例えば、図2の例によれば、現在時刻が時刻情報の示す時間帯“Wed 15:00”に含まれており、現在位置が位置情報“(45,135)”の示す位置から所定範囲内であり、近接機器が“無し”の場合は、動作モード“マナーモード”を“ON”に設定するように制御する。また、モード切替処理部16は、位置情報、時刻情報、及び機器情報の対応する切替履歴情報が複数存在する場合には、切替履歴情報に含まれる優先度が最も高い切替履歴情報に従って動作モードを切り替える。なお、モード切替処理部16は、切替履歴情報に含まれる優先度が所定閾値以上の切替履歴情報のみを参照して動作モードを切り替えるようにしてもよい。この閾値は、動作モードの種別毎に異なった値であってもよい。
【0023】
また、モード切替処理部16は、切替履歴情報格納部18に格納されている切替履歴情報の優先度情報を更新する機能を有する。具体的には、モード切替処理部16が切替履歴情報に基づいて動作モードの自動切替を実行した後に、その動作モードの継続時間が所定時間を超えた場合には、優先度を“1”上げるように更新し、その一方で、動作モードの継続時間が所定時間未満であった場合には、優先度を“1”下げるように更新する。このような継続時間の検出は、動作モード“マナーモード”への自動切替が実行されてから、ユーザから他の動作モードへの切替要求や当該動作モード“マナーモード”の解除要求が受け付けられるまでの時間を計測することにより行われる。さらに、モード切替処理部16は、上記条件に加えて、位置情報取得部11によって取得される位置情報や機器情報格納部14に格納されている機器情報に基づいて、移動通信端末1の位置が自動切替時点の位置から所定範囲内であるかをさらに判定して、優先度情報を更新してもよい。
【0024】
次に、図3及び図4を参照して、移動通信端末1の動作について説明するとともに、併せて移動通信端末1における動作モード切替方法について詳述する。図3は、移動通信端末1による切替履歴情報の記憶時の動作を示すフローチャート、図4は、移動通信端末1による自動切替処理時の動作を示すフローチャートである。
【0025】
まず、図3を参照して、ユーザからの移動通信端末1の起動指示の受付に応じて動作モードが通話待ち受け状態で起動される(ステップS101)。その後、ユーザから動作モード“マナーモード”へ切替要求が受け付けられる(ステップS102)。そうすると、モード切替処理部16によって“マナーモード”に動作モードが切り替えられるとともに、モード変更検出部17によって動作モード“マナーモード”への切り替えが検出される(ステップS103)。
【0026】
動作モードの切替が検出されると同時に、モード変更検出部17によって、現在時刻に関する時刻情報、現在位置に関する位置情報、及び近接機器に関する機器情報が取得される(ステップS104,S105,S106)。次に、モード変更検出部17によって、モード切替の履歴を示す切替履歴情報に時刻情報、位置情報、及び機器情報が付加されて切替履歴情報格納部18に格納される(ステップS107)。このとき、モード変更検出部17によって、情報が共通する切替履歴情報が既に記憶されているか否かが判定される(ステップS108)。判定の結果、共通の切替履歴情報が記憶されている場合(ステップS108;YES)、該当する切替履歴情報に対応する優先度情報を増加させるように更新し(ステップS109)、処理をステップS101に戻す。一方、共通の切替履歴情報が記憶されていない場合(ステップS108;NO)、優先度情報を更新しないで新たな切替履歴情報として切替履歴情報格納部18に記憶させて、処理をステップS101に戻す。
【0027】
図4に移って、ユーザから自動切替モードの起動指示が受け付けられると、動作モードが通話待ち受け状態で起動される(ステップS201)。その後、定期的又は随時に、モード切替処理部16によって、現在時刻に関する時刻情報、現在位置に関する位置情報、及び近接機器に関する機器情報が検出される(ステップS202)。
【0028】
そして、モード切替処理部16によって切替履歴情報格納部18が参照されて、時刻情報が対応する切替履歴情報が存在するか否かが判定される(ステップS203)。判定の結果、時刻情報が対応する切替履歴情報が存在しない場合には(ステップS203;NO)、処理をステップS201に戻す。
【0029】
一方、時刻情報が対応する切替履歴情報が存在する場合には(ステップS203;YES)、モード切替処理部16によって、その切替履歴情報の機器情報が現在の機器情報に対応しているか否かがさらに判定される(ステップS204)。その結果、機器情報が対応していないと判定された場合(ステップS204;NO)、処理をステップS201に戻す。
【0030】
その一方で、機器情報が対応する切替履歴情報が存在する場合には(ステップS204;YES)、モード切替処理部16によって、その切替履歴情報の位置情報が現在の位置情報に対応しているか否かがさらに判定される(ステップS205)。その結果、位置情報が対応していないと判定された場合(ステップS205;NO)、処理をステップS201に戻す。
【0031】
一方、位置情報が対応する切替履歴情報が存在する場合には(ステップS205;YES)、モード切替処理部16によって、優先度の最も高い切替履歴情報に基づいて動作モードが切り替えられる(ステップS206)。その後、モード切替処理部16によって、動作モードの自動切替後から所定時間を経過するまでに、切替時の位置から所定の範囲内でユーザによる別の動作モードへの再切替を検出したか否かが判断される(ステップS207)。
【0032】
その結果、再切替が検出された場合(ステップS207;YES)には、自動切替の際に参照された切替履歴情報の優先度が下げられ、優先度が下限値に至った場合にはその切替履歴情報自体が削除される(ステップS208)。一方、再切替が検出されなかった場合(ステップS207;NO)には、自動切替の際に参照された切替履歴情報の優先度が上げられる(ステップS209)。その後、処理がステップS201に戻される。
【0033】
以上説明した移動通信端末1及び動作モード切替方法によれば、ユーザからの動作モードの切替要求の受付の際に、切替履歴情報が時刻情報、位置情報、及び近接する機器に関する機器情報を含んで記憶され、現在時刻、現在位置、及び近距離無線通信によって検出された機器情報が切替履歴情報に対応している場合に、その切替履歴情報に従って動作モードが切り替えられる。これにより、動作モード切替時の時刻、位置、及び近接機器の検出履歴と現在の検出状況とを照らし合わせて動作モードが切り替えられることになり、時間的に変化する端末利用環境に応じて最適な動作モードに切り替えることができる。特に、近接機器の検出結果を利用することで近接機器が固定されている場合に精度よく端末利用環境を判定することができ、GPS測位等による位置情報と機器情報とを組み合わせることで端末利用環境を判定する範囲が広くなり、空間的に広い範囲で最適な動作モードへの切替を実現することができる。
【0034】
また、切替履歴情報に従った動作モードの自動切替後の継続時間が所定時間を超えた場合に、該動作モードに対応する優先度が上げられるので、ユーザの必要度に応じた動作モードの自動切替を実現することができる。また、切替履歴情報の優先度が所定閾値以上のものを参照して動作モードを切り替えることで、変更頻度の低いような動作モードに自動的に切り替えてしなうような事態を防ぐことができる。
【0035】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、モード切替処理部16は、現在時刻、現在位置、及び近距離無線通信によって検出された機器情報が切替履歴情報に対応している場合にモード切替を実行するが、これらの条件はOR条件であってもよい。ただし、切替の条件としては時刻情報と近接機器情報を優先することが望ましい。この2つの条件を優先的に判断することで、時間や接続相手、すなわち、ある地点からの相対距離を判断できるため、より最適な動作モードの切替が実現される。
【0036】
また、モード変更検出部17は、一部の情報が共通する複数の切替履歴情報を切替履歴情報格納部18に格納する場合には、それらの切替履歴情報に共通する情報を抽出して新たな切替履歴情報として、切替履歴情報格納部18に格納してもよい。例えば、モード変更検出部17が、動作モード変更情報“マナーモード ON”、時刻情報“T1”、及び位置情報“地点A”を含む切替履歴情報と、動作モード変更情報“マナーモード ON”、時刻情報“T2”、及び位置情報“地点A”を含む切替履歴情報と、動作モード変更情報“マナーモード ON”、時刻情報“T3”、及び位置情報“地点A”を含む切替履歴情報とを格納する場合には、動作モード変更情報“マナーモード ON”及び位置情報“地点A”を含む切替履歴情報を新たに生成して格納する。これにより、ユーザの必要度に応じたモードの選択が一層容易にされる。
【符号の説明】
【0037】
1…移動通信端末、3A,3B…外部機器、11…位置情報取得部(位置情報取得手段)、12…時刻情報取得部(時刻情報取得手段)、13…近距離無線部(近距離無線手段)、15…切替制御部(切替制御手段)、18…切替履歴情報格納部(履歴情報格納手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在時刻に関する時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
近距離無線通信によって近接する機器を検出する近距離無線手段と、
動作モードの切替指示の受付に応じて、前記動作モードを切り替える切替制御手段と、
前記切替制御手段による前記動作モードの切替に関する切替履歴情報を、前記時刻情報取得手段によって取得された時刻情報と、前記近距離無線手段によって検出された機器に関する機器情報とを含んで格納する履歴情報格納手段とを備え、
前記切替制御手段は、前記履歴情報格納手段から読み出した前記切替履歴情報に含まれる前記時刻情報及び前記機器情報が、前記時刻情報取得手段によって取得される前記時刻情報、及び前記近距離無線手段によって検出される前記機器情報に対応していると判定した場合に、前記切替履歴情報に従って前記動作モードを切り替える、
ことを特徴とする移動通信端末。
【請求項2】
現在位置に関する位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
前記履歴情報格納手段は、前記切替履歴情報を前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報を含んで格納し、
前記切替制御手段は、前記履歴情報格納手段から読み出した前記切替履歴情報に含まれる前記位置情報が、前記位置情報取得手段によって取得される前記位置情報に対応しているとさらに判定した場合に、前記切替履歴情報に従って前記動作モードを切り替える、
ことを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記履歴情報格納手段は、前記切替履歴情報に対応付けて、該切替履歴情報によって示される動作モード切替の優先度に関する優先度情報を格納し、
前記切替制御手段は、前記切替履歴情報に従った前記動作モードの切替後の継続時間が所定時間を超えた場合に、該動作モードに対応する優先度を上げるように前記優先度情報を更新する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の移動通信端末。
【請求項4】
前記履歴情報格納手段は、前記切替履歴情報に対応付けて、該切替履歴情報によって示される動作モード切替の優先度に関する優先度情報を格納し、
前記切替制御手段は、前記切替履歴情報に従った前記動作モードの切替後の継続時間が所定時間未満であった場合に、該動作モードに対応する優先度を下げるように前記優先度情報を更新する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の移動通信端末。
【請求項5】
移動通信端末が、現在時刻に関する時刻情報を取得する時刻情報取得ステップと、
前記移動通信端末が、近距離無線通信によって近接する機器を検出する近距離無線ステップと、
前記移動通信端末が、動作モードの切替指示の受付に応じて、前記動作モードを切り替える切替制御ステップと、
前記移動通信端末が、前記切替制御ステップによる前記動作モードの切替に関する切替履歴情報を、前記時刻情報取得ステップによって取得された時刻情報と、前記近距離無線ステップによって検出された機器に関する機器情報とを含んで格納する履歴情報格納ステップとを備え、
前記切替制御ステップでは、前記履歴情報格納ステップによって格納された前記切替履歴情報に含まれる前記時刻情報及び前記機器情報が、前記時刻情報取得ステップによって取得される前記時刻情報、及び前記近距離無線ステップによって検出される前記機器情報に対応していると判定した場合に、前記切替履歴情報に従って前記動作モードを切り替える、
を備えることを特徴とする動作モード切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−245632(P2010−245632A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89354(P2009−89354)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】