空気汚染センサシステム
【課題】 本発明は筐体に内蔵された大気汚染センサシステムに関する。
【解決手段】 該筐体は空気ダクト内部に空気処理システムを有し、該空気ダクトは該筐体内部の空気と該筐体外部の空気とのやり取りを可能にする。空気ダクトは、空気を受け取る空気吸入口、及び前記筐体内部の処理された空気を放出する空気排出口を有する。大気汚染センサシステムは、前記筐体内部に存在する、約5nmから2500nm範囲、好適には約5nmから1000nm範囲で、より好適には約5nmから500nm範囲の直径を有する粒子を検出し、かつ前記粒子の検出に応じて汚染情報信号を供することが可能な粒子センサを少なくとも1つ有する。本発明はさらに、様々な種類の超微粒子センサ及び空気処理システムにも関する。
【解決手段】 該筐体は空気ダクト内部に空気処理システムを有し、該空気ダクトは該筐体内部の空気と該筐体外部の空気とのやり取りを可能にする。空気ダクトは、空気を受け取る空気吸入口、及び前記筐体内部の処理された空気を放出する空気排出口を有する。大気汚染センサシステムは、前記筐体内部に存在する、約5nmから2500nm範囲、好適には約5nmから1000nm範囲で、より好適には約5nmから500nm範囲の直径を有する粒子を検出し、かつ前記粒子の検出に応じて汚染情報信号を供することが可能な粒子センサを少なくとも1つ有する。本発明はさらに、様々な種類の超微粒子センサ及び空気処理システムにも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大気汚染センサシステムに関する。本発明はさらに、そのような大気汚染センサシステムに設置可能なセンサユニット及び空気処理システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に浮遊する、燃焼に関係する超微粒子(UFPs)は蓄積されやすく、かつ肺組織内で濃縮されやすいため、人体に重大な健康被害を与えることが過去10年の間で次第に明らかになってきた。そのようなUFPsは固体粒子と液状粒子の両方を有する。燃焼に関係する固体粒子の大部分はすす粒子から構成されている。すす粒子は、燃焼していない元素の炭素を有する、又は主として燃焼していない元素の炭素からなる。燃焼に関係する固体粒子のわずかな一部は無機の灰から構成されている。燃焼に関係する、液状超微粒子は一般的に程度の差はあるが、少量の無機物質とともに揮発性炭化水素/H2SO4/H2O物質で構成される。燃焼に関係する粒子は、一般的には5nmから500nmの直径を有し、通常は発癌性の多環式芳香族炭化水素(PAHs)及び他の揮発性有機化合物(VOCs)によって少なくとも部分的に覆われている。これらのUFPsは、たとえば自動車のモーターのような燃焼発生源の排出ガスから大気へ放出され、かつ不完全燃焼の結果として生成される。特に、ディーゼルモーターは多量のすす粒子及び他のUFPsを大気へ放出することで悪名が高い。
【0003】
産業用の燃焼発生源及び他の固定燃焼発生源の近くは別として、西側世界では、燃焼に関係するUFPs、以降では簡単にUFPsと呼ぶ、の濃度は一般に、主となる交通手段が自動車であるような場所又はその近くで最高となる。特に換気及び/又は風速に限界のあるような条件下での、トンネル、交差点、及び/又は車などが列をなしているようなところでは、局所的に非常に高濃度のUFPsに直面するだろう。しかし、ビル、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、船舶、飛行機、宇宙船(の部屋)、並びに、自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、及び宇宙船内部の部屋でも、健康被害を及ぼすほど高濃度のUFPsに直面するだろう。
【0004】
特に自動車の運転者及び乗員はすぐに高濃度のUFPs及び他の排出汚染物質に曝される。その理由は、自動車の空気処理システム(それはたとえば、加熱、換気及び空調(HVAC)システム、又は基本的な加熱/換気システムのいずれかであって良い)が連続的に、他の自動車の排気口から放出される排出気体及び粒子によって汚染されている外気を自動車の運転室内に送り込むからである。従って、快適な温度及び湿度のレベルを保ちながら自動車の乗員の大気汚染物質への曝露を最小にするため、空気清浄ユニットの手段によって空気中に浮遊する様々な汚染物質の外気を、少なくとも部分的には清浄にし、外気に関する条件、とりわけ湿度、温度及び汚染レベルに応じて空気処理システムの設定を自動的に制御することが可能であることが望ましい。
【0005】
特許文献1で説明されているように、自動車の空気処理システムの動作モードは、空気処理システムに付随する車内の空気の吸気口と外気の吸気口との間に設けられている切り換え調節弁素子を回転させ、かつその回転を制御する電気制御によって制御されて良い。
【0006】
切り換え調節弁素子は、入力モード動作では車内の空気吸気口を十分に閉じ、かつ外気吸気口を十分に開く一方で、再循環モード動作では車内の空気吸気口を十分に開き、かつ外気吸気口を十分に閉じる。混合動作モードでは、制御された量の再循環する車内の空気及び制御された量の外気が同時に空気処理システムに流入できるように、切り換え調節弁素子は、車内の空気吸気口と外気吸気口の両方が部分的に開いている、一連の中間位置をとって良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5775415号明細書
【特許文献2】独国特許発明第19824744号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、空気処理システムを有する筐体の空気汚染センサシステムの提供である。その大気汚染センサシステムは、超微粒子による前記筐体内部の空気の汚染に関する情報を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、請求項1で定義されるような空気汚染センサシステムが供される。
大気汚染センサシステムの超微粒子(UFPs)センサを利用することで、筐体内部において、UFPsによる汚染に関する特定の情報が得られる。空気中に浮遊するUFPsを吸入することは、一般的な排出気体を吸入することよりも人体に有害であるため、空気中に浮遊するUFPsの濃度を空気汚染レベルへの重要な因子と考えることが重要である。この点では、空気汚染センサシステムがUFPsセンサを有する一方で、空気処理システムは、空気が筐体内部へ放出される前に、空気からUFPsを除去するのに特に適するような特性を有して良い。
本発明の空気汚染センサシステムは、空気ダクトを貫流する空気を制御するように構成されている。空気清浄効率は、空気処理システムによって変位する単位時間当たりの空気の量に依存すると考えられる。その理由は、前記空気処理システムによって変位する単位時間当たりの空気の量が、前記空気清浄ユニットを貫流する空気の速度を決定するからである。
【0010】
本発明の空気汚染センサシステムによって、UFPsに対する空気清浄ユニットの性能を評価することが可能である。少なくとも筐体内部に汚染源が存在しない場合には、たとえば筐体内部の空気汚染レベルと筐体外部の汚染レベルとの差異は大抵の場合、空気処理システムにおける空気清浄ユニットの能力によって直接決定される。
【0011】
本発明の空気汚染センサシステムによって、空気ダクトを介して筐体に流入しないUFPsの汚染源の寄与を考慮できる。例には、たばこを吸う乗員のような筐体内部での汚染源、又は開いている窓を介して筐体へ入り込むUFPsが含まれる。
【0012】
請求項2で定義された実施例は、空気ダクトを介して筐体へ入り込むUFPsの濃度、及び筐体内部であって空気ダクトから離れた場所に存在するUFPsの濃度の両方を、互いに独立に検出できるという利点を供し、空気ダクトを介して筐体へ入り込むUFPsの濃度、及び、筐体内部にいる人が実際に吸入する、空気ダクトから離れた筐体内部に存在するUFPsの濃度の両方に関する情報を供することが可能である。この実施例は、筐体内部の空気汚染源の存在を明確に検出するのに特に有用である。
【0013】
請求項3で定義された本発明の実施例は、検出されたUFPs、たとえばUFPs濃度の関数として、空気清浄ユニットの動作を自動的に変化させることを可能にするという利点を供する。筐体内部及び/又は前記空気清浄ユニット下流の汚染レベルが、たとえばある閾値を超えて増大する場合、汚染情報信号は、筐体内部の人が吸入する、空気中のUFPs濃度が受容可能なレベルに戻るように、空気清浄ユニットを制御してUFPsに対する清浄動作を改善することが可能である。
【0014】
請求項4で定義された本発明の実施例は、空気中に浮遊するUFPsの帯電が、UFPs帯電部の下流に設けられている濾過部でのUFPs濾過効率の顕著な増大を可能にするための有効な手段であることを見いだす効果を供する。
【0015】
発明のさらに別な目的は、UFPsを適切に検出するセンサユニットを供することである。
【0016】
この目的のため、請求項5で定義されるセンサユニットが供される。
【0017】
空気中に浮遊するUFPsで正味の電荷の発生させることによって、適切でかつ信頼性の高いこれらの空気中に浮遊するUFPsの検出が可能となることが分かった。
当該センサユニットが、沈殿部から上流に設けられていて、入力流入空気流を受け取り、かつ前記入力流入空気流中で浮遊する前記UFPsの少なくとも一部を正に帯電させる能力を有する、帯電部を有するとき、全てではないにしてもほとんどのUFPsが、前記沈殿部に入り込む前に帯電する。このことは、たとえば上流の空気清浄ユニットによるUFPsの帯電が不十分な場合又は上流の空気清浄ユニットが全く存在しない場合には望ましいと考えられる。
【0018】
前記センサユニットの沈殿部が、少なくとも2つの同心円柱形状電極及び/又は平行板電極の間に存在する第2流導管を有し、前記少なくとも2つの同心円柱形状電極及び/又は平行板電極は、前記第2流導管にわたって高電場を印加する能力を有し、かつ、前記これら2つの電極のうちの1つは電流計を介して地電位と接続するとき、当該センサユニットは、好ましくは平行板形状である電極間に電場を印加することによって荷電UFPsを検知するための有効な手段を有する。平行板は、たとえば筐体の空気ダクト内部での空気圧力の減少が無視できる程度であるという利点を供する。
【0019】
前記センサユニットの沈殿部が、電流計を介して地電位と接続するファラデー箱内に設けられた繊維質ほこりフィルタを貫通する第2流導管を有するとき、当該センサユニットは、UFPsを検出する他の適切な手段を有する。センサユニットを通過する空気から帯電したUFPsを捕獲するために、(高感度の電流計を介して地電位と接続する)ファラデー箱内部の繊維質ほこりフィルタを使用する利点は、電圧によって誘起される容量性電流が存在しないようにする沈殿部に電圧差を設ける必要がないため、沈殿部に付随するファラデー箱内部に、帯電した空気中に浮遊するUFPsの堆積に起因して生じる小さな電流を正確に測定することがかなり容易に実現することにある。
【0020】
上述した複数の実施例、又はその態様を組み合わせて良いということは認められるべきである。
【0021】
請求項6で定義された本発明の実施例は、濾過部においてUFPs特にすす粒子を除去するためにこれらの粒子を帯電させるための有効な手段の効果を供する。請求項7で定義された本発明の実施例は、様々な種類のUFPsの帯電に有効である。
【0022】
請求項8で定義された本発明の実施例は、たとえば石英でできた紫外ランプから発生するオゾン気体がセンサユニットから出て行くのを防ぐという利点を供する。
【0023】
請求項9から13で定義された本発明の実施例は、有効に空気からUFPsを除去する能力を有する、制御可能な濾過部を供する。
【0024】
上述した複数の実施例、又はその態様を組み合わせて良いということは認められるべきである。
【0025】
本発明の好適実施例を概略的に図示している、添付図を参照しながらさらに詳細に本発明を説明する。本発明がこれら特定の好適実施例に決して限定されないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図2】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図3】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図4】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図5】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図6】本発明の実施例に従った、UFPセンサユニットの概略図を図示している。
【図7】本発明の実施例に従った、UFPセンサユニットの概略図を図示している。
【図8】本発明の実施例に従った、UFPセンサユニットの概略図を図示している。
【図9】本発明の実施例に従った、UFPセンサユニットの概略図を図示している。
【図10】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図11】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図12】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図13】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図14】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から図5に図示されている本発明は、筐体Eに組み込まれた空気汚染システム1について開示している。筐体Eは空気ダクト2内部に空気処理システムHを有し、該空気ダクト2は、前記筐体E内部の空気と前記筐体E外部の空気とのやり取りを可能にする。空気ダクト2は、空気Iを受ける吸気口、及び処理された空気Rを前記筐体E内部へ放出する排気口を有する。
【0028】
筐体Eは、自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、宇宙船、及び、前記の自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、宇宙船内部の個々の区画すなわち部屋を含む如何なる種類の住宅/居住施設であって良い。以降では、自動車の運転室筐体を具体例として、より詳細に説明するが、他に上述した筐体のすべてについて、同様の説明が完全に当てはまることに留意すべきである。さらに、空気処理システムHが加熱手段及び/又は冷却手段を有しても良いし、又有さなくても良いことにも留意すべきである。HVACシステム(よって形式的には加熱手段及び冷却手段を有する)として実施される空気処理システムについて言及するとしても、加熱手段及び/又は冷却手段を有していない通常の空気処理システムとして実施される空気処理システムが除外されるわけではない。“HVAC”という語は、空気処理手段及び/又は空気冷却手段が必要であることを意味しない。
【0029】
空気処理システムHはたとえば、前記空気ダクト2を介して換気するHVAC換気装置11、及び/又は通過する空気を清浄にする空気清浄ユニット13を有して良い。空気汚染センサシステムは、たとえばHVAC制御ユニット12及び空気清浄制御ユニット14を含む制御電子機器を有して良い。HVAC制御ユニット12は、換気速度を調節し、かつHVACの動作モードを選択する。そのHVACの動作モードは、通常の吸気モード動作、再循環モード動作又は混合モード動作を有する。
【0030】
約5nmから500nmの範囲、好適には約5−1000nm範囲でかつより好適には約5−500nm範囲の粒径を有する粒子、以降では超微粒子(UFPs)と呼ぶ、の検出が可能な超微粒子センサ21が少なくとも1つ供される。UFPsを検出すると、センサ21は汚染情報信号Pを供する。
【0031】
空気清浄ユニット13及び/又はセンサ21からの出力信号の評価は、それぞれ空気清浄評価ユニット23及び空気汚染評価ユニット22によって繰り返し行われる。空気汚染表示ユニット24は、筐体Eの内部にいる人たちに汚染情報を供するために存在することが好ましい。
【0032】
図1は、自動車のHVACシステム内部にある、空気清浄ユニットを有してない、単一のセンサ21を有する実施例を図示している。換気装置11の上流にある粗いプレフィルタ(図示されていない)が空気から大きな残骸を除去するために存在して良い。センサ21から得られる、粒子による空気汚染情報信号Pは、空気汚染評価ユニット22によって評価され、空気汚染表示/警告ユニット24によって視覚化される。
【0033】
吸入モード動作では、外気の粒子汚染のみが記録され、この汚染も、まさに自動車の運転室Eに入り込む。通常の吸入モード動作の間、喫煙行動又は運転室の窓が開いていることを検出することができない(窓が開いていることを電子的に検出することはもちろん可能である。)。運転室に入り込む粒子の測定汚染レベルが所与の閾値を超える場合、連続して大量の汚染物質が運転室Eへ流入するのを避けるため、空気汚染評価ユニット22は、HVAC制御装置22の動作モードを通常の吸入モード動作から再循環モード動作へ切り換える。再循環によって空気ダクト2及び運転室内部Eの様々な壁に粒子が堆積するため、徐々にUFPs濃度が減少する。再循環は、限られた期間でのみ続けられ(運転室内部の二酸化炭素濃度及び/又は水蒸気濃度を安全でかつ快適な限界内に保持するため)、その後空気処理システムHを吸入モード動作に戻すことによって、外部の空気Iは、少なくとも最小期間の間に自動車の運転室Eへ再度流入可能となる。その後、外気の汚染が高すぎる場合には、空気処理システムを再度再循環モード動作に切り換えることが可能である。
【0034】
図1の実施例では、通常の吸入モード動作の際に、開いている窓を介した煙又は汚染物質の侵入を検出することができない。もちろん、窓が開いていることは電子的に検出可能であって、かつそのような情報は常に、特に外気の汚染が吸入モード動作から再循環モード動作への変化を引き起こすほど十分に高いときに、自動車の乗員への警告として伝えられることが可能である。再循環モード動作でかつ窓が閉じられている場合、時間経過とともに、記録される粒子汚染が増大するときに喫煙行動は検出される。その理由は運転室の再循環によって煙粒子がセンサ21と接触するからである。このことを、空気汚染表示/警告ユニット24の警告信号として、煙が検出され、かつ直面している空気汚染は人体の健康を脅かすものであると自動車乗員へ知らせることが可能である。同時に、運転室Eから煙粒子をできるだけ迅速に除去するため、少なくとも最小設定期間、煙が検出されるのを期として、運転室を介する通気速度を増大させる一方でシステムは吸入モード動作へ戻る。その期間後、検出された(外気の)粒子汚染レベルが依然として、再度少なくとも一時的に再循環モード動作への切り換えを引き起こすほど高いレベルにあるか否か、そして前述した一連の事象が繰り返されて良いのか否かを察知する。図1の実施例では、外気からの粒子汚染物質への曝露に対する個人の防護は限られた程度しか実現されていない。
【0035】
図2は、空気ダクト2内ではなく、筐体E内に設けられている粒子センサ21を有する実施例を図示している。空気清浄ユニットは存在しない。図1の実施例とは対照的に、筐体E内にいる人が吸入する空気のUFPs汚染レベルが直接的に感知される。通常の吸入モード動作中では、特に煙及び/又は開いている窓から導入されるUFPsを検出することができず、筐体E内における実際の粒子汚染レベルのみが記録され、かつこれは空気汚染表示ユニット24によって可視化可能である。記録された粒子汚染レベルが、設定された閾値汚染レベルを超える場合、トリガ信号が制御ユニット12へ送られ、その制御ユニット12は、設定された最長期間を限度として、再循環モード動作に切り替わる。窓が閉じられていて、かつ煙が存在しない場合、この手段によって記録された粒子汚染レベルは徐々に減少する。記録された粒子汚染レベルが第2設定汚染レベルを下回るとき、そのシステムは通常吸入モード動作に戻る。あるいはその代わりに、再循環モード動作が持続する第1設定最長期間の後、少なくとも設定最小期間だけ吸入モード動作に戻る。運転室内での喫煙行動の場合、再循環モード動作の間では、記録された汚染レベルは顕著に増大せず、これが設定された再循環期間の間に記録されるときには、筐体から煙を除去するため、好適にはより速い通気速度で、少なくとも設定最小期間だけ吸入モード動作に切り替わる。一般に運転室内部でのたばこの煙によって、自動車内部のUFPs汚染レベルは、自動車外部に存在するUFPs汚染レベルよりもはるかに高くなることに留意すべきである。記録された喫煙行動を、実際に記録された、自動車の乗員が曝されている粒子汚染レベル、及びその記録された粒子汚染レベルの人体の健康への相対的な危険性とともに、警告メッセージとして知らせることが可能である。
【0036】
又この実施例は、微粒子状汚染物質への曝露から人体の健康を保護するのにも有効であるが、有効性には限界があり、せいぜい喫煙行動が行われておらず、かつ窓が閉じられているときに有効な程度である。喫煙行動は、図1の実施例よりもすぐに検出される。しかし依然として喫煙行動は、窓が開いていることが他の電子検出手段から既知であるという条件下での再循環モード動作の間において明確に記録できるにすぎない。
【0037】
図3は、空気ダクト内及び運転室E内の両方に粒子センサ21を有するより好適な実施例を図示している。両センサ21からの電子出力情報信号Pは、両信号を相互に比較する空気汚染評価/比較ユニット22へ送られる。空気汚染評価/比較ユニット22から、適切な電子フィードバック信号をHVAC制御装置ユニット12へ送ること、及び電子情報信号を空気汚染表示器ユニット24へ送ることが可能である。煙が発生しない場合、両センサ21の読み取りは、如何なるHVAC動作モードにおいても実質的に同一で、かつ運転室の窓が開いているか閉じているのか無関係である。しかし、窓が開いているか閉じているのかは、再循環モード動作中に記録された空気汚染レベルには影響を与えうる。またここで、窓が開いていることは、独立した電子手段によって感知され、自動車の乗員への警告メッセージとして伝えられることが可能である。通常吸入動作モード中では、空気ダクト2内のセンサ21による測定よりも実質的に高くなる、運転室E内のセンサ21による測定を介することで、喫煙行動が明らかになる。これは、空気汚染表示器ユニット24への警告として伝えられることが可能である。運転室のセンサ読み取りが、空気ダクト2内のセンサ読み取りよりも高い限り、空気ダクト2内のセンサ21によって実際に記録された外部の粒子状粒子汚染レベルに関係なく、通常吸入モード動作が維持されて良い。喫煙行動が起こっておらず(センサ21の読み取りは両方とも同一である)、かつ空気ダクト2内のセンサ21によって記録された粒子汚染レベルが、ある設定汚染レベルを超えるときにのみ、再循環モード動作への切り替えが生じる。再循環は、設定最大期間を最長として起こるか、又はセンサ21の読み取りが設定汚染レベル未満にまで落ち、その後少なくとも設定最小期間だけ通常吸入モード動作が再度選択されるまで起こる。また再循環モード動作によって、ダクト2を介して、自動車運転室への(非常に)限られた量の外気の導入が可能となることに留意すべきである。
【0038】
図3の実施例は、人体の健康を保護する上で、改善された実施例を供する。その主たる理由は、図1及び図2で図示された実施例と比較して、喫煙行為に対して、より広範囲の検出が可能となったことである。
【0039】
図4に図示された実施例は、受動空気洗浄ユニット13を別にすれば図1から図3に図示された実施例のそれぞれと類似している。空気清浄ユニットは、たとえば繊維質の(エレクトレット)フィルタ、及び場合によっては空気から汚染気体を除去する付加的な濾過手段を有して良い。空気清浄ユニット13は、図1から図3を参照しながら説明した、再循環モード動作中に、粒子汚染レベルを含む全体の粒子汚染レベルをより迅速に減少させることを可能にする。
【0040】
図5に図示された本発明の実施例は、粒子帯電部と一緒になっている静電的に増大した粒子フィルタを有する空気清浄ユニット13が供されため、より好適な実施例である。これについては以降で詳述する。静電的に増大した粒子フィルタは、空気からの粒子の除去が実際に起こる濾過領域内で意図的に印加された電場の存在によって、その粒子濾過効率が増大するという一般的な特性を有する。この意図的に印加された電場はまた、電場誘起漏れ電流をフィルタ内部に発生させる恐れがある。そして、そのような漏れ電流を少なくとも部分的に小さくするために一般的に行われている方法は、相互に異なる電位を有するように設定されている材料同士が(物理的に)接続しなければならない場所に、導電性材料を存在させないことである。電子フィードバック信号は、空気汚染評価ユニット22から空気清浄制御装置14へ伝達されることが可能である。そしてたとえば、空気清浄ユニットを通過する空気の相対湿度を考慮しながら、静電的に増大した粒子フィルタ内部に発生する全ての漏れ電流を記録することによって、フィルタの寿命に到達したか否かを知覚することが可能である。また、フィルタの寿命が終わったという情報は、自動車乗員へのメッセージとして伝えられることが可能である。空気清浄は、そのほとんどが空気清浄ユニット13の内部で起こる。ほぼ常に通常吸入モード動作が維持可能なため、より健康的な空気環境が可能となる。
【0041】
図6及び図7は、本発明の実施例に従ったUFPセンサユニット21の概略図を示している。
【0042】
UFPセンサ21は、任意で、空気中に浮遊する1μmより大きい粒径を有する比較的大きな粒子を、前記吸入部を通過する流入空気流から除去する機能を果たす粗粒子プレフィルタ211と共に供される吸気口部200、単極性イオン源を有する帯電部201、及び粒子沈殿部202を有する。該単極性イオン源は、UFPセンサ21を通り抜けて移動する空気中を浮遊する粒子に付着することで、粒子拡散帯電、又は粒子電場/拡散帯電を誘起し、前記誘起される帯電は、それらの静電的帯電の間に粒子が曝露される電場強度に依存する。粒子沈殿部202では、荷電粒子が高感度電流計を介して地電位と接続する電極表面上に静電的に沈殿する、又は帯電したUFPsは、高感度電流計を介して地電位と接続する(各々の場合において、空気中に浮遊する帯電したUFPsの量に比例する大きさの電流が発生する)所謂導電性ファラデー箱内部に入っている濾過ユニットの手段によって空気から濾過される。
【0043】
別な好適実施例に従うと、UFPセンサそれ自体は、図8及び図9を参照したより詳細な説明にあるように、任意で、空気中に浮遊する1μmより大きい粒径を有する比較的大きな粒子を、前記吸入部を通過する流入空気流から除去する機能を果たす粗粒子プレフィルタ211と共に供される吸入部200及び粒子沈殿部202を有する。粒子沈殿部202では、荷電粒子が高感度電流計を介して地電位と接続する電極表面上に静電的に沈殿する、又は帯電したUFPsは、高感度電流計を介して地電位と接続する(各々の場合において、空気中に浮遊する帯電したUFPsの量に比例する大きさの電流が発生する)所謂導電性ファラデー箱内部に入っている濾過ユニットの手段によって空気から濾過される。
【0044】
空気処理システム又は空気清浄サブシステム、これらもまた以降で図10−図14を参照しながら詳述される、は、自動車の空気処理システムによって流れる空気中に浮遊する粒子で、特に空気中に浮遊するUFPsを静電的に帯電させる粒子帯電部1001、及び空気から荷電粒子を除去する濾過部1002を有する。
【0045】
粒子、特にUFPsを静電的に帯電させる粒子帯電部1001は、浮遊する粒子を含む空気を、粒子の光閾値より大きなエネルギーを有する光子エネルギーの紫外放射線で照射することによる光電的帯電手段、又は、高電圧が印加される、少なくとも1つの細いワイヤ電極若しくは少なくとも1つの針状電極からのコロナ放電によって生成される正若しくは負に帯電した小さなイオンに曝露することによる、電場/拡散帯電手段のいずれか、又は光電的帯電手段と電場/拡散帯電手段との組み合わせた手段を有する。
【0046】
空気流から荷電粒子の少なくとも一部を除去するために供される濾過部1002は、高分子繊維に大きな双極性電荷が恒久的に存在する繊維質フィルタとして実装されるエレクトレットフィルタ、2つの多孔質導電性ガーゼ間に挟まれた繊維質フィルタ材料として実装され、2つのガーゼ間に電位差が印加され、繊維質フィルタ材料にわたって、粒子の濾過効率を大きく増大させる強い電場を発生させる静電的に増大したフィルタ、又は地電位及び高電圧と互い違いに接続する1組の平行板として実装される平行板型の荷電粒子沈降分離フィルタを有する。平行板は互いに隣接するような位置にある。各板は、空気流の方向と実質的に平行な面内で延在する。平行板型粒子沈降分離フィルタの利点は、生じる圧力低下が非常に小さいことである。欠点は、製造、清浄及び/又は処理が比較的難しいために、コストがかかることである。
【0047】
上述の粒子濾過システムすべては、活性化炭素フィルタ、及び/又は光触媒フィルタ、及び/又は、少なくとも部分的にはVOCs、NOX、SO2及びO3から自動車の空気処理システムを通り抜ける空気を清浄にする機能を有する特定気体吸収/吸着フィルタと組み合わせられて良い。
【0048】
図1から図5に図示されている空気汚染センサシステムの電子制御部分は、自動車の空気処理システム及び該空気処理システム内部に格納されている空気清浄システムへの電子フィードバック制御を可能にする。そのフィードバック制御は、これらのシステムからの受信された電子出力信号(これらのシステムの設定に対応する)、UFPセンサからの電子出力信号、及び任意で、それぞれ独立した湿度/温度/二酸化炭素センサからの電子出力信号に基づく。
【0049】
空気中に浮遊するUFP濃度の大きさは、SO2、VOC’s、CO及びNOxのような一般的排出気体の濃度に比例することに留意することが可能である。そのようなものとして、本発明の機能は、従来技術によるガスセンサシステムの機能(所与の時間間隔内での空気汚染レベルの相対変化を検知し、かつ応答する)を組み込むだけではなく、それを拡張したものである。その理由は、次のことを可能にするためである。
【0050】
a)燃焼に関係する粒子の直接検知。特に自動車運転室内、及びUFPsへの空気清浄ユニット13の能力を引き出すことによって、空気清浄ユニットの上流部である自動車の外部から送り込まれる吸入空気内のすす粒子及び他のUFPsの検知(UFP濃度指示機能)であって、それは、自動車運転室内部及び外部の相対空気汚染レベルの評価、荷電粒子、特に荷電UFPsに対する空気清浄ユニットの空気清浄機能の評価及び制御、並びに、自動車の運転室内での温度、湿度、酸素レベル及び二酸化炭素レベルの観点から、自動車の運転室内を快適かつ安全な条件に維持する一方で、自動車の乗員が空気中の汚染物質に曝露されるのを最小限にするための自動車の空気処理システム及び空気清浄ユニットの設定の調節に特に有効である。
【0051】
b)吸入空気(自動車の外部から取り込まれる)、及び再循環する運転室内の空気(空気清浄機能)からのすす粒子及び他のUFPsの除去。あるいはその代わりに、提案された発明である空気汚染センサは、従来技術のガスセンサシステムに加えて、自動車の空気処理システムに組み込まれて良い。それは、自動車の空気処理システムの動作及び設定へのフィードバック制御を供すること、空気処理システム内部の空気清浄ユニットの空気清浄機能をチェックすること及び制御することに加え、UFPs及び様々な気体汚染物質をそれぞれ独立して検知するためである。
【0052】
空気中での一般目的でのUFP測定のUFPセンサのデザインルールは、従来技術から部分的に既知である(特許文献2を参照のこと)。本出願用のこれらのデザインルールを特別に設計することは好都合である。
【0053】
より厳密には、自動車運転室E内でUFPを検知する、本発明の本実施例では、図6で図示されているようなUFP検知装置は有利に用いられる。前述のように、前記装置は吸入部200、帯電部201、及び粒子沈殿部202を有する。
【0054】
吸入部は、荷電粒子及び非荷電粒子を有する冷たい流入空気流を受けるための吸入ポート210を有することが好ましい。吸入ポートは、流入空気流から比較的大きな粒子を捕獲する粗粒子プレフィルタ211を有することが好ましい。プレフィルタ211は、空気中に浮遊する、約1μmより大きな粒径を有する、大きなほこり粒子の少なくとも一部が発光部へ入り込める前に、そのようなほこり粒子を流入空気流から機械的に除去することを可能にする。そうすることによって、粒子の蓄積によってUFP検知装置21内部がすぐに汚れてしまうのを防ぐ(前記の空気中に浮遊する大きなほこり粒子は大抵の場合、空気中に浮遊する粒子の質量のほとんどを有する。)。すす粒子及び他のUFPsは一般に、前記の空気中に浮遊する粒子よりもはるかに小さく、したがって、前記粗粒子プレフィルタによっては、発光部に入り込む空気から実質的に除去されない。
【0055】
帯電部201は、吸気口部200からの流入空気流を受け取り、拡散帯電(粒子は500[V/cm]未満の静電電場強度に曝露される)又は電場/拡散帯電(粒子は500[V/cm]より大きな静電電場強度に曝露される)のいずれかの条件下で、その粒子を単極性の空気中に浮遊するイオンに曝露することによって、その受け取られた吸気口部200からの流入空気流中に浮遊する粒子に静電的電荷を与えるように機能する。拡散帯電の条件下では、帯電部は、イオン源、多孔質スクリーン電極213、対向電極、及び吸気口部200から受け取られた流入空気流の第1流導管207を有する。第1流導管207は、多孔質スクリーン電極213と対向電極との間に設けられている。イオン源は空気中に浮遊するイオンを生成し、かつ針状電極又は細いワイヤ状電極(図示していない。このとき、この電極は2つの絶縁体212間の位置で保持されている)として実装されるのが好ましい。前記電極上には、針状電極又は細いワイヤ状電極に直接隣接する空気をイオン化するほど十分に高いコロナ電圧Vcorが印加される。多孔質スクリーン電極213は、前記イオン源215の周囲に設けられ、Vcorよりも実質的に小さな電圧Vscrで設定される。それによって、1種類の極性のイオンがイオン源からスクリーン電極213へ引き込まれる。対向電極は、多孔質スクリーン電極213の周囲に設けられ、Vscrよりも小さな対向電極電位に設定されている。対向電極電位は、地電位に設定されていることが好ましい。これにより、イオン源215から多孔質スクリーン電極213へ引き込まれる単極性イオンの一部が、スクリーン電極213の孔を横切り、多孔質スクリーン電極と対向電極との間に存在する電場の駆動力の下で、第1流導管207を横切って対向電極へ引き込まれることが可能となる。前記電場は、500[V/cm]未満が好適である強度を有する。第1流導管207を横切って引き込まれる単極性イオンの一部は、受け取られた流入空気流中に存在する浮遊粒子に付着し、それによって、これらの空気中に浮遊する粒子の拡散帯電が誘起される。スクリーン電極と向かい合うUFPセンサの筐体214の内壁は、対向電極として利用されて良い。
【0056】
電場/拡散帯電の条件下では、帯電部は、イオン源、対向電極、及びイオン源と対向電極との間に存在する、吸気口部から受け取られる流入空気流の第1流導管を有する。イオン源は、空気中に浮遊するイオンを生成し、2つの絶縁体の間の位置に保持されている針状電極又は細いワイヤ状電極として実装されるのが好ましい。Vcorと対向電極に印加される電圧(地電位が好ましい)との間の電位差は第1流導管をわたる電場を誘起する。その電場は、単極性イオンを、イオン源から第1流導管をわたって対向電極へ直接引き込む。それによって、単極性イオンの一部が、第1流導管を介して移動する流入空気流中に浮遊する粒子に付着できるようになるため、第1流導管にわたる電場の存在下で、粒子電場/拡散帯電が可能となる。その電場は500[V/cm]を超える強度を有する。イオン源と向かい合うUFPセンサ筐体の内壁は、対向電極として利用されて良い。
【0057】
粒子沈殿部202は第2流導管217を有する。その第2流導管217は、2つの平行電極表面218と219との間(これらの電極表面間で、内側電極218と接続する高電圧供給体222が高い電場を発生させることで、実質的にすべての荷電粒子を、高感度電流計221を介して地電位と接続する電極219上に堆積させる。)に存在するか、又は所謂ファラデー箱内部に設けられている繊維質ほこりフィルタ62を貫通する。流導管217が繊維質ほこりフィルタ62を貫通することで、高感度電流計を介して地電位と接続するファラデー箱内部のほこりフィルタの繊維上への荷電粒子の堆積を引き起こす。すべての場合において、沈殿部202内部での単位時間あたりの堆積電荷は、前記電流計を流れる電流Iとして計測される。少なくとも、拡散帯電の場合(だけではなく、直面するUFP汚染レベルがほとんど、dp<300nmの粒径を有する粒子から生じているときには、電場/拡散帯電の場合も)、得られる粒子の電荷は、粒径dpにほぼ比例し、計測された電流Iは、すべての空気中に浮遊するUFPsの全長さ濃度Lufpに比例する。よって、
【数1】
ここで、dNufp/dln(dp)は、粒子の大きさの関数としての粒子数濃度(つまり粒子の大きさ分布)を表す。Lufpが、UFPに関係する人体の健康のインパクトパラメータHufpにほぼ比例するので、Hufpは以下で与えられる。
【0058】
【数2】
ここで、Const1は粒子の物理組成に依存する一定のパラメータであり、妥当な近似として、
【数3】
となる。
よって、計測される電流Iの大きさは、直面するUFP汚染濃度の相対的健康被害にほぼ比例する。それは本出願にとって最も有効である。Hufpに関する表式におけるdp1.5の依存性は、肺の肺胞領域内部で蓄積された粒子の相対的健康被害(蓄積粒子の表面積(〜dp2)に比例する)と肺の肺胞領域内部におけるこれらの粒子の蓄積係数(ほぼdp−0.5に比例する)との積から得られる。好適には、IとHufpとの間での信頼性のある比例係数因子を決定するためには、空気中に浮遊するUFPs源(たとえば自動車の交通量)が分かっているべきである。したがって、UFP汚染された空気の相対健康効果Hufpについてのデータは電流Iの記録から得られる。
【0059】
センサ筐体214については、電極218及び電極219は、非常に高い電気抵抗を有する誘電性絶縁素子224の手段によって電気的に隔離されている。
【0060】
図6及び図7に図示されているUFPセンサ21の実施例では、電流計221の読みは、残留する空気中に浮遊する単極性イオンの存在には影響されないことが保証されているので有利である。その残留する空気中に浮遊する単極性イオンは、帯電部201から沈殿部202へ電気的に引き込まれるか、又は前記入力流入空気流が、帯電部201から沈殿部202へ通過するときに、空気に沿って運ばれる。この目的のため、接地されたバッフル板216は、該バッフル板216と、該バッフル板216と向かい合う絶縁体212表面との間に流導管を確立できるように、帯電部201と沈殿部202との間に設けられているのが好ましい。バッフル板216と該バッフル板216に向かい合う絶縁体212の上部面との間に存在する流導管にわたって小さな電場強度を印加することによって、残留する単極性イオンは、沈殿部202へ入り込む空気流からすぐに除去される一方で、荷電UFPsの流路にはほとんど影響を及ぼさない。その理由は、単極性イオンの移動度に対して荷電UFPsの移動度ははるかに小さいからである。
【0061】
バッフル板216と向かい合う絶縁体212の上部面は、電位Vscrと接続する電極板で被覆されることによって、地電位とは異なる電位であると推定される。その電極板はまた、電位Vcorと接続されても良い。さらに、空気からの単極性イオンの吸収を介することで、その絶縁体が有限の電位をすぐに得るという条件下であれば、絶縁体は被覆されない状態のままでも良い。
【0062】
粒子帯電部がなく、粒子捕獲のみが行われる2つの代替実施例が図8及び図9で提案されている。図8のUFPセンサは、ファラデー箱162内部にある多孔質粒子フィルタ161から構成される粒子沈殿部202を有する。その一方で図9は、2つの平行電極板218及び219から構成される粒子沈殿部202を有するUFPセンサ21を図示している。2つの平行電極板の間では、高電圧供給体222と平行板沈降分離装置の高電圧板218との接続、及び高感度電流計221を介する電極板219と地電位との接続によって電場が発生する。図8及び図9のUFPセンサユニット21は両方とも、任意で粗粒子プレフィルタ211と共に供される空気吸入口200、及び前記UFPセンサユニットを介して空気を送り出すポンプ又はファンと接続する空気排気口220を有する。図8及び図9のUFPセンサユニット21は、前記UFPセンサの上流部にある空気清浄ユニット13の濾過部において捕獲されずに空気中に浮遊する荷電粒子の存在のみを検知する。それに続き、粒子の帯電は空気清浄ユニット13の粒子帯電部1001(図10−図14参照)によって実現される。荷電粒子が、多孔質粒子フィルタ161内部(図8)、又は接地された電極板219上(図9)に堆積するときに生じる、電流計221を流れる電流を記録することによって、前記UFPセンサ21で粒子を検知する。粒子帯電部1001内で、光電的帯電を介した粒子の帯電が起こるとき、図8及び図9のUFPセンサは、すすセンサとして振る舞う。その理由は、すす粒子のみがUVランプによる光電的帯電を介して容易に帯電可能だからである。コロナ拡散放電、若しくはコロナ電場/拡散放電、又はコロナ放電及び光電的帯電の組み合わせを介して、粒子帯電部1001内で粒子帯電が起こる場合、図8及び図9のUFPセンサは、真のUFPセンサとして振る舞う。その理由は、実質的にすべての空気中に浮遊する粒子が帯電するからである。
【0063】
図6−図10の前記UFPセンサを通り抜ける空気流は通常、たかだか数[l/min]に過ぎず、前記沈殿部によって供給される前記出力空気流を受ける空気排気口220と接続する換気装置又はポンプ(図示していない)によって作り出すことが可能である。
【0064】
UFPセンサの上流に位置する一体化した空気清浄ユニットを通り抜ける全空気流は、最大で10[m3/min]にまで到達可能で、よってUFPセンサユニット21を通り抜ける空気流よりも何桁も大きいことに留意すべきである。
【0065】
一体化した空気汚染センサシステム1は、自動車の空気処理システム内の、空気処理システムを通過する空気の温度が室温条件に近づくように調節される場所に備えられているのが好ましい。これは、冷却熱交換機下流の一体化した清浄/センサ/制御装置システムの位置設定、及び/又は自動車の空気処理システムに付随する熱交換機部品の加熱によって、UFPセンサ21の動作が外気温度及び外気の相対湿度とはむしろ独立であることを保証することによって実現されるのが好ましい。
【0066】
自動車の空気処理システムによって移動する空気からUFPsを除去する空気清浄システムを有するUFP汚染センサシステム1の一実施例が図10に図示されている。この実施例では、粒子帯電部1001は、濾過部1002上流に位置する針状コロナ放電電極1012として実装される単極性イオン源を有する。濾過部1002は、本実施例の場合静電的に増大した繊維質フィルタ82である。針状電極1012は、十分な高電圧Vcorに設定され、針状電極からのコロナ放電を誘起し、単極性イオン流を針状電極から、低電位に設定されている対向電極へ向けて送り出す。対向電極は、少なくとも図10では、自動車の空気処理システムによって移動する空気が通り抜けるダクトの接地された内壁1014によって形成される。特に、針状電極1012が、静電的に増大したフィルタ82(又は他の如何なる型の粒子フィルタ)の周辺に位置するとき、前記針状電極と繊維質粒子フィルタとの間に存在する空間内部に誘電性絶縁素子を位置設定するのは好都合である。この絶縁体は、針状電極の位置から見たときに、静電的に増大したフィルタの面の少なくとも一部の視界を遮断し、前記針状電極から十分離れた場所に置かれることで、針状電極からのコロナ放電が、前記絶縁体の存在によって実質的に供給されないことを保証する。単極性イオンが針状電極1012から放出されるとき、これらの単極性イオンのうちの複数は迅速に絶縁体1013上に吸着し、該絶縁体1013を帯電させる。それにより、針状電極から該針状電極と対向する粒子フィルタの面に向かって放出される単極性イオンの直接経路を回避する、又は少なくとも抑制する前記絶縁体の電位が上昇し、放出された単極性イオンは実質的に、針状電極から対向電極としての機能を有するダクトの接地された内壁1014へ向けて導かれる。ダクト内壁へ向けて放出される単極性イオンの軌道は、空気流と一致して移動する浮遊粒子の軌道と交差し、イオンが浮遊粒子へ付着することを可能にする。それにより、粒子帯電部内の粒子の滞留時間中での粒子電場/拡散帯電が可能となる。粒子の電荷の大きさは、粒子帯電部内での粒子の滞留時間、粒子の大きさ、及び帯電中の粒子に加わる電場強度の関数である。
【0067】
図10の針状電極1012は、誘電性絶縁体(図示していない)間に位置する細いワイヤ電極に置き換えられて良いことに留意すべきである。その細いワイヤ電極上に十分な高電圧Vcorが印加されるとき、その細いワイヤ電極に直接近接する空気は電離される。
【0068】
ときにより500[m3/hour]を超える空気容積を入れ換え可能なように設計されている実際の自動車の空気処理システムでは、一般的に、多数ある当業者に周知の可能なデザインオプションのうちの1つに従って、複数の対向電極と一緒になった、複数の平行に位置する高電圧針状電極及び/又は細いワイヤ電極を粒子帯電部の内部に設置する。
【0069】
図13に図示された粒子帯電部の別な実施例では、前記粒子帯電部1001は、濾過部1002上流に位置する、(延在した)曲がりくねったUV光源81を有する。前記粒子帯電部1001は静電的に増大した繊維質フィルタ82であって良い。これらのUV光源81は、空気処理ユニットを通過する空気流中に存在するすべての粒子を、260nm未満の波長を有するUV光で照射する。それにより、光電的に誘起された正の電荷が浮遊するUFPs、特にすす粒子に与えられる。すす粒子上に生成された電荷の大きさは粒子の大きさに依存し、かつ粒子によって受け取られたUV光の発光強度とUV発行領域内での粒子の滞留時間との積に比例する。(曲がりくねった)平板状UV光源81は、各UV源の周囲にある多孔性導電性ガーゼ83が設けられることによって、空気流への直接曝露から遮断されている。そのガーゼ83は、UV光源の外側表面が、蓄積される粒子によってすぐに汚染されるのを防ぐ。ガーゼ83は接地されていることが好ましい。ガーゼ83の表面は、非金属材料の薄いコーティングによって被覆されていることが好ましい。前記コーティングは、前記表面が前記UV光源から放出されるUV光によって照射されるとき、ガーゼ83の前記表面から電子が光電子放出されるのを抑制するほど十分に厚い。前記コーティングは、前記コーティングにわたって有限の伝導率が得られるくらい十分に薄い。ガーゼ83表面からの光電子放出電子は抑制されるのが望ましい。なぜなら、そのような放出された電子は、少なくとも複数の光帯電した空気中に浮遊するUFPsを中性化する能力を有するからである。中性化によって、図16及び図17の帯電部1001を通過する間でのUFPsの全体の帯電効率は減少する。同一の理由により、UVランプ213と向かい合っている他の金属表面もまた、電子の光電子放出を防止するために非金属材料の薄いコーティングによって被覆されることが好ましい。
【0070】
図14に図示されているさらに別な実施例では、全粒子の電場/拡散帯電は、上述のように、接地されたガーゼ83によって取り囲まれているUV光源81の手段による光電的帯電と共に針状電極1012からのコロナ放電の手段によって起こる。この実施例でのコロナ放電は、正の単極性イオンを放出するように作られることによって、少なくとも複数のUFPs、特にすす粒子上で得られる正の電場/拡散電荷が、正の光電的帯電によってさらに増大することが好ましい。
【0071】
静電的に増大したフィルタ82は、2つの多孔質金属ガーゼ電極84a、84bの間に挟まれている、ひだのある繊維質フィルタとして実装され、その間には電位差Vfiltが作られる。その結果生じる、この繊維質フィルタの厚さにわたる静電場は、空気中に浮遊する荷電粒子に対するフィルタの濾過効率を大きく増加させる一方で、このフィルタに生じた圧力低下を比較的低いレベルに維持することが可能な、外部印加された電場である。静電的に増大したフィルタ82は、空気から荷電粒子を除去する。その除去能力は、粒子の電荷の増加、フィルタを横切る方向の電場強度の増加、及びフィルタを通る空気流速度の減少とともに増加する。活性化炭素は、静電的に増大したフィルタ82内部、多孔質金属ガーゼ電極(84a,84b)表面上、又は針状電極1012下流にある別な活性炭素フィルタ内のいずれかに存在しているのが好ましい。活性化炭素フィルタを横切る方向で生じる圧力減少を最小限にするため、活性化炭素フィルタは、空気を移動させる、実質的にまっすぐな流れのチャネルを特徴とする波状フィルタとして実装されるのが好ましい(図示していない)。前記の流れのチャネルの内壁は活性化炭素材料を有する。活性化炭素材料は、静電的に増大した繊維質フィルタ82内部に、たとえば繊維質フィルタを構成する少なくとも複数の繊維表面上の活性化炭素コーティングとして存在して良い。活性化炭素の目的は、オゾン気体から空気を清浄にすることである。それは、針状電極若しくは細いワイヤ電極1012のいずれかからのコロナ放電、及び/又はUV光源81によって粒子帯電部1001内で生成される。静電的に増大したフィルタ82に付随する高電圧ガーゼ84aは、フィルタ上流でUV光源81と向かい合っていることが好ましい。導電性ガーゼ電極84bは、前記帯電部の反対を向き、地電位と接続する。よって、静電的に増大したフィルタ82とUV光源を取り囲む接地されたガーゼ83との間、及び静電的に増大したフィルタ82と、UV光源81の上流に位置する多孔性の第2接地ガーゼ85との間に電場が発生する。この電場は、空気中から光電子放出された電子及び負の小さなイオンを迅速に除去することが可能なため、空気中に浮遊するすす粒子の光電的帯電を増大させる。高電圧ガーゼ84aは、地電位に対して正である高電圧Vfiltと接続することが好ましい。これは以下のような利点を有する。それは、正に帯電した粒子は、空気からの粒子の除去効率を増大させる繊維質フィルタ内部の、電場で分極した繊維表面の上流側に選択的に蓄積されることである。ガーゼ84bは低電位に接続されていて、好適には地電位と接続する。
【0072】
ガーゼ電極84a、84bは、必ずしも、繊維質フィルタのひだに従ってひだを有している必要はない。その代わりに、ガーゼ電極84a、84bは、フィルタのひだの先端部でのみ繊維質フィルタと接触する、まっすぐなひだを有していない電極ガーゼとして実装されても良い。ガーゼ電極間の間隔は、ひだを有するフィルタが設けられているフィルタカセットの厚さと実質的に一致する。
【0073】
さらに別な実施例では、濾過部は、まっすぐな電極ガーゼ間に挟まれている、ひだを有していない繊維質フィルタ平板として実装されて良い。UFPセンサ21は、静電的に増大したフィルタ82の下流に位置しているため、前記の静電的に増大したフィルタを通過したそれらの粒子のみを検知する。
【0074】
図12に図示されている別の実施例では、図10、図13及び図14で図示された静電的に増大したフィルタの代わりに、繊維質エレクトレットフィルタ92が、光電的に帯電したすす粒子及び他の荷電粒子の捕獲に用いられる。この実施例では、エレクトレットフィルタ92は、2つの導電性多孔質ガーゼ電極の間に挟まれていないので、外部印加された電場を印加することができない。その代わり、エレクトレットフィルタ内部には、エレクトレットフィルタの繊維上での双極性電荷分布によって発生する局所電場が存在する。
【0075】
図11に図示されたさらに別な実施例では、フィルタは、1組の積層平行板又はガーゼを有する粒子沈殿フィルタ100である。地電位(板101aから板101n+1)及び高電圧(板101bから板101n)と交互に接続するこれらの板の間では、板表面上に空気中に浮遊する帯電粒子が堆積するのを促進する静電場が発生する。
【0076】
空気処理システムによって移動する空気流から、数μmより大きな粒径を有する、大きな浮遊粒子を機械的に捕獲する目的で、付加的な繊維質粗粒子プレフィルタを空気清浄ユニット13内の粒子帯電部上流に設置するのは好都合である。この方法によって、空気清浄ユニット13内の下流にある静電的に増大した粒子フィルタ82、エレクトレットフィルタ92、又は平行板沈降分離フィルタ100の寿命を大きく延ばし、粒子帯電部内部に存在する様々な部品への早期の付着物を防ぎ、かつ時間経過によってほこりが蓄積することにより、静電的に増大した粒子フィルタ82、又はエレクトレットフィルタ92にわたる圧力低下が急激に増大するのを回避する。その一方で、粗い繊維質プレフィルタそれ自身は、非常に小さな圧力低下しか起こさない。
【0077】
上述の実施例は本発明を限定するというよりは、むしろ本発明を例示するもので、当業者は、特許請求の範囲における請求項で定義される本発明の技術的範囲から離れることなく、本発明に関する多くの代替的実施例を設計することが可能であることに留意すべきである。ある方法が、相互に異なる従属請求項において再掲されているという事実だけでは、これらの方法の組み合わせが利点を有しないということを示唆しない。
【技術分野】
【0001】
本発明は大気汚染センサシステムに関する。本発明はさらに、そのような大気汚染センサシステムに設置可能なセンサユニット及び空気処理システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に浮遊する、燃焼に関係する超微粒子(UFPs)は蓄積されやすく、かつ肺組織内で濃縮されやすいため、人体に重大な健康被害を与えることが過去10年の間で次第に明らかになってきた。そのようなUFPsは固体粒子と液状粒子の両方を有する。燃焼に関係する固体粒子の大部分はすす粒子から構成されている。すす粒子は、燃焼していない元素の炭素を有する、又は主として燃焼していない元素の炭素からなる。燃焼に関係する固体粒子のわずかな一部は無機の灰から構成されている。燃焼に関係する、液状超微粒子は一般的に程度の差はあるが、少量の無機物質とともに揮発性炭化水素/H2SO4/H2O物質で構成される。燃焼に関係する粒子は、一般的には5nmから500nmの直径を有し、通常は発癌性の多環式芳香族炭化水素(PAHs)及び他の揮発性有機化合物(VOCs)によって少なくとも部分的に覆われている。これらのUFPsは、たとえば自動車のモーターのような燃焼発生源の排出ガスから大気へ放出され、かつ不完全燃焼の結果として生成される。特に、ディーゼルモーターは多量のすす粒子及び他のUFPsを大気へ放出することで悪名が高い。
【0003】
産業用の燃焼発生源及び他の固定燃焼発生源の近くは別として、西側世界では、燃焼に関係するUFPs、以降では簡単にUFPsと呼ぶ、の濃度は一般に、主となる交通手段が自動車であるような場所又はその近くで最高となる。特に換気及び/又は風速に限界のあるような条件下での、トンネル、交差点、及び/又は車などが列をなしているようなところでは、局所的に非常に高濃度のUFPsに直面するだろう。しかし、ビル、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、船舶、飛行機、宇宙船(の部屋)、並びに、自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、及び宇宙船内部の部屋でも、健康被害を及ぼすほど高濃度のUFPsに直面するだろう。
【0004】
特に自動車の運転者及び乗員はすぐに高濃度のUFPs及び他の排出汚染物質に曝される。その理由は、自動車の空気処理システム(それはたとえば、加熱、換気及び空調(HVAC)システム、又は基本的な加熱/換気システムのいずれかであって良い)が連続的に、他の自動車の排気口から放出される排出気体及び粒子によって汚染されている外気を自動車の運転室内に送り込むからである。従って、快適な温度及び湿度のレベルを保ちながら自動車の乗員の大気汚染物質への曝露を最小にするため、空気清浄ユニットの手段によって空気中に浮遊する様々な汚染物質の外気を、少なくとも部分的には清浄にし、外気に関する条件、とりわけ湿度、温度及び汚染レベルに応じて空気処理システムの設定を自動的に制御することが可能であることが望ましい。
【0005】
特許文献1で説明されているように、自動車の空気処理システムの動作モードは、空気処理システムに付随する車内の空気の吸気口と外気の吸気口との間に設けられている切り換え調節弁素子を回転させ、かつその回転を制御する電気制御によって制御されて良い。
【0006】
切り換え調節弁素子は、入力モード動作では車内の空気吸気口を十分に閉じ、かつ外気吸気口を十分に開く一方で、再循環モード動作では車内の空気吸気口を十分に開き、かつ外気吸気口を十分に閉じる。混合動作モードでは、制御された量の再循環する車内の空気及び制御された量の外気が同時に空気処理システムに流入できるように、切り換え調節弁素子は、車内の空気吸気口と外気吸気口の両方が部分的に開いている、一連の中間位置をとって良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5775415号明細書
【特許文献2】独国特許発明第19824744号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、空気処理システムを有する筐体の空気汚染センサシステムの提供である。その大気汚染センサシステムは、超微粒子による前記筐体内部の空気の汚染に関する情報を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、請求項1で定義されるような空気汚染センサシステムが供される。
大気汚染センサシステムの超微粒子(UFPs)センサを利用することで、筐体内部において、UFPsによる汚染に関する特定の情報が得られる。空気中に浮遊するUFPsを吸入することは、一般的な排出気体を吸入することよりも人体に有害であるため、空気中に浮遊するUFPsの濃度を空気汚染レベルへの重要な因子と考えることが重要である。この点では、空気汚染センサシステムがUFPsセンサを有する一方で、空気処理システムは、空気が筐体内部へ放出される前に、空気からUFPsを除去するのに特に適するような特性を有して良い。
本発明の空気汚染センサシステムは、空気ダクトを貫流する空気を制御するように構成されている。空気清浄効率は、空気処理システムによって変位する単位時間当たりの空気の量に依存すると考えられる。その理由は、前記空気処理システムによって変位する単位時間当たりの空気の量が、前記空気清浄ユニットを貫流する空気の速度を決定するからである。
【0010】
本発明の空気汚染センサシステムによって、UFPsに対する空気清浄ユニットの性能を評価することが可能である。少なくとも筐体内部に汚染源が存在しない場合には、たとえば筐体内部の空気汚染レベルと筐体外部の汚染レベルとの差異は大抵の場合、空気処理システムにおける空気清浄ユニットの能力によって直接決定される。
【0011】
本発明の空気汚染センサシステムによって、空気ダクトを介して筐体に流入しないUFPsの汚染源の寄与を考慮できる。例には、たばこを吸う乗員のような筐体内部での汚染源、又は開いている窓を介して筐体へ入り込むUFPsが含まれる。
【0012】
請求項2で定義された実施例は、空気ダクトを介して筐体へ入り込むUFPsの濃度、及び筐体内部であって空気ダクトから離れた場所に存在するUFPsの濃度の両方を、互いに独立に検出できるという利点を供し、空気ダクトを介して筐体へ入り込むUFPsの濃度、及び、筐体内部にいる人が実際に吸入する、空気ダクトから離れた筐体内部に存在するUFPsの濃度の両方に関する情報を供することが可能である。この実施例は、筐体内部の空気汚染源の存在を明確に検出するのに特に有用である。
【0013】
請求項3で定義された本発明の実施例は、検出されたUFPs、たとえばUFPs濃度の関数として、空気清浄ユニットの動作を自動的に変化させることを可能にするという利点を供する。筐体内部及び/又は前記空気清浄ユニット下流の汚染レベルが、たとえばある閾値を超えて増大する場合、汚染情報信号は、筐体内部の人が吸入する、空気中のUFPs濃度が受容可能なレベルに戻るように、空気清浄ユニットを制御してUFPsに対する清浄動作を改善することが可能である。
【0014】
請求項4で定義された本発明の実施例は、空気中に浮遊するUFPsの帯電が、UFPs帯電部の下流に設けられている濾過部でのUFPs濾過効率の顕著な増大を可能にするための有効な手段であることを見いだす効果を供する。
【0015】
発明のさらに別な目的は、UFPsを適切に検出するセンサユニットを供することである。
【0016】
この目的のため、請求項5で定義されるセンサユニットが供される。
【0017】
空気中に浮遊するUFPsで正味の電荷の発生させることによって、適切でかつ信頼性の高いこれらの空気中に浮遊するUFPsの検出が可能となることが分かった。
当該センサユニットが、沈殿部から上流に設けられていて、入力流入空気流を受け取り、かつ前記入力流入空気流中で浮遊する前記UFPsの少なくとも一部を正に帯電させる能力を有する、帯電部を有するとき、全てではないにしてもほとんどのUFPsが、前記沈殿部に入り込む前に帯電する。このことは、たとえば上流の空気清浄ユニットによるUFPsの帯電が不十分な場合又は上流の空気清浄ユニットが全く存在しない場合には望ましいと考えられる。
【0018】
前記センサユニットの沈殿部が、少なくとも2つの同心円柱形状電極及び/又は平行板電極の間に存在する第2流導管を有し、前記少なくとも2つの同心円柱形状電極及び/又は平行板電極は、前記第2流導管にわたって高電場を印加する能力を有し、かつ、前記これら2つの電極のうちの1つは電流計を介して地電位と接続するとき、当該センサユニットは、好ましくは平行板形状である電極間に電場を印加することによって荷電UFPsを検知するための有効な手段を有する。平行板は、たとえば筐体の空気ダクト内部での空気圧力の減少が無視できる程度であるという利点を供する。
【0019】
前記センサユニットの沈殿部が、電流計を介して地電位と接続するファラデー箱内に設けられた繊維質ほこりフィルタを貫通する第2流導管を有するとき、当該センサユニットは、UFPsを検出する他の適切な手段を有する。センサユニットを通過する空気から帯電したUFPsを捕獲するために、(高感度の電流計を介して地電位と接続する)ファラデー箱内部の繊維質ほこりフィルタを使用する利点は、電圧によって誘起される容量性電流が存在しないようにする沈殿部に電圧差を設ける必要がないため、沈殿部に付随するファラデー箱内部に、帯電した空気中に浮遊するUFPsの堆積に起因して生じる小さな電流を正確に測定することがかなり容易に実現することにある。
【0020】
上述した複数の実施例、又はその態様を組み合わせて良いということは認められるべきである。
【0021】
請求項6で定義された本発明の実施例は、濾過部においてUFPs特にすす粒子を除去するためにこれらの粒子を帯電させるための有効な手段の効果を供する。請求項7で定義された本発明の実施例は、様々な種類のUFPsの帯電に有効である。
【0022】
請求項8で定義された本発明の実施例は、たとえば石英でできた紫外ランプから発生するオゾン気体がセンサユニットから出て行くのを防ぐという利点を供する。
【0023】
請求項9から13で定義された本発明の実施例は、有効に空気からUFPsを除去する能力を有する、制御可能な濾過部を供する。
【0024】
上述した複数の実施例、又はその態様を組み合わせて良いということは認められるべきである。
【0025】
本発明の好適実施例を概略的に図示している、添付図を参照しながらさらに詳細に本発明を説明する。本発明がこれら特定の好適実施例に決して限定されないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図2】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図3】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図4】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図5】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図6】本発明の実施例に従った、UFPセンサユニットの概略図を図示している。
【図7】本発明の実施例に従った、UFPセンサユニットの概略図を図示している。
【図8】本発明の実施例に従った、UFPセンサユニットの概略図を図示している。
【図9】本発明の実施例に従った、UFPセンサユニットの概略図を図示している。
【図10】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図11】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図12】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図13】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図14】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から図5に図示されている本発明は、筐体Eに組み込まれた空気汚染システム1について開示している。筐体Eは空気ダクト2内部に空気処理システムHを有し、該空気ダクト2は、前記筐体E内部の空気と前記筐体E外部の空気とのやり取りを可能にする。空気ダクト2は、空気Iを受ける吸気口、及び処理された空気Rを前記筐体E内部へ放出する排気口を有する。
【0028】
筐体Eは、自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、宇宙船、及び、前記の自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、宇宙船内部の個々の区画すなわち部屋を含む如何なる種類の住宅/居住施設であって良い。以降では、自動車の運転室筐体を具体例として、より詳細に説明するが、他に上述した筐体のすべてについて、同様の説明が完全に当てはまることに留意すべきである。さらに、空気処理システムHが加熱手段及び/又は冷却手段を有しても良いし、又有さなくても良いことにも留意すべきである。HVACシステム(よって形式的には加熱手段及び冷却手段を有する)として実施される空気処理システムについて言及するとしても、加熱手段及び/又は冷却手段を有していない通常の空気処理システムとして実施される空気処理システムが除外されるわけではない。“HVAC”という語は、空気処理手段及び/又は空気冷却手段が必要であることを意味しない。
【0029】
空気処理システムHはたとえば、前記空気ダクト2を介して換気するHVAC換気装置11、及び/又は通過する空気を清浄にする空気清浄ユニット13を有して良い。空気汚染センサシステムは、たとえばHVAC制御ユニット12及び空気清浄制御ユニット14を含む制御電子機器を有して良い。HVAC制御ユニット12は、換気速度を調節し、かつHVACの動作モードを選択する。そのHVACの動作モードは、通常の吸気モード動作、再循環モード動作又は混合モード動作を有する。
【0030】
約5nmから500nmの範囲、好適には約5−1000nm範囲でかつより好適には約5−500nm範囲の粒径を有する粒子、以降では超微粒子(UFPs)と呼ぶ、の検出が可能な超微粒子センサ21が少なくとも1つ供される。UFPsを検出すると、センサ21は汚染情報信号Pを供する。
【0031】
空気清浄ユニット13及び/又はセンサ21からの出力信号の評価は、それぞれ空気清浄評価ユニット23及び空気汚染評価ユニット22によって繰り返し行われる。空気汚染表示ユニット24は、筐体Eの内部にいる人たちに汚染情報を供するために存在することが好ましい。
【0032】
図1は、自動車のHVACシステム内部にある、空気清浄ユニットを有してない、単一のセンサ21を有する実施例を図示している。換気装置11の上流にある粗いプレフィルタ(図示されていない)が空気から大きな残骸を除去するために存在して良い。センサ21から得られる、粒子による空気汚染情報信号Pは、空気汚染評価ユニット22によって評価され、空気汚染表示/警告ユニット24によって視覚化される。
【0033】
吸入モード動作では、外気の粒子汚染のみが記録され、この汚染も、まさに自動車の運転室Eに入り込む。通常の吸入モード動作の間、喫煙行動又は運転室の窓が開いていることを検出することができない(窓が開いていることを電子的に検出することはもちろん可能である。)。運転室に入り込む粒子の測定汚染レベルが所与の閾値を超える場合、連続して大量の汚染物質が運転室Eへ流入するのを避けるため、空気汚染評価ユニット22は、HVAC制御装置22の動作モードを通常の吸入モード動作から再循環モード動作へ切り換える。再循環によって空気ダクト2及び運転室内部Eの様々な壁に粒子が堆積するため、徐々にUFPs濃度が減少する。再循環は、限られた期間でのみ続けられ(運転室内部の二酸化炭素濃度及び/又は水蒸気濃度を安全でかつ快適な限界内に保持するため)、その後空気処理システムHを吸入モード動作に戻すことによって、外部の空気Iは、少なくとも最小期間の間に自動車の運転室Eへ再度流入可能となる。その後、外気の汚染が高すぎる場合には、空気処理システムを再度再循環モード動作に切り換えることが可能である。
【0034】
図1の実施例では、通常の吸入モード動作の際に、開いている窓を介した煙又は汚染物質の侵入を検出することができない。もちろん、窓が開いていることは電子的に検出可能であって、かつそのような情報は常に、特に外気の汚染が吸入モード動作から再循環モード動作への変化を引き起こすほど十分に高いときに、自動車の乗員への警告として伝えられることが可能である。再循環モード動作でかつ窓が閉じられている場合、時間経過とともに、記録される粒子汚染が増大するときに喫煙行動は検出される。その理由は運転室の再循環によって煙粒子がセンサ21と接触するからである。このことを、空気汚染表示/警告ユニット24の警告信号として、煙が検出され、かつ直面している空気汚染は人体の健康を脅かすものであると自動車乗員へ知らせることが可能である。同時に、運転室Eから煙粒子をできるだけ迅速に除去するため、少なくとも最小設定期間、煙が検出されるのを期として、運転室を介する通気速度を増大させる一方でシステムは吸入モード動作へ戻る。その期間後、検出された(外気の)粒子汚染レベルが依然として、再度少なくとも一時的に再循環モード動作への切り換えを引き起こすほど高いレベルにあるか否か、そして前述した一連の事象が繰り返されて良いのか否かを察知する。図1の実施例では、外気からの粒子汚染物質への曝露に対する個人の防護は限られた程度しか実現されていない。
【0035】
図2は、空気ダクト2内ではなく、筐体E内に設けられている粒子センサ21を有する実施例を図示している。空気清浄ユニットは存在しない。図1の実施例とは対照的に、筐体E内にいる人が吸入する空気のUFPs汚染レベルが直接的に感知される。通常の吸入モード動作中では、特に煙及び/又は開いている窓から導入されるUFPsを検出することができず、筐体E内における実際の粒子汚染レベルのみが記録され、かつこれは空気汚染表示ユニット24によって可視化可能である。記録された粒子汚染レベルが、設定された閾値汚染レベルを超える場合、トリガ信号が制御ユニット12へ送られ、その制御ユニット12は、設定された最長期間を限度として、再循環モード動作に切り替わる。窓が閉じられていて、かつ煙が存在しない場合、この手段によって記録された粒子汚染レベルは徐々に減少する。記録された粒子汚染レベルが第2設定汚染レベルを下回るとき、そのシステムは通常吸入モード動作に戻る。あるいはその代わりに、再循環モード動作が持続する第1設定最長期間の後、少なくとも設定最小期間だけ吸入モード動作に戻る。運転室内での喫煙行動の場合、再循環モード動作の間では、記録された汚染レベルは顕著に増大せず、これが設定された再循環期間の間に記録されるときには、筐体から煙を除去するため、好適にはより速い通気速度で、少なくとも設定最小期間だけ吸入モード動作に切り替わる。一般に運転室内部でのたばこの煙によって、自動車内部のUFPs汚染レベルは、自動車外部に存在するUFPs汚染レベルよりもはるかに高くなることに留意すべきである。記録された喫煙行動を、実際に記録された、自動車の乗員が曝されている粒子汚染レベル、及びその記録された粒子汚染レベルの人体の健康への相対的な危険性とともに、警告メッセージとして知らせることが可能である。
【0036】
又この実施例は、微粒子状汚染物質への曝露から人体の健康を保護するのにも有効であるが、有効性には限界があり、せいぜい喫煙行動が行われておらず、かつ窓が閉じられているときに有効な程度である。喫煙行動は、図1の実施例よりもすぐに検出される。しかし依然として喫煙行動は、窓が開いていることが他の電子検出手段から既知であるという条件下での再循環モード動作の間において明確に記録できるにすぎない。
【0037】
図3は、空気ダクト内及び運転室E内の両方に粒子センサ21を有するより好適な実施例を図示している。両センサ21からの電子出力情報信号Pは、両信号を相互に比較する空気汚染評価/比較ユニット22へ送られる。空気汚染評価/比較ユニット22から、適切な電子フィードバック信号をHVAC制御装置ユニット12へ送ること、及び電子情報信号を空気汚染表示器ユニット24へ送ることが可能である。煙が発生しない場合、両センサ21の読み取りは、如何なるHVAC動作モードにおいても実質的に同一で、かつ運転室の窓が開いているか閉じているのか無関係である。しかし、窓が開いているか閉じているのかは、再循環モード動作中に記録された空気汚染レベルには影響を与えうる。またここで、窓が開いていることは、独立した電子手段によって感知され、自動車の乗員への警告メッセージとして伝えられることが可能である。通常吸入動作モード中では、空気ダクト2内のセンサ21による測定よりも実質的に高くなる、運転室E内のセンサ21による測定を介することで、喫煙行動が明らかになる。これは、空気汚染表示器ユニット24への警告として伝えられることが可能である。運転室のセンサ読み取りが、空気ダクト2内のセンサ読み取りよりも高い限り、空気ダクト2内のセンサ21によって実際に記録された外部の粒子状粒子汚染レベルに関係なく、通常吸入モード動作が維持されて良い。喫煙行動が起こっておらず(センサ21の読み取りは両方とも同一である)、かつ空気ダクト2内のセンサ21によって記録された粒子汚染レベルが、ある設定汚染レベルを超えるときにのみ、再循環モード動作への切り替えが生じる。再循環は、設定最大期間を最長として起こるか、又はセンサ21の読み取りが設定汚染レベル未満にまで落ち、その後少なくとも設定最小期間だけ通常吸入モード動作が再度選択されるまで起こる。また再循環モード動作によって、ダクト2を介して、自動車運転室への(非常に)限られた量の外気の導入が可能となることに留意すべきである。
【0038】
図3の実施例は、人体の健康を保護する上で、改善された実施例を供する。その主たる理由は、図1及び図2で図示された実施例と比較して、喫煙行為に対して、より広範囲の検出が可能となったことである。
【0039】
図4に図示された実施例は、受動空気洗浄ユニット13を別にすれば図1から図3に図示された実施例のそれぞれと類似している。空気清浄ユニットは、たとえば繊維質の(エレクトレット)フィルタ、及び場合によっては空気から汚染気体を除去する付加的な濾過手段を有して良い。空気清浄ユニット13は、図1から図3を参照しながら説明した、再循環モード動作中に、粒子汚染レベルを含む全体の粒子汚染レベルをより迅速に減少させることを可能にする。
【0040】
図5に図示された本発明の実施例は、粒子帯電部と一緒になっている静電的に増大した粒子フィルタを有する空気清浄ユニット13が供されため、より好適な実施例である。これについては以降で詳述する。静電的に増大した粒子フィルタは、空気からの粒子の除去が実際に起こる濾過領域内で意図的に印加された電場の存在によって、その粒子濾過効率が増大するという一般的な特性を有する。この意図的に印加された電場はまた、電場誘起漏れ電流をフィルタ内部に発生させる恐れがある。そして、そのような漏れ電流を少なくとも部分的に小さくするために一般的に行われている方法は、相互に異なる電位を有するように設定されている材料同士が(物理的に)接続しなければならない場所に、導電性材料を存在させないことである。電子フィードバック信号は、空気汚染評価ユニット22から空気清浄制御装置14へ伝達されることが可能である。そしてたとえば、空気清浄ユニットを通過する空気の相対湿度を考慮しながら、静電的に増大した粒子フィルタ内部に発生する全ての漏れ電流を記録することによって、フィルタの寿命に到達したか否かを知覚することが可能である。また、フィルタの寿命が終わったという情報は、自動車乗員へのメッセージとして伝えられることが可能である。空気清浄は、そのほとんどが空気清浄ユニット13の内部で起こる。ほぼ常に通常吸入モード動作が維持可能なため、より健康的な空気環境が可能となる。
【0041】
図6及び図7は、本発明の実施例に従ったUFPセンサユニット21の概略図を示している。
【0042】
UFPセンサ21は、任意で、空気中に浮遊する1μmより大きい粒径を有する比較的大きな粒子を、前記吸入部を通過する流入空気流から除去する機能を果たす粗粒子プレフィルタ211と共に供される吸気口部200、単極性イオン源を有する帯電部201、及び粒子沈殿部202を有する。該単極性イオン源は、UFPセンサ21を通り抜けて移動する空気中を浮遊する粒子に付着することで、粒子拡散帯電、又は粒子電場/拡散帯電を誘起し、前記誘起される帯電は、それらの静電的帯電の間に粒子が曝露される電場強度に依存する。粒子沈殿部202では、荷電粒子が高感度電流計を介して地電位と接続する電極表面上に静電的に沈殿する、又は帯電したUFPsは、高感度電流計を介して地電位と接続する(各々の場合において、空気中に浮遊する帯電したUFPsの量に比例する大きさの電流が発生する)所謂導電性ファラデー箱内部に入っている濾過ユニットの手段によって空気から濾過される。
【0043】
別な好適実施例に従うと、UFPセンサそれ自体は、図8及び図9を参照したより詳細な説明にあるように、任意で、空気中に浮遊する1μmより大きい粒径を有する比較的大きな粒子を、前記吸入部を通過する流入空気流から除去する機能を果たす粗粒子プレフィルタ211と共に供される吸入部200及び粒子沈殿部202を有する。粒子沈殿部202では、荷電粒子が高感度電流計を介して地電位と接続する電極表面上に静電的に沈殿する、又は帯電したUFPsは、高感度電流計を介して地電位と接続する(各々の場合において、空気中に浮遊する帯電したUFPsの量に比例する大きさの電流が発生する)所謂導電性ファラデー箱内部に入っている濾過ユニットの手段によって空気から濾過される。
【0044】
空気処理システム又は空気清浄サブシステム、これらもまた以降で図10−図14を参照しながら詳述される、は、自動車の空気処理システムによって流れる空気中に浮遊する粒子で、特に空気中に浮遊するUFPsを静電的に帯電させる粒子帯電部1001、及び空気から荷電粒子を除去する濾過部1002を有する。
【0045】
粒子、特にUFPsを静電的に帯電させる粒子帯電部1001は、浮遊する粒子を含む空気を、粒子の光閾値より大きなエネルギーを有する光子エネルギーの紫外放射線で照射することによる光電的帯電手段、又は、高電圧が印加される、少なくとも1つの細いワイヤ電極若しくは少なくとも1つの針状電極からのコロナ放電によって生成される正若しくは負に帯電した小さなイオンに曝露することによる、電場/拡散帯電手段のいずれか、又は光電的帯電手段と電場/拡散帯電手段との組み合わせた手段を有する。
【0046】
空気流から荷電粒子の少なくとも一部を除去するために供される濾過部1002は、高分子繊維に大きな双極性電荷が恒久的に存在する繊維質フィルタとして実装されるエレクトレットフィルタ、2つの多孔質導電性ガーゼ間に挟まれた繊維質フィルタ材料として実装され、2つのガーゼ間に電位差が印加され、繊維質フィルタ材料にわたって、粒子の濾過効率を大きく増大させる強い電場を発生させる静電的に増大したフィルタ、又は地電位及び高電圧と互い違いに接続する1組の平行板として実装される平行板型の荷電粒子沈降分離フィルタを有する。平行板は互いに隣接するような位置にある。各板は、空気流の方向と実質的に平行な面内で延在する。平行板型粒子沈降分離フィルタの利点は、生じる圧力低下が非常に小さいことである。欠点は、製造、清浄及び/又は処理が比較的難しいために、コストがかかることである。
【0047】
上述の粒子濾過システムすべては、活性化炭素フィルタ、及び/又は光触媒フィルタ、及び/又は、少なくとも部分的にはVOCs、NOX、SO2及びO3から自動車の空気処理システムを通り抜ける空気を清浄にする機能を有する特定気体吸収/吸着フィルタと組み合わせられて良い。
【0048】
図1から図5に図示されている空気汚染センサシステムの電子制御部分は、自動車の空気処理システム及び該空気処理システム内部に格納されている空気清浄システムへの電子フィードバック制御を可能にする。そのフィードバック制御は、これらのシステムからの受信された電子出力信号(これらのシステムの設定に対応する)、UFPセンサからの電子出力信号、及び任意で、それぞれ独立した湿度/温度/二酸化炭素センサからの電子出力信号に基づく。
【0049】
空気中に浮遊するUFP濃度の大きさは、SO2、VOC’s、CO及びNOxのような一般的排出気体の濃度に比例することに留意することが可能である。そのようなものとして、本発明の機能は、従来技術によるガスセンサシステムの機能(所与の時間間隔内での空気汚染レベルの相対変化を検知し、かつ応答する)を組み込むだけではなく、それを拡張したものである。その理由は、次のことを可能にするためである。
【0050】
a)燃焼に関係する粒子の直接検知。特に自動車運転室内、及びUFPsへの空気清浄ユニット13の能力を引き出すことによって、空気清浄ユニットの上流部である自動車の外部から送り込まれる吸入空気内のすす粒子及び他のUFPsの検知(UFP濃度指示機能)であって、それは、自動車運転室内部及び外部の相対空気汚染レベルの評価、荷電粒子、特に荷電UFPsに対する空気清浄ユニットの空気清浄機能の評価及び制御、並びに、自動車の運転室内での温度、湿度、酸素レベル及び二酸化炭素レベルの観点から、自動車の運転室内を快適かつ安全な条件に維持する一方で、自動車の乗員が空気中の汚染物質に曝露されるのを最小限にするための自動車の空気処理システム及び空気清浄ユニットの設定の調節に特に有効である。
【0051】
b)吸入空気(自動車の外部から取り込まれる)、及び再循環する運転室内の空気(空気清浄機能)からのすす粒子及び他のUFPsの除去。あるいはその代わりに、提案された発明である空気汚染センサは、従来技術のガスセンサシステムに加えて、自動車の空気処理システムに組み込まれて良い。それは、自動車の空気処理システムの動作及び設定へのフィードバック制御を供すること、空気処理システム内部の空気清浄ユニットの空気清浄機能をチェックすること及び制御することに加え、UFPs及び様々な気体汚染物質をそれぞれ独立して検知するためである。
【0052】
空気中での一般目的でのUFP測定のUFPセンサのデザインルールは、従来技術から部分的に既知である(特許文献2を参照のこと)。本出願用のこれらのデザインルールを特別に設計することは好都合である。
【0053】
より厳密には、自動車運転室E内でUFPを検知する、本発明の本実施例では、図6で図示されているようなUFP検知装置は有利に用いられる。前述のように、前記装置は吸入部200、帯電部201、及び粒子沈殿部202を有する。
【0054】
吸入部は、荷電粒子及び非荷電粒子を有する冷たい流入空気流を受けるための吸入ポート210を有することが好ましい。吸入ポートは、流入空気流から比較的大きな粒子を捕獲する粗粒子プレフィルタ211を有することが好ましい。プレフィルタ211は、空気中に浮遊する、約1μmより大きな粒径を有する、大きなほこり粒子の少なくとも一部が発光部へ入り込める前に、そのようなほこり粒子を流入空気流から機械的に除去することを可能にする。そうすることによって、粒子の蓄積によってUFP検知装置21内部がすぐに汚れてしまうのを防ぐ(前記の空気中に浮遊する大きなほこり粒子は大抵の場合、空気中に浮遊する粒子の質量のほとんどを有する。)。すす粒子及び他のUFPsは一般に、前記の空気中に浮遊する粒子よりもはるかに小さく、したがって、前記粗粒子プレフィルタによっては、発光部に入り込む空気から実質的に除去されない。
【0055】
帯電部201は、吸気口部200からの流入空気流を受け取り、拡散帯電(粒子は500[V/cm]未満の静電電場強度に曝露される)又は電場/拡散帯電(粒子は500[V/cm]より大きな静電電場強度に曝露される)のいずれかの条件下で、その粒子を単極性の空気中に浮遊するイオンに曝露することによって、その受け取られた吸気口部200からの流入空気流中に浮遊する粒子に静電的電荷を与えるように機能する。拡散帯電の条件下では、帯電部は、イオン源、多孔質スクリーン電極213、対向電極、及び吸気口部200から受け取られた流入空気流の第1流導管207を有する。第1流導管207は、多孔質スクリーン電極213と対向電極との間に設けられている。イオン源は空気中に浮遊するイオンを生成し、かつ針状電極又は細いワイヤ状電極(図示していない。このとき、この電極は2つの絶縁体212間の位置で保持されている)として実装されるのが好ましい。前記電極上には、針状電極又は細いワイヤ状電極に直接隣接する空気をイオン化するほど十分に高いコロナ電圧Vcorが印加される。多孔質スクリーン電極213は、前記イオン源215の周囲に設けられ、Vcorよりも実質的に小さな電圧Vscrで設定される。それによって、1種類の極性のイオンがイオン源からスクリーン電極213へ引き込まれる。対向電極は、多孔質スクリーン電極213の周囲に設けられ、Vscrよりも小さな対向電極電位に設定されている。対向電極電位は、地電位に設定されていることが好ましい。これにより、イオン源215から多孔質スクリーン電極213へ引き込まれる単極性イオンの一部が、スクリーン電極213の孔を横切り、多孔質スクリーン電極と対向電極との間に存在する電場の駆動力の下で、第1流導管207を横切って対向電極へ引き込まれることが可能となる。前記電場は、500[V/cm]未満が好適である強度を有する。第1流導管207を横切って引き込まれる単極性イオンの一部は、受け取られた流入空気流中に存在する浮遊粒子に付着し、それによって、これらの空気中に浮遊する粒子の拡散帯電が誘起される。スクリーン電極と向かい合うUFPセンサの筐体214の内壁は、対向電極として利用されて良い。
【0056】
電場/拡散帯電の条件下では、帯電部は、イオン源、対向電極、及びイオン源と対向電極との間に存在する、吸気口部から受け取られる流入空気流の第1流導管を有する。イオン源は、空気中に浮遊するイオンを生成し、2つの絶縁体の間の位置に保持されている針状電極又は細いワイヤ状電極として実装されるのが好ましい。Vcorと対向電極に印加される電圧(地電位が好ましい)との間の電位差は第1流導管をわたる電場を誘起する。その電場は、単極性イオンを、イオン源から第1流導管をわたって対向電極へ直接引き込む。それによって、単極性イオンの一部が、第1流導管を介して移動する流入空気流中に浮遊する粒子に付着できるようになるため、第1流導管にわたる電場の存在下で、粒子電場/拡散帯電が可能となる。その電場は500[V/cm]を超える強度を有する。イオン源と向かい合うUFPセンサ筐体の内壁は、対向電極として利用されて良い。
【0057】
粒子沈殿部202は第2流導管217を有する。その第2流導管217は、2つの平行電極表面218と219との間(これらの電極表面間で、内側電極218と接続する高電圧供給体222が高い電場を発生させることで、実質的にすべての荷電粒子を、高感度電流計221を介して地電位と接続する電極219上に堆積させる。)に存在するか、又は所謂ファラデー箱内部に設けられている繊維質ほこりフィルタ62を貫通する。流導管217が繊維質ほこりフィルタ62を貫通することで、高感度電流計を介して地電位と接続するファラデー箱内部のほこりフィルタの繊維上への荷電粒子の堆積を引き起こす。すべての場合において、沈殿部202内部での単位時間あたりの堆積電荷は、前記電流計を流れる電流Iとして計測される。少なくとも、拡散帯電の場合(だけではなく、直面するUFP汚染レベルがほとんど、dp<300nmの粒径を有する粒子から生じているときには、電場/拡散帯電の場合も)、得られる粒子の電荷は、粒径dpにほぼ比例し、計測された電流Iは、すべての空気中に浮遊するUFPsの全長さ濃度Lufpに比例する。よって、
【数1】
ここで、dNufp/dln(dp)は、粒子の大きさの関数としての粒子数濃度(つまり粒子の大きさ分布)を表す。Lufpが、UFPに関係する人体の健康のインパクトパラメータHufpにほぼ比例するので、Hufpは以下で与えられる。
【0058】
【数2】
ここで、Const1は粒子の物理組成に依存する一定のパラメータであり、妥当な近似として、
【数3】
となる。
よって、計測される電流Iの大きさは、直面するUFP汚染濃度の相対的健康被害にほぼ比例する。それは本出願にとって最も有効である。Hufpに関する表式におけるdp1.5の依存性は、肺の肺胞領域内部で蓄積された粒子の相対的健康被害(蓄積粒子の表面積(〜dp2)に比例する)と肺の肺胞領域内部におけるこれらの粒子の蓄積係数(ほぼdp−0.5に比例する)との積から得られる。好適には、IとHufpとの間での信頼性のある比例係数因子を決定するためには、空気中に浮遊するUFPs源(たとえば自動車の交通量)が分かっているべきである。したがって、UFP汚染された空気の相対健康効果Hufpについてのデータは電流Iの記録から得られる。
【0059】
センサ筐体214については、電極218及び電極219は、非常に高い電気抵抗を有する誘電性絶縁素子224の手段によって電気的に隔離されている。
【0060】
図6及び図7に図示されているUFPセンサ21の実施例では、電流計221の読みは、残留する空気中に浮遊する単極性イオンの存在には影響されないことが保証されているので有利である。その残留する空気中に浮遊する単極性イオンは、帯電部201から沈殿部202へ電気的に引き込まれるか、又は前記入力流入空気流が、帯電部201から沈殿部202へ通過するときに、空気に沿って運ばれる。この目的のため、接地されたバッフル板216は、該バッフル板216と、該バッフル板216と向かい合う絶縁体212表面との間に流導管を確立できるように、帯電部201と沈殿部202との間に設けられているのが好ましい。バッフル板216と該バッフル板216に向かい合う絶縁体212の上部面との間に存在する流導管にわたって小さな電場強度を印加することによって、残留する単極性イオンは、沈殿部202へ入り込む空気流からすぐに除去される一方で、荷電UFPsの流路にはほとんど影響を及ぼさない。その理由は、単極性イオンの移動度に対して荷電UFPsの移動度ははるかに小さいからである。
【0061】
バッフル板216と向かい合う絶縁体212の上部面は、電位Vscrと接続する電極板で被覆されることによって、地電位とは異なる電位であると推定される。その電極板はまた、電位Vcorと接続されても良い。さらに、空気からの単極性イオンの吸収を介することで、その絶縁体が有限の電位をすぐに得るという条件下であれば、絶縁体は被覆されない状態のままでも良い。
【0062】
粒子帯電部がなく、粒子捕獲のみが行われる2つの代替実施例が図8及び図9で提案されている。図8のUFPセンサは、ファラデー箱162内部にある多孔質粒子フィルタ161から構成される粒子沈殿部202を有する。その一方で図9は、2つの平行電極板218及び219から構成される粒子沈殿部202を有するUFPセンサ21を図示している。2つの平行電極板の間では、高電圧供給体222と平行板沈降分離装置の高電圧板218との接続、及び高感度電流計221を介する電極板219と地電位との接続によって電場が発生する。図8及び図9のUFPセンサユニット21は両方とも、任意で粗粒子プレフィルタ211と共に供される空気吸入口200、及び前記UFPセンサユニットを介して空気を送り出すポンプ又はファンと接続する空気排気口220を有する。図8及び図9のUFPセンサユニット21は、前記UFPセンサの上流部にある空気清浄ユニット13の濾過部において捕獲されずに空気中に浮遊する荷電粒子の存在のみを検知する。それに続き、粒子の帯電は空気清浄ユニット13の粒子帯電部1001(図10−図14参照)によって実現される。荷電粒子が、多孔質粒子フィルタ161内部(図8)、又は接地された電極板219上(図9)に堆積するときに生じる、電流計221を流れる電流を記録することによって、前記UFPセンサ21で粒子を検知する。粒子帯電部1001内で、光電的帯電を介した粒子の帯電が起こるとき、図8及び図9のUFPセンサは、すすセンサとして振る舞う。その理由は、すす粒子のみがUVランプによる光電的帯電を介して容易に帯電可能だからである。コロナ拡散放電、若しくはコロナ電場/拡散放電、又はコロナ放電及び光電的帯電の組み合わせを介して、粒子帯電部1001内で粒子帯電が起こる場合、図8及び図9のUFPセンサは、真のUFPセンサとして振る舞う。その理由は、実質的にすべての空気中に浮遊する粒子が帯電するからである。
【0063】
図6−図10の前記UFPセンサを通り抜ける空気流は通常、たかだか数[l/min]に過ぎず、前記沈殿部によって供給される前記出力空気流を受ける空気排気口220と接続する換気装置又はポンプ(図示していない)によって作り出すことが可能である。
【0064】
UFPセンサの上流に位置する一体化した空気清浄ユニットを通り抜ける全空気流は、最大で10[m3/min]にまで到達可能で、よってUFPセンサユニット21を通り抜ける空気流よりも何桁も大きいことに留意すべきである。
【0065】
一体化した空気汚染センサシステム1は、自動車の空気処理システム内の、空気処理システムを通過する空気の温度が室温条件に近づくように調節される場所に備えられているのが好ましい。これは、冷却熱交換機下流の一体化した清浄/センサ/制御装置システムの位置設定、及び/又は自動車の空気処理システムに付随する熱交換機部品の加熱によって、UFPセンサ21の動作が外気温度及び外気の相対湿度とはむしろ独立であることを保証することによって実現されるのが好ましい。
【0066】
自動車の空気処理システムによって移動する空気からUFPsを除去する空気清浄システムを有するUFP汚染センサシステム1の一実施例が図10に図示されている。この実施例では、粒子帯電部1001は、濾過部1002上流に位置する針状コロナ放電電極1012として実装される単極性イオン源を有する。濾過部1002は、本実施例の場合静電的に増大した繊維質フィルタ82である。針状電極1012は、十分な高電圧Vcorに設定され、針状電極からのコロナ放電を誘起し、単極性イオン流を針状電極から、低電位に設定されている対向電極へ向けて送り出す。対向電極は、少なくとも図10では、自動車の空気処理システムによって移動する空気が通り抜けるダクトの接地された内壁1014によって形成される。特に、針状電極1012が、静電的に増大したフィルタ82(又は他の如何なる型の粒子フィルタ)の周辺に位置するとき、前記針状電極と繊維質粒子フィルタとの間に存在する空間内部に誘電性絶縁素子を位置設定するのは好都合である。この絶縁体は、針状電極の位置から見たときに、静電的に増大したフィルタの面の少なくとも一部の視界を遮断し、前記針状電極から十分離れた場所に置かれることで、針状電極からのコロナ放電が、前記絶縁体の存在によって実質的に供給されないことを保証する。単極性イオンが針状電極1012から放出されるとき、これらの単極性イオンのうちの複数は迅速に絶縁体1013上に吸着し、該絶縁体1013を帯電させる。それにより、針状電極から該針状電極と対向する粒子フィルタの面に向かって放出される単極性イオンの直接経路を回避する、又は少なくとも抑制する前記絶縁体の電位が上昇し、放出された単極性イオンは実質的に、針状電極から対向電極としての機能を有するダクトの接地された内壁1014へ向けて導かれる。ダクト内壁へ向けて放出される単極性イオンの軌道は、空気流と一致して移動する浮遊粒子の軌道と交差し、イオンが浮遊粒子へ付着することを可能にする。それにより、粒子帯電部内の粒子の滞留時間中での粒子電場/拡散帯電が可能となる。粒子の電荷の大きさは、粒子帯電部内での粒子の滞留時間、粒子の大きさ、及び帯電中の粒子に加わる電場強度の関数である。
【0067】
図10の針状電極1012は、誘電性絶縁体(図示していない)間に位置する細いワイヤ電極に置き換えられて良いことに留意すべきである。その細いワイヤ電極上に十分な高電圧Vcorが印加されるとき、その細いワイヤ電極に直接近接する空気は電離される。
【0068】
ときにより500[m3/hour]を超える空気容積を入れ換え可能なように設計されている実際の自動車の空気処理システムでは、一般的に、多数ある当業者に周知の可能なデザインオプションのうちの1つに従って、複数の対向電極と一緒になった、複数の平行に位置する高電圧針状電極及び/又は細いワイヤ電極を粒子帯電部の内部に設置する。
【0069】
図13に図示された粒子帯電部の別な実施例では、前記粒子帯電部1001は、濾過部1002上流に位置する、(延在した)曲がりくねったUV光源81を有する。前記粒子帯電部1001は静電的に増大した繊維質フィルタ82であって良い。これらのUV光源81は、空気処理ユニットを通過する空気流中に存在するすべての粒子を、260nm未満の波長を有するUV光で照射する。それにより、光電的に誘起された正の電荷が浮遊するUFPs、特にすす粒子に与えられる。すす粒子上に生成された電荷の大きさは粒子の大きさに依存し、かつ粒子によって受け取られたUV光の発光強度とUV発行領域内での粒子の滞留時間との積に比例する。(曲がりくねった)平板状UV光源81は、各UV源の周囲にある多孔性導電性ガーゼ83が設けられることによって、空気流への直接曝露から遮断されている。そのガーゼ83は、UV光源の外側表面が、蓄積される粒子によってすぐに汚染されるのを防ぐ。ガーゼ83は接地されていることが好ましい。ガーゼ83の表面は、非金属材料の薄いコーティングによって被覆されていることが好ましい。前記コーティングは、前記表面が前記UV光源から放出されるUV光によって照射されるとき、ガーゼ83の前記表面から電子が光電子放出されるのを抑制するほど十分に厚い。前記コーティングは、前記コーティングにわたって有限の伝導率が得られるくらい十分に薄い。ガーゼ83表面からの光電子放出電子は抑制されるのが望ましい。なぜなら、そのような放出された電子は、少なくとも複数の光帯電した空気中に浮遊するUFPsを中性化する能力を有するからである。中性化によって、図16及び図17の帯電部1001を通過する間でのUFPsの全体の帯電効率は減少する。同一の理由により、UVランプ213と向かい合っている他の金属表面もまた、電子の光電子放出を防止するために非金属材料の薄いコーティングによって被覆されることが好ましい。
【0070】
図14に図示されているさらに別な実施例では、全粒子の電場/拡散帯電は、上述のように、接地されたガーゼ83によって取り囲まれているUV光源81の手段による光電的帯電と共に針状電極1012からのコロナ放電の手段によって起こる。この実施例でのコロナ放電は、正の単極性イオンを放出するように作られることによって、少なくとも複数のUFPs、特にすす粒子上で得られる正の電場/拡散電荷が、正の光電的帯電によってさらに増大することが好ましい。
【0071】
静電的に増大したフィルタ82は、2つの多孔質金属ガーゼ電極84a、84bの間に挟まれている、ひだのある繊維質フィルタとして実装され、その間には電位差Vfiltが作られる。その結果生じる、この繊維質フィルタの厚さにわたる静電場は、空気中に浮遊する荷電粒子に対するフィルタの濾過効率を大きく増加させる一方で、このフィルタに生じた圧力低下を比較的低いレベルに維持することが可能な、外部印加された電場である。静電的に増大したフィルタ82は、空気から荷電粒子を除去する。その除去能力は、粒子の電荷の増加、フィルタを横切る方向の電場強度の増加、及びフィルタを通る空気流速度の減少とともに増加する。活性化炭素は、静電的に増大したフィルタ82内部、多孔質金属ガーゼ電極(84a,84b)表面上、又は針状電極1012下流にある別な活性炭素フィルタ内のいずれかに存在しているのが好ましい。活性化炭素フィルタを横切る方向で生じる圧力減少を最小限にするため、活性化炭素フィルタは、空気を移動させる、実質的にまっすぐな流れのチャネルを特徴とする波状フィルタとして実装されるのが好ましい(図示していない)。前記の流れのチャネルの内壁は活性化炭素材料を有する。活性化炭素材料は、静電的に増大した繊維質フィルタ82内部に、たとえば繊維質フィルタを構成する少なくとも複数の繊維表面上の活性化炭素コーティングとして存在して良い。活性化炭素の目的は、オゾン気体から空気を清浄にすることである。それは、針状電極若しくは細いワイヤ電極1012のいずれかからのコロナ放電、及び/又はUV光源81によって粒子帯電部1001内で生成される。静電的に増大したフィルタ82に付随する高電圧ガーゼ84aは、フィルタ上流でUV光源81と向かい合っていることが好ましい。導電性ガーゼ電極84bは、前記帯電部の反対を向き、地電位と接続する。よって、静電的に増大したフィルタ82とUV光源を取り囲む接地されたガーゼ83との間、及び静電的に増大したフィルタ82と、UV光源81の上流に位置する多孔性の第2接地ガーゼ85との間に電場が発生する。この電場は、空気中から光電子放出された電子及び負の小さなイオンを迅速に除去することが可能なため、空気中に浮遊するすす粒子の光電的帯電を増大させる。高電圧ガーゼ84aは、地電位に対して正である高電圧Vfiltと接続することが好ましい。これは以下のような利点を有する。それは、正に帯電した粒子は、空気からの粒子の除去効率を増大させる繊維質フィルタ内部の、電場で分極した繊維表面の上流側に選択的に蓄積されることである。ガーゼ84bは低電位に接続されていて、好適には地電位と接続する。
【0072】
ガーゼ電極84a、84bは、必ずしも、繊維質フィルタのひだに従ってひだを有している必要はない。その代わりに、ガーゼ電極84a、84bは、フィルタのひだの先端部でのみ繊維質フィルタと接触する、まっすぐなひだを有していない電極ガーゼとして実装されても良い。ガーゼ電極間の間隔は、ひだを有するフィルタが設けられているフィルタカセットの厚さと実質的に一致する。
【0073】
さらに別な実施例では、濾過部は、まっすぐな電極ガーゼ間に挟まれている、ひだを有していない繊維質フィルタ平板として実装されて良い。UFPセンサ21は、静電的に増大したフィルタ82の下流に位置しているため、前記の静電的に増大したフィルタを通過したそれらの粒子のみを検知する。
【0074】
図12に図示されている別の実施例では、図10、図13及び図14で図示された静電的に増大したフィルタの代わりに、繊維質エレクトレットフィルタ92が、光電的に帯電したすす粒子及び他の荷電粒子の捕獲に用いられる。この実施例では、エレクトレットフィルタ92は、2つの導電性多孔質ガーゼ電極の間に挟まれていないので、外部印加された電場を印加することができない。その代わり、エレクトレットフィルタ内部には、エレクトレットフィルタの繊維上での双極性電荷分布によって発生する局所電場が存在する。
【0075】
図11に図示されたさらに別な実施例では、フィルタは、1組の積層平行板又はガーゼを有する粒子沈殿フィルタ100である。地電位(板101aから板101n+1)及び高電圧(板101bから板101n)と交互に接続するこれらの板の間では、板表面上に空気中に浮遊する帯電粒子が堆積するのを促進する静電場が発生する。
【0076】
空気処理システムによって移動する空気流から、数μmより大きな粒径を有する、大きな浮遊粒子を機械的に捕獲する目的で、付加的な繊維質粗粒子プレフィルタを空気清浄ユニット13内の粒子帯電部上流に設置するのは好都合である。この方法によって、空気清浄ユニット13内の下流にある静電的に増大した粒子フィルタ82、エレクトレットフィルタ92、又は平行板沈降分離フィルタ100の寿命を大きく延ばし、粒子帯電部内部に存在する様々な部品への早期の付着物を防ぎ、かつ時間経過によってほこりが蓄積することにより、静電的に増大した粒子フィルタ82、又はエレクトレットフィルタ92にわたる圧力低下が急激に増大するのを回避する。その一方で、粗い繊維質プレフィルタそれ自身は、非常に小さな圧力低下しか起こさない。
【0077】
上述の実施例は本発明を限定するというよりは、むしろ本発明を例示するもので、当業者は、特許請求の範囲における請求項で定義される本発明の技術的範囲から離れることなく、本発明に関する多くの代替的実施例を設計することが可能であることに留意すべきである。ある方法が、相互に異なる従属請求項において再掲されているという事実だけでは、これらの方法の組み合わせが利点を有しないということを示唆しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に組み込まれる空気汚染センサシステムであって、
該筐体は空気処理システムを空気ダクト内部に有し、
該空気ダクトは、
前記筐体内部の空気と前記筐体外部の空気とのやり取りを可能にし、
空気を受ける空気吸入口、及び処理された空気を前記筐体内部へ放出する空気排気口を有し、
前記空気処理システムは、空気中に浮遊する粒子を少なくとも部分的に除去する能力を有する空気清浄ユニット及び前記空気ダクトの前記吸気口と前記排気口との間で空気を動かす能力を有する制御可能なポンプ又は換気装置ユニットを有し、
当該空気汚染センサシステムは:
少なくとも1つの超微粒子センサ;
空気汚染評価ユニット;及び、
制御装置ユニット;
を有し、
少なくとも1つの超微粒子センサは、前記筐体内部の直径が5乃至2500nmの範囲の粒子を検知し、かつ、前記の粒子検知に応答して汚染情報信号を前記の空気の動きを制御する制御可能なポンプ又は換気装置ユニットへ供する能力を有し、
前記空気汚染評価ユニットは、前記汚染情報信号を評価し、かつ、該汚染情報信号に応じたトリガ信号を前記制御装置ユニットへ供することで、前記ポンプ又は換気ユニットによる空気の動きを制御する能力を有する、
空気汚染センサシステム。
【請求項2】
前記空気ダクト内部に存在する直径が5乃至2500nmの範囲の粒子を検知し、かつ、前記の粒子検知に応答して第2汚染情報信号を供する能力を有する第2超微粒子センサユニットを少なくとも有する、請求項1に記載の空気汚染センサシステムであって、
前記空気汚染評価ユニットは、前記超微粒子センサからの汚染情報信号と、第2超微粒子センサユニットからの汚染情報信号とを比較する能力を有する、
空気汚染センサシステム。
【請求項3】
前記空気清浄ユニットが電気制御可能な空気清浄ユニットを有する、請求項1に記載の空気汚染センサシステムであって、前記汚染情報信号を前記電気制御可能な空気清浄ユニットへ供することで、前記電気制御可能な空気清浄ユニットを制御する能力を有する空気汚染センサシステム。
【請求項4】
前記空気清浄ユニットは:
前記空気ダクトを通過する前記の空気中に浮遊する粒子の少なくとも一部を帯電させる能力を有する帯電部;及び、
前記帯電部下流に設けられていて、前記帯電部から受け取られる前記の空気中に浮遊する粒子の少なくとも一部を除去する能力を有する濾過部;
を有し、
前記超微粒子センサは、前記濾過部から受け取られる前記空気流のうちの少なくとも小さい容積が前記超微粒子センサによって受け取られるように備えられている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの超微粒子センサが:
空気中に浮遊する荷電超微粒子及び非荷電超微粒子を有する入力流入空気流を受け取る能力を有する吸入部;及び、
前記の空気中に浮遊する荷電超微粒子及び非荷電超微粒子を受け取り、静電的な粒子沈殿手順又は粒子濾過手順を実行することで前記荷電超微粒子の少なくとも一部を捕獲し、かつ、前記の空気中に浮遊する超微粒子が少なくとも部分的に除去された出力空気流を供給する能力を有する沈殿部;
を有する、
請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項6】
前記帯電部が、前記濾過部の上流に設けられているUV発光源を1つ以上有し、かつ、
該UV放出光源は、260nm未満の波長を有する波長スペクトルを有する放射線を放出する能力を有する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項7】
前記帯電部が少なくとも1つの細いワイヤ又は針状電極をさらに有し、
前記細いワイヤ電極又は前記針状電極は、前記の空気ダクトを通過する空気流を、高電圧で、前記細いワイヤ電極又は前記針状電極からのコロナ放電によって生成される単極的に帯電したイオン流に曝露する能力を有する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項8】
前記濾過部が、オゾンガスから前記空気流を清浄にする能力を有する活性化炭素を有することを特徴とする、請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項9】
前記濾過部が、前記帯電部の下流に設けられている静電的に増大した粒子フィルタを有することを特徴とする、請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項10】
前記の静電的に増大した粒子フィルタがひだを有する非導電性繊維質フィルタで、
該非導電性繊維質フィルタは、2つの多孔性金属ガーゼ電極の間に挟まれ、
該多孔性金属ガーゼ電極間では、電位差が生じることによって、前記非導電性繊維質フィルタにわたって外部印加された電場を生成することが可能となる、
ことを特徴とする、請求項9に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項11】
前記帯電部と向かい合っている前記多孔性金属ガーゼ電極が高電位と接続し、かつ、
前記帯電部の外側を向いている前記多孔性金属ガーゼ電極は地電位と接続する、
ことを特徴とする、請求項10に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項12】
前記静電的に増大した粒子フィルタが繊維質エレクトレットフィルタであることを特徴とする、請求項9に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項13】
前記の静電的に増大した粒子フィルタが、平行板型沈殿フィルタで、かつ、高電位及び地電位と交互に接続する板をさらに有する、
請求項9に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項1】
筐体内に組み込まれる空気汚染センサシステムであって、
該筐体は空気処理システムを空気ダクト内部に有し、
該空気ダクトは、
前記筐体内部の空気と前記筐体外部の空気とのやり取りを可能にし、
空気を受ける空気吸入口、及び処理された空気を前記筐体内部へ放出する空気排気口を有し、
前記空気処理システムは、空気中に浮遊する粒子を少なくとも部分的に除去する能力を有する空気清浄ユニット及び前記空気ダクトの前記吸気口と前記排気口との間で空気を動かす能力を有する制御可能なポンプ又は換気装置ユニットを有し、
当該空気汚染センサシステムは:
少なくとも1つの超微粒子センサ;
空気汚染評価ユニット;及び、
制御装置ユニット;
を有し、
少なくとも1つの超微粒子センサは、前記筐体内部の直径が5乃至2500nmの範囲の粒子を検知し、かつ、前記の粒子検知に応答して汚染情報信号を前記の空気の動きを制御する制御可能なポンプ又は換気装置ユニットへ供する能力を有し、
前記空気汚染評価ユニットは、前記汚染情報信号を評価し、かつ、該汚染情報信号に応じたトリガ信号を前記制御装置ユニットへ供することで、前記ポンプ又は換気ユニットによる空気の動きを制御する能力を有する、
空気汚染センサシステム。
【請求項2】
前記空気ダクト内部に存在する直径が5乃至2500nmの範囲の粒子を検知し、かつ、前記の粒子検知に応答して第2汚染情報信号を供する能力を有する第2超微粒子センサユニットを少なくとも有する、請求項1に記載の空気汚染センサシステムであって、
前記空気汚染評価ユニットは、前記超微粒子センサからの汚染情報信号と、第2超微粒子センサユニットからの汚染情報信号とを比較する能力を有する、
空気汚染センサシステム。
【請求項3】
前記空気清浄ユニットが電気制御可能な空気清浄ユニットを有する、請求項1に記載の空気汚染センサシステムであって、前記汚染情報信号を前記電気制御可能な空気清浄ユニットへ供することで、前記電気制御可能な空気清浄ユニットを制御する能力を有する空気汚染センサシステム。
【請求項4】
前記空気清浄ユニットは:
前記空気ダクトを通過する前記の空気中に浮遊する粒子の少なくとも一部を帯電させる能力を有する帯電部;及び、
前記帯電部下流に設けられていて、前記帯電部から受け取られる前記の空気中に浮遊する粒子の少なくとも一部を除去する能力を有する濾過部;
を有し、
前記超微粒子センサは、前記濾過部から受け取られる前記空気流のうちの少なくとも小さい容積が前記超微粒子センサによって受け取られるように備えられている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの超微粒子センサが:
空気中に浮遊する荷電超微粒子及び非荷電超微粒子を有する入力流入空気流を受け取る能力を有する吸入部;及び、
前記の空気中に浮遊する荷電超微粒子及び非荷電超微粒子を受け取り、静電的な粒子沈殿手順又は粒子濾過手順を実行することで前記荷電超微粒子の少なくとも一部を捕獲し、かつ、前記の空気中に浮遊する超微粒子が少なくとも部分的に除去された出力空気流を供給する能力を有する沈殿部;
を有する、
請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項6】
前記帯電部が、前記濾過部の上流に設けられているUV発光源を1つ以上有し、かつ、
該UV放出光源は、260nm未満の波長を有する波長スペクトルを有する放射線を放出する能力を有する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項7】
前記帯電部が少なくとも1つの細いワイヤ又は針状電極をさらに有し、
前記細いワイヤ電極又は前記針状電極は、前記の空気ダクトを通過する空気流を、高電圧で、前記細いワイヤ電極又は前記針状電極からのコロナ放電によって生成される単極的に帯電したイオン流に曝露する能力を有する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項8】
前記濾過部が、オゾンガスから前記空気流を清浄にする能力を有する活性化炭素を有することを特徴とする、請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項9】
前記濾過部が、前記帯電部の下流に設けられている静電的に増大した粒子フィルタを有することを特徴とする、請求項4に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項10】
前記の静電的に増大した粒子フィルタがひだを有する非導電性繊維質フィルタで、
該非導電性繊維質フィルタは、2つの多孔性金属ガーゼ電極の間に挟まれ、
該多孔性金属ガーゼ電極間では、電位差が生じることによって、前記非導電性繊維質フィルタにわたって外部印加された電場を生成することが可能となる、
ことを特徴とする、請求項9に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項11】
前記帯電部と向かい合っている前記多孔性金属ガーゼ電極が高電位と接続し、かつ、
前記帯電部の外側を向いている前記多孔性金属ガーゼ電極は地電位と接続する、
ことを特徴とする、請求項10に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項12】
前記静電的に増大した粒子フィルタが繊維質エレクトレットフィルタであることを特徴とする、請求項9に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項13】
前記の静電的に増大した粒子フィルタが、平行板型沈殿フィルタで、かつ、高電位及び地電位と交互に接続する板をさらに有する、
請求項9に記載の空気汚染センサシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−154620(P2012−154620A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−55943(P2012−55943)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【分割の表示】特願2007−525438(P2007−525438)の分割
【原出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【分割の表示】特願2007−525438(P2007−525438)の分割
【原出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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