説明

空気清浄機

【課題】1つの装置によって、清浄化処理された空気によって対象空間を乾燥させることが可能な空気清浄機を提供する。
【解決手段】対象空間に配置されて利用される調湿空気清浄装置1であって、空気清浄ユニット2と、除湿ユニット3と、制御部6とを備えている。空気清浄ユニット2は、対象空間の空気を清浄化させる。除湿ユニット3は、対象空間の湿度を下げる。制御部6は、除湿空清運転モードという制御モードを有している。この除湿空清運転モードでは、制御部6は、空気清浄ユニット2に清浄機能を発揮させる空清運転と、除湿ユニット3に除湿機能を発揮させる除湿運転と、を同時に実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、除湿装置は、室内に干される衣類を乾燥させるものが知られている。
【0003】
このような除湿装置としては、例えば、以下の特許文献1(特開2003−117332号公報)に示すように、衣類が配置された室内の湿度が所定値未満となった場合に、十分に乾燥させることができたと判断して消費電力を抑えるために乾燥運転を終了させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、下記の特許文献1(特開2003−117332号公報)に記載の除湿装置では、空気清浄機能を備えていない。このため、衣類等の乾燥対象の周囲に清浄化された空気を供給することができない。したがって、対象空間内に配置された乾燥対象を清浄化処理された空気によって積極的に乾燥させることができない。
【0005】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、1つの装置によって、清浄化処理された空気によって対象空間を乾燥させることが可能な空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る空気清浄機は、対象空間に配置されて利用される空気清浄機であって、フィルタと、イオン化部と、除湿部と、制御部とを備えている。イオン化部は、対象空間の除去成分を帯電させて清浄化させる。除湿部は、対象空間の湿度を下げる。制御部は、除湿空清運転モードという制御モードを有している。この除湿空清運転モードでは、制御部は、イオン化部に清浄機能を発揮させる空清運転と、除湿部に除湿機能を発揮させる除湿運転と、を同時に実行させる。
【0007】
ここでは、1つの空気清浄機に、イオン化部と、除湿部とが備えられている。そして、制御部は、イオン化部による空清運転と、除湿部による除湿運転とを同時に実現させることができる。
【0008】
これにより、対象空間を清浄化処理された空気によって除湿することが、一台の装置によって可能になる。
【0009】
第2発明に係る空気清浄機は、第1発明の空気清浄機において、制御部は、除湿運転を行うことなく空清運転を行う空清運転モードをさらに有しており、所定移行条件を満たすまで除湿空清運転モードを継続して実行した後に空清運転モードを実行する第1制御を実行可能である。なお、例えば、制御部が、所定移行条件を満たすか否かによって、除湿空清運転モードと空清運転モードとを自動的に切り換える制御も第1制御に含まれる。
【0010】
ここでは、制御部は、第1制御を行うことで、所定移行条件を満たすか否かによって、除湿空清運転モードと空清運転モードとを切り換えることができる。
【0011】
これにより、対象空間を積極的に乾燥させつつ、所定移行条件を満たした後は不必要な除湿運転を控えることで消費電力を抑えることが可能になる。
【0012】
第3発明に係る空気清浄機は、第2発明の空気清浄機において、除湿空清運転モードによる運転が行われている間の時間を計測する第1タイマーをさらに備えている。そして、所定移行条件は、第1タイマーの計測時間が第1所定時間を経過することである。
【0013】
ここでは、制御部は、所定移行条件を、第1タイマーが第1所定時間の経過を検知したか否かによって把握することができる。
【0014】
第4発明に係る空気清浄機は、第2発明または第3発明の空気清浄機において、除湿部の除湿機能が発揮されることで得られる水の量に関する値を検知する水量検知部をさらに備えている。そして、所定移行条件は、水量検知部の検知値が所定水量値を超えることである。
【0015】
ここでは、除湿運転によって得られる水の量に関する値が所定水量値を超えたことを水量検知部が検知することで、制御部は、所定移行条件が満たされたことを把握することができる。なお、例えば、制御部が、所定水量値を超えた後であっても、除湿運転は停止しつつ空清運転を続行する制御を自動的に行う制御が含まれる。
【0016】
これにより、所定水量値を超えた後であっても、除湿運転は停止しつつ空清運転を続行する制御を行うことができ、清浄化されたきれいな空気を供給し続けることができる。
【0017】
例えば、乾燥対象が対象空間に存在する場合には、所定水量値を超えた後でも、きれいな空気によって乾燥対象を乾燥させることができる。
【0018】
第5発明に係る空気清浄機は、第2発明の空気清浄機において、除湿空清運転モードによる運転が行われている間の時間を計測する第1タイマーと、除湿部の除湿機能が発揮されることで得られる水の量に関する値を検知する水量検知部と、をさらに備えている。そして、所定移行条件は、第1タイマーの計測時間が第1所定時間を経過すること、もしくは、水量検知部の検知値が所定水量値を超えること、のうちいずれか一方が満たされることである。
【0019】
ここでは、第1所定時間については設定した時間で変わらない時間概念であるが、所定水量値を超えるまでの時間は使用状況等によって貯水速度が変動する流動的な時間概念である。
【0020】
このような場合であっても、第1所定時間前に所定水量値を超えた場合にはその後は空清運転によってきれいな空気で乾燥させることができ、所定水量値を超えることなく第1所定時間となった場合には少なくとも設定された第1所定時間だけは除湿を行っているので対象空間を目標とする乾燥状態にできるだけ近づけることが可能になる。
【0021】
第6発明に係る空気清浄機は、第5発明の空気清浄機において、制御部は、空転運転の出力値を停止出力値または最大出力値の少なくとも2つの出力値のいずれかとして運転させることが可能である。そして、制御部は、所定移行条件が、水量検知部の検知値が所定水量値を超えることにより満たされた時に、所定移行条件を満たした後であって少なくとも第1タイマーの計測時間が第1所定時間を経過するまでの間空清運転を最大出力値で実行する。ここでの最大出力値としては、例えば、風量の設定を最大とする場合の値等が含まれる。
【0022】
ここでは、第1所定時間の経過よりも早く水量検知部の検知値が所定水量値を超えた場合であっても、制御部は、所定第1時間に至るまでの間は、空清運転を最大出力とさせることができる。
【0023】
これにより、早めに水量検知部の検知値が所定水量値を超えた場合であっても、第1所定時間が経過するまでの間は空清出力を最大として制御することで、少なくとも第1所定時間が経過するまでは、きれいな空気を用いて乾燥させることが可能になる。
【0024】
第7発明に係る空気清浄機は、第1発明から第6発明のいずれかの空気清浄機において、制御部は、所定終了条件を満たすことにより除湿運転および空清運転のいずれも停止状態とする第2制御を実行可能である。なお、例えば、制御部が、所定終了条件を満たすことによって空清運転および除湿運転を自動的に終了させる制御を行うことが含まれる。
【0025】
ここでは、所定終了条件を満たすことによって空清運転および除湿運転を終了させることが可能になる。
【0026】
第8発明に係る空気清浄機は、第7発明の空気清浄機において、空清運転もしくは除湿運転が行われている間の時間を計測する第2タイマーをさらに備えている。所定終了条件は、第2タイマーの計測時間が第2所定時間を経過することである。なお、例えば、制御部が、第2所定時間の経過によって空清運転および除湿運転を自動的に終了させる制御を行う場合も含まれる。
【0027】
ここでは、空清運転および除湿運転を第2所定時間の経過によって終了させることが可能になる。
【0028】
第9発明に係る空気清浄機は、第7発明の空気清浄機において、除湿部の除湿機能が発揮されることで得られる水の量に関する値を検知する水量検知部をさらに備えている。所定終了条件は、水量検知部の検知値が所定水量値を超えることである。なお、例えば、制御部が、空清運転および除湿運転を、水量検知部の検知値が所定水量値を超えることによって自動的に終了させる制御を行う場合も含まれる。
【0029】
ここでは、空清運転および除湿運転を、水量検知部の検知値が所定水量値を超えることによって終了させることが可能になる。
【0030】
第10発明に係る空気清浄機は、第1発明から第9発明のいずれかの空気清浄機において、イオン化部は、浮遊している第1被清浄対象を吸着する吸着手段と、浮遊している第2被清浄対象を化学変化させるかもしくは物理変化させる変化手段と、を有している。ここで、吸着手段としては、例えば、ホコリ等を集塵するフィルタ等が含まれる。また、化学変化や物理変化としては、例えば、分解、プラズマイオン化、脱臭化、消臭化等が含まれる。
【0031】
ここでは、単に吸着手段によって第1被清浄対象を吸着させることで空気の清浄化を行うだけでなく、第2被清浄対象を化学変化させるかもしくは物理変化させることによってさらに清浄化効果を得ることが可能になる。
【0032】
そして、このような清浄化効果の高い空気を積極的に利用して対象空間を乾燥させることもできる。
【0033】
第11発明に係る空気清浄機は、第1発明から第10発明のいずれかの空気清浄機において、制御部は、除湿運転の出力値を停止出力値または最大出力値の少なくとも2つの出力値のいずれかとして運転させることが可能であり、除湿空清運転モードを実行する際は除湿運転を最大出力値とする。
【0034】
ここでは、清浄化されたきれいな空気を用いつつ被乾燥対象を素早く乾燥させることが可能になる。
【0035】
第12発明に係る空気清浄機は、第1発明から第11発明のいずれかの空気清浄機において、除湿運転によって除湿された空気を送り出す吹出口と、傾斜状態を変更させることで吹出口から吹き出される空気の流れ方向を調整可能なルーバと、をさらに備えている。そして、制御部は、除湿空清運転モードの実行中にルーバの傾斜状態を継続的に変更させるスイング制御を行う。
【0036】
ここでは、対象空間に乾燥対象物(洗濯物等)が配置されている場合に、乾燥対象物の特定の部分のみに乾燥空気が送られることを避けて、乾燥対象物の全体に向けて乾燥空気を送ることが可能になり、乾燥対象物の全体をすばやく乾燥させることが可能になる。
【発明の効果】
【0037】
第1発明の空気清浄機では、対象空間を清浄化処理された空気によって除湿することが、一台の装置によって可能になる。
【0038】
第2発明の空気清浄機では、対象空間を積極的に乾燥させつつ、所定移行条件を満たした後は不必要な除湿運転を控えることで消費電力を抑えることが可能になる。
【0039】
第3発明の空気清浄機では、制御部は、所定移行条件を、第1タイマーが第1所定時間の経過を検知したか否かによって把握することができる。
【0040】
第4発明の空気清浄機では、所定水量値を超えた後であっても、除湿運転は停止しつつ空清運転を続行する制御を行うことができ、清浄化されたきれいな空気を供給し続けることができる。
【0041】
第5発明の空気清浄機では、第1所定時間前に所定水量値を超えた場合にはその後は空清運転によってきれいな空気で乾燥させることができ、所定水量値を超えることなく第1所定時間となった場合には少なくとも設定された第1所定時間だけは除湿を行っているので対象空間を目標とする乾燥状態にできるだけ近づけることが可能になる。
【0042】
第6発明の空気清浄機では、早めに水量検知部の検知値が所定水量値を超えた場合であっても、第1所定時間が経過するまでの間は空清出力を最大としておくことで、乾燥にきれいな空気を用いる状態を少なくとも第1所定時間だけは確保することが可能になる。
【0043】
第7発明の空気清浄機では、所定終了条件を満たすことによって空清運転および除湿運転を終了させることが可能になる。
【0044】
第8発明の空気清浄機では、空清運転および除湿運転を第2所定時間の経過によって終了させることが可能になる。
【0045】
第9発明の空気清浄機では、空清運転および除湿運転を、水量検知部の検知値が所定水量値を超えることによって終了させることが可能になる。
【0046】
第10発明の空気清浄機では、単に吸着手段によって第1被清浄対象を吸着させることで空気の清浄化を行うだけでなく、第2被清浄対象を化学変化させるかもしくは物理変化させることによってさらに清浄化効果を得ることが可能になる。
【0047】
第11発明の空気清浄機では、清浄化されたきれいな空気を用いつつ被乾燥対象を素早く乾燥させることが可能になる。
【0048】
第12発明の空気清浄機では、対象空間に乾燥対象物(洗濯物等)が配置されている場合に、乾燥対象物の特定の部分のみに乾燥空気が送られることを避けて、乾燥対象物の全体に向けて乾燥空気を送ることが可能になり、乾燥対象物の全体をすばやく乾燥させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係る調湿空気清浄装置の斜視図。
【図2】同調湿空気清浄装置の本体上部の斜視図。
【図3】調湿空気清浄装置から空気清浄ユニットを取り外した状態の斜視図。
【図4】除湿ユニットの斜視図。
【図5】除湿ユニットをヒータ側から視た正面図。
【図6】調湿空気清浄装置からタンクと気化素子とを引き出した状態の斜視図。
【図7】加湿ユニットの斜視図。
【図8】図6の空気流れの下流側から視た加湿ユニットの斜視図。
【図9】操作パネルの斜視図。
【図10】ランドリー制御運転のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0051】
<調湿空気清浄装置1の構成>
本発明の一実施形態に係る調湿空気清浄装置は、除湿機能、加湿機能および空気清浄機能を有しており、除湿運転時は除湿機として、加湿運転時は加湿機として、空気清浄運転時は空気清浄機として働く。また、本実施形態の調湿空気清浄装置では、単一機能だけでなく、同時に複数の機能を組合せて稼働させることができる。例えば、本実施形態の調湿空気清浄装置1は、空気清浄機能と除湿機能とを同時に発揮させたり、空気清浄機能と加湿機能とを同時に発揮させたり、除湿機能と加湿機能とを同時に発揮させたりすることができる。
【0052】
図1は、本発明の一実施形態に係る調湿空気清浄装置1の外観斜視図である。
【0053】
図1において、調湿空気清浄装置1は、本体ケーシング10、空気清浄ユニット2、除湿ユニット3、加湿ユニット4、送風機5、制御部6、タイマー7、タンク40、および、操作パネル60等を備えている。ここで、送風機5、除湿ユニット3、加湿ユニット4、空気清浄ユニット2、制御部6、タイマー7等は、本体ケーシング10の内部に収容されている。
【0054】
以下、図1で示す矢印Aの上流側を正面側とし、矢印Aの下流側を背面側とし、以下説明する。
【0055】
本実施形態では、ユーザが容易に調湿空気清浄機1を移動させることができるように、本体ケーシング10の本体底面15(室内の床面と対向する面)に、キャスター(図示せず)が設けられている。
【0056】
送風機5は、本体ケーシング10内部の背面側に位置している。そして、調湿空気清浄装置1は、正面視において、正面側から背面側に向けて、空気清浄ユニット2、除湿ユニット3、加湿ユニット4、送風機5の順で並んで配置されている。送風機5が稼働されることにより空気流路A(図3、4、7等参照)が形成され、正面側から吸い込まれた被調和対象の空気は、空気清浄ユニット2を通過して清浄化され、除湿ユニット3を通過した後に加湿ユニット4を通過して送風機5を介して再び被調和対象空間に送り出される。
【0057】
制御部6は、本体ケーシング10内の上方に位置しており、操作パネル60を通じてユーザから入力された信号等に基づいて、空気清浄ユニット2、除湿ユニット3、加湿ユニット4および送風機5をそれぞれ制御する。
【0058】
タイマー7は、上述した制御部6と電気的に接続されており、所定の運転や制御等の経過時間を計測する。
【0059】
図2は、調湿空気清浄装置の本体上部の斜視図である。
【0060】
図2において、本体ケーシング10の上部には吹出口11が設けられており、空気流路Aを通過する際に清浄化され調湿された空気は、吹出口11から対象空間に向けて吹き出される。
【0061】
空気の吹き出し方向は、吹出口11の開口部に設置されたオートルーバ12によって変更することができる。オートルーバ12は、モータ駆動であり、図1では、オートルーバ12が閉じた状態であるが、運転を開始すると、制御部6がモータ駆動させることによって長手方向の端部一辺を軸として自動的に回動して、吹出口11が開く。
【0062】
さらに、本体ケーシング10の上部には操作パネル60が設けられており、カバー13によって保護されている。その操作パネル60の下方に制御部6が位置しており、操作パネル60から入力される信号に基づいて、空気清浄ユニット2、除湿ユニット3、加湿ユニット4、送風機5及びオートルーバ12が制御される。運転モードは、操作パネル60上の運転切換ボタンによって切り替えられる。
【0063】
<空気清浄ユニット2>
図3は、調湿空気清浄装置から空気清浄ユニットを取り外した斜視図である。
【0064】
図3において、空気清浄ユニット2は、カバー21と、フィルタ22と、脱臭触媒23と、ホコリセンサ24と、ニオイセンサ25とを有している。フィルタ22と脱臭触媒23は、本体ケーシング10に設けられた収納部20に脱着可能に収納されており、脱臭触媒23がフィルタ22の空気流下流側に位置する。
【0065】
フィルタ22内部には、空気流上流側から順に、プレフィルタと、ホコリをプラスに帯電させるイオン化部と、マイナスに帯電したプリーツフィルタとが並んで配置されている。空気中のホコリは、プレフィルタで取り除かれ、プレフィルタで取りきれなかった小さなホコリは、イオン化部でプラスに帯電され、マイナスに帯電したプリーツフィルタに吸着される。
【0066】
脱臭触媒23は、フィルタ22を通過してきた空気から臭いや有害ガスを吸着し、分解する。ホコリセンサ24は、本体ケーシング10の側面上部に設けられ、ニオイセンサ25は、収納部20の上方に設けられている。
【0067】
<除湿ユニット3>
図4は、除湿ユニットの斜視図である。
【0068】
図4において、除湿ユニット3は、吸着素子31、ヒータ32、第2送風機33、送風管34および熱交換部35、排水口38(図5参照)、満水センサ39を有している。
【0069】
吸着素子31は、ハニカム構造体であり、ゼオライト粉末、バインダーおよび膨張剤を混合して練り上げた多孔質の材料によって円板状に成形されている。ここでのバインダーとしては、例えば、変性PPE、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂から選択されたものである。膨張剤は、ハニカム構造体の成形時に膨張することで、無数の気泡を形成させる。このため、吸着素子31は、水分に対して高い吸着性を有している。
【0070】
ヒータ32は、吸着素子31の背面側の一部に対向して配置されている。このヒータ32は、略扇形形状であって、吸着素子31の背面側の6分の1程度を覆う位置に設けられている。
【0071】
第2送風機33は、吸着素子31の上方部分から背面側に向けて突出するような形状を有している。ヒータ32と第2送風機33とは空気の流通ができるように第1送風管34aによって連絡されている。第2送風機33が稼働することで、空気流れが形成され、第1送風管34aを矢印で図示する方向へ流れる。そして、ヒータ32近傍に流れてきた空気は、そこで加熱されて高温空気となる。
【0072】
送風管34は、第1送風管34a、第2送風管34b、第3送風管34cおよび第4送風管34dを有している。ヒータ32によって加熱された高温空気は、対向する吸着素子31の背面側から吸着素子31の厚み方向の正面側に向かって進み、吸着素子31の正面側からに流れ出る。ここで、吸着素子31の領域のうち高温空気が通過した領域では、高温空気によって暖められることで、保持していた水分が、第2送風機33による空気流れにのって放出される。
【0073】
吸着素子31を背面側から前面側に向けて通過した空気は、吸着素子31から放出された水分を含むことにより、高温高湿空気となり、第2送風管34bに進む。第2送風管34bは、吸着素子31を通過してきた高温高湿空気の略全部を抵抗なく第3送風管34cに向かわせるために、吸着素子31の一部を正面側から覆うようにして形成されている。第2送風管34bは、外形が正面視略扇形であって、上述したヒータ32と共に吸着素子31の同一部分を挟むような位置に設けられ、吸着素子31の正面側の6分の1程度を覆っている。
【0074】
第3送風管34cは、第2送風管34bから流れてくる高温高湿空気を、吸着素子31の径方向外側の外周に沿って正面視右側に導く。第3送風管34cには、前後方向に貫通する複数の長孔35aが設けられており、空気流路Aの一部となっている。第3送風管34cを流れる高温高湿空気は、長孔35aを形作っている壁面に接触しながら流れる。このため、長孔35aを含む空気流路Aを通過する空気は、第3送風管34cを流れる高温高湿空気との間で熱交換を行い、互いに混ざり合うことなく、第3送風管34c内を流れる空気から熱量を奪う。このため、長孔35aを形作っている壁面に接触した高温高湿空気は冷却され、長孔35aを形作っている壁面の第3送風管34c内側では結露が生じる。この結露水は、第3送風管34C内において下方に流れ落ちつつ、鉛直方向に貫通した排水口38(図5参照)を通じて、後述のドレンパン50を介してタンク40へ流れ込む。
【0075】
第4送風管34dは、第3送風管34cと第2送風機33とを連絡している。第3送風管34cを通過する高温高湿空気は、複数の長孔35aを形作っている壁面に接触して熱量と水分を奪われた後に、第4送風管34dを通って第2送風機33に吸い込まれる。
【0076】
長孔35aは、吸着素子31の径方向外側の一部を囲むように設けられており、複数の長孔35aによって熱交換部35を形成している。除湿ユニット3は、厚み方向の寸法がほぼ同じ値に設定された平坦領域3aが形成されており、第3送風管34cと熱交換部35とは、この平坦領域3aに含まれる。
【0077】
図5は、除湿ユニット3を背面側から視た正面図である。
【0078】
図5において、除湿ユニット3は、駆動モータ36をさらに有している。駆動モータ36は、ピニオン歯車361を有している。そして、吸着素子31の外周には、ピニオン歯車361と噛み合う従動歯車311が設けられている。駆動モータ36が稼働している間、ピニオン歯車361と噛み合っている従動歯車311に動力を伝えることで、吸着素子31は回転する。そして、吸着素子31が回転しながら、本体ケーシング10に吸い込まれた空気が空気流路Aを通過することで、吸着素子31の一部を通過する。この空気が吸着素子31を通過する際に、吸着素子31は通過しようとする空気中の水分を吸着して保持し、通過後の空気の水分を低減させる。そして、吸着素子31が回転を続けることで吸着素子31のうち水分を保持している部分が、ヒータ32と対向する位置にまで移動し、加熱される。これにより水分を保持していた吸着素子31の一部は、保持していた水分をその場で放出し、ほとんど水分を保持していない状態となる。そして、吸着素子31は、回転を続けることで、空気流路Aを通過して来る新たな空気と接触し、この新たな空気から水分を吸着して保持する。このようにして、吸着素子31が回転することにより、水分の吸着と放出を繰り返すことができる。
【0079】
なお、図6に示すように、本体ケーシング10のタンク40挿入用のスペースの奥には、タンク40が満水になったことを検知する満水センサ39が設けられている。この満水センサ39は、除湿運転によってタンク40内に除湿水が溜まっていき、所定の水位まで達した場合に、タンク40が満水であることを検知し、制御部6に伝える。なお、満水センサ39が満水を検知した場合には、制御部6によって、後述する操作パネル60の「満水」のランプが点灯され、ユーザに知らせることができるようになっている。
【0080】
<加湿ユニット4>
図6は、調湿空気清浄装置1の本体ケーシング10からタンク40と気化素子41とが引き出される途中の状態を示す斜視図である。
【0081】
また、図7は、加湿ユニットの斜視図である。
【0082】
図7において、加湿ユニット4は、本体内部除湿ユニット3の背面側に設けられており、気化素子41、水車42および駆動部43を有している。この加湿ユニット4は、タンク40の中に貯留されている水が供給されることで、加湿を行う。このタンク40は、空気流路Aを通る空気の加湿に用いる水源であり、本体ケーシング10の下方空間に対して脱着可能に収納されている。タンク40内の水が不足している場合には、加湿用の水を補充するために、ユーザは、本体ケーシング10の下方の開口からタンク40を引き出して、水の補充を行う。なお、本実施形態の調湿空気清浄装置1においては、除湿ユニット3の機能を発揮させることで捕獲されてタンク40に貯まった水を、加湿ユニット4における加湿機能の発揮に利用することができるため、単に加湿のみを行う従来の加湿器と比較して水の補充頻度を低減させることができている。
【0083】
気化素子41は、不織布で円板状に成形され、回転することによってタンク40から送られてくる水を蒸発させる気化部材である。気化素子41は外周に第1歯車411を有しており、第1歯車411は駆動部43によって駆動歯車431が回転することによって回転させられる。気化素子41は、気化素子41の下端がタンク40の満水状態における水位よりも上方に位置するように配置されているので、タンク40内の水とは直接接触していない。
【0084】
図8は、背面側から見た加湿ユニット4およびタンク40の斜視図である。
【0085】
図8において、回転軸424は、タンク40の軸受40aに回転可能に支持されており、タンク40の底面から軸受40aの軸芯までの高さは、水車42が配置されたときにタンク40が最低水位のときであっても、水車42の最下位置にある凹部421aが水没するように設定されている。
【0086】
また、軸受40aは、上半分が開いているので、タンク40が本体ケーシング10から引き出されたときに、ユーザは水車42をタンク40から取り出して洗浄することができる。
【0087】
タンク40は、引き出し式の第1扉10aを引き出すことによって本体ケーシング10の引き出し口14から取り出すことができ、気化素子41は、回転式の第2扉10bを開けることによって、本体ケーシング10から取り出すことができる。これによって、ユーザは、タンク40を取り出して、水の補給および水車42の洗浄を行うことができ、気化素子41を取り出して交換することもできる。
【0088】
なお、タンク40内の水の過不足は、第1扉10aに設けられた窓部10cから目視によって確認することができる。本実施形態では、窓部10cは矩形状の孔であり、この孔にタンク40に予め形成されている凸部40c(図8参照)が嵌合している。ユーザは、窓部10cの孔から凸部40cに映る水位を目視することができる。
【0089】
図8において、水車42は、その軸がタンク40に設けられた軸受40aに指示されることで、タンク40に対して回転可能に支持されている。そして、水車42は、軸を中心として回転することで、凹部421aが順次、タンク40の水中に浸かり、水中を経由して水面上に上昇していく。この凹部421aは、タンク40の水中に浸水したとき、水を捕らえることができ、水中から出てきた凹部421aの内部は水で満たされている。そして、気化素子41と面している水面より上方の高さ位置まで水を汲み上げる。これにより、凹部421aが最上位置に近づくにしたがって、凹部421a内の水は徐々に流出し、最上位置を通過したときにほぼ全ての水が流出する。この凹部421aから流出した水は、流出する際に重力によってある程度の勢いが付加されているので、凹部421aと近接している気化素子41の側面に向って流出し、気化素子41に対して水を供給することができる。
【0090】
ここで、加湿ユニット4の厚み方向の寸法を小さくし、調湿空気清浄装置1自体の厚みをコンパクト化させるために、気化素子41と水車42は、各回転の軸が略並行の位置関係にあり、互い対向して隣接配置されている。
【0091】
ここで、水車42は、軸を中心として回転しつつ、タンク40の水をより上方に位置する気化素子41にまで運ぶために、水車42の背面側の外周近傍には、軸方向に窪んで形成された略台形状の凹部421aが複数設けられている。
【0092】
図6、図7、図8で示すように、気化素子41は、本体ケーシング10からの取り出しを容易にするために、回転軸を前後方向に突出させていない形状に成形されている。
【0093】
そして、気化素子41は、第1歯車411が駆動歯車431および第2歯車423と噛み合うことによって両歯車431、423によって支持されている。第1歯車411が、安定した姿勢を維持するために、駆動歯車431および第2歯車423は、第1歯車411の回転軸よりも下方に位置し、且つ気化素子41の鉛直中心線の面に対して互いに反対側に位置している。このため、気化素子41は、軸支持されていなくても、安定して回転することができ、本体ケーシング10から取り出されるときには、突出する軸がないので、本体ケーシング10内部に引っ掛かることなく容易に取り出される。
【0094】
<操作パネル60>
図9は、操作パネルの斜視図である。
【0095】
図9において、操作パネル60上には、運転入/切ボタン61、運転切換ボタン62、風量選択ボタン63、湿度選択ボタン64、コース選択ボタン65、タイマー選択ボタン66、オートルーバーボタン67、及びおすすめボタン68が設けられており、各ボタンを押すことによって、押されたボタンに対応した信号が、操作パネル60の下方に配置された制御部6に入力される。なお、制御部6は、マイコンとメモリを内蔵している。
【0096】
このように、使用頻度の高い運転入/切ボタン61と、運転切換ボタン62とは、それぞれ操作パネル60における両端に配置されている。具体的には、運転入/切ボタン61は、正面視右側端部近傍に、運転切換ボタン62は、正面視左側端部近傍に、それぞれ配置されている。これにより、使用頻度の高い操作ボタンの位置を覚えることが容易であるだけでなく、例えば、暗い部屋で使用する際にも、目測でこれらのボタンを押すことが容易になる。
【0097】
(各ボタンの説明)
運転入/切ボタン61は、調湿空気清浄装置1への電源供給をオン・オフするボタンであり、電源プラグをコンセントに差し込んだ後、押されると運転を開始し、再度押されると運転を停止する。
【0098】
運転切換ボタン62は、運転モードを選択するボタンであり、「空気清浄」、「加湿」及び「除湿」のいずれか1つを選択することができる。なお、ここで述べる「加湿」とは、空気清浄運転を行いながら同時に加湿運転も行う運転のことであり、設定湿度に達すると、加湿運転を停止する。なお、「加湿」において設定湿度に到達した後は、加湿運転を停止して、空気清浄運転のみを続行させる。同様に、「除湿」とは、空気清浄運転を行いながら同時に除湿運転も行う運転のことであり、設定湿度に達すると、除湿運転を停止する。なお、「除湿」において設定湿度に到達した後も、「加湿」と同様に、除湿運転を停止して、空気清浄運転のみを続行させる。
【0099】
風量選択ボタン63は、風量レベルを選択するボタンであり、「自動」、「しずか」、「標準」、「ターボ」及び「花粉」のいずれか1つを選択することができる。「自動」を選択したときは、空気の汚れに応じて自動的に風量を調節する。「ターボ」を選択したときは、大風量で空気の汚れを素早く取り除く。「花粉」を選択したときは、5分ごとに風量が「標準」と「しずか」に切り換わり、緩やかな気流をおこして、花粉が床に落ちる前に捕獲する。
【0100】
湿度選択ボタン64は、湿度レベルを選択するボタンであり、「低め」、「標準」、「高め」及び「連続」のいずれか1つを選択することができる。湿度の目安として、「低め」が40%、「標準」が50%、「高め」が60%である。
【0101】
コース選択ボタン65は、季節や居住環境に対応した運転を選択するためのボタンであり、「内部乾燥」、「ハウスキープ」、「ランドリー乾燥」及び「のど・はだ加湿」のいずれか1つを選択することができる。
【0102】
タイマー選択ボタン66は、運転時間を設定するボタンであり、所定時間後に運転モードを変更したり全運転を停止させたりするタイマーを設定することができる。タイマー選択ボタン66が押されると、「タイマー設定時間」として1時間、2時間及び4時間(第2所定時間)のいずれかを1つを選択することができ、タイマーが設定される。これに対して、調湿空気清浄装置1では、タイマーが設定されていない場合には、「自動停止時間」として予め定められた時間である運転開始から12時間(第1所定時間)が経過することにより、自動的に除湿運転を停止させる(詳細は後述)。なお、タイマー設定後の運転中であっても、タイマー選択ボタンを押すことで、その時点からの設置時間を、あらためて選択することができる。制御部6は、これらの時間経過の測定は、タイマー7を基準として行う。
【0103】
オートルーバーボタン67は、各種運転中に押されることで、オートルーバ12を遥動させるスイング制御を開始させ、吹き出し方向を変化させることができるボタンである。なお、後述するように、制御部6が除湿空清運転モードを実行する際には、自動的に、同時にオートルーバ12のスイング制御も実行されるようになっている。また、オートルーバーボタン67を一度押して、オートルーバ12が遥動している状態のときに再度オートルーバーボタン67を押すと、その時点でのオートルーバ12の位置で停止し、所望の方向に吹き出し方向を向けることができる。おすすめボタン68は、運転内容を自動で選択させるボタンである。
【0104】
なお、除湿ユニット3による除湿運転、および、空気清浄ユニット2による空気清浄運転では、それぞれ、制御部6が、出力調節を行うことができる。例えば、湿度レベルや、風量レベル等の出力をそれぞれゼロから最大出力までの範囲で、制御部6が調節することができる。
【0105】
<操作パネル60の操作例>
(おすすめ)
運転入/切ボタン61を押した後、おすすめボタン68を押したとき、制御部6が、その時の空気の状態に適した運転を行ない、風量は自動となる。但し、その後、室内の温度・湿度が変わっても運転内容は見直さないので、運転内容を見直す場合は、再度、おすすめボタン68を押す。
【0106】
(空気清浄)
運転入/切ボタン61を押した後、運転切換ボタン62を押して「空気清浄」を選ぶ。風量は、風量選択ボタン63で切り換える。
【0107】
(加湿)
運転入/切ボタン61を押した後、運転切換ボタン62を押して「加湿」を選ぶ。風量選択ボタン63で風量を切り換え、湿度選択ボタン64で湿度を切り換える。タンク40が空になると操作パネル60上の給水ランプが点灯し、加湿運転を停止するが、空気清浄運転は継続する。
【0108】
(除湿)
運転入/切ボタン61を押した後、運転切換ボタン62を押して「除湿」を選ぶ。風量選択ボタン63で風量を切り換え、湿度選択ボタン64で湿度を切り換える。タンク40が満水になると操作パネル60上の満水ランプが点灯し、除湿運転を停止するが、空気清浄運転は継続する。
【0109】
(内部乾燥)
運転入/切ボタン61を押した後、コース選択ボタン65を押して「内部乾燥」を選ぶ。このコースは、約3時間の送風運転を行い、本体ケーシング10内部を乾燥させるので、カビの発生を抑えることができる。
【0110】
(ハウスキープ)
運転入/切ボタン61を押した後、コース選択ボタン65を押して「ハウスキープ」を選ぶ。このコースは、加湿運転後に不要になった湿気を取り除くために除湿運転を行うので、結露が発生しやすい冬季に適用することによって、結露の発生を抑制することができる。このコースでは、加湿運転から除湿運転に切り換わる制御が行なわれており、詳細については後で説明する。
【0111】
(ランドリー乾燥)
運転入/切ボタン61を押した後、コース選択ボタン65を押して「ランドリー乾燥」を選ぶ。このコース運転は、約12時間の大風量と、除湿運転と、オートルーバの遥動とによって、洗濯物を乾かしながら室内の空気清浄を行なうので、湿度の高い梅雨の季節に適している。なお、ランドリー乾燥モードでの運転制御の詳細については、後述する。
【0112】
(のど・はだ加湿)
運転入/切ボタン61を押した後、コース選択ボタン65を押して「のど・はだ加湿」を選ぶ。このコースは、室温にあわせて、のどや肌に適した湿度に加湿するので、乾燥しやすい冬季に適している。
【0113】
<ランドリー乾燥モードについて>
図10に、ランドリー乾燥モードのフローチャートを示す。
【0114】
ランドリー乾燥モードとは、運転入/切ボタン61を押し、コース選択ボタン65を押して「ランドリー乾燥」が選ばれた場合に行われる制御であり、例えば、調湿空気清浄装置1が配置される室内空間に、水分を含んでおり乾燥させる対象である洗濯物等を乾燥させること等を目的として、除湿運転を行いつつ、空気清浄運転も取り入れる制御である。
【0115】
ステップS11では、制御部6は、ユーザによって、運転入/切ボタン61が押され、コース選択ボタン65が押されて「ランドリー乾燥」が選ばれたことを把握し、空気清浄ユニット2を用いた空気清浄運転と、除湿ユニット3を用いた除湿運転とが同時に実現される除湿空清運転モードを実行させる。ここで、制御部6が行う除湿空清運転モードでは、除湿運転について最大出力に設定されて運転され、かつ、オートルーバ12が制御部6によってオートスイングされることで吹出口11からの吹き出し方向に一定の幅を持たせている。
【0116】
ステップS12では、制御部6は、タイマー選択ボタン66によってタイマー設定がなされているか否かを判断する。ここで、タイマー設定がされている場合にはステップS16に移行する。他方、タイマー設定がされていない場合には、ステップS13に移行する。
【0117】
ステップS13では、除湿空清運転モードが継続して行われることで、タンク40に除湿水が溜まっていくが、制御部6は、タンク40がこの除湿水で満水になったか否かを判断する。具体的には、制御部6は、満水センサ39による満水の検知の有無によって判断する。ここで、満水を検知した場合には、ステップS15に移行する。他方、満水を検知していなかった場合には、ステップS14に移行する。
【0118】
ステップS14では、制御部6は、運転開始から自動停止時間である12時間が経過したか否かについてタイマー7を基に判断する。ここで、自動停止時間を経過していると判断された場合には、ステップS15に移行する。他方、自動停止時間を経過していないと判断された場合には、ステップS12に戻って繰り返す。
【0119】
ステップS15では、制御部6は、タイマー設定が無い場合であって、除湿運転のみを終了させる制御として、除湿ユニット3の稼働を停止させ、空気清浄ユニット2のみを稼働させて空清運転モードを実行する。
【0120】
ステップS16では、制御部6は、タイマー設定があった場合の制御を行う。ここでは、制御部6は、タンク40が除湿水で満水になったか否かを判断する。具体的には、制御部6は、ステップS13と同様に、満水センサ39による満水の検知の有無によって判断する。ここで、満水を検知した場合には、ステップS18に移行する。他方、満水を検知していなかった場合には、ステップS17に移行する。
【0121】
ステップS17では、制御部6は、設定されているタイマー設定時間(1,2,4時間のいずれか設定された時間)が、タイマー設定時から経過しているか否かを判断する。ここで、タイマー設定時間が経過していなかった場合には、ステップS16に移行して繰り返す。他方、タイマー設定時間が経過していた場合には、ステップS20に移行する。
【0122】
ステップS18では、制御部6は、タンク40が満水となっていると判断して、除湿ユニット3による除湿運転を停止させ、空気清浄ユニット2のみを稼働させて、空清運転モードを実行する。なお、制御部6は、ここでの空気清浄モードの出力が最大出力となるように運転する。これにより、早めにタンク40が満水になった場合であっても、少なくともタイマー設定時間が経過するまでの間、きれいな空気を用いた乾燥を行うことができる。
【0123】
ステップS19では、制御部6は、設定されているタイマー設定時間(1,2,4時間のいずれか設定された時間)が、タイマー設定時から経過しているか否かを判断し、タイマー設定時間が経過するのを待つ。そして、タイマー設定時間が経過した場合には、ステップS20に移行する。
【0124】
ステップS20では、制御部6は、除湿ユニット3による除湿運転を停止状態とさせるだけでなく、空気清浄ユニット2による空気清浄運転についても停止状態として、いずれの運転も終了させる。
【0125】
<本実施形態に係る調湿空気清浄装置1の特徴>
(1)
従来の装置では、空気清浄機能と、除湿機能とを併せ持っていない。このため、対象空間について、空気清浄運転と、除湿運転とを行うためには、空気清浄装置と、除湿装置とがそれぞれ別個に必要となっている。
【0126】
これに対して、上記実施形態の調湿空気清浄装置1では、一台の調湿空気清浄装置1に、空気清浄ユニット2と、除湿ユニット3とが備えられている。そして、制御部6は、空気清浄ユニット2による空気清浄運転と、除湿ユニット3による除湿運転とを同時に実現させることができる。このため、一台の装置によって、対象空間を清浄化処理された空気によって除湿することができる。
【0127】
(2)
上記実施形態の調湿空気清浄装置1では、制御部6は、タンク40が満水になるまでや、除湿空清モードでの運転が最大初期設定時間を超えるまでに、対象空間を積極的に乾燥させることができ、これらの条件を満たした後は不必要な除湿運転を控えることで消費電力を抑えることができる。
【0128】
(3)
上記実施形態の調湿空気清浄装置1では、タイマー選択ボタン66によって、1,2,4時間のタイマー設定を行うことができるので、ユーザが対象空間の状況をふまえて、除湿空清運転モードによる運転を行う最大限の時間を想定し、設定入力することができる。
【0129】
(4)
上記実施形態の調湿空気清浄装置1では、タイマー選択ボタン66によって1,2,4時間のタイマー設定がなされた場合には、タンク40が満水となった後、除湿運転を停止させつつ、タイマー設定時間が経過するまでは空清運転を続行する制御を自動的に行うことができる。これにより、清浄化されたきれいな空気を供給し続けることができる。例えば、乾燥対象である洗濯物等が対象空間に干されている場合には、タンク40が満水になった後でも、きれいな空気によって洗濯物を乾燥させることができる。
【0130】
このように、除湿空清運転モードが終了したとしても、空清運転モードによって空気清浄運転自体は持続的に行われるため、きれいな空気で乾燥させることができるため、例えば、湿度センサ等によって乾燥状態を判断する装置と比較して、より確実に、生乾き状態で不快な臭いが生じてしまう事態を回避することができる。
【0131】
(5)
上記実施形態の調湿空気清浄装置1では、自動停止時間前にタンク40が満水になった場合にはその後は空清運転モードによってきれいな空気で乾燥させることができ、タンク40が満水になることなく自動停止時間となった場合には少なくとも設定された12時間の自動停止時間だけは除湿を行っているので対象空間を目標とする乾燥状態にできるだけ近づけることができている。
【0132】
(6)
上記実施形態の調湿空気清浄装置1では、除湿空清運転モードが実行されている時は、制御部6が、オートルーバ12をオートスイングさせるため、乾燥空気の吹き出し方向が変化し、対象空間に配置された乾燥対象(洗濯物等)の全体を満遍なく乾燥させることができる。
【0133】
<調湿空気清浄装置1の変形例>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0134】
(A)
上記実施形態では、自動停止時間が、運転開始から12時間であると予め定められている場合を例に挙げて説明した。
【0135】
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、自動停止時間は、ユーザによって任意に設定することができるように、入力部を設けた構成としてもよい。この場合には、ユーザが対象空間の湿度や乾燥対象(洗濯物)の量等の状況をふまえて、除湿空清運転モードから空清運転モードに移行させる適切なタイミングとして、自動停止時間を設定入力することができる。これにより、自動停止時間を経過することによって空清運転および除湿運転を自動的に終了させる制御を行うことができる。
【0136】
(B)
上記実施形態では、タイマー設定がなされた場合であって、タイマー設定時間が経過する前にタンク40が満水になると、残りのタイマー設定時間が経過するまでの時間を最大出力で空清運転モードとして制御する場合を例に挙げて説明した。
【0137】
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、自動停止時間が経過する前にタンク40が満水になった場合に、残りの自動停止時間が経過するまでの時間を最大出力で空清運転モードとして制御するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明を利用すれば、対象空間を清浄化された空気で乾燥させることが可能になるため、特に、対象空間に配置されて利用される空気清浄機として利用した場合に有用である。
【符号の説明】
【0139】
1 調湿空気清浄装置(空気清浄機)
3 除湿ユニット
4 加湿ユニット
5 送風機
6 制御部
7 タイマー(第1タイマー、第2タイマー)
10 本体ケーシング
31 吸着素子
32 ヒータ
35 熱交換部
39 満水センサ(水量検知部)
40 タンク
41 気化素子
42 水車
43 駆動部
66 タイマー選択ボタン(タイマー設定部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0140】
【特許文献1】特開2003−117332号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間に配置されて利用される空気清浄機(1)であって、
フィルタと、
前記対象空間の除去成分を帯電させて清浄化させるイオン化部と、
前記対象空間の湿度を下げる除湿部(3)と、
前記イオン化部に清浄機能を発揮させる空清運転と前記除湿部(3)に除湿機能を発揮させる除湿運転とを同時に実行させる除湿空清運転モードを有する制御部(6)と、
を備えた空気清浄機(1)。
【請求項2】
前記制御部(6)は、前記除湿運転を行うことなく前記空清運転を行う空清運転モードをさらに有しており、所定移行条件を満たすまで前記除湿空清運転モードを継続して実行した後に自動的に前記空清運転モードを実行する第1制御を実行可能である、
請求項1に記載の空気清浄機(1)。
【請求項3】
前記除湿空清運転モードによる運転が行われている間の時間を計測する第1タイマー(7)をさらに備えており、
前記所定移行条件は、前記第1タイマー(7)の計測時間が第1所定時間を経過することである、
請求項2に記載の空気清浄機(1)。
【請求項4】
前記除湿部(3)の除湿機能が発揮されることで得られる水の量に関する値を検知する水量検知部(39)をさらに備えており、
前記所定移行条件は、前記水量検知部(39)の検知値が所定水量値を超えることである、
請求項2または3に記載の空気清浄機(1)。
【請求項5】
前記除湿空清運転モードによる運転が行われている間の時間を計測する第1タイマー(7)と、
前記除湿部(3)の除湿機能が発揮されることで得られる水の量に関する値を検知する水量検知部(39)と、
をさらに備えており、
前記所定移行条件は、前記第1タイマー(7)の計測時間が第1所定時間を経過すること、もしくは、前記水量検知部(39)の検知値が所定水量値を超えること、のうちいずれか一方が満たされることである、
請求項2に記載の空気清浄機(1)。
【請求項6】
前記制御部(6)は、前記空転運転の出力値を停止出力値または最大出力値の少なくとも2つの出力値のいずれかとして運転させることが可能であり、
前記制御部(6)は、前記所定移行条件が、前記水量検知部(39)の検知値が所定水量値を超えることにより満たされた時に、前記所定移行条件を満たした後であって少なくとも前記第1タイマー(7)の計測時間が前記第1所定時間を経過するまでの間前記空清運転を前記最大出力値で実行する、
請求項5に記載の空気清浄機(1)。
【請求項7】
前記制御部(6)は、所定終了条件を満たすことにより前記除湿運転および前記空清運転のいずれも停止状態とする第2制御を実行可能である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の空気清浄機(1)。
【請求項8】
前記空清運転もしくは前記除湿運転が行われている間の時間を計測する第2タイマー(7)をさらに備えており、
前記所定終了条件は、前記第2タイマー(7)の計測時間が第2所定時間を経過することである、
請求項7に記載の空気清浄機(1)。
【請求項9】
前記除湿部(3)の除湿機能が発揮されることで得られる水の量に関する値を検知する水量検知部(39)をさらに備えており、
前記所定終了条件は、前記水量検知部(39)の検知値が所定水量値を超えることである、
請求項7に記載の空気清浄機(1)。
【請求項10】
前記イオン化部は、浮遊している第1被清浄対象を吸着する吸着手段(22)と、浮遊している第2被清浄対象を化学変化させるかもしくは物理変化させる変化手段(23)と、を有している、
請求項1から9のいずれか1項に記載の空気清浄機(1)。
【請求項11】
前記制御部(6)は、前記除湿運転の出力値を停止出力値または最大出力値の少なくとも2つの出力値のいずれかとして運転させることが可能であり、前記除湿空清運転モードを実行する際は前記除湿運転を前記最大出力値とする、
請求項1から10のいずれか1項に記載の空気清浄機(1)。
【請求項12】
前記除湿運転によって除湿された空気を送り出す吹出口(11)と、
傾斜状態を変更させることで前記吹出口(11)から吹き出される空気の流れ方向を調整可能なルーバ(12)と、
をさらに備え、
前記制御部(6)は、前記除湿空清運転モードの実行中に前記ルーバ(12)の傾斜状態を継続的に変更させるスイング制御を行う、
請求項1から11のいずれか1項に記載の空気清浄機(1)。
【請求項13】
前記イオン化部は、前記除去成分とは反対側に帯電され、前記帯電させた除去成分を吸着する帯電フィルタを有している、
請求項1から12のいずれか1項に記載の空気清浄機(1)。
【請求項14】
少なくとも2つの風量レベルを有する送風機(5)をさらに備え、
前記制御部(6)は、前記除湿空清運転モードを実行する時は、前記送風機(5)の風量レベルを高くする、
請求項1から13のいずれか1項に記載の空気清浄機(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−109186(P2009−109186A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248(P2009−248)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【分割の表示】特願2007−238743(P2007−238743)の分割
【原出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】