説明

空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整方法及び装置

【課題】サブノズルの噴射角度位置の調整を、製織状態に応じて精細に行える方法及び装置を提供すること。
【解決手段】緯入れ経路に沿って配設された多数本のサブノズルと、サブノズルに圧縮空気を供給するために設けられた複数の電磁開閉弁であって各々に1本以上のサブノズルが接続される電磁開閉弁とを有し、前記複数の電磁開閉弁毎にサブノズルが空気噴射を行って緯糸を緯入れする空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整方法において、前記複数の電磁開閉弁の内の少なくとも1個について、その電磁開閉弁に接続される前記1本以上のサブノズルの内の少なくとも1本を1調整単位として少なくとも1個のアクチュエータで駆動し、前記1調整単位に含まれるサブノズルの噴射角度位置を同じ角度量調整することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気噴射式織機、特に、緯入れ経路に沿って配設された多数本のサブノズルと、サブノズルに圧縮空気を供給するために設けられた複数の電磁開閉弁であって各々に1本以上のサブノズルが接続される電磁開閉弁とを有し、前記電磁開閉弁毎にサブノズルが空気噴射を行って緯糸を緯入れする空気噴射式織機において、サブノズルの噴射角度位置を調整するための方法及び装置に関する。
【0002】
なお、本出願で言う「噴射角度位置」とは、サブノズルの軸線周りにおける空気噴射口の前記軸線に対する角度的な位置のことであり、より詳しくは、図7に示すように、サブノズル20を上方から見て、前記軸線と空気噴射口(空気噴射口の中心)22aとを結ぶ直線が緯入れ方向に対し為す角度である。
【背景技術】
【0003】
空気噴射式織機においては、緯糸を射出するメインノズルのほかに、緯入れ経路に沿って多数本のサブノズルが配設されている。また、これらのサブノズルに圧力空気を供給するために複数の電磁開閉弁が設けられており、各電磁開閉弁には、通常、複数本のサブノズルが接続されている。そして、緯糸の緯入れが行われる際には、メインノズルから圧力空気が噴射されることによって緯糸がメインノズルから射出されて反給糸側へ向けて飛走すると共に、上記電磁開閉弁が予め設定された期間に開閉することに伴ってサブノズルから圧力空気が噴射され、そのサブノズルから噴射される圧力空気によって緯糸の飛走が助勢される。
【0004】
かかる空気噴射式織機において、例えば、機替え等に伴い、緯糸の飛走状態を変更後の製織条件に応じたものとすべく、サブノズルの噴射角度位置を調整することがある。そして、従来においては、この噴射角度位置の調整作業は、作業者による手作業が一般的である。但し、この手作業による調整作業は、サブノズル1本毎に機械的な作業を行って為されるものであるため、その作業には非常に多くの手間と時間を要してしまう。
【0005】
そこで、このようなサブノズルの噴射角度位置の調整作業を容易化し、それに要する時間を短縮するための従来技術として、ラック・ピニオン機構を利用したものが、特許文献1に開示されている。より詳しくは、この特許文献1に開示された従来技術は、緯入れ経路に沿って延長する1本のラックを設けると共に、このラックに各サブノズルを機械的に連結し、ラックの給糸側に設けられたピニオンを含む回動機構を操作することによってラックを給糸側又は反給糸側に動かし、全てのサブノズルの噴射角度位置を同時に調整するものである。
【0006】
更に、特許文献1には、全てのサブノズルを給糸側と反給糸側の2群に分けると共に、緯入れ経路の給糸側と反給糸側に沿って別々に延長する2本のラックを設け、各ラックをそれぞれに対応して設けられた回動機構で操作することにより、各群に含まれる複数のサブノズルの噴射角度位置を同時に調整することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平3−15576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載の従来技術では、サブノズルの噴射角度位置の調整に際し、全てのサブノズル又は2群に分けた給糸側及び反給糸側のサブノズルを同時に且つ同じ調整量で調整することしかできない。そのため、各サブノズルの噴射角度位置の調整について、精細な調整ができない。
【0009】
また、手作業でしか調整できないため、製織中に製織状態に応じた各サブノズルの噴射角度位置の調整を行えない。なお、ここで言う「製織状態」とは、緯糸の種類、織物組織、織機の回転数等の製織条件や、飛走する緯糸の先端が緯入れ経路中の所定位置に到達する時期である到達タイミング等の緯糸の飛走状態のことである。
【0010】
本発明は、前記実情を考慮して創作されたものであり、その課題は、サブノズルの噴射角度位置の調整を、製織状態に応じて精細に行える方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、緯入れ経路に沿って配設された多数本のサブノズルと、サブノズルに圧縮空気を供給するために設けられた複数の電磁開閉弁であって各々に1本以上のサブノズルが接続される電磁開閉弁とを有し、前記電磁開閉弁毎にサブノズルが空気噴射を行って緯糸を緯入れする空気噴射式織機を前提とする。
【0012】
そして、前記空気噴射式織機における本発明によるサブノズルの噴射角度位置の調整方法は、前記複数の電磁開閉弁の内の少なくとも1個について、その電磁開閉弁に接続される前記1本以上のサブノズルの内の少なくとも1本を1調整単位として少なくとも1個のアクチュエータで駆動し、前記1調整単位に含まれるサブノズルの噴射角度位置を同じ角度量調整することを特徴とする。
【0013】
また、このような調整方法に対応する本発明によるサブノズルの噴射角度位置の調整装置は、前記複数の電磁開閉弁の内の少なくとも1個について、その電磁開閉弁に接続される前記1本以上のサブノズルの内の少なくとも1本を1調整単位として、前記1調整単位に含まれるサブノズルの噴射角度位置を調整する駆動装置を含み、前記駆動装置は、前記1調整単位に含まれるサブノズルを同じ角度量回転駆動するよう前記サブノズルに連結された少なくとも1個のアクチュエータと、前記1調整単位に含まれるサブノズルの噴射角度位置を同じ角度量で調整するように前記アクチュエータの駆動を制御する制御装置とを有することを特徴とする。
【0014】
なお、前記の本発明による調整方法及び調整装置によれば、前記1調整単位は、1個の前記電磁開閉弁に接続されるサブノズルであって少なくとも1本以上のサブノズルで構成されるものであり、前記1調整単位におけるサブノズルの最小本数は1本であっても良い。
一方で、前記調整方法として、前記1調整単位が、1個の前記電磁開閉弁に接続される複数本のサブノズルを含むものとしても良い。
同様に、前記調整装置として、前記駆動装置が、前記1調整単位として設定された1個の前記電磁開閉弁に接続される複数本のサブノズルに連結された駆動伝達機構を有するものとしても良い。
【0015】
また、前記調整方法及び調整装置として、データベースに予め設定された通りにサブノズルの噴射角度位置を調整する場合が考えられる。
そのため、調整方法として、前記空気噴射式織機での製織のために設定し得る複数の製織条件の各々に対応させた前記噴射角度位置を含むデータベースを予め設定しておき、設定された製織条件に対応する前記噴射角度位置を前記データベースから選択すると共に、その選択された前記噴射角度位置に基づいて前記アクチュエータを駆動するものとしても良い。
同様に、前記調整装置として、前記制御装置は、製織のために織機に設定し得る複数の製織条件の各々に対応させた前記噴射角度位置を含むデータベースを設定する設定器と、その設定器のデータベースから設定された製織条件に対応する前記噴射角度位置を選択すると共に、その選択された前記噴射角度位置に基づいてアクチュエータの駆動を制御する駆動制御器とを有するものとしても良い。
【0016】
更に、前記データベースを用いる調整方法及び調整装置としては、織機の停止状態において調整が行なわれる場合と、織機の製織中において自動的に調整が行なわれる場合の両方が考えられる。
このうち、前者は、製織準備段階における初期設定において、作業者によって設定された製織条件に応じて前記噴射角度位置が調整される場合や、製織途中において製織条件の設定値を変更する必要が生じた場合において、織機を停止させた状態で作業者により設定値の変更が行われた際、その変更に伴って前記噴射角度位置が調整される場合である。
【0017】
一方、後者は、前記空気噴射式織機が、製織中に自動的に製織条件を変更するように設定される織機である場合において、それに対応して前記噴射角度位置を調整するものであって、その調整方法としては、製織中の製織条件の切り換わりに伴い、切り換わり後の製織条件に対応する前記噴射角度位置を前記データベースから選択し、その選択された前記噴射角度位置に基づいてアクチュエータを駆動するものとしても良い。
同様に、その調整装置として、前記駆動制御器は、製織中の製織条件の切り換わりに伴い、切り換わり後の製織条件に対応する噴射角度位置を前記設定器のデータベースから選択するものとしても良い。
【0018】
特に、前記空気噴射式織機が多色緯入れ織機であって、前記製織条件が糸種の異なる2以上の緯糸を選択的に緯入れするために設定された緯糸の選択パターンである場合には、そのときの調整方法として、前記データベースに緯入れされる各緯糸の各々に対応させた前記噴射角度位置を設定しておき、製織中の緯糸の切り換わりに伴い、切り換わり後の緯糸に対応する前記噴射角度位置に基づいて前記アクチュエータを駆動するものとしても良い。
同様に、その調整装置として、前記設定器に対し、前記製織条件として緯入れされる各緯糸の各々に対応させた前記噴射角度位置を含むデータベースを設定しておき、前記駆動制御器が、製織中の緯糸の切り換わりに伴い、切り換わり後の緯糸に対応する前記噴射角度位置を前記設定器のデータベースから選択するものとしても良い。
【0019】
また、以上のような調整方法及び調整装置において、その調整が、設定された前記噴射角度位置まで適正に行われているか否かをセンサによって検出し、前記噴射角度位置が設定値となっていない場合において再調整が行われるようにしても良い。
【0020】
具体的には、そのような調整方法として、前記噴射角度位置の変更後の前記噴射角度位置を検出し、その検出値と製織条件に応じて選択された前記噴射角度位置とを比較し、両者間に偏差が生じている場合、その偏差を解消するように前記アクチュエータを駆動するものとしても良い。
同様に、そのような調整装置として、前記噴射角度位置を検出する角度位置検出センサを備えると共に、前記制御装置が、前記噴射角度位置を変更した後の前記角度位置検出センサの検出値と前記製織条件に応じて選択された前記噴射角度位置とを比較する判別器を備え、前記駆動制御器は、前記判別器による比較結果に基づき、選択された前記噴射角度位置と前記角度位置検出センサの検出値との間に偏差が生じている場合に、その偏差を解消するように前記アクチュエータを駆動するものとしても良い。
【0021】
また、本発明による調整方法及び調整装置は、前述のような製織条件の変更に応じて前記噴射角度位置を変更するものに限らず、センサによって検出される緯糸の飛走状態に応じて、前記噴射角度位置を調整する場合も含む。
【0022】
その場合の調整方法として、前記空気噴射式織機が緯入れされる緯糸の先端の通過を検出する通過検出センサを備え、前記通過検出センサの位置を緯糸の先端が通過する時点の織機主軸の回転角度に関する基準値を予め前記設定器に設定しておき、前記基準値と実際に緯糸が検出された際の前記回転角度とを比較し、両者間に偏差が生じている場合、その偏差を解消する方向へ前記アクチュエータを駆動するものとしても良い。
同様に、その場合の調整装置として、前記通過検出センサを備え、前記制御装置は前記設定器と、前記基準値と実際に緯糸が検出された際の前記回転角度とを比較する比較器と、その比較器による比較結果として両者間に偏差が生じている場合に、その偏差を解消する方向へ前記アクチュエータの駆動を制御する駆動制御器とを有するものとしても良い。
【0023】
なお、ここで言う「偏差を解消する方向へ前記アクチュエータを駆動する」とは、前記偏差を減少させる又は解消するために、前記通過検出センサの位置を緯糸の先端が通過する時点が基準値へ近づく緯糸の飛走状態とするようにサブノズルを回転させるべく前記アクチュエータを駆動することを言う。但し、その場合のアクチュエータの駆動量は、前記偏差に応じたものであって1回の駆動で前記偏差が解消されるものに限らず、偏差の方向に応じて予め設定された所定量だけ駆動するものとしても良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、前記噴射角度位置の調整に関して、電磁開閉弁に接続されたサブノズルの内の1本以上のサブノズルを1調整単位とし、その単位でアクチュエータによりサブノズルの噴射角度位置を調整可能としたので、製織状態に応じて精細な調整が可能となり、製織状態に応じた最適な緯入れを実現することができ、製織性や織布の品質を向上させることができる。
【0025】
また、前記噴射角度位置に関するデータベースを設け、製織条件に対応する前記噴射角度位置を前記データベースから選択すると共に、その選択された前記噴射角度位置に基づいてアクチュエータが駆動されるものとすることにより、織機を停止させた状態での製織条件の設定あるいは変更に伴うサブノズルの噴射角度位置の調整においては、作業者が製織のために必要な製織条件を設定するだけで、それに応じて設定された製織条件に対応する前記噴射角度位置が前記データベースから選択されて調整が行われるため、作業者による設定作業を容易化することができ、調整作業に要する手間と時間を軽減することができる。
【0026】
また、製織中に製織条件(例えば、糸種の異なる2以上の緯糸を選択的に緯入れするための緯入れパターン)が変更される空気噴射式織機においては、その製織条件の変更に伴い、変更後の製織条件に対応する前記噴射角度位置を前記データベースから選択され、その選択された前記噴射角度位置に基づいてアクチュエータが駆動されて前記噴射角度位置が自動的に調整されるため、織機を停止させることなく、前記噴射角度位置を製織中の各製織条件に応じた最適なものとすることができ、各製織条件による製織において最適な緯入れが可能となる。
【0027】
その上で、サブノズルの噴射角度位置を検出する角度位置検出センサを設け、製織条件の変更に伴って調整された前記噴射角度位置を前記角度位置検出センサで検出すると共に、その検出値と変更後の製織条件に応じて設定された噴射角度位置(設定値)とを比較し、両者間に偏差が生じている場合にそれを解消するようにアクチュエータを駆動するものとすることにより、前記噴射角度位置を確実に製織条件に応じた最適なものとすることができる。
【0028】
また、緯糸の先端の通過を検出する通過検出センサを設け、前記通過検出センサの検出値(実際に緯糸を検出した時点の織機主軸の回転角度)とそのセンサの位置を緯糸の先端が通過する時点の織機主軸の回転角度に関する基準値とを比較し、両者間に偏差が生じている場合に、その偏差を解消する方向へアクチュエータを駆動するものとすることにより、緯糸の飛走状態に応じて前記噴射角度位置が変更され、その結果、製織の進行や外乱等の影響で変化した緯糸の飛走状態を修正することができ、適正な緯入れを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】空気噴射式織機の緯入れ装置における要部とサブノズルの噴射角度位置の調整装置とを示す説明図である。
【図2】サブノズルの構造及びその支持構造を示す説明図である。
【図3】図1の実施例の変形例を示す説明図である。
【図4】サブノズルの噴射角度位置の調整装置における別の実施例を示す説明図である。
【図5】(イ)〜(ハ)図は、サブノズルを、駆動伝達機構を介して間接的に駆動する構造の例を示す説明図である。
【図6】2本のサブノズルを同時に回動する構造の例を示す説明図である。
【図7】噴射角度位置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明が適用される空気噴射式織機の一例として、多色の緯入れ装置を備えた織機の要部を示している。また、図1には、2種類の緯糸(給糸体Aに巻かれている緯糸a、給糸体Bに巻かれている緯糸b)を緯入れする2色の緯入れ装置11が示されており、この2色の緯入れ装置11が本発明の多色緯入れ装置に相当する。
【0031】
図1の緯入れ装置11において、緯糸aと緯糸bとは、各々の給糸体スタンド12により支持されている給糸体A又はBから引き出され、例えばドラム式の測長貯留装置13の糸巻付けアーム14の内部に導かれ、静止状態のドラム15の外周面で係止ピン16により係止されながら、糸巻付けアーム14の回転運動によりドラム15の外周面に巻き付けられる。これによって、1回の緯入れに必要な長さの緯糸aと緯糸bとは、ドラム15の外周面に巻き付けられ、緯糸の緯入れ時まで貯留されている。
【0032】
測長貯留装置13(糸巻付けアーム14の回転運動及び係止ピン16の進退運動)や、緯入れ用のメインノズル21は、緯入れ制御装置43の緯入れ制御部44によって、緯入れパターンに定められた緯糸の選択パターンに基づいて動作する。
【0033】
緯入れ開始タイミングで、緯入れ制御部44によって選択された緯糸(図示の例では緯糸b)に対応する係止ピン16が操作器17に駆動されて、ドラム15の外周面から後退すると、ドラム15の外周に巻き付けられている1回の緯入れに必要な長さの緯糸bは、ドラム15上において解舒可能な状態となる。そして、ドラム15から緯入れ用のメインノズル21に通された緯糸bは、メインノズル21が噴射動作を行うことにより、ドラム15上から解舒されて緯入れされる。
【0034】
選択された緯糸bに対応するメインノズル21は、設定された緯入れ開始タイミングで経糸の開口へ向けて圧力空気の噴射を開始し、設定された噴射期間に亘って噴射を継続することによって、所定の長さの緯糸bを射出して開口内に緯入れする。この緯入れ動作によって、緯糸bは、開口内の緯入れ経路に沿って飛走する。なお、圧力空気は、圧力空気源32から供給され、圧力調整器33により緯入れに適切な空気圧に調整されてから、電磁開閉弁34を経てメインノズル21に供給されている。電磁開閉弁34は、緯入れ制御部44の制御によって、緯入れパターンに定められた緯糸の選択パターンに基づいて動作する。
【0035】
前記のように図1の緯入れ装置11は2色の緯入れに対応するものであるが、3色以上の緯入れの場合、給糸体、測長貯留装置13及びメインノズル21等(後述のサブノズル22、ストレッチノズル23、緯糸フィーラ31を除く。)は、多色数(緯糸の本数)に応じて設置され、緯入れパターンに定められた緯糸の選択パターンによって緯入れ動作が行われる。また、1色の緯入れであれば、給糸体、測長貯留装置13及びメインノズル21等は、1個だけ設置される。
【0036】
メインノズル21から射出された緯糸bが開口内の緯入れ経路に沿って飛走する過程で、多数本のサブノズル22は、圧力空気を緯入れ経路であって緯糸bの飛走方向に向けてリレー的に噴射し、飛走中の緯糸bを緯入れ方向に助勢する。より詳しく言えば、前記多数本のサブノズル22は、緯入れ経路に沿って間隔をあけて配置されており、しかも、給糸側から反給糸側に向かって複数本(図示の例では4本)ずつ共通の電磁開閉弁36に接続されている。このように共通の電磁開閉弁36に接続された複数本のサブノズル22によって、1つのサブノズルグループが形成される。図では、サブノズルグループが、最も給糸側のものから並び順にG1、G2、G3、…と表示されている。
【0037】
また、圧力空気は、圧力空気源32から供給され、圧力調整器35によって適切な空気圧に調整されてから各電磁開閉弁36を経て各サブノズルグループのサブノズル22に供給されている。各電磁開閉弁36は、緯入れのときに緯入れ制御部44の制御下にあって、設定された噴射期間、対応するサブノズルグループのサブノズル22へ圧力空気を供給し、サブノズル22から圧力空気を噴射させて飛走中の緯糸bを緯入れ方向に助勢する。
【0038】
助勢された緯糸bの先端が最も反給糸側に位置するサブノズル22よりも反給糸側に至ると、ストレッチノズル23からの圧力空気の噴射によって、緯糸bには張力が付与される。このため、緯入れ経路に沿って配置されたサブノズル(最も反給糸側のサブノズル)22よりも反給糸側にはストレッチノズル23が間隔をあけて配置されており、しかも、サブノズル22と同様に、ストレッチノズル23には電磁開閉弁37が接続されている。
【0039】
メインノズル21、各サブノズルグループのサブノズル22及びストレッチノズル23の噴射動作により、緯糸bが正常に緯入れされたときに、その緯糸bは、図示しない筬の筬打ち運動によって織布の織り前に筬打ちされ、織布に織り込まれた後、緯入れ側で図示しない給糸カッタによって切断され、メインノズル21の内部の緯糸bから切り離される。また、緯入れが正常に行われたか否かは、緯糸bの到達を検出する緯糸フィーラ31からの信号に基づいて、織機の図示しない主制御装置によって判別される。図示の例では緯糸フィーラ31は、反給糸側の図示しない経糸列の外側(緯入れ経路に沿ってストレッチノズル23よりも反給糸側)に配置されている。
【0040】
主軸41の回転角度の検出のために、主軸41にエンコーダ42が連結されており、エンコーダ42は、製織中における主軸41の回転角度の信号を発生し、これを図示しない織機の主制御装置、並びに緯入れ制御装置43の緯入れ制御部44及び緯糸選択信号発生部45等に対し出力している。
【0041】
緯入れ制御装置43の緯糸選択信号発生部45は、エンコーダ42からの回転角度に基づいて織機の製織サイクルを把握し、緯入れパターンに予め設定されている緯糸の選択パターンに従って緯糸(緯糸a又は緯糸b)を製織サイクル毎に選択し、その選択した緯糸に対応する緯糸選択信号S1を緯入れ制御部44に対し製織サイクル毎に出力する。緯入れ制御部44は、選択された緯糸に対応する測長貯留装置13、メインノズル21、サブノズル22等の動作を設定された制御値に従って適切な回転角度のもとに制御して、選択された緯糸の緯入れ動作を実行させる。
【0042】
前記した緯入れ制御装置43は、機能別のブロックの組み合わせとして構成されている。かかる緯入れ制御装置43は、各ブロックからなる装置を組み合わせて実現しても良いし、コンピュータに所定のソフトウェアをインストールし、そのソフトウェアを実行させることによって、コンピュータの入出力手段、記憶手段、演算制御手段及びソフトウェアが協働した各ブロックを構成し、それらブロックの組み合わせにより実現することも可能である。
【0043】
また、緯入れ制御装置43に対して製織条件のデータ等を設定するために、入力・設定表示装置46が緯入れ制御装置43に対し通信可能に接続されている。
【0044】
入力・設定表示装置46は、表示装置であり、その表示画面の一部でタッチパネル式の入力装置を兼用し、表示画面のボタンに対するタッチ操作によって、各種データの入力設定や表示の要求、あるいは各種の指令等を可能に構成されている。
【0045】
空気噴射式織機の緯入れ装置11には、前記した基本的な構成の他に、サブノズル22の噴射角度位置の調整装置が設けられている。図示の例では、前述したように各サブノズルグループG1、G2、…が対応する電磁開閉弁36に接続された4本のサブノズル22で構成されている。なお、本実施例では、全てのサブノズルグループを調整対象となるサブノズル22が属するグループ、すなわち調整対象となるグループとし、且つ各サブノズルグループに含まれる全て(4本)のサブノズル22を調整対象とし、この各サブノズルグループにおける4本のサブノズル22を1調整単位に設定している。そして、前記調整装置は、1調整単位に含まれる全てのサブノズル22の噴射角度位置を同じ角度量だけ調整する駆動装置として構成されている。
【0046】
本実施例では、この駆動装置は、1本のサブノズル22毎に設けられる専用のアクチュエータ51と、制御装置としてのサブノズル制御装置61aとから構成されるものとする。また、アクチュエータ51としては、ギヤ等の駆動伝達機構を用いずに直接的に駆動対象を駆動する直接駆動型モータ(以下、「DDモータ」と言う。)が用いられるものとする。そして、サブノズル制御装置61aは、詳細は後述するが、1調整単位毎に、1調整単位に含まれる全てのサブノズル22の噴射角度位置を同じ角度量で調整するようにDDモータ51の駆動を制御するものである。
【0047】
更に、本実施例では、サブノズル22の噴射角度位置の調整は、前記駆動装置により、製織条件としての緯糸の選択パターンに従い、製織中の緯糸種の切り換わりに伴って変更されるものとする。
【0048】
図2は、サブノズル22及びその支持構造を示している。
【0049】
サブノズル22は、一直線に延長する中空の棒体であって、その基端が開口すると共に圧力空気の供給口となっており、その先端が袋状に塞がれると共に先端部の側面に空気噴射口22aが形成されている。この空気噴射口22aは、サブノズル22の軸線方向にほぼ直交する方向に向かって貫通している。空気噴射口22aが設けられる先端部よりも基端側において、各サブノズル22は、半径方向外側に向けて段差状に太く形成されており、この太い段差状部分22bにおいて、サブノズル22毎に設けられた専用のノズルホルダ24により回動可能に支持されている。このような専用のノズルホルダ24が緯入れ経路に沿って間隔をあけてリードホルダ25に固定されることにより、各サブノズル22が緯入れ経路に沿って配置される。なお、リードホルダ25には、図示しない筬が支持されている。
【0050】
ノズルホルダ24は、サブノズル22を回動可能に支持するベアリング26と、サブノズル22を回動させる駆動源としてのDDモータ51とを内蔵している。また、ベアリング26は、ノズルホルダ24の内部においてサブノズル22と同心的に配置され、内輪がサブノズル22に対し回転不能に組み付けられると共に、外輪がノズルホルダ24に対し回転不能に組み付けられている。
【0051】
DDモータ51は、ノズルホルダ24の内部でサブノズル22と同心的に配置され、外周面でノズルホルダ24に対し回転不能に組み付けられたステータ51aと、ステータ51aの内周面に対向するように設けられてサブノズル22の外周面に固定されたロータ51bとで構成される。従って、ロータ51bが回動駆動されることにより、ロータ51bと一緒にサブノズル22が回動し、それによって空気噴射口22aがサブノズル22の軸線周りに回動してサブノズル22の噴射角度位置が変更される。そして、各DDモータ51は、サブノズル制御装置61aに接続されており、ステータ51aに対しサブノズル制御装置61aから励磁電流を供給されて回動駆動される。
【0052】
サブノズル制御装置61aは、駆動制御器62と設定器63とで構成される。設定器63は、入力・設定表示装置46と通信可能に接続されている。そして、設定器63には、この入力・設定表示装置46における入力操作によって入力設定された各サブノズルグループの噴射角度位置に関するデータベースが入力・設定表示装置46から転送され、その転送されたデータベースが設定される。このデータベースには、緯糸種(緯糸a、緯糸bの各々)に対応させたかたちで各サブノズルグループの噴射角度位置(詳しく言えば、1調整単位である各サブノズルグループに含まれるサブノズル22の噴射角度位置)が設定されている。
すなわち、このデータベースには、例えば、緯糸a、bのそれぞれに対応させて、緯入れされる緯糸種が緯糸aの場合には、各サブノズルグループの噴射角度位置θを、サブノズルグループG1:θ=x1°、サブノズルグループG2:θ=x2°、サブノズルグループG3:θ=x3°、…とし、緯入れされる緯糸種が緯糸bの場合には、サブノズルグループG1:θ=y1°、サブノズルグループG2:θ=y2°、サブノズルグループG3:θ=y3°、…といったかたちで設定されている。
【0053】
駆動制御器62は、設定器63と通信可能に接続されると共に、緯入れ制御装置43おける緯糸選択信号発生部45と通信可能に接続されている。また、駆動制御器62には、DDモータ51が接続されている。そして、製織中において緯入れされる緯糸を切り換えるために緯糸選択信号発生部45から製織サイクル毎に出力される緯糸選択信号S1が、駆動制御器62にも入力される。それにより、駆動制御器62は、緯糸選択信号発生部45からの緯糸選択信号S1に対応する噴射角度位置の設定値を、設定器63に設定されているデータベースから読み込む。そして、駆動制御器62は、設定器63から読み込んだ設定値に従い、DDモータ51に対し励磁電流を供給してDDモータ51を駆動する。
【0054】
前記したサブノズル22の噴射角度位置の調整装置は、以下の手順からなる方法でサブノズル22の噴射角度位置を調整する。
(1)製織準備段階において、入力・設定表示装置46により、設定器63に対し前記した内容のデータベースを設定する。
(2)製織中、緯糸選択信号発生部45は、エンコーダ42からの主軸41の回転角度(以下、「クランク角度」と言う。)の信号に基づき、設定された緯糸の選択パターンに従って、緯糸選択信号S1を緯入れ制御部44に対し製織サイクル毎に出力する。緯入れ制御部44は、緯糸選択信号S1に基づいて、設定された複数の緯入れ条件の内の選択された緯糸に対応する緯入れ条件を選択し、その選択した緯入れ条件に従って、電磁開閉弁34、36、37等を駆動し、選択された緯糸の緯入れを実行する。なお、本実施例では、緯糸選択信号S1は、緯入れ終了後から次の製織サイクルの開始(クランク角度0°)前に(例えば、クランク角度340°)、緯糸選択信号発生部45から出力されるものとする。
(3)緯糸選択信号発生部45からの緯糸選択信号S1は、サブノズル制御装置61aの駆動制御器62に対しても製織サイクル毎に出力される。駆動制御器62は、その緯糸選択信号S1の入力に伴い、選択される緯糸種に対応する各サブノズルグループの噴射角度位置の設定値を設定器63から読み出す。
(4)次いで駆動制御器62は、その読み出した設定値に基づいて、各サブノズルグループの噴射角度位置(より詳しく言えば、各サブノズルグループに含まれるサブノズル22の噴射角度位置)が前記設定値になるように、対応するDDモータ51を一斉に駆動する。具体的には、駆動制御器62は、現在の噴射角度位置の設定値と、読み出した噴射角度位置の設定値との角度差を求め、その角度差分の回転角度だけDDモータ51のロータ51bを回転させるように、DDモータ51のステータ51aに対し励磁電流を供給して、DDモータ51のロータ51b、延いては、サブノズル22を回転させ、サブノズル22の噴射角度位置を読み出した噴射角度位置の設定値になるよう変更する。
(5)DDモータ51のロータ51bの回転駆動によるサブノズル22の噴射角度位置の変更後、駆動制御器62は、その変更後の噴射角度位置を保持するように、励磁電流を保持電流のレベルとしてDDモータ51の駆動を制御する。
【0055】
なお、前記(4)による駆動制御器62によるサブノズル22の噴射角度位置の変更(DDモータ51を駆動)は、例えば、緯糸選択信号S1が発生した次の製織サイクルにおける緯入れが開始される時点の前までに完了される。但し、緯糸選択信号S1は製織サイクル毎に出力されるものであるため、同じ種類の緯糸を連続して緯入れするような緯糸の選択パターンの場合には、読み出される噴射角度位置の設定値が前回の緯入れと同じ場合がある。その場合、駆動制御器62は、前記角度差を零と判断し、ロータ51bの回転角度(サブノズル22の噴射角度位置)を現在位置に保持するようにDDモータ51の駆動を制御する。
【0056】
以上において一例を説明した本発明によるサブノズル22の噴射角度位置の調整装置において、前記実施例では、緯入れされる緯糸種に対応して噴射角度位置が変更されるものとしたが、これに限らず、その他の製織条件(織物組織、織機の回転数等)に対応して噴射角度位置が変更されるものとしても良い。
【0057】
また、前記実施例の変形例として、製織中において複数の製織条件の切り換えが同時に行われる空気噴射式織機(例えば、パイル織機)において、その複数の製織条件が切り換えられる製織パターン毎に噴射角度位置が変更されるものでも良い。この場合、データベースに設定される製織パターン毎の噴射角度位置は、前記の複数の製織条件を考慮して設定されるものとする。
【0058】
また、前記実施例では、緯糸選択信号S1の入力に伴って駆動制御器62が噴射角度位置を調整するための制御を開始し、噴射角度位置の変更が次の製織サイクルにおける緯入れが開始されるまで完了するものとしたが、これに代えて、予め設定されたクランク角度で噴射角度位置が変更されるものとしても良い。この場合、そのクランク角度(設定値)が設定器63に設定されると共に、エンコーダ42からのクランク角度信号が駆動制御器62に対しても出力されるものとし(図1の点線矢印参照)、クランク角度が設定器に設定された設定値に達した時点で、駆動制御器62が噴射角度位置を調整するための制御を開始し、サブノズル22の噴射角度位置を調整するものとする。
【0059】
そして、そのように設定されたクランク角度に従って駆動制御器62が制御する場合には、前記実施例のように調整対象となっている全てのサブノズル22の噴射角度位置を一斉に変更することに代えて、各サブノズル22の噴射タイミングに応じて噴射角度位置が変更されるものとしても良い。すなわち、前記実施例のようにサブノズルグループ単位で複数のサブノズルグループのサブノズル22が調整対象となっている場合において、各サブノズルグループの噴射開始時期は異なるため、それぞれの噴射開始時期に応じて調整時期を異ならせるものとしても良い。
【0060】
更に、噴射角度位置の設定値に従って製織中に調整が行われる場合において、調整対象であるサブノズル22の噴射角度位置を調整後に検出し、調整後の噴射角度位置が、設定された噴射角度位置に対し位置ズレを生じている場合に、その位置ズレを補正するようにしても良い。因みに、「位置ズレを生じている場合」とは、外乱等の影響による制御の不調や、経糸等の他の部材に引っ掛かること、あるいは装置の不具合が原因で、噴射角度位置が設定値にまで調整されず、調整後の噴射角度位置と設定値との間にズレが生じる場合をいう。
【0061】
図3には、このような位置ズレを補正することのできるサブノズル22の噴射角度位置の調整装置におけるサブノズル制御装置61bが、図1の実施例のサブノズル制御装置61aの変形例として示されている。また、この調整装置では、各アクチュエータ51又は各サブノズル22に設けられた図示しないセンサであってサブノズル22の噴射角度位置を検出するセンサ(角度位置検出センサ)が備えられているものとする。そして、このサブノズル制御装置61bは、図1の実施例におけるサブノズル制御装置61aの駆動制御器62、設定器63に加え、上記角度位置検出センサに接続された判別器64を有するものとしてある。
【0062】
このサブノズル制御装置61bにおける判別器64は、駆動制御器62に対しても通信可能に接続されている。そして、このようなサブノズル制御装置61bにおいては、サブノズル22の噴射角度位置の調整後、その噴射角度位置が角度位置検出センサによって検出され、その検出された噴射角度位置の検出値が判別器64に対して出力される。そして、判別器64は、前記検出値と駆動制御器62から読み出した設定値とを比較し、その比較結果として両者間に偏差が生じている場合、判別結果を駆動制御器62に対し出力する。
【0063】
より詳しくは、以下の手順による方法で、調整装置がサブノズル22の噴射角度位置の位置ズレを補正する。
(1)駆動制御器62は、噴射角度位置の調整のためにDDモータ51を回転駆動した後、設定器63から読み出した調整対象となる各サブノズルグループの設定値(より詳しくは、各サブノズルグループに含まれるサブノズル22の噴射角度位置の設定値)を判別器64に対し出力する。
(2)角度位置検出センサは、サブノズル22の噴射角度位置を検出し、DDモータ51の回転駆動が完了した後の所定のタイミング(例えば、予め設定されたクランク角度)で、その検出値を示す検出信号を判別器64に対し出力する。
(3)判別器64は、サブノズルグループ毎に前記設定値と前記検出値とを比較し、偏差(ズレ)が生じている場合には、その偏差量(回転角度のズレ量)を示す偏差信号を判別結果として駆動制御器62へ出力する。ズレが生じていない場合は、偏差量が無いもの(=0)として、その偏差量=0を示す偏差信号を駆動制御器62に対し出力するか、又は偏差信号を駆動制御器62に対し出力しない。
(4)駆動制御器62は、ズレが生じている場合には、その偏差信号に基づいて、偏差量を解消するように、詳しくは、偏差量=0となる角度差分の回転角度だけDDモータ51のロータ51bを回転させるように、DDモータ51のステータ51aに対し励磁電流を供給して、DDモータ51を駆動する。
また、駆動制御器62は、ズレが生じていない場合には、その偏差量=0を示す偏差信号に基づいて、又は偏差信号がないことに基づき、DDモータ51のロータ51bを現在の角度位置に保持するようにDDモータ51の駆動を制御する。
【0064】
なお、この図3の変形例において、上記では、各サブノズル22の噴射角度位置を検出するように、各アクチュエータ51又は各サブノズル22に対し角度位置検出センサを設け、それぞれの検出結果に基づいて対応するサブノズル22の噴射角度位置の位置ズレ補正に関する制御を行うものとしたが、これに代えて、1調整単位に含まれる複数本のサブノズル22のうちの1本を代表として、そのサブノズル22の噴射角度位置のみを検出するように角度位置検出センサを設け、その検出結果に基づいて1調整単位に含まれる全サブノズル22の上記位置ズレ補正に関する制御を行うとしても良い。
【0065】
また、図3の変形例では、噴射角度位置を1回調整する毎に、位置ズレが生じているかを判別しているが、これに限らず、噴射角度位置を複数回調整する毎に、位置ズレが生じているかを判別するものであっても良い。
【0066】
なお、以上で説明した実施例では、製織条件の切り換わりに伴い、その製織条件毎に噴射角度位置を変更するものとしたが、これに代えて、緯糸の飛走状態を検出し、その検出結果に基づいて噴射角度位置を変更するものとしても良い。
【0067】
すなわち、図1の実施例では、製織条件の切り換わりに伴って緯糸の飛走状態が変化することを想定し、その製織条件の切り換わりに伴って噴射角度位置を変更するものとした。しかし、緯糸の飛走状態の変化は、同じ給糸体(給糸体A、又は給糸体B)から解舒されて緯入れされる緯糸においても、製織の進行に伴う緯糸の解舒抵抗の変化等に起因して生じる場合がある。従って、緯糸の飛走状態を検出し、その検出結果に基づいて噴射角度位置を調整するものとしても良い。なお、緯糸の飛走状態の検出について、緯糸の飛走状態が変化すると緯糸の先端が緯入れ経路中の所定位置を通過する際のタイミング(クランク角度)が変化するため、緯入れ経路上(例えば、中間の所定位置、或いは反給糸側の所定位置)に緯糸の先端の通過(到達)を検出するセンサを設け、その検出によって飛走状態を検出するものとすればよい。
【0068】
以下では、上記のような緯糸の飛走状態の検出結果に基づいてサブノズル22の噴射角度位置を調整する調整装置の実施例について、図4に基づいて説明する。但し、この実施例による調整装置は、基本的にはサブノズル制御装置を除いて図1の実施例と同じであるため、図4には、本実施例によるサブノズル制御装置61cのみを示し、以下では、そのサブノズル制御装置61cを中心に説明する。
【0069】
図4に示すように、サブノズル制御装置61cは、図1の実施例におけるサブノズル制御装置61aの駆動制御器62、設定器63に加え、比較器65を有している。また、このサブノズル制御装置61cにおける比較器65は、駆動制御器62、設定器63、及び図示しない主制御装置に対し、通信可能に接続されているものとする。
【0070】
また、この実施例では、前記緯糸の先端の通過(到達)を検出するセンサ(通過検出センサ)として、空気噴射式織機の反給糸側の経糸列の外側に設けられた緯糸フィーラ(図1参照)31が用いられるものとする。そして、この緯糸フィーラ31(通過検出センサ)は、前記主制御装置に対し接続されており、緯入れされた緯糸の先端がその検知域に達したことを検出し、それに伴って緯糸検出信号を前記主制御装置に対し出力する。そして、この緯糸検出信号に基づいて、前記主制御装置は、緯糸の到達タイミング(実際の緯糸の到達タイミング(検出値))を求め、その求められた検出値を比較器65に対し出力する。
【0071】
一方、サブノズル制御装置61cの設定器63には、目標の到達タイミングである基準値が設定されると共に、この基準値と実際の緯糸の到達タイミング(検出値)との偏差量に対応させたサブノズル22の角度調整量が設定される。
また、サブノズル制御装置61cの比較器65は、前記検出値の入力に応じて前記基準値を設定器63から読み出し、前記検出値と前記基準値とを比較する。そして、比較器63は、その比較結果として両者間に偏差が生じている場合、その偏差量を示す偏差信号を駆動制御器62に対し出力する。
【0072】
より詳しくは、以下の手順による方法で、調整装置がサブノズル22の噴射角度位置の変更をする。
(1)通過検出センサ(緯糸フィーラ31)は、緯入れされた緯糸の先端の通過を検出すると、これを示す検出信号を図示しない主制御装置に対し出力する。
(2)主制御装置は、その検出信号に基づいて、実際の緯糸の到達タイミング(検出値)を求め、求められた検出値を比較器65に対し出力する。
(3)比較器65は、検出値の入力に応じて設定器63から目標の到達タイミング(基準値)を読み出し、その読み出した基準値と前記検出値とを比較する。
(4)比較器65は、その比較の結果として、前記基準値と前記検出値とに偏差が生じている場合は、その偏差量を示す偏差信号を駆動制御器62に対し出力する。偏差が生じていない場合は、偏差量が無い(=0)として、その偏差量=0を示す偏差信号を駆動制御器62に対し出力するか、又は偏差信号を駆動制御器62に対し出力しない。
(5)駆動制御器62は、偏差が生じている場合には、その偏差信号に基づき、前記偏差を解消する方向へDDモータ51のロータ51bを回転駆動し、噴射角度位置を変更する。詳しくは、駆動制御器62は、前記偏差量に応じた角度調整量を設定器63から読み出し、その読み出した角度調整量分の回転角度だけDDモータ51のロータ51bを回転させるように、DDモータ51のステータ51aに対し励磁電流を供給し、DDモータ51を駆動する。
また、駆動制御器62は、偏差が生じていない場合には、その偏差量=0を示す偏差信号に基づいて、又は偏差信号がないことに基づき、DDモータ51のロータ51bを現在の角度位置に保持するようにDDモータ51の駆動を制御する。
以上の(1)〜(5)の処理は、緯入れ毎に行われても良いし、何回かに1回という具合に定期的に行われても良いし、特別に設定された時期に行われても良い。
【0073】
以上で説明した本実施例の調整方法において、設定器63には、偏差量をパラメータとし、その偏差量に応じた角度調整量が設定されるものとしたが、偏差量と調整前のサブノズル22の噴射角度位置とをパラメータとし、それらに応じた角度調整量が設定されても良い。例えば、前記偏差量がγであり、調整前のサブノズル22の噴射角度位置がθ1の場合、角度調整量をαとし、また、前記偏差量が同様にγであっても、調整前のサブノズル22の噴射角度位置がθ2の場合、角度調整量をβとする。このようにすれば、噴射角度調整量の設定がより緻密なものとなる。
【0074】
また、偏差量に対応させた角度調整量を予め設定しておき、求められた偏差量に応じてDDモータ51を駆動するものとしたが、これに代えて、偏差の方向のみに基づいて所定の角度調整量だけ調整するものとしても良い。なお、ここで言う偏差の方向とは、基準値に対する検出値の大小関係であって、+、−のいずれかとなる。そして、この場合、設定器63には、前記の偏差量に応じた角度調整量に代えて、所定の角度調整量のみが設定される。但し、設定器63に設定される角度調整量は、偏差の方向(+、−)に応じて異なる値としても良い。
【0075】
具体的には、前記(5)の制御において、駆動制御器62は、偏差が生じている場合には、その偏差信号の入力に応じて角度調整量を設定器63から読み出し、偏差信号で示されている偏差の方向に対応する方向へ、読み出した角度調整量分の回転角度だけDDモータ51のロータ51bを回転させるように、DDモータ51のステータ51aに対し励磁電流を供給し、DDモータ51を駆動する。そして、前記した(1)〜(4)と、偏差の方向のみを考慮する今回の対応を含む(5)の処理を偏差が解消されるまで繰り返す。
【0076】
ところで、前記では、緯糸の飛走状態の検出を、緯入れ経路の反給糸側に設けられた緯糸フィーラ31の配置位置へ緯糸の先端が到達するタイミングで検出するものとしたが、これに限らず、織幅方向における緯入れ経路の中間の所定位置(以下、「中間の所定位置」と言う。へ緯糸の先端が到達するタイミングを検出することにより行ってもよい。この場合の検出には、反給糸側の緯糸フィーラ31に代えて、測長貯留装置13に付設される解舒センサや、中間の所定位置に設けられる専用センサが用いられる。
【0077】
例えば、解舒センサを用いる場合について、この解舒センサは、図1の実施例で説明した測長貯留装置13に付設されるものであり、測長貯留装置13のドラム15に巻き付けられている緯糸の1巻毎の解舒を検出するものである。より詳しくは、図1で示した測長貯留装置13のドラム15の外周面には、1回の緯入れに必要な長さの緯糸が巻きつけられて、係止ピン16により緯糸が係止されている。そして、緯入れ開始時において、係止ピン16がドラム15の外周面から後退して緯糸の係止を解除すると共にメインノズル21が噴射動作を行うことにより、ドラム15上から緯糸が解舒されて緯入れが行われる。このときに、解舒センサは、解舒された緯糸が解舒センサのセンサ領域を横切った回数を検出し、その信号を緯入れ制御装置43(緯入れ制御部44)等へ出力する。それにより、緯入れ制御装置43は、ドラム15上から所定長さの緯糸が解舒されたことを把握し、それに基づいて再び係止ピン16により緯糸を係止することによって、所定長さ分の緯糸を緯入れする。
【0078】
解舒センサを用いる場合において、例えば、1回の緯入れに必要な長さの緯糸がドラム15に対して4巻であるとすると、実際の緯入れ中に2巻分の緯糸が解舒(検出)されるタイミングは、緯糸の先端部が中間の所定位置に到達することに相当する。そこで、解舒センサからの信号に基づき、例えば主制御装置がそのタイミング(検出値)をクランク角度に基づいて求め、その求められた検出値を比較器65に対し出力するものとすれば良い。また、この場合、設定器63には、前記2巻分の緯糸が解舒されるタイミングの基準値がクランク角度で設定される。そして、比較器65が、前記基準値と、前記検出値とを比較するものとすれば良い。
【0079】
また、専用センサを用いる場合には、中間の所定位置の付近に緯糸の先端部を検出できるようにセンサを設けると共に、設定器63には、そのセンサの位置を緯糸の先端が通過するタイミングの基準値がクランク角度で設定されるものとする。そして、そのセンサからの信号に基づき、前記と同様に、例えば主制御装置が中間の所定位置における緯糸の到達タイミング(検出値)をクランク角度に基づいて求め、比較器65がその検出値と前記基準値とを比較するものとすれば良い。
【0080】
本発明は以上で説明した実施例に限定されるものではなく、以下のような変形が可能である。
【0081】
本発明が前提とする空気噴射式織機について、前記実施例では、1個の電磁開閉弁36に複数本(前記実施例では4本)のサブノズル22が接続され、1つのサブノズルグループが複数本のサブノズル22で構成されるものとしたが、これに限らず、1個の電磁開閉弁36に1本のサブノズル22のみが接続されたものであっても良い。この場合、実際にはグループを構成していないが、1本のサブノズル22が1つのサブノズルグループに相当するとも言える。また、この場合、1調整単位に含まれるサブノズル22の最大本数は1本となる。すなわち、1本単位でサブノズル22の噴射角度位置の調整が行われることとなる。なお、1つのサブノズルグループが複数本のサブノズルグループで構成される場合において、その本数は、前記実施例の4本に限らず、3本以下、又は5本以上であっても良い。
【0082】
また、前記実施例では、共通の電磁開閉弁36に接続されるサブノズルで構成されるサブノズルグループについて、全てのサブノズルグループを前述の調整対象となるグループ、すなわち、調整対象となるサブノズル22が属するグループとし、各サブノズルグループに含まれる全てのサブノズル22の噴射角度位置を調整する、すなわち、織機上の全てのサブノズル22を調整対象とするものであったが、これに限らず、本発明による調整装置においては、少なくとも1つの電磁開閉弁36に接続される1以上のサブノズルを調整対象とするものであれば良い。
【0083】
例えば、サブノズルグループ単位で1調整単位を設定する場合において、最も反給糸側に位置するサブノズルグループは、緯入れされた緯糸の伸張度合いに対する影響力が大きいため、その最も反給糸側に位置するサブノズルグループのみ、又はその最も反給糸側のサブノズルグループを含む複数のサブノズルグループであって全サブノズルグループよりも少ない数のサブノズルグループ(例えば、反給糸側の3つのサブノズルグループ)を調整対象となるグループとし、この調整単位となる各グループに含まれるサブノズル22をサブノズルグループ単位で1調整単位としても良い。また、最も給糸側に位置するサブノズルグループのみや、最も給糸側に位置するサブノズルグループを含む複数のサブノズルグループであって全てのサブノズルグループよりも少ない数のサブノズルグループに含まれるサブノズル22のみを調整対象としても良く、さらに、織幅方向における中間に位置する1以上のサブノズルグループに含まれるサブノズル22のみを調整対象としても良い。
【0084】
また、前記実施例では、サブノズルグループが複数本のサブノズル22で構成される空気噴射式織機において、1調整単位が1つのサブノズルグループに含まれる全てのサブノズル22で構成されるものであったが、これに限らず、1つのサブノズルグループを構成する複数本のサブノズル22の全数よりも少ない本数のサブノズル22を1調整単位とするものであっても良い。
例えば、1つのサブノズルグループを構成するサブノズル22が4本の場合において、3本以下の複数本のサブノズル22を1調整単位としても良く、また、サブノズルグループが複数本のサブノズル22で構成されるものであっても1本のサブノズル22のみを1調整単位とするものであっても良い。
【0085】
更に、前記実施例では、複数のサブノズルグループを調整対象となるグループとする場合において、調整対象となる各サブノズルグループにおける1調整単位を構成するサブノズル22の本数を全て同じ(4本)とするものであったが、これに限らず、一部のサブノズルグループについて他のサブノズルグループと1調整単位を構成するサブノズル22の本数を異ならせるものとしても良い。
【0086】
また、前記実施例では、1つのサブノズルグループ内に1調整単位が1つだけ存在するものであったが、これに限らず、複数本のサブノズル22で構成されるサブノズルグループ内に、1調整単位が2つ以上存在するものであっても良い。
例えば、4本のサブノズル22で構成されたサブノズルグループ内において、給糸側の2本と反給糸側の2本とをそれぞれ1調整単位とする態様で、1調整単位が2つ存在していても良い。
【0087】
また、前記実施例では、サブノズル22の噴射角度位置を変更する駆動装置の構成として、サブノズル22毎に設けられ、サブノズル22を直接的に駆動するDDモータ51が用いられている。しかし、本発明による調整装置における駆動装置は、これに限らず、駆動伝達機構と、駆動伝達機構を介してサブノズル22に連結される他のアクチュエータ(駆動モータやロータリソレノイド等)74とを用い、サブノズル22を間接的に駆動するものとしても良い。この場合の駆動伝達機構としては、回転ギヤ、ウォームギヤ・ウォームホイール、ラック・ピニオン、ベルト、チェーン等があり、図5(イ)〜(ハ)にはその具体的な例が示されている。
【0088】
図5(イ)には、ラック・ピニオンを用いた駆動伝達機構71aと、アクチュエータとしてのACモータ74とが示されている。これは、サブノズル22の基端側にピニオン72を同心的に固定し、このピニオン72に噛み合わせたラック73に対し、ACモータ74の出力軸に同心的に固定されたピニオン75を噛み合わせたものである。そして、ACモータ74を駆動することによって、サブノズル22がACモータ74の出力軸の回転量に相当する分だけ回動し、サブノズル22の噴射角度位置が調整される。
【0089】
図5(ロ)には、ウォームギヤ・ウォームホイールを用いた駆動伝達機構71bと、ACモータ74とが示されている。これは、サブノズル22の基端側にウォームホイール76を同心的に固定し、このウォームホイール76に対し、ACモータ74の出力軸に同心的に固定されるウォームギヤ77を噛み合わせたものである。そして、ACモータ74を駆動することによって、サブノズル22がACモータ74の出力軸の回転量に相当する分だけ回動し、サブノズル22の噴射角度位置が調整される。
【0090】
図5(ハ)にも、ウォームギヤ・ウォームホイールを用いた駆動伝達機構71cと、ACモータ74とが示されている。これは、図5(ロ)で示した例と同様の構成であるが、ウォームホイール76の代わりとして、サブノズル22の基端側の外周面に、ACモータ74の出力軸に同心的に固定されるウォームギア77と噛み合う環状の歯溝78が形成されたものである。
【0091】
また、以上の実施例では、1本のサブノズル22に対してアクチュエータ(ACモータ)74を1つ設けるものとしてあるが、これに限らず、1調整単位に複数本のサブノズル22が含まれる場合において、その1調整単位中の全てのサブノズル22よりも少ない数の複数本のサブノズル22、または1調整単位中の全てのサブノズル22を単一のアクチュエータ74により駆動伝達機構を介して駆動する構成としても良い。
【0092】
図6には、そのような構成の一例を示してある。この図示の例では、駆動装置は、2本のサブノズル22、22を単一のアクチュエータ74によって駆動するものとなっており、ラック・ピニオンを用いた駆動伝達機構71dとACモータ74とで構成されるものとなっている。具体的には、各サブノズル22、22の基端側にピニオン72をそれぞれ同心的に固定し、これら2つのピニオン72、72に噛み合わせたラック73に対し、ACモータ74の出力軸に同心的に固定されるピニオン75を噛み合わせた構成となっている。そして、ACモータ74を駆動することによって、2本のサブノズル22、22が同時に同じ角度量だけ回動し、2本のサブノズル22、22の噴射角度位置が調整される。
【0093】
また、前記実施例では、製織中(織機の連続運転中)における製織状態の変更に伴ってサブノズル22の噴射角度位置の調整(変更)を行うものとしたが、以上で説明した本発明による調整装置を用いたサブノズル22の噴射角度位置の調整方法は、これに限らず、製織開始前の製織準備段階や製織途中における織機停止状態においてサブノズル22の噴射角度位置の調整(設定)を行う場合にも適用可能である。この場合、例えば、製織準備段階において作業者によって設定された製織条件に基づき、サブノズル22の噴射角度位置が自動的に設定されるものとすれば良い。また、製織途中の織機の停止状態において、作業者によって製織条件の設定が変更された際に、それに伴ってサブノズル22の噴射角度位置が自動的に変更されるものとしても良い。
【0094】
なお、本発明は、前記実施例で述べた2種類の緯糸を緯入れする空気噴射式織機に限らず、1種類又は3種類以上の緯糸を緯入れする空気噴射式織機に適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
A給糸体
B給糸体
a緯糸
b緯糸
S1緯糸選択信号
【0096】
11緯入れ装置
12給糸体スタンド
13測長貯留装置
14糸巻付けアーム
15ドラム
16係止ピン
17操作器
21メインノズル
22サブノズル
22a空気噴射口
22b段差状部分
23ストレッチノズル
24ノズルホルダ
25リードホルダ
26ベアリング
31緯糸フィーラ
32圧力空気源
33圧力調整器
34電磁開閉弁
35圧力調整器
36電磁開閉弁
37電磁開閉弁
41主軸
42エンコーダ
43緯入れ制御装置
44緯入れ制御部
45緯糸選択信号発生部
46入力・設定表示装置
51DDモータ(アクチュエータ)
51aステータ
51bロータ
61aサブノズル制御装置(制御装置)
61bサブノズル制御装置(制御装置)
61cサブノズル制御装置(制御装置)
62駆動制御器
63設定器
64判別器
65比較器
71a駆動伝達機構
71b駆動伝達機構
71c駆動伝達機構
71d駆動伝達機構
72ピニオン
73ラック
74ACモータ(アクチュエータ)
75ピニオン
76ウォームホイール
77ウォームギヤ
78歯溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緯入れ経路に沿って配設された多数本のサブノズルと、サブノズルに圧縮空気を供給するために設けられた複数の電磁開閉弁であって各々に1本以上のサブノズルが接続される電磁開閉弁とを有し、前記電磁開閉弁毎にサブノズルが空気噴射を行って緯糸を緯入れする空気噴射式織機において、
前記複数の電磁開閉弁の内の少なくとも1個について、その電磁開閉弁に接続される前記1本以上のサブノズルの内の少なくとも1本を1調整単位として少なくとも1個のアクチュエータで駆動し、
前記1調整単位に含まれるサブノズルの噴射角度位置を同じ角度量調整することを特徴とする空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整方法。
【請求項2】
前記1調整単位は、1個の前記電磁開閉弁に接続される複数本のサブノズルを含むことを特徴とする請求項1に記載のサブノズルの噴射角度位置の調整方法。
【請求項3】
前記空気噴射式織機での製織のために設定し得る複数の製織条件の各々に対応させた前記噴射角度位置を含むデータベースを予め設定しておき、
設定された製織条件に対応する前記噴射角度位置を前記データベースから選択すると共にその選択された前記噴射角度位置に基づいて前記アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載のサブノズルの噴射角度位置の調整方法。
【請求項4】
前記空気噴射式織機が製織中に製織条件を変更する織機であって、
製織中の製織条件の切り換わりに伴い、切り換わり後の製織条件に対応する前記噴射角度位置を前記データベースから選択し、その選択された前記噴射角度位置に基づいてアクチュエータを駆動することを特徴とする請求項3に記載のサブノズルの噴射角度位置の調整方法。
【請求項5】
前記空気噴射式織機が前記製織条件として設定された緯糸の選択パターンに従って糸種の異なる2以上の緯糸を選択的に緯入れする多色緯入れ装置を有する織機であって、
前記データベースには緯入れされる各緯糸の各々に対応させた前記噴射角度位置が設定されており、
製織中の緯糸の切り換わりに伴い、切り換わり後の緯糸に対応する前記噴射角度位置に基づいて前記アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項4に記載のサブノズルの噴射角度位置の調整方法。
【請求項6】
前記噴射角度位置の変更後の前記噴射角度位置を検出し、その検出値と製織条件に応じて選択された前記噴射角度位置とを比較し、両者間に偏差が生じている場合、その偏差を解消するように前記アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項4又は5に記載のサブノズルの噴射角度位置の調整方法。
【請求項7】
前記空気噴射式織機が緯入れされる緯糸の先端の通過を検出する通過検出センサを備え、
前記通過検出センサの位置を緯糸の先端が通過する時点の織機主軸の回転角度に関する基準値を予め設定しておき、
前記基準値と実際に緯糸が検出された際の前記回転角度とを比較し、両者間に偏差が生じている場合、その偏差を解消する方向へ前記アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のサブノズルの噴射角度位置の調整方法。
【請求項8】
緯入れ経路に沿って配設された多数本のサブノズルと、サブノズルに圧縮空気を供給するために設けられた複数の電磁開閉弁であって各々に1本以上のサブノズルが接続される電磁開閉弁とを有し、前記電磁開閉弁毎にサブノズルが空気噴射を行って緯糸を緯入れする空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整装置であって、
前記複数の電磁開閉弁の内の少なくとも1個について、その電磁開閉弁に接続される前記1本以上のサブノズルの内の少なくとも1本を1調整単位として、前記1調整単位に含まれるサブノズルの噴射角度位置を調整する駆動装置を含み、
その駆動装置は、前記1調整単位に含まれるサブノズルに連結された少なくとも1個のアクチュエータと、前記1調整単位に含まれるサブノズルの噴射角度位置を同じ角度量で調整するように前記アクチュエータの駆動を制御する制御装置とを有することを特徴とする空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整装置。
【請求項9】
前記駆動装置が、前記1調整単位として設定された1個の電磁開閉弁に接続される複数本のサブノズルに連結された駆動伝達機構を有することを特徴とする請求項8に記載の空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整装置。
【請求項10】
前記制御装置は、製織のために織機に設定し得る複数の製織条件の各々に対応させた前記噴射角度位置を含むデータベースを設定する設定器と、前記データベースから設定された製織条件に対応する前記噴射角度位置を選択すると共にその選択された前記噴射角度位置に基づいてアクチュエータの駆動を制御する駆動制御器とを有することを特徴とする請求項8又は9に記載の空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整装置。
【請求項11】
前記空気噴射式織機が製織中に製織条件を変更する織機であって、
前記駆動制御器は、製織中の製織条件の切り換わりに伴い、切り換わり後の製織条件に対応する噴射角度位置を前記設定器のデータベースから選択することを特徴とする請求項10に記載の空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整装置。
【請求項12】
前記空気噴射式織機が前記製織条件として設定された緯糸の選択パターンに従って糸種の異なる2以上の緯糸を選択的に緯入れする多色緯入れ装置を有する織機であって、
前記設定器には、前記製織条件として緯入れされる各緯糸の各々に対応させた前記噴射角度位置を含むデータベースが設定されており、
前記駆動制御器は、製織中の緯糸の切り換わりに伴い、切り換わり後の緯糸に対応する前記噴射角度位置を前記設定器のデータベースから選択することを特徴とする請求項11に記載の空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整装置。
【請求項13】
前記噴射角度位置を検出する角度位置検出センサを備えると共に、
前記制御装置が前記噴射角度位置を変更した後の前記角度位置検出センサの検出値と前記製織条件に応じて選択された前記噴射角度位置とを比較する判別器を備え、
前記駆動制御器は、前記判別器による比較結果として選択された前記噴射角度位置と前記角度位置検出センサの検出値との間に偏差が生じている場合に、その偏差を解消するように前記アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項11又は12に記載の空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整装置。
【請求項14】
前記空気噴射式織機が緯入れされる緯糸の先端の通過を検出する通過検出センサを備え、
前記制御装置は、前記通過検出センサの位置を緯糸の先端が通過する時点の織機主軸の回転角度に関する基準値を設定する設定器と、前記基準値と実際に緯糸が検出された際の前記回転角度とを比較する比較器と、その比較器による比較結果として両者間に偏差が生じている場合にその偏差を解消する方向へ前記アクチュエータの駆動を制御する駆動制御器とを有することを特徴とする請求項8、9又は10に記載の空気噴射式織機におけるサブノズルの噴射角度位置の調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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