説明

移動通信端末装置、通信方法、及びプログラム

【課題】ハンドオーバでアクセスポイントが切り替わることによるユーザの不利益を防止すること。
【解決手段】本発明の移動通信端末装置は、ハンドオーバ候補先である一又は複数のアクセスポイント及びハンドオーバの対象であるクライアント機器の間で制御データを送受信する通信部と、前記一又は複数のアクセスポイントから取得した制御データから、当該一又は複数のアクセスポイントがインターネットに接続する際の回線種別、その回線の伝送速度を含むアクセスポイント構成情報を抽出するアクセスポイント構成情報制御部と、前記アクセスポイント構成情報から、前記クライアント機器のハンドオーバ先を決定するための情報であるユーザプリファレンス情報を生成するユーザプリファレンス情報生成部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANアクセスポイントのハンドオーバ、特に無線LANアクセスポイントを備えた移動通信端末装置、通信方法、及びプログラムに関わる。
【背景技術】
【0002】
無線LANとセルラのインターフェースを共に備えた通信端末装置をアクセスポイント(以下、モバイルアクセスポイントと言う)として使用することにより、ポータブルゲーム機器等に代表されるクライアントは、公衆無線LAN等のアクセスポイント(以下、固定アクセスポイントと言う)を経由しなくてもインターネットに接続できるようになった。
【0003】
しかし、モバイルアクセスポイントによる通信は、(1)通信端末装置のバッテリ消費が早まる、(2)変調や多重化などの処理により、固定網に比べ一般的にスループットが出ない、(3)通信業者との契約内容によっては回線利用料金の負担が増える、といったユーザデメリットが生じる場合がある。
【0004】
従って、ユーザはモバイルアクセスポイントによる通信を行うときに、固定アクセスポイントを使用できる環境下に在圏した場合には、モバイルアクセスポイントによる通信から固定アクセスポイントによる通信に通信の切り替えを行う場合がある。
【0005】
そこで、特許文献1では、モバイルアクセスポイントと固定アクセスポイントを切り替えるハンドオーバ技術を提案している。具体的には、クライアントをハンドオーバ先のアクセスポイントに収容するために必要なハンドオーバ情報を、ハンドオーバ元のアクセスポイントから送信することで、アクセスポイント主導のハンドオーバを実行する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/110426号
【特許文献2】特開2010−147704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1で開示されている技術では、アクセスポイントのハンドオーバをクライアントに認識させずに行う。そのため、ハンドオーバ先のアクセスポイントの構成に依存するアクセスポイントの特性、およびアクセスポイントの使用状況を考慮したハンドオーバは実行されない。
【0008】
つまり、特許文献1で開示されている技術では、回線種別、通信速度、利用料金、回線品質、およびクライアントとの相性といったユーザプリファレンスな部分が考慮されずにハンドオーバが実行されてしまう。そのため、ユーザはアクセスポイントのハンドオーバによって、(1)通信速度の低下、(2)回線利用料金の負担増、(3)回線品質の不安定な通信、といったユーザが意図しない不利益を被る可能性がある。
【0009】
例えば、モバイルアクセスポイントによる通信中に固定アクセスポイントを使用できる環境下に在圏した場合、下記(1)〜(9)の理由から、結果的にユーザが固定アクセスポイントへの切り替えを望まない場合がある。
【0010】
(1)固定アクセスポイントだと通信エリアに制限が加わる。
(2)固定アクセスポイントだと移動できなくなる。移動性に劣る。
(3)固定アクセスポイントが広帯域、ブロードバンド回線ではない可能性がある。
(4)通信事業者のパフォーマンスが悪いと評判なので敬遠したい。
(5)固定アクセスポイントに既に多数のクライアントが接続されているために、トラフィックが大きくなり、通信が不安定になる、スループットが期待できない。
(6)通信事業者との契約内容によっては、そのままモバイルアクセスポイントを使い続けても新たな課金が発生しないことが判明する。
(7)使用しているアプリケーションによっては、スループットの面でモバイルアクセスポイント通信によるパフォーマンスで十分であり、逆にハンドオーバによって、通信を中断するのがわずらわしい。
(8)ユーザが要求するセキュリティ強度に満たない。
(9)セットアップが難しい。
【0011】
したがって、上述したユーザプリファレンスな情報をポイント切り替えの前にユーザに通知する方法があれば、固定アクセスポイントを使用できる環境下であっても、あえて固定アクセスポイントにハンドオーバしない方が良い場合もある。
【0012】
また、特許文献1では、固定アクセスポイントからのハンドオーバのケースで、固定アクセスポイントがハンドオーバを主導する。そのため、(1)固定アクセスポイントとクライアントとの距離が離れている場合、(2)ハンドオーバ先のアクセスポイントとクライアントが離れている場合には、クライアントにとって、ハンドオーバ先が必ずしも好適なアクセスポイントにならない場合がある。
【0013】
また、特許文献1では、ハンドオーバ元のアクセスポイントがハンドオーバ処理を主導するため、アクセスポイントの全てに前述したハンドオーバ処理を行う構成を実装しなければならない。そのため、実装インパクトが大きいこともデメリットとして挙げられる。一方、特許文献2では、アクセスポイントをハンドオーバにより切り替えるためには、クライアント側が新たなアクセスポイントを探索して切り替えのためのシグナリングを行う。
【0014】
しかし、クライアント機器には、PCやゲーム機器をはじめ様々な種類が存在する。そのため、ハンドオーバ処理はクライアントの個々の実装に依存してしまう。したがって、全てのクライアント機器が、同じようにハンドオーバするとは限らない。さらに、全てのクライアントにハンドオーバ処理のための実装を行う必要があるため、クライアント機器の開発インパクトが大きくなってしまう。
【0015】
本発明の目的は、ハンドオーバでアクセスポイントが切り替わることによるユーザの不利益を防止し、ユーザが真に好適なアクセスポイントを見つけることを助け、ユーザが安心してアクセスポイントの切り替えを行うことができるようにする機能を、実装インパクトを鑑みて、モバイルアクセスポイント主導で行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る移動通信端末装置は、クライアント機器のアクセスポイントとして機能する移動通信端末装置であって、ハンドオーバ候補先である一又は複数のアクセスポイント及びハンドオーバの対象であるクライアント機器の間で制御データを送受信する通信部と、前記一又は複数のアクセスポイントから取得した制御データから、当該一又は複数のアクセスポイントがインターネットに接続する際の回線種別、その回線の伝送速度を含むアクセスポイント構成情報を抽出するアクセスポイント構成情報制御部と、前記アクセスポイント構成情報から、前記クライアント機器のハンドオーバ先を決定するための情報であるユーザプリファレンス情報を生成するユーザプリファレンス情報生成部と、を備える。
【0017】
上記移動通信端末装置は、更に、前記一又は複数のアクセスポイントから取得した制御データから、当該一又は複数のアクセスポイントに接続されている他のクライアント機器の数を示す情報、当該一又は複数のアクセスポイントの演算処理の負荷量を示す情報、当該一又は複数のアクセスポイントの回線の混み具合を示す情報を含むアクセスポイント状態情報を抽出するアクセスポイント状態情報制御部を備え、前記ユーザプリファレンス情報生成部は、前記アクセスポイント構成情報に加えて、前記アクセスポイント状態情報から前記ユーザプリファレンス情報を生成する。
【0018】
上記移動通信端末装置は、更に、前記クライアント機器から取得した制御データから、当該クライアント機器が推奨する伝送レート、当該クライアント機器で動作可能なアプリケーションの推奨伝送速度、当該クライアント機器で対応可能な暗号化方式、当該クライアント機器が要求するセキュリティレベルの情報を含むクライアント情報を抽出するクライアント情報制御部を備え、前記ユーザプリファレンス情報生成部は、前記アクセスポイント構成情報及び前記アクセスポイント状態情報に加え、前記クライアント情報から、前記ユーザプリファレンス情報を生成する。
【0019】
上記移動通信端末装置では、前記ユーザプリファレンス情報生成部は、前記アクセスポイント構成情報、前記アクセスポイント状態情報、及び前記クライアント情報から関連性のある情報をグルーピングし、このグルーピングした情報に前記クライアント機器のハンドオーバ先として評価するためのポイントを付与し、この付与されたポイントをユーザプリファレンス情報に含める。
【0020】
上記移動通信端末装置は、前記ユーザプリファレンス情報を表示する表示部を備える。
【0021】
また、本発明の通信方法は、クライアント機器のアクセスポイントとして機能する移動通信端末装置の通信方法であって、ハンドオーバ候補先である一又は複数のアクセスポイントから制御データを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した制御データから、前記一又は複数のアクセスポイントがインターネットに接続する際の回線種別、その回線の伝送速度を含むアクセスポイント構成情報を抽出する抽出ステップと、前記アクセスポイント構成情報から、前記クライアント機器のハンドオーバ先を決定するための情報であるユーザプリファレンス情報を生成する生成ステップと、を有する。
【0022】
また、本発明のプログラムは、コンピュータに、本発明の通信方法の各ステップを実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る移動通信端末装置、通信方法、及びプログラムによれば、ユーザプリファレンが考慮されずにアクセスポイントが切り替わることによるユーザ不利益を防止し、また、アクセスポイントを切り替える際に、ユーザが好適なアクセスポイントを選択することを助け、安心してアクセスポイントの切り替えを行うことができる。
本発明に係る移動通信端末装置、通信方法、及びプログラムによれば、モバイルアクセスポイント主導でハンドオーバを行うので、全てのクライアント、全ての固定アクセスポイントにハンドオーバ処理を実装しなくてよいため、開発インパクトが少なくて済む。
本発明に係る移動通信端末装置、通信方法、及びプログラムによれば、モバイルアクセスポイントでハンドオーバを主導しつつ、固定アクセスポイントからのハンドオーバのケースにも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態における通信システムの一状態を示す図
【図2】本実施の形態における通信システムの一状態を示す図
【図3】本実施の形態における通信システムの一状態を示す図
【図4】本実施の形態における通信端末装置の構成を示すブロック図
【図5】本実施の形態における通信端末装置の動作フロー1を示す図
【図6】本実施の形態における通信端末装置の動作フロー2を示す図
【図7】本実施の形態における通信端末装置の動作フロー3を示す図
【図8】本実施の形態における通信端末装置の動作フロー4を示す図
【図9】本実施の形態における通信端末装置の動作フロー5を示す図
【図10】本実施の形態における通信端末装置の動作フロー6を示す図
【図11】本実施の形態における通信端末装置の動作フロー7を示す図
【図12】アクセスポイント構成情報の一例を示す図
【図13】アクセスポイント状態情報の一例を示す図
【図14】クライアント情報の一例を示す図
【図15】ユーザプリファレンス情報の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
本実施の形態では、移動通信端末装置(例えば、モバイルアクセスポイント)が、ハンドオーバ元およびハンドオーバ候補先のアクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報およびクライアント情報を取得し、これらの少なくとも一つの情報を基に、ユーザメリット/デメリットとなる情報(以下、ユーザプリファレンス情報とも言う)を生成する。そして、このユーザプリファレンス情報がユーザとしてのクライアント機器に通知されると、クライアント機器は、このユーザプリファレンス情報に基づき、ハンドオーバによるアクセスポイントの切り替えをユーザにとって有利な切り替えとなるようにハンドオーバ処理を実行することができる。
【0027】
そのため、本実施の形態では、ユーザプリファレンス情報が考慮されずにアクセスポイントが切り替わることによるユーザ不利益を防止することができる。また、本実施の形態では、アクセスポイントを切り替える際に、ユーザが好適なアクセスポイントを選択するためのユーザプリファレンス情報を提供することで、クライアント機器のユーザは、安心してアクセスポイントの切り替えを行うことができる。モバイルアクセスポイント主導でハンドオーバを行うので、全てのクライアント、全ての固定アクセスポイントにハンドオーバ処理を実装しなくてよい。そのため、開発インパクトが少なくて済む。
【0028】
また、本実施の形態では、モバイルアクセスポイントでハンドオーバを主導しつつ、固定アクセスポイントからのハンドオーバのケースにも対応できる。
【0029】
図1、図2、図3は、本発明の実施の形態における通信システムの概略図である。図1は、本実施の形態における通信システムの一状態を示す図である。
【0030】
図1において、WLAN client200は、ポータブルゲーム機器等の無線LANクライアントのことを指す。
【0031】
mobile AP100は、携帯電話等に搭載された移動可能な無線LANアクセスポイントのことを指す。mobile AP100は、本発明の実施の形態における通信端末装置の一例である。また、mobile AP100は、WLAN client200から見た場合、ハンドオーバ元のアクセスポイントとなる。
【0032】
fixed AP300は、公衆無線LAN等の固定の無線LANアクセスポイントのことを指す。fixed AP300は、WLAN client200から見た場合、ハンドオーバ先のアクセスポイントとなる。
【0033】
「existing connection」は、ハンドオーバ元のアクセスポイント(mobile AP100)と無線LANクライアント(WLAN client200)が無線LAN通信中であることを示している。
【0034】
「AP change」は、ハンドオーバ処理の結果、無線LANクライアント(WLAN client200)が接続するアクセスポイントが、ハンドオーバ元のアクセスポイント(mobile AP100)からハンドオーバ先のアクセスポイント(fixed AP300)に切り替わることを指す。
【0035】
「handover」は、ハンドオーバ処理の結果、ハンドオーバ先のアクセスポイント(fixed AP300)と無線LANクライアント(WLAN client200)が無線LAN通信中となることを指す。
【0036】
図1に示すように、WLAN client200が、無線LAN通信中であるmobile AP100から、mobile AP100主導で、fixed AP300にハンドオーバする。つまり、mobile AP100主導で、WLAN client200が接続するアクセスポイントが、mobile AP100からfixed AP300に切り替わる(図1中、「AP change」)。そして、fixed AP300と無線LANクライアント(WLAN client200)が無線LAN通信中となる(図1中、「handover」)。なお、mobile AP100主導のハンドオーバの詳細については後述する。
【0037】
図2について説明する。WLAN client200は、ポータブルゲーム機器等の無線LANクライアントのことを指す。
【0038】
mobile AP100は、携帯電話等に搭載された移動可能な無線LANアクセスポイントのことを指す。図2のケースでは、WLAN client200から見た場合、ハンドオーバ先のアクセスポイントとなる。
【0039】
fixed AP310は、公衆無線LAN等の固定の無線LANアクセスポイントのことを指す。図2のケースでは、WLAN client200から見た場合、ハンドオーバ元のアクセスポイントとなる。
【0040】
「existing connection」は、図2のケースでは、ハンドオーバ元のアクセスポイント(fixed AP310)と無線LANクライアント(WLAN client200)が無線LAN通信中であることを示している。
【0041】
「AP change」は、図2のケースでは、ハンドオーバ処理の結果、無線LANクライアント(WLAN client200)が接続するアクセスポイントが、ハンドオーバ元のアクセスポイント(fixed AP310)からハンドオーバ先のアクセスポイント(mobile AP100)に切り替わることを指す。
【0042】
「handover」は、図2のケースでは、mobile AP100主導のハンドオーバ処理の結果、ハンドオーバ先のアクセスポイントmobile AP100と無線LANクライアントWLAN client200が無線LAN通信中となることを指す。
【0043】
図2に示すように、WLAN client200が、無線LAN通信中であるfixed AP310から、mobile AP100主導で、mobile AP100にハンドオーバする。つまり、mobile AP100主導で、WLAN client200が接続するアクセスポイントが、fixed AP310からmobile AP100に切り替わる(図2中、「AP change」)。そして、mobile AP100と無線LANクライアント(WLAN client200)が無線LAN通信中となる(図2中、「handover」)。なお、mobile AP100主導のハンドオーバの詳細については後述する。
【0044】
図3について説明する。WLAN client200は、ポータブルゲーム機器等の無線LANクライアントのことを指す。
【0045】
mobile AP100は、携帯電話等に搭載された移動可能な無線LANアクセスポイントのことを指す。図3のケースでは、WLAN client200から見た場合、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントとなる。ただし、図3のケースでは、実際のハンドオーバ先のアクセスポイントは後述するfixed AP320となる。
【0046】
fixed AP310は、公衆無線LAN等の固定の無線LANアクセスポイントのことを指す。図2のケースと同様、図3のケースでもWLAN client200から見た場合、ハンドオーバ元のアクセスポイントとなる。
【0047】
fixed AP320は、公衆無線LAN等の固定の無線LANアクセスポイントのことを指す。WLAN client200から見た場合、ハンドオーバ先のアクセスポイントとなる。
【0048】
fixed AP310とfixed AP320は、同様の構成を有している。
【0049】
「existing connection」は、図2のケースと同様、ハンドオーバ元のアクセスポイント(fixed AP310)と無線LANクライアント(WLAN client200)が無線LAN通信中であることを示している。
【0050】
「AP change_1」は、図3のケースでは、mobile AP100主導のハンドオーバ処理の結果、無線LANクライアント(WLAN client200)が接続するアクセスポイントが、ハンドオーバ元のアクセスポイント(fixed AP310)からハンドオーバ候補先のアクセスポイント(mobile AP100)に切り替わることを指す。ただし、図3のケースでは、実際のハンドオーバ先のアクセスポイントはfixed AP320である。
【0051】
「AP change_2」は、図3のケースでは、mobile AP100主導のハンドオーバ処理の結果、無線LANクライアント(WLAN client200)が接続するアクセスポイントが、ハンドオーバ元のアクセスポイント(fixed AP310)からハンドオーバ先のアクセスポイント(fixed AP320)に切り替わることを指す。
【0052】
「handover_1」は、図3のケースでは、mobile AP100主導のハンドオーバ処理の結果、無線LANクライアント(WLAN client200)のハンドオーバ先がmobile AP100と仮定した場合に、ハンドオーバ候補先のアクセスポイント(mobile AP100)と無線LANクライアント(WLAN client200)が無線LAN通信中となることを指す。
【0053】
「handover_2」は、図3のケースでは、mobile AP100主導のハンドオーバ処理の結果、無線LANクライアント(WLAN client200)のハンドオーバ先がfixed AP320と仮定した場合に、ハンドオーバ候補先のアクセスポイント(fixed AP320)と無線LANクライアント(WLAN client200)が無線LAN通信中となることを指す。
【0054】
図3に示すように、WLAN client200が、ハンドオーバ元のアクセスポイントであるfixed AP310と無線LAN通信をしている。しかし、mobile AP100主導のハンドオーバの結果、WLAN client200が接続するアクセスポイントが、ハンドオーバ元のアクセスポイント(fixed AP310)からハンドオーバ候補先のひとつであるアクセスポイント(mobile AP100)に切り替わる。そして、WLAN client200は、ハンドオーバ先のアクセスポイント(mobile AP100)と無線LAN通信をする。なお、mobile AP100主導のハンドオーバの詳細については後述する。
【0055】
図3に示すように、WLAN client200が、ハンドオーバ元のアクセスポイントであるfixed AP310と無線LAN通信をしている。しかし、mobile AP100主導のハンドオーバの結果、無線LANクライアント(WLAN client200)が接続するアクセスポイントが、ハンドオーバ元のアクセスポイント(WLAN client310)からハンドオーバ候補先のひとつであるアクセスポイント(WLAN client320)に切り替わる。そして、WLAN client200は、ハンドオーバ先のアクセスポイント(WLAN client320)と無線LAN通信をする。なお、mobile AP100主導のハンドオーバの詳細については後述する。このように、mobile AP100主導のハンドオーバであれば、ハンドオーバ候補先からユーザがメリットの多いハンドオーバ先のアクセスポイント先を選択することができる。
【0056】
図4は、mobile AP100の構成を示したブロック図である。図4に示すmobile AP100は、本発明の実施の形態における、無線LANとセルラのインターフェースを共に備えた通信端末装置の一例である。また、図4に示すmobile AP100は、図1〜図3を参照して説明した通信システムの一状態に含まれるmobile AP100である。
【0057】
図4に示すmobile AP100は、モバイルAP動作部101と、通信部102と、AP構成情報制御部103と、AP状態情報制御部104と、クライアント情報制御部105と、ユーザプリファレンス情報制御部106と、ハンドオーバ制御部107、表示部108とを備える。なお、AP構成情報制御部103と、AP状態情報制御部104と、ユーザプリファレンス情報制御部106と、ハンドオーバ制御部107の各制御部は、メモリ103A、104A、105A、106A、107Aをそれぞれ備える。
【0058】
[ハンドオーバ制御部107の動作]
ハンドオーバ制御部107は、ハンドオーバの開始を判定する機能を有する。具体的には、図示しない、ユーザ操作、セルラ通信システム、WLAN client200、又はfixed AP300、fixed AP310、fixed AP320のいずれかの固定アクセスポイント等からの通知、mobile AP100自身の通信状態、GPS等による地図情報、加速度センサ等の手段により得られた情報に基づき、WLAN client200と接続するアクセスポイントを変更するか否かを判定する。言い換えると、アクセスポイントを変更するためのハンドオーバ処理を開始するか否かを判定する。メモリ107Aは、ユーザ操作、セルラ通信システム、WLAN client200、又はfixed AP300、fixed AP310、fixed AP320のいずれかの固定アクスポイント等からの通知、mobile AP100自身の通信状態、GPS等による地図情報、加速度センサ等の手段により得られた情報を一時的に保持する。
【0059】
<ハンドオーバ先探索要求>
また、ハンドオーバ制御部107は、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントを探索するために、モバイルAP動作部101にハンドオーバ候補先のアクセスポイントを探索するよう指示する。また、ハンドオーバ制御部107は、アクセスポイントの探索指示に対する応答がモバイルAP動作部101から入力されたら、応答となる制御データをAP構成情報制御部103と、AP状態情報制御部104と、クライアント情報制御部105へ出力する。なお、制御データはメモリ107Aに保持する。
このハンドオーバ制御部107がハンドオーバ候補先のアクセスポイントを探索するために指示を出す一連の動作を「ハンドオーバ先探索要求」と言う。
【0060】
<ハンドオーバ元の判定動作>
また、ハンドオーバ制御部107は、ハンドオーバ元のアクセスポイントを特定するために、モバイルAP動作部101の通信状態を確認して、ハンドオーバ元のアクセスポイントが自身(mobile AP100)であるか、又はハンドオーバ元のアクセスポイントが他の「fixed AP」であるかを判定する。なお、他の「fixed AP」とは、任意の「fixed AP」を指すが、図1に示す例では、fixed AP300である。
【0061】
ハンドオーバ制御部107は、ハンドオーバ元のアクセスポイントが自身(mobile AP100)である場合には、自身(mobile AP100)のアクセスポイントのMACアドレス等を制御データとして、AP構成情報制御部103と、AP状態情報制御部104と、クライアント情報制御部105とへ出力する。ハンドオーバ制御部107は、ハンドオーバ元のアクセスポイントが自身(mobile AP100)でない場合には、ハンドオーバ元のアクセスポイントを特定するために、モバイルAP動作部101にハンドオーバ元のアクセスポイントを特定するよう指示する。このハンドオーバ制御部107がハンドオーバ元のアクセスポイントを特定する指示をする一連の動作は、「アクセスポイント特定指示」と言う。
【0062】
また、ハンドオーバ制御部107は、前述した「アクセスポイントの特定指示」に対する応答がモバイルAP動作部101から入力されたら、応答となる他の「fixed AP」のアクセスポイントのMACアドレス等を制御データとしてAP構成情報制御部103と、AP状態情報制御部104と、クライアント情報制御部105とへ出力する。なお、制御データはメモリ107Aに保持する。
【0063】
また、ハンドオーバ制御部107は、モバイルAP動作部101にハンドオーバの実行開始および停止を指示する。
【0064】
[モバイルAP動作部101の動作]
モバイルAP動作部101は、無線LANとセルラのインターフェースを共に備えた通信端末装置であるmobile AP100が、アクセスポイントとして動作するための機能を有し、WLAN client200をインターネット等の通信網に接続するときの中継を行う。
【0065】
具体的には、モバイルAP動作部101は、WLAN client200に端を発する、通信部102から入力された各種データを、図示しない、セルラ通信システムを介し、インターネットへ転送する。また、モバイルAP動作部101は、セルラ通信システムを介し、インターネットに端を発する、各種データを通信部102へ入力し、WLAN client200へ転送する。
【0066】
<ハンドオーバ先候補の探索>
また、モバイルAP動作部101は、前述したハンドオーバ制御部107からの指示(「ハンドオーバ先探索要求」)に従って、ハンドオーバ候補先の任意の「fixed AP」を探索する機能を有する。
【0067】
具体的には、モバイルAP動作部101は、制御データとして探索要求信号を生成し、生成した制御データである探索要求信号を通信部102へ出力する。また、モバイルAP動作部101は、探索要求信号に対する応答信号が通信部102から入力されることで、ハンドオーバ候補先の「fixed AP」を検出する。ハンドオーバ候補先の「fixed AP」が検出されたら、応答となる制御データをハンドオーバ制御部107へ出力する。ハンドオーバ候補先の「fixed AP」は1つであっても良いし、複数あっても良い。また、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントは自身(mobile AP100)である場合もあり得る(図2)。
【0068】
<ハンドオーバ元の特定>
また、モバイルAP動作部101は、ハンドオーバ制御部107からの指示に従って、ハンドオーバ元の「fixed AP」を特定する機能を有する。
【0069】
具体的には、モバイルAP動作部101は、制御データとして識別要求信号を生成し、生成した制御データである識別要求信号を通信部102へ出力する。
【0070】
また、モバイルAP動作部101は、識別要求信号に対する応答信号が通信部102から入力されることで、ハンドオーバ元のアクセスポイント「fixed AP」を特定する。ハンドオーバ元の「fixed AP」が特定されたら、応答となる制御データをハンドオーバ制御部107へ出力する。
【0071】
[通信部102の動作]
通信部102は、WLAN client200の通信部202、およびfixed AP300」の通信部301(fixed AP310又はfixed AP320の通信部)から、無線回線を介して、無線信号を受信し、この受信信号をモバイルAP動作部101、AP構成情報制御部103、AP状態情報制御部104、およびクライアント情報制御部105へ各種データとして出力する。
【0072】
また、通信部102は、モバイルAP動作部101、AP構成情報制御部103、AP状態情報制御部104、クライアント情報制御部105、およびユーザプリファレンス情報制御部106から入力された各種データを、無線回線を介した無線信号により、WLAN client200の通信部202、およびfixed AP300の通信部301へ送信する。
【0073】
[AP構成情報制御部103の動作 その1]
AP構成情報制御部103は、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントからアクセスポイント構成情報を取得し、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。なお、取得したアクセスポイント構成情報はメモリ103Aに保持する。
【0074】
具体的には、AP構成情報制御部103は、ハンドオーバ制御部107から取得した、複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントに対して、それぞれアクセスポイント構成情報要求信号を生成し、生成した制御データであるアクセスポイント構成情報要求信号を通信部102へ出力する。なお、制御データはメモリ103Aに保持する。
【0075】
また、AP構成情報制御部103は、アクセスポイント構成情報要求信号に対する応答信号が通信部102から入力されることで、複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントそれぞれのアクセスポイント構成情報を取得する。なお、取得したアクセスポイント構成情報はメモリ103Aに保持する。
【0076】
<アクセスポイント構成情報の抽出>
また、AP構成情報制御部103は、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントについて、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する際には、取得したハンドオーバ候補先のアクセスポイント構成情報のうち、ハンドオーバ処理の結果、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって有益となる情報を抽出し、この抽出した情報をハンドオーバ候補先のアクセスポイント構成情報として、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。なお、抽出したアクセスポイント構成情報はメモリ103Aに保持する。
【0077】
ここで、図12に抽出したアクセスポイント構成情報の一例を示す。図12に示すように、抽出したアクセスポイント構成情報には、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって有益となる情報が含まれる。抽出したアクセスポイント構成情報は、SSID,MACアドレスとは異なり、例えば、(a)契約状況、(b)アクセスポイントがインターネットに接続する際の回線種別、(c)通信事業者、(d)伝送レートなどの通信パフォーマンス(伝送速度)、(e)パケット単位の利用料金、(f)時間単位の利用料金、(g)月単位の利用料金、(h)モビリティ性、(i)セキュリティ規格、(j)暗号化形式、(k)セットアップ方式といった情報である。なお、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって有益となる情報には、ユーザにとってメリットとなる情報と、ユーザにとってデメリットとなる情報の両方の情報を含む。
【0078】
[AP構成情報制御部103の動作 その2]
また、AP構成情報制御部103は、ハンドオーバ元のアクセスポイントからアクセスポイント構成情報を取得し、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。なお、取得したアクセスポイント構成情報はメモリ103Aに保持する。
【0079】
具体的には、自身のアクセスポイントのMACアドレス等が制御データとして、ハンドオーバ制御部107から入力されたら、AP構成情報制御部103は、自身(mobile AP100)のアクセスポイント構成情報を取得する。一方、自身(mobile AP100)のアクセスポイントではないMACアドレス等、すなわち、任意の固定APのMACアドレス等が制御データとして入力されたら、AP構成情報制御部103は、ハンドオーバ元のアクセスポイント構成情報を取得する。具体的には、AP構成情報制御部103は、任意の固定アクセスポイントからアクセスポイント構成情報要求信号に対する応答信号が通信部102から入力されることで、これら複数任意のハンドオーバ候補先である任意の固定アクセスポイントそれぞれのアクセスポイント構成情報を取得する。
【0080】
<アクセスポイント構成情報の抽出>
また、AP構成情報制御部103は、ハンドオーバ元のアクセスポイントについて、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する際には、取得したハンドオーバ元のアクセスポイント構成情報のうち、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって有益となる情報を抽出し、この抽出した情報をハンドオーバ元のアクセスポイント構成情報として、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。なお、抽出したアクセスポイント構成情報はメモリ103Aに保持する。
【0081】
[AP状態情報制御部104の動作 その1]
AP状態情報制御部104は、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントからアクセスポイント状態情報を取得し、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。なお、取得したアクセスポイント状態情報はメモリ104Aに保持する。また、アクセスポイント状態情報については後述する。
【0082】
具体的には、AP状態情報制御部104は、ハンドオーバ制御部107から入力された、複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントのMACアドレス等の制御データに対して、アクセスポイント状態情報要求信号を生成し、この生成した制御データであるアクセスポイント状態情報要求信号を通信部102へ出力する。言い換えると、AP状態情報制御部104は、各ハンドオーバ候補先のアクセスポイントに対して、アクセスポイント状態情報要求信号を生成し、この生成した制御データであるアクセスポイント状態情報要求信号を通信部102へ出力する。なお、制御データはメモリ104Aに保持する。
【0083】
また、AP状態情報制御部104は、アクセスポイント状態情報要求信号に対する応答信号が通信部102から入力されることで、複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントそれぞれのアクセスポイント状態情報を取得する。なお、取得したアクセスポイント状態情報はメモリ104Aに保持する。
【0084】
<アクセスポイント状態情報の抽出>
また、AP状態情報制御部104は、取得したアクセスポイント状態情報のうち、ハンドオーバ処理の結果、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって有益となる情報を抽出し、この抽出した情報をハンドオーバ候補先のアクセスポイント状態情報として、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。なお、抽出したアクセスポイント状態情報はメモリ104Aに保持する。
【0085】
ここで、図13に抽出したハンドオーバ候補先のアクセスポイント状態情報の一例を示す。抽出したハンドオーバ候補先のアクセスポイント状態情報には、例えば、アクセスポイントに接続されている他のクライアントの数を示す情報、アクセスポイントのCPU処理負荷量を示す情報、回線の混み具合を示す情報が含まれる。回線の混み具合を示す情報とは、トラフィック量の多寡を示す情報である。
【0086】
[AP状態情報制御部104の動作 その2]
また、AP状態情報制御部104は、ハンドオーバ元のアクセスポイントからアクセスポイント状態情報を取得し、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。なお、取得したアクセスポイント状態情報はメモリ104Aに保持する。
【0087】
具体的には、AP状態情報制御部104は、自身(mobile AP100)のアクセスポイントのMACアドレスが制御データとして、ハンドオーバ制御部107から入力されたら、自身(mobile AP100)のアクセスポイント状態情報を取得する。一方、自身(mobile AP100)のアクセスポイントではないMACアドレス等、すなわち、任意の固定APのMACアドレスが制御データとして入力されたら、ハンドオーバ元のアクセスポイント状態情報を取得する。なお、取得したアクセスポイント状態情報はメモリ104Aに保持する。
【0088】
<アクセスポイント状態情報の抽出>
また、AP状態情報制御部104は、ハンドオーバ元のアクセスポイントについて、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する際には、取得したハンドオーバ元のアクセスポイント状態情報のうち、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって有益となる情報を抽出し、この抽出した情報をハンドオーバ元のアクセスポイント状態情報として、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。なお、抽出したアクセスポイント状態情報はメモリ104Aに保持する。
【0089】
また、AP状態情報制御部104は、ハンドオーバ元のアクセスポイントのアクセスポイント状態情報として取得したクライアントのMACアドレス等を制御データとしてクライアント情報制御部105へ出力する。なお、制御データはメモリ104Aに保持する。
【0090】
[クライアント情報制御部105の動作 その1]
クライアント情報制御部105は、ハンドオーバ対象のクライアント機器のクライアント情報を取得し、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。なお、取得したクライアント情報はメモリ105Aに保持する。
【0091】
具体的には、クライアント情報制御部105は、ハンドオーバ制御部107から入力されたハンドオーバ元のアクセスポイントのMACアドレス等の制御データを得ると、ハンドオーバ元のアクセスポイントに対して、クライアント特定要求信号を生成し、この生成した制御データであるクライアント特定要求信号を通信部102へ出力する。言い換えると、クライアント情報制御部105は、ハンドオーバ元のアクセスポイントに対して、クライアント特定要求信号を生成し、この生成した制御データであるクライアント特定要求信号を通信部102へ出力する。
【0092】
また、クライアント情報制御部105は、クライアント特定要求信号に対する応答信号が通信部102から入力されることで、クライアント機器を特定する。クライアント機器が特定されたら、そのクライアント機器に対して、クライアント情報要求信号を生成し、この生成した制御データであるクライアント情報要求信号を通信部102へ出力する。
【0093】
また、クライアント情報制御部105は、クライアント情報要求信号に対する応答信号が通信部102から入力されることで、ハンドオーバ対象のクライアント情報を取得する。なお、取得したハンドオーバ対象のクライアント情報はメモリ105Aに保持する。
【0094】
<クライアント情報の抽出>
また、クライアント情報制御部105は、ハンドオーバ対象のクライアント機器のクライアント情報をユーザプリファレンス情報制御部106に出力する際には、取得したハンドオーバ対象のクライアント情報のうち、ハンドオーバ処理の結果、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって、関連性の高い情報を抽出して、この抽出した情報をクライアント情報として、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。ただし、抽出したクライアント情報は、クライアント機器のMACアドレスとは異なる。なお、抽出したクライアント情報はメモリ105Aに保持する。
【0095】
図14にクライアント情報の一例を示す。抽出したクライアント情報には、例えば、(a)クライアント機器が推奨する伝送レート(推奨伝送速度)、(b)クライアント機器で動作しているアプリケーションの推奨伝送速度、(c)クライアント機器で対応可能な暗号化方式、(d)クライアント機器が要求するセキュリティ強度の情報が含まれる。
【0096】
[クライアント情報制御部105の動作 その2]
また、クライアント情報制御部105は、自身(mobile AP100)のアクセスポイントのMACアドレス等がハンドオーバ元の制御データとして、ハンドオーバ制御部107から入力された場合には、クライアント特定要求信号を生成する必要はなく、クライアント情報制御部105は、自身(mobile AP100)が接続しているクライアントに対して、クライアント情報要求信号を生成し、この生成した制御データであるクライアント情報要求信号を通信部102へ出力する。
【0097】
また、クライアント情報制御部105は、クライアント情報要求信号に対する応答信号が通信部102から入力されることで、クライアント情報を取得する。なお、取得したクライアント情報はメモリ105Aに保持する。
【0098】
また、クライアント情報制御部105が、クライアント情報をユーザプリファレンス情報制御部106に出力する処理については、前述した処理と同様となる。つまり、クライアント情報制御部105は、ハンドオーバ対象のクライアント機器のクライアント情報をユーザプリファレンス情報制御部106に出力する際には、取得したハンドオーバ対象のクライアント情報のうち、ハンドオーバ処理の結果、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって、関連性の高い情報を抽出して、この抽出した情報をクライアント情報として、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。
【0099】
[クライアント情報制御部105の動作 その3]
また、クライアント情報制御部105は、AP状態情報制御部104からハンドオーバ元のアクセスポイントが接続しているクライアントのMACアドレス等、を制御データとして入力されたら、そのクライアントからクライアント情報を取得する。なお、取得したクライアント情報はメモリ105Aに保持する。
【0100】
具体的には、AP状態情報制御部104から入力されたハンドオーバ元のアクセスポイントと接続中のクライアント機器のMACアドレス等の制御データに対して、すなわち、ハンドオーバ対象のクライアント機器に対して、クライアント情報要求信号を生成し、この生成した制御データであるクライアント情報要求信号を通信部102へ出力する。
【0101】
また、クライアント情報制御部105は、クライアント情報要求信号に対する応答信号が通信部102から入力されることで、ハンドオーバ元のアクセスポイントのクライアント情報を取得する。なお、取得したクライアント情報はメモリ105Aに保持する。
【0102】
<クライアント情報の抽出>
また、クライアント情報制御部105が、クライアント情報をユーザプリファレンス情報制御部106に出力する処理については、前述した処理と同様となる。つまり、クライアント情報制御部105は、ハンドオーバ対象のクライアント機器のクライアント情報をユーザプリファレンス情報制御部106に出力する際には、取得したハンドオーバ対象のクライアント情報のうち、ハンドオーバ処理の結果、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって、関連性の高い情報を抽出して、この抽出した情報をクライアント情報として、ユーザプリファレンス情報制御部106に出力する。
【0103】
[ユーザプリファレンス情報制御部106の動作]
ユーザプリファレンス情報制御部106は、取得した抽出後のアクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報、クライアント情報、及び記憶部(メモリ106A)に設定されたポイント情報に基づき、ユーザプリファレンス情報を生成し、この生成したユーザプリファレンス情報を通信部102に出力する。
【0104】
ユーザプリファレンス情報制御部106は、AP構成情報制御部103、AP状態情報制御部104、及びクライアント情報制御部105から入力された抽出後のアクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報、及びクライアント情報のそれぞれの入力データを構成する各情報要素一つひとつを、それぞれ関連する項目でグルーピングする。そして、ユーザプリファレンス情報制御部106は、このグルーピングされた要素群それぞれに評価ポイントを付与し、ひとつのアクセスポイントごとにリスト化し、通信部102に出力する。このように生成されたユーザプリファレンス情報の一例を図15に示す。
【0105】
なお、ユーザプリファレンス情報制御部106に、アクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報、クライアント情報、それぞれの各要素について、事前にポイントを付与しておき、ユーザプリファレンス情報生成時に、アクセスポイントごとに総合ポイントを算出して、数字の多寡でアクセスポイントを評価することで、ユーザに分かりやすく表示してもよい。
【0106】
なお、ユーザプリファレンス情報をユーザに通知する方法は、クライアント機器にUI表示させることができる。しかし、モバイルアクセスポイント機能付き通信端末であるmobile AP100は、通常ユーザの手元にあることが多い。そのため、mobile AP100の表示部108でユーザプリファレンス情報を表示させてもよい。その際、通知音、振動、光による点滅させて、ユーザ認識率をあげてもよい。
【0107】
<ユーザプリファレンス情報>
図15は、現在クライアント機器が無線LAN通信中のアクセスポイント及びこのクライアント機器のハンドオーバの候補先となる各アクセスポイントに対して、ユーザプリファレンス情報を示している。
【0108】
図15に示すユーザプリファレンス情報には、左から順番に、クライアント機器との接続状況を示す「(a)状態」、アクセスポイントの属する通信会社名を示す「(b)会社名」、この通信会社とクライアント機器の契約状況を示す「(c)契約」、回線の種別を示す「(d)回線種別」、通信速度に関する評価を示す「(e)通信速度」、回線使用料金を示す「(f)料金」、回線の込み具合を示す「(g)込み具合」、クライアント機器とアクセスポイントの接続の相性を示す「(h)相性」、セットアップの容易性を示す「(i)セットアップの容易性」が含まれる。これらのユーザプリファレンス情報は、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって有益となる情報である。
【0109】
(a)状態
クライアント機器との接続状況を示す「(a)状態」では、たとえば現在接続中のアクセスポイントAP1には、「接続中」と表示され、ハンドオーバ先の候補であるAP2〜AP4には、「ハンドオーバの候補先」と表示される。
【0110】
(b)会社名
アクセスポイントの属する通信会社名を示す。図15では、アクセスポイントAP1、アクセスポイントAP2、アクセスポイントAP3、アクセスポイントAP4の各アクセスポイント通信会社名A社、B社、C社、D社が表示されている。
【0111】
(c)契約
ユーザプリファレンス情報で通知するアクセスポイントの「契約」に関する評価について説明する。自身(mobile AP100)が保持する自身(mobile AP100)の契約情報、および固定アクセスポイント提供業者との契約情報を元に表示する。図15では、アクセスポイントAP1〜AP2は契約済みのため、「済」と表示され、アクセスポイントAP3は契約していないため、「未」と表示されている。また、図15では、アクセスポイントAP4は契約せずに使用できるので、「FREE」と表示されている。
【0112】
(d)回線種別
ユーザプリファレンス情報で通知するアクセスポイントの「回線種別」に関する評価について説明する。この項目には、アクセスポインと構成情報から得た、無線か有線かの種別とともに、モバイルアクセスポイントならではのモビリティ性に関する情報が表示される。図15では、アクセスポイントAP1は、無線アクセスポイントであるため、「無線(移動可)」と表示され、このアクセスポイントAP1以外のアクセスポイントA2〜A4は有線のアクセスポイントであるため、「有線(移動不可)」と表示される。なお、移動可とは、ハンドオーバ後にクライアント機器が移動可能であることを示し、移動不可とは、ハンドオーバ後にクライアント機器が移動不可であることを示す。つまり、「移動可」又は「移動不可」は、クライアント機器のモビリティ性を示す。
【0113】
(e)通信速度
ユーザプリファレンス情報で通知する「(e)通信速度」に関する評価について説明する。例えば、(1)クライアント情報から得られた、クライアント機器が推奨する伝送レートなどの通信パフォーマンス(推奨伝送速度)が小さい場合、又は(2)クライアント機器で動作しているアプリケーションの推奨伝送速度が小さい場合には、アクセスポイント構成情報から得られた伝送速度が小さくても、十分な通信パフォーマンスが維持できものとして、「通信速度」を「○」にする。
【0114】
同様に、クライアント情報から得られた、クライアント機器のアプリケーションが推奨する伝送速度が大きく、かつ、アクセスポイント構成情報から得られた伝送速度が小さい場合には、十分な通信パフォーマンスが維持できないものとして、「通信速度」を「×」にする。
【0115】
(f)料金
回線使用料金を示す。図15では、アクセスポイントAP1、AP2の料金システムは使用パケット料に関係なく定額課金であるため、「定額課金」と表示され、アクセスポイントAP3の料金システムは従量制であるため、「従量課金」と表示される。また、アクセスポイントAP4は、料金を支払う必要がないため、「−」と表示される。
【0116】
(g)「混み具合」
ユーザプリファレンス情報で通知するアクセスポイントの「混み具合」に関する評価について説明する。例えば、アクセスポイント状態情報要素から得られた、アクセスポイントに接続されている他のクライアントの数、アクセスポイントの現在のCPU処理負荷量、回線の混み具合(トラフィック量の多寡)などを総合的に判断した結果を示す。例えば、込み具合が少ない場合には「○」、込み具合が多い場合には「X」と表示される。
【0117】
(h)相性
ユーザプリファレンス情報で通知するアクセスポイントの「相性」に関する評価について説明する。例えば、アクセスポイント構成情報から得られたアクセスポイントの暗号化方式と、クライアント情報から得られたクライアント機器で対応可能な暗号化方式の互換性に従って、「相性」の評価を決定する。図15では、暗号方式の可換性に基づく相性が良い場合には、「○」と表示され、暗号方式の可換性に基づく相性が良くない場合には、「×」と表示される。なお、前述の「通信速度」に関する評価も「相性」の評価の基準に含めても良い。
【0118】
(i)セットアップの容易性
ユーザプリファレンス情報で通知するアクセスポイントの「セットアップ」に関する評価について説明する。例えば、アクセスポイントには、このアクセスポイントの製造元の規格に基づく簡易設定機能を有する場合があるが、この規格にクライアント機器が対応していないと、このアクセスポイントを使用できない。そのため、図15では、このような場合に「×」と表示される。また、図15では、標準規格のWPSのみが使えれば「△」と表示されている。また、図15では、アクセスポイントの独自の設定がなく、標準規格のWPSを使用できる場合には、「○」と表示される。
【0119】
(j)その他
なお、図15に示す項目以外に、例えば以下の情報をユーザプリファレンス情報としてクライアント機器に通知することが可能である。
【0120】
mobile AP100は、クライアント機器の契約内容に基づき、各アクセスポイントにハンドオーバした場合に課される利用料金の有無と、課金されるまでの通信量をユーザプリファレンス情報として通知しても良い。これは、モバイルアクセスポイントでは、ある一定のパケット量で定額制になる契約であることがあり、利用料金を気にするユーザに対して、“既に一定量となっているのであらたな課金は発生しない”とか、“一定量まで、○パケット(大体○円くらい)”といった情報を通知する。
【0121】
mobile AP100は、自身(mobile AP100)のバッテリ残量を考慮したうえで、ユーザプリファレンス情報で通知するアクセスポイントの「バッテリ」に関する評価として、通信を維持できる場合には、「○」をモバイル機器に通知し、通信が維持できない場合には、「×」を通知しても良い。
【0122】
mobile AP100は、ユーザプリファレンス情報で通知するアクセスポイントの「セキュリティ」に関する評価として、ユーザ、クライアント機器、アプリケーションが求めるセキュリティ強度に対するアクセスポイントでの対応状況を考慮して通知する。例えば、要求されるセキュリティ強度に対してアクセスポイントが対応可能な場合には「○」を通知し、要求されるセキュリティ強度に対してアクセスポイントが対応不可能な場合には「×」を通知しても良い。
【0123】
上述のように、ユーザプリファレンス情報をクライアント機器に提供することで、mobile AP100は、ハンドオーバ前後のアクセスポイントの違いによって、クライアント機器(例えば、WLAN client200)にどのような影響があるかを、クライアント機器(例えば、WLAN client200)に通知することができる。
【0124】
なお、図15に示すユーザプリファレンス情報のうち、「(b)会社名」、「(c)契約」、「(d)回線種別」、「(e)通信速度」、「(f)料金」はアクセスポイント構成情報から生成可能である。また、クライアント機器との接続状況を示す「(a)状態」、回線の込み具合を示す「(g)込み具合」は、アクセスポイント状態情報から生成可能である。
【0125】
クライアント機器とアクセスポイントの接続の相性を示す「(h)相性」、セットアップの容易性を示す「(i)セットアップの容易性」は、アクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報、及びクライアント情報から生成可能である。そのため、ユーザプリファレンス情報は、少なくともアクセスポイント構成情報から生成することができる。
【0126】
アクセスポイント構成情報だけでなく、アクセスポイント状態情報も含めてユーザプリファレンス情報を生成すれば、ユーザプリファレンス情報は、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたってより有益な情報となる。
【0127】
アクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報だけでなく、クライアント情報を含めてユーザプリファレンス情報を生成すれば、ユーザプリファレンス情報は、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたってより一層有益な情報となる。
【0128】
次に、mobile AP100の動作について、図5〜図11を用いて説明する。図5〜図11は通信端末装置の動作を示すフロー1〜7である。図5に示すフローが、本実施の形態におけるmobile AP100主導のハンドオーバの一例である。
【0129】
ステップS501では、ハンドオーバ制御部107は、ハンドオーバ(H/O)の開始を判定する。ハンドオーバ開始と判定された場合(Yesの場合)には、ステップS503へ遷移し、そうでない場合(NOの場合)には、ステップS501を繰り返す。
【0130】
ステップS503では、ハンドオーバ制御部107は、ハンドオーバ元のアクセスポイントを特定するための動作を行い、ステップS505へ遷移する。なお、ハンドオーバ元のアクセスポイントを特定するための詳細な動作については図6を参照して説明する。
【0131】
ステップS505では、ハンドオーバ制御部107が、ハンドオーバ元を特定し、特定された場合(Yesの場合)には、ステップS507へ遷移し、そうでない場合(NOの場合)にはステップS503へ遷移する。
【0132】
ステップS507では、モバイルAP動作部101は、ハンドオーバ先の候補となる「fixed AP」を探索する。そして、ステップS509へ遷移する。
【0133】
ステップS509では、モバイルAP動作部101が、ハンドオーバ先の候補となる「fixed AP」を発見した場合(Yesの場合)には、ステップS511へ遷移し、そうでない場合(NOの場合)には、ステップS507へ遷移する。
【0134】
ステップS511では、モバイルAP動作部101は、WLAN client200又はfixed AP300に、ハンドオーバ先の候補となる「fixed AP」のアクセスポイントを特定する。そして、ステップS513へ遷移する。
【0135】
ステップS513では、AP構成情報制御部103は、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントからアクセスポイント構成情報を取得する。そしてステップS515へ遷移する。なお、アクセスポイント構成情報を取得する詳細な動作については、図7を参照して説明する。
【0136】
ステップS515では、AP状態情報制御部104は、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントからアクセスポイント状態情報を取得する。そして、ステップS517へ遷移する。なお、アクセスポイント状態情報を取得する詳細な動作については、図8を参照して説明する。
【0137】
ステップS517では、クライアント情報制御部105は、ハンドオーバ対象のクライアント機器のクライアント情報を取得する。そしてステップS519へ遷移する。なお、クライアント機器のクライアント情報を取得する詳細な動作については、図9、10を参照して説明する。
【0138】
ステップS519では、ユーザプリファレンス情報制御部106は、取得した抽出後のアクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報、クライアント情報、及び記憶部(メモリ106A)に設定されたポイント情報に基づき、ユーザプリファレンス情報を生成する。そして処理を終了する。なお、ユーザプリファレンス情報を生成する詳細な動作については、図11を参照して説明する。
【0139】
図6を参照して、ハンドオーバ元のアクセスポイントを特定するための詳細な動作について説明する。
【0140】
ステップS601では、ハンドオーバが開始される。そしてステップS603へ遷移する。
【0141】
ステップS603では、mobile AP100が通信中である場合には、ステップS609へ遷移し、mobile AP100が通信中でない場合にはステップS605へ遷移する。
【0142】
ステップS605では、モバイルAP動作部101は、ハンドオーバ候補先の任意の複数の「fixed AP」を探索する。そして、ステップS607へ遷移する。
【0143】
ステップS607では、ハンドオーバ候補先の任意の複数の「fixed AP」が発見された場合(Yesの場合)には、ステップS609へ遷移し、そうでない場合(Noの場合)には処理を終了する。
【0144】
ステップS609では、ハンドオーバ制御部107は、ハンドオーバ候補先の任意の複数の「fixed AP」からハンドオーバ元の固定アクセスポイント「fixed AP」を特定する。
【0145】
図7を参照して、アクセスポイント構成情報を取得する詳細な動作について説明する。
【0146】
ステップS701では、複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントから、これらのアクセスポイントのアドレスが通知される。そして、ステップS703へ遷移する。
【0147】
ステップS703では、通信部102は、AP構成情報制御部103で生成したアクセスポイント構成情報要求信号を制御信号に含めて、複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントに送信し、アクセスポイント構成情報を要求する。そして、ステップS705へ遷移する。
【0148】
ステップS705では、アクセスポイント構成情報要求信号に対する応答が、複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントからmobile AP100へあった場合(Yesの場合)には、ステップS707へ遷移し、そうでない場合(Noの場合)には、処理を終了する。
【0149】
ステップS707では、AP構成情報制御部103は、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントについて、取得したハンドオーバ候補先のアクセスポイント構成情報のうち、ハンドオーバ処理の結果、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって有益となる情報を抽出する。そして、ステップS709へ遷移する。
【0150】
ステップS709では、通信部102は、抽出したアクセスポイント構成情報をユーザプリファレンス情報制御部106に通知する。そして、処理を終了する。
【0151】
図8を参照して、アクセスポイント状態情報を取得する詳細な動作について説明する。
【0152】
ステップS801では、複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントから、これらのアクセスポイントのアドレスが通知される。そして、ステップS803へ遷移する。
【0153】
ステップS803では、通信部102は、AP状態情報制御部104で生成したアクセスポイント状態情報要求信号を制御信号に含めて、複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントに送信し、アクセスポイント状態情報を要求する。そして、ステップS805へ遷移する。
【0154】
ステップS805では、アクセスポイント状態情報要求信号に対する応答が複数任意のハンドオーバ候補先のアクセスポイントからmobile AP100へあった場合(Yesの場合)には、ステップS807へ遷移し、そうでない場合(Noの場合)には、処理を終了する。
【0155】
ステップS807では、AP状態情報制御部104は、ハンドオーバ候補先のアクセスポイントについて、取得したハンドオーバ候補先のアクセスポイント状態情報のうち、ハンドオーバ処理の結果、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって有益となる情報を抽出する。そして、ステップS809へ遷移する。
【0156】
ステップS809では、通信部102は、抽出したアクセスポイント状態情報をユーザプリファレンス情報制御部106に通知する。そして、処理を終了する。
【0157】
図9、10を参照して、クライアント機器のクライアント情報を取得する詳細な動作について説明する。なお、図10が図9と異なる点は、ハンドオーバ元のアクセスポイントのアドレスから対象となるクライアント機器を特定するまでの動作(ステップS1001、S1003、S1005)である。そのため、図10において、図9と共通するステップには同じステップ番号を振り、その詳細な説明を省略する。
【0158】
ステップS901では、ハンドオーバ対象のクライアント機器のアドレスがmobile AP100に通知される。そして、ステップS903へ遷移する。
【0159】
ステップS903では、通信部102は、クライアント情報制御部105で生成したクライアント情報要求信号を制御信号に含めて、ハンドオーバ対象のクライアント機器に送信し、クライアント情報を要求する。そして、ステップS905へ遷移する。
【0160】
ステップS905では、クライアント情報要求信号に対する応答がクライアント機器からmobile AP100へあった場合(Yesの場合)には、ステップS907へ遷移し、そうでない場合(Noの場合)には、処理を終了する。
【0161】
ステップS907では、クライアント情報制御部105、クライアント機器について、取得したクライアント情報のうち、ハンドオーバ処理の結果、ユーザがアクセスポイントを選択するにあたって、関連性の高い情報を抽出する。そして、ステップS909へ遷移する。
【0162】
ステップS909では、通信部102は、抽出したクライアント情報をユーザプリファレンス情報制御部106に通知する。そして、処理を終了する。
【0163】
ステップS1001では、ハンドオーバ元のアクセスポイントのアドレスが、mobile AP100に通知される。そして、ステップS1003へ遷移する。
【0164】
ステップS1003では、通信部102は、クライアント情報制御部105で生成したクライアント特定要求信号を制御信号に含めて、ステップS1001で得たハンドオーバ元のアクセスポイントに送信し、ハンドオーバ対象のクライアント機器のアドレスを得る。そして、ステップS1005へ遷移する。
【0165】
ステップS1005では、クライアント特定要求信号に対する応答がクライアント機器からmobile AP100へあった場合(Yesの場合)には、ステップS901へ遷移し、そうでない場合(Noの場合)には、ステップS1003へ遷移する。以降、ステップS901からS909は、図9に示すステップS901からS909と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0166】
図11を参照して、ユーザプリファレンス情報を生成する詳細な動作について説明する。
【0167】
ステップS1101では、抽出したアクセスポイント構成情報(「アクセスポイント構成情報要素)が、AP構成情報制御部103からユーザプリファレンス情報制御部106に出力される。
【0168】
ステップS1103では、抽出したアクセスポイント状態情報(アクセスポイント状態情報要素)が、AP状態情報制御部104からユーザプリファレンス情報制御部106に出力される。
【0169】
ステップS1105では、抽出したクライアント情報(クライアント情報要素)が、クライアント情報制御部105からユーザプリファレンス情報制御部106に出力される。
【0170】
ステップS1107では、ユーザプリファレンス情報制御部106は、アクセスポイント構成情報要素、アクセスポイント状態情報要素、クライアント情報要素に基づき、評価可能な情報につき、アクセスポイント毎に評価ポイントを付与する。
【0171】
ステップS1109では、ユーザプリファレンス情報制御部106は、アクセスポイント構成情報要素、アクセスポイント状態情報要素、クライアント情報要素、及び評価ポイントに基づき、ユーザプリファレンス情報を生成する。
【0172】
ステップS1111では、mobile AP100は、クライアント機器又はmobile AP100の表示部108に、生成したユーザプリファレンス情報を通知する。
【0173】
図4を参照して、クライアント機器の一例である、WLAN client200の構成について説明する。なお、図4では、mobile AP100主導のハンドオーバ時にユーザプリファレンス情報を表示する構成のみを説明しているが、WLAN client200の構成はこれに限らない。
【0174】
図4に示すWLAN client200は、mobile AP100又はfixed AP300から送信された無線信号を受信する通信部202と、通信部202を介して受信した各種データを表示部203に表示する制御を行う制御部201と、制御部201から入力された各種データを表示する表示部203とを備える。
【0175】
表示部203は、mobile AP100から通知されたユーザプリファレンス情報を表示する。そのため、WLAN client200は、ハンドオーバ前後のアクセスポイントの違いをユーザに認識させることができるようにユーザプリファレンス情報を表示することができる。
【0176】
図4を参照して、固定アクセスポイントの一例である、fixed AP300の構成について説明する。なお、図4では、mobile AP100主導のハンドオーバ時にユーザプリファレンス情報を表示する構成のみを説明しているが、fixed AP300の構成はこれに限らない。
【0177】
図4に示すfixed AP300は、mobile AP100又はWLAN client200から送信された無線信号を受信する通信部302と、通信部302を介して受信した各種データを表示部303に表示する制御を行う制御部301と、制御部301から入力された各種データを表示する表示部303とを備える。
【0178】
表示部108に、mobile AP100がユーザプリファレンス情報を表示する。そのため、mobile AP100は、ハンドオーバ前後のアクセスポイントの違いをユーザに認識させることができるようにユーザプリファレンス情報を表示することができる。
【0179】
なお、本実施の形態に係る通信端末装置では、ハンドオーバ時に限らず、通常アクセスポイントに接続するときでも、本実施の形態に係る接続方法を適用しても良い。
【0180】
なお、本実施の形態では、ユーザにとって不必要なアクセスポイントに対してもハンドオーバ処理が行われてしまう場合がある。そのため、ユーザプリファレンス情報管理ブロックで生成回数を保持しておき、回数の多いアクセスポイントに対して優先的にユーザプリファレンス情報を作成して処理負荷やユーザ待ち時間を減らしてもよい。
【0181】
なお、本実施の形態に係る通信端末装置では、アクセスポイントの探索により得られたアクセスポイントのアドレス、もしくは探索履歴を保持しておき、アクセスポイント構成情報と紐付けて管理しておくことで、探索の結果、アクセスポイント構成情報を既に入手済みであれば、アクセスポイント構成情報を取得するステップを省き、アクセスポイント接続状態情報を取得するステップを実行することで処理負荷を減らしてもよい。
なお、本実施の形態に係る通信端末装置では、アクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報、クライアント情報の何れかについて情報を取得できなくても、ユーザプリファレンス情報を生成できる。
【0182】
なお、本実施の形態に係る通信端末装置では、アクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報、クライアント情報は、場合によっては3GPP回線から取得してもよい。
【0183】
なお、本実施の形態に係る通信端末装置では、ユーザプリファレンス情報は、アクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報、クライアント情報からだけでなく、接続プロファイルの有り無し、および、ユーザによる事前設定情報も加味してよい。
【0184】
なお、本実施の形態に係る通信端末装置では、アクセスポイント構成情報を履歴として保持して使う場合には、アクセスポイントの構成が変更される可能性も考慮できるようにするために、ユーザプリファレンス情報、アクセスポイント構成情報、アクセスポイント状態情報、クライアント情報は一定の時間でクリアする。また、履歴によって探索できなかったら、全検索に切り替えてもよい。
【0185】
なお、本実施の形態に係る通信端末装置では、接続プロファイルを保持しているアクセスポイントに対して優先的にユーザプリファレンス情報を作成してもよい。
【0186】
なお、本実施の形態に係る通信端末装置では、一般的に、無線LANの実効速度は様々な要因によって影響を受けるため(ルータの性能、電波状況、プロバイダとの契約状況等)、生成したユーザプリファレンス情報はあくまで“目安で”といったような注意書きを表示し、ユーザに注意喚起できるようにしてもよい。
【0187】
なお、特にモバイルアクセスポイントのユーザプリファレンス情報中のバッテリについては、モバイルアクセスポイント機能付き通信端末のバッテリ残量を加味して表示する。
【0188】
なお、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0189】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0190】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0191】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明に係る移動通信端末装置、通信方法、及びプログラムは、ハンドオーバでアクセスポイントが切り替わることによるユーザの不利益を防止するという効果を有し、通信端末等として有用である。
【符号の説明】
【0193】
100 mobile AP
101 モバイルAP動作部
102 通信部
103 AP構成情報制御部
104 AP状態情報制御部
105 クライアント情報制御部
106 ユーザプリファレンス情報制御部
107 ハンドオーバ制御部
108 表示部
103A、104A、105A、106A、107A メモリ
200 WLAN client
201 制御部
202 通信部
203 表示部
300、310、320 fixed AP
301 制御部
302 通信部
303 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント機器のアクセスポイントとして機能する移動通信端末装置であって、
ハンドオーバ候補先である一又は複数のアクセスポイント及びハンドオーバの対象であるクライアント機器の間で制御データを送受信する通信部と、
前記一又は複数のアクセスポイントから取得した制御データから、当該一又は複数のアクセスポイントがインターネットに接続する際の回線種別、その回線の伝送速度を含むアクセスポイント構成情報を抽出するアクセスポイント構成情報制御部と、
前記アクセスポイント構成情報から、前記クライアント機器のハンドオーバ先を決定するための情報であるユーザプリファレンス情報を生成するユーザプリファレンス情報生成部と、
を備える移動通信端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動通信端末装置は、更に、
前記一又は複数のアクセスポイントから取得した制御データから、当該一又は複数のアクセスポイントに接続されている他のクライアント機器の数を示す情報、当該一又は複数のアクセスポイントの演算処理の負荷量を示す情報、当該一又は複数のアクセスポイントの回線の混み具合を示す情報を含むアクセスポイント状態情報を抽出するアクセスポイント状態情報制御部を備え、
前記ユーザプリファレンス情報生成部は、
前記アクセスポイント構成情報に加えて、前記アクセスポイント状態情報から前記ユーザプリファレンス情報を生成する、
移動通信端末装置。
【請求項3】
請求項2記載の移動通信端末装置は、更に、
前記クライアント機器から取得した制御データから、当該クライアント機器が推奨する伝送レート、当該クライアント機器で動作可能なアプリケーションの推奨伝送速度、当該クライアント機器で対応可能な暗号化方式、当該クライアント機器が要求するセキュリティレベルの情報を含むクライアント情報を抽出するクライアント情報制御部を備え、
前記ユーザプリファレンス情報生成部は、
前記アクセスポイント構成情報及び前記アクセスポイント状態情報に加え、前記クライアント情報から、前記ユーザプリファレンス情報を生成する、
を備える移動通信端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の移動通信端末装置であって、
前記ユーザプリファレンス情報生成部は、
前記アクセスポイント構成情報、前記アクセスポイント状態情報、及び前記クライアント情報から関連性のある情報をグルーピングし、このグルーピングした情報に前記クライアント機器のハンドオーバ先として評価するためのポイントを付与し、この付与されたポイントをユーザプリファレンス情報に含める、
移動通信端末装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の移動通信端末装置は、
前記ユーザプリファレンス情報を表示する表示部を備える、
移動通信端末装置。
【請求項6】
クライアント機器のアクセスポイントとして機能する移動通信端末装置の通信方法であって、
ハンドオーバ候補先である一又は複数のアクセスポイントから制御データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した制御データから、前記一又は複数のアクセスポイントがインターネットに接続する際の回線種別、その回線の伝送速度を含むアクセスポイント構成情報を抽出する抽出ステップと、
前記アクセスポイント構成情報から、前記クライアント機器のハンドオーバ先を決定するための情報であるユーザプリファレンス情報を生成する生成ステップと、を有する通信方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載の各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−21460(P2013−21460A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152223(P2011−152223)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】