説明

移注具キットおよびアダプタ部材

【課題】 刺通順序を誤ることなく、両頭針部材に薬剤を収納したバイアルと溶解液を収納した注射器とを装着可能とし、調製された液状薬剤を液漏れすることなく注射器に注入可能とし、液状薬剤を注入した注射器と正しく判別可能とする移注具キットおよびアダプタ部材を提供することである。
【解決手段】 両頭針部材2を備えるアダプタ部材1を介して、薬剤が収納されたバイアル4と溶解液を収納した注射器3とを接続する際に、両頭針部材を、バイアルのシール部材6を刺通しない仮止め停止位置に装着し、キャップ部材5を装着した注射器を押し込む操作に連動して、第二針部材22がキャップ部材5を刺通し、先ず注射器と両頭針部材とを接続し、その後で第一針部材21がシール部材6を刺通し、バイアルと両頭針部材とを接続し、アダプタ部材内に両頭針部材を固着して注射器とバイアルとを連結する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアルに収納されている薬剤と注射器に収納されている溶解液とを混合して液状薬剤を調製する移注具キットに関し、特に、その両端にバイアルと注射器を装着可能とするアダプタ部材を介して液状薬剤を調製する移注具キットおよびアダプタ部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、穿刺可能な栓体(シール部材)を備えたバイアル等の容器に収納した薬剤を溶解液に混合して液状薬剤を調製することが行われている。これは、ある種の乾燥薬剤は、これらを使用できる状態にしておくと、急激にその効力を失うからであり、そのために、使用する直前に、所定の薬剤と溶解液とを混合して所定の濃度の液状薬剤を調製するようにしている。
そのために、予め溶解液を収納したプレフィルドシリンジ(溶解液充填注射器)と、予め薬剤が収納されたバイアルとを連通補助具を介して接続し、薬液の残留のない2成分混合用溶解液充填注射器が既に出願されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、注射器外筒内の溶解液をバイアルの薬剤と混合して液状薬剤に調製する際に、バイアルのゴム栓が上部穿刺針によって刺通された後に初めて、連通手段が備える係合枝が係合解除部に到達して、アダプタの縦溝と連通手段の係合枝の係合が解除されるように構成され、正確な位置に両頭針を備える連通手段を位置決めして混合することで、針穿刺部からの液漏れを防止する機構を備えた2成分混合用溶解液充填注射器が既に出願されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−8555号公報(第1−5頁、第1図)
【特許文献2】特許第3303289号公報(第1−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
両頭針を使用して溶解操作する際に、両頭針の両側の穿刺針をそれぞれ薬剤の入った製剤バイアルのゴム栓および溶解液バイアルのゴム栓に刺入して両者を連通させ、溶解液を製剤バイアル内に移送して薬剤を溶解し、製剤バイアルから溶解液バイアルおよび両頭針を取り外して、シリンジに吸引用の針を取り付けた後、製剤バイアルからシリンジに一定量の薬液を採取する従来の方法では、両頭針へ各バイアルを接続する順序を守ることが肝要となる。
【0006】
つまり、溶解液の導入を容易とするために陰圧とされている製剤バイアルは、溶解液バイアルが装着された両頭針に、後で装着することが肝要となる。
もし、先に製剤バイアルに両頭針を装着すると、中空状の針部材を通して外気が進入して陰圧状態が解除され、後で溶解液バイアルを装着した際に溶解液が製剤バイアル内に導入されないという問題が生じる。
また、たとえ先に溶解液バイアルを装着しても、従来の両頭針を用いた場合では、製剤バイアルに接続する際に、下向きになった針の先から液漏れするという問題も生じる虞がある。
【0007】
薬剤が蛋白製剤の場合には、溶解性が悪く泡立ちし易いという問題があり、刺通順序を守るだけでなく、泡を消滅させるための外気の導入タイミングも重要である。
さらには、注射器外筒内の溶解液をバイアルの薬剤と混合して液状薬剤に調製する場合であっても、調製した後で注射器内に前記液状薬剤を吸引し、連通手段から分離した後では、混合する前の注射器と外観が同一であり、注射器内の薬液が正しく薬剤と混合された注射器であると確認することは困難である。
【0008】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、刺通順序を誤ることなく、両頭針部材に薬剤を収納したバイアルと溶解液を収納した注射器とを装着可能とし、調製された液状薬剤を液漏れすることなく注射器に注入可能とし、液状薬剤を注入した注射器と正しく判別可能する移注具キットおよびアダプタ部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、一端側にバイアルの口部を装着可能なバイアル装着部を備え、他端側に注射器を移動可能に装着するアダプタ部材を介して、前記バイアルに収納されている薬剤と前記注射器に収納されている溶解液とを混合して液状薬剤を調製する移注具キットであって、前記注射器は、溶解液を密封するために、注射器内を摺動可能に装着されるガスケットと注射針接続部を密閉するキャップ部材とを備え、前記バイアルは、その口部に収納された薬剤を封止するシール部材を備えており、前記アダプタ部材の内部に、前記シール部材と前記キャップ部材とにそれぞれ刺通可能な第一および第二針部材をその両端側に備え、前記アダプタ部材の内部を摺動自在な両頭針部材を配設すると共に、前記両頭針部材の前記アダプタ部材内の位置を、前記シール部材を前側として装着する前記バイアルの前記シール部材を刺通しない仮止め停止位置と、前記注射器を押し込むことにより押圧されて前記シール部材を刺通し液状薬剤を調製する作用位置と、に移動自在としたことを特徴としている。
【0010】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、両頭針部材を内蔵したアダプタ部材の両端にそれぞれバイアルと注射器を装着して注射器を押し込むだけで、両頭針の針部材がそれぞれのシール部材やキャップ部材に正しく刺通して、薬剤と溶解液とを混合することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記両頭針部材が、中央隔壁の両側にそれぞれ互いの針部材を連通する連通路を共有する前記第一および第二針部材を備え、前記中央隔壁の外周部から前記第一針部材方向に延設され前記アダプタ部材内を摺動すると共にその突端部が前記アダプタ部材の端部壁と当接して前記作用位置を規制する外壁と、前記中央隔壁から前記第二針部材方向に突設される係合アーム部材とガイド翼片とを備えており、前記アダプタ部材内に突出する二個の案内ガイド片を対向して設け、前記外壁に前記案内ガイド片に係合するガイド溝を設け、前記アダプタ部材内の前記案内ガイド片から離れた位置に二個の案内ガイド面を対向して突設し、前記ガイド溝と前記案内ガイド片とを係合して前記アダプタ部材を押し込んでいくと前記ガイド翼片が前記案内ガイド面に当接して、前記仮止め停止位置となることを特徴としている。
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、アダプタ部材内に両頭針部材を押し込んでいくと、両頭針部材のガイド翼片とアダプタ部材の案内ガイド面とが係合して停止するので、正しい仮止め位置に規制することが容易となる。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記連通路にフィルタ部材を装着したことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、未溶解の粉末状薬剤の挿通を禁止するので、溶解した液状薬剤のみを注射器が正しく吸引することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記キャップ部材を、注射針接続部を被覆する先端の小径筒部と、該筒部から拡径するテーパ面を介して延設される大径後端部とを備えた形状とし、前記係合アーム部材を前記第二針部材を挟むように相対向して突出した一対のアーム部材とし、前記係合アーム部材の内側にそれぞれ突部を設け、相対向する前記突部間の間隔を、前記キャップ部材の前記小径筒部の挿通を許可する程度の間隔とし、前記突部間にキャップ部材を押し込むと前記突部と前記テーパ面とが当接して前記突部間を押し広げる方向に弾性変形し、前記大径後端部と注射器との間に形成される隙間に前記突部が嵌まり込むまで、前記キャップ部材が移動する構成としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、キャップ部材を装着した注射器を押し込む操作で、両頭針部材が備える針部材とキャップ部材とを正しい位置に維持しながら係合させことができ、針部材が刺通する位置で両頭針部材が備える係合アーム部材をキャップ部材に嵌め込んで位置固定することができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記大径後端部が前記係合アーム部材に嵌まり込むまで前記注射器を押し込むと、前記第二針部材が前記キャップ部材を刺通し、さらに押し込んで、前記ガイド翼片が前記案内ガイド面に摺動しながら前記外壁が前記端部壁に当接して前記両頭針部材が作用位置に達すると、前記第一針部材が前記シール部材を刺通し、前記ガイド翼片が前記アダプタ部材の側壁に設けた窓部から突出して戻り防止となることを特徴としている。
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、注射器を押し込むという簡単な操作で、先ず、第二針部材がキャップ部材を刺通して、注射器と両頭針部材とを接続し、その後で、第一針部材がバイアルのシール部材を刺通して、バイアルと両頭針部材とを接続するという正しい刺通順序を構築することができる。また、その連通した位置に両頭針部材を固定することができる。つまり、バイアルと注射器とを連通した状態を維持すると共に、アダプタ部材内に両頭針部材を固定することができる。また、そのために、一旦使用した両頭針をアダプタ部材内部に保持した状態で、そのまま廃棄することができ、廃棄が容易となるだけでなく、衛生的で安全は操作となる。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記シール部材に刺通する前記第一針部材を前記キャップ部材に刺通する前記第二針部材より太い径としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、第一針部材とバイアルのシール部材との刺通抵抗が大きくなり、刺通抵抗のより小さい細い針の第二針部材を注射器のキャップ部材に先に刺通させ、その後に、太い針の第一針部材をシール部材に刺通させることができ、正しい刺通順序をさらに可能とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、前記シール部材に刺通する前記第一針部材に、前記両頭針部材の外部に通じる外気通路を設けると共に、該外気通路に除菌フィルタを配設したことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項7に係る発明によれば、陰圧状態のバイアルに溶解液を混合して液状薬剤に調製した後で、除菌された外気を導入しながら注射器側に吸引することができ、液状薬剤の吸引が衛生的かつ容易となる。
【0017】
請求項8に係る発明は、前記外気通路が前記窓部に開口していると共に、前記開口部をフィルタキャップが着脱自在な形状としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項8に係る発明によれば、混合液をバイアルに供給した後、所望のタイミングでフィルタキャップを除去し、外気を供給することができる。そのために、混合された液状薬剤を注射器により吸引可能となるだけでなく、薬剤と溶解液とを混合した際に生じる泡が消滅するという効果も発揮することができる。
【0018】
請求項9に係る発明は、前記バイアル装着部の内壁にバイアルを保持する爪部材を設けたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項9に係る発明によれば、バイアルを確実に保持可能となり、混合操作中にバイアルが外れる危険を防止することができる。
【0019】
請求項10に係る発明は、一端側にバイアルの口部を装着可能なバイアル装着部を備え、他端側に注射器を装着可能なアダプタ部材であって、バイアルの口部に装着されるシール部材と前記注射器の注射針接続部を密封するキャップ部材とにそれぞれ刺通可能な第一および第二針部材をその両端側に備えて、前記アダプタ部材の内部を摺動自在な両頭針部材を、前記シール部材を前側として装着する前記バイアルの前記シール部材を刺通しない仮止め停止位置に装着していることを特徴としている。
上記の構成を有する請求項10に係る発明によれば、この状態のアダプタ部材に任意のバイアルと注射器をセットすることができ、所望の薬剤と溶解液とを選択して、所望の液状薬剤を調製することができる。
【0020】
請求項11に係る発明は、前記両頭針部材が、中央隔壁の両側にそれぞれ互いの針部材を連通する連通路を共有する前記第一および第二針部材を備え、前記中央隔壁の外周部から前記第一針部材方向に延設され前記アダプタ部材内を摺動すると共にその突端部が前記アダプタ部材の端部壁と当接して前記作用位置を規制する外壁と、前記中央隔壁から前記第二針部材方向に突設される係合アーム部材とガイド翼片とを備えており、前記アダプタ部材内に突出する二個の案内ガイド片を対向して設け、前記外壁に前記案内ガイド片に係合するガイド溝を設け、前記アダプタ部材内の前記案内ガイド片から離れた位置に二個の案内ガイド面を対向して突設し、前記ガイド溝と前記案内ガイド片とを係合して前記アダプタ部材を押し込んでいくと前記ガイド翼片が前記案内ガイド面に当接して仮止め停止位置となることを特徴としている。
【0021】
上記の構成を有する請求項11に係る発明によれば、アダプタ部材内に両頭針部材を押し込んでいくと、両頭針部材のガイド翼片とアダプタ部材の案内ガイド面とが係合して停止するので、両頭針部材を正しい仮止め位置に規制することが容易なアダプタ部材を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、両頭針部材を備えるアダプタ部材を介して、薬剤を収納したバイアルと溶解液を収納した注射器とを接続する際に、バイアルの口部に装着されるシール部材を刺通しない仮止め停止位置に配設される前記両頭針部材を、注射器を押し込む操作に応じて押圧し、先ず注射器が備えるキャップ部材を刺通し、次いでバイアルが備えるシール部材を刺通する構成としているので、刺通順序を誤ることなく正しい順序でバイアルと注射器とを連通して液状薬剤を調製する作用位置に移動することが可能となる。また、作用位置での両頭針部材とキャップ部材とを、アダプタ部材内に固着する構成としているので、刺通状態を維持したまま、溶解液の混合操作と、調製された液状薬剤との吸引を行うことが可能となり、液漏れすることがない。さらには、液状薬剤を吸引した注射器をアダプタ部材から引き抜くと、キャップ部材と両頭針部材とがアダプタ部材内に取り残されて、針接続部にキャップ部材のない状態で注射器が取り外されることが可能となり、溶解液と薬剤とを混合した注射器であることが一目瞭然となる。そのために、溶解液が収納されキャップ部材を装着した未使用の注射器との区別が容易にまた確実となる移注具キットおよびアダプタ部材を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る移注具キットおよびアダプタ部材の実施の形態について、図1から図4に基づいて詳細に説明する。
【0024】
先ず、図1により本発明に係る移注具キットの全体構成について説明する。
移注具キットKは、アダプタ部材1に注射器3とバイアル4とを装着して、注射器3に収納された溶解液Dとバイアル4に収納された薬剤Mとを混合して液状薬剤を調製する医療機器である。
【0025】
アダプタ部材1の一端側(図面の下側に相当)にバイアル4の口部を装着可能なバイアル装着部11を備え、他端側(図面の上側に相当)の開口部12に注射器3を挿着可能としている。また、前記注射器3は、溶解液Dを密封するために、注射器内を摺動可能に装着されるガスケット31と注射針接続部32を被覆して密閉するキャップ部材5とを備えており、前記バイアル4は、その口部に、収納された薬剤を封止するシール部材6を備えている。それから、前記アダプタ部材1の内部に、前記シール部材6と前記キャップ部材5とにそれぞれ刺通可能な第一針部材21および第二針部材22をその両端側に備え、前記アダプタ部材の内部を摺動自在な両頭針部材2を配設している。
【0026】
アダプタ部材1に内蔵される前記両頭針部材2の配設位置は、前記シール部材6を前側として装着する前記バイアル4の前記シール部材6を刺通しない仮止め停止位置とされており、アダプタ部材1に装着される前記注射器3を押し込むことにより押圧されて前記シール部材6を刺通し液状薬剤を調製する作用位置に移動する構成とされている。
【0027】
両頭針部材2は、バイアル4のシール部材6に刺通する第一針部材21と、注射器3のキャップ部材5に刺通する第二針部材22とを備えている。また、中間には中央隔壁23を備え、前記中央隔壁23の外周部から前記第一針部材21方向に延設され前記アダプタ部材内を摺動すると共にその突端部が前記アダプタ部材の端部壁13と当接して前記作用位置を規制する外壁24と、前記中央隔壁23から前記第二針部材方向に突設される係合アーム部材25とガイド翼片26とを備えている。また、前記アダプタ部材にその内側に突出する二個の案内ガイド片14(図3参照)を対向して設け、前記外壁24に前記案内ガイド片14に係合するガイド溝27(図4(d)参照)を設けて、該ガイド溝27と前記案内ガイド片14とを係合させて、両頭針部材2のアダプタ部材1内の位置を規制する構成としている。さらに、前記アダプタ部材内の前記案内ガイド片14から離れた位置に二個の案内ガイド面15を対向して突設し、前記ガイド溝27と前記案内ガイド片14とを係合して前記アダプタ部材2を押し込んでいくと前記ガイド翼片26が前記案内ガイド面15に当接して、一旦停止して仮止め停止位置となる構成としている。
【0028】
また、前記第一針部材21と第二針部材22とは互いに連通する連通路28を備えており、アダプタ部材1および両頭針部材2を介してバイアル4と注射器3とを接続すると、予め薬剤を収納すると共に陰圧状態とされているバイアル4内に、前記注射器3に収納された溶解液Dが吸引される。
また、バイアル4内に溶解液Dが引き込まれる様子は、注射器3に装着されるガスケット31の移動から確認することができる。
【0029】
また、バイアル4のシール部材6に刺通する第一針部材21を注射器3のキャップ部材5に刺通する第二針部材22より太い径としている。これは、バイアル4側に刺通する第一針部材の刺通抵抗を注射器3側に刺通する第二針部材の刺通抵抗よりも大きくして、刺通抵抗のより小さい細い針の第二針部材22を最初に注射器3のキャップ部材5に刺通させ、その後に、太い針の第一針部材21をシール部材6に刺通させるためである。この構成であれば、アダプタ部材1の両側にそれぞれバイアル4と注射器3とを装着して、注射器3を押し込む操作を行うだけで、先ず、両頭針部材が溶解液を収納した注射器3と連通し、その後で、薬剤を収納して陰圧状態とされているバイアル4に連通するという正しい刺通順序を構築することができ好適である。
【0030】
さらに、第一針部材21には、前記両頭針部材2の外部に通じる外気通路29を設けている。また、その出口部に除菌フィルタFを配設し、アダプタ部材1に設けられた窓部16に開口する構成としている。開口部は、フィルタキャップ7が着脱自在な円形孔部とされており、アダプタ部材1に両頭針部材2を仮止め停止位置に装着した後で、前記窓部16からフィルタキャップ7を挿入して装着し、前記両頭針部材2を注射器3とバイアル4とに刺通して溶解操作を行った後で、前記窓部16から前記フィルタキャップ7を取り外して、バイアル4内に除菌された外気を供給可能としている。
【0031】
つまり、アダプタ部材1に設ける窓部16は、仮止め停止位置にある両頭針部材2の開口部が剥き出しになる程度の大きさを有している。また、前記窓部16は前記案内ガイド面15部に設けられており、該案内ガイド面15に沿って移動するガイド翼片26が突出する位置ともなる。そのために、両頭針部材2を、その外壁24の突端部が前記アダプタ部材1の端部壁13に当接するまで押し込むと、前記ガイド翼片26が前記窓部16から突出する構成とすることで、作用位置にある両頭針部材2の抜け防止とすることができ好適である。
【0032】
また、相対向して一対設けられているガイド翼片26に対応して、前記窓部16も対向して一対設けることとしている。しかし、対向して設ける窓部はフィルタキャップ7を着脱する必要がないので、両頭針部材2が最後まで押し込まれた際に前記ガイド翼片26が突出する程度の大きさの窓部であればよく、特に限定するものではない。
溶解液混合後にフィルタキャップ7を取り外して外気を供給すると、混合された液状薬剤を注射器により吸引可能となるだけでなく、薬剤と溶解液とを混合した際に生じる泡が消滅するという効果も発揮し好適である。
【0033】
また、8は球状のフィルタ部材であって、外気を供給しながら注射器3内に液状薬剤を吸引する際に、前記フィルタ部材8が接する内壁部に液状薬剤が通過可能な溝部または隙間を設けて、未溶解の粉末状薬剤が連通路28を挿通することを禁止する作用を発揮する構成としている。そのために、溶解した液状薬剤のみを注射器が正しく吸引することができる。
【0034】
キャップ部材5は、注射器3の針接続部32を被覆して密閉する先端の小径筒部51と、該筒部51から拡径するテーパ面52を介して延設される大径後端部53とを備えた形状とされている。また、両頭針部材2が備える一対の係合アーム部材25間に挿入可能とされている。これは前記一対の係合アーム部材25を、第二針部材22を挟むように相対向して突設し、その先端部同士が接離する方向に可撓性を有しているからである。
【0035】
前記係合アーム部材25間に前記小径筒部51を差し込んで注射器3を押し込んでいくと、前記テーパ面52が前記係合アーム部材25に当接して一旦停止する。この状態から注射器3をさらに押し込むと、係合アーム部材の先端が前記テーパ面52に当接しながら押し広げられるように弾性変形し、前記大径後端部53に至り、終端の段部に嵌まり込む構成とされている。そのために、前記係合アーム部材25の先端部の内側にそれぞれ突部25a(図2(c)参照)を設ける形状としている。
【0036】
相対向する前記突部25a間の間隔を、前記キャップ部材の前記小径筒部51の挿通を許可する程度の間隔とし、前記突部間にキャップ部材5を押し込むと前記突部25aと前記テーパ面52とが当接して前記突部間を押し広げる方向に弾性変形し、前記大径後端部53と注射器3との間に形成される隙間に前記突部25aが嵌まり込むまで、前記キャップ部材5が移動する構成としている。
【0037】
上記のような構成としているので、前記係合アーム部材25の先端に相対向するように設けられている前記突部25aは、前記キャップ部材5の前記小径筒部51の挿通を許可し、前記テーパ面52に当接しながら弾性変位し、前記大径後端部53と注射器との隙間に嵌まり込んで、前記大径後端部53を挟持する構成となる。
【0038】
次に、図2よりアダプタ部材1と両頭針部材2についてさらに説明する。
図2(a)に示すように、アダプタ部材1は、一端側にバイアルの口部を装着可能なバイアル装着部11を備え、他端側に注射器を装着可能とする開口部12を備えた筒状部材であり、通常ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスルフォンなどの合成樹脂で形成される。
また、A−A断面図に示すように、前述した案内ガイド片14と案内ガイド面15とを備えており、筒内部に装着する両頭針部材2の位置を規制する構成としている。両頭針部材2は、その外壁24の突端部が前記アダプタ部材の端部壁13に当接するまで押し込むことが可能である。
【0039】
前記バイアル装着部11には、これに装着されるバイアルと係合してこれを保持する一対の爪17が設けられている。そして、爪17の少なくとも一方には、バイアルを取り外すことができるように、バイアル装着部11の外側に突出する舌片18が設けられており、この舌片18を指などで押すと爪17が撓んで外側に拡がって、装着したバイアルを取り外せるようになっている。
【0040】
両頭針部材2は、図2(a)の第一断面図、図2(b)の第二断面図、図2(c)の平面図に示すように、第一針部材21と第二針部材22と中央隔壁23と外壁24と係合アーム部材25とガイド翼片26とを備えた連通手段である。また、針部材を含めて一体的に、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスルフォン等の合成樹脂で形成された樹脂製品である。そのために、第一、第二針部材共に金属製ではなく樹脂製品であり操作時に人の手を突き刺す虞も無く好適である。
【0041】
係合アーム部材25、ガイド翼片26は、共に、中央隔壁23から突設された構成であり、自由端となるその先端が可撓性を有している。そのために、前記ガイド翼片26はアダプタ部材1の内部に形成された案内ガイド面15と係合して、両頭針部材2の位置を規制し、前記係合アーム部材25は、前述したキャップ部材5と係合して、そのテーパ面52に沿って変位し、大径後端部53を挟持することが可能となる。
【0042】
図2(d)に示すガイド溝27は、アダプタ部材1の内部に形成される案内ガイド片14に係合する溝であって、両頭針部材2を正しい位置に保持して、アダプタ部材1内を移動可能にスライドする構成としている。また前記ガイド溝27の内側に係合アーム部材25が設けられており、両頭針部材2のスライド終盤において、前記案内ガイド片14と前記係合アーム部材25とが係合する構成となっている。
【0043】
第一針部材21は図2(e)に示すように、連通路28と外気通路29を備えている。連通路28は、第一針部材21と第二針部材22とを貫通して設けられ、溶解液または液状薬剤の通路となる。外気通路29は、前記両頭針部材2の外部に通じていると共に、該外気通路に除菌フィルタFが装着されている。また、前述したように、前記外気通路28は、アダプタ部材1に設けられた窓部16に開口していると共に、その開口部形状をフィルタキャップ7が装着可能となる形状(例えば円形孔部)とされているので、必要に応じて前記フィルタキャップ7を取り外して、外気と連通させることができる。
【0044】
次に、図3に示す断面図、および、図4に示す一部断面図より混合溶解操作の手順について説明する。
【0045】
図3、図4にはそれぞれ混合溶解操作の手順に沿った説明図を示しており、それぞれ(a)は、仮止め停止位置にある両頭針部材2を備えるアダプタ部材1にバイアル4と注射器3とを装着したところを示している。また、(b)は、(a)の状態から注射器3を押し込んで、第二針部材22がキャップ部材5を刺通したところを示し、(c)は、さらに注射器3を押し込んで、第一針部材21がシール部材6を刺通したところを示している。図3(d)には、混合した後で注射器3を下側とし、バイアル4を上側として反転し、注射器3のガスケット31にプランジャ33を装着して、フィルタキャップ7を取り外して、外気を供給しながら、プランジャ33を引いて、液状薬剤を注射器3に吸引しているところを示している。
【0046】
図3(a)、図4(a)に示すように、薬剤Mを収納したバイアル4の上に、両頭針部材2を前述した仮止め停止位置に装着したアダプタ部材1を載置し、さらに前記アダプタ部材1の開口部12から注射器3を挿入する。すると、注射器3の針接続部32に装着されたキャップ部材5が係合アーム部材25に案内されながら、第二針部材25に接近していき、前述したテーパ面52が前記係合アーム部材25に当接し一時停止する。
その後で、図3(b)、図4(b)に示すように注射器3を図中の矢印B1方向に押し込むと、両頭針部材2はそのガイド翼片26が案内ガイド面15に当接して仮停止状態であり、注射器3のみが移動する。つまり、第二針部材22がキャップ部材5の薄膜部を刺通していくことになる。
【0047】
第二針部材22がキャップ部材5の薄膜部を刺通していくと、キャップ部材5の先端が中央隔壁23に当接する。このまま、さらに、注射器3を押し込むと、その押圧力によって、仮停止状態のガイド翼片26が弾性変形して、案内ガイド面15に沿ってスライド移動していく。つまり、注射器3と両頭針部材2が刺通された状態で一体的に移動し、そのまま、第一針部材21がバイアル4のシール部材6を刺通する。
【0048】
図3(c)、図4(c)には第一針部材21がバイアル4のシール部材6を刺通したところを示している。この位置は、両頭針部材2の外壁24の先端がアダプタ部材1の端部壁13に当接した位置であり、係合アーム部材25が案内ガイド片14と係合して、前記係合アーム部材25を、キャップ部材5を把持する位置に固定する構成である。もちろん、この際には、前述した通り、ガイド翼片26が窓部16から突出しており、アダプタ部材1内に、両頭針部材2とキャップ部材5が固定された状態であり抜けることはない。
【0049】
上記のように、両頭針部材2を最後まで押し込むと、正しい刺通順序で注射器3とバイアル4とを刺通して接続し、連通状態となる。また、アダプタ部材1に両頭針部材2とキャップ部材5が共に固着された構成となり、この状態から注射器3を引き抜いても、注射器3のみが引き抜かれることになる。
もちろん、注射器3を引き抜く前に、バイアル内に収納された薬剤と新たにバイアル内に供給される溶解液とを混合して液状薬剤を調製することが肝要である。
【0050】
図3(d)には、刺通が終わり液状薬剤が調製された移注具キットKを逆さにし、ガスケット31にプランジャ33を装着して、プランジャ33を矢印B2方向に引き出し、注射器3内に液状薬剤を吸引しているところを示している。この際には、前述した通り、フィルタキャップ7を取り外すようにしているので、プランジャ33を引く動きに連動して外気が供給されることになり、液状薬剤の吸引が容易となる。バイアル4に供給される外気は除菌フィルタを介して流入しているので、薬液に菌が混入せず衛生的である。
【0051】
また、予め陰圧状態とされているバイアル内に溶解液を注入して薬剤と溶解液とを混合すると泡が生じることがあるが、バイアル内に外気を注入することで、生じた泡を消滅させることができる。そのために、注射器3に吸引する液状薬剤が泡を含有していないので、吸引する薬液量が正確となるという効果も発揮する。さらに、刺通状態を維持しながらフィルタ部材を介して液状薬剤のみを吸引する構成としているので、液漏れすることもない。
【0052】
本発明に係る両頭針部材2を装着したアダプタ部材1であれば、任意のバイアル4と注射器3をセットすることができる。そのために、所望の薬剤を収納したバイアル4と所定の溶解液を収納した注射器3とを選択して組み合わせることができ、患者が必要とする所望の液状薬剤を容易に、また、安全且つ衛生的に調製することができる。
【0053】
上記したように、本発明に係る移注具キットによれば、両頭針部材を備えるアダプタ部材を介して、薬剤が収納されたバイアルと溶解液を収納した注射器とを接続する際に、両頭針部材を、バイアルのシール部材を刺通しない仮止め停止位置と、注射器を押し込むことにより押圧されて前記シール部材を刺通してバイアルと注射器とを連通して液状薬剤を調製する作用位置とに移動自在とし、第二針部材がキャップ部材を刺通し、第一針部材がシール部材を刺通した状態で、両頭針部材を固定することができるので、陰圧状態のバイアル内に溶解液を供給して液状薬剤を調製可能となる。
【0054】
また、作用位置にある両頭針部材とキャップ部材とをアダプタ部材内に固着する構成としているので、刺通状態を維持したまま、調製された液状薬剤を注射器がそのまま吸引可能であり、プランジャを装着して液漏れなく液状薬剤を注射器に吸引することができる。また、この注射器をアダプタ部材から引き抜くと、キャップ部材と両頭針部材とがアダプタ部材内に取り残されて、針接続部にキャップ部材のない注射器状態で引き抜かれることとなり、溶解液と薬剤とを混合した注射器であることが一目瞭然となる。そのために、溶解液が収納されキャップ部材を装着した未使用の注射器との区別が容易にまた確実となる移注具キットおよびアダプタ部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る移注具キットの全体概要を示す側面断面図である。
【図2】本発明に係るアダプタ部材を示しており、(a)は側部断面図およびA−A断面図を示し、(b)は両頭針部材の第一側部断面図、(c)は両頭針部材の第二側部断面図、(d)は両頭針部材の平面図、(e)には第二針部材の一部断面拡大図を示している。
【図3】混合溶解操作の手順を示す断面図であり、(a)は両頭針部材を仮止め停止位置に装着したアダプタ部材とバイアルと注射器をセットしたところを示し、(b)は第二針部材を注射器のキャップ部材に刺通したところを示し、(c)は第一針部材をバイアルのシール部材に刺通したところを示し、(d)は混合溶解された液状薬剤を注射器が吸引しているところを示している。
【図4】混合溶解操作の手順を示す一部断面図であり、(a)は両頭針部材を仮止め停止位置に装着したアダプタ部材とバイアルと注射器をセットしたところを示し、(b)は第二針部材を注射器のキャップ部材に刺通したところを示し、(c)は第一針部材をバイアルのシール部材に刺通したところを示している。
【符号の説明】
【0056】
1 アダプタ部材
2 両頭針部材
3 注射器
4 バイアル
5 キャップ部材
6 シール部材
7 フィルタキャップ
8 フィルタ部材
11 バイアル装着部
13 端部壁
14 案内ガイド片
15 案内ガイド面
21 第一針部材
22 第二針部材
23 中央隔壁
24 外壁
25 係合アーム部材
26 ガイド翼片
27 ガイド溝
28 連通路
29 外気通路
32 針接続部
K 移注具キット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側にバイアルの口部を装着可能なバイアル装着部を備え、他端側に注射器を移動可能に挿着するアダプタ部材を介して、前記バイアルに収納されている薬剤と前記注射器に収納されている溶解液とを混合して液状薬剤を調製する移注具キットであって、
前記注射器は、溶解液を密封するために、注射器内に摺動可能に挿着されるガスケットと注射針接続部が着脱自在に閉鎖されるキャップ部材とを備え、前記バイアルは、その口部に、収納された薬剤を密封するシール部材を備えており、
前記アダプタ部材の内部に、前記シール部材と前記キャップ部材とにそれぞれ刺通可能な第一および第二針部材をその両端側に備え、前記アダプタ部材の内部を摺動自在な両頭針部材を配設すると共に、
前記両頭針部材の前記アダプタ部材内の位置を、前記シール部材を前側として装着する前記バイアルの前記シール部材を刺通しない仮止め停止位置と、前記注射器を押し込むことにより押圧されて前記シール部材を刺通し液状薬剤を調製する作用位置と、に移動自在としたことを特徴とする移注具キット。
【請求項2】
前記両頭針部材が、中央隔壁の両側にそれぞれ互いの針部材を連通する連通路を共有する前記第一および第二針部材を備え、前記中央隔壁の外周部から前記第一針部材方向に延設され前記アダプタ部材内を摺動すると共にその突端部が前記アダプタ部材の端部壁と当接して前記作用位置を規制する外壁と、前記中央隔壁から前記第二針部材方向に突設される係合アーム部材とガイド翼片とを備えており、前記アダプタ部材内に突出する二個の案内ガイド片を対向して設け、前記外壁に前記案内ガイド片に係合するガイド溝を設け、前記アダプタ部材内の前記案内ガイド片から離れた位置に二個の案内ガイド面を対向して突設し、前記ガイド溝と前記案内ガイド片とを係合して前記アダプタ部材を押し込んでいくと前記ガイド翼片が前記案内ガイド面に当接して、前記仮止め停止位置となることを特徴とする請求項1に記載の移注具キット。
【請求項3】
前記連通路にフィルタ部材を装着したことを特徴とする請求項2に記載の移注具キット。
【請求項4】
前記キャップ部材を、前記針接続部を被覆する先端の小径筒部と、該筒部から拡径するテーパ面を介して延設される大径後端部とを備えた形状とし、前記係合アーム部材を前記第二針部材を挟むように相対向して突出した一対のアーム部材とし、前記係合アーム部材の内側にそれぞれ突部を設け、相対向する前記突部間の間隔を、前記キャップ部材の前記小径筒部の挿通を許可する程度の間隔とし、前記突部間にキャップ部材を押し込むと前記突部と前記テーパ面とが当接して前記突部間を押し広げる方向に弾性変形し、前記大径後端部と注射器との間に形成される隙間に前記突部が嵌まり込むまで、前記キャップ部材が移動する構成としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移注具キット。
【請求項5】
前記大径後端部が前記係合アーム部材に嵌まり込むまで前記注射器を押し込むと、前記第二針部材が前記キャップ部材を刺通し、さらに押し込んで、前記ガイド翼片が前記案内ガイド面に摺動しながら前記外壁が前記端部壁に当接して前記両頭針部材が作用位置に達すると、前記第一針部材が前記シール部材を刺通し、前記ガイド翼片が前記アダプタ部材の側壁に設けた窓部から突出して戻り防止となることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の移注具キット。
【請求項6】
前記シール部材に刺通する前記第一針部材を前記キャップ部材に刺通する前記第二針部材より太い径としたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の移注具キット。
【請求項7】
前記シール部材に刺通する前記第一針部材に、前記両頭針部材の外部に通じる外気通路を設けると共に、該外気通路に除菌フィルタを配設したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の移注具キット。
【請求項8】
前記外気通路が前記窓部に開口していると共に、前記開口部をフィルタキャップが着脱自在な形状としたことを特徴とする請求項7に記載の移注具キット。
【請求項9】
前記バイアル装着部の内壁にバイアルを保持する爪部材を設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の移注具キット。
【請求項10】
一端側にバイアルの口部を装着可能なバイアル装着部を備え、他端側に注射器を装着可能なアダプタ部材であって、
バイアルの口部に装着されるシール部材と前記注射器の注射針接続部を密封するキャップ部材とにそれぞれ刺通可能な第一および第二針部材をその両端側に備えて、前記アダプタ部材の内部を摺動自在な両頭針部材を、前記シール部材を前側として装着する前記バイアルの前記シール部材を刺通しない仮止め停止位置に装着していることを特徴とするアダプタ部材。
【請求項11】
前記両頭針部材が、中央隔壁の両側にそれぞれ互いの針部材を連通する連通路を共有する前記第一および第二針部材を備え、前記中央隔壁の外周部から前記第一針部材方向に延設され前記アダプタ部材内を摺動すると共にその突端部が前記アダプタ部材の端部壁と当接して前記作用位置を規制する外壁と、前記中央隔壁から前記第二針部材方向に突設される係合アーム部材とガイド翼片とを備えており、前記アダプタ部材内に突出する二個の案内ガイド片を対向して設け、前記外壁に前記案内ガイド片に係合するガイド溝を設け、前記アダプタ部材内の前記案内ガイド片から離れた位置に二個の案内ガイド面を対向して突設し、前記ガイド溝と前記案内ガイド片とを係合して前記アダプタ部材を押し込んでいくと前記ガイド翼片が前記案内ガイド面に当接して仮止め停止位置となることを特徴とする請求項10に記載のアダプタ部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−260162(P2007−260162A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89487(P2006−89487)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】