説明

空き缶、空きボトル圧縮機

【課題】空き缶、空きボトルを、径方向、軸方向へ容易に圧縮可能としさらにその圧縮を安価な装置で実現することを目的とする。
【解決手段】 圧縮対象となる空き缶7または空ボトル8の圧縮行程長さ以上の距離隔てて対向配置された二個一対の固定ブロック17、17と、この固定ブロック17間を往復移動可能に支持され、かついずれの行程も圧縮行程とされる可動ブロック18と、空き缶7または空ボトル8を圧縮変形し得る力で可動ブロック18を往復駆動する駆動装置と、固定ブロック17と可動ブロック18間に7または空ボトル8を供給する供給装置9と、固定ブロック17下方に設けられ、圧縮された空き缶7等を落下集積させる収納ボックスとを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
この発明は飲料用の空き缶、空きボトルを小さく圧縮するための圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料入りの缶やペットボトルが大量に販売消費されている。これらの使用済みの空き缶、空きボトルはそのまま廃棄することなく資源として再利用することが広く推奨されている。
【0003】
ところで上記の空き缶や空きボトルは、そのままの形状では質量に比し容積が極めて大きい。従って、廃棄するにせよ再利用するにせよそのままの形状では移送や貯蔵に容積的な無駄が非常に大きくなる問題がある。
【0004】
このため使用済みの空き缶や空きボトルを、ローラーやベルトを用いて圧縮し容積を小さくする装置が種々提案されている(特許文献1、2)。
【0005】
ところでこれら空き缶、空きボトルの圧縮装置としては缶を径方向へ圧縮して扁平化するもの(特許文献1)や、円形断面をそのままに軸方向へ圧縮するもの(特許文献2)などがある。
【0006】
さらに上記装置には缶を一個ずつ扁平圧縮するものと、いくつかまとめて圧縮するものがあるが、前者の装置は小型化できる利点があるものの一個ずつ圧縮するので処理に時間が掛かる問題がある。後者のいくつかまとめて圧縮する装置は装置か大掛かりとなり軽便に使用ができない問題がある。
【特許文献1】特開平9−30099号公報
【特許文献2】実用新案登録第3084870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は上記問題を解決することを目的としてなされたものであり、使用済みとなって廃棄される空き缶、空きボトルを、径方向、軸方向へ容易に圧縮可能としさらにその圧縮を安価な装置で実現することを目的としてなされたものである。
【0008】
さらに、上記処理を自動的かつ迅速に行い、缶飲料の自動販売機と組み合わせて設置することで使用済みの缶やボトルの回収を容易にし集積容積を著しく小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためこの発明の空き缶、空きボトル圧縮機は、圧縮対象となる空き缶または空ボトルの圧縮行程長さ以上の距離隔てて対向配置された二個一対の固定ブロックと、この固定ブロック間を往復移動可能に支持され、かついずれの行程も圧縮行程とされる可動ブロックと、前記空き缶または空ボトルを圧縮変形し得る力で前記可動ブロックを往復駆動する駆動装置と、前記固定ブロックと可動ブロック間に前記空き缶または空ボトルを供給する供給装置と、前記固定ブロック近傍に設けられ、圧縮された前記空き缶等を落下排出させる排出口とを備えて構成されている。
【0010】
上記において空き缶、空きボトルの圧縮方向は缶軸方向あるいは缶径方向のいずれであっても良い。
【0011】
上記の空き缶、空ボトル圧縮機において排出口下方に磁石を配置し、この磁石により落下経路を変化させられる磁性体製空き缶の収納ボックスと、前記磁石の影響を受けることなく落下される非磁性体よりなる空き缶または空ボトルの収納ボックスを備え分別回収を可能にすることもできる。
【0012】
また、上記装置において1対の固定ブロックに対応してそれぞれの上方に空き缶または空ボトルの供給路を設け、該それぞれの供給路の下端に、空き缶を投入する投入装置を設け、圧縮処理が連続的に行えるようにすることもできる。
【0013】
さらに、前記投入装置として、供給路の下面に対応し直立した空き缶または空きボトルを受ける受け板と、受け板の背側に立設された前記空き缶または空きボトルより高さの低い背板と、該背板から背側に延出し前記供給路の下端を閉じる遮蔽板とを有し、全体が前記固定ブロック上方に設けた回動支点を中心に回動自在に軸支したものを用いても良い。
【0014】
また、この場合、前記投入装置における受け板に、前記可動ブロックと係合する突起を設け、可動ブロックが近接するとこの動きに伴って受板が傾斜回動するように構成しても良い。
【0015】
また前記空き缶、空きボトル圧縮機の前記排出口に臨まされた磁石を、回転ドラム状とし、該回転ドラム表面に吸着された圧縮済みの空き缶を掻き落すスクレーパーを設け、このスクレーパーの下部に磁性体よりなる空き缶収納ボックスを配置することで分別回収するようにもできる。
【0016】
なお、上記において磁石は永久磁石、あるいは電磁石のいずれとしてもよい。
【0017】
さらに空き缶、空きボトルを可動ブロック方向へ供給する供給路の下面に、下方へ向けて開口する扉板をヒンジにより支持し、この該扉板を空き缶または空きボトルより重い重量には抗し得ない力で閉扉方向に付勢することで、空き缶、空きボトルより重い異物を落下除去し、別に集積するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、空き缶やボトルを軸方向へ圧縮する場合、所定間隔隔てて配設された固定ブロック間において可動ブロックのいずれの側の行程でも缶やボトルを圧縮できるので、従来の往行程時のみ圧縮するようにした圧縮装置に比べ処理速度を二倍にすることができる。
【0019】
また、磁石により磁性体である鋼製の缶と非磁性体であるアルミ缶との選別も行うので圧縮後の缶の分別回収も容易となる。
【0020】
さらに、空き缶やボトルの供給装置を一対の固定ブロックのそれぞれに対応して設ければ、可動ブロックの動きに合わせて効率よく空き缶やボトルを圧縮処理でき円滑な圧縮処理が可能となる。
【0021】
上記における磁石を回転ドラム状とし、この回転ドラムに磁性体よりなる圧縮缶を吸着させスクレーパーで掻き落すようにした場合、回転ドラムの回転方向がいずれの方向となっていてもスクレーパー部で圧縮缶がはがされて落下するので、回収ボックスの位置を一定とすることができる。
【0022】
また、供給路下面に扉を設けた場合、いたずらや誤投入により空き缶や空きボトルより重いものが投入されても、上記供給経路の除去扉から落下排除され、圧縮装置の保護が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、この発明の実施の形態である空き缶、空きボトル圧縮機について説明する。
図1は、この発明の空き缶、空きボトルを軸方向へ圧縮する空き缶、空ボトル圧縮機(以下単に「圧縮機」という)の斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2のB−B線矢視断面図、図4は図2のC−C線断面図である。なお図1〜図4に示した空き缶、空ボトル圧縮機は、空き缶または空きボトルを軸方向へ圧縮するものを示している。
【0024】
図1において、圧縮機1は方形ケーシング2内に設けられる。このケーシング2には空き缶投入口3、ペットボトルなどの空きボトル投入口4が開設されている。
【0025】
ケーシング2内には図2以下に示すように、空き缶投入口3、空きボトル投入口に連通するそれぞれの供給路5、6が設けられている。この供給路5、6は図示例の場合は、空き缶7や空きボトル8を受容できる内径を有した筒状経路とされているが、周囲をガイドロッドで案内する籠状のような形態であっても良い。要は空き缶7や空きボトル8が秩序良く軸方向へ積み重ねられるものであればよい。
【0026】
供給路5、6の下方には、落下してくる缶やボトルを受け止める投入装置9、9が設けられている。
この投入装置9は、図5にも示すように、供給路5、6の下面に対応する受け板10と、受け板10の背側に立設された背板11と、背板11側方へ落下しないよう空き缶7等を支える側板12と、背板11の上端から背板11の背側に延出する遮蔽板13とを有している。遮蔽板13は図示のように背板11にブラケット部により支えられている。
【0027】
投入装置9は受け板10の下方側において、軸14で回動自在に軸支されている。また、受け板10の下方には軸14の軸支部を超えて反対側へ係合部15が延出され、係合部15を矢印P方向へ付勢すれば投入装置9全体が矢印Q方向へ回動するようにされている。
【0028】
また、図2中符号16は復帰バネを示し、前述の矢印P方向の付勢力がなくなれば投入装置9が元の姿勢に戻るようにされている。
上記の遮蔽板13は軸14を中心とする円周に沿った湾曲板とすることが望ましく、投入装置9が図2の左側に仮想線で示すように回動したときは供給路5、6上方に位置する缶7、ボトル8が供給路5、6より落下しないよう支えるようにされている。
【0029】
投入装置9の下方にはそれぞれ空き缶7または空きボトル8の中で最も長い長さより大きい距離L隔てて二個一対の固定ブロック17、17が対向配置して設けられている。この固定ブロック17、17間には可動ブロック18が往復移動可能に支持されている。
【0030】
上記において二個一対の固定ブロック17、17間の距離を限定するのは、可動ブロック18がいずれか一方の固定ブロック17に近接した時に、可動ブロック18と他方の固定ブロックとの間に空き缶7または空きボトル8が投入され得るようにするためである。
【0031】
可動ブロック18は、両側がねじロッド19、19にねじ嵌合されている。そして、このねじロッド19の軸周囲の正逆転により可動ブロック18は固定ブロック17、17間を往復移動するようにされている。
ねじロッド19、19はそれぞれ両端がベアリング軸受20、20に軸支されている。
【0032】
ねじロッド19、19の一端には互いにかみ合う、歯数の等しい歯車21、21が設けられ、電動モーター22(図2には省略されている。図3参照)により伝動ベルト22aを介して回転駆動されるように構成されている。
【0033】
この電動モーター22からねじロッド19への回転動力は、回転数を減らすことで可動ブロック18の移動力が空き缶7または空きボトル8を圧縮変形し得る力となるように伝動速比が定められている。
この電動モーター22には駆動停止を司る制御回路29が設けられている。
【0034】
固定ブロック17、17の近傍の底板23には圧縮された缶あるいはボトルを落下排出させる排出口24、24が設けられている。
この排出口24、24の大きさは圧縮変形前の缶7、ボトル8は通過させないが圧縮された缶7、ボトル8は通過させる長さおよび幅の大きさとされている。
【0035】
この排出口24下方には磁性を帯びたロール25(図2、図4)が配置され、磁性体を吸着させた状態で回転するように回転軸26で軸支されている。図中27はロール25に回転を伝動する歯車を示し、歯車21とかみ合っている。
【0036】
そして、このロール25の外周にはスクレーパー28が接触配置され、吸着された磁性体をこのスクレーパー28で剥離させ下方へ落下させるようにされている。
【0037】
なお、磁性を帯びたロール25の磁性は永久磁石によるものとされている。そして、図4に示すようにスクレーパー28の掻き落し位置と、磁性を帯びたロール25に吸着されずにそのまま落下する位置とにそれぞれ回収用の収納ボックス30、31が搬出可能な状態で載置されている。
【0038】
次に上記圧縮機1の作動を説明する。
空き缶7を缶投入口3へ、また空きボトル8をボトル投入口4へ投入する。これら空き缶7、空きボトル8は最初に投入されたものは投入装置9の受け板10で支えられ、以後投入されたものは供給路5、6内に積重されていく。
【0039】
ついで制御回路29により電動モーター22を作動させ、ねじロッド19を軸周囲に回転させる。この回転に伴い可動ブロック18はいずれかの固定ブロック17方向へ移動し始め、すでに可動ブロック18と固定ブロック17との間に空き缶7あるいは空きボトル8がある場合はこれらを軸方向へ圧縮しながら移動する。
【0040】
そして、可動ブロック18が一方の固定ブロック17へ近づくと、可動ブロック18はその側にある投入装置9の係合部15に当接する。これによりその投入装置9は復帰バネ16の復帰力に抗して軸14周囲に回動される。
【0041】
回動傾斜により受け板10上の空き缶7あるいは空きボトル8は可動ブロック18と他側の固定ブロック17との間に倒れるようにして落下供給される。このとき、供給路5の下端は遮蔽板13で塞がれるのでそれより上方に蓄積されている空き缶5などは落下することなく支えられる。
【0042】
この後、制御回路29により電動モーター22の回転方向が逆方向へ切替えられる。
可動ブロック18は他側の固定ブロックへと移動をはじめ、新たに供給された空き缶7あるいは空きボトル8を圧縮し始める。
【0043】
一方それまでに圧縮されていた空き缶7あるいは空きボトル8は、可動ブロック18より加えられていた圧縮力が解除されるので可動ブロック18と固定ブロック17との間で挟みつけられる力を失って、排出口24から自然に落下する。さらに、この側の投入装置9は可動ブロック18の復帰移動に伴い、復帰バネ16の付勢力により元の姿勢に復帰する。同時に供給路5下端から新たな空き缶7等がその側の投入装置9の受け板10へと落下してくる。
【0044】
排出口24から自然落下した圧縮後の空き缶7あるいは空きボトル8は、磁性ロール25近傍を落下するが、非磁性体よりなる缶やボトルの場合はそのまま落下し、下方の回収ボックス31へと投入される。
【0045】
磁性体よりなる缶の場合は、磁性ロール25に吸着されて磁性ロール25と共に回転する。そしてスクレーパー28部分で掻き落されて下方の回収ボックス30へと落下する。
なお、磁性ロール25が正逆いずれの方向へ回転しても磁性体よりなる缶はこのスクレーパー28部分の表裏いずれかで掻き落されるので、落下位置はほぼ一定となる。
【0046】
従って磁性ロール25の下方に回収ボックス30を載置すればこの部分に磁性体よりなる缶7が集積される。
【0047】
そして、可動ブロック18が他側の固定ブロック17へと近づけは、その側に投入された空き缶7等が軸方向へ圧縮されていくと共に、その側の投入装置9の係合部15が稼動ブロック18に押され、これに伴って回動する投入装置9から新たに空き缶7、空きボトル8などが供給される。
【0048】
新たに供給された空き缶7等が、折り返して移動する可動ブロック18に圧縮され、同時にそれまで圧縮された空き缶7等が排出口から落下していく。
このようにして往復動しながら空き缶7あるいは空きボトル8の圧縮動作が、供給路5の空き缶7、空き8ボトルが無くなるまで次々と継続される。
【0049】
上記の実施の形態において、制御回路29として、供給路5、6に空き缶7、空きボトル8の検知スイッチ(図示せず)を設け、空き缶7などを供給路5、6へ投入すれば電動モーター22の電源が投入され作動が開始するようにしても良い。
【0050】
また、上記の検知スイッチに加え、可動ブロック18の折り返し位置に逆転スイッチを設け、これにより自動的に電動モーター22の逆転制御を行うようにすれば、空き缶、空ボトル圧縮機全体が無人状態でも自動運転をさせることができる。
【0051】
なお、投入装置9の回動を可動ブロック18との接触により行うようにしたが、これに代え投入装置9の回転軸14に電動モーター(図示せず)や電磁石(図示せず)を用いた回転駆動装置(図示せず)を連接し、制御回路29によりこれらを必要な時期に回転駆動するような構成とすることもできる。
また、磁性を帯びたロール25として、永久磁石を用いると、電磁石を用いた場合のような駆動電源が不要となり、駆動コストが安くなる利点がある。もっとも、これに限らず電磁石を用いても良い。
【0052】
この磁性ロール25は図1〜4に示したものはいずれか一方の排出口24に一個だけ臨ませた構造としたが、金属製缶のみを対象とする場合や、磁性体よりなる缶のみを他の缶やボトルから選別するだけといった用途の場合は、図6に示すようにいずれの排出口24にも磁性ロール25、25を臨ませて配置し、投入口3、4に投入される缶やボトルの種類の制限をしないようにしても良い。
【0053】
なお、図6において磁性ロール25、25部以外は図1〜4に示した実施の形態の空き缶、空ボトル圧縮機と同じであるので、同一部分には同一符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0054】
可動ブロック18の駆動手段としてねじ送り機構を用いた場合について説明したが、空き缶7や空きボトル8を軸方向へ圧縮できる力を発揮し得る機構であれば他の機構でも良い。例えば図7に示すようにピストンシリンダ装置32としても良い。この場合ピストン33が固定側となり、シリンダ34が可動側となる。そして可動ブロック18はシリンダ34外周に固定される。
【0055】
また、電動モーター22よりねじロッド19へ伝動ベルト22aを用いて伝動する場合を示したが、このベルとしては、タイミングベルトやVベルトが使用できる。またこれに代えて歯車を用いた構成とすることもできる。
そして、この発明の空き缶、空ボトル圧縮機1は、図8に示すように缶飲料の自動販売機35などの側面に設置しておくことができ、空き缶、空きボトルの回収、保管にきわめて便利となる。
【0056】
次に、この発明の他の実施の形態の圧縮機を説明する。この圧縮機は、空き缶または空きボトルを径方向へ圧縮するものである。
図9は、この発明の他の実施の形態である圧縮機の斜視図、図10は図9のA−A線断面図、図11は図10のB−B線矢視断面図、図12は図10のC−C線矢視断面図である。
【0057】
なおこの実施の形態である圧縮機は先に説明した圧縮機と空き缶などを径方向へ圧縮するようにした点が異なるのみで、他は図1〜図7に示した圧縮機と同じであるので、同一部分または相当する部分には同一符号を用いて説明する。
【0058】
図9において、圧縮機1は前述の圧縮機と同様、方形ケーシング2内に設けられている。このケーシング2には空き缶投入口3、ペットボトルなどの空きボトル投入口4が開設されている。
なお、この場合の投入口4の形態は缶、ボトルを寝かせた状態で投入するため長方形とされている。
図中2aはヒンジにより支持された蓋を示し、必要に応じ設けられる。この扉は投入の際に手動で開けるようにされ、通常は閉じられている。また、上記ヒンジとしては蓋2aの蓋閉時の騒音を防止するため、閉方向の動きを緩和するようにした、いわゆるロータリーダンパーを用いてもよい。
【0059】
ケーシング2内には図10以下に示すように、空き缶投入口3、空きボトル投入口4に連通するそれぞれの供給路5、6が設けられている。この供給路5、6は、空き缶7や空きボトル8を横倒しの状態で受容できる断面長方形のダクト状経路とされている。この通路はガイドロッドで形成した籠状のような形態であっても良い。
【0060】
供給路5、6の下方には、落下してくる缶やボトルを受け止める受け板10が設けられている。
この受け板10には図13に示すように大径缶を落下通過させる幅広の方形孔10aと小径缶を落下通過させる幅狭の方形孔10bを有している。
この受け板10は、図10あるいは図14に示すように後述の可動ブロック18の上面に取り付けられている。
【0061】
受け板10の下方にはそれぞれ空き缶7または空きボトル8の中で最も大きい径より大きい距離L隔てて二個一対の固定ブロック17、17が対向配置して設けられている。
【0062】
上記において二個一対の固定ブロック17、17間の距離を限定するのは、後述の可動ブロック18がいずれか一方の固定ブロック17に近接した時に、可動ブロック18と他方の固定ブロックとの間に空き缶7または空きボトル8が投入され得るようにするためである。
【0063】
この固定ブロック17、17間には投入される空き缶あるいは空きボトルを支持するリブ40…40が適宜間隔ごとに立設されている。そして、これらリブ40を受容する溝41…41を有する可動ブロック18が往復移動可能に支持されている。
【0064】
可動ブロック18の両側にはねじ駒18a(図11、図12)が設けられ、ねじロッド19、19にねじ嵌合されている。そして、このねじロッド19の軸周囲の正逆転により可動ブロック18が固定ブロック17、17間を往復移動するようにされている。
【0065】
ねじロッド19、19はそれぞれ両端がベアリング軸受20、20に軸支されている。
【0066】
一方のねじロッド19の一端にはプーリー21が設けられ、電動モーター22により伝動ベルト22aを介して回転駆動されるように構成されている。
【0067】
この電動モーター22から一方のねじロッド19への回転動力は、回転数を減らすことで可動ブロック18の移動力が空き缶7または空きボトル8を圧縮変形し得る力を発揮できるように減速用の中間プーリー22b、22cが設けられ、伝動速比が定められている。そして、二つのねじロッド19、19の他端に同一径プーリー19a、19aが設けられ、ベルト19bにより同一回転するように伝動される。
【0068】
図中29は電動モーター22の駆動停止を司る制御回路を示す。
【0069】
底板23には固定ブロック17、17の近傍に圧縮された缶あるいはボトルを落下排出させる排出口24、24が設けられている。
この排出口24、24の大きさは圧縮変形前の缶7、ボトル8は通過させないが圧縮された缶7、ボトル8は通過させる長さおよび幅の大きさとされている。
【0070】
この排出口24下方には図10、図11に示すように収納ボックス30、31が搬出可能な状態で載置されている。
なお、図示は省略したが、排出口24、24の下方に、磁性を帯びたロール25(図2、図4)を配置し、磁性体を吸着させた状態で回転するように軸支してもよい。
【0071】
次に上記空き缶、空ボトル圧縮機の作動を説明する。
空き缶7を缶投入口3へ、また空きボトル8をボトル投入口4へ投入する。これら空き缶7、空きボトル8は最初に投入されたものは投入装置9の受け板10で支えられ、以後投入されたものは供給路5、6内に積重されていく。
【0072】
ついで制御回路29により電動モーター22を作動させ、ねじロッド19を軸周囲に回転させる。なお、蓋2aをスイッチ(図示せず)に連動させ、開扉によりねじロッド19が回動し始めるようにしても良い。
【0073】
この回転に伴い可動ブロック18はいずれかの固定ブロック17方向へ移動し始め、すでに可動ブロック18と固定ブロック17との間に空き缶7あるいは空きボトル8がある場合はこれらを軸方向へ圧縮しながら移動する。
【0074】
そして、可動ブロック18が一方の固定ブロック17へ近づくと、可動ブロック18上面の受け板10の通過孔10a、10bのいずれかからこれらに合った大きさの空き缶または空きボトルが、可動ブロック18と固定ブロック17との間に落下する。
【0075】
この後、制御回路29により電動モーター22の回転方向が逆方向へ切替えられる。
可動ブロック18は他側の固定ブロックへと移動をはじめ、新たに供給された空き缶7あるいは空きボトル8を圧縮し始める。
【0076】
一方それまでに圧縮されていた空き缶7あるいは空きボトル8は、可動ブロック18より加えられていた圧縮力が解除されるので、排出口24から自然に落下する。
【0077】
このときの圧縮後の空き缶7は、蓋底部分が径方向へ座屈変形させられるので、図15に示すように長方形状に圧縮変形され、図16に示すように蓋底部分7a、7bが軸方向へはみ出た形状とはならない。
【0078】
排出口24から自然落下した圧縮後の空き缶7あるいは空きボトル8は、そのまま回収ボックス31へと落下する。このとき、落下経路に磁性ロールを配置した場合は、先の空き缶、空ボトル圧縮機で説明したのと同様、磁性体、非磁性体よりなる缶やボトルが分別回収される。
【0079】
そして、可動ブロック18が他側の固定ブロック17へと近づけは、その側に投入された空き缶7等が軸方向へ圧縮されていくと共に、受け板10の他方側の通過孔10b、10aからリブ40…上に新たに空き缶7、空きボトル8などが供給される。
【0080】
斬たに供給された空き缶7等が、折り返して移動する可動ブロック18に圧縮され、同時にそれまで圧縮された空き缶7等が排出口から落下していく。
このようにして往復動しながら空き缶7あるいは空きボトル8の圧縮動作が、供給路5の空き缶7、空き8ボトルが無くなるまで次々と継続される。
【0081】
上記の実施の形態の圧縮機において、可動ブロック18下方のリブ40の断面形状を図17に示すように高さが二段に変化するような形状とし、低い部分40aを大径缶用高い部分40bを小径缶用とし、それぞれのリブ40上に空き缶が供給された時、その上面の高さを揃えることで、蓄積されている空き缶が圧縮工程部に落ち込むのを防止する構成としても良い。
【0082】
さらに、上記の実施の形態の空き缶、空ボトル圧縮機において、図10に示すように供給路5、6に空き缶や空きボトルの自重以上の重量が加わると開となる扉板11a、11bを設けることができる。また、図中11cは、落下した異物をケーシング2外へ排出するダクトを示す。
【0083】
上記扉板11a、11bのヒンジ部には、捻り方向の弾性力が空き缶重量には耐えるが、それより重い重量には耐え得ない程度のバネ、例えば捻りバネ(図示せず)をヒンジ軸と同軸に設け、扉板11a、11bを支えるようにされている。なお、この扉板11a、11bヒンジ部に捻りバネに代え前述のロータリーダンパーを用いても良い。
【0084】
この場合は、例えば、まだ内容物の入った缶や、いたずらなどで石など硬い異物が投入されても、扉板11a、11bはそれらの自重によって開扉する。従ってこれら異物は圧縮工程部分に到る前に排出ダクト11cからケーシング2外へ落下排除され、圧縮工程の故障や損傷が防止される。
【0085】
以上説明したように、この発明の空き缶、空ボトル圧縮機によれば、空き缶やボトルを扁平に圧縮変形する場合、軸方向にせよ径方向にせよ所定間隔隔てて配設された固定ブロック間において可動ブロックのいずれの側の行程でも缶やボトルを圧縮できるので、従来の往行程時のみ圧縮するようにした圧縮装置に比べ処理速度を二倍にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 軸方向へ圧縮する方式の空き缶、空ボトル圧縮機の斜視図である。
【図2】 図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】 図2のB−B線矢視断面図である。
【図4】 図2のC−C線矢視断面図である。
【図5】 投入装置の斜視図である。
【図6】 磁性を帯びたロールの配置状態を異ならせた他の構成例の断面図である。
【図7】 可動ブロックの駆動部分の他の構成例の要部断面図である。
【図8】 空き缶、空ボトル圧縮機の使用状態を説明する斜視図である。
【図9】 径方向へ圧縮する方式の空き缶、空ボトル圧縮機の斜視図である。
【図10】 図9のA−A線矢視断面図である。
【図11】 図10のB−B線矢視断面図である。
【図12】 図10のC−C線矢視断面図である。
【図13】 受け板の要部平面図である。
【図14】 受け板の要部正面図である。
【図15】 この発明の空き缶、空ボトル圧縮機により圧縮された缶の斜視図である。
【図16】 この発明以外の装置で圧縮された缶の一例を示す缶の斜視図である。
【図17】 この発明の圧縮機のリブについての他の構成例を示す要部側面図である。
【図18】 この発明の圧縮機のリブについての他の構成例を示す要部正面図である。
【符号の説明】
1 空き缶、空ボトル圧縮機
2 方形ケーシング
3 空き缶投入口
4 空きボトル投入口
5 供給路
6 供給路
7 空き缶
8 空きボトル
9 投入装置
10 受け板
11 背板
12 側板
13 遮蔽板
14 軸
15 係合部
16 復帰バネ
17 固定ブロック
18 可動ブロック
18a ねじ駒
19 ねじロッド
20 ベアリング軸受
21 歯車
22 電動モーター
22a 伝動ベルト
23 底板
24 排出口
25 磁性を帯びたロール
26 回転軸
27 歯車
28 スクレーパー
29 制御回路
30 収納ボックス
31 収納ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮対象となる空き缶または空ボトルの圧縮工程長さ以上の距離隔てて対向配置された二個一対の固定ブロックと、この固定ブロック間を往復移動可能に支持され、かついずれの行程も圧縮行程とされる可動ブロックと、前記空き缶または空ボトルを圧縮変形し得る力で前記可動ブロックを往復駆動する駆動装置と、前記固定ブロックと可動ブロック間に前記空き缶または空ボトルを供給する供給装置と、前記固定ブロック近傍に設けられ、圧縮された前記空き缶等を落下排出させる排出口とを備えて構成された空き缶、空ボトル圧縮機。
【請求項2】
圧縮方向が缶軸方向とされている請求項1に記載の空き缶、空ボトル圧縮機
【請求項3】
圧縮方向が缶軸に対して径方向とされている請求項1に記載の空き缶、空ボトル圧縮機
【請求項4】
前記固定ブロック下方に配置された磁石と、該磁石により落下経路を変化させられる磁性体製空き缶の収納ボックスと、前記磁石の影響を受けることなく落下される非磁性体よりなる空き缶または空ボトルの収納ボックスを備えた請求項1〜3いずれかに記載の空き缶、空ボトル圧縮機
【請求項5】
前記一対の固定ブロックに対応してそれぞれの上方に空き缶または空ボトルの供給路が設けられ、該それぞれの供給路の下端には可動ブロックが前記いずれかの固定ブロックに接近した時に他側の固定ブロックと可動ブロックとの間に空き缶を投入する投入装置が設けられてなる請求項1〜4の空き缶、空ボトル圧縮機。
【請求項6】
前記投入装置が、落下供給路の下面に対応する受け板と、受け板の背側に立設された前記空き缶または空ボトルより高さの低い背板と、該背板から背側に延出し前記落下供給路の下端を閉じる遮蔽板とを有し、全体が前記固定ブロック上方に設けた回動支点を中心に回動自在に軸支されてなる請求項1または2に記載の空き缶、空ボトル圧縮機。
【請求項7】
前記排出口に臨まされた磁石が、回転ドラム状とされ、該回転ドラム表面には吸着された圧縮済みの空き缶を掻き落すスクレーパーが設けられ、該スクレーパーの下部に磁性体よりなる空き缶収納ボックスが配置されている請求項4〜6いずれかに記載の空き缶、空ボトル圧縮機。
【請求項8】
前記供給路の下面に、下方へ向けて開口する扉板がヒンジにより支持され該扉板は空き缶または空きボトルより重い重量には抗し得ない力で閉扉方向に付勢され、該扉下方に該扉を押し開けて落下した落下物の排出ダクトが配置されている請求項5に記載の空き缶、空ボトル圧縮機

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−283396(P2007−283396A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137035(P2006−137035)
【出願日】平成18年4月15日(2006.4.15)
【出願人】(505105866)
【Fターム(参考)】