説明

積層コイルユニット並びにそれを有する電子機器及び充電器

【課題】コイル特性であるインダクタンスLを大きく、抵抗Rを小さくして、コイルQ値を大きくできる積層コイルユニット並びにそれを用いた電子機器及び充電器を提供する。
【解決手段】無接点電力伝送のための一次側コイル及び二次側コイルの少なくとも一方に用いられる積層コイルユニットである。ユニットは、N(Nは4以上の偶数)個の平面状空芯コイル40A〜40Dを有し、N個の平面状空芯コイルの各々は、絶縁基板上に形成された渦巻状の導電パターンにて構成され、絶縁基板の厚さ方向にて積層される。N個のうちの各2個の平面状空芯コイル40A,40B及び40C,40Dを並列及び直列の一方である第1の接続形態(例えば並列)にて接続した(N/2)組のコイル接続ユニット80,82が、並列及び直列の他方である第2の接続形態(例えば直列)にて接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コイルユニット並びにそれを有する電子機器及び充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
多層基板のパターンでコイルを製造する場合、各層間の接続方法によっては、ビルドアップ基板を用い、ブラインドビアでコイル間の接続を行なっていた(特許文献1)。このため、コストアップとなっていた。リジット基板とスルーホールを用いてコイルを作成する場合、スルーホールとパターンのレイアウトが煩雑になってしまう。さらに、コイルの中心部にスルーホールを多く設けなければならず、コイルの特性の悪化にもつながってしまう。
【0003】
また、フラットコイルとして、絶縁基板の同一面内に二重スパイラルのコイルを形成して短絡検査を容易にするもの(特許文献2)や、その二重スパイラルコイルを異なる層に形成して、各層のコイル同士を直列または並列に接続したものがある(特許文献3)。
【0004】
しかし、コイルに求められる特性であるインダクタンスLを大きくし、抵抗Rを小さくし、もって、そのコイルのQ値を大きくするには、コイルの導体幅やターン数の設定が極めて煩雑であり、目的通りにコイルを設計することが困難であった。
【特許文献1】特開2000−208327号公報
【特許文献2】特開平10−199727号公報
【特許文献3】特開2001−185419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、コイルに求められる特性であるインダクタンスLを大きくし、抵抗Rを小さくし、もって、そのコイルのQ値を大きくすることができる積層コイルユニット並びにそれを用いた電子機器及び充電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、無接点電力伝送のための一次側コイル及び二次側コイルの少なくとも一方に用いられる積層コイルユニットであって、
N(Nは4以上の偶数)個の平面状空芯コイルを有し、
前記N個の平面状空芯コイルの各々は、絶縁基板上に形成された渦巻状の導電パターンにて構成されて、前記絶縁基板の厚さ方向にて積層され、
前記N個のうちの各2個の平面状空芯コイルを並列及び直列の一方である第1の接続形態にて接続した(N/2)組のコイル接続ユニットが、並列及び直列の他方である第2の接続形態にて接続されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様によれば、N個の平面状空芯コイル各導電パターンが重なることで、コイル間の相互インダクタンスを増加させることができ、N=4以上とすることで、無接点電力伝送に必要なトータルインダクタンスを確保できる。また、本発明の一態様では、直列接続を含んでいる分、トータルインダクタンスを増大できると共に、並列接続を含んでいる分、トータル抵抗Rの増大を抑えることができる。従って、このコイルのQ=(L/C)1/2/Rの分母は小さく分子は大きくなり、Qを大きくすることが容易となる。加えて、本発明の一態様に係る積層コイルユニットは、薄型でかつフラットなコイルを実現できる。
【0008】
本発明の一態様では、前記絶縁基板のうち最端層に位置する絶縁基板の露出面に、前記第2の接続形態にて接続された(N/2)組のコイル接続ユニットのコイル両端部が接続される第1,第2の電極パターンを形成することができる。こうすると、他の露出面にはコイル両端の取出し電極を設ける必要がなく、他の露出面を実質的にフラットにすることができる。この他の露出面を、無接点電力伝送の伝送面に配置すると、一次・二次コイルを近接配置することができ、伝送効率が向上する。
【0009】
本発明の一態様では、前記第1の接続形態を並列、前記第2の接続形態を直列とすることができる。この場合、前記N個の平面状空芯コイルの各内端は、前記絶縁基板を貫通する第1のスルーホールを介して互いに接続される。この際、この第1のスルーホールは絶縁基板の平面内にて一箇所にのみ設ければよい。そのため、平面状空芯コイルに余分な導電パターンを設ける必要がなく、伝送効率が向上する。
【0010】
前記第1の接続形態を並列、前記第2の接続形態を直列とした場合、前記(N/2)組のコイル接続ユニットのうち、前記第1,第2の電極パターンが形成された絶縁基板を含む1組のコイル接続ユニットを構成する2個の平面状空芯コイルの各外端は、前記絶縁基板を貫通する第2のスルーホールを介して互いに接続されて、前記第1の電極パターンに接続することができる。加えて、前記(N/2)組のコイル接続ユニットのうち、前記第1,第2の電極パターンを有する絶縁基板を含まない他の少なくとも1組のコイル接続ユニットを構成する各2個の平面状空芯コイルの各外端は、前記絶縁基板を貫通する第3のスルーホールを介して互いに接続されて、前記第2の電極パターンに接続することができる。このように、N個の平面状空芯コイルの外端は、コイルの周辺部にて第2,第3のスルーホールにて接続することができる。
【0011】
本発明の一態様では、前記第1の接続形態を直列、前記第2の接続形態を並列とすることができる。この場合、前記(N/2)組のコイル接続ユニットの各々を構成する各2個の平面状空芯コイルの各内端は、前記絶縁基板を貫通する第1のスルーホールを介して互いに接続することができる。この際、この第2のスルーホールは絶縁基板の平面内にて二箇所に配置される。
【0012】
前記第1の接続形態を直列、前記第2の接続形態を並列とした場合、前記第1,第2の電極パターンを有する絶縁基板に形成された一つの平面状空芯コイル及びそれに並列接続される他の少なくとも一つの平面状空芯コイルの各外端は、前記絶縁基板を貫通する第2のスルーホールを介して互いに接続されて、前記第1の電極パターンに接続することができる。加えて、前記一つの平面状空芯コイルと直列接続されるさらに他の平面状空芯コイル及びそれに並列接続されるさらに他の少なくとも一つの平面状空芯コイルの各外端は、前記絶縁基板を貫通する第3のスルーホールを介して互いに接続されて、前記第2の電極パターンに接続することができる。この場合も、N個の平面状空芯コイルの外端は、コイルの周辺部にて第2,第3のスルーホールにて接続することができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記第1のスルーホールは、前記空芯領域の中心を避けた位置にて前記絶縁基板に形成することができる。特に、本発明の一態様では、N個の平面状空芯コイルを全て直列、または全て並列に接続するものと比較して、導体幅を広げたりターン数を増やしたりすることなくコイル特性を確保できるので、空芯領域を比較的広く確保できる。この空芯領域の中心部は磁力線密度が最も高いので、その中心部を避けたい位置に第1のスルーホールを形成することで、伝送効率を確保できる。
【0014】
本発明の一態様では、前記N個の平面状空芯コイルがN枚よりも少ない数の絶縁基板に形成され、少なくとも1枚の絶縁基板の両面に、2個の平面状空芯コイルを一つずつ形成すればよい。こうすると、積層される絶縁基板の数を少なくでき、より薄型化が図れる。加えて、第1,第2及び第3のスルーホールを、平面状空芯コイルが形成される全ての絶縁基板を貫通して形成してもよい。こうすると、一部のスルーホールはダミーとなるが、製造コストを低減できる。
【0015】
本発明の一態様では、前記絶縁基板はフレキシブル基板とすることができる。これにより、積層コイルユニットをより薄型化できる。
【0016】
本発明の一態様では、前記最端層に位置する絶縁基板上に磁性体シートを積層することができる。こうすると、トータルインダクタンスや、コイルのQ値がさらに向上する。
【0017】
本発明の他の態様は、上述した積層コイルユニットを二次側コイルとして含み、充電器の一次側コイルとの間で無接点電力伝送を受けることを特徴とする電子機器を定義している。
【0018】
ここで、前記第1,第2の電極パターンが形成された前記絶縁基板は、前記一次側コイルと対面する伝送面とは逆側の非伝送面側に配置することができる。こうすると、一次・二次側コイル間のギャップを短縮でき、伝送効率が高まる。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、上述した積層コイルユニットを一次側コイルとして含み、電子機器の二次側との間で無接点電力伝送する充電器を定義している。この場合も、前記第1,第2の電極パターンが形成された前記絶縁基板を、前記二次側コイルと対面する伝送面とは逆側の非伝送面側に配置して、伝送効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0021】
1.第1の実施形態
1.1.充電システム
図1は、充電器10と、この充電器10に電子機器例えば携帯電話機20とを模式的に示す図である。充電器10から携帯電話機20への充電は、充電器10のコイルユニット12の一次側コイルと、その充電器10に横置きされる携帯電話機20のコイルユニット22の二次側コイルとの間に生じる電磁誘導作用を利用し、無接点電力伝送により行われる。
【0022】
1.2.積層コイルユニットの構造
図2は、コイルユニット12または22に好適な薄型でかつ伝送面が面一となる積層コイルユニット30の分解斜視図である。なお、充電器10と比較して、携帯電話機20に搭載されるコイルユニット12はより薄型が要求されるので、図2に示す積層コイルユニット30は、コイルユニット12に特に好適である。ここで、コイルユニット12,22の伝送面とは、図1に示すようにコイルユニット12,22が対向配置された際の対向面をいう。充電器10のコイルユニット12では伝送面より電力が伝送され、電子機器20のコイルユニット22では伝送面より電力が伝送される。
【0023】
図2では、N(第1の実施形態ではNは4以上の偶数で、例えばN=4)個の平面状空芯コイル40A,40B,40C,40Dを有する。4個の平面状空芯コイル40A,40B,40C,40Dは、例えばN=4枚の絶縁基板50A,50B,50C,50D上に形成された渦巻状の導電パターン60A,60B,60C,60Dから構成されている。
【0024】
本実施形態では、N=4個の平面状空芯コイル40A,40B,40C,40Dが、厚さ方向にて積層されるN=4枚の絶縁基板50A,50B,50Cに形成されている。ただし、(N−1)=3枚の絶縁基板50A,50B,50Cを用いても良い。この場合、中央の絶縁基板50Bの両面に、平面状空芯コイル40B,40Cを形成すれば良い。このように、2個の平面状空芯コイル40B,40Cを絶縁基板50Bの両面に形成することで、別個の絶縁基板の片面に形成した場合と比較して、積層コイルユニット30の厚さを、絶縁基板一枚分だけ薄く形成できる。
【0025】
図3は、携帯電話機20の筐体24に、二次側コイルユニットとして積層コイルユニット30を配置した部分拡大断面図である。ただし、図3は、図2とは異なり、中央の絶縁基板50Bの両面に平面状空芯コイル40B,40Cを形成して、(N−1)=3枚の絶縁基板を用いた例である。図3では、破線は、図示しない充電器10の一次側コイルユニット12から発生する磁力線である。積層コイルユニット30のうち、この磁力線により無接点で電力伝送を受ける最端面を伝送面70と称する。図3の例では、絶縁基板50Cの導電パターン60Dが形成された面(モジュール面)が伝送面70となる。換言すれば、モジュール面が伝送面70と面一となる。なお、図2の構造の場合には、絶縁基板50Dの非パターン面が伝送面70と面一となる。
【0026】
積層コイルユニット30のうち、この伝送面70とは逆側の最端面を非伝送面72と称する。なお、図3には、積層コイルユニット30の非伝送面72に磁性体シート74を配置している。この磁性体シート74は必須ではないが、後述する通り、磁性体シート74を設けることで積層コイルユニット30のトータルインダクタンスを大きく確保できるなどの利点がある。また、図示していないが、磁性体シート74を覆って磁気シールドシートをさらに追加しても良い。特に、図3のように携帯電話機20等の電子機器に積層コイルユニット30を配置する場合、電子機器内の他の金属に渦電流を生じさせる磁束漏れを防止できる。
【0027】
図2に示すように、4枚の絶縁基板50A〜50Dのうち、非伝送面72側の最端層に位置する絶縁基板50Aの非伝送面72側の片面52Aに、平面状空芯コイル40Aを形成するための導電パターン60Aが形成されている。
【0028】
さらに、この絶縁基板50Aの非伝送面72側の片面52Aに、第1の電極パターン55A及び第2の電極パターン56Aが形成されている。なお、この第1,第2の電極パターン55A,56Aを除いて、導電パターン60Aを絶縁被覆することができる。
【0029】
同様に、2,3枚目の絶縁基板50B,50Cの各片面52B,52Cに、平面状空芯コイル40B,40Cが形成されている。そして、4枚の絶縁基板のうち、伝送面70側の最端層に位置する絶縁基板50Dの片面52Dに、平面状空芯コイル40Dが形成されている。
【0030】
1.3.積層コイルユニットの接続形態(2組の並列コイルを直列接続)
図4は図2に示す積層コイルユニット30の接続形態を示し、図5はその等価回路図である。図4に示すように、4つの平面状コイルユニット40A〜40Dの内端は共通接続されている。図2で説明すると、3枚の絶縁基板50A,50B,50C,50Dの各コイル内端に対応する同一位置に、それぞれ絶縁基板50A,50B,50C,50Dを貫通する第1のスルーホール57A,57B,57C,57Dが形成されている。これら第1のスルーホール57A,57B,57C,57Dが導通することで、4つの平面状コイルユニット40A〜40Dの内端は共通接続されている。
【0031】
一方、平面状空芯コイル40A,40Bの各外端同士は、絶縁基板50A,50Bに形成された第2のスルーホール58A,58Bを介して接続されている。この第2のスルーホール58Aは、絶縁基板50A上の導電パターンを介して第1の電極パターン55Aに接続されている。なお、絶縁基板50Aに形成された第2のスルーホール58Aと対応する位置にて、絶縁基板50C,50Dにも第2のスルーホール58C,58Dが形成されているが、これらは何れのパターンにも接続されないダミーのスルーホールであり、コイル間の接続には寄与しない。ただし、4枚の絶縁基板50A,50B,50C,50Dの同一箇所に第2のスルーホール58A,58B,58C,58Dを形成することで、スルーホール付き多層積層基板を安価に製造できる。
【0032】
他方、平面状空芯コイル40C,40Dの各外端同士は、絶縁基板50C,50Dに形成された第3のスルーホール59C,59Dを介して接続されている。この第3のスルーホール59Cは、絶縁基板50A,50Bに形成された第3のスルーホール59A,59Bと、絶縁基板50A上の導電パターンとを介して、第2の電極パターン56Aに接続されている。
【0033】
このように接続すると、第1の実施形態の積層コイルユニット30は、N=4個のうちの2個の平面状空芯コイル40A,40Bを並列(広義には直列及び並列の一方である第1の接続形態)接続した1組のコイル接続ユニット80(図4,図5参照)と、N=4個のうちの他の2個の平面状空芯コイル40C,40Dを並列(広義には第1の接続形態)接続した他の1組のコイル接続ユニット82(図4,図5参照)とを含んでいる。つまり、積層コイルユニット30は、(N/2)=2個のコイル接続ユニット80,82を含んでいる。この2個のコイル接続ユニット80,82は、第1,第2の電極パターン55A,56A間にて、直列(広義には直列及び並列の他方である第2の接続形態)接続されている。
【0034】
なお、本実施形態では、絶縁基板50A〜50Dは四層のフレキシブル印刷回路基板(FPC)にて形成されている。これに限らず、剛体の絶縁基板を用いても良いが、積層コイルユニット30を薄く形成できる点で、FPCの利用が好ましい。
【0035】
1.4.積層コイルユニットの作用・効果
(1)コイルのQ値
積層コイルユニット30の第1の利点は、トータルインダクタンスを大きくし、トータル抵抗を小さく維持し、結果として、コイルのQ値(Quality factor)が向上する点である。Qは、コイルの特性を示す値であり、値が大きいほど好ましい。
【0036】
積層コイルユニット30のトータルインダクタンスをLとし、トータル抵抗をRとし、コイルと接続する回路のキャパシタンスをCとすると、Q=(L/C)1/2/Rとなる。
【0037】
ここで、積層コイルユニット30では、平面状空芯コイル40A,40Bの外端から内端に向かう電流方向A1,A2と、平面状空芯コイル40C,40Dの内端から外端に向かう電流方向A3,A4は、図2中にて反時計方向で全て一致する。さらに、4つの平面状空芯コイル40A〜40Dの各導電パターン60A〜60Dは、内端及び外端形状を除いて一致させることで、コイル間の相互インダクタンスを増加させることができる。
【0038】
ところで、積層コイルユニット30に対する第1の比較例として、4つのコイル40A〜40Dを直列接続したコイルユニット(図9〜図11参照)と、第2の比較例として4つのコイル40A〜40Dを並列接続したコイルユニット(図12〜図14に三層並列コイルを示す)を想定する。ただし、これらコイルユニットを構成するコイルの線幅やターン数等の形状は、第1の実施形態と同一であるとする。積層コイルユニット30も、第1,第2の比較例も、共に4つのコイルを積層しているため、コイル自体のインダクタンスに加えて相互インダクタンスを確保できるので、単層コイルや、同一面内に形成した二重スパイラルコイルに比べて、トータルインダクタンスは増大する点で好ましい。特に、本実施形態のように、N=4とすることで、積層による相互インダクタンスの増大効果は大きい。もちろん、Nは4以上の偶数として積層コイルユニット30を構成することができ、Nが大きければトータルインダクタンスは大きくなる。
【0039】
さらに、積層コイルユニット30は、第1,第2の比較例と対比して、Qを大きくし易い利点がある。つまり、直列接続のみで構成した第1の比較例は、3つの中でトータルインダクタンスLは最大となるが、抵抗Rも最大となる。よって、Q=(L/C)1/2/Rの分母も分子も大きくなり、Qを大きくすることが困難である。一方、並列接続のみで構成した第2の比較例は、3つの中でトータルインダクタンスLが最小となるが、抵抗Rも最小となる。よって、Q=(L/C)1/2/Rの分母も分子も小さくなり、Qを大きくすることが困難である。
【0040】
これに対して、本実施形態の積層コイルユニット30は、直列接続を含んでいる分、トータルインダクタンスを増大できると共に、並列接続を含んでいる分、トータル抵抗Rの増大を抑えることができる。従って、Q=(L/C)1/2/Rの分母は小さく分子は大きくなり、Qを大きくすることが容易となるのである。もし、本実施形態に係る積層コイルユニット30と同等の特性を確保するのであれば、第1,第2の比較例でのコイルの線幅やターン数の変更やその組み合わせを、試行錯誤で検証して設計する必要がある。
【0041】
(2)薄型化
本実施形態の積層コイルユニット30は、絶縁基板50A,50B,50C,50Dを例えばFPCのように薄く形成すれば、導体パターン60A〜60Dの各厚さは0.035mmと極薄に形成できる。よって、渦巻状に形成したコイル線を4層積層したものと対比すれば、積層コイルユニット30の厚さ寸法の改善効果はかなり大きい。薄型化に関しては、図3に示すように、N=4個の平面状空芯コイルを(N−1)=3枚の絶縁基板に形成するとさらに良い。なお、Nの数が多くなれば、基板両面にコイルを形成できる基板数も増やすことができるので、N個のコイルを製造するのに(N−2)枚以下の基板を用いることができる。
【0042】
特に、図3に示すように、積層コイルユニット30を電子機器に搭載する場合には、電子機器内にて積層コイルユニット30が占めるスペースを縮小でき、電子機器の小型化を維持できる。
【0043】
(3)電力伝送効率の向上
図3において、積層コイルユニット30の伝送面70は実質的にフラットとすることができる。なぜなら、絶縁基板50C上に突出する導電パターン60Dの厚さは0.035mmであるからである。なお、図2に示すようにN=4枚の絶縁基板を用いる場合には、伝送面70は非パターン面とすることができ、伝送面70をフラットにできる。
【0044】
加えて、積層コイルユニット30の伝送面70には、第1,第2の電極パターン55A,56Aや、部品は実装されないので、積層コイルユニット30の伝送面70をフラットに維持できる。換言すれば、本実施形態では、積層コイルユニット30の非伝送面72に第1,第2の電極パターン55A,56Aを設けているので、半田付けや実装部品の搭載は非伝送面72側のみで行えば良い。
【0045】
なお、図2に示す第1,第2の電極パターン55A,56Aは、配線をハンダ付けするための形状である。これに代えて、積層コイルユニット30の非伝送面72が部品実装面となる場合には、第1,第2の電極パターン55A,56Aは、積層コイルユニット30の2つの電極を部品実装面に導通させるためのパターンとして形成すれば良く、線幅を広げる必要はない。つまり、第1,第2の電極パターン55A,56Aは、積層コイルユニット30の2つの端子を取り出すパターンとして機能するものであれば良い。
【0046】
積層コイルユニット30の伝送面70が実質的にフラットであると、図3に示すようにその伝送面70を電子機器20の筐体24の内壁に密接することができる。こうして、一次・二次コイル間のギャップを、例えば数mm以内に設定することで、無接点電力伝送の効率を向上させることができる。
【0047】
電力伝送効率の向上の他の理由として、4つの平面状空芯コイル40A〜40Dの各空芯領域には、第1のスルーホール57A,57B,57C,57D以外のパターンは形成しなくて済む。しかも、第1のスルーホール57A,57B,57C,57Dは、4枚の絶縁基板50A〜50Dの平面上で同一位置にて貫通するように一つ設けるだけでよい。
【0048】
後述する他の接続形態では、第1のスルーホールは絶縁基板の平面上で同一位置にて貫通するように形成できず、複数個所となる。よって、本実施形態は、空芯領域に存在する導体パターン面積が最小となる。空芯領域は図3に示す磁力線の密度が最も高い領域であり、導体パターンの存在による磁力線への悪影響を最小限にとどめることができる。
【0049】
2.第2の実施形態(2組の直列コイルを並列接続)
図6〜図8は、本発明の第2の実施形態を示している。この第2の実施形態の積層コイルユニット100は、N=4個のうちの2個の平面状空芯コイル110A,110Bを直列(広義には直列及び並列の一方である第1の接続形態)接続した1組のコイル接続ユニット150(図7,図8参照)と、N=4個のうちの他の2個の平面状空芯コイル110C,110Dを直列(広義には第1の接続形態)接続した他の1組のコイル接続ユニット152(図7,図8参照)とを含んでいる。つまり、積層コイルユニット100は、(N/2)=2個のコイル接続ユニット150,152を含んでいる。この2個のコイル接続ユニット150,152は、並列(広義には直列及び並列の他方である第2の接続形態)接続されている。
【0050】
この第2の実施形態でも、図6に示すように、N=4枚の絶縁基板120A〜120Dに4つの平面状空芯コイル110A〜110Dを形成するための渦巻状導電パターン130A〜130Dが設けられている。これに代えて、(N−1)=3枚の絶縁基板120A〜120Cを用い、中央の絶縁基板120Bの両面に平面状空芯コイル110B,110Cが設けられてもよい。
【0051】
この第2の実施形態でも、図6に示すように、非伝送面72側の最端層に位置する絶縁基板120Aの露出面に、(N/2)=2組のコイル接続ユニット150,152のコイル両端部が接続される第1,第2の電極パターン156A,157Aが形成されている。
【0052】
そして、2組のコイル接続ユニット150,152を図8のように並列接続し、かつ、そのコイル両端部を第1,第2の電極パターン156A,157Aに接続するための2箇所で貫通する2つの第1のスルーホール(152A,152B,152C,152D),(153A,153B,153C,153D)が、4枚の絶縁基板120A,120B,120C,120Dに貫通形成されている。なお、図7に示すように、平面状空芯コイル110A,110Bの内端同士はスルーホール152A,152Bを介して接続され、他のスルーホール152C,152Dはダミーのスルーホールである。また、平面状空芯コイル110C,110Dの内端同士はスルーホール153C,153Dを介して接続され、他のスルーホール153A,153Bはダミーのスルーホールである。
【0053】
また、第1,第2の電極パターン156A,157Aを有する絶縁基板120Aに形成された一つの平面状空芯コイル110A及びそれに並列接続される他の平面状空芯コイル110Cの各外端を接続するために、4枚の絶縁基板120A〜120Dを貫通する第2のスルーホール(154A,154B,154C,154D)が設けられている。ここで、平面状空芯コイル110A,110Cの外端同士はスルーホール154A,154B,154Cを介して、第1の電極パターン156Aに接続されている。他のスルーホール154Dはダミーのスルーホールである。
【0054】
平面状空芯コイル110B及びそれに並列接続される平面状空芯コイル110Dの各外端を接続するために、4枚の絶縁基板120A〜120Dを貫通する第3のスルーホール(155A,155B,155C,155D)が設けられている。なお、平面状空芯コイル110B,110Dの外端同士はスルーホール155A〜155Dを介してを介して、第2の電極パターン157Aに接続されている。
【0055】
ここで、図6に示すように、積層コイルユニット100では、平面状空芯コイル110A,110Cの外端から内端に向かう電流方向B1,B3と、平面状空芯コイル110B,110Dの内端から外端に向かう電流方向B2,B4は、図6中にて反時計方向で全て一致する。さらに、4つの平面状空芯コイル110A〜110Dの各導電パターン130A〜130Dは、内端及び外端形状を除いて一致させることで、コイル間の相互インダクタンスを増加させることができる。
【0056】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同じく、4つの平面状空芯コイルを直列接続及び並列接続しているので、コイルの特性Qは第1の実施形態と同じとなり、コイルの特性Qを改善できる。また、積層コイルユニット100は第1の実施形態と同様に薄型化が可能である。なお、伝送効率に関して言えば、伝送面をフラットにできる点で第1の実施形態と同じ効果が得られる。ただし、第2の実施形態では、コイルの内端同士を接続するための第1のスルーホール(152A,152B,152C,152D),(153A,153B,153C,153D)は2箇所に必要となる点で、空芯領域にスルーホールの数が増える。ただし、2箇所に形成される第1のスルーホールを空芯領域の中心からずれた位置に設定することで、磁束への悪影響を低減できる。
【0057】
3.比較例1
図9〜図11は、比較例1を示している。この比較例1に係る積層コイルユニット200は、N=4個のうちの2個の平面状空芯コイル210A,210Bを直列接続した1組のコイル接続ユニット250(図11参照)と、N=4個のうちの他の2個の平面状空芯コイル210C,210Dを直列した他の1組のコイル接続ユニット252(図11参照)とを含んでいる。この2個のコイル接続ユニット250,252が直列接続されることで、4つの平面状空芯コイル210A〜210Dが直列接続されている。
【0058】
この比較例1でも、図9に示すように、N=4枚の絶縁基板220A〜220Dに4つの平面状空芯コイル210A〜210Dを形成するための渦巻状導電パターン230A〜230Dが設けられている。これに代えて、(N−1)=3枚の絶縁基板220A〜220Cを用い、中央の絶縁基板220Bの両面に平面状空芯コイル210B,210Cが設けられてもよい。
【0059】
この比較例1でも、図9に示すように、非伝送面72側の最端層に位置する絶縁基板220Aの露出面に、(N/2)=2組のコイル接続ユニット250,252のコイル両端部が接続される第1,第2の電極パターン256A,257Aが形成されている。
【0060】
そして、2組のコイル接続ユニット250,252を図11のように並列接続し、かつ、そのコイル両端部を第1,第2の電極パターン256A,257Aに接続するための2箇所で貫通する2つの第1のスルーホール(252A,252B,252C,252D),(253A,253B,253C,253D)が、4枚の絶縁基板220A,220B220C,220Dに貫通形成されている。なお、図10に示すように、平面状空芯コイル210A,210Bの内端同士はスルーホール252A,252Bを介して接続され、他のスルーホール252C,252Dはダミーのスルーホールである。また、平面状空芯コイル210C,210Dの内端同士はスルーホール253C,253Dを介して接続され、他のスルーホール253A,253Bはダミーのスルーホールである。
【0061】
また、平面状空芯コイル210B及び平面状空芯コイル210Cの各外端を接続するために、4枚の絶縁基板220A〜220Dを貫通する第2のスルーホール(254A,254B,254C,254D)が設けられている。ここで、平面状空芯コイル210B,210Cの外端同士はスルーホール254B,254Cを介して接続され、他のスルーホール254A,254Dはダミーのスルーホールである。
【0062】
平面状空芯コイル210Dの外端を第2の電極パターン257Aに接続するために、第3のスルーホール(255A,255B,255C,255D)が設けられている。
【0063】
ここで、図9に示すように、積層コイルユニット200では、平面状空芯コイル210A,210Cの外端から内端に向かう電流方向C1,C3と、平面状空芯コイル210B,210Dの内端から外端に向かう電流方向C2,C4は、図9中にて反時計方向で全て一致する。さらに、4つの平面状空芯コイル210A〜210Dの各導電パターン230A〜230Dは、内端及び外端形状を除いて一致させることで、コイル間の相互インダクタンスを増加させることができる。
【0064】
ただし、比較例1では、第1,第2の実施形態とは異なり、4つの平面状空芯コイルを全て直列接続しているので、インダクタンスLも抵抗Rも大きくなり、コイルのQ値は改善されない。ただし、積層コイルユニット200は第1,第2の実施形態と同様に薄型化が可能である。なお、伝送効率に関して言えば、伝送面をフラットにできる点で第1,第2の実施形態と同じ効果が得られる。ただし、比較例1では第2の実施形態と同じく、コイルの内端同士を接続するための第1のスルーホール(252A,252B,252C,252D),(253A,253B,253C,253D)は2箇所に必要となる点で、空芯領域にスルーホールの数が増える。ただし、2箇所に形成される第1のスルーホールを空芯領域の中心からずれた位置に設定することで、磁束への悪影響を低減できる。
【0065】
4.比較例2
図12〜図14は、比較例2を示している。この比較例2に係る積層コイルユニット300は、3個の平面状空芯コイル310A,310B,310Cを並列接続したものである。
【0066】
この比較例2では、図12に示すように、3枚の絶縁基板320A〜320Cに3つの平面状空芯コイル310A〜310Cを形成するための渦巻状導電パターン330A〜330Cが設けられ、他の一枚の絶縁基板320Dは配線専用パターンとして用いている。これに代えて、3枚の絶縁基板320A〜320Cを用い、中央の絶縁基板220Bの両面に平面状空芯コイル210B,210Cが設けられ、絶縁基板320Cを配線専用基板として用いてもよい。
【0067】
この比較例2でも、図12に示すように、非伝送面72側の最端層に位置する絶縁基板320Aの露出面に、並列接続された3つの平面状空芯コイル310A〜310Cのコイル両端部が接続される第1,第2の電極パターン356A,357Aが形成されている。
【0068】
そして、3つの平面状空芯コイル310A〜310Cを並列接続し、かつ、そのコイル両端部を第1,第2の電極パターン356A,357Aに接続するための第1のスルーホール(352A,352B,352C,352D)が、4枚の絶縁基板320A,20B320C,20Dに貫通形成されている。なお、図13に示すように、3つの平面状空芯コイル310A〜310Cの内端同士はスルーホール352A,352BC,352Cを介して接続され、他のスルーホール352Dと、絶縁基板320Dに形成された配線パターン353Dを介して、後述するスルーホール355Dに接続されている。
【0069】
また、3つの平面状空芯コイル310A〜310Cの各外端は、4枚の絶縁基板320A〜320Dを貫通する第2のスルーホール(354A,354B,354C,354D)を介して互いに接続されている。ここで、スルーホール354Dはダミーのスルーホールである。
【0070】
平面状空芯コイル210Cの内端を第2の電極パターン357Aに接続するために、第3のスルーホール(355A,355B,355C,355D)が設けられている。絶縁基板320Dに形成されたスルーホール355Dは、絶縁基板320Dに形成された配線パターン353D及びスルーホール352C,352Dを介して、平面状空芯コイル310Cの内端に接続されている。
【0071】
ここで、図12に示すように、積層コイルユニット300では、平面状空芯コイル310A〜310Cの外端から内端に向かう電流方向D1〜D3は、図12中にて反時計方向で全て一致する。さらに、3つの平面状空芯コイル310A〜310Cの各導電パターン330A〜330Cは、内端及び外端形状を除いて一致させることで、コイル間の相互インダクタンスを増加させることができる。
【0072】
比較例2では、第1,第2の実施形態とは異なり、3つの平面状空芯コイルを全て並列接続しているので、インダクタンスLも抵抗Rも小さくなり、コイルのQ値は改善されない。薄型化に関して言えば、配線パターン353Dを形成するための配線専用基板が必要となる分、第1,第2の実施形態及び比較例1に対して劣っている。なお、伝送効率に関して言えば、伝送面をフラットにできる点で第1,第2の実施形態及び比較例1と同じ効果が得られる。また、比較例2では第1の実施形態と同じく、コイルの内端同士を接続するための第1のスルーホール(352A,352B,352C,352D)を1箇所に貫通形成すればよい点で、空芯領域にスルーホールの数が増えることはない。
【0073】
5.電気的特性の対比
図15は、第1実施形態、第1,第2の比較例について、コイル形状を種々設定して測定したトータルインダクタンスL、トータル抵抗R及び特性Qの測定値を示している。NO.1〜NO.9が比較例2を、NO.10〜NO.18が比較例1を、NO.19〜NO.24が第1の実施形態を示している。
【0074】
共通条件として、コイルの外形とパターン間のギャップを一定にし、かつ、導体厚(パターン厚)を例えば0.035mmとした。変更条件は、導体幅(パターン幅)、片側ターン数と、接続形態(第1実施形態、第1,第2の比較例)及び磁性体シート74(図2参照)の有無である。なお、導体厚については、0.0035mmに限らず、他の数値を用いることができる。
【0075】
図15から、磁性体シート74を設けることで、トータルインダクタンスが大きくなり、コイルのQ値も改善されていることが分かる。
【0076】
また、上述した理由から、第1の実施形態であるNO.19〜NO.24では、導体幅Wや片側ターン数を第1,第2の比較例ほど極端に変更しなくても、コイルのQ値も向上していることが分かる。
【0077】
なお、第2の実施形態については未測定であるが、第1の実施形態とほぼ同じ結果が得られると期待できる。
【0078】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0079】
本実施の形態は、無接点電力伝送に係るものであったが、電磁誘導原理を用いた無接点信号伝送にも同様に適用することができる。
【0080】
本実施の形態は、電力伝送や信号伝送を行うすべての電子機器に適用可能であり、たとえば、腕時計、電動歯ブラシ、電動ひげ剃り、コードレス電話、パーソナルハンディフォン、モバイルパソコン、PDA(Personal Digital Assistants)、電動自転車などの二次電池を備える被充電機器と充電機器とに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る充電器及び電子機器の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る積層コイルユニットの分解斜視図である。
【図3】本発明に係る積層コイルユニットを電子機器に取り付けた状態を示す断面図である。
【図4】図2に示す積層コイルユニットの接続状態を模式的に示す図である。
【図5】図2に示す積層コイルユニットの等価回路図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る積層コイルユニットの分解斜視図である。
【図7】図6に示す積層コイルユニットの接続状態を模式的に示す図である。
【図8】図6に示す積層コイルユニットの等価回路図である。
【図9】本発明の比較列1に係る積層コイルユニットの分解斜視図である。
【図10】図9に示す積層コイルユニットの接続状態を模式的に示す図である。
【図11】図9に示す積層コイルユニットの等価回路図である。
【図12】本発明の比較列2に係る積層コイルユニットの分解斜視図である。
【図13】図11に示す積層コイルユニットの接続状態を模式的に示す図である。
【図14】図11に示す積層コイルユニットの等価回路図である。
【図15】本発明の第1の実施形態、比較例1及び比較例2に従って製造した積層コイルユニットの特性図である。
【符号の説明】
【0082】
10 充電器、12 コイルユニット、20 電子機器、22 コイルユニット、24 筐体、30,100,200,300 積層コイルユニット、40A〜40D、110A〜110D、210A〜210D、310A〜310C 平面状空芯コイル、50A〜50B、120A〜120D、220A〜220D、320A〜320D 絶縁基板、60A〜60D、130A〜130D、230A〜230D、330A〜330C 導電パターン、55A,156A,256A,356A 第1の電極パターン、56A,157A,257A,357A 第2の電極パターン、57A〜57D、152A〜152D、153A〜153D、252A〜252D、253A〜253D 第1のスルーホール、58A〜58D、154A〜154D、254A〜254D 第2のスルーホール、59A〜59D、155A〜155D、255A〜255D 第3のスルーホール、80,150 第1のコイルユニット、82,152 第2のコイルユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無接点電力伝送のための一次側コイル及び二次側コイルの少なくとも一方に用いられる積層コイルユニットであって、
N(Nは4以上の偶数)個の平面状空芯コイルを有し、
前記N個の平面状空芯コイルの各々は、絶縁基板上に形成された渦巻状の導電パターンにて構成されて、前記絶縁基板の厚さ方向にて積層され、
前記N個のうちの各2個の平面状空芯コイルを並列及び直列の一方である第1の接続形態にて接続した(N/2)組のコイル接続ユニットが、並列及び直列の他方である第2の接続形態にて接続されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記絶縁基板のうち最端層に位置する絶縁基板の露出面に、前記第2の接続形態にて接続された(N/2)組のコイル接続ユニットのコイル両端部が接続される第1,第2の電極パターンが形成されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の接続形態が並列であり、前記第2の接続形態が直列であり、
前記N個の平面状空芯コイルの各内端は、前記絶縁基板を貫通する第1のスルーホールを介して互いに接続されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項4】
請求項3において、
前記(N/2)組のコイル接続ユニットのうち、前記第1,第2の電極パターンが形成された絶縁基板を含む1組のコイル接続ユニットを構成する2個の平面状空芯コイルの各外端は、前記絶縁基板を貫通する第2のスルーホールを介して互いに接続されて、前記第1の電極パターンに接続されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項5】
請求項4において、
前記(N/2)組のコイル接続ユニットのうち、前記第1,第2の電極パターンを有する絶縁基板を含まない他の少なくとも1組のコイル接続ユニットを構成する各2個の平面状空芯コイルの各外端は、前記絶縁基板を貫通する第3のスルーホールを介して互いに接続されて、前記第2の電極パターンに接続されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項6】
請求項2において、
前記第1の接続形態が直列であり、前記第2の接続形態が並列であり、
前記(N/2)組のコイル接続ユニットの各々を構成する各2個の平面状空芯コイルの各内端は、前記絶縁基板を貫通する第1のスルーホールを介して互いに接続されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1,第2の電極パターンを有する絶縁基板に形成された一つの平面状空芯コイル及びそれに並列接続される他の少なくとも一つの平面状空芯コイルの各外端は、前記絶縁基板を貫通する第2のスルーホールを介して互いに接続されて、前記第1の電極パターンに接続されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項8】
請求項7において、
前記一つの平面状空芯コイルと直列接続されるさらに他の平面状空芯コイル及びそれに並列接続されるさらに他の少なくとも一つの平面状空芯コイルの各外端は、前記絶縁基板を貫通する第3のスルーホールを介して互いに接続されて、前記第2の電極パターンに接続されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれかにおいて、
前記第1のスルーホールは、前記空芯領域の中心を避けた位置にて前記絶縁基板に形成されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記N個の平面状空芯コイルは、N枚の絶縁基板にそれぞれ形成されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記N個の平面状空芯コイルがN枚よりも少ない数の絶縁基板に形成され、少なくとも1枚の絶縁基板の両面に、2個の平面状空芯コイルが一つずつ形成されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項12】
請求項4または8において、
前記第1,第2及び第3のスルーホールは、前記N個の平面状空芯コイルが形成される全ての絶縁基板を貫通して形成されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかにおいて、
前記絶縁基板はフレキシブル基板であることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかにおいて、
前記最端層に位置する絶縁基板上に磁性体シートが積層されていることを特徴とする積層コイルユニット。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の積層コイルユニットを二次側コイルとして含み、充電器の一次側コイルとの間で無接点電力伝送を受けることを特徴とする電子機器。
【請求項16】
請求項2乃至9のいずれかに記載の積層コイルユニットを二次側コイルとして含み、充電器の一次側コイルとの間で無接点電力伝送を受ける電子機器であって、前記第1,第2の電極パターンが形成された前記絶縁基板は、前記一次側コイルと対面する伝送面とは逆側の非伝送面側に配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項17】
請求項1乃至14のいずれかに記載の積層コイルユニットを一次側コイルとして含み、電子機器の二次側との間で無接点電力伝送することを特徴とする充電器。
【請求項18】
請求項2乃至9のいずれかに記載の積層コイルユニットを一次側コイルとして含み、電子機器の二次側コイルとの間で無接点電力伝送する充電器であって、前記第1,第2の電極パターンが形成された前記絶縁基板は、前記二次側コイルと対面する伝送面とは逆側の非伝送面側に配置されていることを特徴とする充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−205216(P2008−205216A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39889(P2007−39889)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】