説明

積層フィルム

【課題】逆プリズム方式の液晶表示装置のバックライトユニットに反射板として用いたときに高い輝度を得ることができる積層フィルムを提供する。
【解決手段】2ポリエステル95〜99.9重量%および微粒子0.1〜5重量%からなる組成物の層Aと、ポリエステル40〜70重量%および微粒子30〜60重量%からなる組成物の層Bとからなる積層フィルムであって、400〜700nmの光の波長域における平均反射率がフィルムの両面で97%以上であり、層Aの表面の光沢度(60°)が90%以上、層Bの表面の光沢度(60°)が30%以下である積層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルムに関し、詳しくは、ポリエステルからなり反射板として好適に用いることのできる積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトユニットには、ディスプレイの背面に光源を置くバックライト方式と、側面に光源を置くサイドライト方式がある。
サイドライト方式では、厚みをもった透明基材の片面に網点印刷やシボ加工などを施し、透明基材のエッジに冷陰極管などの光源を設置し、エッジから光を入射させる方式であっる。この方式では、光が均一に拡散され、均一な明るさをもった画面を得ることができるほか、エッジに照明を設置するため、バックライトユニットを薄型にできる。
【0003】
光源からの光が画面の背面へ逃げるのを防ぐため、背面には反射板が設置される。この反射板には薄く、かつ高い反射率を備えることが要求され、フィルム内部に微細な気泡を含有する白色ポリエステルフィルムが用いられている。
【0004】
小型の液晶表示装置、例えばノートパソコンや携帯電話などに用いられるバックライトユニットには、近年「逆プリズム方式」の採用が広がり始めている。この逆プリズム方式では、プリズムシートのプリズムの頂角がバックライトユニットの反射板の方に向くように設置されている。この方式では、エッジライトから出た光が導光板を通って反射板で反射した後、従来の方法とは逆向きに設置されたプリズムを通して、光を垂直方向に曲げて、指向性を持った状態で液晶セルに送られる。従来の方法では、反射板で反射されるときに光は拡散され、上向きに向いたプリズムに入る光のうち真上方向に指向性がある光以外はプリズムで反射され、反射板との間で反射を繰り返すうちに減衰し光のロスが発生するので輝度が十分に稼げないことから、この「逆プリズム方式」が用いられるようになった。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−62104号公報
【特許文献2】特公平8−16175号公報
【特許文献3】特開2000−37835号公報
【特許文献4】特開2005―125700号公報
【特許文献5】特開2004−50479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
逆プリズム方式を用いても、従来の反射板を用いたのでは、反射板で拡散する光の割合が高いため、逆プリズムに指向性を持った光を送り込むことができず、逆プリズムから液晶セルに送られる光も指向性を持ったものとならない。この結果、逆プリズム方式の液晶表示装置の輝度を十分に高くできない。
【0007】
本発明はかかる問題点を解決し、逆プリズム方式の液晶表示装置のバックライトユニットに反射板として用いたときに高い輝度を得ることができる積層フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、ポリエステル95〜99.9重量%および微粒子0.1〜5重量%からなる組成物の層Aと、ポリエステル40〜70重量%および微粒子30〜60重量%からなる組成物の層Bとからなる積層フィルムであって、400〜700nmの光の波長域における平均反射率がフィルムの両面で97%以上であり、層Aの表面の光沢度(60°)が90%以上、層Bの表面の光沢度(60°)が30%以下である積層フィルムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、逆プリズム方式の液晶表示装置装置のバックライトユニットに反射板として用いたときに高い輝度を得ることができる積層フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは層Aと層Bからなる。層Aと層Bとは共押出法によって積層され、相互に接している。層Aは、ポリエステル95〜99.9重量%および微粒子0.1〜5重量%からなる組成物から構成される。微粒子が0.1重量%未満であるとフィルムの滑りが悪いため、傷が付きやすい。他方、5重量%を超えるとフィルムが割れやすくなる。
【0011】
層Bは、ポリエステル40〜70重量%および微粒子30〜60重量%からなる組成物から構成される。微粒子が30重量%未満であると反射率が出にくく液晶画面において高輝度が出ない、他方、60重量%を超えるとフィルムが割れやすくなる。
【0012】
[ポリエステル]
本発明におけるポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いる。ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4’―ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸を挙げることができる。ジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1,6―ヘキサンジオールを挙げることができる。これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエステルは共重合ポリエステルを用いることが好ましい。共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分100モル%あたり好ましくは3〜15モル%、さらに好ましくは5〜14モル%、特に好ましくは6〜13モル%である。共重合成分をこの範囲とすることによって、微粒子を多量に含有する層についても優れた製膜性を得ることができ、そして、熱寸法安定性に優れた積層フィルムを得ることできる。
【0013】
[微粒子]
本発明において、微粒子としては無機微粒子、有機微粒子のいずれも用いることができる。複数の粒子を併用してもよい。
無機微粒子としては、白色無機微粒子が好ましく用いられる。この白色無機微粒子としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウムの微粒子を例示することができる。無機微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.2〜3.0μm、さらに好ましくは0.3〜2.5μm、特に好ましくは0.4〜2.0μmである。この範囲の無機微粒子を用いることで、ポリエステル中で適度に分散させることができ、粒子の凝集が起こりずらく、粗大突起のないフィルムを得ることができ、同時に、フィルムの表面が荒れすぎず、適切な範囲に光沢度をコントロールすることができる。なお、無機微粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。無機微粒子は、分散性を向上させるための表面処理を行ってあってもよい。
【0014】
有機微粒子としては、ポリエステルに非相溶な樹脂を用いる。この有機微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレンが融点が高く、熱安定性に優れることから、特に好ましい。有機微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.2〜10μm、さらに好ましくは0.3〜8.0μm、特にも好ましくは0.4〜6.0μmである。この範囲の有機微粒子を用いることで、ポリエステル中で適度に分散させることができ、粒子の凝集が起こりずらく、粗大突起のないフィルムを得ることができ、同時に、フィルムの表面が荒れすぎず、適切な範囲に光沢度をコントロールすることができる。
【0015】
[反射率]
本発明の積層フィルムは、400〜700nmの光の波長域における平均反射率がフィルムの両面で97%以上、好ましくは97.5%以上、特に好ましくは98.0%以上である。この範囲であると、十分に高い輝度を得ることができる。
【0016】
[光沢度]
本発明の積層フィルムの光沢度(60°)は、層Aの表面で90%以上、層Bの表面で30%以下であり、好ましくは層Aの表面で95%以上、層Bの表面で25%以下であり、特に好ましくは層Aの表面で100%以上、層Bの表面で25%以下である。
【0017】
層Aの表面の光沢度が90%未満であると逆プリズムタイプの液晶表示装置の反射板として用いたときに、光の集光効率が悪く輝度の低下を招く。層Bの表面の光沢度が30%を超えると、表面の粗れが少なく、延伸時にフィルムが割れやすくなる。
【0018】
これらの光沢度を達成するためには、層Aをポリエステル95〜99.9重量%および微粒子0.1〜5重量%からなる組成物で構成し、層Bをポリエステル40〜70重量%および微粒子30〜60重量%からなる組成物で構成すればよい。
【0019】
[フィルムの厚み]
本発明の積層フィルムの総厚みは、好ましくは25〜350μm、さらに好ましくは40〜300μm、特に好ましくは50〜250μmである。25μm未満であると反射率が低下して好ましくなく、350μmを超えても反射率の向上が得られず、コスト高となって好ましくない。
【0020】
[製造方法]
以下、本発明の2層積層ポリエステルフィルムを製造する方法の一例として、層A/層Bの積層フィルムの製造方法を説明する。
本発明では、層Aおよび層Bに用いる組成物を、濾過フィルターによって濾過して用いる。このフィルターとして、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用いる。この濾過を行なうことにより、凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑え、粗大異物の少ない積層フィルムを得ることができる。
【0021】
フィードブロックを用いた同時多層押出法により、ダイから溶融したポリエステルの組成物を多層に状態で押出し、積層未延伸シートを製造する。すなわち層Aを形成するポリエステル組成物の溶融物と、層Bを形成するポリエステル組成物の溶融物とを、フィードブロックを用いて層A/層Bとなるように積層し、ダイに展開して押出しを実施する。この時、フィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。
【0022】
ダイより押出された未延伸シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、未延伸フィルムとなる。この未延伸状フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸は、ポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度、さらにはTg〜(Tg+70℃)の温度で行うことが好ましい。延伸倍率は、縦方向、縦方向と直交する方向(以降、横方向と呼ぶ)ともに、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
【0023】
縦延伸後のフィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度から始め、(Tg+5℃)〜(Tg+70℃)の温度まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなる。
【0024】
横延伸後のフィルムは、両端を把持したまま(Tm−20℃)〜(Tm−100℃)で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。熱処理温度が(Tm−20℃)より高いとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。(Tm−100)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがあり好ましくない。また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0026】
(1)平均反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定し、得られたチャートより2nm間隔で反射率を読み取った。フィルムの構成が一方の面が層A、もう一方の面が層Bである場合は、層Aを対象として測定を行った。
【0027】
(2)光沢度
ミノルタ製「Multi−Gloss 268」を用いてJIS K7105に準じ入射角および受光角を60°にあわせて評価した。
【0028】
(3)見かけ比重
フィルムを100×100mm角に切り取り、ダイアルゲージを取り付けたものにて最低10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算した。また、このフィルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10−4gの単位まで読み取った。見かけ比重を下記の式に従って算出した。
見掛け比重=w/d×100
【0029】
(4)画面の明るさ
逆プリズム方式の液晶表示装置に反射板として用いたときの表示装置の輝度を評価した。逆プリズムタイプのバックライトユニットを備えるソニー(株)製VAIO(VGN−S52B/S)のバックライトの反射フィルムを取り外し、かわり評価対象のフィルムを設置し、輝度計(TOPCON製BM−7)を用いて、測定距離850mmで輝度を測定した。測定回数は3回とし、その平均値をとった。輝度を下記の基準で評価した。
◎:3000cd/m以上
○:2950cd/m以上3000cd/m未満
△:2900cd/m以上2950cd/m未満
×:2900cd/m未満
【0030】
(5)フィルムの各層厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、平均厚みを求めた。
【0031】
(6)延伸性
縦方向2.5〜3.4倍、横方向3.5〜3.8倍に延伸して製膜し、安定に製膜できるか観察した。下記基準で評価した。
○:1時間以上安定に製膜できる
×:1時間以内に切断が発生し、安定な製膜ができない。
【0032】
(7)ガラス転移点(Tg)、融点(Tm)
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20m/分で測定を行った。
【0033】
(8)微粒子の平均粒径
微粒子をエチレングリコールに分散して、島津製作所製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定した。エチレングリコールへの分散は、微粒子の粉体を、5重量%スラリー濃度相当になるよう計量してミキサー(National MXV253型料理用ミキサー)で10分間攪拌し、常温まで冷却したのち、フローセル方式供給装置に供給し、該供給装置中で、脱泡のために30秒間超音波処理(超音波処理の強度は超音波処理装置のつまみをMAX値を示す位置から60%の位置)することで行った。粒度分布測定結果から50%体積粒径(D50)を求め、これを平均粒径とした。
【0034】
(9)バックライトユニットの作成
(プリズムシートの作成)
水酸基価216のポリ(ε−カプロラクト)ポリオールと、1,4−ブタンジオール、および3−イソシアネートメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)とを反応し水酸基末端プレポリマーを得た。このプレポリマーの水酸基に対し、IPDIを1.05当量加え、さらに20ppmのジn−ブチル錫ジラウレートを添加し反応させ、硬化性液状組成物を得た。次に、アクリル樹脂板の片面に切削バイトを用いて、断面三角形(深さ25μm、ピッチ50μm、頂角58度)の溝を彫ったマスター型を製作した。マスター型の溝を彫った面に9μmの厚みでニッケルメッキ層を形成し、このニッケルメッキ層の面にニッケルの電鋳を施した。電鋳時のキャビティサイズ:45×55mm)であり、この電鋳部分をマスター型から剥がし親型を得た。得られた親型の溝が形成された面に100μmの厚みのニッケルメッキ層を形成し、このメッキ層の面にニッケルの電鋳を施した。電鋳時のキャビティサイズ:45×55mm)であり、この電鋳部分を親型から剥がし子型を得た。この子型を金型として前記の硬化性液状組成物を注入充填し、90℃で硬化した。5分後、硬化物を金型から脱型し、帝人テトロンフィルム高透明タイプO3(厚み125ミクロン)の上に積層させ、次いで120℃で2時間熱処理を行い、厚み150μmのプリズムシートを得た。
【0035】
(反射フィルムとプリズムシートの設置)
本発明の積層フィルムを反射シートとして層Aの面(表面の光沢度(60°)が90%以上の面)を導光板に面するように導光板の背面に設置し、冷陰極管を導光板の側面に設置し、さらに導光板の前面に上述のプリズムシートをプリズム頂角が反射フィルムを向くように設置し、さらのその前面に拡散板を設置し、逆プリズムタイプのバックライトユニットとした。
【0036】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメチル18重量部(ポリエステルの酸成分に対して12モル%)、エチレングリコール98重量部、ジエチレングリコール1.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。このポリエステル樹脂を層A、Bに用い、硫酸バリウムのマスターバッチを作製し、表1に示す添加量に調整した。
【0037】
これらの原料を用い、それぞれ270℃に加熱された2台の押出機に供給し、層Aポリマー、層Bポリマーを層Aと層BがA/Bとなるような2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを記載された温度にて加熱し長手方向(縦方向)に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に延伸した。その後テンター内で表の温度で熱固定を行い、表に示す条件にて縦方向の弛緩、横方向の幅入れを行い、室温まで冷やして二軸延伸された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムとしての物性は表の通りであった。この積層フィルムを用いて上記(9)の方法で、逆プリズムタイプのバックライトユニットを作成した。
【0038】
[実施例2〜9]
表1に示す組成および層構成にて、表3に示す製膜条件に従う他は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。これらの積層フィルムを用いて上記(9)の方法で、逆プリズムタイプのバックライトユニットを作成した。
【0039】
[比較例1〜9]
表2に示す組成および層構成にて、表3に示す製膜条件に従う他は実施例1と同様して、積層フィルムを製造した。なお、比較例6および9は延伸性が悪く、サンプル採取に至らなかった。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の積層フィルムは、光線の反射率が高く、光の指向性がコントロールでき、異物が少なくまた、フィルム中における粒子の分散性がよく、反射板として、特に逆プリズムタイプの液晶表示装置の反射板として好適に用いることができる。特にノートパソコンや携帯電話など比較的小型の逆プリズムタイプ方式の液晶表示装置に反射板として用いると高い輝度が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル95〜99.9重量%および微粒子0.1〜5重量%からなる組成物の層Aと、ポリエステル40〜70重量%および微粒子30〜60重量%からなる組成物の層Bとからなる積層フィルムであって、400〜700nmの光の波長域における平均反射率がフィルムの両面で97%以上であり、層Aの表面の光沢度(60°)が90%以上、層Bの表面の光沢度(60°)が30%以下である積層フィルム。
【請求項2】
層Aと層Bが共押出により積層されている、請求項1記載の積層フィルム。
【請求項3】
逆プリズムタイプの液晶表示装置の反射板として用いられる、請求項1記載の積層フィルム。
【請求項4】
請求項1記載の積層フィルムおよび逆プリズムシートを含む液晶表示装置。

【公開番号】特開2009−262512(P2009−262512A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118453(P2008−118453)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】