説明

空き缶選別装置

【課題】空き缶を載せるプレートに近接配置された分別センサで分別させる空き缶選別装置を提供する。
【解決手段】空き缶2を移動自在に載せるプレート3と、該プレート面に近接配置させた磁性スチール金属及び非鉄金属検出分別センサと、該センサからの出力で分別制御するコントロール回路と、該コントロール回路からの信号指令により前記プレート3を空き缶2移動方向Fに対し時計方向又は反時計方向の回転動作を行なう手段と、前記プレート3を水平位置に復帰させる手段と、缶ストッパー5及び前記缶ストッパー5をストップ処理する手段とからなることを特徴とした磁性スチール缶と非鉄金属缶及び非金属缶とを分別させる空き缶選別装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空き缶を載せるプレートに配置された缶検知センサで磁性スチール缶と非磁性缶を分別させる空き缶選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済み飲料用磁性の鉄又は鉄合金部材を含むスチール缶、非磁性缶として、アルミニウム合金、プラスチック製(ペットボトル)缶、さらに、それらが混在した複合材廃棄物から、アルミニウム又はアルミニウム合金と鉄又は鉄合金部材を分離回収する各種の方法が提供されてきた。例えば、これらを磁力により選別して回収する方法が実施されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−7703号公報
【特許文献2】特開平8−141517号公報
【特許文献3】特開平11−277001号公報
【0004】
しかしながら、これら各文献にはそれぞれつぎの解決すべき課題が残っていた。
特許文献1では、誘導電極部に交流電源を接続し、この誘導電極部の内部に回転磁界を発生させ分別する方式を採用し、分別原理は回転磁界による渦電流を検出する方法を用いていた。このため、これに反応する鉄缶及びアルミ缶は別工程で予め前処理により分別しておかなければならなかった。その上で、アルミ缶と、ガラス容器、プラスチック容器とを、選別することとしている。このように、同文献では、誘導電極部を備えた、振動、回転などの運動動作による検出のため、構造も複雑で大きなスペースが必要といった、簡易、高速処理に適しない課題があった。
【0005】
また、特許文献2の缶選別装置は、電磁石配列部に電磁石陽極部と電磁石陰極部とが略円に沿って配列され高速回転されている。アルミニウム缶、鉄製の空き缶及びビン等はこの電磁石配列部の円周上付近の任意の点において陽極と陰極が交互に高速で通過し、非磁性金属体であるアルミニウム缶には円周付近に渦電流が生じて所定方向に誘導分別される。一方、鉄製の空き缶は、電磁石配列部に生じている磁力によって電磁石配列部外周に吸着され仕分けられる。ビンは、磁力及び渦電流にも反応しないため、電磁石配列部から落下する。
このように、特許文献1に比べ、高速処理に好適であるが、分別時エラー、騒音といった面で課題があった。
【0006】
また、特許文献3の空き缶分別処理装置にあっては、同文献の図2で明らかなように、投入口16より投入された鉄缶を吸着して剥離板28と当接する位置まで運ぶ磁石26を外周面に設けている回転ドラム13と、この回転ドラム13を回転させるモータ23と、オペレータが押し操作するとモータ23への給電を断って回転ドラム13の回転を停止させる方式である。
このように、この回転ドラム13の近傍を通過させ分別しているため、缶径や磁石に吸引される位置によっては缶の方向体制が変動してしまい、また、スチール片に混在するアルミニウム小片や、アルミニウムに僅かに混在するスチール小片を完全に分離することは非常に難しく、かつ、回収率や回収された金属自体の純度の面で改善すべき問題が残り、しいては、機器の損傷、騒音といった面でも課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、種々改善研究が進められているが満足し得る技術の提供はなされていなかった。本発明は、このような事情のもとになされたものであり、必要な機器構成を少なくし、小型、軽量にすることができる空き缶を載せるプレートに近接配置された缶検知センサで磁性スチール缶、非磁性缶、ガラスビン、紙製容器等を分別させる空き缶選別装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、空き缶を移動自在に載せるプレートと、該プレート面に近接配置させた磁性スチール金属及び非鉄金属検出分別センサと、該センサからの出力で分別制御するコントロール回路と、該コントロール回路からの信号指令により前記プレートを空き缶移動方向に対し時計方向又は反時計方向の回転動作を行なう手段と、前記プレートを水平位置に復帰させる手段と、缶ストッパー及び前記缶ストッパーをストップ処理する手段とからなることを特徴とした磁性スチール缶と非鉄金属缶及び非金属缶とを分別させる空き缶選別装置により提供される。
【0009】
また、前記回転動作を行なう手段として正逆回転の磁界を発生するコイルと前記プレートを回転させる動作用磁石と、前記回転動作から前記プレートを水平位置に復帰させる戻し用磁石及びスタート位置を保持させるスタート位置保持用磁石をそれぞれ一対互いに異極性面を有する請求項1記載の磁性スチール缶と非鉄金属缶及び非金属缶とを分別させる空き缶選別装置により提供される。
【0010】
さらに、前記プレート、前記センサ、前記コントロール回路、前記回転動作を行なう手段、前記スタート位置保持用磁石、前記戻し用磁石、前記缶ストッパー及び前記缶ストッパーをストップ処理する手段を一体にし回転自在とした請求項1又は2記載の磁性スチール缶、非鉄金属缶及び非金属缶とを分別させる空き缶選別装置により提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空き缶を移動自在に載せるプレート上で磁性スチール缶、非鉄金属缶及び非金属缶かをセンサで検出、その出力によりプレートを空き缶移動方向で回転動作を行ない磁性スチール缶、非鉄金属缶及び非金属缶を分別させる空き缶選別装置とすることができる。
【0012】
また、選別方式は空き缶移動方向で回転動作を行なうことで実現でき、回転動作手段として、機械的ないしはソレノイド、バネ等を利用したものなどが考えられる。とりわけ、回転動作させる手段と、該回転動作により前記プレートを分別姿勢に規制する磁石等で実現した、構造簡単で操作、特性の向上が期待でき、かつ、軽量、コンパクトに製造可能な磁性スチール缶、非鉄金属缶及び非金属缶を分別させる空き缶選別装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の空き缶選別装置の基本的な使用状態の説明図。
【図2】図2は図1の右から見た側面図。
【図3】図3は本発明の空き缶選別装置内部の説明図。
【図4】図4は図3のA−A矢印部分断面の構造図。
【図5】図5は空き缶等を本発明の空き缶選別装置の開始位置に置いた状態図。
【図6】図6は空き缶等を本発明の空き缶選別装置の終端位置に移動した状態図。
【図7】図7はビン缶等が本発明の空き缶選別装置の終端位置を通過した状態図。
【図8】図8は図4の位置に配置したマグネットの配置図。
【図9】図9は各マグネットの磁極特性の様子を示した説明図。
【図10】図10は本発明の空き缶選別装置が反時計方向に回転し、かつ、元の水平状態に復帰する様子を示した(a)、(b)及び(c)過程の説明図。
【図11】図11は本発明の空き缶選別装置が時計方向に回転し、かつ、元の水平状態に復帰する過程の図10と同様な説明図。
【図12】図12は本発明の空き缶選別装置が反時計又は時計方向へ空き缶を選別移動させる様子の状態を示す(a)、(b)及び(c)により示した説明側面図。
【図13】図13は図12の選別移動させる様子の状態を示す(a)、(b)及び(c)により示した説明斜視図。
【図14】本発明の空き缶選別装置の動作説明用シーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照しながら、本発明の実施するための形態について説明する。まず、本発明の選別ないし分別すべき缶の種類を規定しておきたい。本発明の空き缶選別装置にあっては、市販されている多くの空き缶容器を対象としている。これらは鉄、鉄合金等の磁性体(「磁性スチール缶」と呼ぶこととする)、非鉄金属、とりわけ、アルミニウム、銅等の渦電流を発生する金属缶(「非磁性缶」と呼ぶこととする)、それ以外の非金属、ガラスビン、同容器、プラスチック容器、紙容器等は磁性体とはいえない。しかし、非磁性体ではないともいえない。
【0015】
したがって、定義として、これらを「磁性スチール缶」又は「非磁性缶」以外の素材缶としておく(「非金属缶」ないし「プラスチック缶」と呼ぶこととする)。
本発明はこれらの缶を前記の少なくとも3区分に容器等を選別する装置として提供される。なお、これらの素材の性質をさらに小分けの選別手段が得られることもあろうから、特に、センサの開発によっては、本発明の装置はさらに小分けした選別装置(分別装置ということもある)としての利用を否定するものではない。
以下、本発明を図1ないし図14を用いて具体的に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施例である空き缶選別装置の構造を示す。なお、本発明の選別装置への空き缶供給については任意の前処理手段が可能である。例えば、ホッパー等から本発明の装置への供給が可能である。また、ベルトコンベア手段により本発明の選別装置へ空き缶を供給する前処理形態も好適である。さらに、この両方法を併用することも可能である。
【0017】
したがって、本発明の要部は分別に好適な空き缶選別装置1を提供するにある。空き缶選別装置1は小型軽量な空き缶選別装置本体部24として提供される。
空き缶2は分別に際し図1の空き缶選別装置1では左から右へ移動しつつ分別する装置としての一実施例として説明する。
また、空き缶2は図1の左上斜め横方向より自重でプレート3上に移動可能な状態で使用するようにした。また、ホッパー等から送りスピードを付加して水平状態での使用、ないしは、ほぼ垂直に近い状態での使用も可能であることはいうまでもない。
【0018】
図1ないし図3では、本発明の装置について各パーツを説明する。プレート3は空き缶の断面外周形態に適するガイドとして凹面形態とした。プレート3の素材としては一般にプラスチック、例えば、ABS樹脂板が適当である。
缶ストッパー5はステンレス鋼板の薄板縦33mm、横16mm、厚さ1mm程度の素材を用いた。
【0019】
ねじりバネ6は、缶ストッパー5の回転軸の中央近傍に回転自在として、いわゆる丁番スタイルとなるようにセッとした。ねじりバネ6の材質は例えばSUS304−WPBが使用でき、空き缶2が衝突する位置での回転モーメント 約1.4×10-3N・m程度のバネを用いた。
【0020】
図1のプレート3の右端部にある缶ストッパー5はねじりバネ6のバネ圧で常時プレート3の面と垂直となるよう設置した。この結果、空き缶2はプレート3上を移動し缶ストッパー5で停止ないし通過自在の方式とした。
空き缶2の種類(例えば、プラスチック缶)によっては、自重と通過運動の力によりプレート3上を右に移動し、最後には缶ストッパー5に衝突し、缶ストッパー5を右に回転させ缶の通過を許す、この結果、空き缶2は選別装置1本体から落下することができるようにした。缶ストッパー5は缶通過後にはねじりバネ6のバネ圧により元の垂直位置に復帰する。
空き缶2の他の種類(鉄、鉄合金等の磁性体の「磁性スチール缶」)、非鉄金属、とりわけ、アルミニウム、銅等の渦電流を発生する金属缶(「非磁性缶」)の分別には以下の制御手段を用いた。
【0021】
本発明の全体構成は、空き缶選別装置本体部24内に配置された各種の空き缶種別の缶検知センサ基板4、それからの出力でコントロール信号を出す一連の制御手段からなる。さらに、その制御手段からの指令は空き缶種別による出力が出され、後述するソレノイドの動作により分別される。
【0022】
図2はプレート3上を通過する空き缶種別により、プレート3をL(左)、R(右)の方向に傾けさせて、空き缶2を両側に分別する模式図である。空き缶選別装置本体部24はプレート3、缶ストッパー5と一連に回転軸8を中心として回転できる構造とした。
【0023】
以下具体的に図1ないし図4につき説明する。
装置1は空き缶選別装置本体部24(図5に示す)の上面にプレート3を設置し、その下部に缶検知センサ基板4を密着させた。缶検知センサ基板4は空き缶2の容器自体の側面とも平行になるように配置した。基本としては、空き缶2の形態、プレート3の構造に対応させセンサ感知エラーの発生がない位置に配置すべきであり、缶検知センサ基板4,コントロール基板16はコイルホルダー15からなる筐体部分に一体となるよう配置した。
【0024】
コントロール基板16は缶検知センサ基板4からの出力で動作し、後段に制御回路出力を与える。本体にはこれら缶検知センサ基板4、コントロール基板16、コイルホルダー15、戻し用磁石11、コイル19、鉄芯12、スタート位置保持用磁石13、缶ストッパー5及びフラッパーソレノイド7などが配置されている。また固定されるベース10側には動作用磁石14が配置されている。入出力ケーブル25は本発明の装置1用電源供給用、センサ出力ケーブルである。
なお、プレート3の長さ方向の寸法は500ml缶の長さ約170mmから設定したもので、350ml缶(約120mm)のみの場合はもっと短くすることも可能である。
【0025】
缶検知センサ基板4は本件共同出願人の1社が製作の金属通過検出センサ(知恵の輪社、MD−1002)を使用した。このセンサは鉄用とアルミニウム用双方の検出出力を独立出力端から得られる。後者の検出にあっては、センサ基板面はコイル部分を印刷配線してあり、これによりアルミニウム缶など非磁性缶が検出面を通過する動きで渦電流が発生する仕組みとなっている。基板の大きさは缶径に沿ったサイズで長さ136mm、幅71mm、厚さ1.6mmである。実施例では金属種類に対する選別(分別)、所期の処理速度にも対応できる結果が得られた。具体的には、センサからの出力で分別制御するため、図示しない配線ケーブルによりコントロール基板16へと導かれる。
【0026】
本発明でソレノイド23は鉄芯12、コイル19から形成され、コイルホルダー15に鉄芯12の下面からねじ締め付け(12uの位置から)されている。したがって、ソレノイド23は磁性材であるコイルホルダー15を含め一体として形成されている意味として用いる。また、ソレノイド23は缶検知センサ基板4、コントロール基板16及び上部に配置されたプレート3等の回転動作の駆動源として機能する。
【0027】
ソレノイド23への励磁電流は、缶種別に依存したセンサ出力によりコントロール基板16からの制御信号によりコイル19の電流の向きとして流し、発生する磁界の向き22は電流の向きに依存し、後述する回転磁界の正逆として作用する。
図4にソレノイド23付近に配置した動作用磁石14も表示されている。この磁石は回転力発生機構に関与する。
空き缶選別装置本体部24の回転軸8は本体の回転中心として作用する。すなわち、プレート3が所定角度回転する際は空き缶選別装置本体部24も一体として動作する。ベアリング17は空き缶選別装置本体部24がスムーズに回転できるため補助となる。
【0028】
図4は、図3のA−A矢印部分断面の構造図で、空き缶選別装置本体部24のほぼ中央部のプレート3の回転制御部分である。後述するが、これらは図の中央部分が所定角度左右に回転する。ここには、プレート3、下に、缶検知センサ基板4、コントロール基板16、ソレノイド23及び各種の磁石等が示されている。これらが一体に所定角度左右に回転できる回転力発生機構として機能する。
【0029】
回転力発生機構に関与する磁石の配置はつぎのようにした。図4に示したように、動作用磁石14はベース10に回転力発生機構として1対配置した。
プレート3の回転に連動する戻し用磁石11は図のほぼ中程のコイル19の周面に近接して1対を配置した。戻し用磁石11はプレート3のスタート位置に動作用磁石14から離れた位置となるようにした。同様にプレート3の回転に連動するスタート位置保持用磁石13はスタート位置(プレート3が水平の状態)にスタート位置の保持機構として動作用磁石14に近接させた。
【0030】
これら磁石としては、ネオジム磁石(ネオジウム磁石)が好適であり、角形で戻し用磁石11は縦6mm、横10mm、長さ16mmの大きさとした。スタート位置保持用磁石13は縦2mm、横4mm、長さ6mmの大きさとした。動作用磁石14は縦6mm、横10mm、長さ16mm程度の大きさのものが適当である。
なお、前記コイル19等により発生する電磁誘導作用との兼ね合いでプレート3の回転力は異なり、かつ、プレート3が水平状態に戻る動作、タイミングから本発明者らは鋭意研究の結果前記磁石素材の選定及び寸法並びに磁石配置位置を決定した。
【0031】
図5ないし図7は具体的な空き缶の動きを示したものである。図5の空き缶選別装置本体部24は装置1の部分をカバーした状態で図示してある。図5で空き缶選別装置1上の空き缶2は缶検知センサ基板4に選別前の位置にある状態図である。なお、この状態を監視する手段としては分離型フォトセンサなどで空き缶有無を検出し、必要により空き缶検知後段の処理開始に利用することを否定するものではない。
【0032】
通常は、空き缶選別装置本体部24はやや右下がりで設置し、空き缶2は矢印Fの向きに滑るように移動する。なお、コンベア手段で空き缶の移動を付勢する方法や、空き缶を連続して移動させる手段を用いることなどで空き缶選別装置1をほぼ水平とすることも可能である。
【0033】
図6では空き缶2が矢印Fの向きを移動し、缶ストッパー5の位置に到達した状態を示したものである。この例では、空き缶2は缶ストッパー5の位置で停止させた状態の模式図である。
この缶ストッパー5の制御はつぎによった。フラッパーソレノイド7に付属の可動板9は缶ストッパー5の制御をする。すなわち、フラッパーソレノイド7に通電中は缶ストッパー5の位置で空き缶2の移動を停止、通電停止時は缶ストッパー5の位置で停止せず、より先に空き缶2の移動を許容する。なお、図6では可動板9は動作していないため、空き缶2は缶ストッパー5の位置で停止せず、より先に移動することになる。
【0034】
図7では空き缶2が矢印Fの向きを移動し、缶ストッパー5を越えたところである。缶ストッパー5は空き缶2の通過を許容し、さらに、進行し、空き缶は落下する。すなわち、後述するが、この空き缶はスチール缶(鉄合金等)ないしアルミ缶(非鉄金属)ではないいわゆる「非金属缶」ないし「プラスチック缶」の空き缶と判定されたことになる。したがって、缶検知センサ基板4からの「金属缶か?」の判定で「N」とされたことになる。空き缶の通過後、缶ストッパー5はねじりバネ6の圧力で元のプレート3と垂直の位置に戻る。
【0035】
図8以下で磁石の設置及びその動作につき説明する。図8にはプレート3、缶検知センサ基板4及びコントロール基板16の部分は省略し、ソレノイド23のコイルホルダー15、コイル19、鉄芯12及び6個の磁石の配置に特化した状態図ある。このうち、いわゆるコイルホルダー15、コイル19、鉄芯12は回転磁界発生用の電磁石として作用する。また、かかる電磁石と協働して回転動作するのは動作用磁石14で、さらに戻し用磁石11及びスタート位置保持用磁石13の2組で各1対の磁石からなる。
【0036】
各磁石の配置位置につき説明する。1対の戻し用磁石11は回転中心18から約33mmの円周面上で、戻し用磁石11同士は図8の水平面上で約65mm離間して配置した。
同様に、1対のスタート位置保持用磁石13は回転中心18から約33mmの円周面上で、スタート位置保持用磁石13同士は回転中心18に対し角度約80度で、水平面上で約42mm離間して配置した。
【0037】
他方、動作用磁石14は回転しない固定側のベース10に配置した。1対の動作用磁石14は回転中心18から38mmの円周面上で、動作用磁石14同士は図8の水平面上で約49mm離間して配置した。また、コイル21への非通電状態、すなわち、プレート3が水平となっているときは、動作用磁石14とスタート位置保持用磁石13は互いに近接した状態となっている。したがって、最終的には、各磁石は回転中心18を中心として平面的な配置となっている。
【0038】
図9はコイル19への非通電状態で各磁石の極性(磁極面)の様子を示したものである。N極面20、S極面21をそれぞれ矢印で表示した。図9に示すように各磁石の極性はそれぞれ回転中心18から見て外側面ないし内側面に付した極性に注意すべきである。まず、1対の戻し用磁石11の内、左側磁石は外側面がS極、右側磁石は外側面がN極とした。ポイントは左右で極性を異にしたことである。同様に、スタート位置保持用磁石13の内、左側磁石は外側面がN極、右側磁石は外側面がS極とした。さらに、動作用磁石14の内、左側磁石は内側面がS極、右側磁石は内側面がN極とした。
【0039】
ここまでの説明で明らかにしたように、本発明は回転自在に駆動する手段としては、回転磁界を生成する手段としてソレノイド23の磁界発生コイル19と前記各磁石にスタート保持磁石13、13、戻し用磁石11、11、回転しない固定側のベース10に動作用磁石14、14をそれぞれ一対互いに図の左右で異極性面の磁石をそれぞれ使用したことが特徴となる缶選別装置である。
【0040】
つぎに、本発明の動作につき説明する。
具体的には、図9から電磁誘導作用の流れとして説明する。図9はコイル19に非通電の初期状態を示した。図10(a)、図11(a)はコイル19への通電時の磁界の向きの相違を示した状態図である。この磁界の向き22は空き缶の種類に依存し制御されたコイル電流の向きとして理解されよう。
【0041】
この磁界の向きは図10(a)では、ソレノイド23の鉄芯12から上向き、鉄芯12を出た磁力線は左右に分かれ上から下向きに流れ、結果として、いわゆる回転磁界を形成している。これにより磁石との間で電磁誘導作用が生じプレート3が左右に傾くことができるのである。なお、図11(a)ではコイルへの電流は図10(a)とは逆となる反対向きに流した。磁界の向きは反対となる。
図10を反時計回り、図11を時計回りとして進める。この状態が図12、図13であり、空き缶を分別する機械的な処理の様子を示したものである。
【0042】
図10は分別手段が反時計回りで(a)ないし(c)の一連の流れとして表示した。空き缶の種類に依存した缶検知センサ基板4の出力での指令でコイル19は通電状態になると、磁界の向き22が鉄芯12の中心軸で上向きに発生する。このとき、後述する「一連の動作」となり、プレート3が反時計方向(Lと表示)に傾き、空き缶(例えば、「非磁性缶」としよう)は左側に排出される(図12(a)及び図13(a)も参照)。
【0043】
ここで、一連の動作に触れる。
(1)図10「反時計回り時」
ソレノイド23のコイル19が通電状態での磁石11、13及び14との作用を説明する。
このとき、鉄芯下面部分12uはS極に着磁される。このときベース10に配置した動作用磁石14の右側磁石は、内側面がN極で、動作用磁石14とスタート位置保持用磁石13の吸引力以上の力が出るようにコイル19に電流を流すと、鉄芯下面部分12uは右側の動作用磁石14に吸引され接近し、回転中心18を軸にして反時計回りに回転し鉄芯12の下面12uは動作用磁石14に最も接近した状態で最大回転角に達する。
【0044】
この結果、これに協働するプレート3も反時計方向に傾き、図10(b)の最大回転角で保持される。ほぼ同時に空き缶は左側に排出される。その結果、空き缶がプレート3から無くなる。すると、コイル19への通電が停止され、左側の動作用磁石14と左側の戻し用磁石11の磁石同士は同じS極で内側面が近接しているため直ちに図10(c)に示す元の水平状態に向けた復元力が働く。この結果、左右側磁石同士は互いに動作用磁石14とスタート位置保持用磁石13間の磁力で水平状態に戻され、それが保持される。
【0045】
(2)図11「時計回り時」
図10の動作とは磁界の向き22が反対になる。
前記と同様、空き缶の種類に依存した缶検知センサ基板4の出力からコイル19が通電状態になると、磁界の向き22が鉄芯12の中心軸で下向きに発生する。このとき、プレート3が時計方向(Rと表示)に傾き、空き缶2(例えば、「磁性スチール缶」としよう)は右側に排出される(図12(c)及び図13(c)も参照)。
【0046】
すなわち、コイル19への通電は前記図10の電流方向と反対の向きに流れた状態となる。その結果、鉄芯12の下面12uはN極に着磁される。このとき動作用磁石14の左側磁石は内側面がS極で、動作用磁石14とスタート位置保持用磁石13の吸引力以上の力が出るようにコイル19に電流を流すと、鉄芯下面部分12uは左側の動作用磁石14に吸引され接近し、回転中心18を軸にして時計回りに回転し鉄芯12の下面12uは動作用磁石14の左側磁石に最も接近した状態で最大回転角に達する。
【0047】
この結果、これに協働するプレート3も時計方向に傾き、図11(b)の最大回転角で保持される。ほぼ同時に空き缶2は右側に排出される。その結果、空き缶2がプレート3から無くなる。その後コイル19への通電を停止され、右側の動作用磁石14と右側の戻し用磁石11の磁石同士は内側面が近接しているため直ちに図11(c)に示す元の水平状態に向けた復元力が働く。この結果、左右側磁石同士は互いに動作用磁石14とスタート位置保持用磁石13間の磁力で水平状態に戻され、それが保持される。
【0048】
つぎに、図12及び図13に基づき本発明の空き缶選別装置につき動作の様子を示した側面図、斜視図につき説明する。
図12(a)は反時計方向、(c)は時計方向へ空き缶を選別移動させる様子の状態を示す側面図である。(b)は(a)又は(c)のいずれでもない空き缶について、缶ストッパー5を通過する前の選別移動させる様子を示す。空き缶2はプレート3を通過時に缶検知センサ基板4で「磁性スチール缶」、「非磁性缶」及び「非金属缶」ないし「プラスチック缶」かの判定した結果で分別される状態を示している。
【0049】
アルミニウム缶等「非磁性缶」ではコイルに発生した渦電流を検知、出力として利用する。他方、鉄、鉄合金等「磁性スチール缶」については、磁界の変化で磁性を検知する。缶検知センサ基板4はその他のプラスチック、ガラスビン缶、紙製品等「非金属缶」ないし「プラスチック缶」の場合は前記缶検知センサ基板4での検知出力はゼロとの判定となる。結果、図12(b)及び図13(b)での分別となる。
さらに、缶検知センサ基板4からの検知出力があると(a)又は(c)と分別すべき信号出力がコントロール基板16へ入力される。
【0050】
コントロール基板16からの出力は(a)及び(c)については、まずフラッパーソレノイド7をONし可動板9を動作させ、缶ストッパー5をロックさせて缶を保持してからソレノイド23に対し正逆直流電流出力を与える。他方、(b)の状態で非金属のときはソレノイド23への出力を与えない。また、図13図(a)、(b)及び(c)は図12のそれぞれの理解を助ける斜視図である。なお、排出有無の監視は、例えば、分離型フォトセンサなどで排出されたか検出するといった方法が好適である。
【0051】
図14で本発明の装置による空き缶の流れ、分別動作のシーケンスを説明する。
装置の電源投入(ステップ101)し、分別用空き缶2の受け入れ待ちとなる。この段階で缶ストッパー5はねじりバネ6で、プレート3の進行方向に対し垂直に保持されている。
【0052】
空き缶を投入(102)する。ここで図示しない空き缶の通過センサなどで、数量計測等の処理をすることもできる。
金属缶かの判定(103)をする。判定「N」でステップ103に復帰、一方、ガラス、プラスチック等非金属はプレート3を通過、ねじりバネ6のバネ圧を超えて缶ストッパー5を回転させ非金属缶分別箱へ装置から移動させる。
判定「Y」で、金属缶との判定結果でステップ104へ進む。
【0053】
フラッパーソレノイド7の電源ON(104)、缶プレート3の先端にある缶ストッパー5はフラッパーソレノイド7の可動板9により回転を阻止され、回ることができず、缶2の移動を停止させる。
さらに、0.5秒待機(105)し、スチール缶判定タイミング準備。
【0054】
スチール缶かの判定(106)し、判定「Y」で、回転自在のソレノイド23のコイル19にプレート3を右回転させる方向「正」に通電、スチール缶をスチール缶分別箱へ移動させる(107)。
判定「N」で、回転自在のソレノイド23のコイル19にプレート3を左回転させる方向「逆」向きに通電、アルミニウム、銅、その他の非鉄金属材缶を非鉄金属缶分別箱へ移動させる(108)。
【0055】
0.5秒待機 コイル19の電流遮断までのタイミングをとる(109)。
コイル19の電流遮断(110)、プレート3は水平に戻される。このとき磁石11と14の反発、さらに、磁石13、14間の吸引で極めて短時間で復帰しその状態が維持される。
【0056】
フラッパーソレノイド7の通電OFF(111) ねじりバネ6のバネ圧により、缶ストッパー5は垂直に戻り、スタートへ。この繰り返しで本発明の装置は動作することができる。
【0057】
このように、缶検知センサ基板4と、コントロール回路からの正逆信号指令により、回転動作には、回転磁界の生成、プレート3を分別姿勢に規制させるには複数の磁石や、回転動作停止後プレート3を水平位置に復帰保持させる複数の磁石によることが極めて効果的であることが理解されよう。さらに、前記センサ、コントロール回路、回転動作をさせる手段及び前記各磁石が一体に回転自在とすればより効果的に装置の高性能化が実現できる。
【0058】
より具体的には、前記各磁石が一体に回転自在とする駆動手段にあつて、磁界発生コイルと前記各磁石にスタート位置保持用磁石、戻し用磁石と、非回転側に動作用磁石をそれぞれ一対互いに異極性面を備えたことでさらに高性能化が期待できる。
【0059】
また、ここまで説明した選別方式は空き缶移動方向で回転動作を行なうために好適な回転磁界を利用した方法で詳細に説明した。
しかしこれにとどまるものではないことを理解すべきである。すなわち、回転動作を実現できる方式として、プレート3の回転(傾斜)はセンサ4、ないし、コントロール手段からの指令を利用した種々回転動作手段で実現できよう。図示しない、ソレノイド、バネ等を利用し、1つの指令でプレート3に対しソレノイド(プランジャーでの操作も可能)で右回転動作を与えたり、他の指令で、別ソレノイド(同一でも可能である)で左回転動作を与えて行なうことで実現できよう。また、プレート3を分別後水平に復帰する必要がある。これには、ソレノイドのみでの復帰や別途バネ手段を用いて短時間での復帰を可能とする。他方、プレート3の水平位置を保持できるよう重心位置を下側に持ってくることで可能となろう。
なお、電気的な回転動作に限らず他の機械的な手段でも容易に実現できよう。
【符号の説明】
【0060】
1 空き缶選別装置
2 空き缶
3 プレート
4 缶検知センサ基板
5 缶ストッパー
6 ねじりバネ
7 フラッパーソレノイド
8 回転軸
9 可動板
10 ベース
11 戻し用磁石
12 鉄芯
12u 鉄芯下面部分
13 スタート位置保持用磁石
14 動作用磁石
15 コイルホルダー
16 コントロール基板
17 ベアリング
18 回転中心
19 コイル
20 N極面
21 S極面
22 磁界の向き
23 ソレノイド
24 空き缶選別装置本体部
25 入出力ケーブル
L 反時計方向
R 時計方向














【特許請求の範囲】
【請求項1】
空き缶を移動自在に載せるプレートと、該プレート面に近接配置させた磁性スチール金属及び非鉄金属検出分別センサと、該センサからの出力で分別制御するコントロール回路と、該コントロール回路からの信号指令により前記プレートを空き缶移動方向に対し時計方向又は反時計方向の回転動作を行なう手段と、前記プレートを水平位置に復帰させる手段と、缶ストッパー及び前記缶ストッパーをストップ処理する手段とからなることを特徴とした磁性スチール缶と非鉄金属缶及び非金属缶とを分別させる空き缶選別装置。
【請求項2】
前記回転動作を行なう手段として正逆回転の磁界を発生するコイルと前記プレートを回転させる動作用磁石と、前記回転動作から前記プレートを水平位置に復帰させる戻し用磁石及びスタート位置を保持させるスタート位置保持用磁石をそれぞれ一対互いに異極性面を有する請求項1記載の磁性スチール缶と非鉄金属缶及び非金属缶とを分別させる空き缶選別装置。
【請求項3】
前記プレート、前記センサ、前記コントロール回路、前記回転動作を行なう手段、前記スタート位置保持用磁石、前記戻し用磁石、前記缶ストッパー及び前記缶ストッパーをストップ処理する手段を一体にし回転自在とした請求項1又は2記載の磁性スチール缶、非鉄金属缶及び非金属缶とを分別させる空き缶選別装置。

























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−110812(P2012−110812A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260724(P2010−260724)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【出願人】(591050316)アプリックス株式会社 (3)
【出願人】(599143759)知恵の輪有限会社 (4)
【Fターム(参考)】