説明

移載方法及びその装置

【課題】支持板材を進退機構により進退移動させることにより移載ベルトの支持板材の作用面側により被移載物を移載することができ、この移載により、移載ベルトと被移載物との間での摩擦は生じないので被移載物を傷つけたりすることがなく、柔軟性や難掴持性の被移載物を容易に移載することができると共に複雑な機構を採用することがなく、簡素な構造とすることができる。
【解決手段】移載本体1と、支持板材3の作用面3b側から先端部3aを折り返して非作用面側3dを経て後端部3cで折り返して巻回配置された被移載物Wを移載可能な移載ベルト4と、移載ベルトの作用面側の部位を移載本体に固定可能な固定機構5と、支持板材を進退移動させる進退機構6とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばハンバーグ半製品、パン生地、果物等の食品やその他の各種被移載物を移載する際に用いられる移載方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の移載装置として、ベルトコンベヤ方式、マニピュレータ方式のものが知られている。
【特許文献1】特開2002−321818公報
【特許文献2】特開2002−167045公報
【特許文献3】特開平9−11053号公報
【特許文献4】特開平7−205062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらこれら従来構造の場合、例えば、ハンバーグ半製品、パン生地、果物など柔軟性、難掴持性の被移載物の移載が困難となることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の方法の発明は、被移載物を移載可能な移載ベルトを支持板材の作用面側から先端部を折り返して非作用面側を経て後端部で折り返して巻回配置し、該移載ベルトの該作用面側の部位を移載本体に固定し、該支持板材を進退移動させ、該移載ベルトにより被移載物を移載することを特徴とする移載方法にある。
【0005】
又、請求項2記載の装置の発明は、移載本体と、支持板材の作用面側から先端部を折り返して非作用面側を経て後端部で折り返して巻回配置された被移載物を移載可能な移載ベルトと、該移載ベルトの該作用面側の部位を移載本体に固定可能な固定機構と、該支持板材を進退移動させる進退機構とを備えてなることを特徴とする移載装置にある。
【0006】
又、請求項3記載の装置の発明は、上記支持板材の先端部を先細縁部に形成してなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の装置の発明は、上記移載本体を移送可能な移送機構を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の装置の発明は、上記移送機構はマニピュレータであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述の如く、請求項1又は2記載の記載の発明にあっては、上記支持板材を進退機構により進退移動させることにより移載ベルトの支持板材の作用面側により被移載物を移載することができ、この移載により、移載ベルトと被移載物との間での摩擦は生じないので被移載物を傷つけたりすることがなく、柔軟性や難掴持性の被移載物を容易に移載することができると共に複雑な機構を採用することがなく、簡素な構造とすることができる。
【0008】
又、請求項3記載の発明にあっては、上記支持板材の先端部を先細縁部に形成してなるから、移載ベルトに対する被移載物の移載を円滑に行うことができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記移載本体を移送可能な移送機構を設けてなるから、この移送機構による移送及び上記移載ベルトによる移載の協動により被移載物の移載の融通性を高めることができ、用途の拡大を図ることができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記移送機構はマニピュレータであるから、一層、被移載物の移送の融通性を高めることができ、用途の拡大を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図10は第一形態例、図11乃至図12は第二形態例、図13乃至図21は第三形態例、図22、図23は第四形態例である。
【0010】
図1乃至図10の第一形態例において、1は移載本体であって、この場合、左右の側板1a・1a及び基部板1bからなる平面コ状の枠体からなり、移送機構2としてのマニピュレータMのアームに取り付けられている。
【0011】
3は支持板材であって、この場合、厚さ約2mmの略四角板状のステンレス板材が用いられ、4は移載ベルトであって、テフロン(登録商標)などの合成樹脂からなるベルト材が用いられ、図2の如く、上記支持板材3の外周面Fのうちの作用面3b側から先縁部3aを折り返して非作用面3d側を経て後端部3cで折り返して移載ベルト4を巻回配置し、この移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側の部位を固定機構5により固定するように構成している。
【0012】
この場合、上記固定機構5は、図4の如く、上記移載本体1の側板1a・1a間に桟状の固定部材5aを架設し、上記移載ベルト4の一方端部と他方端部との重ね合わせ部分Bを押さえ板5b及び複数個の固定ネジ5cにより固定するように構成している。
【0013】
6は進退機構であって、この場合、図3、図6の如く、上記移載本体1に進退用シリンダ6aを取付け、進退用シリンダ6aのロッド6bに平面コ状の進退部材6cを取付け、進退部材6cに上記支持板材3の後端部3cの左右両側部を固定して構成している。
【0014】
又、この場合、図4の如く、上記支持板材3の先端部3aを先細縁部Kに形成し、この先端部3a及び後端部3cを円弧状Rに形成している。
【0015】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、上記支持板材3を進退機構6により、図1、図2、図9の後退位置から図7、図8、図10の前進位置へと前進させると、前方に位置する移載面Q上の被移載物Wは、移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側の上面P上に載り移ることになり、又、支持板材3を進退機構6により、図7、図8、図10の前進位置から図1、図2、図9の後退位置へと後退させると、移載ベルト4上の支持板材3の作用面3b側の上面Pから移載面Q上に乗り移ることになり、支持板材3を進退移動させることにより移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側により被移載物Wを移載することができ、この移載により、移載ベルト4と被移載物Wとの間での摩擦は生じないので被移載物Wを傷つけたりすることがなく、柔軟性や難掴持性の被移載物を容易に移載することができると共に複雑な機構を採用することがなく、簡素な構造とすることができる。
【0016】
この場合、図4の如く、上記支持板材3の先端部3aを先細縁部Kに形成してなるから、移載ベルト4に対する被移載物Wの移載を円滑に行うことができる。
【0017】
又、この場合、上記移載本体1を移送可能な移送機構2を設けてなるから、この移送機構2による移送及び上記移載ベルト4による移載の協動により被移載物Wの移送の融通性を高めることができ、用途の拡大を図ることができ、又、この場合、上記移送機構2はマニピュレータであるから、一層、被移載物Wの移送の融通性を高めることができ、用途の拡大を図ることができる。
【0018】
図11、図12の第二形態例は別例構造を示し、1は移載本体であって、この場合、左右一対の移動部材1c・1cからなり、移載本体1は移送機構2により移送可能に設けられ、この場合、移送機構2は、一対のガイドレール2aに移動部材1c・1cを軸受部2b・2bにより移動自在に設けて構成している。
【0019】
3は支持板材であって、この場合、厚さ約2mmの略四角板状のステンレス板材が用いられ、4は移載ベルトであって、テフロン(登録商標)などの合成樹脂からなるベルト材が用いられ、上記同様に、上記支持板材3の外周面Fのうちの作用面3b側から先縁部3aを折り返して非作用面3d側を経て後端部3cで折り返して移載ベルト4を巻回配置し、この移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側の部位を固定機構5により固定するように構成している。
【0020】
この場合、上記固定機構5は、上記移載本体1としての移動部材1c・1c間に桟状の固定部材5aを架設し、上記移載ベルト4の一方端部と他方端部との重ね合わせ部分Bを押さえ板5b及び複数個の固定ネジ5cにより固定するように構成している。
【0021】
6は進退機構であって、この場合、上記移載本体1としての移動部材1c・1cに進退用シリンダ6a・6aを取付け、進退用シリンダ6a・6の進退部6eに平面コ状の進退部材6cを取付け、進退部6eをガイド軸6fにより進退案内誌、進退部材6cに上記支持板材3の後端部の左右両側部をそれぞれ固定して構成している。
【0022】
この実施の第二形態例は上記構成であるから、上記支持板材3を進退機構6により、図11、図12の後退位置から図11の想像線位置である前進位置へと前進させると、前方に位置する移載面Q上の被移載物Wは、移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側の上面P上に載り移ることになり、又、支持板材3を進退機構6により、図11の想像線位置である前進位置から図11の後退位置へと後退させると、移載ベルト4上の支持板材3の作用面3b側の上面Pから移載面Q上に乗り移ることになり、支持板材3を進退移動させることにより移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側により被移載物Wを移載することができ、この移載により、移載ベルト4と被移載物Wとの間での摩擦は生じないので被移載物Wを傷つけたりすることがなく、柔軟性や難掴持性の被移載物Wを容易に移載することができると共に複雑な機構を採用することがなく、簡素な構造とすることができる。
【0023】
又、この場合、移送機構2の一対のガイドレール2a及び軸受部2b・2bにより移載本体1を移送することができ、この移送機構2による移送及び上記移載ベルト4による移載の協動により被移載物Wの移送の融通性を高めることができ、用途の拡大を図ることができる。
【0024】
図13乃至図21の第三形態例は別例構造を示し、上記第一形態例と殆ど同じ構造となっており、第一形態例と同一態様部分には同符合を付し、同符合部分は省略して説明すると、上記移載ベルト4は、図14の如く、上記支持板材3の外周面Fのうちの作用面3b側から先縁部3aを折り返して非作用面3d側を経て後端部3cで折り返して移載ベルト4を巻回配置し、この移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側の二つの部位を固定機構5・5により固定するように構成している。
【0025】
即ち、この場合、固定機構5・5は二個設けられ、図16の如く、上記移載本体1の側板1a・1a間に桟状の固定部材5aを架設し、かつ、この固定部材5aに並列して上記移載本体1の側板1a・1a間に桟状の固定部材5dを架設し、上記移載ベルト4の一方端部を押さえ板5b及び複数個の固定ネジ5cにより固定し、上記移載ベルト4の他方端部を押さえ板5e及び複数個の固定ネジ5fにより固定するように構成している。
【0026】
この実施の第三形態例は上記構成であるから、上記支持板材3を進退機構6により、図13、図14、図20の後退位置から図18、図19、図21の前進位置へと前進させると、前方に位置する移載面Q上の被移載物Wは、移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側の上面P上に載り移ることになり、又、支持板材3を進退機構6により、図18、図19、図21の前進位置から図13、図14、図20の後退位置へと後退させると、移載ベルト4上の支持板材3の作用面3b側の上面Pから移載面Q上に乗り移ることになり、支持板材3を進退移動させることにより移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側により被移載物Wを移載することができ、この移載により、移載ベルト4と被移載物Wとの間での摩擦は生じないので被移載物Wを傷つけたりすることがなく、柔軟性や難掴持性の被移載物を容易に移載することができると共に複雑な機構を採用することがなくなり、簡素な構造とすることができる。
【0027】
図22、図23の第四形態例は別例構造を示し、上記第二形態例と殆ど同じ構造となっており、第二形態例と同一態様部分には同符合を付し、同符合部分は省略して説明すると、上記移載ベルト4は、図23の如く、上記支持板材3の外周面Fのうちの作用面3b側から先縁部3aを折り返して非作用面3d側を経て後端部3cで折り返して移載ベルト4を巻回配置し、この移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側の二つの部位を固定機構5・5により固定するように構成している。
【0028】
即ち、この場合、固定機構5・5は二個設けられ、図23の如く、上記移載本体1としての移動部材1c・1c間に桟状の固定部材5aを架設し、かつ、この固定部材5aに並列して上記移載本体1の移動部材1c・1c間に桟状の固定部材5dを架設し、上記移載ベルト4の他方端部を押さえ板5e及び複数個の固定ネジ5fにより固定するように構成している。
【0029】
この実施の第四形態例は上記構成であるから、上記支持板材3を進退機構6により、図22、図23の後退位置から図122の想像線位置である前進位置へと前進させると、前方に位置する移載面Q上の被移載物Wは、移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側の上面P上に載り移ることになり、又、支持板材3を進退機構6により、図22の想像線位置である前進位置から図22の後退位置へと後退させると、移載ベルト4上の支持板材3の作用面3b側の上面Pから移載面Q上に乗り移ることになり、支持板材3を進退移動させることにより移載ベルト4の支持板材3の作用面3b側により被移載物Wを移載することができ、この移載により、移載ベルト4と被移載物Wとの間での摩擦は生じないので被移載物Wを傷つけたりすることがなく、柔軟性や難掴持性の被移載物Wを容易に移載することができると共に複雑な機構を採用することがなく、簡素な構造とすることができる。
【0030】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、移載本体1、移送機構2、支持板材3、移載ベルト4、固定機構5、進退機構6の形状や構造、材質等は適宜設計して変更されるものであり、また、被移載物Wは食品に限らず、各種物品に適用することができる。
【0031】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の第一形態例の斜視図である。
【図2】本発明の実施の第一形態例の断面図である。
【図3】本発明の実施の第一形態例の平面図である。
【図4】本発明の実施の第一形態例の部分拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の第一形態例の部分拡大斜視図である。
【図6】本発明の実施の第一形態例の部分拡大断面図である。
【図7】本発明の実施の第一形態例の斜視図である。
【図8】本発明の実施の第一形態例の断面図である。
【図9】本発明の実施の第一形態例の断面図である。
【図10】本発明の実施の第一形態例の断面図である。
【図11】本発明の実施の第二形態例の部分平面図である。
【図12】本発明の実施の第二形態例の断面図である。
【図13】本発明の実施の第三形態例の斜視図である。
【図14】本発明の実施の第三形態例の断面図である。
【図15】本発明の実施の第三形態例の平面図である。
【図16】本発明の実施の第三形態例の部分拡大断面図である。
【図17】本発明の実施の第三形態例の部分拡大斜視図である。
【図18】本発明の実施の第三形態例の斜視図である。
【図19】本発明の実施の第三形態例の断面図である。
【図20】本発明の実施の第三形態例の断面図である。
【図21】本発明の実施の第三形態例の断面図である。
【図22】本発明の実施の第四形態例の部分平面図である。
【図23】本発明の実施の第四形態例の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
M マニピュレータ
W 被移載物
1 移載本体
2 移送機構
3 支持板材
3a 先端部
3b 作用面
3c 後端部
3d 非作用面
4 移載ベルト
5 固定機構
6 進退機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被移載物を移載可能な移載ベルトを支持板材の作用面側から先端部を折り返して非作用面側を経て後端部で折り返して巻回配置し、該移載ベルトの該作用面側の部位を移載本体に固定し、該支持板材を進退移動させ、該移載ベルトにより被移載物を移載することを特徴とする移載方法。
【請求項2】
移載本体と、支持板材の作用面側から先端部を折り返して非作用面側を経て後端部で折り返して巻回配置された被移載物を移載可能な移載ベルトと、該移載ベルトの該作用面側の部位を移載本体に固定可能な固定機構と、該支持板材を進退移動させる進退機構とを備えてなることを特徴とする移載装置。
【請求項3】
上記支持板材の先端部を先細縁部に形成してなることを特徴とする請求項2記載の移載装置。
【請求項4】
上記移載本体を移送可能な移送機構を設けてなることを特徴とする請求項2又は3記載の移載装置。
【請求項5】
上記移送機構はマニピュレータであることを特徴とする請求項4記載の移載装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−222153(P2007−222153A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106981(P2006−106981)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(397068056)古川機工株式会社 (10)
【Fターム(参考)】