説明

空気圧縮ユニット、太陽光追尾システム、及び給水システム

【課題】水道圧を利用して空気を圧縮できる空気圧縮ユニット、及びこの空気圧縮ユニットを備えた給水システムを提供する。
【解決手段】空気圧縮ユニットは、水道水が流入する受水室(W1,W2)と、空気が流入する空気室(A1,A2)と、受水室(W1,W2)に流入した水道水の水圧を受けて変位し、空気室(A1,A2)の容積を縮小させる変位部材(63,123)と、空気室(A1,A2)で圧縮された空気を空気室(A1,A2)の外部へ吐出させる吐出口(55,56)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧縮ユニット、及びこの空気圧縮ユニットを備えた給水システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道管の水圧によってピストンを駆動し、所定の駆動対象を駆動する装置が知られている。特許文献1には、この種の装置(水圧駆動装置)が開示されている。
【0003】
水圧駆動装置は、シリンダと、このシリンダに収容されるピストンとを有している。ピストンの下側には、水道管と連通する受圧室が形成されている。また、ピストンの下端には、ロッドの一端が連結されている。このロッドの他端は床面に固定される。水道管から受圧室へ水が供給されると、受圧室内の水の圧力が上昇する。その結果、ピストンはロッドに沿うように上方へ変位する。この水圧駆動装置では、このようなピストンの変位によって、器物を上方に押し上げるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−18801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように水道管の水圧を利用する装置では、所定の駆動対象を水圧によって直接的に駆動させるものである。一方、水圧を利用する装置としては、上記の装置以外の用途も考えられる。具体的には、例えば水圧を利用して空気を圧縮できる装置が実現できれば、生成した圧縮空気を様々な用途として利用できる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、水道圧を利用して空気を圧縮できる空気圧縮ユニット、この空気圧縮ユニットを備えた太陽光追尾システム、及びこの空気圧縮ユニットを備えた給水システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、空気圧縮ユニットを対象とし、水道水が流入する受水室(W1,W2)と、空気が流入する空気室(A1,A2)と、該受水室(W1,W2)に流入した水道水の水圧を受けて変位し、上記空気室(A1,A2)の容積を縮小させる変位部材(63,123)と、上記空気室(A1,A2)で圧縮された空気を該空気室(A1,A2)の外部へ吐出させる吐出口(55,56)と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明の空気圧縮ユニットでは、水道管からの水道水が受水室(W1,W2)に流入する。これにより、受水室(W1,W2)の内圧が上昇し、変位部材(63,123)が変位し、空気室(A1,A2)の容積が縮小される。その結果、空気室(A1,A2)の空気が圧縮される。空気室(A1,A2)で圧縮された空気は、吐出口(55,56)より空気室(A1,A2)の外部へ吐出される。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、上記変位部材(63,123)は、上記受水室(W1,W2)に臨む受圧面の面積が、上記空気室(A1,A2)に臨む増圧面の面積よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
第2の発明の変位部材(63,123)では、水道水の圧力を受ける受圧面の面積が、空気の圧縮に寄与する増圧面の面積よりも大きくなっている。このため、変位部材(63,123)が変位すると、空気室(A1,A2)では、両者の面積の比率の分だけ空気を増圧することができる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、第1と第2の上記受水室(W1,W2)と、第1と第2の上記空気室(A1,A2)と、上記各空気室(A1,A2)にそれぞれ対応する2つの吐出口(55,56)とを備え、上記変位部材(63,123)は、上記第1受水室(W1)の水圧によって変位して第1空気室(A1)の容積を縮小させる第1動作と、上記第2受水室(W2)の水圧によって変位して第2空気室(A2)の容積を縮小させる第2動作とを、切り換えて行うように構成されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明の空気圧縮ユニットでは、2つの受水室(W1,W2)と2つの空気室(A1,A2)とが設けられ、第1動作と第2動作とが切り換えて行われる。具体的に、第1動作では、第1受水室(W1)の水圧によって変位部材(63,123)が変位し、第1空気室(A1)の容積が縮小される。これにより、第1空気室(A1)の空気が圧縮され、圧縮された空気が吐出口(55)から吐出される。第2動作では、第2受水室(W2)の水圧によって変位部材(63,123)が変位し、第2空気室(A2)の容積が縮小される。これにより、第2空気室(A2)の空気が圧縮され、圧縮された空気が吐出口(56)から吐出される。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、水道水が流入する流入路(21a)と、水道水が流出する流出路(21b)と、上記第1動作中に上記流入路(21a)を上記第1受水室(W1)と連通させると同時に上記第2受水室(W2)を上記流出路(21b)と連通させる第1状態と、上記第2動作中に上記流入路(21a)を上記第2受水室(W2)と連通させると同時に上記第1受水室(W1)を上記流出路(21b)と連通させる第2状態とに切り換わる、水流路切換部(51)を備えていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明では、水流路切換部(51)が、第1動作時に第1状態となり、第2動作時に第2状態となる。第1動作時に水流路切換部(51)が第1状態となると、流入路(21a)と第1受水室(W1)が連通し、且つ流出路(21b)と第2受水室(W2)が連通する。すると、流入路(21a)の水道水は第1受水室(W1)に流入する。これにより、第1空気室(A1)で空気が圧縮され、この圧縮空気が吐出口(55)から吐出される。その後、第1動作から第2動作へ移行して水流路切換部(51)が第2状態となると、流入路(21a)と第2受水室(W2)が連通し、且つ流出路(21b)と第1受水室(W1)とが連通する。すると、流入路(21a)の水道水は、第2受水室(W2)に流入する。これにより、第2空気室(A2)で空気が圧縮され、この圧縮空気が吐出口(56)から吐出される。同時に、第1受水室(W1)の水道水は、流出路(21b)を介して第1受水室(W1)から流出する。その後、第2動作から第1動作へ移行して水流路切換部(51)が再び第1状態になると、流入路(21a)の水道水が第1受水室(W1)に流入し、第1空気室(A1)の空気が圧縮される。同時に、第2受水室(W2)の水道水が、流出路(21b)を介して第2受水室(W2)に流出する。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、圧縮空気が流れる空気流路(40)と、上記第1動作中に上記第1空気室(A1)の吐出口(55)を上記空気流路(40)と連通させると同時に上記第2空気室(A2)の吐出口(56)を閉鎖する第1状態と、上記第2動作中に上記第2空気室(A2)の吐出口(56)を上記空気流路(40)と連通させると同時に上記第1空気室(A1)の吐出口(55)を閉鎖する空気流路切換部(52)を備えていることを特徴とする。
【0016】
第5の発明では、空気流路切換部(52)が、第1動作時に第1状態となり、第2動作時に第2状態となる。具体的に、第1動作中に空気流路切換部(52)が第1状態となると、第1空気室(A1)の吐出口(55)が空気流路(40)と連通する。これにより、第1空気室(A1)で圧縮された空気が空気流路(40)へ供給される。その後、第1動作から第2動作へ移行して空気流路切換部(52)が第2状態となると、第2空気室(A2)で圧縮された空気が空気流路(40)へ供給される。その後、第2動作から第1動作へ移行して空気流路切換部(52)が再び第1状態になると、第1空気室(A1)で圧縮された空気が再び空気流路(40)へ供給される。
【0017】
第6の発明は、第4又は第5の発明において、筒状の1つのシリンダ部材(61)と、該シリンダ部材(61)の内部を軸方向に隣り合う第1シリンダ室(C1)と第2シリンダ室(C2)とに仕切る仕切部(62)とを備え、上記変位部材(63)は、上記第1シリンダ室(C1)に進退自在に収容される第1ピストン部(64)と、上記第2シリンダ室(C2)に進退自在に収容される第2ピストン部(65)と、上記仕切部(62)を貫通して第1ピストン部(64)と第2ピストン部(65)とを連結するロッド部(66)とを備え、上記第1シリンダ室(C1)には、上記第1ピストン部(64)を挟んで上記仕切部(62)側に上記第1空気室(A1)が区画され、上記仕切部(62)と反対側に上記第1受水室(W1)が区画され、上記第2シリンダ室(C2)には、上記第2ピストン部(65)を挟んで上記仕切部(62)側に上記第2空気室(A2)が区画され、上記仕切部(62)と反対側に上記第2受水室(W2)が区画されることを特徴とする。
【0018】
第6の発明では、筒状のシリンダ部材(61)の内部が、仕切部(62)によって第1シリンダ室(C1)と第2シリンダ室(C2)とに仕切られる。第1シリンダ室(C1)には、第1ピストン部(64)が配置され、第2シリンダ室(C2)には、第2ピストン部(65)が配置される。これらのピストン部(64,65)は、仕切部(62)を貫通するロッド部(66)により連結される。
【0019】
第1動作において、流入路(21a)から第1受水室(W1)へ水道水が流入すると、第1ピストン部(64)が第1空気室(A1)側に変位する。これにより、第1空気室(A1)で空気が圧縮される。第1動作から第2動作に移行すると、流入路(21a)から第2受水室(W2)に水道水が流入する。その結果、第2ピストン部(65)が第2空気室(A2)側に変位し、第2空気室(A2)の空気が圧縮される。同時に、第2ピストン部(65)と連結する第1ピストン部(64)は、第1受水室(W1)側に変位する。その結果、第1受水室(W1)の水道水が流出路(21b)へ押し出される。その後、第2動作から第1動作へ再び移行すると、第1空気室(A1)の空気が再び圧縮される。同時に、第1ピストン部(64)と連結する第2ピストン部(65)は、第2受水室(W2)側に変位する。その結果、第2受水室(W2)の水道水が流出路(21b)へ押し出される。
【0020】
第7の発明は、第4又は第5の発明において、内部に第1シリンダ室(C1)が形成される筒状の第1シリンダ部材(121)と、内部に第2シリンダ室(C2)が形成される筒状の第2シリンダ部材(122)とを備え、上記変位部材(123)は、上記第1シリンダ室(C1)に進退自在に収容される第1ピストン部(124)と、上記第2シリンダ室(C2)に進退自在に収容される第2ピストン部(125)と、上記第1シリンダ部材(121)及び第2シリンダ部材(122)の各軸側端部を貫通して第1ピストン部(124)と第2ピストン部(125)とを連結するロッド部(126)とを備え、上記第1シリンダ室(C1)には、上記第1ピストン部(124)を挟んで軸方向の一端側に第1受水室(W1)が区画され、他端側に第2受水室(W2)が区画され、上記第2シリンダ室(C2)には、上記第2ピストン部(125)を挟んで軸方向の一端側に第1空気室(A1)が区画され、他端側に第2空気室(A2)が区画されることを特徴とする。
【0021】
第7の発明では、第1シリンダ部材(121)の第1シリンダ室(C1)に第1ピストン部(124)が配置され、第2シリンダ部材(122)の第2シリンダ室(C2)に第2ピストン部(125)が配置される。これらのピストン部(124,125)は、両シリンダ部材(121,122)を貫通するロッド部(126)により連結される。
【0022】
第1動作において、流入路(21a)から第1受水室(W1)に水道水が流入すると、第1ピストン部(124)が第2受水室(W2)側に変位する。同時に、第1ピストン部(124)と連結する第2ピストン部(125)は、第1空気室(A1)側に変位する。その結果、第1空気室(A1)の空気が圧縮される。第1動作から第2動作へ移行すると、流入路(21a)から第2受水室(W2)に水道水が流入する。その結果、第2ピストン部(125)が第2空気室(A2)側に変位し、第2空気室(A2)の空気が圧縮される。同時に、第2ピストン部(125)と連結する第1ピストン部(124)が第1受水室(W1)側に変位する。その結果、第1受水室(W1)の水道水が流出路(21b)へ押し出される。その後、第2動作から第1動作へ再び移行すると、第1空気室(A1)の空気が再び圧縮される。第1ピストン部(124)と連結する第2ピストン部(125)は、第2受水室(W2)側に変位する。その結果、第2受水室(W2)の水道水が流出路(21b)へ押し出される。
【0023】
第8の発明は、第6又は第7の発明において、ピストン部(64,65)の軸方向の往復動に伴って変位する磁石(161,186)と、該磁石(161,186)の変位によって発電するコイル(162,188)とを有する発電機構(160,180)を備えていることを特徴とする。
【0024】
第8の発明では、発電機構(160,180)において、ピストン部(64,65)の変位に伴って磁石(161,186)が変位することで、コイル(162,188)に起電力が発生し、発電が行われる。
【0025】
第9の発明は、第1乃至第8のいずれか1つの発明において、空気室(A1,A2)で圧縮されて吐出された空気によって回転する風車(191)を有し、該風車(191)の回転によって発電する発電機構(190)を備えていることを特徴とする。
【0026】
第9の発明では、空気室(A1,A2)から吐出された圧縮空気によって風車(191)が回転し、発電が行われる。
【0027】
第10の発明は、太陽光追尾システムを対象とし、回動軸(95)が設けられた太陽光パネル(92)と、第8又は第9の発明の空気圧縮ユニット(50)と、該空気圧縮ユニット(50)の圧縮空気によって作動し、太陽の向きに応じて太陽光パネル(92)を回動軸(95)の軸周りに回動させるアクチュエータ(93)と、空気圧縮ユニット(50)の発電機構(160,180,190)によって発電した電力を蓄電する蓄電部(173,223,224)とを備えていることを特徴とする。
【0028】
第10の発明では、空気圧縮ユニット(50)の圧縮空気によって、アクチュエータ(93)が作動し、太陽光パネル(92)が太陽の向きに応じて回動する。発電機構(160,180,190)によって発電した電力が、蓄電部(173,223,224)に蓄電される。
【0029】
第11の発明は、水道水を所定の利用対象(2,3,4)へ供給する水流路(20)を備えた給水システムを対象とし、上記水流路(20)には、第4乃至第9のいずれか1つの発明の空気圧縮ユニット(50)が接続され、上記空気圧縮ユニット(50)の流入路(21a)が水道水の水源側に繋がり、該空気圧縮ユニット(50)の流出路(21b)が上記利用対象(2,3,4)に繋がっていることを特徴とする。
【0030】
第11の発明の給水システムでは、水道水が空気圧縮ユニット(50)の流入路(21a)及び流出路(21b)を介して所定の利用対象(2,3,4)へ供給される。具体的に、空気圧縮ユニット(50)において、第2動作から第1動作へ移行すると、流入路(21a)から第1受水室(W1)に水道水が流入し、第1空気室(A1)の空気が圧縮される。同時に、第2受水室(W2)の水道水が流出路(21b)を経由して利用対象(2,3,4)へ送られる。その後、第1動作から第2動作へ移行すると、流入路(21a)から第2受水室(W2)に水道水が流入し、第2空気室(A2)の空気が圧縮される。同時に、第1受水室(W1)の水道水が流出路(21b)を経由して利用対象(2,3,4)へ送られる。
【0031】
第12の発明は、第11の発明において、上記水流路(20)には、上記空気圧縮ユニット(50)と上記利用対象(2,3,4)との間に、温水が貯留される貯湯タンク(30)が接続されることを特徴とする。
【0032】
第12の発明では、空気圧縮ユニット(50)の流出路(21b)から流出した水が、貯湯タンク(30)に貯留される。貯湯タンク(30)の水は、温水として利用対象(2,3,4)へ供給される。
【0033】
第13の発明は、第11又は第12の発明において、上記空気圧縮ユニット(50)の吐出口(55,56)から吐出された圧縮空気によって駆動される被駆動体(34,38,70,92)を備えていることを特徴とする。
【0034】
第13の発明では、空気圧縮ユニット(50)からの圧縮空気によって所定の被駆動体(34,38,70,92)が駆動される。
【0035】
第14の発明は、第13の発明において、上記被駆動体(34,38)は、上記水流路(20)の水を搬送する水ポンプ(34,38)であることを特徴とする。
【0036】
第14の発明では、空気圧縮ユニット(50)からの圧縮空気によって水ポンプ(34,38)が駆動され、この水ポンプ(34,38)によって水流路(20)の水が搬送される。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、受水室(W1,W2)に流入した水圧によって変位部材(63,123)を変位させ、空気室(A1,A2)の容積を縮小させることで、比較的簡易な構造により、圧縮空気を得ることができる。また、受水室(W1,W2)には、水道水の圧力が利用されるため、経済性にも優れている。
【0038】
第2の発明では、水道水の受圧面の面積を空気の増圧面の面積よりも大きくしているため、水道水の圧力よりも空気の圧力を高くすることができる。従って、水道水の圧力が比較的小さくても、高い圧力の圧縮空気を得ることができる。
【0039】
第3の発明では、第1空気室(A1)で空気を圧縮する第1動作と、第2空気室(A2)で空気を圧縮する第2動作とを切り換えて行うことで、両者の空気室(A1,A2)で圧縮空気を得ることができる。
【0040】
第4の発明では、第1動作と第2動作とで、水流路切換部(51)を第1状態と第2状態とに切り換えるようにしている。これにより、流入路(21a)からの水道水を連続的に受水室(W1,W2)へ供給し、該受水室(W1,W2)の水を流出路(21b)へ流出させることができる。同時に、各空気室(A1,A2)でそれぞれ空気を圧縮できる。
【0041】
第5の発明では、第1動作と第2動作とで、空気流路切換部(52)を第1状態と第2状態とに切り換えるようにしている。これにより、第1動作では、第1空気室(A1)で圧縮した空気を空気流路(40)へ吐出させ、第2動作では、第2空気室(A2)で圧縮した空気を空気流路(40)へ吐出させることができる。
【0042】
第6の発明では、シリンダ部材(61)の内部でピストン部材(63)を変位させることで、各受水室(W1,W2)への水の流入及び流出の動作と、各空気室(A1,A2)での空気の圧縮動作とを同時に行うことができる。本発明では、1つのシリンダ部材(61)を設ければよいため、装置構造の簡素化を図ることができる。
【0043】
第7の発明では、2つのシリンダ部材(121,122)の内部で各ピストン部(124,125)を変位させることで、各受水室(W1,W2)への水の流入及び流出の動作と、各空気室(A1,A2)での空気の圧縮動作とを同時に行うことができる。本発明では、各シリンダ部材(121,122)が別体に形成されているため、第1シリンダ部材(121)側の水の受圧面の面積を、第2シリンダ部材(122)側の空気の増圧面に対して大きく設計し易くなる。
【0044】
第8の発明によれば、ピストン部(64,62)の往復動を利用して発電をすることができ、第9の発明によれば、空気室(A1,A2)から吐出された圧縮空気を利用して発電をすることができる。
【0045】
第10の発明によれば、空気圧縮ユニット(50)の発電機構(160,180,190)によって発電した電力を蓄積する蓄電部(173,223,224)を備えるようにしたため、停電した際でも、太陽光追尾システムの電機部品を駆動することができる。よって、信頼性の高い太陽光追尾システムを提供することができる。
【0046】
第11の発明では、水流路(20)を介して所定の利用対象(2,3,4)へ水を供給する給水システムについて、第4から第9の発明の空気圧縮ユニット(50)を適用している。このため、水道水の水を利用対象(2,3,4)へ供給すると同時に圧縮空気を得ることができる。特に、第12の発明では、水道水の水を貯湯タンク(30)に供給すると同時に圧縮空気を得ることができる。
【0047】
第13の発明では、空気圧縮ユニット(50)で得た圧縮空気を、所定の被駆動体(34,38,70,92)の駆動源として利用できる。特に、第14の発明では、空気圧縮ユニット(50)
で得た圧縮空気を、水流路(20)の水ポンプ(34,38)の駆動源として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、実施形態1に係る給湯システムの全体構成を示す系統図である。
【図2】図2は、実施形態に係る太陽パネルユニットの縦断面図である。
【図3】図3は、図2のIII-III線断面図であり、図3(A)は太陽パネルが東側を向いた状態の一例であり、図3(B)は太陽パネルが南側を向いた状態の一例であり、図3(C)は太陽パネルが西側を向いた状態の一例である。
【図4】図4は、実施形態1に係る加圧ユニットの概略構成図であり、図4(A)は水加圧室の容積が拡大した状態の一例であり、図4(B)は水加圧室の容積が縮小した状態の一例である。
【図5】図5は、実施形態1に係る空気圧縮ユニットの概略構成図である。
【図6】図6は、実施形態1に係る空気圧縮ユニットの初回の第1動作を、図6(A)、図6(B)、及び図6(C)の順に説明するための概略構成図である。
【図7】図7は、実施形態1に係る空気圧縮ユニットの第2動作を、図7(A)、図7(B)、及び図7(C)の順に説明するための概略構成図である。
【図8】図8は、実施形態1に係る空気圧縮ユニットの第1動作を、図8(A)、図8(B)、及び図8(C)の順に説明するための概略構成図である。
【図9】図9は、実施形態2に係る給湯システムの全体構成を示す系統図である。
【図10】図10は、実施形態2に係る空気圧縮ユニットの概略構成図である。
【図11】図11は、実施形態2に係る空気圧縮ユニットの初回の第1動作を、図11(A)、図11(B)、及び図11(C)の順に説明するための概略構成図である。
【図12】図12は、実施形態2に係る空気圧縮ユニットの第2動作を、図12(A)、図12(B)、及び図12(C)の順に説明するための概略構成図である。
【図13】図13は、実施形態2に係る空気圧縮ユニットの第1動作を、図13(A)、図13(B)、及び図13(C)の順に説明するための概略構成図である。
【図14】図14は、実施形態3に係る給湯システムの全体構成を示す系統図である。
【図15】図15は、実施形態3に係るエジェクタ方式の加圧機構の縦断面図である。
【図16】図16は、実施形態4に係る給湯システムの全体構成を示す系統図である。
【図17】図17は、実施形態5に係る給湯システムの全体構成を示す系統図である。
【図18】図18は、実施形態6に係る給湯システムの全体構成を示す系統図である。
【図19】図19は、実施形態7に係る給湯システムの全体構成を示す系統図である。
【図20】図20は、実施形態8に係る給湯システムの全体構成を示す系統図である。
【図21】図21は、実施形態9に係る給湯システムの加圧ユニットの概略構成図であり、図21(A)は第1動作中の加圧ユニットを示し、図21(B)は第2動作中の加圧ユニットを示している。
【図22】図22は、第1変形例に係る空気圧縮ユニットの構成を示す縦断面図である。
【図23】図23は、第1変形例に係る太陽パネル制御部の構成を示す図である。
【図24】図24は、第2変形例に係る空気圧縮ユニットの構成を示す縦断面図であり、発電機構を模式的に表したものである。
【図25】図25は、第2変形例に係る発電部の構成を示す図である。
【図26】図26は、第3変形例の空気圧縮ユニット、及び太陽パネル制御部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0050】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。実施形態1に係る給湯システム(S)は、一般家屋等に適用されている。給湯システム(S)は、温水を所定の利用対象へ供給する給湯ユニット(10)と、太陽光によって発電を行う太陽光発電ユニット(90)を有している。
【0051】
〈給湯ユニット〉
給湯ユニット(10)は、水道水を利用対象へ供給する給水システムであって、いわゆるヒートポンプ式の給湯器を構成している。給湯ユニット(10)は、水源となる水道管側の水を加熱して温水を生成し、この温水をシャワー(2)や浴槽(図示省略)等の利用対象へ供給する。給湯ユニット(10)は、水を加熱するための熱源となる熱源ユニット(10a)と、水道水が流れる配管内に形成される水流路(20)と、温水を貯留するための貯湯タンク(30)とを有している。
【0052】
熱源ユニット(10a)は、圧縮機(11)、水熱交換器(12)、膨張弁(13)、及び室外熱交換器(14)を有している。熱源ユニット(10a)では、各構成機器(11,12,13,14)が冷媒配管を介して互いに接続されることで、冷凍サイクルが行われる冷媒回路(15)が構成される。冷媒回路(15)には、冷媒として二酸化炭素が充填されている。冷媒回路(15)では、冷媒が臨界圧力以上まで圧縮される、いわゆる超臨界サイクルが行われる。
【0053】
圧縮機(11)は、例えばスクロール圧縮機で構成されている。圧縮機(11)は、モータの回転数(運転周波数)が可変なインバータ式である。水熱交換器(12)は、第1内部流路(12a)と、第2内部流路(12b)とを有している。第1内部流路(12a)は、冷媒回路(15)に接続され、第2内部流路(12b)は水流路(20)に接続されている。水熱交換器(12)では、第1内部流路(12a)を流れる冷媒と、第2内部流路(12b)を流れる水とが、熱交換する。膨張弁(13)は、開度が調整可能な電子膨張弁で構成されている。
【0054】
室外熱交換器(14)は、室外に設置されている。室外熱交換器(14)は、例えばフィンアンドチューブ式の熱交換器である。室外熱交換器(14)の近傍には、室外ファン(16)が設けられている。室外熱交換器(14)では、室外ファン(16)が送風する室外空気と、冷媒とが熱交換する。
【0055】
貯湯タンク(30)は、縦長の中空状の密閉容器で構成されている。貯湯タンク(30)は、円筒形の胴部(30a)と、この胴部(30a)の上端を閉塞する頂部(30b)と、胴部(30a)の下端を閉塞する底部(30c)とを有している。貯湯タンク(30)は、水流路(20)にいて、詳細は後述する空気圧縮ユニット(50)と利用対象となるシャワー(2)との間に接続されている。
【0056】
水流路(20)は、流入端が水道管側に接続され、流出端がシャワー(2)等の利用対象と接続されている。なお、水流路(20)の流出端は、複数に分岐しており、図示しない浴槽等にも接続している。シャワー(2)は、水流路(20)の流出端に接続されて、水を所定の圧力で吐出させる吐出機構を構成している。水流路(20)は、給水路(21)、加熱循環流路(22)、及び供給路(23)を有している。
【0057】
給水路(21)は、上水道管側の水道水を貯湯タンク(30)へ供給するための流路である。給水路(21)は、流入端が上水道管と繋がり、流出端が貯湯タンク(30)の内部と繋がっている。給水路(21)の流出側の配管は、貯湯タンク(30)の底部(30c)を貫通して、貯湯タンク(30)内の底部(30c)の近傍に開口している。給水路(21)には、水の流れの上流側から下流側に向かって順に、止水弁(31)、空気圧縮ユニット(50)、減圧弁(32)、第1逆止弁(CV1)が接続されている。
【0058】
止水弁(31)は、水の流通を禁止可能な開閉弁である。空気圧縮ユニット(50)は、水道水の圧力を利用して空気を圧縮するものである。空気圧縮ユニット(50)の詳細な構造は後述する。減圧弁(32)は、水道水の圧力を低減させる減圧機構を構成している。これにより、水流路(20)では、減圧弁(32)の上流側の圧力(例えば0.5MPa)よりも、減圧弁(32)の下流側の圧力(例えば0.17MPa)が低くなり、貯湯タンク(30)の耐圧が確保されている。即ち、減圧弁(32)は、貯湯タンク(30)の内圧が所定の耐圧制限値を越えないように、貯湯タンク(30)側の水道水の圧力を低減している。第1逆止弁(CV1)は、減圧弁(32)側から貯湯タンク(30)側へ向かう方向(図1の矢印で示す方向)の水の流れを許容し、その逆方向の水の流れを禁止する。
【0059】
加熱循環流路(22)は、貯湯タンク(30)内の水を循環させながら、この水を加熱するための流路である。加熱循環流路(22)の流入側の配管は、貯湯タンク(30)の底部(30c)を貫通して貯湯タンク(30)内の底部(30c)の近傍に開口している。加熱循環流路(22)の流出側の配管は、貯湯タンク(30)の頂部(30b)を貫通して貯湯タンク(30)内の頂部(30b)の近傍に開口している。貯湯タンク(30)の内部では、加熱循環流路(22)の流入端が、該加熱循環流路(22)の流出端よりも低い位置となっている。
【0060】
加熱循環流路(22)には、水の流れの上流側から下流側に向かって順に、排水用三方弁(33)、第1循環ポンプ(34)、及び三方切換弁(35)が接続されている。また、加熱循環流路(22)には、第1循環ポンプ(34)と三方切換弁(35)の間に、上述した水熱交換器(12)の第2内部流路(12b)が接続されている。
【0061】
排水用三方弁(33)は、3つのポートを有し、これらのうちの2つのポートが加熱循環流路(22)と繋がり、残りのポートが排水路(24)と接続している。排水路(24)は、下水道管に繋がっている。排水用三方弁(33)は、通常は加熱循環流路(22)を開放する状態に保持される。第1循環ポンプ(34)は、例えば遠心式あるいは容積式の水ポンプである。
【0062】
三方切換弁(35)は、第1ポートから第3までのポートを有している。三方切換弁(35)では、第1ポートが加熱循環流路(22)の上流側と繋がり、第2ポートが加熱循環流路(22)の下流側と繋がり、第3ポートがバイパス路(25)と繋がっている。三方切換弁(35)は、第1ポートと第2ポートとを連通させて第3ポートを遮断する状態(図1の実線で示す状態)と、第2ポートと第3ポートとを連通させて第1ポートを遮断する状態(図1の破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。バイパス路(25)の流出側の配管は、貯湯タンク(30)の底部(30c)を貫通して、貯湯タンク(30)内の底部(30c)の近傍に開口している。
【0063】
供給路(23)は、貯湯タンク(30)内の温水をシャワー(2)等の利用対象へ供給するための流路である。供給路(23)の流入端は、貯湯タンク(30)の内部と連通している。貯湯タンク(30)の流出端は加圧ユニット(70)を介してシャワー(2)と連通している。なお、図示は省略するが、供給路(23)の流出端は、複数に分岐してシャワー(2)以外の他の利用対象(例えば浴槽)にも接続されている。
【0064】
供給路(23)には、水の流れの上流側から下流側に向かって順に、第2逆止弁(CV2)及び給湯混合弁(36)が接続されている。第2逆止弁(CV2)は、貯湯タンク(30)側から給湯混合弁(36)へ向かう方向(図1の矢印で示す方向)の水の流れを許容し、その逆方向の水の流れを禁止する。
【0065】
給湯混合弁(36)は、3つのポートを有し、そのうちの2つのポートが供給路(23)と繋がり、残りのポートが分岐路(26)の一端と繋がっている。分岐路(26)の他端は、給水路(21)における減圧弁(32)の下流側と繋がっている。分岐路(26)には、第3逆止弁(CV3)が設けられている。第3逆止弁(CV3)は、給水路(21)側から給湯混合弁(36)側へ向かう方向(図1の矢印で示す方向)の水の流れを許容し、その逆方向の水の流れを禁止する。給湯混合弁(36)は、各ポートの開度をそれぞれ調整可能に構成されている。これにより、給湯混合弁(36)は、給水路(21)側から送られる水と、貯湯タンク(30)側から送られる水の混合量(混合比)を調整できる。この混合比を調整することで、供給路(23)からシャワー(2)へ供給される水の温度を調節できる。
【0066】
供給路(23)には、第2逆止弁(CV2)の上流側に逃がし流路(27)の一端が繋がっている。逃がし流路(27)の他端は、下水道と繋がっている。逃がし流路(27)には、リリーフ弁(37)が接続されている。リリーフ弁(37)は、貯湯タンク(30)内の圧力を所定値以下に抑えるものである。即ち、貯湯タンク(30)では、水の蒸発に起因して内圧が過剰に高くなることがある。このようにして貯湯タンク(30)の内圧が所定の圧力(例えば0.19MPa)を越えると、リリーフ弁(37)が一時的に開放される。その結果、貯湯タンク(30)内の水蒸気が下水道側へ排出され、貯湯タンク(30)の内圧が所定の圧力以下に抑えられる。
【0067】
水流路(20)は、冷却循環流路(28)を更に有している。冷却循環流路(28)は、貯湯タンク(30)の水を循環させながら、パワーコンディショナ(115)の発熱部品(詳細は後述する)を冷却するための流路である。冷却循環流路(28)の流入側の配管は、貯湯タンク(30)の底部(30c)を貫通して貯湯タンク(30)内の底部(30c)の近傍に開口している。冷却循環流路(28)の流出側の配管は、貯湯タンク(30)の頂部(30b)を貫通して貯湯タンク(30)の内部まで延びている。貯湯タンク(30)の流出端は、貯湯タンク(30)の軸方向(高さ方向)の中間部に位置している。貯湯タンク(30)の内部では、冷却循環流路(28)の流入端が、該冷却循環流路(28)の流出端よりも低い位置となっている。また、貯湯タンク(30)の内部では、冷却循環流路(28)の流入端が、加熱循環流路(22)の流出端よりも低い位置となっている。
【0068】
冷却循環流路(28)には、水の流れの上流側から下流側に向かって順に、第2循環ポンプ(38)及びウォータージャケット(39)が接続されている。第2循環ポンプ(38)は、例えば遠心式あるいは容積式の水ポンプである。
【0069】
ウォータージャケット(39)は、冷却循環流路(28)を流れる水によってパワーコンディショナ(115)の発熱部品を冷却する冷却部を構成している。ウォータージャケット(39)は、伝熱部材となるジャケット部(39a)と、該ジャケット部(39a)内に形成される冷却水路(39b)とを有している。ジャケット部(39a)は、例えば扁平な矩形柱状に形成され、アルミニウム等の伝熱性の高い材料で構成されている。ジャケット部(39a)の厚さ方向の一端面には、パワーコンディショナ(115)の発電部品の放熱部(115a)が接触する。冷却水路(39b)は、冷却循環流路(28)に接続されている。
【0070】
給湯ユニット(10)は、空気流路(40)、蓄圧タンク(41)、三方切換機構(42)、及び加圧ユニット(70)を備えている。空気流路(40)は、空気圧縮ユニット(50)で圧縮した空気が流れる流路である。空気流路(40)は、主給気路(43)、第1給気路(44)、及び第2給気路(45)を有している。主給気路(43)の流入端は、空気圧縮ユニット(50)の吐出側と連通している。主給気路(43)の流出端は、三方切換機構(42)の第1ポートに接続している。第1給気路(44)の流入端は、三方切換機構(42)の第2ポートに接続している。第1給気路(44)の流出端は、加圧ユニット(70)に接続している。第2給気路(45)の流入端は、三方切換機構(42)の第3ポートに接続している。第2給気路(45)の流出端は、太陽光発電ユニット(90)の空気袋(101,102)側と連通している。
【0071】
蓄圧タンク(41)は、主給気路(43)に接続されている。蓄圧タンク(41)は、中空密閉式の容器である。蓄圧タンク(41)には、空気圧縮ユニット(50)で圧縮された空気が貯められる。蓄圧タンク(41)には、空気逃がし流路(46)の一端が接続されている。空気逃がし流路(46)の他端は、大気に開口している。空気逃がし流路(46)には、蓄圧タンク(41)の圧力を所定の圧力に維持するように開閉する空気逃がし弁(47)が設けられている。
【0072】
三方切換機構(42)は、第1ポートから第3までのポートを有し、空気流路(40)の空気流れを切り換えるものである。三方切換機構(42)は、第1ポートと第2ポートとを連通させて第3ポートを遮断する状態(図1の実線で示す状態)と、第1ポートと第3ポートとを連通させて第2ポートを遮断する状態(図1の破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
【0073】
加圧ユニット(70)は、圧縮空気を駆動源として、シャワー(2)の吐出水を加圧するものである。加圧ユニット(70)の詳細は後述する。
【0074】
〈太陽光発電ユニット〉
太陽光発電ユニット(90)は、太陽光により直流電力を発生させる太陽パネルユニット(91)と、太陽パネルユニット(91)で発電した直流電力を交流電力に変換させるパワーコンディショナ(115)とを備えている。
【0075】
図2及び図3に示すように、太陽パネルユニット(91)は、太陽追尾システムを構成し、太陽光パネル(92)と、太陽パネル駆動機構(93)とを備えている。太陽光パネル(92)は、一般家屋等の屋根(R)に設置されている。太陽光パネル(92)は略板状に形成され、その上側に太陽光の受光面(92a)を形成している。太陽光パネル(92)は、太陽光を受光面(92a)によって受けることで、直流電力を発生する。太陽光パネル(92)は、空気圧縮ユニット(50)の吐出ポート(55,56)から吐出された圧縮空気によって駆動される被駆動体を構成している。
【0076】
太陽パネル駆動機構(93)は、太陽光パネル(92)が太陽光を追尾するように、該太陽光パネル(92)を駆動するアクチュエータである。太陽パネル駆動機構(93)は、太陽光パネル(92)を支持する一対の柱部(94)と、該柱部(94,94)に回転自在に支持される回動軸(95)と、太陽光パネル(92)に連結する4枚の取付板(96,97)とを有している。
【0077】
一対の柱部(94)は、互いに所定の間隔を空けて屋根(R)に立設している。柱部(94)は、上下に縦長の矩形柱状に形成されている。柱部(94)の上端部には、回動軸(95)を回転自在に支持する軸受け部(94a)が形成されている。回動軸(95)は、柱部(94)に跨るように屋根(R)と平行に延びている。
【0078】
4枚の取付板(96,97)は、太陽光パネル(92)の下端部に固定されている。具体的に、一対の柱部(94)の外側には一対の外側取付板(96)が設けられている。一対の柱部(94)の内側には、一対の内側取付板(97)が設けられている。これらの内側取付板(97)は、下側寄りに位置する第1内側取付板(97a)と、上側寄りに位置する第2内側取付板(97b)とで構成されている。
【0079】
太陽パネル駆動機構(93)は、一対の空気袋(101,102)と、該空気袋(101,102)に連結する一対のロッド部(103,104)とを有している。一対の空気袋(101,102)は、屋根(R)に敷設される台座部(100)の上側に設置される。一対の空気袋(101,102)は、第1内側取付板(97a)の下方に配置される第1空気袋(101)と、第2内側取付板(97b)の下方に配置される第2空気袋(102)とで構成されている。また、両者の空気袋(101,102)は、柱部(94)に支持される回動軸(95)を挟むように配置されている。本実施形態では、第1空気袋(101)が第2空気袋(102)よりも西側寄りに配置されている。
【0080】
各空気袋(101,102)は、その内圧の変化によって伸縮変形する本体部(101a,102a)と、該本体部(101a,102a)の伸縮変形に伴い太陽光パネル(92)と垂直な方向に変位する受け部(101b,102b)とを有している。つまり、受け部(101b,102b)は、本体部(101a,102a)が伸張することで太陽光パネル(92)側に変位し、本体部(101a,102a)が収縮することで屋根(R)側に変位する。また、各空気袋(101,102)には、それぞれ給排気ポート(101c,102c)が設けられている。
【0081】
一対のロッド部(103,104)は、第1空気袋(101)と第1内側取付板(97a)とを連結する第1ロッド部(103)と、第2空気袋(102)と第2内側取付板(97b)とを連結する第2ロッド部(104)とで構成されている。具体的に、第1ロッド部(103)は、長手方向の一端が第1空気袋(101)の受け部(101b)の上端部に軸部(103a)を介して連結し、長手方向の他端が第1内側取付板(97a)に軸部(103b)を介して連結している。同様に、第2ロッド部(104)は、長手方向の一端が第2空気袋(102)の受け部(102b)の上端部に軸部(104a)を介して連結し、長手方向の他端が第2内側取付板(97b)に軸部(104b)を介して連結している。各ロッド部(103,104)は、対応する空気袋(101,102)及び対応する内側取付板(97a,97b)に対して回動自在に連結されている。このような構成により、太陽光パネル(92)の自重が各ロッド部(103,104)を介して各空気袋(101,102)に作用する。つまり、各空気袋(101,102)の各受け部(101b,102b)は、太陽光パネル(92)を背面側から支持している。
【0082】
太陽パネル駆動機構(93)は、各空気袋(101,102)の内圧を変化させるための給排気機構(105)を備えている。給排気機構(105)は、第1空気袋側流路(106)と、第2空気袋側流路(107)とを有している。
【0083】
第1空気袋側流路(106)は、第1中継流路(106a)、第1給排気流路(106b)、及び第1排出路(106c)を有している。また、第1空気袋側流路(106)には、第1から第3のポートを有する第1給排気切換弁(108)が設けられている。同様に、第2空気袋側流路(107)は、第2中継流路(107a)、第2給排気流路(107b)、及び第2排出路(107c)を有している。また、第2空気袋側流路(107)には、第1から第3のポートを有する第2給排気切換弁(109)が設けられている。
【0084】
第1中継流路(106a)の流入端は、給湯ユニット(10)の第2給気路(45)と接続している。第1中継流路(106a)の流出端は、第1給排気切換弁(108)の第1ポートと接続している。第1給排気流路(106b)の一端は、第1給排気切換弁(108)の第2ポートと接続している。第1給排気流路(106b)の他端は、第1空気袋(101)の給排気ポート(101c)と接続している。第1排出路(106c)の流入端は、第1給排気切換弁(108)の第3ポートと接続している。第1排出路(106c)の流出端は、外気側(大気圧側)に開口している。
【0085】
第2中継流路(107a)の流入端は、給湯ユニット(10)の第2給気路(45)と接続している。第2中継流路(107a)の流出端は、第2給排気切換弁(109)の第1ポートと接続している。第2給排気流路(107b)の一端は、第2給排気切換弁(109)の第2ポートと接続している。第2給排気流路(107b)の他端は、第2空気袋(102)の給排気ポート(102c)と接続している。第2排出路(107c)の流入端は、第2給排気切換弁(109)の第3ポートと接続している。第2排出路(107c)の流出端は、外気側(大気圧側)に開口している。
【0086】
2つの給排気切換弁(108,109)は、第1ポートと第2ポートとを連通させて第3ポートを遮断する第1状態(図2の実線で示す状態)と、第2ポートと第3ポートとを連通させて第1ポートを遮断する第2状態(図2の破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。各給排気切換弁(108,109)は、各空気袋(101,102)への給気、及び各空気袋(101,102)からの排気を切り換えて制御する開閉機構を構成している。
【0087】
太陽パネル駆動機構(93)は、角度センサ(110)と日射センサ(111)と太陽パネル制御部(112)とを有している。角度センサ(110)は、回動軸(95)の端部に取り付けられている。角度センサ(110)は、太陽光パネル(92)の角度位置を検出する検出部である。日射センサ(111)は、太陽の方位を検出する検出部である。太陽パネル制御部(112)は、角度センサ(110)及び日射センサ(111)の検出値に基づいて、太陽光パネル(92)の角度を調整するものである。具体的に、太陽パネル制御部(112)は、これらの検出値に応じて第1、第2給排気切換弁(108,109)を切り換えるように構成されている。
【0088】
図1に示すパワーコンディショナ(115)は、太陽光パネル(92)で発電した直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を所定の電力供給対象へ送るものである。パワーコンディショナ(115)は、インバータ回路、フィルタ回路、昇圧回路等を有し、これらの回路に含まれる複数のパワー素子(スイッチング素子等)やリアクタンス等が発熱部品を構成している。パワーコンディショナ(115)には、発熱部品の熱を放出するための放熱部(115a)が設けられている。この放熱部(115a)は、上述したウォータージャケット(39)に接触して配置されている。
【0089】
〈加圧ユニットの詳細構造〉
上述した加圧ユニット(70)の詳細構造について、図4(A)、及び図4(B)を参照しながら説明する。加圧ユニット(70)は、空気圧縮ユニット(50)の吐出ポート(55,56)から吐出された圧縮空気によって駆動される、被駆動体を構成している。実施形態1の加圧ユニット(70)は、ダイヤフラム式の加圧機構で構成されている。加圧ユニット(70)は、中空の箱状のケーシング(71)を有している。ケーシング(71)は、筒状のケース本体部(71a)と、該ケース本体部(71a)の一端側を閉塞する第1壁部(71b)と、該ケース本体部(71a)の他端側を閉塞する第2壁部(71c)とを有している。
【0090】
第1壁部(71b)には、吸入水ポート(72)と吐出水ポート(73)とが接続されている。吸入水ポート(72)の流入端は、給湯ユニット(10)の供給路(23)と接続している。吸入水ポート(72)の流出端は、第1壁部(71b)を貫通して該ケーシング(71)の内部に臨んでいる。吐出水ポート(73)の流入端は、第1壁部(71b)を貫通して該ケーシング(71)の内部に臨んでいる。吐出水ポート(73)の流出端は、シャワー(2)の流入端と接続している。
【0091】
第2壁部(71c)には、空気吸入ポート(74)が接続されている。空気吸入ポート(74)の流入端は、第1給気路(44)と接続している。空気吸入ポート(74)の流出端は、第1壁部(71b)を貫通してケーシング(71)の内部に臨んでいる。
【0092】
加圧ユニット(70)は、ダイヤフラム部(75)と、このダイヤフラム部(75)を駆動するためのダイヤフラム駆動機構(80)とを備えている。ダイヤフラム部(75)は、ケーシング(71)の内部における第1壁部(71b)寄りに配置されている。ダイヤフラム部(75)は、中央部が外周部と比較して柔軟に形成される略椀形状に形成されている。ダイヤフラム部(75)の外周縁部は、ケース本体部(71a)の内周壁に固定されている。これにより、ケーシング(71)の内部の空間は、水加圧室(76)と空気導入室(77)とに区画される。
【0093】
水加圧室(76)は、ダイヤフラム部(75)と第1壁部(71b)との間に形成され、吸入水ポート(72)及び吐出水ポート(73)と連通している。空気導入室(77)は、ダイヤフラム部(75)と第2壁部(71c)との間に形成され、空気吸入ポート(74)と連通している。なお、ケーシング(71)には、空気導入室(77)に流入した圧縮空気をケーシング(71)の外部に排出するための排出口(図示省略)が形成されている。
【0094】
ダイヤフラム駆動機構(80)は、空気導入室(77)に収容されている。ダイヤフラム駆動機構(80)は、羽根車(81)、出力軸(82)、直動変換機構(83)、従動ロッド部(84)、及び固定部材(85)を有している。羽根車(81)は、空気吸入ポート(74)の流出端の近傍に配置されている。羽根車(81)は、空気吸入ポート(74)から吐出される圧縮空気によって回転駆動される。出力軸(82)は、羽根車(81)の軸心に連結している。出力軸(82)は、軸受け部(図示省略)に回転自在に支持されている。直動変換機構(83)は、出力軸(82)の回転運動を従動ロッド部(84)の直線的な往復運動に変換するものである。直動変換機構(83)は、例えばスコッチ・ヨーク機構等、種々の変換機構を採用することができる。従動ロッド部(84)は、出力軸(82)によって駆動されて、ケース本体部(71a)の軸方向に進退する。固定部材(85)は、一端側の面に従動ロッド部(84)の先端部が固定されている。固定部材(85)の他端の面には、ダイヤフラム部(75)の中央部が固定されている。これにより、従動ロッド部(84)が往復運動を行うと、固定部材(85)と共にダイヤフラム部(75)の中央部が変位する。その結果、ダイヤフラム部(75)の形状が図4(A)、図4(B)のように変形し、水加圧室(76)の容積が変化する。その結果、水加圧室(76)の水が所定の圧力に加圧される。以上のように、ダイヤフラム部(75)は、圧縮空気(圧縮流体)を駆動源として変位するように構成されている。また、水加圧室(76)は、ダイヤフラム部(75)の変位に伴って水を加圧し、該水をシャワー(2)側へ送るための加圧流路を構成している。
【0095】
吸入水ポート(72)の内部には、弁座部(72a)、ボール弁(72b)、及びバネ部(72c)が設けられている。ボール弁(72b)は、弁座部(72a)よりも流出側に配置され、バネ部(72c)によって弁座部(72a)側に付勢されている。弁座部(72a)、ボール弁(72b)、及びバネ部(72c)は、シャワー(2)側から供給路(23)側への水の流出を禁止する逆止弁として機能する。
【0096】
吐出水ポート(73)の内部には、弁座部(73a)、ボール弁(73b)、及びバネ部(73c)が設けられている。ボール弁(73b)は、弁座部(73a)よりも流入側に配置され、バネ部(73c)によって弁座部(73a)側に付勢されている。弁座部(73a)、ボール弁(73b)、及びバネ部(73c)は、水加圧室(76)の内圧が所定圧力以上となると吐出水ポート(73)を開放する吐出弁を構成している。
【0097】
〈空気圧縮ユニットの詳細構造〉
上述した空気圧縮ユニット(50)の詳細構造について、図5を参照しながら説明する。
空気圧縮ユニット(50)は、水流路(20)の水圧によって流体を該水圧よりも高い圧力まで圧縮する昇圧機構であり、該流体として空気を圧縮する空気圧縮部を構成している。空気圧縮ユニット(50)は、水流路切換部(51)、空気流路切換部(52)、弁制御部(59)、及び空気圧縮機(60)を有している。
【0098】
水流路切換部(51)は、第1から第4までのポートを有する四方切換弁で構成されている。水流路切換部(51)では、第1ポートが空気圧縮機(60)の第1水ポート(53)と接続し、第2ポートが空気圧縮機(60)の第2水ポート(54)と接続し、第3ポートが流入路(21a)と接続し、第4ポートが流出路(21b)と接続している。流入路(21a)は、給水路(21)の一部を構成しており、上水道管側(水源側)と繋がっている。流出路(21b)は、給水路(21)の一部を構成しており、貯湯タンク(30)側(利用対象側)と繋がっている。
【0099】
水流路切換部(51)は、第1ポートと第3ポートとを連通させると同時に、第2ポートと第4ポートとを連通させる第1状態(図5の実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとを連通させると同時に、第2ポートと第3ポートとを連通させる第2状態(図5の破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
【0100】
空気流路切換部(52)は、第1から第3までのポートを有する三方切換弁で構成されている。空気流路切換部(52)では、第1ポートが空気圧縮機(60)の第1吐出ポート(55)と接続し、第2ポートが空気圧縮機(60)の第2吐出ポート(56)と接続し、第3ポートが空気流路(40)と接続している。空気流路切換部(52)は、第1ポートと第3ポートとを連通させると同時に第2ポートを遮断する第1状態(図5の実線で示す状態)と、第2ポートと第3ポートとを連通させると同時に第1ポートを遮断する第2状態(図5の破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
【0101】
弁制御部(59)は、水流路切換部(51)及び空気流路切換部(52)を制御するものである。具体的に、弁制御部(59)は、空気圧縮機(60)で第1動作と第2動作とを切り換えて行うように、水流路切換部(51)及び空気流路切換部(52)を制御する。より詳細には、弁制御部(59)は、第1動作において、水流路切換部(51)を第1状態とし且つ空気流路切換部(52)を第1状態とする。また、弁制御部(59)は、第2動作において、水流路切換部(51)を第2状態とし且つ空気流路切換部(52)を第2状態とする。これらの第1動作と第2動作との詳細は後述する。
【0102】
実施形態1の空気圧縮機(60)は、筒状の1つシリンダ部材(61)と、このシリンダ部材(61)の内部に進退自在に収容される1つのピストン部材(63)を有している。シリンダ部材(61)は、中空円筒状に形成されている。シリンダ部材(61)は、筒状胴部(61a)と、筒状胴部(61a)の軸方向の一端を閉塞する第1閉塞部(61b)と、筒状胴部(61a)の軸方向の他端を閉塞する第2閉塞部(61c)とを有している。
【0103】
シリンダ部材(61)の内部には、軸方向の中間部位に仕切部(62)が設けられている。この仕切部(62)により、シリンダ部材(61)の内部は、第1閉塞部(61b)側寄りの第1シリンダ室(C1)と、第2閉塞部(61c)側寄りの第2シリンダ室(C2)とに仕切られている。つまり、仕切部(62)は、シリンダ部材(61)の内部を、軸方向に隣り合う第1シリンダ室(C1)と第2シリンダ室(C2)とに仕切っている。
【0104】
ピストン部材(63)は、第1シリンダ室(C1)に進退自在に収容される第1ピストン部(64)と、第2シリンダ室(C2)に収容される進退自在に収容される第2ピストン部(65)と、両者のピストン部(64,65)を連結する1本のピストンロッド(66)とを有している。第1ピストン部(64)及び第2ピストン部(65)は、互いに同じ外径となる円板状に形成されている。ピストンロッド(66)は、仕切部(62)に形成された貫通口(62a)を貫通して両者のピストン部(64,65)を連結するロッド部を構成している。ピストンロッド(66)は、各ピストン部(64,65)よりも小径に形成され、シリンダ部材(61)の軸心と同軸となって軸方向に延びている。
【0105】
第1ピストン部(64)は、第1シリンダ室(C1)を第1受水室(W1)と第1空気室(A1)とに区画している。第1受水室(W1)は、第1閉塞部(61b)と第1ピストン部(64)との間に形成されている。第1空気室(A1)は、第1ピストン部(64)と仕切部(62)との間に形成されている。つまり、第1シリンダ室(C1)には、第1ピストン部(64)を挟んで仕切部(62)側に第1空気室(A1)が区画され、第1ピストン部(64)を挟んで仕切部(62)と反対側に第2空気室(A2)が区画されている。
【0106】
第2ピストン部(65)は、第2シリンダ室(C2)を第2受水室(W2)と第2空気室(A2)とに区画している。第2受水室(W2)は、第2閉塞部(61c)と第2ピストン部(65)との間に形成されている。第2空気室(A2)は、第2ピストン部(65)と仕切部(62)との間に形成されている。つまり、第2シリンダ室(C2)には、第2ピストン部(65)を挟んで仕切部(62)側に第2空気室(A2)が区画され、第2ピストン部(65)を挟んで仕切部(62)と反対側に第2受水室(W2)が区画されている。
【0107】
第1受水室(W1)には、第1水ポート(53)が接続している。第1空気室(A1)には、吐出口を構成する第1吐出ポート(55)、及び第1吸入ポート(57)が接続している。第2受水室(W2)には、第2水ポート(54)が接続している。第2空気室(A2)には、吐出口を構成する第2吐出ポート(56)、及び第2吸入ポート(58)とが接続している。第1吸入ポート(57)と第2吸入ポート(58)の各流入端は、室内や室外等の空気中(大気中)に開口している。
【0108】
各吸入ポート(57,58)の内部には、弁座部(57a,58a)、ボール弁(57b,58b)、及びバネ部(57c,58c)がそれぞれ設けられている。ボール弁(57b,57b)は、弁座部(57a,58a)よりも流入側に配置され、バネ部(57c,58c)によって弁座部(57a,58a)側に付勢されている。弁座部(57a,58a)、ボール弁(57b,58b)、及びバネ部(57c,58c)は、各空気室(A1,A2)内の空気が各吸入ポート(57,58)を通じてシリンダ部材(61)の外部へ流出するのを禁止する逆止弁を構成している。
【0109】
各吐出ポート(55,56)の内部には、弁座部(55a,56a)、ボール弁(55b,56b)、及びバネ部(55c,56c)がそれぞれ設けられている。ボール弁(55b,56b)は、弁座部(55a,55a)よりも流出側に配置され、バネ部(57c,58c)によって弁座部(57a,58a)側に付勢されている。弁座部(55a,56a)、ボール弁(55b,56b)、及びバネ部(55c,56c)は、空気室(A1,A2)の内圧が所定圧力以上となると、吐出ポート(55,56)を開放する吐出弁を構成している。
【0110】
ピストン部材(63)は、受水室(W1,W2)に流入した水道水の水圧を受けて変位し、空気室(A1,A2)の容積を縮小させる変位部材を構成している。具体的に、ピストン部材(63)は、第1受水室(W1)の水圧によって変位して第1空気室(A1)の容積を縮小させる第1動作と、上記第2受水室(W2)の水圧によって変位して第2空気室(A2)の容積を縮小させる第2動作とを行うように構成されている。
【0111】
また、各ピストン部(64,65)では、各受水室(W1,W2)側に臨む受圧面Sw1,Sw2の面積が、空気室(A1,A2)に臨む増圧面Sa1,Sa2の面積よりも大きくなっている。具体的に、第1ピストン部(64)には、第1空気室(A1)側の端面にピストンロッド(66)が設けられている。このため、第1ピストン部(64)では、第1受水室(W1)側に面する部位の面積(即ち、受圧面Sw1の面積)が、第1空気室(A1)側に面する部位の面積(即ち、増圧面Sa1の面積)よりも、ピストンロッド(66)の軸直角断面の面積の分だけ小さくなっている。同様に、第2ピストン部(65)では、第2空気室(A2)側の端面にピストンロッド(66)が設けられている。このため、第2ピストン部(65)では、第2受水室(W2)側に面する部位の面積(即ち、受圧面Sw2の面積)が、第2空気室(A2)側に面する部位の面積(即ち、増圧面Sa2の面積)よりも、ピストンロッド(66)の軸直角断面の面積の分だけ小さくなっている。
【0112】
−運転動作−
実施形態1に係る給湯システム(S)の運転動作について説明する。
【0113】
〈基本動作〉
給湯システム(S)の運転時には、上水道水が貯湯タンク(30)に適宜供給され、この貯湯タンク(30)内の水が適宜加熱される。また、貯湯タンク(30)で生成された温水が、シャワー(2)等の利用対象へ適宜供給される。このような、給湯システム(S)の基本動作について図1を参照しながら説明する。
【0114】
給湯システム(S)の運転時には、上水道管の水が給水路(21)を介して貯湯タンク(30)へ適宜供給される。具体的に、上水道管の水は、空気圧縮ユニット(50)を通過する。この際、空気圧縮ユニット(50)では、水道水の水圧によって空気が圧縮され、この空気が蓄圧タンク(41)に貯留される(詳細は後述する)。空気圧縮ユニット(50)を通過した水は、減圧弁(32)で減圧される。減圧された水は、貯湯タンク(30)の内部に流入する。このように減圧弁(32)で水を減圧することで、貯湯タンク(30)内の圧力も低くなる。よって、貯湯タンク(30)の耐圧を十分に確保できる。
【0115】
貯湯タンク(30)内の水は、熱源ユニット(10a)によって適宜加熱される。具体的に、貯湯タンク(30)の水を加熱する加熱動作時には、圧縮機(11)、及び室外ファン(16)が運転され、膨張弁(13)の開度が適宜調節される。これにより、冷媒回路(15)では、冷凍サイクルが行われる。具体的に、この冷凍サイクルでは、圧縮機(11)で圧縮された冷媒が、水熱交換器(12)の第1内部流路(12a)で放熱する。放熱した冷媒は、膨張弁(13)で減圧されて室外熱交換器(14)で蒸発し、圧縮機(11)に吸入される。
【0116】
加熱動作時には、第1循環ポンプ(34)が運転され、三方切換弁(35)が図1の実線で示す状態に切り換えられる。これにより、貯湯タンク(30)内は、加熱循環流路(22)に流入し、水熱交換器(12)の第2内部流路(12b)を流れる。水熱交換器(12)では、第1内部流路(12a)を流れる冷媒の熱が、第2内部流路(12b)を流れる水に付与される。これにより、第2内部流路(12b)を流れる水が所定温度まで加熱される。第2内部流路(12b)で加熱された水は、貯湯タンク(30)内に返送される。
【0117】
貯湯タンク(30)内で生成された温水は、シャワー(2)やその他の利用対象へ適宜供給される。具体的に、貯湯タンク(30)の温水を供給する供給動作時には、給湯混合弁(36)が供給路(23)を開放状態とする。これにより、貯湯タンク(30)内の温水は、該貯湯タンク(30)の内圧によって搬送され、給湯混合弁(36)を通過する。この際、給湯混合弁(36)は、分岐路(26)側のポートの開度も適宜調整する。これにより、貯湯タンク(30)側から供給される温水と、分岐路(26)側から供給される水(冷水)とが所定の比率で混合され、供給水の温度が調整される。このようにして温度調整された水は、加圧ユニット(70)を通過した後、シャワー(2)へ送られる。
【0118】
〈太陽パネルユニットの動作〉
太陽パネルユニット(91)では、太陽光の方角に応じて太陽光パネル(92)の角度が調整される。給湯システム(S)では、この太陽光パネル(92)の駆動源として、空気圧縮ユニット(50)から供給された圧縮空気が利用される。太陽パネルユニット(91)の動作について図1〜図3を参照しながら説明する。
【0119】
給湯システム(S)において、太陽光パネル(92)を駆動する際には、三方切換機構(42)が図1の破線で示す状態に切り換わる。これにより、蓄圧タンク(41)に貯留された圧縮空気は、給排気機構(105)側へ送られる。この状態において、太陽パネル制御部(112)は、太陽の位置(方角)に応じて、各給排気切換弁(108,109)を制御する。より詳細に、太陽パネル制御部(112)は、角度センサ(110)で検出した太陽光パネル(92)の角度位置と、日射センサ(111)で検出した太陽の日射方向とに基づいて、太陽光パネル(92)の必要な回動角度を算出する。そして、太陽パネル制御部(112)は、太陽光パネル(92)が算出した回転角度で変位するように、各給排気切換弁(108,109)を制御し、各空気袋(101,102)を伸縮させる。
【0120】
例えば太陽が東側(例えば図3におけるの右上側)に位置していたとする。この場合、太陽パネル制御部(112)は、東側寄りに設けられる第2空気袋(102)の受け部(102b)が、第1空気袋(101)の受け部(101b)よりも低い位置とするように、各給排気切換弁(108,109)を制御する。具体的に、この場合には第2給排気切換弁(109)を第2状態とすることで、第2給排気流路(107b)と第2排出路(107c)とを連通させる。これにより、第2空気袋(102)内の圧縮空気が第2排出路(107c)を通じて大気中へ放出される。その結果、第2空気袋(102)は徐々に収縮し、第2空気袋(102)の受け部(102b)が下方に変位する。同時に、第1給排気切換弁(108)を第1状態とすることで、第1中継流路(106a)と第1給排気流路(106b)とを連通させる。これにより、第1中継流路(106a)側の圧縮空気が、第1空気袋(101)に流入する。その結果、第1空気袋(101)は徐々に伸張し、第1空気袋(101)の第1受け部(101b)が上方に変位する。以上のように各受け部(101b,102b)の高さ位置を調整することで、太陽光パネル(92)を図3(A)に示すような角度位置に調整できる。
【0121】
また、例えば太陽が南側(例えば図3における上側)に位置していたとする。この場合、太陽パネル制御部(112)は、第1空気袋(101)の受け部(101b)と、第2空気袋(102)の受け部(102b)とを同じ位置とするように、各給排気切換弁(108,109)を制御する。具体的に、この場合には第1給排気切換弁(108)と第2給排気切換弁(109)とを第1状態又は第2状態に適宜切り換えることで、各受け部(101b,102b)を同じ高さ変位させる。以上のように各受け部(101b,102b)の高さ位置を調整することで、太陽光パネル(92)を図3(B)に示すような角度位置に調整できる。
【0122】
また、例えば太陽が西側(例えば図3における左上側)に位置していたとする。この場合、太陽パネル制御部(112)は、第1空気袋(101)の受け部(101b)が、第2空気袋(102)の受け部(102b)よりも低い位置とするように、各給排気切換弁(108,109)を制御する。具体的に、この場合には第1給排気切換弁(108)を第2状態とし、第2給排気切換弁(109)を第1状態とする。その結果、第1空気袋(101)を収縮させて受け部(101b)を下方に変位させることができる。同時に、第2空気袋(102)を収縮させて受け部(101b)を上方に変位させることができる。以上のように各受け部(101b,102b)の高さ位置を調整することで、太陽光パネル(92)を図3(C)に示すような角度位置に調整できる。
【0123】
以上のようにして、太陽光パネル(92)の受光面(92a)に太陽光が授与されると、太陽光パネル(92)では、直流電力が生成される。この直流電力は、パワーコンディショナ(115)に出力されて、該パワーコンディショナ(115)によって交流電力に変換される。パワーコンディショナ(115)から出力された交流電力は、熱源ユニット(10a)や他の電力供給対象へ供給される。
【0124】
この際、パワーコンディショナ(115)では、スイッチング素子の切換等により、発熱部品から熱が放出される。この熱は、放熱部(115a)及びジャケット部(39a)を介して冷却水路(39b)を流れる水に付与される。その結果、パワーコンディショナ(115)の発熱部品を冷却することができる。パワーコンディショナ(115)の発熱部品から吸熱して貯湯タンク(30)に流入する。これにより、パワーコンディショナ(115)からの熱を貯湯タンク(30)の温水の生成に利用できる。
【0125】
〈空気圧縮ユニットの運転動作〉
上述した基本動作時には、空気圧縮ユニット(50)が水道水の水圧を利用して空気を圧縮する。この空気圧縮ユニット(50)の運転について、図5〜図8を参照しながら説明する。
【0126】
空気圧縮ユニット(50)の運転動作では、第1空気室(A1)の空気を圧縮する第1動作と、第2空気室(A2)の空気を圧縮する第2動作とが、所定の期間置きに交互に実行される。これにより、空気圧縮ユニット(50)では、圧縮空気が連続的に生成される。空気圧縮ユニット(50)の運転開始時には、第1動作又は第2動作のいずれかが行われる。ここでは、第1動作を先に行った場合について説明する。
【0127】
初回の第1動作が開始されると、水流路切換部(51)及び空気流路切換部(52)がそれぞれ第1状態(図5の実線で示す状態)となる。その結果、第1水ポート(53)が水道管側と連通し、第2水ポート(54)が利用対象側(貯湯タンク(30)側)と連通する。同時に、第1吐出ポート(55)と空気流路(40)とが連通する。ここで、この初回の運転では、各受水室(W1,W2)に水が入っていない。このため、第1動作が開始されると、第1水ポート(53)を通じて第1受水室(W1)に水が充填される(図6(A)を参照)。一方、第2受水室(W2)には、水が充填されていないため、第2水ポート(54)へ水が流出することはない。
【0128】
図6(A)に示す状態において、第1水ポート(53)から第1受水室(W1)に更に水が流入すると、第1ピストン部(64)の受圧面Sw1に水圧が作用し、ピストン部材(63)が第2閉塞部(61c)側に変位していく(図6(B)を参照)。その結果、第1空気室(A1)の容積が徐々に小さくなり、第1空気室(A1)内の空気が圧縮される。この際、第1ピストン部(64)の受圧面Sw1は、第1空気室(A1)の空気の増圧面Sa1よりも大きくなっている。このため、パスカルの原理により、第1空気室(A1)の空気を第1受水室(W1)側の水道水の圧力よりも高い圧力まで増圧することができる。
【0129】
また、第1ピストン部(64)と共に第2ピストン部(65)が第2閉塞部(61c)側に変位していくと、第2空気室(A2)の容積が徐々に大きくなっていく。これにより、シリンダ部材(61)の外部の空気が、第2吸入ポート(58)を通じて第2空気室(A2)に吸入されていく。
【0130】
第1空気室(A1)の空気が所定圧力以上になると、第1吐出ポート(55)のボール弁(55b)が開放される。その結果、第1空気室(A1)内の圧縮空気が第1吐出ポート(55)を通じて空気流路(40)へ吐出される(図6(C)を参照)。空気流路(40)へ吐出された圧縮空気は、蓄圧タンク(41)内に貯留される。
【0131】
初回の第1動作が行われてから所定時間が経過すると、第2動作が実行される。第2動作では、水流路切換部(51)及び空気流路切換部(52)がそれぞれ第2状態(図5の破線で示す状態)となる。その結果、第2水ポート(54)が水道管側と連通し、第1水ポート(53)が利用対象側(貯湯タンク(30)側)と連通する。同時に、第2吐出ポート(56)と空気流路(40)とが連通する。第2動作が開始されると、第2水ポート(54)を通じて第2受水室(W2)に水が充填される(図7(A)を参照)。
【0132】
図7(A)に示す状態において、第2水ポート(54)から第2受水室(W2)に更に水が流入すると、第2ピストン部(65)の受圧面Sw2に水圧が作用し、ピストン部材(63)が第1閉塞部(61b)側に変位していく(図7(B)を参照)。その結果、第2空気室(A2)の容積が徐々に小さくなり、第2空気室(A2)内の空気が圧縮される。この際、第2ピストン部(65)の受圧面Sw2は、第2空気室(A2)の空気の増圧面Sa2よりも大きくなっている。このため、パスカルの原理により、第2空気室(A2)の空気を第2受水室(W2)側の水道水の圧力よりも高い圧力まで増圧することができる。
【0133】
また、第2ピストン部(65)と共に第1ピストン部(64)が第1閉塞部(61b)側に変位していくと、第1受水室(W1)の容積が徐々に小さくなり、第1空気室(A1)の容積が徐々に大きくなってく。このため、第1受水室(W1)の水は、第1水ポート(53)に流出し、給水路(21)を経由して貯湯タンク(30)へ供給される。同時に、シリンダ部材(61)の外部の空気が、第1吸入ポート(57)を通じて第1空気室(A1)に吸入されていく(図7(B)を参照)。
【0134】
第2空気室(A2)の空気が所定圧力以上になると、第2吐出ポート(56)のボール弁(56b)が開放される。その結果、第2空気室(A2)内の圧縮空気が第2吐出ポート(56)を通じて空気流路(40)へ吐出される(図7(C)を参照)。空気流路(40)へ吐出された圧縮空気は、蓄圧タンク(41)内に貯留される。
【0135】
第2動作が行われてから所定時間が経過すると、第1動作が再び実行される。これにより、第1水ポート(53)から第1受水室(W1)に水が流入し、ピストン部材(63)が第2閉塞部(61c)側に変位する(図8(A)、図8(B)を参照)。これにより、第1空気室(A1)の空気が圧縮されるとともに、第2受水室(W2)の水が第2水ポート(54)を通じて貯湯タンク(30)へ供給される。同時に、シリンダ部材(61)の外部の空気が第2空気室(A2)に吸入される。
【0136】
第1空気室(A1)の空気が所定圧力以上になると、第1吐出ポート(55)の第1ボール弁(55b)が開放される。その結果、第1空気室(A1)内の圧縮空気が第1吐出ポート(55)を通じて空気流路(40)へ吐出される(図8(C)を参照)。空気流路(40)へ吐出された圧縮空気は、蓄圧タンク(41)内に貯留される。
【0137】
その後は、図7に示す第2動作と、図8に示す第1動作とが交互に繰り返し行われる。これにより、空気圧縮ユニット(50)からは、圧縮空気が連続的に蓄圧タンク(41)側へ供給されるとともに、水道水が連続的に貯湯タンク(30)側へ供給される。
【0138】
〈加圧ユニットの動作〉
給湯システム(S)の給湯ユニット(10)では、上述したように、水道水の圧力が減圧機構としての減圧弁(32)によって減圧されてから、貯湯タンク(30)に供給される。これにより、上水道管の水圧が比較的高い条件であっても、貯湯タンク(30)の内圧が過剰に高くなることがない。よって、貯湯タンク(30)の耐圧を確保することができる。一方、このように水道水の圧力を減圧弁(32)で減圧すると、シャワー(2)等の利用対象へ供給される水の水圧も低下してしまう。従って、シャワー(2)から吐出される水の水圧が小さくなり、シャワー(2)からユーザー等へ十分な吐出圧の水を供給できなくなる、という問題が生じてしまう。そこで、本実施形態1の給湯ユニット(10)では、空気圧縮ユニット(50)で圧縮した圧縮空気を利用して加圧ユニット(70)を駆動し、この加圧ユニット(70)によりシャワー(2)の吐出水を加圧するようにしている。
【0139】
具体的に、加圧ユニット(70)の動作時には、三方切換機構(42)が図1の実線で示す状態となり、第1ポートと第2ポートとが連通する。これにより、蓄圧タンク(41)内の圧縮空気は、加圧ユニット(70)側に供給される。この圧縮空気は、図4に示す空気吸入ポート(74)よりケーシング(71)内の空気導入室(77)に流入する。
【0140】
空気導入室(77)に圧縮空気が流入すると、この空気によって羽根車(81)が回転駆動される。すると、羽根車(81)に連結する出力軸(82)も回転する。出力軸(82)の回転運動は、直動変換機構(83)によって従動ロッド部(84)の往復運動に変換される。これにより、従動ロッド部(84)は、図4(A)の位置と図4(B)の位置との間を交互に変位する。これに伴い、従動ロッド部(84)に連結するダイヤフラム部(75)は、図4(A)の状態と図4(B)の状態とに交互に変形する。
【0141】
以上のようにして、ダイヤフラム部(75)が変形すると、水加圧室(76)で水が加圧される。具体的に、加圧ユニット(70)が図4(B)の状態から図4(A)の状態に切り換わると、吸入水ポート(72)のボール弁(72b)が開放され、供給路(23)の水が吸入水ポート(72)を通じて水加圧室(76)に導入される。この状態から再び図4(A)の状態になると、水加圧室(76)の容積が小さくなり、水加圧室(76)の水が加圧される。以上のようにして、水加圧室(76)の水圧が所定圧力以上になると、吐出水ポート(73)のボール弁(73b)が開放される。その結果、加圧された水は、吐出水ポート(73)を通じてシャワー(2)へ供給され、比較的高圧の吐出水となってユーザー等へ供給される。
【0142】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1の空気圧縮ユニット(50)では、水道水の圧力を利用して空気を圧縮している。これにより、水道水の過剰な圧力を有効に利用することができ、省エネ性の向上に寄与することができる。
【0143】
実施形態1では、第1空気室(A1)で空気を圧縮しつつ、水道水を第1受水室(W1)に補充し、且つ第2受水室(W2)の水を利用対象(2)側へ送る第1動作と、第2空気室(A2)で空気を圧縮しつつ、水道水を第2受水室(W2)に補充し、且つ第1受水室(W1)の水を利用対象(2)側へ送る第2動作とを交互に行うようにしている。これにより、空気圧縮ユニット(50)で連続的に圧縮空気を生成しつつ、水道水を利用対象(2)側へ供給することができる。
【0144】
実施形態1では、受水室(W1,W2)における水の受圧面Sw1,Sw2の面積を、空気室(A1,A2)における空気の増圧面Sa1,Sa2の面積よりも大きくしているため、空気室(A1,A2)の空気を水道水の圧力よりも高い圧力まで増圧させることができる。従って、比較的高い圧力の圧縮空気を得ることができる。
【0145】
特に、実施形態1では、減圧弁(32)で減圧される前の水道水の圧力を利用して圧縮空気を生成しているため、空気圧縮ユニット(50)で得られた圧縮空気の圧力を更に高くすることができる。
【0146】
実施形態1では、1つのシリンダ部材(61)の内部に1つのピストン部材(63)を収容し、2つの受水室(W1,W2)と2つの空気室(A1,A2)とを形成する構造としため、この装置の構造も比較的簡素である。従って、空気圧縮ユニット(50)の製造コストも低減できる。
【0147】
実施形態1では、空気圧縮ユニット(50)で生成した圧縮空気を、加圧ユニット(70)、及び太陽光パネル(92)の駆動源として利用している。このため、過剰となる水道圧のエネルギーをこれらの駆動源として回収できる、省エネ性に優れた給湯システムを提供できる。
【0148】
実施形態1では、加圧ユニット(70)によって加圧した水をシャワー(2)から吐出させるようにしている。これにより、貯湯タンク(30)の耐圧を確保するために水道水の圧力を減圧弁(32)で減圧しても、シャワー(2)から十分な吐出圧の水を噴出させることができる。
【0149】
《発明の実施形態2》
実施形態2に係る給湯システム(S)は、上記実施形態1と空気圧縮ユニット(50)の構成が異なるものである。図10に示すように、実施形態2の空気圧縮ユニット(50)は、実施形態1と同様の、水流路切換部(51)、空気流路切換部(52)、及び弁制御部(図示省略)を有している。一方、実施形態2の空気圧縮機(60)は、実施形態1と異なり、2つのシリンダ部材(121,122)を有する2シリンダ式に構成されている。
【0150】
2つのシリンダ部材(121,122)は、第1シリンダ部材(121)と、第2シリンダ部材(122)とで構成されている。各シリンダ部材(121,122)は、筒状胴部(121a,122a)と、筒状胴部(121a,122a)の軸方向の一端を閉塞する第1閉塞部(121b,122b)と、筒状胴部(121a,122a)の軸方向の他端を閉塞する第2閉塞部(121c,122c)とを有している。第1シリンダ部材(121)の内部には、第1シリンダ室(C1)が形成され、第2シリンダ部材(122)の内部には、第2シリンダ室(C2)が形成されている。第1シリンダ室(C1)は、第2シリンダ室(C2)よりも大径で、且つ軸方向の長さが短くなっている。
【0151】
実施形態2の空気圧縮ユニット(50)は、実施形態1と同様、ピストン部材(123)を有している。ピストン部材(123)は、第1シリンダ室(C1)に収容される第1ピストン部(124)と、第2シリンダ室(C2)に収容される第2ピストン部(125)と、両者のピストン部(124,125)を連結する1本のピストンロッド(126)とを有し、変位部材を構成している。第1ピストン部(124)及び第2ピストン部(125)は円板状に形成され、第1ピストン部(124)が第2ピストン部(125)よりも大径となっている。ピストンロッド(126)は、第1シリンダ部材(121)の第2閉塞部(121c)、及び第2シリンダ部材(122)の第1閉塞部(122b)を貫通して両者のピストン部(124,125)を連結している。ピストンロッド(126)は、各ピストン部(124,125)よりも小径に形成され、両者のシリンダ部材(121,122)の軸心と同軸となって軸方向に延びている。
【0152】
第1ピストン部(124)は、第1シリンダ室(C1)を第1受水室(W1)と第2受水室(W2)とに区画している。第1受水室(W1)は、第1閉塞部(121b)と第1ピストン部(124)との間に形成されている。第2受水室(W2)は、第1ピストン部(64)と第2閉塞部(121c)との間に形成されている。つまり、第1シリンダ室(C1)には、第1ピストン部(124)を挟んで軸方向の一端側(第1閉塞部(121b)側)に第1受水室(W1)が形成され、第1ピストン部(124)を挟んで軸方向の他端側(第2閉塞部(121c)側)に第2受水室(W2)が形成されている。
【0153】
第2ピストン部(125)は、第2シリンダ室(C2)を第1空気室(A1)と第2空気室(A2)とに区画している。第1空気室(A1)は、第2閉塞部(122c)と第2ピストン部(125)との間に形成されている。第2空気室(A2)は、第2ピストン部(125)と第1閉塞部(122b)との間に形成されている。つまり、第2シリンダ室(C2)には、第2ピストン部(125)を挟んで軸方向の一端側(第2閉塞部(122c)側)に第1空気室(A1)が形成され、第2ピストン部(125)を挟んで軸方向の他端側(第1閉塞部(122b)側)に第2空気室(A2)が形成されている。
【0154】
実施形態2の空気圧縮機(120)には、実施形態1と同様にして、6本のポート(53〜58)が接続されている。具体的に、第1シリンダ部材(121)では、第1受水室(W1)に第1水ポート(53)が接続し、第2受水室(W2)に第2水ポート(54)が接続している。第2シリンダ部材(122)では、第1空気室(A1)に第1吐出ポート(55)の流入端と、第1吸入ポート(57)の流出端とが接続し、第2空気室(A2)に第2吐出ポート(56)の流入端と、第2吸入ポート(58)の流出端とが接続している。
【0155】
実施形態2の空気圧縮機(120)においても、 各受水室(W1,W2)側に臨む受圧面Sw1,Sw2の面積が、空気室(A1,A2)に臨む増圧面Sa1,Sa2よりも大きくなっている。具体的に、ピストン部材(123)では、第1ピストン部(124)における第1受水室(W1)側の受圧面Sw1の面積が、第2ピストン部(125)における第1空気室(A1)側の増圧面Sa1の面積よりも大きくなっている。また、ピストン部材(123)では、第1ピストン部(124)における第2受水室(W2)側の受圧面Sw2の面積が、第2ピストン部(125)における第2空気室(A2)側の増圧面Sa2の面積よりも大きくなっている。
【0156】
〈圧縮動作〉
実施形態2の空気圧縮ユニット(50)の運転動作について図10〜図13を参照しながら説明する。実施形態2の空気圧縮ユニット(50)では、実施形態1と同様、第1空気室(A1)の空気を圧縮する第1動作と、第2空気室(A2)の空気を圧縮する第2動作とが、所定の期間置きに交互に実行される。
【0157】
初回の第1動作が開始されると、水流路切換部(51)及び空気流路切換部(52)がそれぞれ第1状態(図10の実線で示す状態)となる。その結果、上水道管の水道水が第1水ポート(53)を通じて第1受水室(W1)に流入する。一方、第2受水室(W2)は第2水ポート(54)と連通するが、第2受水室(W2)には水が充填されていないため、第2水ポート(54)を水が流れることはない。
【0158】
図11(A)に示す状態において、第1水ポート(53)から第1受水室(W1)に更に水が流入すると、第1ピストン部(124)の受圧面Sw1に水圧が作用し、ピストン部材(123)が第2閉塞部(121c,122,)側に変位していく(図11(B)を参照)。その結果、第1空気室(A1)の容積が徐々に小さくなり、第1空気室(A1)内の空気が圧縮される。この際、第1ピストン部(124)の受圧面Sw1は、第1空気室(A1)の空気の増圧面Sa1よりも大きくなっている。このため、パスカルの原理により、第1空気室(A1)の空気を第1受水室(W1)側の水道水の圧力よりも高い圧力まで増圧することができる。
【0159】
また、第2シリンダ部材(122)では、第2ピストン部(125)の変位に伴い第2空気室(A2)の容積が徐々に大きくなっていく。これにより、第2シリンダ部材(122)の外部の空気が、第2吸入ポート(58)を通じて第2空気室(A2)に吸入されていく。
【0160】
第1空気室(A1)の空気が所定圧力以上になると、第1吐出ポート(55)のボール弁(55b)が開放される。その結果、第1空気室(A1)内の圧縮空気が第1吐出ポート(55)を通じて空気流路(40)へ吐出される(図11(C)を参照)。空気流路(40)へ吐出された圧縮空気は、蓄圧タンク(41)内に貯留される。
【0161】
初回の第1動作が行われてから所定時間が経過すると、第2動作が実行される。第2動作では、水流路切換部(51)及び空気流路切換部(52)がそれぞれ第2状態(図10の破線で示す状態)となる。その結果、上水道管の水道水が第2水ポート(54)を通じて第2受圧室(W2)に流入する。
【0162】
図12(A)に示す状態において、第2水ポート(54)から第2受水室(W2)に更に水が流入すると、第2ピストン部(125)の受圧面Sw2に水圧が作用し、ピストン部材(123)が第1閉塞部(121b,122b)側に変位していく(図12(B)を参照)。その結果、第2空気室(A2)の容積が徐々に小さくなり、第2空気室(A2)内の空気が圧縮される。この際、第2ピストン部(125)の受圧面Sw2は、第2空気室(A2)の空気の増圧面Sa2よりも大きくなっている。このため、パスカルの原理により、第2空気室(A2)の空気を第2受水室(W2)側の水道水の圧力よりも高い圧力まで増圧することができる。
【0163】
また、第2シリンダ部材(122)では、第2ピストン部(125)の変位に伴い第1空気室(A1)の容積が徐々に大きくなっていく。これにより、第2シリンダ部材(122)の外部の空気が、第1空気室(A1)に吸入されていく。また、第1シリンダ部材(121)では、第1ピストン部(124)の変位に伴い第1受水室(W1)の容積が徐々に小さくなっていく。このため、第1受水室(W1)の水は、第1水ポート(53)に流出し、給水路(21)を経由して貯湯タンク(30)へ供給される(図12(B)を参照)。
【0164】
第2空気室(A2)の空気が所定圧力以上になると、第2吐出ポート(56)のボール弁(56b)が開放される。その結果、第2空気室(A2)内の圧縮空気が第2吐出ポート(56)を通じて空気流路(40)へ吐出される(図12(C)を参照)。空気流路(40)へ吐出された圧縮空気は、蓄圧タンク(41)内に貯留される。
【0165】
第2動作が行われてから所定時間が経過すると、第1動作が再び実行される。これにより、第1水ポート(53)から第1受水室(W1)に水が流入し、ピストン部材(123)が第2閉塞部(121c,122c)側に変位する(図13(A)、図13(B)を参照)。これにより、第1空気室(A1)の空気が圧縮されるとともに、第2受水室(W2)の水が第2水ポート(54)を通じて貯湯タンク(30)へ供給される。同時に、第2シリンダ部材(122)の外部の空気が第2空気室(A2)に吸入される。
【0166】
第1空気室(A1)の空気が所定圧力以上になると、第1吐出ポート(55)の第1ボール弁(55b)が開放される。その結果、第1空気室(A1)内の圧縮空気が第1吐出ポート(55)を通じて空気流路(40)へ吐出される(図13(C)を参照)。空気流路(40)へ吐出された圧縮空気は、蓄圧タンク(41)内に貯留される。
【0167】
その後は、図12に示す第2動作と、図13に示す第1動作とが交互に繰り返し行われる。これにより、空気圧縮ユニット(50)からは、圧縮空気が連続的に蓄圧タンク(41)側へ供給されるとともに、水道水が連続的に貯湯タンク(30)側へ供給される。
【0168】
−実施形態2の効果−
実施形態2の空気圧縮ユニット(50)においても、実施形態1と同様、第1動作と第2動作とを交互に行うことで、圧縮空気を連続的に生成しつつ、水道水を利用対象(2)側へ供給することができる。また、受水室(W1,W2)における水の受圧面Sw1,Sw2の面積を、空気室(A1,A2)における空気の増圧面Sa1,Sa2の面積よりも大きくしているため、空気室(A1,A2)の空気を水道水の圧力よりも高い圧力まで増圧させることができる。
【0169】
特に、実施形態2の空気圧縮ユニット(50)では、2つのシリンダ部材(121,122)を別体に形成しているため、受圧面Sw1,Sw2の面積を増圧面Sa1,Sa2の面積よりも容易に大きくできる。
【0170】
《発明の実施形態3》
実施形態3の給湯システム(S)は、上記実施形態と加圧ユニット(70)の構成が異なるものである。実施形態3の加圧ユニット(70)は、シャワー(2)の上流近傍に接続されている。図14及び図15に示すように、実施形態3の加圧ユニット(70)は、エジェクタ機構(130)を有し、いわゆるエジェクタ方式の加圧機構で構成されている。
【0171】
エジェクタ機構(130)は、水の流れの上流側から下流側に向かって順に、水導入路(131)、柱状流路(132)、縮径流路(133)、混合流路(134)、拡径流路(135)、及び水導出路(136)を有している。水導入路(131)には、貯湯タンク(30)からの水が流入する。柱状流路(132)は、円柱状に形成され、周方向外方に水導入路(131)が接続され、軸方向の一端に縮径流路(133)が接続されている。縮径流路(133)は、下流側にすすむにつれて流路断面の面積を徐々に小さくするような略円錐形状の流路を形成している。
【0172】
混合流路(134)は、縮径流路(133)と拡径流路(135)との間に接続されている。混合流路(134)は、その流入端から流出端に亘って流路断面の形状がほぼ同じとなっている。混合流路(134)の流路長さは、縮径流路(133)や拡径流路(135)よりも長くなっている。
【0173】
拡径流路(135)は、混合流路(134)を流出した水の流速を低下させ、該水の圧力を上昇させるものである。拡径流路(135)は、下流側にすすむにつれて流路断面の面積を徐々に大きくするような略円錐状の流路を構成している。拡径流路(135)の下流端には、水導出路(136)が接続している。水導出路(136)の下流端には、図示を省略したシャワー(2)が接続される。
【0174】
エジェクタ機構(130)は、空気ノズル(137)を有している。空気ノズル(137)は、空気流れの上流側から下流側に向かって順に、空気導入路(137a)、空気縮径路(137b)、及び空気導出路(137c)を有している。
【0175】
空気導入路(137a)は、圧縮空気が供給される第1給気路(44)と接続している。空気縮径路(137b)は、空気導入路(137a)の下流端に接続され、柱状流路(132)の内部に形成されている。空気縮径路(137b)は、空気の流路を縮小して空気を高速化させるものである。空気縮径路(137b)は、下流側にすすむにつれて空気の流路断面の面積を徐々に小さくするような略円錐形状をしている。空気導出路(137c)は、空気縮径路(137b)の下流端に接続され、縮径流路(133)の内部に形成されている。空気導出路(137c)の下流端は、混合流路(134)の上流側に開口している。これにより、混合流路(134)では、混合流路(134)では、縮径流路(133)から流出した水と、空気ノズル(137)から供給された圧縮空気とが混合される。
【0176】
〈加圧動作〉
実施形態3の加圧ユニット(70)の加圧動作について説明する。加圧ユニット(70)の動作時には、三方切換機構(42)が図14の実線で示す状態となり、第1ポートと第2ポートとが連通する。これにより、蓄圧タンク(41)内の圧縮空気は、加圧ユニット(70)側に供給される。この圧縮空気は、図15に示すように、エジェクタ機構(130)の空気ノズル(137)に流入する。空気ノズル(137)に流入した水は、空気導入路(137a)を通過し、空気縮径路(137b)で高速化された後、空気導出路(137c)を介して混合流路(134)へ流出する。
【0177】
一方、貯湯タンク(30)から供給された水は、エジェクタ機構(130)の水導入路(131)に流入する。この水は、柱状流路(132)に流出して直角方向に案内された後、縮径流路(133)を流れる。この縮径流路(133)には、空気ノズル(137)から噴出された圧縮空気により負圧が作用している。このため、縮径流路(133)の水は、圧縮空気に引き込まれて混合流路(134)に流出し、この混合流路(134)で高速化される。同時に、混合流路(134)では、空気と水とが混合される。この混合流路(134)中の水は、拡径流路(135)を流れることで、流路断面が拡大されて減速される。その結果、拡径流路(135)では、水の圧力が昇圧される。以上のようにして、加圧された水は、空気とともにシャワー(2)へ送られる。これにより、シャワー(2)からは、比較的高圧の吐出水がユーザー等へ供給される。
【0178】
−実施形態3の効果−
実施形態3では、実施形態1と同様、加圧ユニット(70)によって加圧した水をシャワー(2)から吐出させるようにしている。これにより、貯湯タンク(30)の耐圧を確保するために水道水の圧力を減圧弁(32)で減圧しても、シャワー(2)から十分な吐出圧の水を噴出させることができる。
【0179】
また、実施形態3では、加圧ユニット(70)として、エジェクタ機構(130)を有するエジェクタ方式の加圧機構を用いている。このため、圧縮空気による吸引圧を利用して、水の圧力を効率良く上昇させることができる。また、混合流路(134)では、水と圧縮空気とが混合するため、シャワー(2)からは微細な空気を含む水を噴出させることができる。このようにすると、シャワー(2)から噴出される水量を低減しつつ、所望とする洗浄効果を得ることができる。従って、水道水を節約することができる。
【0180】
《発明の実施形態4》
実施形態4に係る給湯システム(S)では、上記実施形態1の第1循環ポンプ(34)、及び第2循環ポンプ(38)が、上記実施形態1の加圧ユニット(70)(図4を参照)と同じ構成のダイヤフラム式のポンプで構成されている。つまり、実施形態4では、第1循環ポンプ(34)及び第2循環ポンプ(38)が、圧縮空気によって駆動される被駆動体となっている。
【0181】
具体的に、図16に示すように、実施形態4の空気流路(40)には、主給気路(43)から分岐する第3給気路(48)が設けられている。第3給気路(48)の下流側は、第1ポンプ側給気路(48a)と、第2ポンプ側給気路(48b)とに分岐している。第1ポンプ側給気路(48a)の下流端は、第1循環ポンプ(34)の空気導入室(77a)と接続している。第2ポンプ側給気路(48b)の下流端は、第2循環ポンプ(38)の空気導入室(77b)と接続している。また、第1ポンプ側給気路(48a)には、第1開閉弁(49a)が接続され、第2ポンプ側給気路(48b)には、第2開閉弁(49b)が接続されている。これらの開閉弁(49a,49b)は、例えば電磁開閉弁で構成されている。
【0182】
第1循環ポンプ(34)の運転時には、第1開閉弁(49a)が開放される。これにより、蓄圧タンク(41)内の圧縮空気が、第1循環ポンプ(34)の空気導入室(77a)に供給され、ダイヤフラム部(75a)が図4(A)の状態と図4(B)の状態とに交互に変形する。その結果、第1循環ポンプ(34)の水加圧室(76a)の容積が拡縮され、加熱循環流路(22)の水が搬送される。
【0183】
同様に、第2循環ポンプ(38)の運転時には、第2開閉弁(49b)が開放される。これにより、蓄圧タンク(41)内の圧縮空気が、第2循環ポンプ(38)の空気導入室(77b)に供給され、ダイヤフラム部(75b)が図4(A)の状態と図4(B)の状態とに交互に変形する。その結果、第2循環ポンプ(68)の水加圧室(76b)の容積が拡縮され、冷却循環流路(28)の水が搬送される。
【0184】
《発明の実施形態5》
図17に示す実施形態5に係る給湯システム(S)では、実施形態1のシャワー(2)に代わって、蛇口(3)が利用対象として設けられている。蛇口(3)は、水流路(20)の流出端に接続されて、水を所定の圧力で吐出させる吐出機構を構成している。実施形態5では、貯湯タンク(30)が地上付近に配置されているのに対し、蛇口(3)は家屋の3階に配置されている。つまり、実施形態5では、水が供給される利用対象が、貯湯タンク(30)よりも高くに位置している。
【0185】
このようにして、蛇口(3)が高い位置に設けられると、貯湯タンク(30)から蛇口(3)までの揚程が大きくなり、蛇口(3)から吐出される水の圧力が低下し易くなる。しかしながら、実施形態5の蛇口(3)の上流側近傍には、上記実施形態1と同様の加圧ユニット(70)が設けられている。このため、蛇口(3)から供給される吐出水の圧力を十分確保できる。
【0186】
《発明の実施形態6》
図18に示す実施形態6に係る給湯システム(S)では、実施形態1のシャワー(2)に代わって、噴霧器(4)が利用対象として設けられている。噴霧器(4)は、水流路(20)の流出端に接続されて、水を所定の圧力で吐出させる吐出機構を構成している。実施形態6では、貯湯タンク(30)が地上付近に配置されているのに対し、噴霧器(4)は屋根の上方に配置されている。つまり、実施形態6においても、水が供給される利用対象が、貯湯タンク(30)よりも高くに位置している。
【0187】
また、実施形態6では、噴霧器(4)の噴出口が、太陽光パネル(92)の受光面(92a)に対向している。つまり、実施形態6の噴霧器(4)からは、太陽光パネル(92)の受光面(92a)に向かって、洗浄水が噴出される。これにより、圧縮空気を利用して太陽光パネル(92)を適宜洗浄することができる。
【0188】
一方、このように、噴霧器(4)が高い位置に設けられると、噴霧器(4)から噴出される水の水圧が低下し易くなる。しかしながら、実施形態6の上流側近傍には、上記実施形態1と同様の加圧ユニット(70)が設けられている。このため、噴霧器(4)から共有される吐出水の圧力を十分確保でき、太陽光パネル(92)の洗浄効果を十分に得ることができる。
【0189】
《発明の実施形態7》
図19に示す実施形態7に係る給湯システム(S)では、貯湯タンク(30)と利用対象(2)との間の回路に、上記実施形態1と同様の空気圧縮ユニット(50)が設けられている。具体的に、供給路(23)から分岐する逃がし流路(27)の流出側に、空気圧縮ユニット(50)と蓄圧タンク(41)とが付加されている。
【0190】
上述したように、貯湯タンク(30)では、温水の生成に伴い水蒸気が発生するため、貯湯タンク(30)の内圧が過剰となることがある。この場合には、リリーフ弁(37)が開放され、貯湯タンク(30)内の水が逃がし流路(27)へ流出する。そこで、図19の例では、逃がし流路(27)へ流出した水の圧力を利用して空気を圧縮するようにしている。これにより、給湯システム(S)では、逃がし流路(27)から下水道管へ排出していた水の圧力を空気圧として回収し、この空気圧を利用して所定の被駆動体を駆動させることができる。
【0191】
《発明の実施形態8》
図20に示す実施形態8に係る給湯システム(S)では、冷却循環流路(28)の流入端の高さ位置、及び該冷却循環流路(28)の流出端の高さ位置が、上記実施形態1と異なる位置となっている。具体的に、図20の例では、冷却循環流路(28)の流入端の高さが、貯湯タンク(30)の上下方向の中間部に位置し、冷却循環流路(28)の流出端の高さが、貯湯タンク(30)の上部近傍に位置している。この例では、パワーコンディショナ(115)の発熱部品から吸熱した循環水が、貯湯タンク(30)における比較的高い部位に返送される。このため、貯湯タンク(30)の下側の水温が高く成りすぎるのを防止できる。よって、貯湯タンク(30)から加熱循環流路(22)へ流出する水の温度を比較的低くすることができる。その結果、冷媒回路(15)では、水熱交換器(12)の冷媒(二酸化炭素)を十分に放熱させることができるため、所望とする冷凍サイクルを行うことができる。
【0192】
《発明の実施形態10》
実施形態9に係る給湯システム(S)では、実施形態1の加圧ユニット(70)と異なるタイプのダイヤフラム方式の加圧機構が適用されている。
【0193】
具体的に、図21に示す例の加圧ユニット(70)は、ハウジング(140)の内部に、水の流路が形成されている。この水の流路は、貯湯タンク(30)側と連通する上流側分岐路(141)と、シャワー(2)側と連通する下流側分岐路(142)とを有している。上流側分岐路(141)の流出側は、第1分岐路(141a)と第2分岐路(141b)とに分岐している。同様に、下流側分岐路(142)の流入側は、第3分岐路(142a)と第4分岐路(142b)とに分岐している。第1分岐路(141a)の流出端には、第1ボール弁(143a)が設けられ、第2分岐路(141b)の流出端には、第2ボール弁(143b)が設けられている。第3分岐路(142a)の流入端には、第3ボール弁(144a)が設けられ、第4分岐路(142b)の流入端には、第4ボール弁(144b)が設けられている。
【0194】
ハウジング(140)の内部には、第1チャンバ(145)と第2チャンバ(146)とが形成されている。第1チャンバ(145)は、第1分岐路(141a)と第3分岐路(142a)との間に形成されている。第2チャンバ(146)は、第2分岐路(141b)と第4分岐路(142b)との間に形成されている。第1チャンバ(145)は、第1ダイヤフラム部(147)によって第1水加圧室(145a)と第1空気導入室(145b)とに区画されている。第2チャンバ(146)は、第2ダイヤフラム部(148)によって第2水加圧室(146a)と第2空気導入室(146b)とに区画されている。第1ダイヤフラム部(147)と第2ダイヤフラム部(148)とは、連結軸(149)を介して連結されている。第1水加圧室(145a)と第2水加圧室(146a)とは、ダイヤフラム部(147,148)の変位に伴って水流路(20)の水を加圧してシャワー(2)へ送る加圧流路を構成している。
【0195】
ハウジング(140)の内部には、空気圧縮ユニット(50)側からの圧縮空気が供給される、空気供給室(150)が形成されている。空気供給室(150)は、第1切換流路(151)を通じて第1空気導入室(145b)と連通するとともに、第2切換流路(152)を通じて第2空気導入室(146b)と連通している。加圧ユニット(70)では、図示しない切換機構により、空気供給室(150)の圧縮空気を第1切換流路(151)を通じて第1空気導入室(145b)へ供給する第1動作(図21(A)に示す動作)と、空気供給室(150)の圧縮空気を第2切換流路(152)を通じて第2空気導入室(146b)へ供給する第2動作(図21(B)に示す動作)とが交互に繰り返し行われる。
【0196】
具体的に、第1動作において、空気供給室(150)の圧縮空気が第1空気導入室(145b)へ供給されると、第1ダイヤフラム部(147)が圧縮空気によって押圧されて、第1水加圧室(145a)側に変位する。同時に、第2ダイヤフラム部(148)は第2空気導入室(146b)側に変位する。その結果、第2水加圧室(146a)の容積が拡大する。このようにして第2水加圧室(146a)の内圧が低下すると、第2ボール弁(143b)が第2水加圧室(146a)側に変位して第2分岐路(141b)が開放される。これにより、貯湯タンク(30)側の水が第2分岐路(141b)を通じて第2水加圧室(146a)に流入する。
【0197】
次いで、第2動作が行われ、空気供給室(150)の圧縮空気が第2空気導入室(146b)へ供給されると、第2ダイヤフラム部(148)が圧縮空気によって押圧されて、第2水加圧室(146a)側に変位する。これにより、第2水加圧室(146a)の容積が縮小され、第2水加圧室(146a)内の水が加圧される。第2水加圧室(146a)の圧力が上昇すると、第4ボール弁(144b)が下流側分岐路(142)側に変位して第4分岐路(142b)が開放される。その結果、圧縮された水は、下流側分岐路(142)を経由してシャワー(2)へ供給される。
【0198】
第2動作において、第1ダイヤフラム部(147)が第1空気導入室(145b)側に変位すると、第1水加圧室(145a)の容積が拡大する。このようにして第1水加圧室(145a)の内圧が低下すると、第1ボール弁(143a)が第1水加圧室(145a)側に変位して第1分岐路(141a)が開放される。これにより、貯湯タンク(30)側の水が第1分岐路(141a)を通じて第1水加圧室(145a)に流入する。
【0199】
次いで、第1動作が再び行われ、空気供給室(150)の圧縮空気が第1空気導入室(145b)へ供給されると、第2ダイヤフラム部(148)が圧縮空気によって押圧されて、第1水加圧室(145a)側に変位する。これにより、第1水加圧室(145a)の容積が縮小され、第1水加圧室(145a)内の水が加圧される。第1水加圧室(145a)の圧力が上昇すると、第3ボール弁(144a)が下流側分岐路(142)側に変位して第3分岐路(142a)が開放される。その結果、圧縮された水は、下流側分岐路(142)を経由してシャワー(2)へ供給される。
【0200】
第1動作において、第1ダイヤフラム部(147)が第2空気導入室(146b)側に変位すると、第2水加圧室(146a)の容積が拡大する。このようにして第2水加圧室(146a)の内圧が低下すると、第2ボール弁(143b)が第2水加圧室(146a)側に変位して第2分岐路(141b)が開放される。これにより、貯湯タンク(30)側の水が第2分岐路(141b)を通じて第2水加圧室(146a)に流入する。
【0201】
以上のように、図21に示す例の加圧ユニット(70)では、第1動作と第2動作とが交互に行われる。その結果、加圧ユニット(70)で圧縮された水がシャワー(2)へ連続的に供給され、シャワー(2)から比較的高圧の吐出水がユーザー等へ供給される。
【0202】
《その他の実施形態》
上述した実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0203】
〈発電機構を有する第1の変形例〉
図22及び図23に示すように、空気圧縮ユニット(50)に往復動式の発電機構(160)を設けてもよい(第1変形例)。この例では、上述した実施形態1の空気圧縮ユニット(50)に発電機構(160)が付加されている。発電機構(160)は、永久磁石(161)とコイル(162)とを有している。永久磁石(161)は、ピストン部材(63)のピストンロッド(66)の中央部の外周面に取り付けられている。コイル(162)は、永久磁石(161)の外周側に配置されている。発電機構(160)では、ピストン部材(63)の往復動に伴って永久磁石(161)も往復動(変位)する。この永久磁石(161)の往復動によってコイル(162)に起電力が発生して発電する。
【0204】
図23に示すように、この例の太陽パネル制御部(112)は、駆動回路(171)とスイッチ制御部(178)とを有している。駆動回路(171)は、ダイオードブリッジ回路(172)とコンデンサ(173)とスイッチング回路(174)とを有する。
【0205】
ダイオードブリッジ回路(172)は、4つのダイオード(D1〜D4)がブリッジ状に結線された整流回路である。ダイオードブリッジ回路(172)の入力端間には、発電機構(160)のコイル(162)が接続されている。コンデンサ(173)は、ダイオードブリッジ回路(172)の出力端間に接続されており、蓄電部を構成している。スイッチング回路(174)は、コンデンサ(173)の出力側に接続されており、互いに並列接続された第1及び第2スイッチ(175,176)を有する。また、スイッチング回路(174)は、太陽光発電ユニット(90)の第1及び第2給排気切換弁(108,109)と電気的に接続されている。第1給排気切換弁(108)が第1スイッチ(175)と直列に接続され、第2給排気切換弁(109)が第2スイッチ(176)と直列に接続されている。
【0206】
スイッチ制御部(178)は、角度センサ(110)と日射センサ(111)の検出値に基づいて、第1及び第2スイッチ(175,176)のスイッチング(オン/オフ)を行う。
【0207】
太陽パネル制御部(112)では、発電機構(160)で発電した電力がコンデンサ(173)に蓄積される。スイッチ制御部(178)によって第1及び第2スイッチ(175,176)がオンされると、コンデンサ(173)に蓄電された電力が各給排気切換弁(108,109)へ供給される。これにより、給排気切換弁(108,109)が駆動される。
【0208】
以上のように、空気圧縮ユニット(50)では、上述したようにピストン部材(63)が往復動することによって、発電機構(160)において発電する。このようにして発電機構(160)で発電した電力は、太陽パネル制御部(112)の駆動回路(171)に供給される。駆動回路(171)に供給された電力は、ダイオードブリッジ回路(172)で整流された後、コンデンサ(173)に蓄電され、給排気切換弁(108,109)の駆動に適宜利用される。
【0209】
第1変形例の空気圧縮ユニット(50)によれば、ピストン部材(63)の往復動を利用して発電する発電機構(160)を備えるようにしたため、発電のための駆動源を別途設けることなく発電電力を得ることができる。
【0210】
また、第1変形例の太陽パネルユニット(91)では、空気圧縮ユニット(50)の発電機構(160)によって発電した電力を蓄電するコンデンサ(173)を備えている。このため、停電した際でも、給排気切換弁(108,109)などの電機部品を駆動することができる。よって、信頼性の高い太陽パネルユニット(91)を提供できる。
【0211】
〈発電機構を有する第2の変形例〉
図24及び図25に示すように、空気圧縮ユニット(50)に回転式の発電機構(180)を設けてもよい(第2変形例)。この例では、上述した実施形態1の空気圧縮ユニット(50)に発電機構(180)が付加されている。発電機構(180)は、動力伝達部(181)と発電部(184)とを有している。動力伝達部(181)は、互いに回動自在に連結された第1及び第2ロッド(182,183)を有する。第1ロッド(182)の一端はピストン部材(63)の第1ピストン部(64)に接続され、第2ロッド(183)の一端は発電部(184)に接続されている。
【0212】
図25に示すように、発電部(184)は、回転子(185)と固定子(187)とを有する。回転子(185)は、固定子(187)の外周側に配置される筒状部材であり、その内周面には複数の永久磁石(186)が周方向に配列されている。これらの複数の永久磁石(186)は、S極の磁石とN極の磁石とが交互に配列されている。固定子(187)は、放射状に突出する複数の固定子コア(189)と、該固定子コア(189)に巻回されるコイル(188)とを有する。回転子(185)には、動力伝達部(181)の第2ロッド(183)の一端が回動自在に連結されている。
【0213】
第2変形例の発電機構(180)では、動力伝達部(181)によって、ピストン部材(63)の往復動が回転子(185)の回転動作に変換される。回転子(185)が回転すると、それに伴って、永久磁石(186)も回転(変位)する。これにより、コイル(188)に起電力が発生して発電する。この発電した電力は、上記第1変形例と同様、太陽パネル制御部(112)の駆動回路(171)に供給されてコンデンサ(173)に蓄電される。その他の構成、作用及び効果は上記第1変形例と同様である。
【0214】
〈発電機構を有する第3の変形例〉
図26に示すように、空気圧縮ユニット(50)に空気駆動式の発電機構(190)を設けてもよい(第3変形例)。この例では、上述した実施形態1の給湯システム(S)に発電機構(190)が付加されている。また、この例では、実施形態1と太陽パネル制御部(112)の構成が異なっている。
【0215】
第3変形例の空気圧縮ユニット(50)では、吐出管(19)から吐出された圧縮空気を利用して発電が行われる。具体的に、発電機構(190)は、風車(191)と発電部(192)を有している。この発電機構(190)では、風車(191)が回転することによって発電部(192)で発電する。風車(191)は、空気圧縮機(60)から吐出された圧縮空気が吹き付けられることで回転する。具体的に、給湯システム(S)では、図26に簡略して示すように、蓄圧タンク(41)に空気流路(40)とは別に吹出流路(193)が接続されている。吹出流路(193)は、蓄圧タンク(41)の圧縮空気が風車(191)へ向かって吹き出すように構成されている。吹出流路(193)には、開閉弁としての電磁弁(194)が設けられている。
【0216】
第3変形例の太陽パネル制御部(220)は、駆動回路(221)とスイッチ制御部(228)を有している。駆動回路(221)は、ダイオードブリッジ回路(222)と、コンデンサ(223)と、充電池(224)と、充放電切換回路(225)を有する。
【0217】
ダイオードブリッジ回路(222)は、4つのダイオード(D1〜D4)がブリッジ状に結線された整流回路である。ダイオードブリッジ回路(222)の入力端間には、発電機構(190)の発電部(192)が接続されている。コンデンサ(223)は、ダイオードブリッジ回路(222)の出力端間に接続されており、蓄電部を構成している。充電池(224)は、コンデンサ(223)の出力側に接続されている。充電池(224)の出力側は、負荷に接続されている。ここで言う負荷は、上記第1変形例に係る太陽パネル制御部(112)のスイッチング回路(174)と同様である。充放電切換回路(225)は、充電池(224)の充電動作と放電動作を切り換えるものであり、第1及び第2スイッチ(226,227)を有する。なお、充放電切換回路(225)にはコンデンサ(223)と充電池(224)側へ電流が逆流するのを防止するダイオードが適宜設けられている。第1スイッチ(226)は充電池(224)と直列に接続されており、第2スイッチ(227)は充電池(224)と第1スイッチ(226)との間と負荷との間に接続されている。
【0218】
スイッチ制御部(228)は、上記第1変形例1と同様、角度センサ(110)と日射センサ(111)の検出値に基づいて、第1及び第2スイッチ(226,227)のスイッチング(オン/オフ)を行う。また、スイッチ制御部(228)は、充電池(224)の充電状態に基づいて、電磁弁(194)や充放電切換回路(225)を制御する。スイッチ制御部(228)は、例えば、充電池(224)の充電量が満タンである場合、電磁弁(194)を閉じると共に、充放電切換回路(225)の第1スイッチ(226)をオフし且つ第2スイッチ(227)をオンする。そうすると、充電池(224)の電力が第2スイッチ(227)を介して負荷へ供給される。負荷へ供給された電力は、給排気切換弁(108,109)の駆動に用いられる。また、スイッチ制御部(228)は、充電池(224)の充電量が少なくなると、電磁弁(194)を開くと共に、充放電切換回路(225)の第1スイッチ(226)をオンし且つ第2スイッチ(227)をオフする。そうすると、吹出流路(193)から圧縮空気が風車(191)へ向かって吹き出して、風車(191)が回転する。これによって、発電部(192)が発電する。発電した電力は、ダイオードブリッジ回路(222)で整流された後、コンデンサ(223)や充電池(224)に蓄電(充電)される。
【0219】
第3変形例では、空気圧縮機(60)から吐出された圧縮空気を利用して風車(191)を回転させ発電させるようにしたため、風車(191)及び発電部(192)と太陽パネル制御部(220)の駆動回路(221)との接続距離を短く設定することができる。これにより、発電部(192)が発電した電力が駆動回路(221)へ供給される際に生じる電圧降下をできるだけ低減することができる。そのため、停電した際でも、十分な発電電力を確実に給排気切換弁(108,109)へ供給することができる。
【0220】
〈発電機構を有するその他の構成〉
上述した第1〜第3変形例の発電機構(160,180,190)を、上述した他の実施形態(実施形態2〜10)に適用してもよい。また、上述した第1〜第3の変形例の発電機構(160,180,190)では、発電した電力を給排気切換弁(108,109)の駆動に利用しているが、発電した電力を給水システム(S)に用いられた他の電動弁や他の電機部品の駆動に利用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0221】
以上説明したように、本発明は、空気圧縮ユニット、この空気圧縮ユニットを備えた太陽光追尾システム、及びこの空気圧縮ユニットを備えた給水システムについて有用である。
【符号の説明】
【0222】
2 シャワー(利用対象)
3 蛇口(利用対象)
4 噴霧器(利用対象)
20 水流路
21a 流入路
21b 流出路
30 貯湯タンク
34 第1循環ポンプ(水ポンプ、被駆動体)
38 第2循環ポンプ(水ポンプ、被駆動体)
40 空気流路
50 空気圧縮ユニット
51 水流路切換部
52 空気流路切換部
55 第1吐出ポート(吐出口)
56 第2吐出ポート(吐出口)
61 シリンダ部材
62 仕切部
63 ピストン部材(変位部材)
64 第1ピストン部
65 第2ピストン部
66 ロッド部(ピストンロッド)
70 加圧ユニット(被駆動体)
92 太陽光パネル(被駆動体)
93 太陽パネル駆動機構(アクチュエータ)
95 回動軸
121 第1シリンダ部材
122 第2シリンダ部材
123 ピストン部材(変位部材)
124 第1ピストン部
125 第2ピストン部
126 ロッド部(ピストンロッド)
160 発電機構
161 永久磁石(磁石)
162 コイル
173 コンデンサ(蓄電部)
180 発電機構
186 永久磁石(磁石)
188 コイル
190 発電機構
191 風車
223 コンデンサ(蓄電部)
224 蓄電池(蓄電部)
C1 第1シリンダ室
C2 第2シリンダ室
W1 第1受水室
W2 第2受水室
A1 第1空気室
A2 第2空気室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水が流入する受水室(W1,W2)と、
空気が流入する空気室(A1,A2)と、
上記受水室(W1,W2)に流入した水道水の水圧を受けて変位し、上記空気室(A1,A2)の容積を縮小させる変位部材(63,123)と、
上記空気室(A1,A2)で圧縮された空気を該空気室(A1,A2)の外部へ吐出させる吐出口(55,56)と、
を備えていることを特徴とする空気圧縮ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
上記変位部材(63,123)は、上記受水室(W1,W2)に臨む受圧面の面積が、上記空気室(A1,A2)に臨む増圧面の面積よりも大きいことを特徴とする空気圧縮ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2において、
第1と第2の上記受水室(W1,W2)と、
第1と第2の上記空気室(A1,A2)と、
上記各空気室(A1,A2)にそれぞれ対応する2つの吐出口(55,56)とを備え、
上記変位部材(63,123)は、上記第1受水室(W1)の水圧によって変位して第1空気室(A1)の容積を縮小させる第1動作と、上記第2受水室(W2)の水圧によって変位して第2空気室(A2)の容積を縮小させる第2動作とを、切り換えて行うように構成されていることを特徴とする空気圧縮ユニット。
【請求項4】
請求項3において、
水道水が流入する流入路(21a)と、
水道水が流出する流出路(21b)と、
上記第1動作中に上記流入路(21a)を上記第1受水室(W1)と連通させると同時に上記第2受水室(W2)を上記流出路(21b)と連通させる第1状態と、上記第2動作中に上記流入路(21a)を上記第2受水室(W2)と連通させると同時に上記第1受水室(W1)を上記流出路(21b)と連通させる第2状態とに切り換わる、水流路切換部(51)を備えていることを特徴とする空気圧縮ユニット。
【請求項5】
請求項4において、
圧縮空気が流れる空気流路(40)と、
上記第1動作中に上記第1空気室(A1)の吐出口(55)を上記空気流路(40)と連通させると同時に上記第2空気室(A2)の吐出口(56)を閉鎖する第1状態と、上記第2動作中に上記第2空気室(A2)の吐出口(56)を上記空気流路(40)と連通させると同時に上記第1空気室(A1)の吐出口(55)を閉鎖する空気流路切換部(52)を備えていることを特徴とする空気圧縮ユニット。
【請求項6】
請求項4又は5において、
筒状の1つのシリンダ部材(61)と、
上記シリンダ部材(61)の内部を軸方向に隣り合う第1シリンダ室(C1)と第2シリンダ室(C2)とに仕切る仕切部(62)とを備え、
上記変位部材(63)は、上記第1シリンダ室(C1)に進退自在に収容される第1ピストン部(64)と、上記第2シリンダ室(C2)に進退自在に収容される第2ピストン部(65)と、上記仕切部(62)を貫通して第1ピストン部(64)と第2ピストン部(65)とを連結するロッド部(66)とを備え、
上記第1シリンダ室(C1)には、上記第1ピストン部(64)を挟んで上記仕切部(62)側に上記第1空気室(A1)が区画され、上記仕切部(62)と反対側に上記第1受水室(W1)が区画され、
上記第2シリンダ室(C2)には、上記第2ピストン部(65)を挟んで上記仕切部(62)側に上記第2空気室(A2)が区画され、上記仕切部(62)と反対側に上記第2受水室(W2)が区画されることを特徴とする空気圧縮ユニット。
【請求項7】
請求項4又は5において、
内部に第1シリンダ室(C1)が形成される筒状の第1シリンダ部材(121)と、内部に第2シリンダ室(C2)が形成される筒状の第2シリンダ部材(122)とを備え、
上記変位部材(123)は、上記第1シリンダ室(C1)に進退自在に収容される第1ピストン部(124)と、上記第2シリンダ室(C2)に進退自在に収容される第2ピストン部(125)と、上記第1シリンダ部材(121)及び第2シリンダ部材(122)の各軸側端部を貫通して第1ピストン部(124)と第2ピストン部(125)とを連結するロッド部(126)とを備え、
上記第1シリンダ室(C1)には、上記第1ピストン部(124)を挟んで軸方向の一端側に第1受水室(W1)が区画され、他端側に第2受水室(W2)が区画され、
上記第2シリンダ室(C2)には、上記第2ピストン部(125)を挟んで軸方向の一端側に第1空気室(A1)が区画され、他端側に第2空気室(A2)が区画されることを特徴とする空気圧縮ユニット。
【請求項8】
請求項6又は7において、
上記ピストン部(64,65)の軸方向の往復動に伴って変位する磁石(161,186)と、該磁石(161,186)の変位によって発電するコイル(162,188)とを有する発電機構(160,180)を備えていることを特徴とする空気圧縮ユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つにおいて、
上記空気室(A1,A2)で圧縮されて吐出された空気によって回転する風車(191)を有し、該風車(191)の回転によって発電する発電機構(190)を備えていることを特徴とする空気圧縮ユニット。
【請求項10】
回転軸(95)が設けられた太陽光パネル(92)と、
請求項8又は9に記載の空気圧縮ユニット(50)と、
上記空気圧縮ユニット(50)の圧縮空気によって作動し、太陽の向きに応じて上記太陽光パネル(92)を上記回動軸(95)の軸周りに回動させるアクチュエータ(93)と、
上記空気圧縮ユニット(50)の発電機構(160,180,190)によって発電した電力を蓄電する蓄電部(173,223,224)とを備えていることを特徴とする太陽光追尾システム。
【請求項11】
水道水を所定の利用対象(2,3,4)へ供給する水流路(20)を備えた給水システムであって、
上記水流路(20)には、請求項4乃至9のいずれか1つに記載の空気圧縮ユニット(50)が接続され、
上記空気圧縮ユニット(50)の流入路(21a)が水道水の水源側に繋がり、該空気圧縮ユニット(50)の流出路(21b)が上記利用対象(2,3,4)に繋がっていることを特徴とする給水システム。
【請求項12】
請求項11において、
上記水流路(20)には、上記空気圧縮ユニット(50)と上記利用対象(2,3,4)との間に、温水が貯留される貯湯タンク(30)が接続されることを特徴とする給水システム。
【請求項13】
請求項11又は12において、
上記空気圧縮ユニット(50)の吐出口(55,56)から吐出された圧縮空気によって駆動される被駆動体(34,38,70,92)を備えていることを特徴とする給水システム。
【請求項14】
請求項13において、
上記被駆動体は、上記水流路(20)の水を搬送する水ポンプ(34,38)であることを特徴とする給水システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−132429(P2012−132429A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173858(P2011−173858)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】