説明

積層セラミック電子部品の製造方法およびグリーンシートの製造装置

【課題】 誘電体層および電極層を薄層化した場合であっても、耐圧不良の改善および電極被覆層の被覆率の向上を実現でき、かつ、積層性を向上できる積層セラミック電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】 支持体22の表面にグリーンシート14を形成する工程と、前記グリーンシート14に対して、前記グリーンシート14の厚み方向に、遠心力を加える工程と、を有する積層セラミック電子部品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品の製造方法およびグリーンシートの製造装置に係り、さらに詳しくは、誘電体層および電極層を薄層化した場合であっても、耐圧不良の改善および電極被覆率の向上を実現でき、かつ、積層性を向上できる積層セラミック電子部品の製造方法に関する。また、本発明は、耐圧不良の改善および電極被覆率の向上を実現するために好適に用いられるグリーンシートを製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子部品の小型化に伴い、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の小型化や大容量化が求められてきている。積層セラミックコンデンサの小型化および大容量化を実現するには、1層あたりの誘電体層厚みをできるだけ薄くし(薄層化)、所定サイズにおける誘電体層の積層数をできるだけ増やす(多層化)ことが重要である。
【0003】
積層セラミックコンデンサの製造工程は以下のように示される。まず、内部電極層が形成された誘電体シートが複数用意される。そして、複数の誘電体シートを積層圧着し積層体とする。積層体はプレス、切断工程を経てセラミックグリーンチップとなる。得られたセラミックグリーンチップは、脱バインダ、焼成工程を経て、焼成体となり外部電極を形成しセラミック電子部品を得る。
【0004】
誘電体シートを作製するには、まず、所定組成に調整されたセラミック原料粉末と、バインダ溶液とを互いに混合することによってセラミックスラリーを得る。その後、ドクターブレード法や、引上げ法、リバースロールコータなどを用いてセラミックスラリーを支持体としてのキャリアフィルム上に薄膜状にシート成形し、薄肉な誘電体シートとし、これを加熱乾燥することで形成される。
【0005】
また、内部電極層の形成に用いられる内部電極ペーストは、ニッケル等の導電性材料(金属粉末)を有機バインダ及び有機溶剤等に分散させてペースト状にしたものである。内部電極層は電極ペーストをスクリーン印刷法やグラビア印刷法などを用いて、セラミック成形体表面または支持体上に印刷し、電極ペーストに含まれる有機溶剤を乾燥させることにより形成される。
【0006】
ところで、近年、積層セラミックコンデンサをはじめとする種々の積層セラミック電子部品に対しては、他の電子素子に対するのと同様に、小型化、高性能化が求められるようになっている。そして、そのためには、積層セラミック電子部品の製造に用いられるセラミックグリーンシートを薄くすることが必要になり、近年は、その製造工程において、厚みが3μm以下の極めて薄い誘電体シートが要望されている。
【0007】
しかしながら、誘電体シートの薄層化を進めると、誘電体シートに含まれる誘電体粉末(顔料)の充填性が悪化し、シートのキャリアフィルム側には空隙が存在する傾向にある。その結果、焼成後の積層セラミックコンデンサにおいて、耐圧不良が発生するという問題が生じている。
【0008】
また、内部電極層の薄層化を進めると、電極に含まれる導電性材料の充填性が悪化し、焼成後の積層セラミックコンデンサにおいて、電極被覆率が低下する傾向にある。
【0009】
また、誘電体シートまたは内部電極層の充填性が悪化すると、誘電体シートまたは内部電極層の表面側におけるバインダ樹脂が少なくなり、密着性が悪く、積層性が悪化する傾向にあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、誘電体層および電極層を薄層化した場合であっても、耐圧不良の改善および電極被覆層の被覆率の向上を実現でき、かつ、積層性を向上できる積層セラミック電子部品の製造方法を提供することを目的としている。さらに、本発明の別の目的は、耐圧不良の改善および電極被覆層の被覆率の向上を実現でき、かつ、積層性を向上できる積層セラミック電子部品の製造に好適に用いられるグリーンシートの製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、
支持体の表面にグリーンシートを形成する工程と、
前記グリーンシートに対して、前記グリーンシートの厚み方向に、遠心力を加える工程と、を有する。
【0012】
本発明において、「グリーンシート」は、特に制限されず、セラミック原料粉末を含む誘電体シート単独であってもよいし、導電性材料を含む電極パターンシート単独であってもよい。また、セラミックグリーンシートの表面に電極パターンが形成された積層体であってもよい。
【0013】
好ましくは、遠心力を加える工程において、前記グリーンシートを固化させる。
【0014】
好ましくは、前記グリーンシートの厚みが1μm以下である。
【0015】
好ましくは、遠心力を加える際の遠心加速度が、5G以上3000G以下である。
【0016】
好ましくは、前記グリーンシートを、前記グリーンシートの厚み方向に垂直な面で、2層に等分し、前記支持体側の層を下層部とし、前記グリーンシートの表面側の層を上層部とした場合に、
前記下層部に存在するセラミック原料粉末の前記下層部における充填率が、前記上層部に存在するセラミック原料粉末の前記上層部における充填率よりも大きい。
【0017】
好ましくは、前記グリーンシートを、前記グリーンシートの厚み方向に垂直な面で、2層に等分し、前記支持体側の層を下層部とし、前記グリーンシートの表面側の層を上層部とした場合に、
前記下層部に存在する導電性材料の前記下層部における充填率が、前記上層部に存在する導電性材料の前記上層部における充填率よりも大きい。
【0018】
好ましくは、前記上層部に存在するバインダ樹脂の前記上層部における充填率が、前記下層部に存在するバインダ樹脂の前記下層部における充填率よりも大きい。
【0019】
好ましくは、前記セラミック原料粉末として、主成分原料粉末に副成分原料をあらかじめ反応させている粉末を用いる。
【0020】
好ましくは、前記導電性材料として、導電性金属粉末表面を酸化物または有機金属化合物で被覆させている粉末を用いる。
【0021】
本発明に係るグリーンシートの製造装置は
グリーンシートを形成するための支持体と、
前記グリーンシートに対して遠心力を加える手段と、を有する。
【0022】
好ましくは、グリーンシートを固化させる手段をさらに有する。
【0023】
好ましくは、前記支持体を複数有する。
【0024】
好ましくは、前記支持体を、前記グリーンシートの厚み方向に平行な面で切断したときに、前記支持体の断面形状の少なくとも一部が円弧状である。
【0025】
好ましくは、前記支持体が、前記グリーンシートが形成されることとなる面の延長面上に、前記グリーンシートが形成されない面を有している。
【0026】
好ましくは、前記支持体が、前記支持体の面上における前記グリーンシートの移動を規制する機能を有している。
【0027】
好ましくは、前記支持体が、前記グリーンシートの変形を防止する機能を有している。
【0028】
好ましくは、前記支持体の変形を防止するための保持体をさらに有しており、
前記保持体が、前記支持体の面上における前記グリーンシートの移動を規制する機能を有している。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るセラミック電子部品の製造方法では、支持体の表面にグリーンシートを形成した後、グリーンシートを固化させていない状態で、グリーンシートの厚み方向に遠心力を加える。グリーンシートが誘電体シートの場合には、遠心力が加わることにより、比較的に密度の大きいセラミック原料粉末が支持体側に集まるようになり、シート中の支持体側におけるセラミック原料粉末の充填性を向上させることができる。その結果、焼成後の積層セラミック電子部品における耐圧不良を改善することができる。
また、グリーンシートが電極パターンシートの場合には、遠心力が加わることにより、比較的に密度の大きい導電性材料が支持体側に集まるようになり、シート中の支持体側における導電性材料の充填性を向上させることができる。その結果、焼成後の積層セラミック電子部品において、電極被覆率を向上させることができる。
さらには、遠心力が作用した結果、グリーンシートの表面側には比較的に密度の小さいバインダ樹脂が多く存在することとなる。そのため、グリーンシートの積層の際には、グリーンシート同士の密着性が増し、スタック性を向上させることができる。
【0030】
上記の作用効果は、遠心力を加える工程において、グリーンシートを固化させることで、さらに高めることができる。遠心力の作用により、支持体側に多く存在するようになったセラミック原料粉末(または導電性材料)を、固化させることで、容易にその状態で維持することができるからである。
【0031】
また、遠心力を加える際の条件やセラミック原料粉末(または導電性材料)の状態を制御することによっても上記の作用効果を高めることができる。
【0032】
本発明のグリーンシートの製造装置によれば、誘電体層および電極層を薄層化した場合であっても、耐圧不良の改善および電極層の被覆率の向上を実現でき、かつ、積層性を向上できる積層セラミック電子部品の製造に用いて好適なグリーンシートを得ることができる。特に、上記の積層セラミック電子部品の製造方法を効率的かつ効果的に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2はグリーンシートを形成する工程を示す概略図、
図3は本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図、
図4は本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の要部平面図、
図5は本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の要部平面図、
図6は遠心力印加後の誘電体シートの概略断面図、
図7〜図10は本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図、
図11(A)は図10に示すグリーンシートの製造装置の要部平面図、図11(B)は図10に示すグリーンシートの製造装置の要部正面図、
図12は本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図、
図13は本発明の第2実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図、
図14〜図17は本発明のその他の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図である。
【0034】
(第1実施形態)
積層セラミックコンデンサの全体構成
まず、本発明に係る電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
【0035】
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、外部電極6、8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の一方の端部の外側に形成してある外部電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の他方の端部の外側に形成してある外部電極8の内側に対して電気的に接続してある。
【0036】
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどを主成分とする誘電体材料で構成される。各誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。特に本実施形態では、好ましくは1μm以下に薄層化されている。
【0037】
内部電極層12に含有される導電性材料は、特に限定されないが、Cu、Niおよびこれらの合金から選ばれる少なくとも1種で構成してあることが好ましく、より好ましくはNiまたはNi合金である。NiまたはNi合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される少なくとも1種の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P、Fe、Mgなどの各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。
【0038】
内部電極層12の厚さは、用途などに応じて適宜決定すればよいが、通常1〜2μm程度である。ただし、特性上悪影響を及ぼすほどの電極の途切れが生じることがない範囲で薄い方が望ましい。特に本実施形態では、好ましくは1μm以下に薄層化されている。
【0039】
外部電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
【0040】
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm、好ましくは0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.3〜1.6mm)程度である。
【0041】
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2を製造する方法の一例を説明する。
【0042】
まず、焼成後に図1に示す誘電体層10を形成するための誘電体層用ペーストと、焼成後に図1に示す内部電極層12を形成するための内部電極層用ペーストを準備する。また、外部電極用ペーストも準備する。
【0043】
誘電体層用ペーストは、セラミック原料粉末としての誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して調製する。本実施形態で用いる誘電体原料としては、上述した誘電体材料を所定の組成比で秤量したものを用いる。
【0044】
なお、上記の誘電体原料は、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
【0045】
本実施形態では、上記の誘電体原料として、主成分原料粉末(チタン酸バリウム粉末など)に副成分原料の少なくとも一部をあらかじめ反応させていることが好ましい。上記副成分としては、Rの酸化物、Mnの酸化物、Vの酸化物、BaおよびCaの酸化物、Siの酸化物を含有することが好ましい。上記Rの酸化物のRは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1つの元素である。すなわちRの酸化物は、希土類元素の酸化物である。あらかじめ反応させるための方法としては、仮焼き法などの固相法に限らず、シュウ酸塩法、水熱合成法、ゾルゲル法などの液相合成法でもよい。
【0046】
また、誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の所望の組成となるように決定すればよい。
【0047】
塗料化する前の状態で、誘電体原料の平均粒径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.1μm〜0.5μm程度である。
【0048】
有機ビヒクルは、バインダおよび溶剤を含有するものである。バインダとしては、例えばエチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダを用いることができる。溶剤も、特に限定されるものではなく、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、キシレン、エタノールなどの有機溶剤が用いられる。
【0049】
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と、水中に水溶性バインダを溶解させたビヒクルを混練して、形成することもできる。水溶性バインダは、特に限定されるものではなく、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。
【0050】
内部電極層用ペーストは、上述した各種導電性金属や合金からなる導電性材料あるいは焼成後に上述した導電性材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製される。外部電極用ペーストも、この内部電極層用ペーストと同様にして調製される。
【0051】
本実施形態では、上記の導電性材料として、導電性金属粉末表面を酸化物または有機金属化合物で被覆されていることが好ましい。酸化物としては、TiO、BaTiO、BaZrO、などが挙げられ、有機金属化合物としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Ti、Zrを含む有機金属化合物などが挙げられる。なお、必ずしも導電性金属粉末表面全体を被覆する連続層を形成していなくてもよく、酸化物または有機金属化合物が点在していてもよい。
【0052】
各ペーストの有機ビヒクルの含有量は、特に限定されず、通常の含有量、例えば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて分散剤、可塑剤等が含有されても良い。
【0053】
次に、本発明の一実施形態に係るグリーンシートの製造装置を用いて、グリーンシートを製造する。本発明の一実施形態に係るグリーンシートの製造装置20は、グリーンシートを形成するための支持体と、支持体を保持する保持体と、グリーンシートに対して遠心力を加える遠心力印加装置と、グリーンシート固化装置と、を備える。
【0054】
本実施形態においては、まず、図2(A)に示すように、上記の誘電体層用ペーストを、グリーンシートの製造装置の支持体22にドクターブレード法等の公知の塗工方法により塗布して、グリーンシートとしての誘電体シート10aを得る。得られた誘電体シート10aは、塗布した直後の状態であり、少なくともシートの一部が固化されていない状態である。
【0055】
次に、図2(B)に示すように、上記の内部電極層用ペーストを、誘電体シート10aの表面に塗布して、誘電体シート10aの表面に内部電極パターン12aが形成されたグリーンシートを得る。得られた内部電極パターン12aも誘電体シート10aと同様に、塗布した直後の状態であり、シートの少なくとも一部が固化されていない状態である。
【0056】
あるいは、図2(C)に示すように、上記の内部電極層用ペーストを、たとえば、接着層(図示省略)が形成されている支持体22に塗布して、グリーンシートとしての電極パターンシート12a(内部電極パターン)を得てもよい。そして、得られた電極パターンシート12aを、転写法等により、図2(A)に示す誘電体シート10aに転写し、図2(B)に示す、誘電体シート10aの表面に内部電極パターン12aが形成されたグリーンシートが得られる。
【0057】
なお、図2(D)に示すように、内部電極パターンが形成されていない誘電体シートの表面隙間100(余白パターン部)に、内部電極パターンと実質的に同じ厚みの余白パターン100aを形成してもよい。余白パターンを形成するために用いるペーストの組成は、上記の誘電体層用ペーストの組成と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、図2(A)〜(D)においては、支持体22以外のグリーンシートの製造装置の図示は省略した。
【0058】
次に、ペースト塗布直後の固化されていないグリーンシート(誘電体シート+内部電極パターン)に対して、グリーンシートの製造装置の遠心力印加装置により、遠心力を印加する。
【0059】
図3に示すように、グリーンシート14が形成された支持体22を保持体24が保持している。本実施形態では、支持体22は合成樹脂(PETフィルムなど)から構成されているため、保持体24で支持体22を保持することにより、遠心力を印加する際に、支持体22が変形してしまうことを防止する。その結果、グリーンシート14の変形も防止することができる。
【0060】
支持体22および保持体24には、回転軸26の一端が固定されている。遠心力印加装置は、この回転軸26の他端を中心にして、支持体22および保持体24を、たとえば、図3の矢印の方向に回転させることで、支持体22上に形成されたグリーンシート14に対して遠心力Fを印加することができる。
【0061】
遠心力を加える際の遠心加速度は、好ましくは5〜3000G、より好ましくは10〜1000Gである。遠心加速度が小さすぎると、本発明の効果が得がたくなる傾向にある。一方、遠心加速度は大きくなっても特に問題はないが、設備上の観点から、遠心加速度が上記の上限以下であることが好ましい。なお、「G」は重力加速度を1とした場合の加速度の単位であり、たとえば、3.0Gとは、重力加速度gの3.0倍、すなわち、29.4m/sを意味する。
【0062】
また、遠心力を加える際の回転半径をrとし、回転円の円周方向または接線方向における前記グリーンシートの成形長さをLとしたときに、L≦πrであり、かつ、rが50mm以上1000mm以下であることが好ましい。rが小さすぎると、グリーンシートの形成面積を大きくできない傾向にあることに加え、遠心力を大きくするために必要な回転数が大きくなりすぎる傾向にある。一方、rは大きくなっても特に問題はないが、設備上の観点から、rが上記の上限以下であることが好ましい。なお、図3では、支持体22以外のグリーンシートの製造装置の図示は省略した。
【0063】
本実施形態では、グリーンシートに対して遠心力を加える工程において、該グリーンシートを、グリーンシート固化装置により固化させる。図4に示すように、遠心力を印加する工程において、グリーンシート固化装置28を用いて、グリーンシートを固化する。すなわち、遠心力を印加する工程とグリーンシートを固化する工程とを同一の工程において行う。その結果、生産効率を向上させることができ、かつ、後述する図6に示すグリーンシートの状態を容易に得ることができる。
【0064】
グリーンシートを固化させる手段としては特に制限されないが、グリーンシート固化装置28が、ヒーター等の加熱装置や紫外線等のエネルギー線を照射することで硬化させる装置であることが好ましい。
【0065】
グリーンシート固化装置28は、図4に示すように、グリーンシート14の外周側に設置されていてもよいし、図5に示すように、グリーンシート14の内周側に設置されていてもよい。
【0066】
本実施形態のグリーンシートの製造装置を用いて、グリーンシートとしての誘電体シート10aに遠心力を印加した後の、誘電体シート10aの断面模式図を図6に示す。誘電体シートを図6に示す点線により、支持体側の下層部Aおよび誘電体シートの表面側の上層部Bの上下2層に分けることができる。
【0067】
図6に示すように、遠心力が印加されると、誘電体シート10a中において、比較的密度の大きい誘電体原料粉末11が支持体側、すなわち下層部に集まるようになる。逆に比較的に密度の小さいバインダ樹脂(図示省略)は、シートの表面側、すなわち上層部に集まるようになる。その結果、下層部の誘電体原料粉末11の充填率が高くなり、従来発生していた支持体側の空隙を防止することができる。その結果、焼成後の積層セラミックコンデンサにおける耐圧不良を改善できる。また、充填率が高くなることにより、より薄いシートを形成することができる。
【0068】
また、グリーンシートとしての内部電極パターンシートについても上記と同様に考えることができ、遠心力印加後においては、下層部に導電性材料が多くなり、上層部にはバインダ樹脂が多くなる。その結果、導電性材料の充填率が高くなるため、焼成後の積層セラミックコンデンサにおいて電極被覆率が高くなり、取得容量を向上させることができる。
【0069】
さらには、グリーンシート(誘電体シート+内部電極パターン)を積層する際には、グリーンシートの表面側にバインダ樹脂が多く存在しているため、積層時にグリーンシート同士の密着性が高くなり、スタック性(積層性)が向上する。
【0070】
なお、セラミック原料粉末として、主成分原料粉末に副成分原料の少なくとも一部をあらかじめ反応させた粉末を用いることで、セラミック原料粉末の存在状態が不均一となることを防止することができる。導電性材料として、導電性金属粉末表面を酸化物または有機金属化合物で被覆された粉末を用いる場合についても同様である。
【0071】
本発明では、支持体に形成されたグリーンシートの厚み方向に遠心力が印加される態様であれば、支持体および回転軸の形状は特に制限されない。以下に、支持体および回転軸の形状について例示する。
【0072】
図7に示すように、支持体22および保持体24に固定された回転軸26が2本で構成されていてもよい。すなわち、回転軸26の一端が支持体22および保持体24の両端部近傍に固定され、2本の回転軸の他端が回転の中心となっていてもよい。また、図8に示すように、支持体22および保持体24に固定された回転軸26が略三角形状板であってもよい。すなわち、略三角形状板の一辺が支持体22および保持体24に固定され、この辺に対向する頂点が回転の中心となっていてもよい。
【0073】
図9に示すように、保持体24の一方の端部をグリーンシートの厚み方向に延長し、この延長部分を回転軸26としてもよい。また、図10に示すように、保持体24の両端部をグリーンシートの厚み方向に延長し、この延長部分を回転軸26としてもよい。この場合、グリーンシートの厚み方向に垂直な方向に回転軸26を接続する軸29を設け、図10に示す方向に回転させる。図10に示す場合において、グリーンシート固化装置28を、図11に示すように配置してもよい。この場合には、回転方向に対して垂直な方向から固化させることとなる。
【0074】
また、生産効率を向上させるために、図12に示すように、本発明に係るグリーンシートの製造装置が、複数の支持体22を有していてもよい。
【0075】
このようにして得られたグリーンシートを積層し、焼成後に誘電体層となる誘電体シートと、焼成後に内部電極層となる内部電極パターンと、が交互に積層された積層体を作製する。
【0076】
次に、積層体を所定の寸法に切断してグリーンチップを得る。
【0077】
次に、グリーンチップに対して脱バインダ処理を行う。脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の導電体材料にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
雰囲気 :加湿したNとHとの混合ガス。
保持温度:200〜400℃、
保持時間:0.5〜20時間、
昇温速度:5〜300℃/時間。
【0078】
次に、グリーンチップを焼成して焼結体を得る。焼成条件は、下記の条件が好ましい。
保持温度:1100〜1300℃、
保持時間:0.5〜8時間、
昇温速度:50〜500℃/時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、
雰囲気:加湿したNとHとの混合ガス等。
【0079】
なお、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下、特に10−2〜10−8Paにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
【0080】
次に、得られた焼結体を熱処理して、図1に示すコンデンサ素子本体4を得る。焼成後の熱処理は、保持温度または最高温度を、好ましくは1000℃以上、さらに好ましくは1000〜1100℃として行う。熱処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、内部電極が誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3〜1Pa、より好ましくは10−2〜1Paである。前記範囲未満では、誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲をこえると内部電極層が酸化する傾向にある。そして、そのほかの熱処理条件は下記の条件が好ましい。
保持時間:0〜6時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
【0081】
なお、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。またグリーンチップの脱バインダ処理、焼成、および焼結体の熱処理は、それぞれを連続して行っても、独立に行ってもよい。
【0082】
外部電極のめっき
コンデンサ素子本体4に対して、例えばバレル研磨、サンドブラスト等にて端面研磨を施し、外部電極用ペーストを焼きつけて外部電極6,8が形成され、図1の積層セラミックコンデンサ2が得られる。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、外部電極6,8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
【0083】
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0084】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と共通の部分については、説明を省略する。本実施形態では、図13に示すように、支持体22が保持機能を有していてもよい。すなわち、支持体22が合成樹脂から構成されるのではなく、たとえば、ステンレス等の金属からなる保持材であってもよい。この場合には、グリーンシートが形成される金属面は鏡面仕上げであることが好ましい。
【0085】
(その他の実施形態)
その他の実施形態としては、図14に示すように、支持体22の端部に、グリーンシートの表面より高い突起部30が形成されていてもよい。また、図15に示すように、保持体24の端部に、グリーンシートの表面より高い突起部31が形成されていてもよい。このようにすることにより、遠心力印加時においてグリーンシート14の移動を規制することができる。図16に示すように、支持体22が回転円の円周の円弧状であってもよい。この場合には、遠心力がグリーンシート14に対して均一に印加されるため、上述した効果を均一に得ることができる。さらに、図17に示すように、円筒状の部材32に支持体22が固定されている構成であってもよい。この場合でも上述の効果を得ることができる。
【0086】
また、上述した実施形態では、本発明に係る製造方法により製造される電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る製造方法により製造される電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記の製造方法を用いるものであれば何でも良い。電子部品としては、チップバリスタ、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
【実施例】
【0087】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0088】
実施例1
誘電体層用ペースト
まず、粒径0.1〜1μmのBaTiO、(MgCO・Mg(OH)・5HO、MnCO、BaCO、CaCO、SiO、Y等の粉末を準備する。これらの粉末を、焼成後に、BaTiOとして100モル%、MgOに換算して2モル%、MnOに換算して0.2モル%、BaOに換算して3モル%、CaOに換算して3モル%、SiOに換算して6モル%、Yとして2モル%の組成となるように秤量し、ボールミルにより16時間湿式混合し、次いで、スプレードライヤーで乾燥させて誘電体原料とした。
【0089】
この誘電体原料100重量部と、ポリビニルブチラール6重量部、エタノール80重量部、n−プロパノール80重量部、キシレン30重量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME)70重量部、ミネラルスピリット7.5重量部、分散剤0.7重量部、DOP(フタル酸ジオクチル)3重量部、イミダゾリン系帯電除剤0.4重量部とをボールミルで混合してペースト化した。
【0090】
内部電極層用ペースト
平均粒径0.3μmのNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)40重量部およびブチルカルビトール10重量部とを3本ロールにより混練し、ペースト化した。
【0091】
外部電極用ペースト
平均粒径0.5μmのCu粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)35重量部およびブチルカルビトール7重量部とを混練し、ペースト化した。
【0092】
グリーンシートの作製
ドクターブレード法により、グリーンシート製造装置の支持体(PETフィルム)上に上記誘電体層用ペーストを塗布して、厚さ1μmの誘電体シートを得た。次に、得られた誘電体シート上に内部電極層用ペーストを塗布して、所定パターンの内部電極パターンを形成し、固化されていないグリーンシート(誘電体シート+電極パターンシート)を作製した。
【0093】
グリーンシートへの遠心力印加およびグリーンシートの固化
上記のグリーンシートに対して、表1に示す条件で、グリーンシート製造装置の遠心力印加装置により、遠心力を印加した。その際には、グリーンシート製造装置の加熱装置により80℃でグリーンシートを固化・乾燥させた。なお、回転半径rは、500mmであった。また、このグリーンシートの形成長さLは50mmであった。
【0094】
得られたグリーンシート(誘電体シート+電極パターンシート)について、誘電体シートにおけるセラミック原料粉末(誘電体原料)の充填率を測定した。また、誘電体シートについて、支持体側から0.5μmの厚みの部分を下層部とし、0.5μmから1μmの厚みの部分を上層部として、それぞれについてセラミック原料粉末(誘電体原料)の充填率を測定した。そして、上層部に対する下層部の充填率(充填比率)を算出した。結果を表1に示す。
【0095】
また、電極パターンシートについても、誘電体シートの場合と同様にして、導電性材料の充填率および充填比率を測定した。さらに、電極パターンシートに含まれるバインダ樹脂(エチルセルロース樹脂)についても、上層部に対する下層部の充填率(充填比率)を算出した。結果を表1に示す。
【0096】
積層体の作製
次に、得られたグリーンシートを、次々と積層・圧着して、50層の誘電体グリーンシート層を持つ積層体を得た。積層体を形成するために必要な最低の加圧時間を表1に示す。
【0097】
積層セラミックコンデンサの作製
次に、得られた積層体を常法に従って切断、脱バインダ処理した後、還元雰囲気中で1200℃、2時間焼成を行った。焼成後、再酸化を目的としてアニール処理を行い、コンデンサ素子本体を得た。
【0098】
得られたコンデンサ素子本体の端面をサンドブラストにて研磨した後、上記外部電極用ペーストを前記端面に転写し、N+H雰囲気中で800℃にて10分間焼成して外部電極を形成し、積層セラミックコンデンサ試料を得た。
【0099】
得られた積層セラミックコンデンサ試料は、誘電体層の1層あたりの厚さが1μm、内部電極層の厚さが1μmで、サイズは、2.0mm×1.2mm×1.2mmであった。
【0100】
得られたコンデンササンプルに対して、以下の評価を行った。
【0101】
電極被覆率
電極被覆率は、積層セラミックコンデンサのサンプルを電極表面が露出するように切断し、その電極面をSEM観察し、画像処理することにより測定した。電極被覆率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。結果を表1に示す。
【0102】
耐圧不良
100個のコンデンサ試料に対して、20Vの電圧を印加して電流が10mA以上流れた試料を耐圧不良とし、その不良個数を求め、全体個数に対するパーセンテージ(%)を算出した。結果を表1に示す。
【0103】
【表1】

【0104】
表1より、遠心力を印加することで、電極パターンシートの導電性材料の充填率が大きくなり、しかも、導電性材料が電極パターンシートの下層に存在する割合が大きくなることが確認できる。その結果、焼成後における電極被覆率が向上していることが確認できる。また、誘電体シートのセラミック原料粉末の充填率が大きくなり、しかも、セラミック原料粉末が誘電体シートの下層に存在する割合が大きくなることが確認できる。その結果、焼成後における誘電体層の耐圧不良も改善されていることが確認できる。
【0105】
さらには、電極パターンシートに含まれるバインダ樹脂が、電極パターンシートの上層に存在する割合が大きくなっていることが確認できる。その結果、グリーンシート(誘電体シート+電極パターンシート)の積層性が向上するため、積層体を形成するために必要な加圧時間を減少させることができ、生産効率の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略図を示す。
【図2】図2はグリーンシートを形成する工程を示す概略図を示す。
【図3】図3は本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図4】図4は本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の要部平面図を示す。
【図5】図5は本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の要部平面図を示す。
【図6】図6は遠心力印加後の誘電体シートの概略断面図を示す。
【図7】本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図8】本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図9】本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図10】本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図11】図11(A)は図10に示すグリーンシートの製造装置の要部平面図、図11(B)は図10に示すグリーンシートの製造装置の要部正面図を示す。
【図12】図12は本発明の第1実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図13】図13は本発明の第2実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図14】図14は本発明のその他の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図15】図15は本発明のその他の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図16】図16は本発明のその他の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【図17】図17は本発明のその他の実施形態に係るグリーンシートの製造装置の支持体部の要部概略図を示す。
【符号の説明】
【0107】
2…積層セラミックコンデンサ
4…コンデンサ素体
6…外部電極
8…外部電極
10…誘電体層
10a…誘電体シート
12…内部電極層
12a…電極パターンシート
14…グリーンシート
20…グリーンシート製造装置
22…支持体
24…保持体
26…回転軸
28…グリーンシート固化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の表面にグリーンシートを形成する工程と、
前記グリーンシートに対して、前記グリーンシートの厚み方向に、遠心力を加える工程と、を有することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項2】
遠心力を加える工程において、前記グリーンシートを固化させることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記グリーンシートの厚みが1μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項4】
遠心力を加える際の遠心加速度が、5G以上3000G以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記グリーンシートを、前記グリーンシートの厚み方向に垂直な面で、2層に等分し、前記支持体側の層を下層部とし、前記グリーンシートの表面側の層を上層部とした場合に、
前記下層部に存在するセラミック原料粉末の前記下層部における充填率が、前記上層部に存在するセラミック原料粉末の前記上層部における充填率よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記グリーンシートを、前記グリーンシートの厚み方向に垂直な面で、2層に等分し、前記支持体側の層を下層部とし、前記グリーンシートの表面側の層を上層部とした場合に、
前記下層部に存在する導電性材料の前記下層部における充填率が、前記上層部に存在する導電性材料の前記上層部における充填率よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記上層部に存在するバインダ樹脂の前記上層部における充填率が、前記下層部に存在するバインダ樹脂の前記下層部における充填率よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記セラミック原料粉末として、主成分原料粉末に副成分原料をあらかじめ反応させている粉末を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記導電性材料として、導電性金属粉末表面を酸化物または有機金属化合物で被覆させている粉末を用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項10】
グリーンシートを形成するための支持体と、
前記グリーンシートに対して遠心力を加える手段と、を有するグリーンシートの製造装置。
【請求項11】
前記グリーンシートを固化させる手段をさらに有する請求項10に記載のグリーンシートの製造装置。
【請求項12】
前記支持体を複数有する請求項10または11に記載のグリーンシートの製造装置。
【請求項13】
前記支持体を、前記グリーンシートの厚み方向に平行な面で切断したときに、前記支持体の断面形状の少なくとも一部が円弧状である請求項10〜12のいずれかに記載のグリーンシートの製造装置。
【請求項14】
前記支持体が、前記グリーンシートが形成されることとなる面の延長面上に、前記グリーンシートが形成されない面を有している請求項10〜13のいずれかに記載のグリーンシートの製造装置。
【請求項15】
前記支持体が、前記支持体の面上における前記グリーンシートの移動を規制する機能を有している請求項10〜14のいずれかに記載のグリーンシートの製造装置。
【請求項16】
前記支持体が、前記グリーンシートの変形を防止する機能を有している請求項10〜15のいずれかに記載のグリーンシートの製造装置。
【請求項17】
前記支持体の変形を防止するための保持体をさらに有しており、
前記保持体が、前記支持体の面上における前記グリーンシートの移動を規制する機能を有している請求項10〜16のいずれかに記載のグリーンシートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−224713(P2009−224713A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70061(P2008−70061)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】