説明

空気入りタイヤ

【課題】低燃費性、ロードノイズ性能、耐久性に優れた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分100質量部に対して、軟化点−20〜20℃の液状レジンを5〜15質量部含むゴム組成物を用いて作製したゴム層を、ブレーカーとカーカスとの間、及び/又はカーカスとインナーライナーとの間に有する空気入りタイヤに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗用車用ラジアルタイヤには高い低燃費性と高い静粛性(ロードノイズ性能)が求められている。
【0003】
高いロードノイズ性能を得るためには、従来、タイヤパターン、接地形状による改善が行われているが、ゴム組成物によるロードノイズ性能の向上についてはまだ改善の余地がある。
【0004】
ゴム組成物によりロードノイズ性能を改善するためには、振動を吸収するために損失正接(tanδ)の高いゴム組成物をタイヤ内部に使用して減衰特性を高めることが考えられる。
【0005】
tanδを向上させる手段としてカーボンブラックを増量することが知られている。しかし、この手法を用いると転がり抵抗(低燃費性)が悪化するという問題があった。また、ポリマーのスチレン量、ビニル量を上げることも知られているが、脆化温度が高くなり、低温でのインナークラック性が悪化し、耐久性が悪化するという問題があった。
【0006】
他にも、サイドウォール部に、所定の範囲のtanδ及び硬度を有するゴムからなり、所定の形状の補強層を挿入する手法(例えば、特許文献1)が知られているが、タイヤ重量が増加し、均一な加硫後の形状が得られにくく、ユニフォーミティが悪化するという点で、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−301912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、ロードノイズ性能、耐久性に優れた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ゴム成分100質量部に対して、軟化点−20〜20℃の液状レジンを5〜15質量部含むゴム組成物を用いて作製したゴム層を、ブレーカーとカーカスとの間、及び/又はカーカスとインナーライナーとの間に有する空気入りタイヤに関する。
【0010】
上記液状レジンが、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂及び液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、軟化点−20〜20℃の液状レジンを特定量含むゴム組成物を用いて作製したゴム層を、ブレーカーとカーカスとの間、及び/又はカーカスとインナーライナーとの間に有する空気入りタイヤであるので、優れた低燃費性、ロードノイズ性能、耐久性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の空気入りタイヤは、ゴム成分100質量部に対して、軟化点−20〜20℃の液状レジンを5〜15質量部含むゴム組成物を用いて作製したゴム層を、ブレーカーとカーカスとの間、及び/又はカーカスとインナーライナーとの間に有する空気入りタイヤである。
【0014】
タイヤ用ゴム組成物には、一般的に、加工性を向上させるために、アロマオイルを配合するが、低燃費性が悪化してしまう。本発明では、アロマオイルの代わりに、特定の軟化点の液状レジンを配合することで、背反性能である低燃費性、ロードノイズ性能(1000Hz付近の減衰特性)を高次元で両立でき、更に、優れた耐久性、加工性も得られる。
【0015】
これは、上記液状レジンを配合することにより、ゴム組成物中で補強性充填剤の分散性が向上したため、低燃費性、耐久性、加工性が向上したものと推測される。
更に、ロードノイズが1000Hz付近の周波数のため、ロードノイズ性能は、WLF式より10℃付近のtanδと相関があることが予測され、低燃費性は、70℃付近のtanδと相関があることが予測されるが、特定の軟化点の液状レジンを配合することで、10℃付近のtanδを向上でき、更に、上述の補強性充填剤の分散性の改善により、70℃付近のtanδを低減できるため、背反性能である低燃費性、ロードノイズ性能を高次元で両立できるものと推測される。
【0016】
本発明の空気入りタイヤは、ゴム成分100質量部に対して、軟化点−20〜20℃の液状レジンを5〜15質量部含むゴム組成物を用いて作製したゴム層を、ブレーカーとカーカスとの間、及び/又はカーカスとインナーライナーとの間に有する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。図1において、上下方向がタイヤ半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。
【0018】
図1より、空気入りタイヤ10は、トレッド部において、タイヤ半径方向外側から順に、トレッドA、第二ブレーカー1、第一ブレーカー2、カーカス3、インナーライナー4を備えている。上記ゴム層は、ブレーカー(第一ブレーカー2)/カーカス3間の層C、及び/又はカーカス3/インナーライナー4間の層Dに用いられる。
【0019】
図1では、第二ブレーカー1、第一ブレーカー2、カーカス3、インナーライナー4のタイヤ半径方向外側や内側に層B〜Eを説明のために設けているが、上記ゴム層が設けられない層B、Eは、実際には存在しない。例えば、層Bが存在しないとは、第二ブレーカー1、第一ブレーカー2が接していることを意味する。
【0020】
上記ゴム層を層C及び/又は層Dに設けることで、本発明の効果が好適に得られる。一方、上記ゴム層を層Bに設けた場合、耐久性が顕著に悪化してしまう。また、上記ゴム層を層Eに設けた場合、空気酸化により、ゴム層が劣化してしまう。
【0021】
次に、上記ゴム層を構成するゴム組成物について説明する。
【0022】
上記ゴム組成物に使用できるゴム成分としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、加工性、耐久性に優れるという理由から、NRが好ましい。また、隣接するゴム層との接着性に優れるため、耐久性に優れ、更に、加硫戻り(リバージョン)が少ないという理由から、SBRが好ましい。また、NRと、SBRを併用することも好ましい。
【0023】
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
【0024】
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。50質量%未満であると、加工性、耐久性が悪化するおそれがある。NRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、低燃費性が悪化するおそれがある。
【0025】
SBRとしては特に限定されず、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、E−SBRが好ましい。
【0026】
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。スチレン含量が5質量%未満であると、静粛性(ロードノイズ性能)が悪化するおそれがある。該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。スチレン含量が60質量%を超えると、発熱性が著しく上昇し、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、本発明において、SBRのスチレン含量は、H−NMR測定により算出される。
【0027】
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、耐久性が悪化するおそれがある。SBRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。50質量%を超えると、低燃費性が悪化するおそれがある。
【0028】
上記ゴム組成物は、軟化点−20〜20℃の液状レジンを含む。
【0029】
上記液状レジンとしては、例えば、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂、液状α−メチルスチレン樹脂、液状ビニルトルエン樹脂、液状ポリイソペンタン樹脂などの液状の石油系又は石炭系樹脂などが挙げられる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという点から、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂、液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0030】
上記液状レジンの軟化点は、−20℃以上、好ましくは−5℃以上、よリ好ましくは0℃以上である。−20℃未満であると、液状レジンの粘度が低くなり過ぎて、ゴム成分との混練性が悪化する。また、上記液状レジンの軟化点は、20℃以下、好ましくは18℃以下、より好ましくは17℃以下である。20℃を超えると、上記液状レジンの発熱性が上昇し、低燃費性が悪化する。また、耐久性も低下する。
軟化点が上記範囲内であると、10℃付近のtanδを向上しつつ、ゴム組成物中の補強性充填剤の分散性を向上でき、低燃費性、ロードノイズ性能、耐久性、加工性を向上できる。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K6220:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0031】
上記液状レジンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは8質量部以上である。5質量部未満では、充分なロードノイズ性能が得られないおそれがある。また、上記液状レジンの含有量は、15質量部以下、好ましくは12質量部以下である。15質量部を超えると、充分な低燃費性、耐久性が得られないおそれがある。
【0032】
上記液状レジンはゴム組成物を軟化する作用を有しているため、上記液状レジンを用いることで、ゴム組成物中のオイルの含有量を少なくし、低燃費性をより改善できる。上記ゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0質量部(実質的に含有しない)である。
【0033】
上記ゴム組成物は、カーボンブラックを配合することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができ、耐久性を向上できる。また、良好なロードノイズ性能も得られる。
【0034】
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは15m/g以上である。10m/g未満では、耐久性が低下するおそれがある。また、該カーボンブラックのNSAは、好ましくは60m/g以下、より好ましくは40m/g以下である。60m/gを超えると、低燃費性が悪化するおそれがある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2001によって求められる。
【0035】
カーボンブラックを配合する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。40質量部未満では、耐久性が低下するおそれがある。また、カーボンブラックの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。100質量部を超えると、低燃費性が悪化するおそれがある。
本発明では、特定の軟化点の液状レジンを配合することで、カーボンブラックを増量することなく、低燃費性、ロードノイズ性能、耐久性を向上できるため、カーボンブラック量を上記量とすることができ、低燃費性をより改善できる。
【0036】
上記ゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シリカ、クレー等の補強性充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
【0037】
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又はキサンテート系加硫促進剤が挙げられる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
【0038】
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)などが挙げられる。なかでも、TBBSが好ましい。
【0039】
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上であり、また、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。上記範囲内に調整することで、本発明の効果がより好適に得られる。
【0040】
上記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
【0041】
上記ゴム組成物を用いて作製したゴム層の形状は、特に限定されないが、シート状であることが好ましい。
【0042】
上記ゴム層の厚さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上である。上記ゴム層の厚さが0.1mm未満では、ノイズ低減の充分な効果が得られないおそれがある。また、上記ゴム層の厚さは好ましくは4.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下である。ゴム層の厚さが4.0mmを超えると、タイヤ重量が増加することにより、低燃費性、耐久性が悪化する。
【0043】
上記ゴム層の幅は、ブレーカーの幅の0.5倍以上が好ましく、0.6倍以上がより好ましい。ゴム層の幅がブレーカーの幅の0.5倍未満では、ノイズ低減の充分な効果が得られない傾向がある。また、ゴム層の幅は、ブレーカーの幅の2.0倍以下が好ましく、1.8倍以下がより好ましい。ゴム層の幅がブレーカーの幅の2.0倍を超えると、タイヤ重量の増加により転がり抵抗が増大する割に、ノイズ低減効果が少ない傾向がある。とくに、ゴム層の幅が、ゴム層がビードまで達するほど長いと、転がり抵抗が著しく増大してしまう。
【0044】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム層をブレーカーとカーカスとの間、及び/又はカーカスとインナーライナーとの間に適用し、通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種配合剤を配合した上記ゴム組成物を、未加硫の段階で所定の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。その後、加硫機中で加熱加圧することで本発明のタイヤを製造することができる。
【実施例】
【0045】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0046】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
SBR:JSR(株)製のSBR1502(E−SBR、スチレン含有量:23.5質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN660(NSA:28m/g)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX140
レジン(1):Rutgers Chemicals社製のNOVARES C10(液状クマロンインデン樹脂、軟化点:5〜15℃)
レジン(2):Rutgers Chemicals社製のNOVARES TL10(α−メチルスチレン及びインデンを主成分とする液状レジン、軟化点:5〜15℃)
レジン(3):Rutgers Chemicals社製のNOVARES C90(固体のクマロンインデン樹脂、軟化点:85〜95℃)
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラ−NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
【0047】
実施例及び比較例
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物を、表1に示す厚さ、幅のシート状に成形し、表1に示す挿入位置に適用し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。なお、挿入位置において、Cは、ブレーカーとカーカスとの間、Dは、カーカスとインナーライナーとの間であることを示す。また、ゴムの幅において、100%は、ブレーカーと同じ幅、50%は、ブレーカーの1/2の幅であることを示す。
【0048】
得られた加硫ゴム組成物、試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0049】
(粘弾性試験)
各加硫ゴム組成物について、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、低燃費性の指標として温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各加硫ゴム組成物のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗性(低燃費性)に優れる。
また、ロードノイズ性能の指標として温度10℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各加硫ゴム組成物のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほどロードノイズ性能に優れる。
(転がり抵抗(tanδ70℃)指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(ロードノイズ性能(tanδ10℃)指数)=(各配合のtanδ)/(比較例1のtanδ)×100
【0050】
(破壊特性)
各加硫ゴム組成物について、JIS K6251に準じて3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、破断強度(TB)と破断時伸びEB(%)を測定した。(TB×EB)/2の値をゴム強度とし、測定結果を、比較例1を100とした指数で示した。数値が大きいほどゴム強度(破壊特性)に優れる。
【0051】
(低燃費性)
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が良好(低燃費性)である。
【0052】
(ロードノイズ性能)
試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(200kPa)にて国産FF乗用車(排気量2000cm)の全輪に装着し、スムース路面を速度50km/hにて走行させ、運転席左耳の位置にて1/3オクターブの250Hzバンドの騒音レベル(dB)を測定し、比較例1を基準とした騒音レベルの変化量として示した。従って、マイナス表示は比較例1からのロードノイズの低減値を示す。
【0053】
(高速耐久性能)
試験用タイヤを上記リムにリム組みし、内圧230kPaを充填するとともに、ドラム試験機を用いてECE30により規定された荷重/速度性能テストに準拠して、ステップスピード方式により実施した。テストは、逐次走行速度を上昇させるとともに、タイヤが破壊したときの速度と時間を測定した。評価は、比較例1を100とした指数で評価した。数値が高いほど、耐久性(高速耐久性能)に優れている。
【0054】
【表1】

【0055】
表1より、軟化点−20〜20℃の液状レジンを特定量含むゴム組成物を用いて作製したゴム層を、ブレーカーとカーカスとの間、及び/又はカーカスとインナーライナーとの間に有する空気入りタイヤは、優れた低燃費性、ロードノイズ性能、耐久性が得られた。
【符号の説明】
【0056】
1 第二ブレーカー
2 第一ブレーカー
3 カーカス
4 インナーライナー
10 空気入りタイヤ
A トレッド
B 第一ブレーカー/第二ブレーカー間の層
C 第一ブレーカー/カーカス間の層
D カーカス/インナーライナー間の層
E インナーライナーのタイヤ半径方向内側の層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分100質量部に対して、軟化点−20〜20℃の液状レジンを5〜15質量部含むゴム組成物を用いて作製したゴム層を、ブレーカーとカーカスとの間、及び/又はカーカスとインナーライナーとの間に有する空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記液状レジンが、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂及び液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の空気入りタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2013−107464(P2013−107464A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253025(P2011−253025)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】