説明

積層型圧電素子、液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】電極被覆率を向上させることにより、圧電素子としての変位に対して拘束力が大きくなり、変位量が低減する。
【解決手段】圧電部材12は、圧電層21と内部電極22A、22Bを交互に積層したものであり、内部電極22A、22Bは、銀、パラジウムなどの金属結合部102と、一軸方向に伸びる針形状の導電性フィラー101とを含有し、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラー101が網目構造に形成され、銀、パラジウムなどの金属結合部102により互いに結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層型圧電素子、液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドとしては、例えば液室内の液体であるインクを加圧し圧力を発生するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)としての圧電体、特に圧電層と内部電極を交互に積層した積層型圧電部材に溝加工を施して複数の柱状の圧電素子(圧電柱)を形成した圧電アクチュエータを備え、積層型圧電部材のd33またはd31方向の変位で液室に壁面を形成する弾性変形可能な振動板部材を変形させ、液室内容積、圧力を変化させて液滴を吐出させるいわゆる圧電型ヘッドが知られている。
【0004】
この積層型圧電素子を使用した液体吐出ヘッドにおいて、高密度化を図るためには、圧電素子に対してダイシング等により微細な溝加工を施ことが必要となり、圧電柱の幅も狭くなってくる。
【0005】
ここで、積層型圧電素子の内部電極としては、一般的に、信頼性を考慮し銀パラジウム電極が用いられている。
【0006】
しかしながら、内部電極内にボイドが発生し、このボイドが連結することで、個々の圧電柱の内部電極内に断線が発生するという問題がある。
【0007】
そこで、従来、内部電極として用いる導電性ペースト中にアルミナ粉末或いは圧電素子材料そのものを混ぜることで、焼成後の内部電極被覆率を向上し、ボイド発生による内部電極断線を低減することが知られている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4396701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、電極被覆率を向上させることにより、圧電素子としての変位に対して拘束力が大きくなり、変位量が低減するという新たな課題が発生する。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、圧電素子の変位特性を劣化させることなく、内部電極の断線を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る積層型圧電素子は、
圧電層と内部電極を交互に積層した積層型圧電素子であって、
前記内部電極は、一軸方向に伸びる針形状の導電性フィラーを含有し、
前記導電性フィラー同士が互いに結合され、網目状に形成されている
構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る積層型圧電素子によれば、圧電素子の変位特性を劣化させることなく、内部電極の断線を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例の外観斜視説明図である。
【図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向:図1のA−A線)に沿う断面説明図である。
【図3】同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向:図1のB−B線)に沿う断面説明図である。
【図4】本発明に係る積層型圧電素子の一例の内部電極の説明に供する模式的説明図である。
【図5】比較例の内部電極におけるボイドの説明に供する説明図である。
【図6】比較例の内部電極の断線の説明に供する説明図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の一例の機構部の側面説明図である。
【図8】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一例について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの外観斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向:図1のA−A線)に沿う断面説明図、図3は同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向:図1のB−B線)に沿う断面説明図である。
【0015】
この液体吐出ヘッドは、SUS基板などで形成した流路板(流路部材、流路基板、液室基板)1と、この流路板1の下面に接合した振動板を形成する振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル板3とを有している。これらの部材によって、液滴を吐出する複数のノズル4がそれぞれ連通する個別流路としての複数の液室(加圧液室、圧力室、加圧室、流路などとも称される。)6、液室6にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7、この流体抵抗部7を介して液室6に通じる液体導入部8を形成し、液体導入部8に振動板部材2に形成した供給口9を介して後述するフレーム部材17に形成した共通液室10からインクを供給する。
【0016】
流路板1は、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで、加圧液室6、流体抵抗部7などの開口をそれぞれ形成している。なお、流路板1は、例えば単結晶シリコン基板をエッチングして形成することなどもできる。
【0017】
振動板部材2は、第1層2Aと第2層2Bとで形成されて、第1層2Aで薄肉部を形成し、第1層2A及び第2層2Bで厚肉部を形成している。そして、この振動板部材2は、各液室6に対応してその壁面を形成する第1層2Aで形成された各振動領域(ダイアフラム部)2aを有し、この振動領域2aの中に、面外側(液室6と反対面側)に第1層2A及び第2層2Bの厚肉部で形成された島状凸部2bが設けられ、また、液室間隔壁30に対応する部分に同様に厚肉部2cが設けられている。
【0018】
そして、この振動板部材2の液室6と反対側に振動領域2aを変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
【0019】
この圧電アクチュエータ11は、ベース部材13上に接着剤接合した複数(ここでは2つとする)の本発明に係る積層型圧電素子である積層型圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の柱状の圧電素子(以下「圧電柱」という。)12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
【0020】
なお、圧電部材12の圧電柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電柱を駆動柱12A、駆動波形を与えないで単なる支持柱として使用する圧電柱を非駆動柱12Bとして区別している。つまり、所謂バイピッチ構成としている。
【0021】
そして、駆動柱12Aの上端面(接合面)を振動板部材2の島状凸部2bに接合して接合している。また、非駆動柱12Bの上端面は液室間隔壁30に対応する位置で振動板部材2の厚肉部2cに接合している。
【0022】
ここで、圧電部材12は、圧電材料層(圧電層)21と内部電極22A、22Bとを交互に積層したものであり、内部電極22A、22Bをそれぞれ端面、即ち圧電部材12の振動板部材2に略垂直な側面(積層方向に沿う面)に引き出して、この側面に形成された端面電極である個別外部電極23、共通外部電極24に接続し、外部電極23、24間に電圧を印加することで積層方向の変位を生じる。なお、共通外部電極24は図示しない内部電極を通じて個別外部電極23側の端面であって、圧電部材12のノズル配列方向の端部に引出されている。
【0023】
また、ベース部材13のノズル配列方向と直交する方向の両側面には配線部材としてのフレキシブル配線基板であるFPC15が設けられている。そして、圧電部材12の駆動柱12Aの個別外部電極23及び図示しない取出し用共通外部電極とFPC15の配線電極とは半田接合で接合され、FPC15には駆動柱12Aに駆動信号を与える駆動回路(ドライバIC)が実装されている。
【0024】
ノズル板3は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造している。このノズル板3には各液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤接合している。そして、このノズル板3の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面)には撥水層を設けている。
【0025】
さらに、これらの圧電部材12、ベース部材13及びFPC15などで構成される圧電アクチュエータ11の外周側には、エポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17を接合している。そして、このフレーム部材17には前述した共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部からインクを供給するための供給口を形成し、この供給口19は更に図示しないサブタンクやインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。
【0026】
このヘッドでは、圧電柱12A、12Bは300dpiの間隔でダイシングされており.それが対向して2列配置され、個別液室6及びノズル4は、1列150dpiの間隔で2列がそれぞれ千鳥配置に整列しており,300dpiの解像度を1スキャンで得ることができる構成としている。
【0027】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば駆動柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって駆動柱12Aが収縮し、振動板部材2の液室壁面を形成する振動領域2aが下降して個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内にインクが流入し、その後駆動柱12Aに印加する電圧を上げて駆動柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材2の振動領域2aをノズル4方向に変形させて液室6の容積を収縮させることにより、液室6内のインクが加圧され、ノズル4からインク滴が吐出(噴射)される。
【0028】
そして、駆動柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材2の振動領域2aが初期位置に復元し、液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0029】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0030】
次に、本発明に係る積層型圧電素子の一例について図4を参照して説明する。なお、図4は同圧電素子の内部電極の説明に供する模式的説明図である。
【0031】
積層型圧電素子である圧電部材12は、前述したように、圧電層21と内部電極22A、22B(以下、区別しないときは「内部電極22」という。)を交互に積層したものである。
【0032】
ここで、内部電極22は、焼成タイプの導電性ペーストを使用し、銀、パラジウム粉に加え、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラー101(図4参照)を含有させている。
【0033】
一軸方向に伸びた針形状導電性フィラーの銀、パラジウム粉に対する含有比率としては、好ましくは、5〜60wt%の範囲内であり、より好ましくは10〜30wt%である。
【0034】
また、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラーとしては、セラミックスフィラーをコア材とする針形状フィラーに金属めっきを施したものを使用することができる。これにより、焼成時の収縮を低減することができる。
【0035】
例えば、径が0.1〜0.5μm、長さが10〜20μmの形状としたセラミックスフィラーに銀無電解めっきを施したものを使用することができる。
【0036】
そして、圧電層21を形成するグリーンシートに、銀、パラジウム粉に加え、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラーを含有する導電性ペーストをスクリーン印刷し、この工程を繰り返し、焼成を行って、積層型圧電部材12を製作した。
【0037】
ここで、針形状導電性フィラーよりも銀、パラジウム粉の方が低融点であり、焼成時に針形状導電性フィラーは溶けた銀、パラジウムより被覆され、冷却とともに針形状導電性フィラー同士が互いに結合される。
【0038】
これにより、図4に示すように、内部電極22として、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラー101が網目構造に形成され、銀パラジウム(金属結合部)102により互いに結合している状態が形成されたものが得られる。
【0039】
このような積層型圧電部材12について、内部電極22の材料における針形状導電性フィラー101の添加量を変化させ、600dpi相当のピッチで溝加工を施して、特性を評価した。
【0040】
この場合、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラー101の添加量に応じ、内部電極被覆率が変化し、ボイド103(図4参照)の発生状態も変化が見られた。
【0041】
針形状導電性フィラー101の銀、パラジウム粉に対する含有比率が5wt%では、ボイド103同士の結合による大型化が確認され、内部電極の断線が認められるようになった。このときの内部電極被覆率は50%程度となった。
【0042】
また、含有比率が10〜30wt%においては、内部電極被覆率が70〜80%となり内部電極断線がなくなるとともに、圧電素子としての変位特性の劣化もないことが確認された。
【0043】
一方、含有比率が60wt%では内部電極被覆率が95%となり、断線はなくなるが、圧電素子としての変位特性の劣化を招くことが確認された。
【0044】
以上のように、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラーを内部電極に含有させ、網目状に形成することで、ボイドの連結による内部電極断線を防止でき、また、内部電極被覆率を低減することにより、内部電極による変位に対する拘束力が低減して、変位特性が劣化しない。
【0045】
なお、上記実施形態では、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラーに、銀無電解めっきを施し導電性フィラーを使用しているが、Ni無電解めっき等の金属コーティングを施した導電性フィラーでも同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
また、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラーとして、径が約0.05〜0.2μmで長さが10〜30μmとなる鎖状に連なった鎖状ニッケルフィラー、あるいは、それに銀などで被覆したもの等も使用することができる。
【0047】
ここで、鎖状ニッケルフィラーとは、ニッケルのナノ粒子を製作するにあたり、個別のナノ粒子が数珠繋ぎに連なり、一軸方向に伸びた針形状導電性フィラーを意味する。
【0048】
ここで、比較のために、針形状導電性フィラーを含有しない内部電極について図5及び図6を参照して説明する。
【0049】
針形状導電性フィラーを含有しない場合、図5に示すように、内部電極22にボイド103が多数発生し、特に、高密度の圧電柱12A、12Bを配列する高密度ヘッドにあっては、圧電柱の幅(配列方向)が狭くなり、内部電極22の断線がより生じ易くなる。
【0050】
具体的に説明すると、仮に幅20μmの圧電柱を形成した場合、図5のA領域が圧電柱として形成されたとすると、図5に○印104で示す箇所でボイド103が圧電柱幅方向に連続し、内部電極が図5の上下方向に断裂していることがわかる。この位置はA領域の圧電柱を抜き出して記載した図6の○位置に相当し、この位置より左側の部分は外部共通電極24と断線し、電圧を印加することができない。
【0051】
上記各実施形態の液体吐出ヘッドにインクを供給するタンクを一体にしインクタンク一体型ヘッドを構成することもできる。
【0052】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図7及び図8を参照して説明する。なお、図11は同装置の機構部の側面説明図、図12は同機構部の要部平面説明図である。
【0053】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0054】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドと同ヘッドに供給するインクを収容するタンクを一体化した記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0055】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、一方の記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方の記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、1ヘッド当たり4ノズル列配置とし、1個のヘッドで4色の各色を吐出させることもできる。
【0056】
また、記録ヘッド234のタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0057】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0058】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0059】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0060】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0061】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0062】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0063】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0064】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0065】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0066】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0067】
このように、この画像形成装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えるので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0068】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0069】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0070】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0071】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0072】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 流路板
2 振動板部材
3 ノズル板
4 ノズル
5 ノズル連通路
6 加圧液室(個別液室、個別液室)
10 共通液室
12 圧電部材
12A、12B 圧電柱
15 FPC(配線部材)
21 圧電層
22A、22B 内部電極
23 個別外部電極
24 共通外部電極
101 針形状導電性フィラー
102 金属結合部
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電層と内部電極を交互に積層した積層型圧電素子であって、
前記内部電極は、一軸方向に伸びる針形状の導電性フィラーを含有し、
前記導電性フィラー同士が互いに結合され、網目状に形成されている
ことを特徴とする積層型圧電素子。
【請求項2】
前記導電性フィラーは、セラミックスをコアとする針形状フィラーに金属めっきを施して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
【請求項3】
前記導電性フィラーは、鎖状ニッケルフィラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型圧電素子。
【請求項4】
前記導電性フィラーは、前記鎖状ニッケルフィラーの表面に銀メッキを施して形成されていることを特徴とする請求項3に記載の積層型圧電素子。
【請求項5】
前記針形状の導電性フィラーとは異なる金属材料を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の積層型圧電素子。
【請求項6】
前記金属材料は前記針形状の導電性フィラーよりも低融点であり、前記金属材料により前記導電性フィラー同士が結合されていることを特徴とする請求項5に記載の積層型圧電素子。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の積層型圧電素子を備えていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−62412(P2013−62412A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200525(P2011−200525)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】