説明

穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具

【課題】 口径が小さい移送ホースでもコンテナに接続して穀物を移送することが可能になる穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具を提供すること。
【解決手段】 収納タンク2底部の穀物取出部4前方の接続面部4aに後面部35aを取付可能な取付板35は、移送ホース14よりも小径の小移送ホース24の接続部25が挿脱可能なホース接続小口部37を有していると共に前面部35bに小移送ホース24側部の係止ピン29が係脱可能に係止する係止部38を有し、この取付板35を接続面部4aに、ホース接続小口部37がホース接続口部5と同軸線上に一致して且つホース接続小口部37に挿入される小移送ホース24の移送回転体28が前記穀物取出部4の原動部6と一体連動状に接続するように固定具36で取付可能に形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀物運搬用コンテナに関し、さらに詳しくはコンバイン等により刈り取られて収穫された米や麦等の穀物を収納タンク内に収納し、大型の乾燥機や貯蔵タンクが設置された穀物集積場等に運搬した後、収納タンク底部の接続口部に移送ホースを接続し、この移送ホースを通じてタンク内から穀物を引出して乾燥機や貯蔵タンクに搬入するのに用いられる穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1に記載されている穀物運搬用コンテナがある。この種のコンテナはトラックに載せられてスライスセンター等まで運ばれて、コンテナ内から穀物を移送ホースで乾燥装置等に移送し得るように構成してあり、そして、コンテナと乾燥装置との間の距離的な若干のズレを調整可能な調整機能を有しているものである。
ところで、移送ホースにおける接続部の口径がコンテナの積載容量によって異なる場合があり、移送ホースは互換性がないという不都合が発生している。
【特許文献1】特開平9−142666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、第1には、口径が小さい移送ホースでもコンテナに接続して穀物を移送することが可能になる穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具を、第2には、さらに、コンテナへの取り付け(芯出し)が容易である穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は前記した課題を達成するため、以下の構成にしたことを特徴とする。
1.収納タンク底部の穀物取出部前方の接続面部に開口されているホース接続口部に移送ホースの接続部を挿脱可能に挿入して、同移送ホース側部の係止ピンに穀物取出部側の係止フックを係脱可能に係止すると共に同移送ホース内の移送回転体を穀物取出部後方の原動部と一体連動状に接続することで、前記穀物取出部を経て収納タンク内から穀物を移送ホースにより送り出し可能にしてある穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具であって、前記接続面部に後面部を取付可能な取付板は、前記移送ホースよりも小径の小移送ホースの接続部が挿脱可能なホース接続小口部を有していると共に前面部に当該小移送ホース側部の係止ピンが係脱可能に係止する係止部を有し、この取付板を前記接続面部に、ホース接続小口部がホース接続口部と同軸線上に一致して且つ当該ホース接続小口部に挿入される小移送ホースの移送回転体が前記穀物取出部の原動部と一体連動状に接続するように固定具で取付可能に形成してあることを特徴とする。
2.前記した1において、取付板が、ホース接続小口部口縁に左右の突状ガイドを後面側に突設し、当該突状ガイドを穀物取出部におけるホース接続口部から続く左右のガイド溝部に挿脱可能に形成してあることを特徴とする。
【0005】
本発明における収納タンク底部の穀物取出部は、ホース接続口部が開口している接続面部が前向き、斜め前向き、横向きのいずれかに固定された固定タイプのものであってもよいし、それらのいずれの向きにも回動可能な水平回動タイプであってもよい。
移送ホースと小移送ホースは、接続部の口径が移送ホースのものよりも小移送ホースの方が小さい関係にあるものになる。この移送ホースおよび小移送ホースは、移送ホースがホース接続口部に、小移送ホースがホース接続小口部に、それぞれ挿入されることで回り止めされ、移送回転体による穀物の移送が行なわれるものであればよい。
移送回転体は、スクリュータイプであってもよいし、コイルバネタイプのものであってもよい。この移送回転体を回転させる穀物取出部の原動部としては、バッテリーを電源とするモータや内燃機関等が挙げられる。
【発明の効果】
【0006】
A.請求項1により、穀物取出部の接続面部に接続具を固定具で取り付けることで、口径が小さい移送ホースでもコンテナに接続して穀物を移送することができるようになる。
したがって、接続部の口径が小さい移送ホースでも口径が大きいコンテナに接続できるようになり、互換性を付与することができる。
B.請求項2により、さらに、穀物取出部におけるホース接続口部から続く左右のガイド溝部に突状ガイドを挿入することで、穀物取出部の接続面部に対する接続具の取付位置が決まるので、コンテナへの取り付け(芯出し)が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図8には本発明の穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具の実施の1形態として、接続具を穀物運搬用コンテナに備えた例を示しており、穀物運搬用コンテナ1は、蓋付きあるいは蓋なしの収納タンク2におけるホッパー状底部2aの駆動回転可能なオーガスクリュー3でタンク内の穀物を当該ホッパー状底部2a前端に搬送し、同前端下の穀物取出部4に向けて送り出し可能に形成してある。
穀物取出部4は、ホッパー状底部2a前端に縦軸線回りに水平回動可能に垂設してあり、前方側の接続面部4aにはホース接続口部5を、後面部4b後側にはモーター6を、このモーター6の回転軸7の回転軸線上に一致するようにそれぞれ設けてある。そして、ホース接続口部5の左右の凹部8から後方に続く左右のガイド溝部9を左右対称状に設けることで、ホース接続口部5に挿脱可能に挿入される移送ホース14における接続部15の左右ガイドバー22が凹部8およびガイド溝部9に嵌合した際に、穀物取出部4内から穀物がこぼれ落ちないように密閉され且つ移送ホース14が回り止めされて、内部の送りバネ18のみが回転軸線回りに回転し得るように形成してある。
また、穀物取出部4には接続面部4aの左右開口穴10からそれぞれ前方に突出状の係止フック11を移送ホース14側部の係止ピン19と係脱可能に軸支してあり、ホース接続口部5から穀物取出部4内に挿入された移送ホース14におけるコイルスプリング状の送りバネ18がクラッチ12を経てモーター6の回転軸7と一体連動状に接続した状態にロックし得るようにしてあると共に係止ピン19から係止フック11を外してロック解除することで移送ホース14をホース接続口部5から抜き外し可能にしてある。係止フック11は割ピン(図示セズ)を外すことで軸支状態から取り外し可能に形成してある。
【0008】
移送ホース14は、後端の接続部15と前端の排出口部16との間の中間部17が曲げ可能な可撓性を有し、内部の回転する送りバネ18で穀物を後端の接続部15から前端の排出口部16に搬送して送り出せるように形成してある。また、移送ホース14は、接続部15近くの左右側部に係止ピン19を突設してある。
接続部15は、ホース接続口部5に挿入する際に接続面部4aに当接することでストッパーとなるフランジ部20を有し、このフランジ部20後側の上面が開口している半円筒部21には左右上縁に沿いガイドバー22をそれぞれ突設してあると共に、半円筒部21内に送りバネ後部18aを覗かせてあり、フランジ部20が接続面部4aに当接するまで挿入された状態で、左右の係止ピン19に係止フック11がそれぞれ係止し、左右のガイドバー22が凹部8およびガイド溝部9に嵌合し、送りバネ後端部18bがクラッチ12を経てモーター6の回転軸7と一体連動状に接続し得るように形成してある。
また、左右の係止ピン19には解除レバー23を備えてあり、この解除レバー23で係止フック11を押し上げて係止ピン19との係止関係を解除操作可能に形成してある。
【0009】
小移送ホース24は、後端の接続部25と前端の排出口部26との間の中間部27が曲げ可能な可撓性を有し、内部の回転する送りバネ28で穀物を後端の接続部25から前端の排出口部26に搬送して送り出せるように形成してある。また、小移送ホース24は、接続部25近くの左右側部に係止ピン29を突設してある。
移送ホース14の接続部15径よりも小径状の接続部25は、後述する接続具34のホース接続小口部に挿入する際に接続面部4aに当接することでストッパーとなるフランジ部30を有し、このフランジ部30後側の上面が開口している半円筒部31には左右上縁に沿いガイドバー32をそれぞれ突設してあると共に、半円筒部31内に送りバネ後部28aを覗かせてあり、フランジ部30が接続具34の前面部に当接するまで挿入された状態で、左右の係止ピン29に接続具34の係止フックがそれぞれ係止し、左右のガイドバー32が接続具34のガイド凹部41および穀物取出部4の凹部8ならびにガイド溝部9に嵌合し、送りバネ後端部28bがクラッチ12を経てモーター6の回転軸7と一体連動状に接続し得るように形成してある。
また、左右の係止ピン29には解除レバー33を備えてあり、この解除レバー33で係止片43を押し上げて係止ピン29との係止関係を解除操作可能に形成してある。
【0010】
接続具34の取付板35は、穀物運搬用コンテナ1における接続面部4aに後面部35aを添接した状態にボルト36で取付可能に形成してある。
この取付板35は、小移送ホース24の接続部25が挿脱可能な口径のホース接続小口部37を有し、前面部35bには小移送ホース24側部の係止ピン29が係脱可能な係止部38を配設し、後面部35aにはホース接続小口部37口縁に左右の突状ガイド39を後面側に突設し、当該突状ガイド39が穀物取出部4におけるホース接続口部5から続く左右の凹部8およびガイド溝部9に挿脱可能に形成してある。
また、取付板35は、板面四隅の孔40にボルト36を通して接続面部4aのネジ孔13に螺着することで接続面部4aに取付可能にしてあり、この接続面部4aに取り付けた状態で、ホース接続小口部37がホース接続口部5と同軸線上に一致して且つ当該ホース接続小口部37に挿入される小移送ホース24の送りバネ28が穀物取出部4のモーター6と一体連動状に接続し得るように形成してある。
【0011】
ホース接続小口部37は、口縁の左右にガイド凹部41を凹設し、左右のガイド凹部41から後面側に突状ガイド39をそれぞれ突設してあり、接続面部4aに取付板35を取り付けて、左右の突状ガイド39が左右のガイド溝部9に挿入された状態で、小移送ホース24の接続部25におけるガイドバー32がガイド凹部41から凹部8を経てガイド溝部9に嵌合して、小移送ホース24が回り止めされた状態に接続し得るように形成してある。
係止部38は、前面部35bにおけるホース接続小口部37の左右脇に左右対称状に配設してあり、支軸42に沿い上下動可能な係止片43がバネ44で押し下げられていて、接続状態の小移送ホース24における係止ピン29に対して係脱可能に形成してある。
【0012】
次に、移送ホース14および小移送ホース24による穀物の移送状態について説明する。
始めに、移送ホース14の場合では、同ホースの接続部15をホース接続口部5にフランジ部20が接続面部4aに当接するまで押し込み挿入する。この状態で、ガイドバー22がガイド溝部9に嵌合して回り止めされると共に送りバネ18がクラッチ12を経てモーター6の回転軸7と一体連動状に接続し、そして、係止フック11が係止ピン19に係止することにより同状態に接続される。
これにより、モーター6が運転を開始するのにともない、送りバネ18が回転して穀物を収納タンク2内から移送ホース14前端の排出口部16に搬送して送り出せる。
【0013】
小移送ホース24の場合では、先ず移送ホース14における解除レバー23で係止フック11を押し上げて係止ピン19との係止関係を解除した後、ホース接続口部5から移送ホース14を抜外し操作して除く。
その後に、係止フック11を取り外し、接続面部4aに接続具34をその突状ガイド39をガイド溝部9に挿入させて、ホース接続小口部37がホース接続口部5と同軸線上に一致した取付状態にボルト36で固定する。
【0014】
このようにして、接続具34が取付け固定された収納タンク2に対し、小移送ホース24の接続部25をホース接続小口部37にフランジ部30が前面部35bに当接するまで押し込み挿入する。この状態で、ガイドバー32がガイド溝部9に嵌合して回り止めされると共に送りバネ28がクラッチ12を経てモーター6の回転軸7と一体連動状に接続し、そして、係止片43が係止ピン29に係止することにより同状態に接続される。
【0015】
これにより、モーター6が運転を開始するのにともない、送りバネ28が回転して穀物を収納タンク2内から小移送ホース24前端の排出口部26に搬送して送り出せる。
小移送ホース24を外すには、先ず小移送ホース24における解除レバー33で係止片43を押し上げて係止ピン29との係止関係を解除した後、ホース接続小口部37から小移送ホース24を抜外し操作して除く。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具の実施の1形態として、穀物運搬用コンテナに備えた例を示している正面図。
【図2】穀物取出部周りの縦断面図。
【図3】穀物取出部と接続具の取付関係を示す分解斜視図。
【図4】接続具の拡大正面図。
【図5】接続具の一部切欠して示す拡大正面図。
【図6】図4の(6)―(6)拡大縦断面図。
【図7】(a)は穀物取出部と移送ホースの接続関係を示す概略図、(b)は接続具を経た穀物取出部と小移送ホースの接続関係を示す概略図。
【図8】接続具を経た穀物取出部と小移送ホースの接続過程を順に示し、(a)は係止片に係止ピンが係止する前の縦断面図、(b)は係止片に係止ピンが係止する直前の縦断面図、(c)は係止片に係止ピンが係止した縦断面図。
【符号の説明】
【0017】
1 穀物運搬用コンテナ
2 収納タンク
2a ホッパー状底部
3 オーガスクリュー
4 穀物取出部
4a 接続面部
4b 後面部
5 ホース接続口部
6 モーター(原動部)
7 回転軸
8 凹部
9 ガイド溝部
10 開口穴
11 係止フック
12 クラッチ
13 ネジ孔
14,24 移送ホース
15,25 接続部
16,26 排出口部
17,27 中間部
18,28 送りバネ(回転移送体)
18a,28a バネ後部
18b,28b バネ後端部
19,29 係止ピン
20,30 フランジ部
21,31 半円筒部
22,32 ガイドバー
23,33 解除レバー
34 接続具
35 取付板
35a 後面部
35b 前面部
36 ボルト(固定具)
37 ホース接続小口部
38 係止部
39 突状ガイド
40 孔
41 ガイド凹部
42 支軸
43 係止片
44 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納タンク底部の穀物取出部前方の接続面部に開口されているホース接続口部に移送ホースの接続部を挿脱可能に挿入して、同移送ホース側部の係止ピンに穀物取出部側の係止フックを係脱可能に係止すると共に同移送ホース内の移送回転体を穀物取出部後方の原動部と一体連動状に接続することで、前記穀物取出部を経て収納タンク内から穀物を移送ホースにより送り出し可能にしてある穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具であって、
前記接続面部に後面部を取付可能な取付板は、前記移送ホースよりも小径の小移送ホースの接続部が挿脱可能なホース接続小口部を有していると共に前面部に当該小移送ホース側部の係止ピンが係脱可能に係止する係止部を有し、
この取付板を前記接続面部に、ホース接続小口部がホース接続口部と同軸線上に一致して且つ当該ホース接続小口部に挿入される小移送ホースの移送回転体が前記穀物取出部の原動部と一体連動状に接続するように固定具で取付可能に形成してあることを特徴とする穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具。
【請求項2】
取付板が、ホース接続小口部口縁に左右の突状ガイドを後面側に突設し、当該突状ガイドを穀物取出部におけるホース接続口部から続く左右のガイド溝部に挿脱可能に形成してあることを特徴とする請求項1記載の穀物運搬用コンテナにおける移送ホースの接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−8635(P2007−8635A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189780(P2005−189780)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000132828)株式会社タイショー (5)
【Fターム(参考)】