説明

積層光学フィルム、積層光学フィルムを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置

【課題】画面コントラストに優れ、カラーシフトが小さい、積層光学フィルム、液晶パネルおよび液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明の積層光学フィルムは、偏光子と、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示す第1の光学補償層と、屈折率楕円体がnz>nx>nyの関係を示す第2の光学補償層とを備え、該偏光子の吸収軸と該第1の光学補償層の遅相軸とが平行または直交するように配置され、該偏光子の吸収軸と該第2の光学補償層の遅相軸とが平行または直交するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層光学フィルム、積層光学フィルムを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。より詳細には、本発明は、偏光子と2つの光学補償層を有する積層光学フィルム、当該積層光学フィルムを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置(例えば、液晶表示装置)には、一般に、光学的な補償を行うために、偏光フィルムと光学補償層とを組み合わせた様々な光学フィルムが使用されている。
【0003】
上記光学フィルムの一種である円偏光板は、通常、偏光フィルムとλ/4板とを組み合わせることによって製造できる。しかし、λ/4板は、波長が短波長側になるに従って位相差値が大きくなる特性、いわゆる「正の波長分散特性」を示し、また、その波長分散特性が大きいものが一般的である。このために、広い波長範囲にわたって、所望の光学特性(例えば、λ/4板としての機能)を発揮できないという問題がある。このような問題を回避するために、近年、波長が長波長側になるに従って位相差値が大きくなる波長分散特性、いわゆる「逆分散特性」を示す位相差板として、例えば、変性セルロース系フィルムおよび変性ポリカーボネート系フィルムが提案されている。しかし、これらのフィルムにはコストの面で問題がある。
【0004】
そこで、現在では、正の波長分散特性を有するλ/4板について、例えば、長波長側になるに従って位相差値が大きくなる位相差板や、λ/2板を組み合わせることによって、上記λ/4板の波長分散特性を補正する方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの技術は、画面コントラストの向上およびカラーシフトの低減がいずれも不十分である。
【特許文献1】特許第3174367号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、画面コントラストに優れ、カラーシフトが小さい、積層光学フィルム、液晶パネルおよび液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の積層光学フィルムは、偏光子と、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示す第1の光学補償層と、屈折率楕円体がnz>nx>nyの関係を示す第2の光学補償層とを備え、該偏光子の吸収軸と該第1の光学補償層の遅相軸とが平行または直交するように配置され、該偏光子の吸収軸と該第2の光学補償層の遅相軸とが平行または直交するように配置されている。
【0007】
好ましい実施形態においては、上記第2の光学補償層のNz係数が−1.0以下である。
【0008】
好ましい実施形態においては、上記第2の光学補償層の面内位相差Reが0nm<Re≦70nmの関係を満足する。
【0009】
好ましい実施形態においては、屈折率楕円体がnx>ny=nzまたはnx>ny>nzの関係を示す第3の光学補償層をさらに備える。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記第3の光学補償層の面内位相差Reが80〜200nmである。
【0011】
好ましい実施形態においては、屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を示す第4の光学補償層をさらに備える。
【0012】
本発明の別の局面によれば、液晶パネルが提供される。この液晶パネルは、液晶セルと、上記積層光学フィルムとを備える。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記液晶セルがVAモードである。
【0014】
本発明の別の局面によれば、液晶表示装置が提供される。この液晶表示装置は、上記液晶パネルを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記の光学特性を有する第1の光学補償層および第2の光学補償層を、所定の角度で配置させることにより、画面コントラストを向上させ、かつ、カラーシフトを低減し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0017】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
面内位相差(Re)は、23℃、特に明記しなければ波長590nmにおける層(フィルム)の面内位相差値をいう。Reは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx−ny)×dによって求められる。なお、本明細書において、Re(550)と示したときは、波長550nmにおける層(フィルム)の面内位相差をいう。また、本明細書に記載される用語や記号に付される添え字の「1」は第1の光学補償層を表し、添え字の「2」は第2の光学補償層を表す。例えば、第1の光学補償層の面内位相差をReと示す。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
厚み方向の位相差(Rth)は、23℃、特に明記しなければ波長590nmにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差値をいう。Rthは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Rth=(nx−nz)×dによって求められる。なお、本明細書において、Rth(550)と示したときは、波長550nmにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差をいう。また、本明細書においては、例えば、第1の光学補償層の厚み方向の位相差をRthと示す。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)λ/4板
λ/4板とは、電子光学的な複屈折板であり、互いに直角な方向に振動する直線偏光間に1/4波長の光路差を生じさせる機能を有するものをいう。
【0018】
A.積層光学フィルム
A−1.積層光学フィルムの全体構成
図1(a)は、本発明の好ましい実施形態による積層光学フィルムの概略断面図である。この積層光学フィルム10は、偏光子11と第1の光学補償層12と第2の光学補償層13とを備える。第1の光学補償層12および第2の光学補償層13は、偏光子11の片側に配置されている。図1(b)は、本発明の別の好ましい実施形態による積層光学フィルムの概略断面図である。この積層光学フィルム10’は、偏光子11と、偏光子11の片側に配置された第1の光学補償層12、第2の光学補償層13、第3の光学補償層14および第4の光学補償層15を備える。各光学補償層の積層順序は特に限定されず、任意の適切な順序が採用され得る。好ましくは、図示例のように、偏光子、第1の光学補償層、第2の光学補償層、第3の光学補償層、第4の光学補償層の順で積層される。
【0019】
図1(a)および(b)において図示しないが、本発明の積層光学フィルムは、必要に応じて、偏光子11と光学補償層との間に第1の保護層を備え、偏光子11の光学補償層が配置されていない側に第2の保護層を備える。なお、第1の保護層を設けない場合、第1の光学補償層12は、偏光子11の保護層としても機能し得る。第1の光学補償層が保護層として機能することで、積層光学フィルム(液晶パネル)の薄型化に寄与し得る。また、本発明の積層光学フィルムは、必要に応じて、任意の適切な光学補償層をさらに備える。
【0020】
上記第1の光学補償層12は、nx>ny>nzの屈折率楕円体を有する。第1の光学補償層12は、目的、適用される液晶パネルの構成等に応じて、その遅相軸が偏光子11の吸収軸に対して任意の適切な角度をなすように配置される。好ましくは、偏光子11および第1の光学補償層12は、その吸収軸と遅相軸とが平行となるように、または、直交するように配置される。さらに好ましくは、偏光子および第1の光学補償層は、その吸収軸と遅相軸とが直交するように配置される。このような位置関係で偏光子11および第1の光学補償層12が配置されることにより、画面コントラストが向上され、カラーシフトが低減された液晶パネルが得られる。なお、本明細書において、「平行」とは、実質的に平行となる場合も包含する。ここで、「実質的に平行」とは、0°±3.0°である場合を包含し、好ましくは0°±1.0°、さらに好ましくは0°±0.5°である。本明細書において、「直交」とは、実質的に直交する場合も包含する。ここで、「実質的に直交」とは、90°±3.0°である場合を包含し、好ましくは90°±1.0°、さらに好ましくは90°±0.5°である。
【0021】
上記第2の光学補償層13は、nz>nx>nyの屈折率楕円体を有する。第2の光学補償層13は、目的、液晶パネルの構成等に応じて、その遅相軸が偏光子11の吸収軸に対して任意の適切な角度をなすように配置される。好ましくは、偏光子11および第2の光学補償層13は、その吸収軸と遅相軸とが平行となるように、または、直交するように配置される。さらに好ましくは、偏光子および第2の光学補償層は、その吸収軸と遅相軸とが直交するように配置される。このような位置関係で偏光子11および第2の光学補償層13が配置されることにより、画面コントラストが向上され、カラーシフトが低減された液晶パネルが得られる。
【0022】
上記第3の光学補償層14は、nx>ny=nzまたはnx>ny>nzの屈折率楕円体を有する。第3の光学補償層14は、目的、液晶パネルの構成等に応じて、その遅相軸が偏光子11の吸収軸に対して任意の適切な角度をなすように配置される。具体的には、第3の光学補償層14は、その遅相軸が偏光子11の吸収軸に対して好ましくは30°〜60°、より好ましくは35°〜55°、さらに好ましくは40°〜50°、特に好ましくは43〜47°、最も好ましくは45°程度の角度をなすようにして配置される。このような位置関係で偏光子11および第2の光学補償層13が配置されることにより、画面コントラストが向上され、カラーシフトが低減された液晶パネルが得られる。
【0023】
本発明の積層光学フィルムの全体厚みは、好ましくは100〜400μm、さらに好ましくは150〜300μm、特に好ましくは180〜250μmである。以下、本発明の積層光学フィルムを構成する各層の詳細について説明する。
【0024】
A−2.第1の光学補償層
第1の光学補償層は、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示す。第1の光学補償層の面内位相差Reは、好ましくは80〜200nm、より好ましくは80〜150nm、さらに好ましくは80〜130nmである。Nz係数(Rth/Re)は、好ましくは1<Nz<2の関係を示し、より好ましくは1<Nz<1.5である。このような光学特性を有する第1の光学補償層を設けることにより、偏光子の吸収軸を好適に補償し得、液晶パネルの画面コントラストを向上させ得る。また、カラーシフトを低減し得る。
【0025】
第1の光学補償層は、任意の適切な材料で形成され得る。具体例としては、高分子フィルムの延伸フィルムが挙げられる。当該高分子フィルムを形成する樹脂としては、好ましくは、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂である。
【0026】
上記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーを重合単位として重合される樹脂である。当該ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンの3〜4量体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。上記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0027】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、好ましくは、芳香族ポリカーボネートが用いられる。芳香族ポリカーボネートは、代表的には、カーボネート前駆物質と芳香族2価フェノール化合物との反応によって得ることができる。カーボネート前駆物質の具体例としては、ホスゲン、2価フェノール類のビスクロロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ホスゲン、ジフェニルカーボネートが好ましい。芳香族2価フェノール化合物の具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが用いられる。特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとを共に使用することが好ましい。
【0028】
上記高分子フィルムは、任意の適切な他の熱可塑性樹脂を含み得る。他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等の汎用プラスチック;ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等の汎用エンジニアリングプラスチック;ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、液晶性樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂等のスーパーエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。
【0029】
延伸フィルムの作製方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。延伸方法としては、例えば、横一軸延伸、自由端一軸延伸、固定端二軸延伸、固定端一軸延伸、逐次二軸延伸が挙げられる。固定端二軸延伸の具体例としては、高分子フィルムを長手方向に走行させながら、短手方向(横方向)に延伸させる方法が挙げられる。この方法は、見かけ上は横一軸延伸であり得る。これらの延伸方法は、単独でまたは二以上組み合わせて採用し得る。例えば、自由端一軸延伸を行った後に、固定端一軸延伸を行う方法等が挙げられる。延伸温度は、好ましくは135〜165℃、さらに好ましくは140〜160℃である。延伸倍率は、好ましくは1.2〜3.2倍、さらに好ましくは1.3〜3.1倍である。この場合、厚みは、代表的には20〜80μm、好ましくは25〜75μm、さらに好ましくは30〜60μmである。
【0030】
第1の光学補償層を形成する別の具体例としては、非液晶性材料が挙げられる。好ましくは非液晶性ポリマーである。具体的には、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のポリマーが好ましい。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、2種以上の混合物として使用してもよい。これらの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
【0031】
上記第1の光学補償層は、代表的には、基材フィルムに上記非液晶性ポリマーの溶液を塗工して、溶媒を除去することにより形成され得る。当該光学補償層の形成方法において、好ましくは、光学的二軸性(nx>ny>nz)を付与するための処理(例えば、延伸処理)が行われる。このような処理を行うことにより、面内に屈折率の差(nx>ny)を確実に付与し得る。なお、上記ポリイミドの具体例および当該光学補償層の形成方法の具体例としては、特開2004−46065号公報に記載のポリマーおよび光学補償フィルムの製造方法が挙げられる。この場合、第1の光学補償層の厚みは、代表的には0.1〜10μm、好ましくは0.1〜8μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。
【0032】
A−3.第2の光学補償層
上記第2の光学補償層は、屈折率楕円体がnz>nx>nyの関係を示す。このような屈折率楕円体を示す層(フィルム)は、「正の二軸プレート」、あるいは「ポジティブ二軸プレート」等と称される場合がある。
【0033】
第2の光学補償層の面内位相差Reは、好ましくは0nm<Re≦70nmの関係を満足する。Reは、より好ましくは0nm<Re≦60nm、さらに好ましくは0nm<Re≦50nm、特に好ましくは10nm<Re<50nmの関係を満足する。第2の光学補償層の厚み方向の位相差Rthは、好ましくは−200〜−50nm、さらに好ましくは−100〜−50nm、特に好ましくは−80〜−60nmである。第2の光学補償層のNz係数(Rth/Re)は、好ましくは−1.0以下であり、さらに好ましくは−10〜−1.0、特に好ましくは−8.0〜−1.6である。このような光学特性を有する第2の光学補償層を設けることにより、偏光子の吸収軸を好適に補償し得、液晶パネルの画面コントラストを向上させ得る。また、カラーシフトを低減し得る。
【0034】
第2の光学補償層は任意の適切な構成であり得る。具体的には、位相差フィルム単独であってもよいし、同一または異なる2枚以上の位相差フィルムの積層体であってもよい。積層体である場合、第2の光学補償層は、2枚以上の位相差フィルムを貼着するための粘着剤層や接着剤層を含み得る。好ましくは、第2の光学補償層は、単独の位相差フィルムである。このような構成を採用することにより、偏光子の収縮応力や光源の熱による位相差値のズレやムラを低減し得、得られる液晶パネルの薄型化に寄与し得る。
【0035】
上記位相差フィルムの光学特性は、第2の光学補償層の構成に応じて、任意の適切な値に設定され得る。例えば、第2の光学補償層が位相差フィルム単独である場合には、当該位相差フィルムの光学特性は上記第2の光学補償層の光学特性と等しくすることが好ましい。したがって、当該位相差フィルムを偏光子や他の光学補償層等に積層する際に用いられる粘着剤層、接着剤層等の位相差値は、できる限り小さいことが好ましい。
【0036】
第2の光学補償層の全体の厚みは、好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは20〜400μm、特に好ましくは30〜300μmである。第2の光学補償層の厚みがこのような範囲内であることにより、製造時のハンドリング性に優れ、かつ、得られる液晶表示装置(液晶パネル)の光学的均一性を高めることができる。
【0037】
上記位相差フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性などに優れ、歪みによって光学的なムラの生じにくいフィルムが好ましく用いられる。位相差フィルムとしては、好ましくは、熱可塑性樹脂を主成分とする高分子フィルムの延伸フィルムが用いられる。当該熱可塑性樹脂としては、好ましくは、負の複屈折を示すポリマーが用いられる。負の複屈折を示すポリマーを用いることにより、nz>nx>nyの屈折率楕円体を有する位相差フィルムを簡便に得ることができる。ここで、「負の複屈折を示す」とは、ポリマーを延伸等により配向させた場合に、その延伸方向の屈折率が相対的に小さくなることをいう。換言すると、延伸方向と直交する方向の屈折率が大きくなることをいう。負の複屈折を示すポリマーとしては、例えば、芳香環やカルボニル基などの分極異方性の大きい化学結合や官能基が、側鎖に導入されたポリマーが挙げられる。具体的には、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂等が挙げられる。
【0038】
上記アクリル系樹脂は、例えば、アクリレート系モノマーを付加重合させることにより得られ得る。アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
【0039】
上記スチレン系樹脂は、例えば、スチレン系モノマーを付加重合させることにより得られ得る。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレン、2,5−ジクロロスチレン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられる。
【0040】
上記マレイミド系樹脂は、例えば、マレイミド系モノマーを付加重合させることにより得られ得る。マレイミド系モノマーとしては、例えば、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジプロピルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル−6−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジクロロフェニル)マレイミド、N−(2−ブロモフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジブロモフェニル)マレイミド、N−(2−ビフェニル)マレイミド、N−(2−シアノフェニル)マレイミド等が挙げられる。マレイミド系モノマーは、例えば、東京化成工業(株)等から入手することができる。
【0041】
上記付加重合において、重合後に、側鎖を置換したり、マレイミド化やグラフト化反応させたりすること等により、得られる樹脂の複屈折特性を制御することもできる。
【0042】
上記負の複屈折を示すポリマーは、他のモノマーが共重合されていてもよい。他のモノマーが共重合されることにより、脆性や成形加工性、耐熱性が改善され得る。当該他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1,3−ブタジエン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等のオレフィン;アクリロニトリル;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリレート;無水マレイン酸;酢酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。
【0043】
上記負の複屈折を示すポリマーが、上記スチレン系モノマーと上記他のモノマーとの共重合体である場合、スチレン系モノマーの配合率は、好ましくは50〜80モル%である。上記負の複屈折を示すポリマーが、上記マレイミド系モノマーと上記他のモノマーとの共重合体である場合、マレイミド系モノマーの配合率は、好ましくは2〜50モル%である。このような範囲で配合させることにより、靭性や成形加工性に優れた高分子フィルムが得られ得る。
【0044】
上記負の複屈折を示すポリマーとしては、好ましくは、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ビニルエステル−マレイミド共重合体、オレフィン−マレイミド共重合体等が用いられる。これらは単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができる。これらのポリマーは高い負の複屈折を示し、かつ、耐熱性に優れ得る。これらのポリマーは、例えば、ノヴァ・ケミカル・ジャパンや、荒川化学工業(株)等から入手することができる。
【0045】
上記負の複屈折を示すポリマーとして、好ましくは、下記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーも用いられる。このようなポリマーは、より一層、高い負の複屈折を示し、かつ、耐熱性、機械的強度に優れ得る。このようなポリマーは、例えば、出発原料のマレイミド系モノマーのN置換基として、少なくともオルト位に置換基を有するフェニル基を導入したN−フェニル置換マレイミドを用いることにより得ることができる。
【化1】

【0046】
上記一般式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、ニトロ基、または炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキル基もしくはアルコキシ基を表し(ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない)、RおよびRは、水素または炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキル基もしくはアルコキシ基を表し、nは、2以上の整数を表す。
【0047】
上記負の複屈折を示すポリマーとしては、上記に限定されず、例えば、特開2005−350544号公報等に開示されているような環状オレフィン系共重合体等も用いることができる。さらに、特開2005−156862号公報、特開2005−227427号公報等に開示されているような、ポリマーと無機微粒子とを含む組成物も好適に用いることができる。また、負の複屈折を示すポリマーとしては、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。さらに、これらを共重合、分枝、架橋、分子末端修飾(または封止)、および立体規則変性等によって変性して用いることもできる。
【0048】
上記高分子フィルムは、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。添加剤の具体例としては、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、増粘剤等が挙げられる。添加剤の種類および含有量は、目的に応じて適宜設定され得る。添加剤の含有量は、代表的には、高分子フィルムの全固形分100重量部に対して3〜10重量部程度である。添加剤の含有量が過度に多くなると、高分子フィルムの透明性が損なわれたり、添加剤が高分子フィルム表面から滲み出したりする場合がある。
【0049】
上記高分子フィルムの成形方法としては、任意の適切な成形方法が採用され得る。例えば、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、ソルベントキャスティング法等が挙げられる。これらの中でも、押出成形法、ソルベントキャスティング法が好ましく用いられる。平滑性が高く、かつ、良好な光学的均一性を有する位相差フィルムを得ることができるからである。具体的には、押出成形法は、上記熱可塑性樹脂、可塑剤、添加剤等を含む樹脂組成物を加熱して溶融し、これをTダイ等によりキャスティングロールの表面に薄膜状に押し出して、冷却させてフィルムを成形する方法である。ソルベントキャスティング法は、前記樹脂組成物を溶剤に溶解させた濃厚溶液(ドープ)を脱泡し、金属性のエンドレスベルトもしくは回転ドラム、またはプラスチック基材等の表面に均一に薄膜状に流延し、溶剤を蒸発させてフィルムを成形する方法である。なお、成形条件は、用いる樹脂の組成や種類、成形加工法等に応じて、適宜設定され得る。
【0050】
上記位相差フィルム(延伸フィルム)は、上記高分子フィルムを任意の適切な延伸条件で延伸することにより得られ得る。延伸方法の具体例としては、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法等が挙げられる。好ましくは、横一軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法が用いられる。二軸性の位相差フィルムを好適に得ることができるからである。上記負の複屈折を示すポリマーにおいては、上述のように延伸方向の屈折率が相対的に小さくなることから、横一軸延伸法の場合は、高分子フィルムの搬送方向に遅相軸を有する(搬送方向の屈折率がnxとなる)。縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法の場合は、縦・横の延伸倍率の比によって、搬送方向、幅方向のいずれも遅相軸とすることができる。具体的には、縦(搬送)方向の延伸倍率を相対的に大きくすると、横(幅)方向が遅相軸となり、横(幅)方向の延伸倍率を相対的に大きくすると、縦(搬送)方向が遅相軸となる。
【0051】
上記延伸に用いられる延伸装置としては、任意の適切な延伸装置を用いられ得る。具体例として、ロール延伸機、テンター延伸機、パンタグラフ式あるいはリニアモーター式の二軸延伸機等が挙げられる。加熱しながら延伸を行う場合には、温度を連続的に変化させてもよく、段階的に変化させてもよい。また、延伸工程を2回以上に分割してもよい。
【0052】
延伸温度(高分子フィルムを延伸する際の延伸オーブン内の温度)は、好ましくは、高分子フィルムのガラス転移温度(Tg)付近である。具体的には、(Tg−10)℃〜(Tg+30)℃であることが好ましく、さらに好ましくはTg〜(Tg+25)℃、特に好ましくは(Tg+5)℃〜(Tg+20)℃である。延伸温度が低すぎると、位相差値や遅相軸の方向が不均一となったり、高分子フィルムが結晶化(白濁)したりするおそれがある。一方、延伸温度が過度に高いと、高分子フィルムが融解したり、位相差の発現が不十分となったりするおそれがある。延伸温度は、代表的には110〜200℃である。なお、ガラス転移温度は、JISK7121−1987に準じてDSC法により求めることができる。
【0053】
上記延伸オーブン内の温度を制御する方法は、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、熱風または冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波もしくは遠赤外線等を利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロールまたは金属ベルト等を用いる方法が挙げられる。
【0054】
高分子フィルムを延伸する際の延伸倍率は、高分子フィルムの組成、揮発性成分等の種類、揮発性成分等の残留量、所望の位相差値等に応じて、任意の適切な値に設定され得る。好ましくは1.05〜5.00倍である。また、延伸時の送り速度は、延伸装置の機械精度、安定性等の観点から、好ましくは0.5〜20m/分である。
【0055】
以上、負の複屈折を示すポリマーを用いて位相差フィルムを得る方法について述べてきたが、位相差フィルムは正の複屈折を示すポリマーを用いて得ることもできる。正の複屈折を示すポリマーを用いて位相差フィルムを得る方法としては、例えば、特開2000−231016号公報、特開2000−206328号公報、特開2002−207123号公報等に開示されているような、厚み方向の屈折率を増大させる延伸方法を用いることができる。具体的には、正の複屈折を示すポリマーを含有するフィルムの片面または両面に熱収縮性フィルムを接着して、加熱処理を行う方法が挙げられる。当該フィルムを、加熱処理による熱収縮性フィルムの収縮力の作用下で収縮させて、当該フィルムの長さ方向および幅方向を収縮させることにより、厚み方向の屈折率を増大させ得、nz>nx>nyの屈折率楕円体を有する位相差フィルムを得ることができる。
【0056】
このように、第2の光学補償層に用いられるポジティブ二軸プレートは、正負のいずれの複屈折を示すポリマーを用いても製造することができる。一般に、正の複屈折を示すポリマーを用いる場合は、選択し得るポリマーの種類が多い点で利点を有しており、負の複屈折を示すポリマーを用いる場合は、正の複屈折を示すポリマーを用いる場合に比べて、その延伸方法に起因して、遅相軸方向の均一性に優れた位相差フィルムが簡便に得られる点で利点を有している。
【0057】
第2の光学補償層に用いられる位相差フィルムとして、上述したフィルムの他にも、市販の光学フィルムをそのまま用いることができる。また、市販の光学フィルムに延伸処理および/または緩和処理などの2次加工を施したフィルムも用いることができる。
【0058】
上記位相差フィルムの波長590nmにおける光透過率は、好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。光透過率の理論的な上限は100%であるが、空気と位相差フィルムとの屈折率差に起因して表面反射が生じることから、光透過率の実現可能な上限は概ね94%である。第2の光学補償層全体としても、同様の光透過率であることが好ましい。
【0059】
上記位相差フィルムの光弾性係数の絶対値は、好ましくは1.0×10−10(m/N)以下、より好ましくは5.0×10−11(m/N)以下、さらに好ましくは3.0×10−11(m/N)以下、特に好ましくは1.0×10−11(m/N)以下である。光弾性係数をこのような範囲とすることによって、光学的均一性に優れ、かつ、高温高湿等の環境においても光学特性の変化が小さく、耐久性に優れた液晶表示装置(液晶パネル)を得ることができる。光弾性係数の下限値は、特に制限されないが、一般には5.0×10−13(m/N)以上、好ましくは1.0×10−12(m/N)以上である。光弾性係数が過度に小さいと位相差の発現性が小さくなるおそれがある。光弾性係数は、ポリマー等の化学構造に固有の値であるが、光弾性係数の符号(正負)が異なる複数の成分を共重合、あるいは混合することによって、光弾性係数を低減し得る。
【0060】
上記位相差フィルムの厚みは、位相差フィルムの形成材料や第2の光学補償層の構成に応じて、任意の適切な値に設定され得る。第2の光学補償層が位相差フィルム単独である場合、第2の光学補償層の厚みは、好ましくは10〜250μm、さらに好ましくは20〜200μm、特に好ましくは30〜150μmである。このような厚みを有することにより、機械的強度や表示均一性に優れた第2の光学補償層が得られる。
【0061】
A−4.第3の光学補償層
本発明の積層光学フィルムは、上述のとおり、第3の光学補償層をさらに備え得る。上記第3の光学補償層は、いわゆるλ/4板として機能し得る。第3の光学補償層は、λ/4板として、例えば、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換し得る。第3の光学補償層は、主に、液晶セルを補償し得る。第3の光学補償層の面内位相差Reは、好ましくは80〜200nm、より好ましくは90〜160nm、さらに好ましくは110〜155nm、特に好ましくは130〜150nmである。
【0062】
A−4−1.第3の光学補償層(1)
1つの実施形態においては、上記第3の光学補償層は、nx>ny=nzの屈折率楕円体を有する。ここで、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、Nz係数(Rth/Re)が、0.9を超え1.1未満であることをいう。
【0063】
nx>ny=nzの屈折率楕円体を有する第3の光学補償層を形成する材料としては、上記のような特性が得られる限りにおいて任意の適切な材料が採用され得る。液晶材料が好ましく、液晶相がネマチック相である液晶材料(ネマチック液晶)がさらに好ましい。液晶材料を用いることにより、得られる光学補償層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくし得る。その結果、所望の面内位相差を得るための光学補償層の厚みを格段に小さくし得、得られる積層光学フィルムおよび液晶パネルの薄型化に寄与し得る。このような液晶材料としては、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶材料の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。液晶の配向状態は、好ましくはホモジニアス配向である。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
【0064】
上記液晶材料が液晶性モノマーである場合、例えば、重合性モノマーおよび/または架橋性モノマーであることが好ましい。これは、液晶性モノマーを重合または架橋させることによって、液晶性モノマーの配向状態を固定できるためである。液晶性モノマーを配向させた後に、例えば、液晶性モノマー同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。したがって、形成された第3の光学補償層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、形成された第3の光学補償層は、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた光学補償層となる。
【0065】
上記液晶モノマーならびに上記第3の光学補償層の形成方法の具体例としては、特開2006−178389号公報に記載のモノマーおよび形成方法が挙げられる。
【0066】
上記第3の光学補償層の厚みは、λ/4板として最も適切に機能し得るように設定され得る。言い換えれば、厚みは、所望の光学特性が得られるように設定され得る。上記第3の光学補償層が液晶材料で形成される場合、厚みは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜8μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。
【0067】
nx>ny=nzの屈折率楕円体を有する第3の光学補償層は、高分子フィルムを延伸処理することによっても形成され得る。具体的には、ポリマーの種類、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)、延伸方法等を適切に選択することにより、上記所望の光学特性(例えば、屈折率楕円体、面内位相差、厚み方向の位相差)を有する上記第3の光学補償層が得られ得る。より具体的には、延伸温度は、好ましくは110〜170℃、より好ましくは130〜150℃である。延伸倍率は、好ましくは1.37〜1.67倍、より好ましくは1.42〜1.62倍である。延伸方法としては、例えば、横一軸延伸が挙げられる。
【0068】
上記第3の光学補償層が高分子フィルムを延伸処理することによって形成される場合、厚みは、好ましくは5〜55μm、より好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜45μmである。
【0069】
上記高分子フィルムを形成する樹脂としては、任意の適切な樹脂が採用され得る。具体例としては、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスルホン系樹脂等の正の複屈折フィルムを構成する樹脂が挙げられる。中でも、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。これらの樹脂の詳細については、A−2項で上述したとおりである。
【0070】
A−4−2.第3の光学補償層(2)
別の実施形態においては、上記第3の光学補償層は、nx>ny>nzの屈折率楕円体を有する。第3の光学補償層のNz係数(Rth/Re)は、1.1以上であり、好ましくは1.1<Nz<2.0の関係を示し、より好ましくは1.3<Nz<1.8である。
【0071】
nx>ny>nzの屈折率楕円体を有する第3の光学補償層の形成材料および形成方法は、上記第1の光学補償層と同様の形成材料および形成方法が採用され得る。
【0072】
A−5.第4の光学補償層
本発明の積層光学フィルムは、上述のとおり、第4の光学補償層をさらに備え得る。第4の光学補償層は、屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を示す。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。具体的には、Reが10nm未満であることをいう。上記第4の光学補償層の厚み方向の位相差Rthは、適用される液晶パネルの構成に応じて、任意の適切な値に設定され得る。詳細については、B−5項で後述する。第4の光学補償層は、主に、液晶セルを補償し得る。
【0073】
上記第4の光学補償層は、上記のような特性が得られる限りにおいて任意の適切な材料で形成され得る。第4の光学補償層の具体例としては、コレステリック配向固化層が挙げられる。「コレステリック配向固化層」とは、当該層の構成分子がらせん構造をとり、そのらせん軸が面方向にほぼ垂直に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。したがって、「コレステリック配向固化層」は、液晶化合物がコレステリック液晶相を呈している場合のみならず、非液晶化合物がコレステリック液晶相のような擬似的構造を有する場合を包含する。例えば、「コレステリック配向固化層」は、液晶材料が液晶相を示す状態でカイラル剤によってねじりを付与してコレステリック構造(らせん構造)に配向させ、その状態で重合処理または架橋処理を施すことにより、当該液晶材料の配向(コレステリック構造)を固定することにより形成され得る。
【0074】
上記コレステリック配向固化層の具体例としては、特開2003−287623号公報に記載のコレステリック層が挙げられる。
【0075】
上記第4の光学補償層の厚みは、後述する所望の光学特性が得られる限り、任意の適切な値に設定され得る。上記第4の光学補償層がコレステリック配向固化層である場合、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜8μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。
【0076】
上記第4の光学補償層を形成する材料の別の具体例としては、非液晶性材料が挙げられる。特に好ましくは、非液晶性ポリマーである。このような非液晶性材料は、液晶性材料とは異なり、基板の配向性に関係なく、それ自身の性質によりnx=ny>nzという光学的一軸性を示す膜を形成し得る。非液晶性材料としては、例えば、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のポリマーが好ましい。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、例えば、ポリアリールエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以上の混合物として使用してもよい。このようなポリマーの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
【0077】
上記ポリイミドの具体例ならびに上記第4の光学補償層の形成方法の具体例としては、特開2004−46065号公報に記載のポリマーおよび光学補償フィルムの製造方法が挙げられる。
【0078】
上記第4の光学補償層の厚みは、後述する所望の光学特性が得られる限り、任意の適切な値に設定され得る。上記第4の光学補償層が非液晶性材料で形成される場合、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜8μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。
【0079】
上記第4の光学補償層を形成する材料のさらに別の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂等で形成された高分子フィルムが挙げられる。当該第4の光学補償層としては、市販のフィルムをそのまま用い得る。さらに、市販のフィルムに延伸処理および/または収縮処理などの2次的加工を施したものを用い得る。市販のフィルムとしては、例えば、富士写真フイルム(株)製 フジタックシリーズ(商品名;ZRF80S,TD80UF,TDY−80UL)、コニカミノルタオプト(株)製 商品名「KC8UX2M」、日本ゼオン(株)製 商品名「Zeonor」、JSR(株)製 商品名「Arton」等が挙げられる。ノルボルネン系樹脂を構成するノルボルネン系モノマーついてはA−2項で上述したとおりである。上記光学特性を満足し得るための延伸方法としては、例えば、二軸延伸(縦横等倍率延伸)が挙げられる。
【0080】
上記第4の光学補償層の厚みは、後述する所望の光学特性が得られる限り、任意の適切な値に設定され得る。上記第4の光学補償層がセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂等で形成された高分子フィルムである場合、好ましくは45〜105μm、より好ましくは55〜95μm、さらに好ましくは50〜90μmである。
【0081】
上記第4の光学補償層のさらに別の具体例としては、上記コレステリック配向固化層とプラスチックフィルム層とを有する積層体が挙げられる。当該プラスチックフィルム層を形成する樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂については、本項で上述したとおりである。
【0082】
上記コレステリック配向固化層と上記プラスチックフィルム層との積層方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、プラスチック層に上記コレステリック配向固化層を転写する方法、予め基材に形成されたコレステリック配向固化層とプラスチックフィルム層とを接着剤層を介して貼り合わる方法等が挙げられる。接着剤層を形成する接着剤としては、代表的には、硬化型接着剤が挙げられる。硬化型接着剤の代表例としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、熱硬化型接着剤が挙げられる。接着剤層の厚みは、好ましくは1μm〜10μm、より好ましくは1μm〜5μmである。
【0083】
A−6.偏光子
上記偏光子としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度である。
【0084】
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗しても良い。
【0085】
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0086】
A−7.保護層
上記第1の保護層および第2の保護層は、偏光板の保護フィルムとして使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0087】
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。耐久性に優れ得るからである。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
【0088】
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
【0089】
上記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
【0090】
上記(メタ)アクリル系樹脂として、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。
【0091】
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
【0092】
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、質量平均分子量(重量平均分子量と称することもある)が、好ましくは1000〜2000000、より好ましくは5000〜1000000、さらに好ましくは10000〜500000、特に好ましくは50000〜500000である。
【0093】
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは135℃以上、最も好ましくは140℃以上である。耐久性に優れ得るからである。上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
【0094】
なお、本明細書において「(メタ)アクリル系」とは、アクリル系および/またはメタクリル系をいう。
【0095】
上記第1の保護層および第2の保護層は、透明で、色付きが無いことが好ましい。第2の保護層の厚み方向の位相差Rthは、好ましくは−90nm〜+90nm、より好ましくは−80nm〜+80nm、さらに好ましくは−70nm〜+70nmである。
【0096】
上記第1の保護層および第2の保護層の厚みは、上記の好ましい厚み方向の位相差Rthが得られ得る限りにおいて、任意の適切な厚みが採用され得る。第2の保護層の厚みは、代表的には5mm以下であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜150μmである。
【0097】
上記第2の保護層の偏光子と反対側には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等が施され得る。
【0098】
上記偏光子と光学補償層との間に設けられる第1の保護層の厚み方向の位相差(Rth)は、上記好ましい値よりもさらに小さいことが好ましい。上述のように、一般的に保護フィルムとして用いられているセルロース系フィルムは、例えば、トリアセチルセルロースフィルムの場合、厚さ80μmにおいて厚み方向の位相差(Rth)は60nm程度である。そこで、厚み方向の位相差(Rth)の大きいセルロース系フィルムについて、厚み方向の位相差(Rth)を小さくするための適当な処理を施すことにより、好適に第1の保護層を得ることができる。
【0099】
上記厚み方向の位相差(Rth)を小さくするための処理としては、任意の適切な処理方法を採用できる。例えば、シクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤を塗布したポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ステンレス等の基材を、一般的なセルロース系フィルムに貼り合わせ、加熱乾燥(例えば、80〜150℃程度で3〜10分程度)した後、基材フィルムを剥離する方法;ノルボルネン系樹脂、アクリル系樹脂等をシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解した溶液を、一般的なセルロース系フィルムに塗布し、加熱乾燥(例えば、80〜150℃程度で3〜10分程度)した後、塗布フィルムを剥離する方法などが挙げられる。
【0100】
上記セルロース系フィルムを構成する材料としては、好ましくは、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等の脂肪酸置換セルロース系ポリマーが挙げられる。一般的に用いられているトリアセチルセルロースでは、酢酸置換度が2.8程度であるが、好ましくは酢酸置換度を1.8〜2.7、より好ましくはプロピオン酸置換度を0.1〜1に制御することによって、厚み方向の位相差(Rth)を小さく制御することができる。
【0101】
上記脂肪酸置換セルロース系ポリマーに、ジブチルフタレート、p−トルエンスルホンアニリド、クエン酸アセチルトリエチル等の可塑剤を添加することにより、厚み方向の位相差(Rth)を小さく制御することができる。可塑剤の添加量は、脂肪酸置換セルロース系ポリマー100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
【0102】
上記厚み方向の位相差(Rth)を小さくするための処理は、適宜組み合わせて用いてもよい。このような処理を施して得られる第1の保護層の厚み方向の位相差Rth(550)は、好ましくは−20nm〜+20nm、より好ましくは−10nm〜+10nm、さらに好ましくは−6nm〜+6nm、特に好ましくは−3nm〜+3nmである。第1の保護層の面内位相差Re(550)は、好ましくは0nm以上10nm以下、より好ましくは0nm以上6nm以下、さらに好ましくは0nm以上3nm以下である。
【0103】
上記第1の保護層の厚みは、上記の好ましい厚み方向の位相差Rthが得られ得る限りにおいて、任意の適切な厚みが採用され得る。上記第1の保護層の厚みは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜100μm、さらに好ましくは35〜95μmである。
【0104】
A−8.積層方法
上記各層(フィルム)の積層方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して積層される。当該粘着剤層としては、代表的には、アクリル系粘着剤層が挙げられる。アクリル系粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは3〜25μmである。
【0105】
上述のように、第1の光学補償層12が偏光子11の保護層として機能し得る場合、偏光子と第1の光学補償層とは任意の適切な接着剤層を介して積層される。上述のように、nx>ny>nzの屈折率楕円体を示す第1の光学補償層を固定端二軸延伸で作製する場合、遅相軸が短手方向に生じ得る。一方、偏光子の吸収軸方向は延伸方向(長手方向)に生じ得る。したがって、本発明のように、第1の光学補償層の遅相軸を偏光子の吸収軸に対して直交するように配置させる場合には、第1の光学補償層と偏光子とをロールツーロールで連続的に積層し得る。偏光子と第1の光学補償層との積層に用いられる接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、架橋剤および金属化合物コロイドを含む接着剤が挙げられる。
【0106】
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。好ましくは、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール樹脂である。耐久性が向上し得るからである。
【0107】
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニルのケン化物、当該ケン化物の誘導体;酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールが挙げられる。前記単量体としては、例えば、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N-メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらの樹脂は、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0108】
上記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、接着性の点から、好ましくは100〜5000程度、さらに好ましくは1000〜4000である。平均ケン化度は、接着性の点から、好ましくは85〜100モル%程度、さらに好ましくは90〜100モル%である。
【0109】
上記アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを任意の方法で反応させることにより得られる。具体例として、酢酸等の溶媒中にポリビニルアルコール系樹脂を分散させた分散体に、ジケテンを添加する方法;ジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にポリビニルアルコール系樹脂を溶解させた溶液に、ジケテンを添加する方法;ポリビニルアルコール系樹脂にジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法が挙げられる。
【0110】
上記アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、代表的には0.1モル%以上であり、好ましくは0.1〜40モル%程度、さらに好ましくは1〜20%、特に好ましくは2〜7モル%である。0.1モル%未満では耐水性が不充分となるおそれがある。40モル%を超えると、耐水性向上効果が小さい。なお、アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
【0111】
上記架橋剤としては、任意の適切な架橋剤を採用し得る。好ましくは、上記ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物である。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、または三価金属の塩及びその酸化物が挙げられる。これらの中でもアミノ−ホルムアルデヒド樹脂やジアルデヒド類が好ましい。アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはメチロール基を有する化合物が好ましく、ジアルデヒド類としてはグリオキザールが好適である。中でもメチロール基を有する化合物が好ましく、メチロールメラミンが特に好適である。
【0112】
上記架橋剤の配合量は、上記ポリビニルアルコール系樹脂の種類等に応じて適宜設定し得る。代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、10〜60重量部程度、好ましくは20〜50重量部である。接着性に優れ得るからである。なお、架橋剤の配合量が多い場合、架橋剤の反応が短時間で進行し、接着剤がゲル化する傾向がある。その結果、接着剤としての可使時間(ポットライフ)が極端に短くなり、工業的な使用が困難になるおそれがある。本実施形態の接着剤は、後述の金属化合物コロイドを含有するため、架橋剤の配合量が多い場合であっても、安定性よく用いることができる。
【0113】
上記金属化合物コロイドは、金属化合物微粒子が分散媒中に分散しているものであり得、微粒子の同種電荷の相互反発に起因して静電的安定化し、永続的に安定性を有するものであり得る。金属化合物コロイドを形成する微粒子の平均粒子径は、偏光特性等の光学特性に悪影響を及ぼさない限り、任意の適切な値であり得る。好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは1〜50nmである。微粒子を接着剤層中に均一に分散させ得、接着性を確保し、かつクニックを抑え得るからである。なお、「クニック」とは、偏光子と保護層(第1の光学補償層)との界面で生じる局所的な凹凸欠陥のことをいう。
【0114】
上記金属化合物としては、任意の適切な化合物を採用し得る。例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物;ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、リン酸カルシウム等の金属塩;セライト、タルク、クレイ、カオリン等の鉱物が挙げられる。好ましくはアルミナである。
【0115】
上記金属化合物コロイドは、代表的には、分散媒に分散してコロイド溶液の状態で存在している。分散媒としては、例えば、水、アルコール類が挙げられる。コロイド溶液中の固形分濃度は、代表的には1〜50重量%程度である。コロイド溶液は、安定剤として硝酸、塩酸、酢酸などの酸を含有し得る。
【0116】
上記金属化合物コロイド(固形分)配合量は、好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して200重量部以下であり、より好ましくは10〜200重量部、さらに好ましくは20〜175重量部、最も好ましくは30〜150重量部である。接着性を確保しながら、クニックの発生を抑え得るからである。
【0117】
本実施形態の接着剤は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を含み得る。
【0118】
本実施形態の接着剤の形態は、好ましくは水溶液(樹脂溶液)である。樹脂濃度は、塗工性や放置安定性等の点から、好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。樹脂溶液の粘度は、好ましくは1〜50mPa・sである。樹脂溶液のpHは、好ましくは2〜6、より好ましくは2.5〜5、さらに好ましくは3〜5、最も好ましくは3.5〜4.5である。通常、金属化合物コロイドの表面電荷は、pHを調整することにより制御し得る。当該表面電荷は、好ましくは正電荷である。正電荷を有することにより、例えば、クニック発生を抑制し得る。
【0119】
上記樹脂溶液の調製方法は、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤とを予め混合して適切な濃度に調整したものに、金属化合物コロイドを配合する方法が挙げられる。また、ポリビニルアルコール系樹脂と金属化合物コロイドを混合した後に、架橋剤を、使用時期等を考慮しながら混合することもできる。なお、樹脂溶液の濃度は、樹脂溶液を調製した後に調整してもよい。
【0120】
B.液晶パネル
B−1.液晶パネルの全体構成
図2(a)は、本発明の1つの実施形態による液晶パネルの概略断面図である。この液晶パネル100は、液晶セル20と;液晶セル20の一方の側(図示例ではバックライト側)に配置された本発明の積層光学フィルム10’と;液晶セル20の他方の側(図示例では視認側)に配置された積層フィルム30とを備える。積層フィルム30は、上記偏光子11と第5の光学補償層16とを備える。積層フィルム30は、必要に応じて、偏光子11と第5の光学補償層16との間に第1の保護層が設けられ、偏光子11の第5の光学補償層16の反対側に第2の保護層が設けられる。また、図示しないが、積層フィルム30は、任意の適切な他の光学補償層をさらに備え得る。図示するように、積層光学フィルム10’および積層フィルム30は、光学補償層が設けられている側が液晶セル20側となるように配置されている。
【0121】
図2(b)は、本発明の別の実施形態による液晶パネルの概略断面図である。この液晶パネル100’は、液晶セル20と;液晶セル20の一方の側(図示例ではバックライト側)に配置された本発明の積層光学フィルム10’と;液晶セル20の他方の側(図示例では視認側)に配置された積層フィルム30’とを備える。積層フィルム30’は、上記偏光子11と第5の光学補償層16と第6の光学補償層17とを備える。積層フィルム30’は、必要に応じて、偏光子11と第5の光学補償層16との間に第1の保護層が設けられ、偏光子11の第1の光学補償層12の反対側に第2の保護層が設けられる。また、図示しないが、積層フィルム30’は、任意の適切な他の光学補償層をさらに備え得る。図示するように、積層光学フィルム10’および積層フィルム30’は、光学補償層が設けられている側が液晶セル20側となるように配置されている。
【0122】
なお、図示例とは異なり、積層光学フィルム10’のかわりに積層光学フィルム10が配置されていてもよい。また、図示例とは異なり、積層光学フィルム10’(10)が視認側に配置され、積層フィルム30、30’がバックライト側に配置されていてもよい。
【0123】
上記積層フィルム30、30’を構成する第5の光学補償層16の遅相軸は、積層フィルム30、30’を構成する偏光子11の吸収軸に対して、任意の適切な角度を規定するようにして積層されている。好ましくは30〜60°、さらに好ましくは35〜55°、特に好ましくは40〜50°、最も好ましくは43〜47°である。
【0124】
上記液晶パネル100、100’の液晶セル20の両側に配置された偏光子11、11の吸収軸は、好ましくは、実質的に直交するように配置されている。
【0125】
B−2.液晶セル
上記液晶セル20は、一対の基板21、21’と、基板21、21’間に挟持された表示媒体としての液晶層22とを有する。一方の基板(カラーフィルター基板)21には、カラーフィルターおよびブラックマトリクス(いずれも図示せず)が設けられている。他方の基板(アクティブマトリクス基板)21’には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)(図示せず)と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線(図示せず)およびソース信号を与える信号線(図示せず)と、画素電極(図示せず)とが設けられている。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板21’側に設けてもよい。上記基板21、21’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。上記基板21、21’の液晶層22と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
【0126】
上記液晶セル20の駆動モードとしては、任意の適切な駆動モードが採用され得る。好ましくは、VAモードである。図3は、VAモードにおける液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。図3(a)に示すように、電圧無印加時には、液晶分子は基板21、21’面に垂直に配向する。このような垂直配向は、垂直配向膜(図示せず)を形成した基板間に負の誘電率異方性を有するネマチック液晶を配することにより実現され得る。このような状態で一方の基板21の面から光を入射させると、一方の偏光子11を通過して液晶層22に入射した直線偏光の光は、垂直配向している液晶分子の長軸の方向に沿って進む。液晶分子の長軸方向には複屈折が生じないため入射光は偏光方位を変えずに進み、一方の偏光子11と直交する偏光軸を有する他方の偏光子11で吸収される。これにより電圧無印加時において暗状態の表示が得られる(ノーマリブラックモード)。図3(b)に示すように、電極間に電圧が印加されると、液晶分子の長軸が基板面に平行に配向する。この状態の液晶分子は、一方の偏光子11を通過して液晶層22に入射した直線偏光の光に対して複屈折性を示し、入射光の偏光状態は液晶分子の傾きに応じて変化する。所定の最大電圧印加時において液晶層を通過する光は、例えばその偏光方位が90°回転させられた直線偏光となるので、他方の偏光子11を透過して明状態の表示が得られる。再び電圧無印加状態にすると配向規制力により暗状態の表示に戻すことができる。また、印加電圧を変化させて液晶分子の傾きを制御して他方の偏光子11からの透過光強度を変化させることにより階調表示が可能となる。
【0127】
B−3.第5の光学補償層
上記第5の光学補償層16は、いわゆるλ/4板として機能し得る。第5の光学補償層は、λ/4板として、例えば、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換し得る。第5の光学補償層は、主に、上記液晶セルを補償し得る。第5の光学補償層は、上記第3の光学補償層と同様の光学特性(屈折率楕円体、面内位相差、Nz係数等)を有し得る。また、第5の光学補償層は、上記第3の光学補償層と同様の材料で形成され得る。
【0128】
B−4.第6の光学補償層
上記第6の光学補償層17は、nx=ny>nzの屈折率楕円体を有する。第6の光学補償層は、主に、液晶セルを補償し得る。第6の光学補償層の厚み方向の位相差Rthは、液晶パネルの構成等に応じて、任意の適切な値に設定され得る。詳細については、B−5項で説明する。第6の光学補償層は、上記第4の光学補償層と同様の材料で形成され得る。
【0129】
B−5.第4の光学補償層および第6の光学補償層の厚み方向の位相差について
上記第4の光学補償層および第6の光学補償層は、nx=ny>nzの屈折率楕円体を有する。このような屈折率楕円体を有する層は、「ネガティブCプレート」と称される場合がある。図2(a)に示すように、液晶パネルにおいて、ネガティブCプレートが一層設けられている場合(図示例では第4の光学補償層15)、その厚み方向の位相差Rthは、好ましくは50〜600nm、さらに好ましくは100〜540nm、特に好ましくは150〜500nmである。一方、図2(b)に示すように、液晶パネルにおいて、ネガティブCプレートが複数層設けられている場合(図示例では第4の光学補償層15および第6の光学補償層17)、それらの厚み方向の位相差Rthの和は、好ましくは50〜600nm、さらに好ましくは100〜540nm、特に好ましくは150〜500nmである。各ネガティブCプレートのRthは、任意の適切な値に設定され得る。具体的には、図2(b)に示すように、ネガティブCプレートとして第4の光学補償層および第6の光学補償層が設けられている場合(2層設けられている場合)、Rthは、好ましくは25〜300nm、さらに好ましくは50〜270nm、特に好ましくは75〜250nmである。Rthは、好ましくは25〜300nm、さらに好ましくは50〜270nm、特に好ましくは75〜250nmである。
【0130】
B−6.積層方法
上記各層(フィルム)の積層方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して積層される。粘着剤層としては、代表的には、アクリル系粘着剤層が挙げられる。液晶セルの両側に設けられるアクリル系粘着剤層の厚みは、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜50μm、さらに好ましくは3μm〜30μmである。それ以外のアクリル系粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは3〜25μmである。
【0131】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。
【0132】
(1)位相差値の測定
王子計測製KOBRA−WPRを用いて自動計測した。測定波長は590nmもしくは550nm、測定温度は23℃であった。
(2)コントラストの測定1
実際に作製して測定した各光学補償層の光学特性パラメーターを用いて、各実施例および比較例の液晶パネルについてコンピューターシミュレーションを行った。シミュレーションには、シンテック社製、液晶表示器用シミュレーター「LCD MASTER」を用いた。
(3)コントラストの測定2
液晶表示装置に白画像および黒画像を表示させ、AUTRONIC MELCHERS社製、商品名「Conoscope」により測定した。
【0133】
[実施例1]
(偏光板)
ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素を含む水溶液中で染色した後、ホウ酸を含む水溶液中で速比の異なるロール間にて6倍に一軸延伸して偏光子を得た。この偏光子の両面それぞれに、保護層としてトリアセチルセルロースフィルム(厚み40μm、コニカミノルタ社製、商品名:KC4UYW)を、ポリビニルアルコール系接着剤(厚み0.1μm)を介して貼り付けた。保護層の面内位相差Re(550)は0.9nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)は、1.2nmであった。このようにして偏光板を作製した。なお、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したときの値を示す。
【0134】
(第1の光学補償層)
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み60μm、光弾性係数3.1×10−12/N)を158℃で3.0倍に固定端横一軸延伸することによって、長尺状のフィルムを作製した。得られたフィルムの面内位相差Reは110nm、厚み方向の位相差Rthは143nm、Nz係数(Rth/Re)は1.3であった。得られたフィルムを後述の液晶セルに対応するサイズに打ち抜いて第1の光学補償層とした。
【0135】
(第2の光学補償層)
スチレン−無水マレイン酸共重合体(ノヴァ・ケミカル・ジャパン社製、商品名「ダイラーク D232」)のペレット状樹脂を、単軸押出機とTダイを用いて、270℃で押し出し、シート状の溶融樹脂を冷却ドラムで冷却して厚み100μmのフィルムを得た。このフィルムを、ロール延伸機を用いて、温度130℃、延伸倍率1.6倍で、搬送方向に自由端一軸延伸して、搬送方向に進相軸を有するフィルムを得た(縦延伸工程)。
得られたフィルムを、テンター延伸機を用いて、温度135℃で、フィルム幅が前記縦延伸後のフィルム幅の1.6倍となるように幅方向に固定端一軸延伸して、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た(横延伸工程)。
このようにして得られた位相差フィルムは、搬送方向に進相軸を有し、屈折率楕円体がnz>nx>nyの関係を示し、面内位相差Reは19nm、厚み方向の位相差Rthは−80nm、Nz係数(Rth/Re)は−4.2であった。得られた位相差フィルムを後述の液晶セルに対応するサイズに打ち抜いて第2の光学補償層とした。
【0136】
(第3の光学補償層)
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み40μm、光弾性係数3.10×10−12/N)を140℃で1.52倍に一軸延伸することによって、長尺のフィルムを作製した。得られたフィルムの厚みは35μm、面内位相差Reは140nm、厚み方向の位相差Rthは140nmであった。得られたフィルムを後述の液晶セルに対応するサイズに打ち抜いて第3の光学補償層とした。
【0137】
(第4の光学補償層)
下記化学式(1)に示されるネマチック液晶性化合物90重量部、下記化学式(2)に示されるカイラル剤10重量部、光重合開始剤(イルガキュア907:チバスペシャリティーケミカルズ社製)5重量部、およびメチルエチルケトン300重量部を均一となるように混合し、液晶塗工液を調製した。次に、この液晶塗工液を基板(二軸延伸PETフィルム)上にコーティングし、80℃で3分間熱処理し、次いで紫外線を照射して重合処理し、基板上に第4の光学補償層となるコレステリック配向固化層を形成した。当該コレステリック配向固化層の厚みは2.2μm、厚み方向の位相差Rthは120nmであり、面内位相差Reは実質的にゼロであった。
【0138】
【化1】

【0139】
(第5の光学補償層)
上記第3の光学補償層と同様にして得たフィルムを第5の光学補償層(Re:140nm、Rth:140nm)とした。
【0140】
(第6の光学補償層)
上記第4の光学補償層と同様にして得たコレステリック配向固化層を第6の光学補償層(Re:実質的にゼロ、Rth:120nm)とした。
【0141】
(積層光学フィルムA)
上記で得られた第3の光学補償層に、第4の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板(二軸延伸PETフィルム)を除去して、第3の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体1を得た。
前記積層体1の第3の光学補償層側に、第2の光学補償層、第1の光学補償層および偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。このとき、第1の光学補償層の遅相軸が偏光板の偏光子の吸収軸に対して直交するように積層し、第2の光学補償層の遅相軸が偏光板の偏光子の吸収軸に対して直交するように積層し、第3の光学補償層の遅相軸が偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層した。このようにして積層フィルムAを作製した。
【0142】
(積層フィルムB)
上記で得られた第5の光学補償層に、第6の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板(二軸延伸PETフィルム)を除去して、第5の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体2を得た。
前記積層体2の第5の光学補償層側に、偏光板を、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。このとき、第5の光学補償層の遅相軸が偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層した。このようにして積層フィルムBを作製した。
【0143】
(液晶パネル)
ソニー社製プレイステーションポータブル(VAモード液晶セル搭載)から液晶セルを取り外し、当該液晶セルのバックライト側に上記積層光学フィルムAを、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して貼り付けた。このとき、第4の光学補償層が液晶セル側になるように貼り付けた。また、液晶セルの視認側には、上記積層フィルムBを、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して貼り付けた。このとき、第6の光学補償層が液晶セル側になるように貼り付けた。また、積層光学フィルムAの偏光子の吸収軸と積層フィルムBの偏光子の吸収軸とが互いに直交するように積層した。具体的には、視認側の偏光子の吸収軸を基準(0°)にして、時計回りに第5の光学補償層の遅相軸が45°、第3の光学補償層の遅相軸が135°、第2の光学補償層の遅相軸が0°、第1の光学補償層の遅相軸が0°、バックライト側の偏光子の吸収軸が90°となるように積層した。このようにして液晶パネルを作製した。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図4に示す。また、このようにして得られた液晶パネルを用いて作製した液晶表示装置のコントラストの視野角依存性を実測した。結果を図5に示す。
【0144】
[実施例2]
(積層光学フィルムC)
第2の光学補償層の遅相軸が偏光板の偏光子の吸収軸に対して平行となるように積層したこと以外は、積層光学フィルムAと同様にして積層光学フィルムCを得た。
【0145】
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムCを用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得た。具体的には、視認側の偏光子の吸収軸を基準(0°)にして、時計回りに第5の光学補償層の遅相軸が45°、第3の光学補償層の遅相軸が135°、第2の光学補償層の遅相軸が90°、第1の光学補償層の遅相軸が0°、バックライト側の偏光子の吸収軸が90°となるように積層して液晶パネルを得た。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図6に示す。また、このようにして得られた液晶パネルを用いて作製した液晶表示装置のコントラストの視野角依存性を実測した。結果を図7に示す。
【0146】
[実施例3]
(積層光学フィルムD)
第2の光学補償層として、以下のフィルムを用いること以外は積層光学フィルムAと同様にして積層光学フィルムDを得る。
(第2の光学補償層)
延伸倍率1.59倍で縦延伸し、延伸倍率1.59倍となるように横延伸したこと以外は、実施例1と同様にして第2の光学補償層を得た。なお、屈折率楕円体はnz>nx>nyの関係を示し、面内位相差Reは10nm、厚み方向の位相差Rthは−80nm、Nz係数(Rth/Re)は−8.0であった。
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムDを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図8に示す。
【0147】
[実施例4]
(積層光学フィルムE)
第2の光学補償層として、以下のフィルムを用いること以外は積層光学フィルムAと同様にして積層光学フィルムEを得る。
(第2の光学補償層)
延伸倍率1.61倍で縦延伸し、延伸倍率1.61倍となるように横延伸したこと以外は、実施例1と同様にして第2の光学補償層を得た。なお、屈折率楕円体はnz>nx>nyの関係を示し、面内位相差Reは30nm、厚み方向の位相差Rthは−80nm、Nz係数(Rth/Re)は−2.7であった。
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムEを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図9に示す。
【0148】
[実施例5]
(積層光学フィルムF)
第2の光学補償層として、以下のフィルムを用いること以外は積層光学フィルムAと同様にして積層光学フィルムFを得る。
(第2の光学補償層)
延伸倍率1.62倍で縦延伸し、延伸倍率1.62倍となるように横延伸したこと以外は、実施例1と同様にして第2の光学補償層を得た。なお、屈折率楕円体はnz>nx>nyの関係を示し、面内位相差Reは40nm、厚み方向の位相差Rthは−80nm、Nz係数(Rth/Re)は−2.0であった。
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムFを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図10に示す。
【0149】
[実施例6]
(積層光学フィルムG)
第2の光学補償層として、以下のフィルムを用いること以外は積層光学フィルムAと同様にして積層光学フィルムGを得る。
(第2の光学補償層)
延伸倍率1.63倍で縦延伸し、延伸倍率1.63倍となるように横延伸したこと以外は、実施例1と同様にして第2の光学補償層を得た。なお、屈折率楕円体はnz>nx>nyの関係を示し、面内位相差Reは50nm、厚み方向の位相差Rthは−80nm、Nz係数(Rth/Re)は−1.6であった。
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムGを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図11に示す。
【0150】
[実施例7]
(積層光学フィルムH)
第2の光学補償層として、以下のフィルムを用いること以外は積層光学フィルムCと同様にして積層光学フィルムHを得る。
(第2の光学補償層)
延伸倍率1.59倍で縦延伸し、延伸倍率1.59倍となるように横延伸したこと以外は、実施例1と同様にして第2の光学補償層を得た。なお、屈折率楕円体はnz>nx>nyの関係を示し、面内位相差Reは10nm、厚み方向の位相差Rthは−80nm、Nz係数(Rth/Re)は−8.0であった。
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムHを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図12に示す。
【0151】
[実施例8]
(積層光学フィルムI)
第2の光学補償層として、以下のフィルムを用いること以外は積層光学フィルムCと同様にして積層光学フィルムIを得る。
(第2の光学補償層)
延伸倍率1.61倍で縦延伸し、延伸倍率1.61倍となるように横延伸したこと以外は、実施例1と同様にして第2の光学補償層を得た。なお、屈折率楕円体はnz>nx>nyの関係を示し、面内位相差Reは30nm、厚み方向の位相差Rthは−80nm、Nz係数(Rth/Re)は−2.7であった。
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムIを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図13に示す。
【0152】
[実施例9]
(積層光学フィルムJ)
第2の光学補償層として、以下のフィルムを用いること以外は積層光学フィルムCと同様にして積層光学フィルムJを得る。
(第2の光学補償層)
延伸倍率1.62倍で縦延伸し、延伸倍率1.62倍となるように横延伸したこと以外は、実施例1と同様にして第2の光学補償層を得た。なお、屈折率楕円体はnz>nx>nyの関係を示し、面内位相差Reは40nm、厚み方向の位相差Rthは−80nm、Nz係数(Rth/Re)は−2.0であった。
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムJを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図14に示す。
【0153】
[実施例10]
(積層光学フィルムK)
第2の光学補償層として、以下のフィルムを用いること以外は積層光学フィルムCと同様にして積層光学フィルムKを得る。
(第2の光学補償層)
延伸倍率1.63倍で縦延伸し、延伸倍率1.63倍となるように横延伸したこと以外は、実施例1と同様にして第2の光学補償層を得た。なお、屈折率楕円体はnz>nx>nyの関係を示し、面内位相差Reは50nm、厚み方向の位相差Rthは−80nm、Nz係数(Rth/Re)は−1.6であった。
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムKを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図15に示す。
【0154】
[比較例1]
(積層フィルムL)
第1の光学補償層および第2の光学補償層を積層しなかったこと以外は、積層光学フィルムAと同様にして積層フィルムLを得た。
【0155】
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層フィルムLを用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得た。具体的には、視認側の偏光子の吸収軸を基準(0°)にして、時計回りに第5の光学補償層の遅相軸が45°、第3の光学補償層の遅相軸が135°、バックライト側の偏光子の吸収軸が90°となるように積層して液晶パネルを作製した。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図16に示す。また、このようにして得られた液晶パネルを用いて作製した液晶表示装置のコントラストの視野角依存性を実測した。結果を図17に示す。
【0156】
[比較例2]
(積層フィルムM)
第1の光学補償層を積層しなかったこと以外は、積層光学フィルムAと同様にして積層フィルムMを得た。
【0157】
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層フィルムMを用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得た。具体的には、視認側の偏光子の吸収軸を基準(0°)にして、時計回りに第5の光学補償層の遅相軸が45°、第3の光学補償層の遅相軸が135°、第2の光学補償層の遅相軸が0°、バックライト側の偏光子の吸収軸が90°となるように積層して液晶パネルを作製した。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図18に示す。また、このようにして得られた液晶パネルを用いて作製した液晶表示装置のコントラストの視野角依存性を実測した。結果を図19に示す。
【0158】
[比較例3]
(積層フィルムN)
第1の光学補償層を積層しなかったこと以外は、積層光学フィルムCと同様にして積層フィルムNを得る。
【0159】
(液晶パネル)
積層光学フィルムAのかわりに積層フィルムNを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。具体的には、視認側の偏光子の吸収軸を基準(0°)にして、時計回りに第5の光学補償層の遅相軸が45°、第3の光学補償層の遅相軸が135°、第2の光学補償層の遅相軸が90°、バックライト側の偏光子の吸収軸が90°となるように積層して液晶パネルを作製する。
この液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図20に示す。
【0160】
コンピューターシミュレーション結果(図4,6,8〜16,18および20)に示す等高線は、内側から、それぞれ、100,50,40,30,20および10を示す。
実施例1,2および比較例1〜3のパネルの全体構成を表1にまとめる。視認側の偏光子の吸収軸を0°としたときの角度(時計回り)も示す。
【0161】
【表1】

【0162】
図4〜20から明らかなように、本発明の実施例1〜10の液晶パネルは、比較例1〜3の液晶パネルに比べて、コントラストが優れていた。また、本発明の実施例の液晶パネルは比較例の液晶パネルに比べて、カラーシフトが小さいことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明の液晶パネルおよび液晶表示装置は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、液晶テレビ、パーソナルコンピューター等に好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】(a)は、本発明の好ましい実施形態による積層光学フィルムの概略断面図であり、(b)は、本発明の別の好ましい実施形態による積層光学フィルムの概略断面図である。
【図2】(a)は、本発明の1つの実施形態による液晶パネルの概略断面図であり、(b)は、本発明の別の好ましい実施形態による液晶パネルの概略断面図である。
【図3】本発明の液晶表示装置がVAモードの液晶セルを採用する場合に、液晶層の液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。
【図4】本発明の実施例1の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図5】本発明の実施例1の液晶パネルのコントラストの視野角依存性を示すコントラスト等高線図である。
【図6】本発明の実施例2の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図7】本発明の実施例2の液晶パネルのコントラストの視野角依存性を示すコントラスト等高線図である。
【図8】本発明の実施例3の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図9】本発明の実施例4の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図10】本発明の実施例5の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図11】本発明の実施例6の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図12】本発明の実施例7の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図13】本発明の実施例8の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図14】本発明の実施例9の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図15】本発明の実施例10の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図16】比較例1の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図17】比較例1の液晶パネルのコントラストの視野角依存性を示すコントラスト等高線図である。
【図18】比較例2の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図19】比較例2の液晶パネルのコントラストの視野角依存性を示すコントラスト等高線図である。
【図20】比較例3の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【符号の説明】
【0165】
10 積層光学フィルム
10’ 積層光学フィルム
11 偏光子
12 第1の光学補償層
13 第2の光学補償層
14 第3の光学補償層
15 第4の光学補償層
16 第5の光学補償層
17 第6の光学補償層
20 液晶セル
30 積層フィルム
100 液晶パネル
100’ 液晶パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と、
屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示す第1の光学補償層と、
屈折率楕円体がnz>nx>nyの関係を示す第2の光学補償層とを備え、
該偏光子の吸収軸と該第1の光学補償層の遅相軸とが平行または直交するように配置され、
該偏光子の吸収軸と該第2の光学補償層の遅相軸とが平行または直交するように配置されている、積層光学フィルム。
【請求項2】
前記第2の光学補償層のNz係数が−1.0以下である、請求項1に記載の積層光学フィルム。
【請求項3】
前記第2の光学補償層の面内位相差Reが0nm<Re≦70nmの関係を満足する、請求項1または2に記載の積層光学フィルム。
【請求項4】
屈折率楕円体がnx>ny=nzまたはnx>ny>nzの関係を示す第3の光学補償層をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の積層光学フィルム。
【請求項5】
前記第3の光学補償層の面内位相差Reが80〜200nmである、請求項4に記載の積層光学フィルム。
【請求項6】
屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を示す第4の光学補償層をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の積層光学フィルム。
【請求項7】
液晶セルと、請求項1から6のいずかに記載の積層光学フィルムとを備える、液晶パネル。
【請求項8】
前記液晶セルがVAモードである、請求項7に記載の液晶パネル。
【請求項9】
請求項7または8に記載の液晶パネルを含む、液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−251443(P2009−251443A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101440(P2008−101440)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】