説明

空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法

【課題】ユニフォーミティを維持しつつ、製造作業が簡易である空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる縦コードと、縦コードに直交するタイヤ径方向に延びる横コードと、縦コードおよび横コードを被覆するゴム被覆層とからなるチェーファー19を、ビード部にタイヤ周方向に沿って円環状に配設した空気入りタイヤであって、チェーファー19には、タイヤ径方向に沿って延びる複数の切込み25が形成され、所定の切込み25は、タイヤ周方向において、隣接する切込み25の一部とオーバーラップする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビード部を補強するチェーファーが設けられた空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤには、タイヤ周方向に沿って、ビード部を保護するチェーファーと呼ばれる補強部材が配設されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、このようなチェーファーは、縦コードと、縦コードに直交する横コードを縦コードに直交する横コードと、ゴム被覆層とが一体形成されたゴム被覆部材を形成する。次に、縦コードに対して、斜め45°に沿って裁断する。最後に、裁断された帯状体の長手方向に沿った端部を互いに接合することによって、チェーファーが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−276930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したチェーファーには、複数の帯状体の端部同士が重なる接合部が、タイヤ周方向おいて所定間隔置きに形成されるため、空気入りタイヤのユニフォーミティが悪くなるおそれがあった。また、ゴム被覆部材から帯状体に裁断する作業や、裁断した帯状体同士を接合する作業が煩雑であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ビード部を補強するチェーファーが設けられた場合において、ユニフォーミティを確保しつつ、作製作業が簡易である空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。
【0008】
まず、本発明の第1の特徴は、タイヤ周方向に延びる第1コード(縦コード31)と、前記第1コードに直交する方向であるタイヤ径方向に延びる第2コード(横コード33)と、前記第1コードおよび前記第2コードを被覆するゴム被覆層(ゴム被覆層35)とからなるチェーファー(チェーファー19)を、ビード部(ビード部13)にタイヤ周方向に沿って円環状に配設した空気入りタイヤ(空気入りタイヤ1)であって、前記チェーファーには、タイヤ径方向に沿って延びる複数の切込み(切込み25)が形成され、所定の前記切込みは、タイヤ周方向において、隣接する前記切込みの一部とオーバーラップすることを要旨とする。
【0009】
このような空気入りタイヤに配設されたチェーファーには、タイヤ径方向に沿って延びる複数の切込みが形成されているため、空気入りタイヤの製造工程において、生タイヤが加硫プラダーでモールドの内面に押し付けられる際、生タイヤのタイヤ周方向に沿って引き延ばされると、切込みが開口して変形に追従できる。
【0010】
従来は、チェーファーを製造する際、長尺部材を斜め方向に裁断して複数の帯状体の長手方向端部同士を接合していたため、裁断工程および接合工程の作業工数が煩雑となっていた。本発明によれば、長尺部材を所定幅で裁断すればよく、複数の帯状体を接合する必要がないため、全体として作製作業が簡易となる。また、複数の帯状体を接合する接合部が無いため、タイヤ周方向に沿ってユニフォーミティを改善できる。従って、ユニフォーミティを確保しつつ、全体として作製作業が簡易である空気入りタイヤを提供できる。
【0011】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記切込みは、タイヤ周方向に沿って所定間隔(ピッチP2)をおいて配置されることを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1または2の特徴に係り、前記切込みのタイヤ径方向に沿った長さは、8mm以上、12mm以下であることを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1乃至3の何れか一つの特徴に係り、前記切込みと、隣接する前記切込みとの間隔は、8mm以上、12mm以下であることを要旨とする。
【0014】
本発明の第5の特徴は、タイヤ周方向に延びる第1コード(縦コード31)と、前記第1コードに直交してタイヤ径方向に延びる第2コード(横コード33)と、前記第1コードおよび前記第2コードを被覆するゴム被覆層(ゴム被覆層35)とからなるチェーファー(チェーファー19)を、ビード部(ビード部13)にタイヤ周方向に沿って円環状に配設した空気入りタイヤの製造方法であって、長手方向に延びる第1コードと、前記第1コードに直交する幅方向に延びる第2コードと、前記第1コードおよび前記第2コードをゴムで被覆したゴム被覆層とを一体形成した部材が連続した長尺部材(長尺部材41)を長手方向に沿って所定幅のゴム被覆部材(ゴム被覆部材21)に裁断するステップ(裁断工程)と、前記ゴム被覆部材に、前記長手方向に対して直交する方向である幅方向に沿って延びる複数の切込み(切込み25)を入れるステップ(切込み形成工程)と、前記切込みが形成された前記ゴム被覆部材を前記切込みの延在方向がタイヤ径方向に沿うように前記ビード部に貼り付けるステップ(貼り付け工程)とを含み、前記切込みは、前記長手方向において、隣接する前記切込みの一部とオーバーラップすることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ビード部を補強するチェーファーが設けられた場合において、ユニフォーミティを維持しつつ、製造作業が簡易である空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による空気入りタイヤの幅方向断面図である。
【図2】図1をX方向から見たチェーファーの正面図である。
【図3】図2のチェーファーにおけるゴム被覆層の一部を取り除いた状態を示すチェーファーの斜視図である。
【図4】図3のA−A線による断面図である。
【図5】本実施形態による空気入りタイヤの製造方法を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態による空気入りタイヤを製造する工程のうち裁断工程を示す説明図である。
【図7】本実施形態による空気入りタイヤを製造する工程のうち切込み形成工程を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態による空気入りタイヤの貼り付け工程を示す説明図であり、(a)は切込みが入った帯状体を示す平面図、(b)(c)は帯状体が長手方向に引っ張られたときの切込みの開口の変化を概略的に示す平面図である。
【図9】実施例中における従来例による空気入りタイヤのチェーファーの製造工程のうち裁断工程を示す説明図である。
【図10】実施例中における従来例による空気入りタイヤのチェーファーの製造工程のうち、裁断した帯状体の長手方向端部同士を互いに接合する工程を示す説明図である。
【図11】図10のチェーファーが長手方向に引っ張られて張力が与えられる過程を示す説明図であり、(a)は張力が与えられる前の通常状態を示す帯状体の平面図、(b)は帯状体を長手方向に引っ張られたときの縦コードおよび横コードの交差角度の変化を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は概略的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0018】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤについて、具体的には、(1)空気入りタイヤの構成、(2)チェーファーの詳細構成、(3))空気入りタイヤの製造方法、(4)作用・効果、及び(5)その他の実施形態について説明する。
【0020】
(1)空気入りタイヤの構成
図1は、本発明の実施形態による空気入りタイヤのトレッド幅方向に沿った断面図である。
【0021】
空気入りタイヤ1には、トレッド幅方向に離間して配置された一対のビードコア3、これらのビードコア同士3,3を結ぶカーカス5、および、該カーカス5の頂部上に配設されたベルト層7が設けられている。
【0022】
空気入りタイヤ1は、前記カーカス5の頂部近傍に配置されて路面に接するトレッド部9と、該トレッド部9の側方に配置されたサイドウォール部11と、該サイドウォール部11の径方向内側に配置されたビード部13とを備えている。トレッド部9には、タイヤ周方向に延びる主溝15が形成されている。前記カーカス5の両端部は、ビードコア3のタイヤ径方向内側を回り込んで折り返されて径方向外側に向けて延びる折返し部17を有している。
【0023】
また、ビード部13には、前述したビードコア3とビード部13を補強するチェーファー19とが配設されている。チェーファー19は、タイヤ周方向に延びる帯状の補強部材であり、前記カーカス5の折返し部17のタイヤ幅方向外側に貼着されている。
【0024】
(2)チェーファーの詳細構成
図2は、図1の空気入りタイヤにおけるチェーファーを矢印X方向から見た正面図である。
【0025】
チェーファー19には、タイヤ径方向に沿って延びる複数の切込み25が形成される。所定の切込み25は、タイヤ周方向において、隣接する切込み25の一部とオーバーラップする。切込み25は、ビード部13にタイヤ周方向に張力が加えられて引き延ばされた状態では、図2のように開口して拡がっている。
【0026】
なお、図2に示すように、チェーファー19のタイヤ径方向に沿った幅は、幅Wになっており、切込み25のタイヤ径方向に沿った長さは、切込み幅L1である。これに対して、切込み25のタイヤ径方向に沿ったオーバーラップの長さは、オーバーラップ長W1になっている。また、切込み25のタイヤ周方向に沿った間隔はピッチP1、隣接する切込み25のタイヤ周方向に沿った間隔はピッチP2に設定されている。
【0027】
図3は、図2のチェーファーにおけるゴム被覆層の一部を取り除いた状態を示すチェーファーの斜視図である。図4は、図3のA−A線による断面図である。
【0028】
図3に示すように、チェーファー19は、タイヤ周方向である長手方向に細長く延びる帯状の矩形状に形成されており、タイヤ周方向に延びる第1コードを構成する縦コード31と、該縦コード31に直交してタイヤ径方向に延びる第2コードを構成する横コード33と、縦コード31および横コード33を被覆するゴム被覆層35とが一体形成されている。縦コード31および横コード33は、平織りされており、例えば、ポリアミド系合成繊維、ポリエステルおよびレーヨンなどの有機繊維を用いることが好ましい。
【0029】
図4に示すように、ゴム被覆層35の表層部から、チェーファー19の厚み方向に沿って、切込み25が形成されている。つまり、チェーファー19をタイヤ周方向に引き延ばすと、切込み25はタイヤ周方向に開口し、この開口によってチェーファー19がタイヤ周方向に容易に伸びる。
【0030】
(3)空気入りタイヤの製造方法
次に、本実施形態による空気入りタイヤの製造方法について、図5乃至8を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法を示すフローチャートである。図6は本実施形態による空気入りタイヤのチェーファーを製造する工程のうち裁断工程を示す説明図、図7は本実施形態による空気入りタイヤのチェーファーを製造する工程のうち切込み加工工程を示す説明図、および、図8は本実施形態による空気入りタイヤのチェーファーを製造する工程のうち貼り付け工程を示す説明図である。
【0031】
具体的には、空気入りタイヤの製造方法は、(3.1)裁断工程、(3.2)切込み形成工程、及び(3.3)貼り付け工程を含む。
【0032】
(3.1)裁断工程
ステップS10の裁断工程では、図6に示すように、長手方向に延びる縦コード31と、縦コード31に直交する幅方向に延びる横コード33と、縦コード31および横コード33をゴムで被覆したゴム被覆層とを一体形成した長尺部材41を準備し、長尺部材41を長手方向に沿って所定幅のゴム被覆部材21に裁断線(二点鎖線で示す)Lに沿って裁断する。
【0033】
なお、長尺部材41は、前述したチェーファー19と同一構造に構成されている。縦コード31および横コード33は有機繊維から形成されている。また、ゴム被覆部材21の長手方向の長さは、空気入りタイヤ1のビード部13の周長と略同一寸法に設定する。
【0034】
(3.2)切込み形成工程
次に、ステップS20の切込み形成工程では、図7に示すように、裁断されたゴム被覆部材21に幅方向に沿って所定長さの切込み25を入れる。切込み25は、長手方向において、隣接する切込み25みの一部とオーバーラップする。切込み25は、例えばゴム被覆部材21を巻き取る前に、カッターが並んで配設されているローラをゴム被覆部材21に押し付けることによって形成することができる。
【0035】
(3.3)貼り付け工程
次に、ステップS30の貼り付け工程では、切込み25が形成されたゴム被覆部材21を切込み25の延在方向がタイヤ径方向に沿うようにビード部13に貼り付ける。そして、生タイヤケースを作製したのち、加硫工程等を経て空気入りタイヤが完成する。
【0036】
図8は、チェーファー19の長手方向に張力が加えられた過程を示す説明図であり、(a)は切込みが入ったゴム被覆部材を示す平面図、(b)(c)はチェーファー19の長手方向に張力が与えられたときの切込みの開口変化を概略的に示す平面図である。
【0037】
図8(b)に示すように、チェーファー19の長手方向(タイヤ周方向)に張力が加えられると、幅方向に延びる切込み25が長手方向に開口して、さらに張力が大きくなると、図8(c)に示すように、切込み25の開口の大きさがさらに広がる。
【0038】
(4)作用・効果
以上説明したように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1に配設されたチェーファー19には、複数の切込み25が形成されているため、空気入りタイヤ1の製造工程において、生タイヤが加硫プラダーでモールドの内面に押し付けられる際、生タイヤのタイヤ周方向に沿って引き延ばされると、切込み25が開口して変形に追従できる。
【0039】
従来は、図9,10に示すように、チェーファー19を製造する際、長尺部材41を斜め方向に裁断して複数の帯状体43、45の長手方向端部同士を接合していたため、裁断工程および接合工程の作業工数が煩雑となっていた。本発明によれば長尺部材41を所定幅で裁断すればよく、複数の帯状体を接合する必要がないため、全体として作製作業が容易となる。また、複数の帯状体を接合する接合部が無いため、タイヤ周方向に沿ってユニフォーミティを改善できる。従って、ユニフォーミティを確保しつつ、全体として作製作業が簡易となる空気入りタイヤ1を提供できる。
【0040】
本実施形態によれば、オーバーラップ長W1の長さを変えることで、伸び量の上限を調整することができる。
【0041】
本実施形態によれば、切込み25は、タイヤ周方向に沿って間隔(ピッチP2)をおいて複数配置されるため、切込み25がタイヤ周方向に均一に開口しやすくなる。このため、チェーファー19の一部に応力が集中することなく、チェーファー19がタイヤ周方向に伸びやすくなる。
【0042】
本実施形態によれば、切込み25のタイヤ径方向に沿った長さは、8mm以上、12mm以下であることにより、チェーファー19がタイヤ周方向に伸びやすくなる。同様に、切込み25と、隣接する切込み25との間隔は、8mm以上、12mm以下であることにより、チェーファー19がタイヤ周方向に伸びやすくなる。
【0043】
本実施形態に係る、空気入りタイヤの製造方法によれば、長手方向に延びる縦コード31と該縦コード31に直交して幅方向に延びる横コード33と縦コード31および横コード33をゴムで被覆したゴム被覆層35とを一体形成した部材が連続した長尺部材41からゴム被覆部材21を裁断し、切込み25を入れることによって、チェーファー19を作製する工程を含む。本実施形態によれば、チェーファー19を作製作業が簡易である。
【0044】
(5)その他の実施形態
前述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0045】
例えば、チェーファー19では、切込み25の長さを同一、としたが、これに限られず、長さの異なる切込み25を形成しても良い。また、チェーファー19では、同一方向に平行に延びる切込み25を形成しているが、切込み25は平行に形成される必要はない。
【0046】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、前述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【実施例】
【0047】
次に、本発明の効果を明確にするため、従来例、および本発明例1〜4に係る空気入りタイヤを用いて行った試験結果について説明する。
【0048】
従来例および本発明例1〜4に使用した供試タイヤは、乗用車用ラジアルタイヤでタイヤサイズは195/65 R15とした。これらの供試タイヤについては、従来例では図9〜図11に示すチェーファーを配設している。ここで簡単に従来例によるチェーファーの製造方法を説明する。
【0049】
まず、図9に示すように、ゴム被覆部材41を準備した。このゴム被覆部材は、図5で説明したものと同様に、長手方向に延びる縦コード31、幅方向に延びる横コード33およびゴム被覆層35からなる。前記長尺部材41を長手方向に対して45°傾斜した裁断線lで裁断し、平面視略平行四辺形の帯状体43,45を切り出す。これらの帯状体43,45を図10に示すように、長手方向端部同士を接合して繋いでいくことによって、従来例によるチェーファー51を作製することができる。なお、図11(a)に示すように、従来例によるチェーファー51は、縦コード31と横コード33が長手方向に対して45°傾斜して配置されているため、図11(b)に示すように、長手方向に引っ張ると、縦コード31と横コード33との交差角度が小さくなって長手方向に伸びやすくなる。
【0050】
このように、従来例による帯状体43,45をタイヤ周方向に沿って4本接合することによって作製したチェーファー51を用いて従来例の空気入りタイヤを製造した。従って、従来例では、タイヤ周方向に沿った結合部の数が4箇所になる。
【0051】
また、本発明例1〜4に係る供試タイヤにおけるチェーファー19は、図2に示す幅やピッチの寸法、即ち、チェーファー19の幅W、切込み25の長さL1、オーバーラップ部27における切込み同士25,25のピッチP2、オーバーラップ長W1を表1に示すようにした。
【表1】

【0052】
これらの供試タイヤを、ホイールサイズが6.50JJ×17であるリムホイールに組み付けたのち、RFV、LFVおよびCONを従来例を基準の100とした相対的な指数として比較した。ここで、RFVは、タイヤ回転時における縦方向の振れの力であり、LFVは、タイヤ回転時における横方向の振れの力であり、CONは、タイヤ回転時におけるタイヤ流れ方向の力である。
【表2】

【0053】
表2の結果から、本発明例1〜4の方が従来例の供試タイヤよりも、ユニフォーミティに優れ、生産性も高いことが判明した。
【符号の説明】
【0054】
L1…幅、P2…ピッチ、W…幅、W1…オーバーラップ長、1…空気入りタイヤ、3…ビードコア、 5…カーカス、 7…ベルト層、 9…トレッド部、11…サイドウォール部、13…ビード部、15…主溝、17…折り返し部、 19…チェーファー、21…ゴム被覆部材、25…切込み、31…縦コード、33…横コード、35…ゴム被覆層、41…長尺部材 43,45…帯状体 51…チェーファー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延びる第1コードと、前記第1コードに直交する方向であるタイヤ径方向に延びる第2コードと、前記第1コードおよび前記第2コードを被覆するゴム被覆層とからなるチェーファーを、ビード部にタイヤ周方向に沿って円環状に配設した空気入りタイヤであって、
前記チェーファーには、タイヤ径方向に沿って延びる複数の切込みが形成され、
所定の前記切込みは、タイヤ周方向において、隣接する前記切込みの一部とオーバーラップする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記切込みは、タイヤ周方向に沿って所定間隔をおいて配置される請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記切込みの前記タイヤ径方向に沿った長さは、8mm以上、12mm以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記切込みと、隣接する前記切込みとの間隔は、8mm以上、12mm以下である請求項1乃至3の何れか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
タイヤ周方向に延びる第1コードと、前記第1コードに直交し、タイヤ径方向に延びる第2コードと、前記第1コードおよび前記第2コードを被覆するゴム被覆層とからなるチェーファーを、ビード部にタイヤ周方向に沿って円環状に配設した空気入りタイヤの製造方法であって、
長手方向に延びる第1コードと、前記第1コードに直交する方向である幅方向に延びる第2コードと、前記第1コードおよび前記第2コードをゴムで被覆したゴム被覆層とを一体形成した部材が連続した長尺部材を長手方向に沿って所定幅のゴム被覆部材に裁断するステップと、
前記ゴム被覆部材に、前記長手方向に対して直交する方向である幅方向に沿って延びる複数の切込みを入れるステップと、
前記切込みが形成された前記ゴム被覆部材を前記切込みの延在方向がタイヤ径方向に沿うように前記ビード部に貼り付けるステップとを含み、
前記切込みは、前記長手方向において、隣接する前記切込みの一部とオーバーラップする空気入りタイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−254079(P2010−254079A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105101(P2009−105101)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】