説明

積荷搬送機械における荷重サイクル自動検出システム、および方法、ならびに搬送機械

【課題】
荷重サイクル、および/または積荷吊り下げ手段の重量を高い信頼性で認識させる。
【解決手段】
積荷搬送機械の荷重サイクル自動検出システムは、少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて荷重変化を自動検出するための荷重変化検出と、少なくとも水平方向の積荷の位置を検出する積荷位置検出と、荷重サイクル自動検出のための荷重サイクル検出とを備え、上記荷重サイクル検出は、少なくとも荷重変化検出、および荷重位置検出の出力信号に基づいて行われるとともに、上記荷重サイクル検出は、正の荷重変化が認識されたときに、積荷の位置を積荷ピックアップポイントとして検出し、積荷が、あらかじめ決定された距離だけ積荷ピックアップポイントから水平に移動したかどうかの判定に基づいて、上記正の荷重変化を新たな荷重サイクルの開始として評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積荷搬送機械における荷重サイクル自動検出システムに関するものである。上記機械は、積荷を上昇させる上昇装置、および積荷を水平移動させる搬送装置を含む。搬送装置は、特に、クレーンの旋回装置、および/または上下動メカニズムであり得る。
【0002】
この装置は、少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて荷重変化を自動検出するための荷重変化検出(部)、少なくとも水平方向の積荷の位置を検出する積荷位置検出(部)、および荷重サイクル自動検出のための荷重サイクル検出(部)を含み、荷重サイクル検出は、少なくとも荷重変化検出、および荷重位置検出の出力信号に基づいて行われる。
【背景技術】
【0003】
搬送クレーンの荷重サイクルを検出する従来技術のシステムが知られている。このシステムでは、サイクルの開始および終了が、積荷吊り下げ手段を差し引いた重量が一定の荷重閾値を超え、または下回ることによって検出される。クレーンのオペレータは、さらに、トリガ閾値を入力しなければならず、このトリガ閾値が交差されたときに、荷重の大きさが検出され、荷重サイクルにおける負荷重量(load weight)が定義される。上記トリガ閾値としては、クレーンの旋回角が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような公知のシステムは、特に、クレーンオペレータの手作業による相互作用の必要性によって生じる多くの問題点を有している。トリガ閾値、または旋回角がしばしばセットされず、または誤った位置がセットされることによって、記録が行われず、または誤った記録が行われる。さらに、荷重サイクルの誤検出を防止するために、サイクルの開始点および停止点の決定のための非常に大きな荷重閾値が用いられる。しかし、ペイロードの重量はしばしば積荷吊り下げ手段、および吊り索(sling gear)の重量よりも小さく、また、最大荷重よりも一桁小さいため、信頼性のある荷重サイクルを確実に検出することができない。しかも、計測システムが非常に正確に構成されることを必要とされる。
【0005】
特に積荷吊り下げ手段の交換時に頻繁なエラー原因となる、手作業による積荷吊り下げ手段、および吊り索の重量の差し引きによって、さらなる問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、より少ない相互作用で運用でき、手作業の相互作用がなくても、荷重サイクル、および/または積荷吊り下げ手段の重量を高い信頼性で認識することができる、積荷搬送機械における荷重サイクル自動検出システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1のシステムによる発明によって達成される。
【0008】
本発明は、積荷搬送機械における荷重サイクル自動検出システムを含み、上記機械は、積荷を上昇させる上昇装置、および積荷を水平移動させる搬送装置を含む。
【0009】
本発明のシステムは、例えばクレーンに用いることができる。上昇装置は、例えばクレーンの上昇メカニズムであり得、搬送装置は、例えばクレーンの旋回装置、および/または上下動メカニズムであり得る。クレーンロープに吊り下げられた積荷は、上昇メカニズムを動作させることによって昇降させることができる。また、積荷は、クレーンのブームを旋回、および/または起伏させることによって、少なくとも1つの水平な方向に移動させることができる。
【0010】
しかし、本発明のシステムは、クレーンに用いられるだけでなく、他の搬送機械、特に、建設機械、搬送ユニット、工業用トラック、リーチスタッカー、および/またはホイールローダーにも用いられる。これらの全てのユニットは、積荷の水平移動のための搬送装置を有するとともに、積荷が昇降される上昇装置を有する。
【0011】
本発明のシステムは、少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて荷重(負荷)変化を自動検出するための荷重変化検出、少なくとも水平方向の積荷の位置を検出する積荷位置検出、および荷重サイクル自動検出のための荷重サイクル検出を含み、荷重サイクル検出は、少なくとも荷重変化検出、および荷重位置検出の出力信号に基づいて行われる。本発明では、荷重サイクル検出は、正の荷重変化が認識されたときに、積荷の位置を積荷ピックアップポイントとして検出し、記憶する。そのような正の荷重変化は、積荷が、あらかじめ決定された距離だけ積荷ピックアップポイントから水平に移動したかどうかの判定(query)に基づいて、新たな荷重サイクルの開始として評価される。
【0012】
本発明のシステムは、有利には、単に、正の荷重変化の検出後に、積荷が、あらかじめ決定された距離だけ積荷ピックアップポイントから水平に移動されたときに、正の荷重変化を新たな荷重サイクルの開始として検出する。これによって、例えば積荷吊り下げ装置のよりよい位置決めのために積荷ピックアップポイントで積荷が何回も昇降されるごとに、新たな荷重サイクルが検出されるようなことが防止される。本発明のシステムによれば、このように、荷重サイクルの検出に関して、より信頼性が高くなる。さらに、もはやトリガ閾値を手動でプリセットする必要はない。信頼性のある新たな荷重サイクルの認識のための信頼性のある基準は、むしろ、その時点の積荷の位置と記憶されている積荷ピックアップポイントとの比較、および積荷があらかじめ決定された距離だけ積荷ピックアップポイントから水平に移動したかどうかの判定によって与えられる。
【0013】
本発明では、荷重サイクルの確認のためのトリガ閾値は、このようにそれぞれの積荷ピックアップポイントに応じて自動的に生成される。あらかじめ決定される積荷ピックアップポイントからの距離は、例えば、積荷が積荷ピックアップポイントから遠ざけられる固定された距離であり得る。この点で、例えば3mであり得る。上記距離は、特に、積荷の正確な位置決めのために通常必要な距離よりも長くされる。
【0014】
積荷位置の検出は、例えば機械座標系に関して、例えばクレーンの場合にはブームの旋回角、および起伏角に関して、積荷の位置を決定することができる。積荷、または積荷吊り下げ手段の位置、および/または動きは、有利には、ブームの先端の位置、および/または速度によって決定される。積荷、および/または積荷吊り下げ手段の位置、および/または動き(水平方向についてだけ必要)は、ブームの先端の位置、および/または速度に対応する。
【0015】
本発明のシステムは、さらに有利には、少なくとも水平方向の積荷の速度を検出する積荷速度検出を備え、荷重サイクル検出は、さらに積荷速度検出の出力信号に基づいて行われる。積荷速度検出は、有利には、機械座標系に基づいて、特にクレーンの旋回角、および/または起伏角、または旋回速度、および起伏速度に基づいて行われる。荷重サイクルの認識は、荷重サイクル検出のための積荷速度を用いることによって、さらに改良される。特に、積荷システムのダイナミクスによって生じる引き上げ力計測装置の出力信号の変動によって、新たな荷重サイクルが誤って認識されることが、防止される。
【0016】
荷重サイクル検出は、有利には、正の荷重変化の間に、積荷速度が、あらかじめ決定された値を超えなかったかの判定に基づいて、正の荷重変化を新たな荷重サイクルとして評価する。すなわち、正の荷重変化は、有利には、単に、正の荷重変化の間に、積荷速度が、あらかじめ決定された値を超えなかった場合に、新たな荷重サイクルの開始と評価される。
【0017】
引き上げ力計測装置の出力信号における大きな振幅は、例えば、積荷が水平移動する間の積荷の揺動によって生じる。しかし、積荷が変動する際には、積荷の水平方向の速度は、通常、所定の値を超えるので、本発明のシステムでは、そのような変動は、新たな荷重サイクルの開始とは評価されない。これに対して、真の荷重サイクルの開始時には、積荷吊り下げ手段は、通常、積荷の位置に合わせるために、水平方向に動かされないか、またはほとんど動かされない。積荷速度は、このように新たな荷重サイクルの開始ではない荷重変化を除外する良好な基準をもたらす。
【0018】
さらに有利には、本発明のシステムでは、荷重サイクル検出は、負の荷重変化が生じたかどうかの判定に基づいて、アクティブな荷重サイクルの終了を検出する。本発明のシステムは、有利には、単に、負の荷重変化を、直後に新たな荷重サイクルの開始が認識された場合に、アクティブな荷重サイクルの終了と評価する。これに対して、もし、負の荷重変化の後に、正の荷重変化の間に荷重速度があらかじめ決定された値を超えたため新たな荷重サイクルの開始とは評価されない正の荷重変化が続いた場合には、上記負の荷重変化もまたアクティブな荷重サイクルの終了とは評価されない。
【0019】
これによって、積荷が動く間の積荷の変動が誤ってアクティブな荷重サイクルの終了と評価されることが防止される。しかし、積荷吊り下げ手段が積荷を降ろす間にまだ動いていること、例えば、ばら荷の材料(bulk material)が、わしづかみ(grab)によって、ある距離に亘りばら撒かれることは全くあり得るので、負の荷重変化のための積荷の速度に関する基準は提供されない。そこで、負の荷重変化が、アクティブな荷重サイクルの終了として評価されるかどうかは、単独に、続く正の荷重変化がどのように評価されるかに応じて、評価される。
【0020】
本発明のシステムでは、有利には、荷重サイクルの検出は、ディスクリート・ステート・マシンに基づいて行われる。そのようなディスクリート・ステート・マシンは、本発明の荷重サイクル検出の簡素な実現を可能にする。
【0021】
ディスクリート・ステート・マシンは、有利には、少なくとも以下の状態を有する。積荷なし、正の荷重変化認識、アクティブな荷重サイクル確認。上記ステート・マシンは、まず、積荷なしの状態にされる。この状態では、引き上げ力計測装置によって生成された計測信号は、積荷吊り下げ手段の重量の決定に用いられる。もし、正の荷重変化が認識された場合には、システムは正の荷重変化認識の状態に遷移する。同時に、正の荷重変化の際の積荷の位置が積荷ピックアップポイントとして記憶される。もし、正の荷重変化の検出後に、積荷が、あらかじめ決定された距離だけ積荷ピックアップポイントから水平に移動された場合には、ステート・マシンは、アクティブな荷重サイクル確認の状態に遷移する。こうして、新たな荷重サイクルの開始が認識される。アクティブな荷重サイクル確認の状態では、今度は、例えば、引き上げ力計測装置の信号に基づいて重量が決定される。
【0022】
一方、もし、ステート・マシンが、正の荷重変化認識の状態で、負の荷重変化が後続した場合には、ステート・マシンは、アクティブな荷重サイクルが検出されることなく、再度積荷なしの状態に戻る。一方、もし、ステート・マシンが、アクティブな荷重サイクル確認の状態で、負の荷重変化が後続した場合には、ステート・マシンは、積荷なしの状態に遷移し、アクティブな荷重サイクルの終了が検出される。荷重サイクルの終了時におけるデータは、有利にはデータベースなどのメモリユニットに記憶される。
【0023】
もし、さらに、正の荷重変化認識の際に、積荷速度があらかじめ決定された値よりも小さいかどうか判定される場合には、ステート・マシンは、次のように変更される。すなわち、正の荷重変化が生じ、速度があらかじめ決定された値よりも小さい場合には、ステート・マシンは、積荷なしの状態から正の荷重変化認識の状態に遷移する。一方、もし、正の荷重変化が、あらかじめ決定された値よりも大きな積荷速度で生じた場合には、マシンは、積荷なしの状態から直接アクティブな荷重サイクル確認の状態に遷移する。もし、アクティブな荷重サイクル確認の状態で、次に負の荷重変化が生じた場合には、ステート・マシンは、積荷なしの状態に遷移する。しかし、これは、ステート・マシンが、直後に正の荷重変化認識の状態に遷移したときにのみ、アクティブな荷重サイクルの終了として評価される。一方、もし、ステート・マシンが直接アクティブな荷重サイクル確認の状態に遷移する場合には、アクティブな荷重サイクルは継続していると想定される。このように、例えば、アクティブな荷重サイクルの開始、および終了がいつ生じるかの評価のために、上位の選択ロジック(high-ranking selection logic)を用いることができる。
【0024】
本発明のシステムでは、さらに有利に提供がなされる。すなわち、荷重サイクル検出は、引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて、特に、アクティブな荷重サイクルに亘るか、またはアクティブな荷重サイクルの一部の範囲に亘る平均値の算出に基づいて、負荷重量を検出する。自動荷重サイクル認識は、このようにアクティブな荷重サイクルごとに負荷重量を決定する目的に用いられる。
【0025】
本発明のシステムは、さらに有利には、積荷吊り下げ手段の重量を自動的に検出する積荷吊り下げ手段検出ユニットを含む。これによって、手動によるシステムの風袋差し引きを省略することができる。積荷吊り下げ手段の重量の自動検出は、有利には、ディスクリート・ステート・マシンに基づいて行われる。もし、ステート・マシンが上記のように用いられる場合には、積荷吊り下げ手段の重量の決定は、有利には積荷なしの状態で行われる。
【0026】
積荷吊り下げ手段の重量は、有利には、引き上げ力計測装置の出力信号が、先立って決定された積荷吊り下げ手段の重量より特定の限界値だけ下回る時期(phase)は考慮に入れずに、平均値を算出することによって決定される。これによって、吊り下げ手段が積荷上に置かれる積荷吊り下げ手段の重量の決定を、引き上げ力計測装置の出力信号の減少が誤らせることを防止できる。
【0027】
正の荷重変化は、有利には、引き上げ力計測装置の出力信号が積荷吊り下げ手段の重量をあらかじめセットされた値だけ超えたときに、荷重変化検出によって検出される。一方、負の荷重変化は、有利には、引き上げ力計測装置の出力信号が再度積荷吊り下げ手段の重量に、あらかじめセットされた値まで近づいたときに認識される。
【0028】
本発明は、さらに、積荷を上昇させる上昇装置を備えて積荷を搬送するための機械、特にクレーンにおける、積荷吊り下げ手段の交換を自動検出するシステムを含む。このシステムは、引き上げ力を計測する引き上げ力計測装置、および少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて、積荷吊り下げ手段の変更を自動的に認識する積荷吊り下げ手段検出ユニットを含む。
【0029】
本発明は、このように、自動的に積荷吊り下げ手段の変更、したがって積荷吊り下げ手段の重量の変化を認識し、考慮に入れることを可能にする。この点で、検出は少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて行われるので、積荷吊り下げ手段における別個の信号トランスデューサは必要でない。
【0030】
上記システムは、有利には、積荷吊り下げ手段の少なくとも水平方向の位置を検出する位置検出を含み、積荷吊り下げ手段検出ユニットとともに、少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号、および上記位置検出に基づいて、積荷吊り下げ手段の変更を自動的に認識する。
【0031】
上記システムは、さらに有利には、少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて荷重変化を自動検出するための荷重変化検出を含み、積荷吊り下げ手段検出ユニットは、荷重変化検出によって検出された荷重変化に基づいて、積荷吊り下げ手段の変更を認識する。
【0032】
積荷吊り下げ手段検出ユニットは、有利には、荷重変化が生じたときに、常に、積荷吊り下げ手段の位置を記憶する。そのような荷重変化が積荷吊り下げ手段の変更に対応するかどうかの決定は、有利には、少なくとも、記憶された位置から積荷吊り下げ手段のまでの水平方向の距離の判定に基づいて行われる。
【0033】
上記システムは、さらに有利には、荷重サイクル自動検出のための荷重サイクル検出を含み、積荷吊り下げ手段検出ユニットは、荷重サイクル検出に基づいて動作する。
【0034】
積荷吊り下げ手段の変更の検出は、有利には、上記のような荷重サイクル検出に基づいて行われる。積荷吊り下げ手段の変更の自動検出のための本発明のシステムは、しかし、また、明らかに、荷重サイクルの自動検出のための本発明のシステムとは独立に、非常に有利な点である。
【0035】
積荷吊り下げ手段の変更は、有利には、1つ以上のディスクリート・ステートマシンに関連して検出される。これは、単に、引き上げ力計測装置の出力信号と、機械座標系とが用いられるだけであっても、積荷吊り下げ手段の変更の認識の信頼性を可能にする。
【0036】
さらに有利な提供として、積荷吊り下げ手段検出は、荷重サイクル検出、およびアクティブな荷重サイクルが存在せずに負の荷重変化が生じたときの積荷吊り下げ手段の位置の記憶に基づいて行われる。そのようなアクティブな荷重サイクルの不存在が検出される際の負の荷重変化は、積荷吊り下げ手段が、その負の荷重変化の後に、記憶されている位置から、あらかじめ決定された距離だけ水平に移動されたかどうかの判定に基づいて、より軽い積荷吊り下げ手段への変更と評価される。アクティブな荷重サイクルが存在しない状態での負の荷重変化は、引き上げ力計測装置の出力信号が、先立って検出された積荷吊り下げ手段の重量よりも、あらかじめ決定された量だけ下回ったときに、認識される。
【0037】
したがって、もし、積荷吊り下げ手段または積荷を搬送する機械が、負の荷重変化の後に、引き上げ力計測装置の出力信号が、先立って検出された積荷吊り下げ手段の重量の範囲に再度戻ることなく、またはその範囲を超えることなく、あらかじめ決定された距離だけ水平に移動されると、より軽い積荷吊り下げ手段への変更と評価される。この検出された積荷吊り下げ手段の重量は、直後に更新される。
【0038】
もし、積荷吊り下げ手段検出がステート・マシンによって実現される場合、負の荷重変化が生じたとき、すなわち、引き上げ力計測装置の出力信号が、先立って検出された積荷吊り下げ手段の重量より特定の値だけ下回ったとき、積荷なしの状態から、負の荷重変化の状態に遷移する。この状態では、積荷吊り下げ手段または積荷を搬送する機械が水平方向に移動されたかどうかのチェックが行われる。もし、この動きが、特定のあらかじめ決定された値、例えば6mを超えた場合、これは、より軽い積荷吊り下げ手段に変更されたと評価される。ステート・マシンは、そこで、検出された積荷吊り下げ手段の重量が更新されて、再度、積荷なしの状態に戻る。
【0039】
一方、もし、正の荷重変化が検出された場合には、ステート・マシンは、検出された積荷吊り下げ手段の重量を更新することなく、再度、積荷なしの状態に遷移する。この状態で、引き上げ力計測装置の出力信号が、再度、検出された積荷吊り下げ手段の重量に対して、あらかじめ決定された値だけ小さい値よりも増大したときに、正の荷重変化が認識される。
【0040】
本発明のさらに有利な提供として、積荷吊り下げ手段検出ユニットは、並列に動作し、その状態が上位の制御ロジックによってチェックされる複数のディスクリート・ステートマシンに基づいて、積荷吊り下げ手段の変更を検出する。より重い積荷吊り下げ手段への変更は、個別に認識される。第1のステート・マシンがアクティブな荷重サイクルを確認した場合には、常に、第2のステート・マシンが有利に開始される。この第2のステート・マシンは、積荷なしの状態において動作を開始し、積荷吊り上げ手段の重量として、対応して(correspondingly)より大きな重量を検出する。
【0041】
上位の制御ロジックは、並列に動作するどのステート・マシンが、実際に、正しいアクティブな荷重サイクルを検出するか、およびどのステート・マシンが再度削除されたかを決定する。制御ロジックは、特に、1つのステート・マシンがアクティブな荷重サイクルの終了を認識したときに、これを常に決定する。
【0042】
本発明の有利な提供として、第1のステート・マシンがアクティブな荷重サイクルの終了を認識した場合、まず、さらなる(further)ステート・マシンがアクティブな荷重サイクルの終了を認識するかどうか、あらかじめ決定された時間だけ待たれる。そうでない場合には、第1のステート・マシンは、正しい荷重サイクルを与えるステート・マシンとして評価される。
【0043】
一方、もし、さらなる(further)ステート・マシンが、そのアクティブな荷重サイクルが終了したことを示した(signalize)場合には、さらなる基準による決定が行われる。この目的のため、第1のステート・マシンがアクティブな荷重サイクルの終了を認識した位置が記憶される。その後、積荷吊り下げ手段が、あらかじめ決定された距離、例えば3m、水平に移動した時点で、どの重量が計測されたかチェックされる。ステート・マシンは、その後、検出された荷重吊り下げ手段の重量がその時点で決定された負荷重量に対応する、正しいステート・マシンと判断される。
【0044】
本発明のさらに有利な提供として、本発明の荷重サイクル検出は、検出されたそれぞれの荷重サイクルにおける荷重サイクルデータをデータベースに記憶し、上記データベースは、後のデータの評価を可能にする。本発明のシステムは、このようにして、積荷の搬送における作業手順の広範囲にわたる正確な評価を可能にする。
【0045】
荷重サイクルデータは、有利には、以下の1つ以上のデータを含む。すなわち、負荷重量、荷重サイクル期間、開始および終了位置、開始および終了時刻、積荷吊り下げ手段の重量、荷重サイクル中の荷重の最小および最大値、搬送距離、ならびに機械または機械のドライバーの特性である。特に、これらの複数のデータがデータベースに記憶され得る。
【0046】
データの評価は、有利には、以下の1つ以上のデータの決定を含む。すなわち、エネルギ/燃料消費、搬送された積荷の合計重量、平均搬送能力、およびパワー/パフォーマンス率(power/performance indices)である。上記データの評価は、システムによって直接的に、またはデータベースからのデータが転送される付加的な装置によって、行うことができる。
【0047】
これによって、種々の機能が可能である。例えば、本発明のシステムの合計搬送(total transfer)の計算が可能である。顧客は、このようにして、例えば、もっぱら本発明の荷重サイクル認識からのデータを参照して、単独に、ばら荷(bulk goods)の搬送における合計搬送(total transfer)を決定する可能性を有する。
【0048】
本発明の荷重サイクル認識のデータは、さらに、均等に船積み(load a ship)するのに用いることができる。本発明の荷重サイクル認識により、ばら荷の船積みにおいて、ひと掴み当たりの搬送量を正確に決定することができる。これによって、非対称な船積みを回避することができる。
【0049】
荷重サイクルの認識データは、さらに、特定の保証された搬送能力をデモンストレートするのに用いることができる。加えて、例えば個々のクレーンオペレータに、パフォーマンスの指標(indices)を用意する可能性も生じる。
【0050】
さらに、上記で述べられたような、荷重サイクルの自動認識のためのシステム、および積荷吊り下げ手段の変更の自動検出のためのシステムに加えて、本発明は、さらに、一方、または両方を有する搬送機械を含む。
【0051】
搬送機械は、例えば、クレーンの上昇メカニズムに対応する上昇装置を備えたクレーンであり得る。引き上げ力計測装置は、有利には、ホイストロープのロープ荷重計測のための装置である。旋回クレーンの場合には、搬送装置は、クレーンの旋回装置、および/または上下動メカニズムに対応する。
【0052】
しかし、搬送機械は、例えば、また、リーチスタッカー、フォークリフトトラック、エキスカベーター、ホイールローダー、または積荷を上昇させるための上昇装置を有する種々の他の望ましい搬送機械でもよい。搬送機械の特定の設計により、荷重サイクル検出と、積荷吊り下げ手段検出とは、別個に荷重計測および位置決定に基づいて独立に行われるので、本発明の複数のシステムは、また、これらの機械によって問題なく用いることができる。
【0053】
本発明は、さらに、積荷搬送機械における荷重サイクルの検出方法を含み、上記機械は、積荷を上昇させる上昇装置、および積荷を水平移動させる搬送装置を含む。本発明の方法は、以下のステップを含む。すなわち、上昇装置の引き上げ力の決定、少なくとも特定の引き上げ力に基づく荷重変化の検出、積荷の少なくとも水平方向の位置の検出、少なくとも検出された荷重変化、および積荷の位置に基づいた、荷重サイクルの自動検出である。本発明では、さらにステップが供給される。正の荷重変化が認識されたときに、積荷の位置を積荷ピックアップポイントとして検出し、積荷が、あらかじめ決定された距離だけ積荷ピックアップポイントから水平に移動したかどうかの判定に基づいて、上記正の荷重変化を新たな荷重サイクルの開始として評価する。
【0054】
本発明の方法は、既に上記で本発明のシステムについてより詳細に述べられたのと同じ利点を有している。上記方法は、さらに有利には、上記システムについて示されたのと同様に実行される。上記方法は、特に有利には、上記で示されたようなシステムによって実現することができる。
【0055】
本発明は、以下、実施例および図面を参照して、より詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態の積荷搬送機械を示す正面図および平面図である。
【図2】荷重サイクルを示す積荷搬送機械の平面図である。
【図3】積荷フックおよびスプレッダを用いた荷重サイクルにおける負荷重量信号を示すグラフである。
【図4】積荷フックおよびスプレッダを用いた荷重サイクルにおける負荷重量信号、および積荷の搬送距離を示すグラフである。
【図5】積荷フックおよびスプレッダを用いた荷重サイクルにおける、積荷が上げ下ろしされる際に上下に複数回動く場合の負荷重量信号、および積荷の搬送距離を示すグラフである。
【図6】本発明のステート・マシンの第1の実施形態を示す図である。
【図7】ダイナミックな変動が生じた場合の荷重サイクルにおける負荷重量信号を示すグラフである。
【図8】本発明のステート・マシンの第2の実施形態を示す図である。
【図9】より軽い積荷吊り下げ手段に変更される場合における負荷重量信号、および積荷の搬送距離を示すグラフである。
【図10】第1または第2の実施形態のステート・マシンの拡張を示す図である。
【図11】アクティブなサイクルの間に荷重が増加し、より重い積荷吊り下げ手段に変更される場合における負荷重量信号および積荷の搬送距離を示すグラフである。
【図12】積荷吊り下げ手段の変更を検出するための本発明のステート・マシンの拡張を示す図である。
【図13】積荷吊り下げ手段の変更を検出するための決定論理の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、積荷搬送のための本発明に従った機械の実施形態を示し、そこにおいては、荷重サイクルの自動検出のための本発明に従ったシステムの実施形態、および積荷吊り下げ手段の変更検出のための本発明に従ったシステムの実施形態が用いられる。実施形態の積荷搬送機械は、クレーン、特に、港湾移動式クレーンである。クレーンは、シャーシ9を有する車台1を有している。これによって、クレーンは港湾内を移動可能である。クレーンは、引き揚げ位置において、支持ユニット10を介して支持され得る。タワー2は、車台1における鉛直な旋回軸回りに旋回可能に設けられる。ブーム5は、タワー2の水平軸回りに回転自在に接続される。このようにして、ブーム5は、油圧シリンダ7によって、起伏平面(luffing plane)内で上下に回転される。
【0058】
クレーンは、ブーム5の先端で転向プーリ11によって案内されるホイストロープ4を備えている。積荷3が持ち上げられ得る積荷吊り下げ手段12は、ホイストロープ4の先端に設けられている。積荷吊り下げ手段12または積荷3は、ホイストロープ4を動かすことによって昇降される。積荷吊り下げ手段12または積荷3の鉛直方向の位置の変化は、このようにして、ホイストロープ4の長さlを増減させることによって行われる。この目的のために、ホイストロープ4を動かすウィンチ13が設けられている。ウィンチ13は、上部構造に設けられている。ホイストロープ4は、また、まずウィンチ13からタワー2の先端の第1転向プーリ6を介してブーム5の先端の転向プーリ14に導かれ、そこから、タワー2に戻され、第2転向プーリ8を介してブーム5の先端の転向プーリ11に導かれる。ホイストロープ4は、そこから積荷3に垂下される。
【0059】
積荷吊り下げ手段12または積荷3は、さらに、タワー2を水平に角度φだけ旋回させ、ブーム5を鉛直に角度φだけ起伏させることによって、移動させられ得る。上部構造のウィンチ13によるブーム5の起伏動により、積荷3の放射方向の移動と伴に、積荷3の昇降動が生じる。これは、オプショナリに、対応するウィンチ13の制御により補償される。
【0060】
図2は、本発明の積荷搬送機械における典型的な搬送状況を示す。積荷3は、位置Aで上昇され、経路20に沿って水平に移動され、位置Bで再度下降される。このような積荷3の上昇、水平方向の移動、および積荷3の下降のサイクルは、荷重サイクルと述べられる。従来、クレーンのオペレータは、そのような荷重サイクルの認識のために手動トリガ閾値30を手動でプリセットしなければならなかった。荷重が、このトリガ閾値30を越えると、新たな荷重サイクルがカウントされ、この荷重サイクルのその時点で計測された負荷重量が記憶される。この場合、既に詳細に上述されたように、多くの問題が生じる。
【0061】
そこで、本発明では、荷重サイクル自動認識システムによって、位置Aにおいて積荷3が上昇されたことの自動的な認識がなされる。そして、荷重サイクルの検出は、その積荷3の位置を積荷ピックアップポイントAとして記憶する。そこで、その後の時点の積荷3の位置は、この記憶されている積荷ピックアップポイントAと継続的に比較される。積荷3の巻き上げは、その巻き上げの後に、積荷3が積荷ピックアップポイントAからあらかじめ決定された距離dだけ水平に移動されたときにのみ、新たな荷重サイクルとして評価される。手動トリガ閾値30に代えて、本発明では、検出された積荷ピックアップポイントAの周りに自動的に配置され、自動的に生成されたトリガ閾値40が提供される。
【0062】
トリガ閾値40は、このように、積荷3の巻き上げにおいて検出された積荷ピックアップポイントAに応じて自動的に生成される。荷重サイクルの検出は、これにより、かなり信頼性が高く、しかも、クレーンオペレータとの相互作用なしに完全に自動的に行われ得る。
【0063】
積荷3のピックアップは、荷重変化の検出によって自動的に検出される。荷重変化の検出は、引き上げ力計測装置の出力信号に基づいてなされる。この引き上げ力計測装置は、例えば、ウィンチ13の軸連結(pivotal connection)中に、または、転向プーリ8の軸連結中に設けることができる。または、そのような引き上げ力計測装置は、また、積荷吊り下げ手段12の部分に設けることもできる。引き上げ力計測装置をウィンチ13または転向プーリ8に設けることは、しかし、積荷吊り下げ手段12に追加の配線を設ける必要がない点で有利である。引き上げ力計測装置は、まず、それぞれの計測位置におけるホイストロープ4に加わる力を計測する。引き上げ力計測装置は、このロープの力から、積荷吊り下げ手段12、および吊り下げられた積荷3の重量を算出する。
【0064】
ここで、ホイストロープ4の重量および転向プーリでの摩擦ロスの補償が行われる。さらに、積荷3の加速、または揺動によって生じる動的効果は、積荷吊り下げ手段12、および積荷3の重量の決定において考慮され得る。引き上げ力計測装置は、次に、現時点の(currently)計測された負荷重量を出力信号として出力し、上記負荷重量は、積荷吊り下げ手段12、および積荷3の重量の合計に対応する。
【0065】
荷重サイクルの検出は、以下により詳しく示されるように、まず、積荷吊り下げ手段12の重量を決定する。次に、荷重変化の検出は、積荷吊り下げ手段12の重量および現時点の計測された負荷重量に基づいて、荷重変化を検出する。この実施形態では、現時点の計測された負荷重量が以前に検出された積荷吊り下げ手段12の重量よりも特定の値Tだけ超えたときに、正の荷重変化が認識される。例えば、0.8tが値Tとして選択され得る。これに対して、負の荷重変化は、正の荷重変化の後に、負荷重量が、以前に決定された積荷吊り下げ手段12の重量より限界値Tだけ大きい値を下回ったときに、認識される。
【0066】
しかし、自動荷重サイクル検出は、荷重変化検出の信号に基づいて、単独で高い信頼性で行うことはできない。なぜならば、そのような荷重変化は、例えば、コンテナが順次積み上げられるときにしばしばあるように、積荷3を降ろす際に、積荷3が目標位置で正確な位置決めのために何回も下降されたり再上昇されたりする場合に生じ得るからである。
【0067】
さらに、引き上げ力計測装置の信号は、用いられるリフトのタイプまたは積荷吊り下げ手段12のタイプに応じて差異が生じる。引き上げ力計測装置の出力信号における2つの典型的な曲線が図3(a)(b)に示されている。図3(a)では、単一の積荷吊り下げ手段12としてのフックが使用される場合の典型的な負荷重量信号が示されている。フック自体は、約4tの重量を有している。時刻100では、約6tの重量を有する積荷3がフックに吊り下げられて引き上げられ、時刻101で再度下ろされて、時刻103で再度引き上げられ、最後に時刻103で下に降ろされる。しかし、この負荷信号だけでは、実際に、1回の荷重サイクル、または2回の荷重サイクルが行われたのか、または荷重サイクルは行われていないのかは、認識できない。
【0068】
図3(b)では、スプレッダーが用いられてコンテナが引き上げられ、降ろされる際の典型的な負荷重量信号の曲線が示されている。スプレッダーはクレーンのフックに吊り下げられ、これ自体は、約13tの重量を有し、積荷吊り下げ手段12の負荷重量は、積荷フックと併せて約17tになる。スプレッダーは、コンテナを時刻104で引き上げるために、コンテナの上にセットされる。この時点で計測される負荷重量は、スプレッダーの重量の少なくとも一部をコンテナが支えるので、これによって、大幅に低下する。続いてコンテナが引き上げられる際には、負荷重量は約33tまで増加する。コンテナは再度、目的の位置に降ろされる。コンテナが、例えば他のコンテナの上に正確に位置決めされるために、何回も引き上げられ、再度、下ろされる間に、複数の力のピークが生じる。例えば、コンテナは、時刻105で、まず下ろされ、次に再度引き上げられる。コンテナは、最後にだけ、時刻106で降ろされる。降ろされる際には、負荷重量は、コンテナによって支えられるので、再度吊り下げ手段の重量よりも低下する。図3(b)と同様のイメージは、また、バラ荷を取り上げる際に、まずばら荷の上に横たわるグリッパーが、積荷吊り下げ装置として用いられる場合にも生じる。
【0069】
図3(a)(b)に示された2つの状況のための本発明の荷重サイクル検出は、図4(a)(b)に模式的に示される。荷重サイクル検出は、まず、積荷3が持ち上げられていないときに、積荷吊り下げ手段12の重量Gを検出する。計測された負荷重量113が上記検出された積荷吊り下げ手段12の重量Gよりも上の値Tを超えると、直ちに正の荷重変換が検出される。これは、何れの時刻110の場合も同じである。荷重変化の検出の際に、積荷3または積荷吊り下げ手段12の位置が記憶される。しかし、時刻110の正の荷重変化は、時刻111においてのみ、新たな荷重サイクルの開始と評価される。この目的のため、その時点の積荷3または積荷吊り下げ手段12の位置114が積荷ピックアップポイントAと比較される。積荷3または積荷吊り下げ手段12が積荷ピックアップポイントAから水平に距離dだけ移動した後にのみ、その前の正の荷重変化が新たな荷重サイクルの開始と評価される。
【0070】
荷重サイクルの終了は、負の荷重変化が生じた、すなわち、その時点の計測された負荷重量113が積荷吊り下げ手段12の重量Gよりも限界値Tだけ上より再度下回った時刻112で認識される。
【0071】
次に、図5(a)(b)を参照して、この自動的に生成された、積荷ピックアップポイントAから水平または横に離れる動きのトリガ閾値が、なぜ荷重サイクルの検出精度を高め、増減する荷重変化を誤って新たな荷重サイクルと認識するのを防止するかが示される。
【0072】
図5(a)(b)において、積荷3の持ち上げの際には、荷重は、まず上昇し、次に再度低下する。負荷重量信号113には、積荷吊り下げ手段12の重量Gより上の値Tを超える荷重のピーク115が生じる。そこで、正の荷重変化が認識され、その時点の積荷3の位置が積荷ピックアップポイントAとして記憶される。しかし、位置曲線114から分かるように、積荷3は、まず、最初の正の荷重変化の後は水平方向にわずかに移動しただけで、記憶されている荷重ピックアップポイントAから距離dを越えない。最初の正の荷重変化の後、積荷3が水平方向にトリガ閾値を越えることなく負の荷重変化が生じるので、この最初の正の荷重変化は、それ以上考慮されない。
【0073】
繰り返される荷重閾値超過において、時刻110における正の荷重変化だけが、時刻111で、積荷3が、記憶された荷重ピックアップポイントAから距離dを越えるので、アクティブな荷重サイクルの開始として評価される。kのアクティブな荷重サイクルの終了は、時刻112で負の荷重変化が生じたときに認識される。
【0074】
積荷3を下降させる際に同様に生じる荷重変化116は、次の負の荷重変化まで積荷3が距離dだけ移動しないので、同様に新たなアクティブな荷重サイクルの開始とは認識されない。
【0075】
図では、下方のグラフで位置を簡潔に示すために、積荷3のそれぞれの移動距離は、最後の(正または負の)荷重変化から開始されている。
【0076】
図6では、本発明の荷重サイクル検出が実現されるステート・マシンが示される。上記ステート・マシンは、まず、システムが開始される初期化状態120を有している。サイクル終了、またはサイクル開始が認識されるかどうかに応じて、システムは、状態121・122に遷移する。
【0077】
荷重サイクル検出のための実際のステート・マシンは、状態121〜124によって形成される。
【0078】
状態121では、ステート・マシンは、積荷3はホイストロープに吊り下げられていず、負荷重量は積荷吊り下げ手段12(LSM)の重量Gに対応すると想定する。この状態では、荷重サイクル検出は、積荷吊り下げ手段12の重量Gを決定する。この積荷吊り下げ手段12の重量Gは、少なくとも、積荷3が積荷吊り下げ手段12に吊り下げられていない、ステート・マシンがサイクル終了124から状態121に遷移するごとに、決定される。積荷吊り下げ手段12の重量Gは、また、状態121で変化が生じるごとに、決定される。手動でのシステムの風袋差し引きは、これにより、もはや必要でない。システムは、むしろ、自動的に積荷吊り下げ手段12の重量を検出する。
【0079】
積荷吊り下げ手段12の重量Gの決定は、平均値フィルタによって行われる。平均値の算出は、有利には、その時点の負荷重量Lが、先に決定された積荷吊り下げ手段12の重量Gに対して、所定の範囲内である期間にだけ行われる。計測された、範囲G−T’内の負荷重量Lの値は、特に平均値の計算に考慮されない。そうしなければ、図3(b)および図4(b)に示すような負荷重量信号を生成する積荷吊り下げ手段12では、積荷吊り下げ手段12の重量Gは、小さすぎるように決定されることになる。下限の値T’は、例えば正の荷重変化の認識のための限界値Tと等しく選択される。
【0080】
荷重変化検出は、常に現時点(current)の負荷重量を監視し、積荷吊り下げ手段12の重量Gと比較する。現時点の負荷重量が重量Gから値Tだけ越えない限り、すなわち、正の荷重変化が検出されない限り、ステート・マシンは状態121に留まる。
【0081】
もし、正の荷重変化が検出された場合には、ステート・マシンは状態122に遷移する。この状態では、正の荷重変化は、アクティブサイクルが存在する可能性があると認識される。状態121と状態122の間の変化の際には、すなわち、正の荷重変化が検出された際には、同時に、積荷3または積荷吊り下げ手段12の位置が、積荷ピックアップポイントLAとして記憶される。次に、システムは、継続的に積荷3または積荷吊り下げ手段12の現在(current)位置Pを、記憶されている積荷ピックアップポイントLAと比較し、これから、積荷3の積荷ピックアップポイントからの水平方向の距離[P−LA]を決定する。この横断距離[P−LA]が、トリガ閾値として用いられる最小距離dよりも小さい限り、有限遷移マシンは状態122に留められる。さらに、負荷重量Lが、継続的に決定される。もし、それが値G+Tを下回ると、有限遷移マシンは状態121に戻る。
【0082】
一方、ステート・マシンが状態122にあるときに、横断距離[P−LA]が最小距離dを超えると、有限遷移マシンは、状態123に遷移する。これによって、アクティブサイクルが存在することが確認される。このようにして、最後に生じた正の荷重変化は、アクティブサイクルの開始と認識される。有限遷移マシンが状態123にある間、積荷3の重量GLが決定される。この目的のため、積荷吊り下げ手段12の重量Gが現時点の計測された負荷重量Lから差し引かれる。ここで、負荷重量Lについての平均値フィルタによって、平均値の計算がなされ得る。平均値フィルタは、また、負荷重量の急激な増加の際には、アップデート、またはリスタートされ得る。
【0083】
ステート・マシンは、現時点の負荷重量Lを監視し、継続的に積荷吊り下げ手段12の重量Gと比較する。現時点の負荷重量が再度値G+Tよりも低下すると、ステート・マシンは直ちに状態123から状態124に遷移し、アクティブサイクルの終了が検出される。状態124では、ちょうど終了したアクティブサイクルのデータが記憶される。特に、積荷3の重量GLが、ちょうど終了したアクティブサイクルの他のデータと伴に記憶され得る。例えば、積荷ピックアップポイント、および積荷ピックアップ時刻が記憶され得る。さらに、位置、およびオプショナリにサイクル終了が認識された時刻が記憶され得る。さらに、またはこれらに代えて、サイクルの長さ、サイクル中の移動距離、負荷重量の最大および最小値、並びにこれらに類するものが記憶され得る。
【0084】
データが記憶された後、ステート・マシンは、状態124から再度積荷3が吊り下げられていない状態121に戻る。積荷吊り下げ手段12の重量Gは、順に決定される。
【0085】
上記荷重サイクル検出における問題は、積荷3がクレーンロープに吊り下げられて移動されるときに生じる積荷3の動的な動きによる荷重変化において見出され得る。そのような荷重変化は、例えば、積荷3の揺動によって生じ得る。図7は、そのような負荷重量曲線の例を示す。負荷重量は、実線133で描かれている。正の荷重変化は、垂直な実線134、負の荷重変化は、破線135で描かれている。正の荷重変化は、時刻130で認識される。積荷3は、その後、横断移動され、上記正の荷重変化は、アクティブな荷重サイクルの開始と認識される。時刻131では、負荷重量が動的なプロセスのために非常に強く振動し、瞬間的に限界値G+Tを下回る。そこで、負の荷重変化がまず認識され、直後に正の荷重変化が続く。
【0086】
図6に示すステート・マシンでは、上記負の荷重変化によってサイクルの終了が認識される。積荷3は、直ちに続く正の荷重変化後、さらに横断方向に動くので、この正の荷重変化も、新たなアクティブな荷重サイクルの開始として検出される。図6に示すステート・マシンは、従って、図7に示す荷重サイクルを、時刻131の動的な荷重変化のために、2つの別個の荷重サイクルと誤って評価する。
【0087】
そのような誤りを回避するため、アクティブな荷重サイクルの開始および終了を検出するための更なる基準を用いることができる。この目的のため、正の荷重変化が検出された際に積荷3または積荷吊り下げ手段12の現在位置が記憶されるだけでなく、積荷3または積荷吊り下げ手段12の水平方向の速度も決定される。この速度vが特定の限界値rよりも小さい場合にだけ、上記正の荷重変化は新たなアクティブな荷重サイクルの開始に対応し得る。一方、速度vが限界値rよりも大きい場合には、システムは、動的な問題が存在して、以前のアクティブな荷重サイクルは継続していると結論付ける。
【0088】
上記追加の基準を考慮した図6に示されるステート・マシンの拡張は、図8に示される。状態121〜124は、基本的に図6に示されるのと同じように動作する。追加の基準は、状態121で正の荷重変化が認識されたときに有効になる。もし、正の荷重変化の間に横断速度vがrより小さいと検出された場合には、ステート・マシンは、以前と同様に状態122に遷移する。この場合には、サイクルタイプ1が記憶される。
【0089】
一方、もし、ステート・マシンが、状態121で、正の荷重変化の際に限界値rよりも大きな横断速度vと決定した場合には、ステート・マシンは、直接、状態123に遷移する。さらに、サイクルタイプ2が記憶される。
【0090】
新たなアクティブな荷重サイクルの開始が実際に存在するのか、または既にアクティブな荷重サイクルが継続しているだけなのかは、それぞれのサイクルタイプの記憶によって決定することができる。この目的のため、状態124、すなわち、状態123から負の荷重変化によって遷移した状態は、そのデータをロジック125に送る。このロジック125は、どの種類のサイクルタイプが次の変化の際に状態121から記憶されるかを見るために待つ。もし、サイクルタイプ1が記憶される場合には、ロジック125は、前のサイクルにおけるデータを、完了したアクティブなサイクルのデータとして評価する。一方、もし、サイクルタイプ2が記憶される場合には、ロジック125は、最後のサイクルのデータを単にその時点でアクティブなサイクルの一部のサイクルと評価する。
【0091】
ロジック125は、サイクルエンド124に関して、積荷吊り下げ手段12または積荷3の速度についての判断基準が提供されないために、必要となる。すなわち、積荷吊り下げ手段12が積荷3を放す際にさらに動かされること、例えば、ばら荷(bulk goods)がグリッパーによって長い距離に亘りばら撒かれることが常に(by all means)可能になる。ステート・マシンは、荷重が閾値G+Tより低下すると、常に状態123から、すなわちアクティブなサイクルから、サイクル終了に遷移する。そこでロジック125は、状態121から状態122または直接状態123への次の遷移に基づいて、実際にアクティブな荷重サイクルの終了か、または最後のアクティブな荷重サイクルが 継続しているだけなのかを決定する。
【0092】
ステート・マシンが、状態121にあるときに、まず気づき(aware)、積荷吊り下げ手段12の重量Gを自動的に決定し得ることが、前もって仮定された。以下、本発明のシステムの実施形態が、積荷吊り下げ手段12の交換の自動検出のためにどのように働くかが示される。以下、重い積荷吊り下げ手段12からより軽い積荷吊り下げ手段12への交換が行われる最も簡単なケースが、図9を参照して、より詳細に示される。
【0093】
システムが仮定する負荷重量信号L、および重量Gは、図9の上側に示される。積荷吊り下げ手段12、または積荷3が、各荷重変化の後に移動する横断距離は、下側に示される。積荷吊り下げ手段12の交換は、時刻140に行われる。このときまでは、積荷吊り下げ手段12のためにシステムが決定した重量Gは、その時点の(currently)計測された負荷重量Lである。
【0094】
次に、システムは、積荷3が積荷吊り下げ手段12に吊り下げられていない状態121において、負の荷重変化を決定する。この、状態121からの負の荷重変化は、現時点の負荷重量Lが、以前に検出された積荷吊り下げ手段12の重量Gよりも値T’だけ下回ったときに検出される。限界値T’は、限界値Tとちょうど同じ大きさ、例えば0.8tに選択され得る。このとき、積荷吊り下げ手段12の重量Gのための平均値計算は保留され、初期的に、最後に検出された値に一定に保たれる。
【0095】
次に、積荷吊り下げ手段12の交換が今や実際に行われたか、または積荷吊り下げ手段12が、例えば単に下に降ろされただけかの決定が、負の荷重変化が検出されてから積荷吊り下げ手段12が移動された横断距離の監視によって行われる。この目的のため、状態121からの負の荷重変化の検出に際して、積荷吊り下げ手段12の位置が、積荷吊り下げ手段配置位置として記憶される。次に、システムは、積荷吊り下げ手段12が、積荷吊り下げ手段配置位置から水平方向にd’の距離を移動したかどうかをチェックする。もし、積荷吊り下げ手段12が、正の荷重変化が生じることなく、そのような距離を移動した場合には、システムは、これを積荷吊り下げ手段12の交換と評価し、積荷吊り下げ手段12の重量G、したがって現時点の計測された負荷重量Lを更新する。
【0096】
これは、図9において下側に示される、時刻140の負の荷重変化の位置からの横断距離が、限界値d’よりも大きくなる時刻141で行われる。限界値d’としては、有利には、dよりも大きい値、例えばdの2倍が選択される。時刻141からは、ステート・マシンは、今や新たな、積荷吊り下げ手段12のより軽い重量Gで動作する。したがって、時刻142では、現時点の負荷重量が、更新された値G+Tを超えるので、正の荷重変化が認識される。この新たなサイクルは、次に、通常のように横断の動きに基づいてアクティブサイクルであることが確認され、このアクティブサイクルの終了143は負の荷重変化に基づいて認識される。
【0097】
一方、もし、現時点の負荷重量信号が、状態121での負の荷重変化の後、d’より大きな横断移動が生じることなく再度G−T’を上回った場合には、システムは、負の荷重変化を受け付けずに、以前に検出された積荷吊り下げ手段12の重量Gで動作を続ける。
【0098】
この、より軽い積荷吊り下げ手段12への変更の自動認識は、図8に示すステート・マシンの拡張によって行うことができる。このステート・マシンの拡張は、やはり示される図8から、簡潔化のため、状態121だけが図10に示される。重量Gは、状態121で平均値計算によって決定される。しかし、この場合、現時点の負荷重量Lが、以前に決定された負荷重量Gより特定の限界値T’小さい値を下回らない、すなわちLがG−T’よりも大きい期間だけが考慮される。
【0099】
一方、現時点の計測された負荷重量がG−T’を下回った場合には、状態121からの負の荷重変化が決定される。そこで、システムは、状態126に遷移する。この遷移に際して、負の荷重変化の時点の積荷吊り下げ手段12の位置が、積荷吊り下げ手段配置位置LMAとして決定される。状態126では、次に、積荷吊り下げ手段12が、積荷吊り下げ手段配置位置LMAからd’を超える距離だけ横断移動されたかどうかが監視される。
【0100】
積荷吊り下げ手段12から積荷吊り下げ手段配置位置までの距離[P−LMA]がd’よりも小さい限り、システムは、状態126に留まる。この場合、現時点の負荷重量が再度閾値G−T’を超えるかどうかの監視が続けられる。もし、負荷重量Lが再度G−T’を超えた場合、正の荷重変化が決定され、ステート・マシンは、再度、状態121に遷移する。以前に決定された積荷吊り下げ手段12の重量Gは残り、平均値の算出が続けられる。
【0101】
一方、もし、状態126で、システムが、積荷吊り下げ手段12が積荷吊り下げ手段配置位置から距離d’だけ移動したことを認識した場合には、状態127に遷移し、より軽い積荷吊り下げ手段12への交換が確認される。積荷吊り下げ手段12の重量Gは、その後、今存在する小さな値に更新される。システムは、積荷吊り下げ手段12の更新された重量Gを伴って、再度、状態121に、遷移する。
【0102】
図10に示されるステート・マシンの拡張は、しかし、より軽い積荷吊り下げ手段12への交換の自動検出を可能にするだけである。
【0103】
以下、より重い積荷吊り下げ手段12への交換についての基本的な問題は、図11(a)(b)を参照して、より詳細に説明される。図11(a)には、積荷3が時刻1でピックアップされるシーケンスが示される。積荷3は、しかし、例えば、何回かさらに部分的に引き上げられ、負荷重量は、時刻3で再度かなり増加する。そして、積荷3は時刻6で再び降ろされる。
【0104】
一方、図11(b)では、第1の積荷吊り下げ手段12から、より重い第2の積荷吊り下げ手段12への交換が時刻1で行われる。時刻3では、積荷3が第2の積荷吊り下げ手段12によって引き上げられる。そして、積荷3は時刻6で再び降ろされ、積荷吊り下げ手段12は短時間、積荷3の上で支えられ、計測される荷重の値は減少し続ける。
【0105】
したがって、負荷重量信号の進行は実質的に同じなので、図11(a)で行われている負荷重量の段階的な増加と、図11(b)に示される積荷吊り下げ手段12の変更とは、時刻6までは区別することができない。それでも、上記2つの互いの状況の区別、および、より重い積荷吊り下げ手段12への交換の信頼性のある検出を可能にするために、本発明では、並列に実行される複数のステート・マシンが用いられる。個々のステート・マシンは、それぞれ、図8または図10に示されるように動作する。
【0106】
図12に示されるように、新たなステート・マシンは、常に、状態122から状態123への遷移が生じて正の荷重変化の認識の後にアクティブな荷重サイクルが確認されたときに、生成される。しかし、並行に実行されることが許された最大数nmaxのステート・マシンがあり得る。新たなステート・マシンは、図11(a)(b)のそれぞれの場合に、アクティブな荷重サイクルが確認された時刻2で開始される。上記新たなステート・マシンは、順次、状態121において開始し、それゆえ、時刻1の正の荷重変化後に計測された、より高い負荷重量を積荷吊り下げ手段12の重量Gとして決定する。時刻3では、第2のステート・マシンが正の荷重変化を検出し、それぞれ、時刻4で確認される。第3のステート・マシンは、その直後に開始され、順次、状態121において開始し、対応する、より高い負荷重量を積荷吊り下げ手段12の重量Gとして固定する。
【0107】
時刻5では、第2のステート・マシンSM2がアクティブなサイクルの終了を検出し、状態124に遷移する。しかし、システムは、初期的には、これが、実際に存在する荷重サイクルの終了に実際に対応するかどうかは関知しない。それゆえ、システムは、第1のステート・マシンがアクティブなサイクルの終了を検出した後、特定の期間kだけ待つ。もし、この期間k、例えば2.5s以内に、さらなるステート・マシンがアクティブな荷重サイクルの終了をレポートしなければ、システムは、荷重サイクルの終了をレポートしたステート・マシンは、実際に存在する荷重サイクルに対応すると推定する。全ての他のステート・マシンは、直後に削除され得る。
【0108】
一方、この例では、第1のステート・マシンSM1が同様に、期間k内にアクティブな荷重サイクルの終了をレポートする。2つのステート・マシンの何れが実際のシステムの状態をレポートしているかは、初期的には決定できない。
【0109】
それゆえ、アクティブな荷重サイクルの終了が最初に示された時点での積荷吊り下げ手段12、または積荷3の位置が決定される。この位置から、積荷吊り下げ手段12が横断方向に距離d”だけ移動された後の時刻7に、ステート・マシンは実際の状態をレポートしたと決定され得る。これは、現時点の計測された負荷重量と、それぞれのステート・マシンによって検出された積荷吊り下げ手段12の重量Gとの比較によって行われる。
【0110】
もし、積荷吊り下げ手段12が第1のサイクル終了の認識後に距離d”だけ移動された場合には、システムは、現時点の計測された負荷重量Lと、サイクルの終了を検出した個々のステート・マシンの積荷吊り下げ手段12の重量の値Gとの差を決定する。この差が最も小さいステート・マシンが、実際の状態に対応するステート・マシンと評価される。
【0111】
図11(a)の例では、第1のステート・マシンSM1であり、図11(b)の例では、第2のステート・マシンSM2である。
【0112】
さらに、第1のステート・マシンが、積荷吊り下げ手段12の重量Gを他のステート・マシンの重量Gに対応する、より小さい値に訂正する場合には、システムは、この第1のステート・マシンは実際の状況を関連づけていないと認識する。そこで、このステート・マシンは削除される。負荷重量の2つの値Gは、その差が、例えばT以下であれば、一致している。
【0113】
以下、より重い積荷吊り下げ手段12への交換の検出の手順は、図11(b)の状況を示す図13を参照して、再度、より詳細に説明される。ステート・マシンSM2がそのアクティブなサイクルの終了を示す時刻5では、まず、タイマーがスタートされ、時刻5での積荷吊り下げ手段12の位置が同時に決定される。また、第1のステート・マシンSM1も、期間k内にそのアクティブなサイクルの終了を知らせるので、決定は、システムが距離d”だけ移動した後になされる。距離d”は、距離dに対応し得る。距離d”は、距離d’よりも小さくてもよい。もし、積荷吊り下げ手段12が、最初のアクティブな荷重サイクルの終了の通知後に、閾値d”の距離だけ移動した場合には、決定ロジック140は、どのステート・マシンが実際の状態を表しているかを決定する。
【0114】
ステート・マシンは、その積荷吊り下げ手段12の負荷重量のための値Gが現時点の計測された負荷重量Lに最も近いステート・マシンが選択される。図11(b)の場合には、それはステート・マシンSM2である。これが、唯一のステート・マシンとして動作を継続され、他の全てのステート・マシンは削除される。
【0115】
図11(a)の展開の例では、第1のステート・マシンSM1の値Gは、時刻7における現時点の計測された負荷重量に最も近く、そこで、決定ロジック140は、第1のステート・マシンSM1が実際の状態をレポートするステート・マシンであると決定し、その動作だけを継続させる。
【0116】
本発明は、上記のように、積荷吊り下げ手段にて、その目的のためのセンサを必要とすることなく、積荷吊り下げ手段の交換の自動的な認識を可能にする。認識は、むしろ、単に、引き上げ力計測装置の信号に基づくとともに、移動機械の動きに基づいて行われる。積荷吊り下げ手段の重量の変更は、積荷吊り下げ手段が交換されるごとに、自動的に決定される。
【0117】
本発明のサイクル認識は、さらに、非常に高い信頼性のある正確な荷重サイクルの検出を可能にする。本発明のサイクル認識によって記憶されたデータは、様々な機能を可能にする。
【符号の説明】
【0118】
1 車台
2 タワー
3 積荷
4 ホイストロープ
5 ブーム
6 第1転向プーリ
7 油圧シリンダ
8 第2転向プーリ
8 転向プーリ
9 シャーシ
10 支持ユニット
11 転向プーリ
12 積荷吊り下げ手段
13 ウィンチ
14 転向プーリ
20 経路
30 トリガ閾値
40 トリガ閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積荷搬送機械における荷重サイクル自動検出システムであって、
上記機械は、積荷を上昇させる上昇装置、および積荷を水平移動させる搬送装置を含み、
少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて荷重変化を自動検出するための荷重変化検出と、
少なくとも水平方向の積荷の位置を検出する積荷位置検出と、
荷重サイクル自動検出のための荷重サイクル検出と、
を備え、
上記荷重サイクル検出は、少なくとも荷重変化検出、および荷重位置検出の出力信号に基づいて行われるとともに、
上記荷重サイクル検出は、正の荷重変化が認識されたときに、積荷の位置を積荷ピックアップポイントとして検出し、
積荷が、あらかじめ決定された距離だけ積荷ピックアップポイントから水平に移動したかどうかの判定に基づいて、上記正の荷重変化を新たな荷重サイクルの開始として評価する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムであって、さらに、
少なくとも水平方向の積荷の速度を検出する積荷速度検出を備え、
荷重サイクル検出は、さらに積荷速度検出の出力信号に基づいて行われ、
荷重サイクル検出は、有利には、正の荷重変化の間に、積荷速度が、あらかじめ決定された値を超えなかったかの判定に基づいて、正の荷重変化を新たな荷重サイクルとして評価する
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1および請求項2のうち何れか1項のシステムであって、
上記荷重サイクル検出は、負の荷重変化が生じたかどうかの判定に基づいて、アクティブな荷重サイクルの終了を決定する
ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか1項のシステムであって、
上記荷重サイクル検出は、状況認識システムに基づいて行われ、
上記状況認識システムは、少なくとも、積荷なし、正の荷重変化認識、およびアクティブな荷重サイクル確認の状態を有している
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうち何れか1項のシステムであって、
荷重サイクル検出は、引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて、特に、アクティブな荷重サイクルに亘るか、またはアクティブな荷重サイクルの一部の範囲に亘る平均値の算出に基づいて、負荷重量を検出する
ことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうち何れか1項のシステムであって、さらに、
積荷吊り下げ手段の重量を自動的に検出する積荷吊り下げ手段検出ユニットを含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
積荷搬送機械の積荷吊り下げ手段の交換自動検出システムであって、
上記機械は、積荷を上昇させる上昇装置を含み、
引き上げ力を計測する引き上げ力計測装置と、
少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号に基づいて、積荷吊り下げ手段の交換を自動的に認識する積荷吊り下げ手段検出ユニットと、
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7のシステムであって、
少なくとも水平方向の積荷吊り下げ手段の位置を検出する位置検出を備え、
上記積荷吊り下げ手段検出ユニットは、少なくとも引き上げ力計測装置の出力信号、および位置検出に基づいて、積荷吊り下げ手段の変更を自動的に認識する
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項7および請求項8のうち何れか1項のシステムであって、
上記積荷吊り下げ手段検出は、荷重サイクル検出、特に、請求項1から請求項6のうち何れか1項のシステムに基づいて行われ、
上記積荷吊り下げ手段検出は、有利には、アクティブな荷重サイクルが存在しない間に負の荷重変化が生じたときの積荷吊り下げ手段の位置を検出し、
積荷吊り下げ手段が、負の荷重変化の後に、記憶された位置から、あらかじめ決定された距離だけ水平に移動したかどうかの判断に基づいて、負の荷重変化が、より軽い積荷吊り下げ手段への変更として評価される
ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項7から請求項9のうち何れか1項のシステムであって、
積荷吊り下げ手段検出ユニットは、並列に実行され、そのステートが上位の制御ロジックによってチェックされる複数の別個のステート・マシンに基づいて、積荷吊り下げ手段の交換を検出する
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうち何れか1項のシステムであって、
上記荷重サイクル検出は、各検出された荷重サイクルの荷重サイクルデータをデータベースに記憶し、
上記データベースは、後にデータの評価を可能にする
ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11のシステムであって、上記荷重サイクルデータは、
負荷重量、
荷重サイクル期間、
開始、および終了位置、
開始、および終了時刻、
積荷吊り下げ手段の重量、
荷重サイクル中の荷重の最小、および最大値、
搬送距離、ならびに
機械または機械のドライバーの特性
のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11および請求項12のうち何れか1項のシステムであって、
上記データの評価は、
エネルギ/燃料消費、
搬送された積荷の合計重量、
平均搬送能力、および
パワー/パフォーマンス率
のうちの少なくとも1つの決定を含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項14】
搬送機械であって、
請求項1から請求項13のうち何れか1項の荷重サイクル自動検出システムを含むことを特徴とする搬送機械。
【請求項15】
請求項1から請求項13のうち何れか1項のシステムを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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