説明

積層シート

【課題】全体の強度を確保しながらも筋押し加工を施すことなく折り畳み可能に構成され、折り畳まれた状態から見開いた場合に生じるたるみの量を抑制する。
【解決手段】2枚の支持シート20a,20bを積層して貼着し、この2枚の支持シート20a,20bを2枚の表面シート10a,10bに挟み込んで貼着し、折り部4によって折り畳み可能に構成し、2枚の支持シート20a,20bを、折り部4にて2つの領域にそれぞれ分割し、分割された2つの領域の間隔を、折り畳み状態にて外側となる支持シート20bの方が折り畳み状態にて内側となる支持シート20aよりも広くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のシートが積層され、折り部にて折り畳み可能に構成された積層シートに関し、特に、その折り部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シートを折り畳み可能とするためにシートに折り部を設ける場合、シートの一方の側から折り部に沿って圧力をかける、いわゆる筋押し加工が施される(例えば、特許文献1〜3参照。)。筋押し加工が施されたシートは、折り部に沿って一方の側が凸状、他方の側が凹状となり、折り畳み可能となる。
【0003】
このような筋押し加工においては、複数枚のシートが積層されたものに対しても折り部を形成する場合に有効である。
【0004】
図8は、複数枚のシートが積層され、筋押し加工が施された積層シートの従来例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は断面図である。
【0005】
本従来例は図8に示すように、第1紙片領域502と第2紙片領域503とが、筋押し加工によって形成された折り部504を介して折り畳み可能に連接して構成されている。第1紙片領域502及び第2紙片領域503は、2枚の支持シート520a,520bが積層されて貼着され、この2枚の支持シート520a,520bを挟み込むように2枚の表面シート510a,510bが積層されて貼着された構成となっている。また、2枚の支持シート520a,520bのうち、折り畳み状態にて外側となる支持シート520bは折り部504にて2つに分割されている。
【0006】
上記のように構成された積層シートにおいては、2枚の支持シート520a,520bのうち折り畳み状態にて外側となる支持シート520bが折り部504にて2つに分割されているとともに、表面シート510a,510b及び支持シート520aに筋押し加工によって折り部504が形成されていることにより、支持シート520a,520bの厚さを、積層シート501全体の強度を確保するために十分な程度のものとした場合であっても、折り部504にて容易に折り畳むことができる。
【特許文献1】特開2005−246760号公報
【特許文献2】特開2003−159883号公報
【特許文献3】特開2002−91311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように筋押し加工によって折り部を形成するものにおいては、折り部に沿って一方の側が凸状、他方の側が凹状となるため、製品外観を損なうことになる。特に、折り部に跨るように情報が記載される場合は、その情報が歪んで見難くなってしまう。
【0008】
そこで、筋押し加工を施さずに折り部を形成すれば上述したような問題点は解決することになるが、上述したもののように、積層シート全体に所定の強度を持たせることができる程度の厚さを有する支持シートを用いた場合、筋押し加工を施さずに折り畳み可能に構成することは困難である。
【0009】
図9は、複数枚のシートが積層され、筋押し加工を施さずに折り畳み可能に構成された積層シートの従来例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は断面図、(c)は折り畳み状態における断面図、(d)は折り畳み状態から見開いた状態における断面図である。
【0010】
本従来例は図9に示すように、第1紙片領域602と第2紙片領域603とが折り部604を介して折り畳み可能に連接して構成されている。第1紙片領域602及び第2紙片領域603は、2枚の支持シート620a,620bが積層されて貼着され、この2枚の支持シート620a,620bを挟み込むように2枚の表面シート610a,610bが積層されて貼着された構成となっている。また、2枚の支持シート620a,620bは、折り部604にてそれぞれ2つに分割されている。
【0011】
上記のように構成された積層シートにおいては、2枚の支持シート620a,620bが折り部604にて2つに分割されていることにより、支持シート620a,620bの厚さを、積層シート601の全体の強度を確保するために十分な程度のものとした場合であっても、筋押し加工を施すことなく折り部604にて容易に折り畳むことができる。
【0012】
ここで、このような積層シート601は、折り部604にて折り畳んだ場合、図9(c)に示すように、折り畳み状態にて外側となる表面シート610bと折り畳み状態にて内側となる表面シート610aとの間において、折り部604にて支持シート620a,620bの厚さによってその周径に差が生じることになる。
【0013】
そのため、この周径の差によって表面シート610bの折り部604となる領域が伸び、積層シート601を折り畳んだ状態から見開いた場合、図9(d)に示すように、上述した周径の差によって伸びた表面シート610bの折り部604にたるみ605が生じてしまうという問題点がある。
【0014】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、全体の強度を確保しながらも筋押し加工を施すことなく折り畳み可能に構成され、折り畳まれた状態から見開いた場合に生じるたるみの量を抑制することができる積層シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、
複数枚の支持シートが積層されて貼着され、前記複数枚の支持シートが2枚の表面シートに挟み込まれて貼着され、折り部によって折り畳み可能に構成された積層シートにおいて、
前記複数枚の支持シートは、前記折り部にて2つの領域にそれぞれ分割され、該分割された2つの領域の間隔が、折り畳み状態にて外側となる支持シートの方が折り畳み状態にて内側となる支持シートよりも広いことを特徴とする。
【0016】
上記のように構成された本発明においては、複数枚積層されて貼着された支持シートが2つの領域に分割された折り部にて折り畳まれる。この際、複数枚の支持シートは、分割された2つの領域の間隔が、折り畳み状態にて外側となる支持シートの方が折り畳み状態にて内側となる支持シートよりも広くなっているため、この複数枚の支持シートを挟み込んで積層された2枚の表面シートのうち折り畳み状態にて外側となる表面シートの、折り畳み状態にて内側となる表面シートに対する周径の差が小さくなり、それにより、折り畳み状態にて外側となる表面シートの伸び量が小さくなり、積層シートを折り畳んだ後に見開いた場合に、折り畳み状態にて外側となる表面シートに生じるたるみの量が抑制される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明においては、複数枚積層され、それぞれが2つに分割された支持シートが、分割された2つの領域の間隔が、折り畳み状態にて外側となる支持シートの方が折り畳み状態にて内側となる支持シートよりも広くなっているため、この複数枚の支持シートを挟み込んで積層された2枚の表面シートのうち折り畳み状態にて外側となる表面シートの、折り畳み状態にて内側となる表面シートに対する周径の差が小さくなり、それにより、全体の強度を確保しながらも筋押し加工を施すことなく折り畳み可能に構成され、折り畳まれた状態から見開いた場合に生じるたるみの量を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の積層シートとなる音声メッセージ伝達シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態における内側の面の構成を示す図、(b)は内部構造を示す図、(c)は音声情報記録/再生部30が挟み込まれた部分の断面図である。
【0020】
本形態は図1に示すように、第1紙片領域2と第2紙片領域3とが折り部4を介して折り畳み可能に連接して構成されており、音声情報の記録及び再生が可能なシート状の音声情報記録/再生部30が、紙基材等の柔軟性を有し、かつ薄型の基材からなる2枚の支持シート20a,20bに挟み込まれ、また、音声情報記録/再生部30が挟まれた支持シート20a,20bが、紙基材等の柔軟性を有し、かつ薄型の基材からなる2枚の表面シート10a,10bに挟み込まれている。なお、表面シート10a,10b、支持シート20a,20b及び音声情報記録/再生部30は、支持シート20a,20bの表裏に塗布された粘着剤50によって互いに貼着されている。また、第1紙片領域2は、その一部の領域に開口部2aが形成されており、音声情報記録/再生部30は、この第1紙片領域2内にて支持シート20a,20bに挟み込まれている。
【0021】
音声情報記録/再生部30は、ピエゾ素子41、振動板42及びフィルムシート(不図示)からシート状に構成されて音声情報を出力するための音声情報出力部40と、外部から入力された音声情報が記録されるメモリ領域を具備する薄型のICチップ34やコンデンサ、抵抗等の回路素子が搭載されるとともに、外部からICチップ34に音声情報を記録するための接続端子35を含む導電パターンが形成された音声基板32と、音声基板32に形成された導電パターンの一部を導通させるためのスイッチ33と、音声基板32に接続され、音声基板32に電源を供給するための柔軟性を有してなるペーパー電池31とから構成されており、これにより、音声情報記録/再生部30は、音声情報の記録及び再生が可能に構成されている。音声基板32においては、柔軟性を有し、かつ薄型の繊維強化プラスチック(FRP)やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミドあるいはリードフレーム等からなるベース基板に、異方性導電性接着剤(ACP)や異方性導電性フィルム(ACF)あるいはワイヤボンディング等によってICチップ34が接合されている。また、ICチップ34は、接続端子35を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録し、また、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力する制御を行う。また、スイッチ33は、ICチップ34のメモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力する際に操作されるものである。
【0022】
また、この音声情報記録/再生部30を挟み込んでいる2枚の支持シート20a,20bは、折り部4にてそれぞれ2つの領域に分割されており、分割された2つの領域の間隔が、折り畳み状態にて外側となる支持シート20bの間隔t1の方が折り畳み状態にて内側となる支持シート20aの間隔t2よりも広くなっている。そして、この間隔の違いによって生じた段差部分においては、支持シート20aの一部が表出することになるが、この部分には粘着剤50は塗布されていない。
【0023】
図2は、図1に示した音声メッセージ伝達シート1の積層状態を示す図である。
【0024】
図2に示すように、支持シート20aにおいては、音声情報記録/再生部30と積層された場合に、スイッチ33、ICチップ34及び音声情報出力部40と対向する領域に穴22,23,24aがそれぞれ形成されており、また、表面シート10aの開口部2aに対向する領域にも開口部2aと同じ大きさ及び形状の穴25aが形成されている。
【0025】
また、支持シート20bにおいては、音声情報記録/再生部30と積層された場合に、ペーパー電池31及び音声情報出力部40と対向する領域に穴21,24bがそれぞれ形成されており、また、表面シート10aの開口部2aに対向する領域にも開口部2aと同じ大きさ及び形状の穴25bが形成されている。
【0026】
このように、支持シート20aの、スイッチ33、ICチップ34及び音声情報出力部40と対向する領域に穴22,23,24aがそれぞれ形成され、また、支持シート20bの、ペーパー電池31及び音声情報出力部40と対向する領域に穴21,24bがそれぞれ形成されることにより、ペーパー電池31、スイッチ33、ICチップ34及び音声情報出力部40が設けられている領域と他の領域とで厚さの差が小さくなり、それにより、表面シート10a,10bの平坦性が向上し、表面シート10a,10b上に情報を容易に印刷することができるようになる。さらには、音声情報記録/再生部30の最も厚い部分の厚さに対して、支持シート20a,20bの厚さを合計した厚さを同等、若しくは厚くすることにより、表面シート10a,10bをほぼ平坦な状態とすることができる。この場合、音声情報記録/再生部30の薄い部分、例えば音声基板32の部分を支持シート20a,20bにより挟み込むことによって音声基板32が固定される。また、表面シート10a,10bは、支持シート20a,20bに貼着されているため、音声情報記録/再生部30に凹凸があった場合でも、押し付けることにより凹むことはあったとしても、インクジェット方式のような押し付ける力がないものであれば平坦な状態を保持できるため印字も可能となる。
【0027】
図3は、図1及び図2に示した支持シート20a,20bと音声情報記録/再生部30とを積層した状態を示す図であり、(a)は支持シート20aと音声情報記録/再生部30とを積層した状態を示す図、(b)は支持シート20bと音声情報記録/再生部30とを積層した状態を示す図である。
【0028】
図3(a)に示すように、支持シート20aのスイッチ33と対向する領域に形成された穴22はスイッチ33よりも大きく、また、ICチップ34と対向する領域に形成された穴23はICチップ34よりも大きく、また、音声情報出力部40と対向する領域に形成された穴24aは音声情報出力部40よりも大きくなっている。
【0029】
また、図3(b)に示すように、支持シート20bのペーパー電池31と対向する領域に形成された穴21はペーパー電池31よりも小さく、また、音声情報出力部40と対向する領域に形成された穴24bは音声情報出力部40よりも小さくなっている。
【0030】
これにより、音声情報記録/再生部30は、2枚の支持シート20a,20bによって一部のみが表裏から挟み込まれるように積層され、支持シート20a,20bの表裏に塗布された粘着剤50によって固定されている。
【0031】
また、2枚の表面シート10a,10bのうち、支持シート20aの穴22,23を介してスイッチ33及びICチップ34と対向する側の表面シート10aにおいては、第1紙片領域2において、支持シート20aの穴22を介してスイッチ33と対向する領域にスイッチ33を操作するための再生ボタン2bが印刷され、また、支持シート20aの穴24aを介して音声情報出力部40と対向する領域に、音声情報出力部40から出力された音声を外部に出力するための微細な穴が羅列されてなる音声出力領域2cが形成されている。このように微細な穴が羅列されてなる音声出力領域2cが形成されているため、音声情報出力部40が表裏を表面シート10a,10bで覆われた状態であっても、音声情報出力部40から出力される音量の低下を補うことができる。なお、音声出力領域2cにおいては、例えば、レーザ加工によって、0.1mm径の穴が縦横2.0mm間隔で形成されている。そのため、抜き加工や針等によって穴を形成する場合と比べてバリが発生せず、その後そのバリによって穴が塞がれてしまうことはない。また、再生ボタン2bにおいては、印刷によって表面シート10a上に設けておかず、表面シート10aに情報が印刷された後に、スイッチ33に対向する領域にシールを貼付することによって設けることも考えられる。
【0032】
また、表面シート10aの第2紙片領域3には、折り部4を介して折り畳んだ場合に開口部2aと対向する領域に、宛先情報が記載されたラベルを貼付したり、宛先情報を印刷あるいは記入したりするための宛先情報表示領域3aが設けられているとともに、その他の領域に、この音声メッセージ伝達シート1の発送元から発送先に通知すべき情報を印刷あるいは記入するための通知情報表示領域3bが設けられている。
【0033】
また、表面シート10bには、表面シート10aの開口部2aに対向する領域に開口部2aと同じ大きさ及び形状の開口部2dが形成されている。
【0034】
以下に、上述した音声メッセージ伝達シート1の使用方法について説明する。
【0035】
上記のように製造された音声メッセージ伝達シート1は、まず、音声基板32に設けられた接続端子35が音声入力源に接続され、音声メッセージ伝達シート1の発送元から発送先に伝達したい音声情報が接続端子35を介してICチップ34に記録される。
【0036】
次に、宛先情報表示領域3aに、ラベルの貼付等によって宛先情報が付与されるとともに、通知情報表示領域3bに情報が印刷あるいは記入される。
【0037】
その後、表面シート10aが内側となるように折り部4にて折り畳まれ、音声メッセージ伝達シート1の発送先に発送される。この際、表面シート10aの宛先情報表示領域3aが設けられた第2紙片領域3が第1紙片領域2によって覆われるものの、第1紙片領域2の宛先情報表示領域3aと対向する領域には開口部2aが形成されているため、宛先情報表示領域3aに付与された宛先情報は折り畳み状態であっても外部から視認可能となっている。また、折り部4にて折り畳まれた音声メッセージ伝達シート1は、例えば窓開き封筒に封入されて発送されることが考えられるが、その際、窓開き封筒の窓開き部分から宛先情報表示領域3aを視認可能とすることになるため、開口部2a及び宛先情報表示領域3aの位置を、窓開き封筒における切手の貼付位置が確保されるような位置に設定することになる。
【0038】
図4は、図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シート1の折り畳み操作による作用を説明するための図であり、(a)は図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シート1が折り畳まれる前の状態を示す断面図、(b)は図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シート1が折り畳まれた状態を示す断面図、(c)は図8に示した積層シート601が折り畳まれる前の状態を示す断面図、(d)は図8に示した積層シート601が折り畳まれた状態を示す断面図である。なお、図4(b),(d)においては、説明をわかりやすくするために表面シート10a,10b,610a,610bの厚さ成分は図示していない。
【0039】
上述したように、図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シート1においては、支持シート20a,20bが折り部4にてそれぞれ2つの領域に分割されており、分割された2つの領域の間隔が、折り畳み状態にて外側となる支持シート20bの間隔の方が折り畳み状態にて内側となる支持シート20aの間隔よりも広くなっている。ここで、図4(a)に示すように、支持シート20aの2つの領域の間隔を2aとし、また、支持シート20aの2つの領域の間隔と支持シート20bの2つの領域の間隔との差を2bとする。
【0040】
この場合、図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シート1が折り畳まれる前の状態においては、折り畳み状態にて外側となる表面シート10bの支持シート20bに貼着されていない部分の長さは、(2a+2b)となる。
【0041】
この状態から音声メッセージ伝達シート1を、表面シート10bが外側になるように折り部4にて折り畳むと、図4(b)に示すように、表面シート10bの支持シート20bに貼着されていない部分の長さは、図中点Xから点Zを経由して点Yまでの長さの2倍となる。点Xから点Zまでの長さは、支持シート20a,20bの合計した厚さをtとすると、(a2+(t/2)21/2となり、また、点Zから点Yまでの長さは、(b2+(t/2)21/2となる。これにより、音声メッセージ伝達シート1が、表面シート10bが外側になるように折り部4にて折り畳まれた状態における表面シート10bの支持シート20bに貼着されていない部分の長さは、2{(a2+(t/2)21/2+(b2+(t/2)21/2}となる。なお、この際、支持シート20aのうち、支持シート20a,20bの段差部分によって表出した部分においては、粘着剤50が塗布されていないため、この部分に表面シート10bが貼着してしまうことはない。
【0042】
一方、図8に示した積層シート601について、図4(c)に示すように、支持シート620a,620bの分割された2つの領域の間隔を2cとする。
【0043】
この場合、図8に示した積層シート601が折り畳まれる前の状態においては、折り畳み状態にて外側となる表面シート610bの支持シート620bに貼着されていない部分の長さは、2cとなる。
【0044】
この状態から積層シート601を、表面シート610bが外側になるように折り部604にて折り畳むと、図4(d)に示すように、表面シート610bの支持シート620bに貼着されていない部分の長さは、図中点Xから点Yまでの長さの2倍となり、支持シート620a,620bの合計した厚さをtとすると、2(c2+t21/2となる。
【0045】
図5は、図4に示したそれぞれの状態における折り畳み状態外側となる表面シートの伸び率を説明するための図である。
【0046】
図4において、a=2(mm),b=4(mm)とすると、図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シート1が折り畳まれる前の状態における表面シート10bの支持シート20bに貼着されていない部分の長さは、(2a+2b)=12(mm)となる。また、音声メッセージ伝達シート1が折り部4にて折り畳まれた状態における表面シート10bの支持シート20bに貼着されていない部分の長さは、t=0.5(mm)とすると、2{(a2+(t/2)21/2+(b2+(t/2)21/2}=12.047(mm)となる。
【0047】
これにより、図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シート1の表面シート10bの伸び率は、(12.047/12)−1=0.0039=0.39(%)となる。
【0048】
一方、図4において、c=4(mm)とすると、図8に示した積層シート601が折り畳まれる前の状態における表面シート610bの支持シート620bに貼着されていない部分の長さは、2c=8(mm)となる。また、積層シート601が折り部604にて折り畳まれた状態における表面シート610bの支持シート620bに貼着されていない部分の長さは、t=0.5(mm)とすると、2(c2+t21/2=8.062(mm)となる。
【0049】
これにより、図8に示した積層シート601の表面シート610bの伸び率は、(8.062/8)−1=0.0076=0.76(%)となる。
【0050】
このように、図1〜3に示した音声メッセージ伝達シート1及び図8に示した積層シート601を折り部4,604にて折り畳んだ場合、折り畳み状態にて外側となる表面シート10b,610bの伸び率が、図8に示した積層シート601よりも図1〜3に示した音声メッセージ伝達シート1の方が小さくなり、それにより、その後、音声メッセージ伝達シート1を見開いた場合に、折り畳み状態にて外側となる表面シート10bに生じるたるみの量が抑制されることになる。
【0051】
なお、上述したような支持シート20a,20bの分割された2つの領域の間隔の値は一例であって、折り畳み状態にて外側となる支持シート20bの方が折り畳み状態にて内側となる支持シート20aよりも広ければ適宜設定可能である。ただし、折り畳み状態にて外側となる支持シート20bの2つの領域の間隔が広すぎると製品外観が損なわれ、また、折り畳み状態にて内側となる支持シート20aの2つの領域の間隔が狭すぎると折り部4にて皺が発生してしまうことになるため、これらの条件も含めて適宜設定する必要がある。
【0052】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の積層シートとなる音声メッセージ伝達シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態における内側の面の構成を示す図、(b)は内部構造を示す図、(c)は音声情報記録/再生部30が挟み込まれた部分の断面図である。
【0053】
本形態は図6に示すように、図1に示したものに対して、支持シート20bの表面シート10bと対向する面のうち、2つの領域に分割される部分に沿った領域には粘着剤50が塗布されておらず、それにより、表面シート10bと支持シート20bとが貼着されていない領域が広がっている点のみが異なるものである。
【0054】
上記のように構成された音声メッセージ伝達シート101においては、折り部4にて折り畳まれた場合に、折り畳み状態にて外側となる表面シート10bのうち支持シート20bと対向していない領域のみが伸びるのではなく、表面シート10bの支持シート20bと対向し、かつ支持シート20bと貼着されていない領域も伸びることになり、それにより、音声メッセージ伝達シート101が折り畳まれた場合に表面シート10bの伸びが分散し、その後、音声メッセージ伝達シート101が見開かれた場合に、表面シート10bに生じるたるみの量がさらに抑制されることになる。
【0055】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の積層シートとなる音声メッセージ伝達シートの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態における内側の面の構成を示す図、(b)は内部構造を示す図、(c)は音声情報記録/再生部30が挟み込まれた部分の断面図である。
【0056】
本形態は図7に示すように、図1に示したものに対して、支持シート20aの両面の全面に粘着剤50が塗布され、支持シート20aのうち、支持シート20a,20bの段差部分によって表出した部分に粘着剤50を介して剥離紙60が貼着されている点のみが異なるものである。なお、剥離紙60は、支持シート20bの厚さよりも薄いものである。
【0057】
このような音声メッセージ伝達シート201を作製する場合は、支持シート20a,20bの両面の全面に粘着剤50を介して剥離紙60が貼着された状態から剥離紙60が剥離され、音声情報記録/再生部30を挟み込んで支持シート20a,20bが互いに貼着されることになるが、支持シート20aの支持シート20bとの貼着面に貼着された剥離紙60に対して、支持シート20aが支持シート20bに貼着された場合に段差を生じさせる支持シート20bの縁に沿うようにハーフスリット加工を施しておけば、支持シート20aから剥離紙60を剥離する際に、支持シート20aのうち、支持シート20bとの段差部分によって表出した部分のみに剥離紙60を残存させることができる。
【0058】
上記のように構成された音声メッセージ伝達シート201においては、支持シート20aのうち、支持シート20a,20bの段差部分によって表出した部分に剥離紙60が貼着されているため、この部分が表面シート10bに貼着してしまうことはなく、第1の実施の形態にて示した作用が生じることを妨げてしまうことがない。また、第1の実施の形態にて示したものに対して、支持シート20aへの粘着剤50の塗布領域を精細に規定する必要がない。
【0059】
なお、本形態においては、支持シート20aのうち、支持シート20bとの段差部分によって表出した部分に粘着剤50を介して剥離紙60を貼着することにより、表面シート10bが支持シート20aの表出した部分と貼着してしまうことを回避しているが、表面シート10bの支持シート20bと対向しない領域に剥離剤を塗布しておくことにより、表面シート10bが支持シート20aの表出した部分と貼着してしまうことを回避する構成とすることも考えられる。
【0060】
また、上述した3つの実施の形態においては、本発明の積層シートとして、2枚の支持シートが音声情報記録/再生部30を挟み込んで積層されて貼着され、互いに貼着された2枚の支持シートが2枚の表面シートに挟み込まれて貼着された音声メッセージ伝達シートを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、3枚以上の支持シートが積層されて貼着され、その支持シートが2枚の表面シートに挟み込まれて貼着された書籍等においても、適宜適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の積層シートとなる音声メッセージ伝達シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態における内側の面の構成を示す図、(b)は内部構造を示す図、(c)は音声情報記録/再生部が挟み込まれた部分の断面図である。
【図2】図1に示した音声メッセージ伝達シートの積層状態を示す図である。
【図3】図1及び図2に示した支持シートと音声情報記録/再生部とを積層した状態を示す図である。
【図4】図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シートの折り畳み操作による作用を説明するための図であり、(a)は図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シートが折り畳まれる前の状態を示す断面図、(b)は図1〜図3に示した音声メッセージ伝達シートが折り畳まれた状態を示す断面図、(c)は図8に示した積層シートが折り畳まれる前の状態を示す断面図、(d)は図8に示した積層シートが折り畳まれた状態を示す断面図である。
【図5】図4に示したそれぞれの状態における折り畳み状態外側となる表面シートの伸び率を説明するための図である。
【図6】本発明の積層シートとなる音声メッセージ伝達シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態における内側の面の構成を示す図、(b)は内部構造を示す図、(c)は音声情報記録/再生部が挟み込まれた部分の断面図である。
【図7】本発明の積層シートとなる音声メッセージ伝達シートの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態における内側の面の構成を示す図、(b)は内部構造を示す図、(c)は音声情報記録/再生部が挟み込まれた部分の断面図である。
【図8】複数枚のシートが積層され、筋押し加工が施された積層シートの従来例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は断面図である。
【図9】複数枚のシートが積層され、筋押し加工を施さずに折り畳み可能に構成された積層シートの従来例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は断面図、(c)は折り畳み状態における断面図、(d)は折り畳み状態から見開いた状態における断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1,101,201 音声メッセージ伝達シート
2 第1紙片領域
2a,2b 開口部
2b 再生ボタン
2c 音声出力領域
3 第2紙片領域
3a 宛先情報表示領域
3b 通知情報表示領域
4 折り部
10a,10b 表面シート
20a,20b 支持シート
21,22,23,24a,24b,25a,25b 穴
30 音声情報記録/再生部
31 ペーパー電池
32 音声基板
33 スイッチ
34 ICチップ
35 接続端子
40 音声情報出力部
41 ピエゾ素子
42 振動板
50 粘着剤
60 剥離紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の支持シートが積層されて貼着され、前記複数枚の支持シートが2枚の表面シートに挟み込まれて貼着され、折り部によって折り畳み可能に構成された積層シートにおいて、
前記複数枚の支持シートは、前記折り部にて2つの領域にそれぞれ分割され、該分割された2つの領域の間隔が、折り畳み状態にて外側となる支持シートの方が折り畳み状態にて内側となる支持シートよりも広いことを特徴とする積層シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−196565(P2007−196565A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18992(P2006−18992)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】