説明

空気清浄用濾材

【課題】充分な白色性とダスト視認性を有し、低通気抵抗、かつ高脱臭性能を有する空気清浄用濾材を提供する。
【解決手段】 基材層間に活性炭及び熱可塑性樹脂を含む空気清浄用濾材であって、濾材の上流側表面には酸化チタンを含み、かつ上流側表面のL値が80以上であることを特徴とする空気清浄用濾材である。
より好ましい態様は、上流側基材中の酸化チタン量が10重量%以上であることを特徴とする前記空気清浄用濾材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭機能を有した空気浄化用濾材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用、家庭用フィルタ等の分野において、濾材の高機能化・多様化の要請が急激に高まっており、脱臭機能を有する空気浄化用濾材の検討が多くなされている。そして、これら空気浄化用濾材として、粒子状または繊維状の吸着剤と接着剤を用いてシート化する方法が多く採用されており、例えば、基材層間に粒状吸着剤と粒状接着剤の混合物を散布し、これを加熱接着してなる吸着濾材が開示されている(例えば特許文献1)。
【0003】
かかる吸着濾材は低コストで通気性に優れ、除塵性能も有する空気清浄用濾材が得られるが、ほとんどの場合は吸着材として安価な活性炭を用いている為に、活性炭の黒色が上流側基材を透過し、濾材表面の色が新品状態でも黒もしくはグレーがかっている。よって連続使用によって濾材表面に堆積するダスト汚れと活性炭含有濾材本来の色調と区別がつきにくく、新品と使用済み品とを間違って装着したり、ダスト堆積による交換時期を見逃し所定の風量が得られないあるいは臭気が流入するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−5058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、充分な白色性とダスト視認性を有し、低通気抵抗、かつ高脱臭性能を有する空気清浄用濾材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の通りである。
1.基材層間に活性炭及び熱可塑性樹脂を含む空気清浄用濾材であって、濾材の上流側基材表面には酸化チタンを含み、かつ上流側基材表面のL値が80以上である空気清浄用濾材。
2.上流側基材中の酸化チタン量が10重量%以上である上記1に記載の空気清浄用濾材。
【発明の効果】
【0007】
本発明による空気清浄用濾材は、充分な白色性とダスト視認性を有し、低通気抵抗、かつ高脱臭性能を有する空気清浄用濾材を提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明中の通気抵抗測定冶具である。
【図2】本発明の空気清浄用濾材の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の空気清浄用濾材は、基材層間に活性炭及び熱可塑性樹脂を含む空気清浄用濾材である。本発明に使用される基材層は、織布状、不織布状いずれも構わない。構成繊維の繊維径は3〜100μmが好ましい範囲である。かかる範囲であれば、フィルタ濾材として低通気抵抗性を保持することが可能となるためである。
【0010】
本発明の濾材の上流側基材表面は、酸化チタンを含み、基材表面のL値が80以上である。酸化チタンを含むことで、基材表面の白色性が上がるためである。上流側基材中の酸化チタンの量は10重量%以上であることが好ましい。基材表面にダスト視認性を十分に与える白色性を付与するためである。
また、濾材の上流側基材表面のL値は80以上である。濾材に充分な白色性を与え、ダスト視認性向上させるために必要だからである。
【0011】
本発明の基材層を構成する繊維部分の充填密度は0.20g/cc以下であることが好ましい。なぜなら、後に述べる活性炭と熱可塑性樹脂の混合粉粒体をこの基材層上に散布後、熱プレスし空気清浄用濾材を得ようとするとある程度基材層の充填密度が低い方が低通気抵抗化を実現でき、かつ接着性も向上し、一体構造化できるからである。より好ましくは0.15g/cc以下である。
【0012】
本発明の基材層は、厚みは0.1〜1.0mmであることが好ましい。0.1mm未満であれば目付斑も考慮すると活性炭の抜け、脱落の懸念が生じ、また1.0mmを超えるとシート全体の厚みが厚すぎるため、プリーツ状ユニットとした場合に構造抵抗が大きくなり、結果としてユニット全体での圧損が高くなり過ぎ実用上問題があるためである。目付量としては5〜100g/mであることが好ましい。5g/m未満であれば活性炭、及び熱可塑性樹脂の抜けが多くなり実用上問題となり好ましくない。100g/mを越えると、シート厚みが厚くなるためプリーツ状ユニットとした場合の構造抵抗が大きくなり実用上問題となるため好ましくない。
【0013】
本発明の基材層を構成する繊維材質は、ポリオレフィン系、レーヨン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、アクリル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート等特に規定はなく、芯鞘繊維を使用しても種々の混合繊維であっても当然構わない。また、タバコ煙粒子、カーボン粒子、海塩粒子をはじめとするサブミクロン粒子に対する除去効果も増大することができる帯電した不織布、いわゆるエレクトレットシートを基材に使用することもできる。エレクトレットシートを基材とすることにより、ダスト等が吸着層に侵入して吸着層内の細孔が閉塞することを防止し、フィルタ寿命を延長することができるからである。
【0014】
本発明の基材層の繊維配向は特に限定はなく例えば不織布状であればランダム状、クロス状、パラレル状いずれでも構わない。
【0015】
本発明で基材層間、吸着層との接着に用いる熱可塑性樹脂は、粉末状、粒状の熱可塑性樹脂が併用されていることが接着性、通気抵抗、脱臭性能の観点から重要である。
熱可塑性樹脂として種類はポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、エチレンーアクリル共重合体、ポリアクリレート、ポリアーレン、ポリアクリル、ポリジエン、エチレンー酢酸ビニル、PVC、PS等があげられる。
【0016】
熱可塑性樹脂の大きさは粉末状の樹脂は平均で1〜40μm(以下、粉末状熱可塑性樹脂と呼ぶ場合がある)の粒径が好ましい。より好ましくは5〜30μmである。更に好ましくは1〜40μmの範囲に95重量%以上が含まれることである。かかる範囲の粒子径であれば、熱可塑性樹脂が、活性炭の表面細孔を塞ぐことを低減できる一方、活性炭との混合時にファンデルワールス力や静電気力による活性炭への予備接着が有効になされ、均一に分散することができ、活性炭層内、及び基材層との接着性を良好にできるからである。
【0017】
粉末状熱可塑性樹脂の形状は特に規定はないが、球状、破砕状等があげられる。粉末状熱可塑性樹脂の融点は、移動車両等の室内の環境温度等考慮すると80℃以上が好ましい。より好ましくは90℃以上である。
【0018】
粉末状熱可塑性樹脂の溶融時の流動性はJIS K−7210記載のMI値でみれば1〜80g/10minが好ましい。より好ましくは3〜30g/10minである。かかる範囲であれば、吸着剤の表面の閉塞を防止しつつ、吸着層と基材層を強固に接着することができるからである。
【0019】
粉末状、粒状とも熱可塑性樹脂の使用量は活性炭に対して1〜40重量%使用するのが好ましい。より好ましくは5〜30重量%である。かかる範囲内であれば、基材層との接着力、通気抵抗、脱臭性能に優れる吸着シートが得られるからである。
【0020】
粉末状、粒状とも熱可塑性粉末樹脂の粒径調整法は、機械粉砕、冷凍粉砕、化学調整法等があげられる。また最終的に篩にかけ一定粒径を得ることができるが、一定の粒径を確保できる方法であれば特に限定されない。
【0021】
構成単位としては基材層/活性炭、粉末状熱可塑性樹脂の混合粉粒体/基材層である。当然ながら、基材層に更に活性炭、粉末状熱可塑性樹脂の混合粉粒体/基材層を繰り返し積層一体化することも可能である。
【0022】
これらは更にプリーツ形状、波状形状等の空気浄化用フィルタユニットとして使用できる。
【0023】
本発明の空気清浄用濾材に用いられる活性炭の平均粒子径は、通気性、吸着材の脱落、シート加工性等を考慮して、JIS標準ふるい(JISZ−8801)による値で平均60〜800μmであることが好ましく、100〜600μmであればより好ましい。平均粒子径が60μm未満の場合には、一定の高吸着容量を得るのに通気抵抗が大きくなりすぎ、また、同時にシート充填密度が高くなりやすく、粉塵供給時に早期の通気抵抗上昇を引き起こす原因にもなり好ましくない。平均粒子径が800μmを越える場合には、脱落が生じやすくなり、またワンパスでの初期吸着性能が極端に低くなり、更にはプリーツ形状及び波状等の空気浄化用フィルタユニットとしたときの折り曲げ、及び波状加工時の加工性が悪くなるため好ましくない。なお、上記の粒状活性炭は、通常の分級機を使用して所定の粒度調整をすることにより、得ることが可能である。
【0024】
本発明の空気清浄用濾材に用いられる活性炭は粉末状、粒状、破砕状、造粒状、ビーズ状があげられる。例えば、ヤシガラ系、木質系、石炭系、ピッチ系等の活性炭が好適に用いられる。表面観察によって見られる内部への導入孔いわゆるマクロ孔数は多い方がよい。活性炭と熱可塑性樹脂から混合粉粒体をつくった際に、熱可塑性樹脂が活性炭表面を被覆しても熱プレス加工時に細孔内部からのガス脱着により、吸着可能な細孔を開放することができる。また、活性炭表面はある程度粗い方が溶融した樹脂の流動性も悪くなり、吸着性能低下を抑えることができ
【0025】
本発明の空気清浄用濾材に用いられる活性炭のJIS K−1474に準拠して測定したときのトルエン吸着量は、20重量%以上が好ましい。悪臭ガス等の無極性のガス状及び液状物質に対して高い吸着性能を必要とするためである。
【0026】
本発明の空気清浄用濾材に用いられる活性炭の吸着層1層あたりの重量は20〜500g/mの範囲であることが好ましい。かかる範囲であれば充分な吸着性能が得られるだけでなく、通気抵抗においても低く抑えることができるためである。
【0027】
本発明の空気清浄用濾材に用いられる吸着剤は、極性物質やアルデヒド類の吸着性能を向上することを目的として、薬品処理を施して用いてもよい。
【0028】
ガス薬品処理に用いられる薬品としては、アルデヒド系ガスやNOx等の窒素化合物、SOx等の硫黄化合物、酢酸等の酸性の極性物質に対しては、例えばエタノールアミン、ポリエチレンイミン、アニリン、P−アニシジン、スルファニル酸等のアミン系薬剤や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、アミノグアニジン硫酸塩、5.5−ジメチルヒダントイン、ベンゾグアナミン、2.2−イミノジエタノール、2.2.2−ニトロトリエタノール、エタノールアミン塩酸塩、2−アミノエタノール、2.2−イミノジエタノール塩酸塩、P−アミノ安息香酸、スルファニル酸ナトリウム、L−アルギニン、メチルアミン塩酸塩、セミカルバジド塩酸塩、ヒドラジン、ヒドロキノン、硫酸ヒドロキシルアミン、過マンガン酸塩、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が好適に用いられ、アンモニア、メチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン等の塩基性の極性物質に対しては、例えば、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酒石酸等が好適に用いられる。なお、薬品処理は、例えば、活性炭に薬品を担持させたり、添着することにより行う。また、活性炭に直接薬品を処理する以外に、シート面表面付近に通常のコーティング法等で添着加工する方法やシート全体に含浸添着することも可能である。
この際、アルギン酸ソーダやポリエチレンオキサイド等の増粘剤を混入した薬品水溶液をつくり、これを担持、添着を実施する方法もできる。この方法では水への溶解度が低い薬品を担持、添着し、更に薬品の脱落を抑制するのにも有効である。
【0029】
本発明の空気清浄用濾材は、抗菌剤、抗かび剤、抗ウイルス剤、難燃剤等の付随的機能を有する成分等を含めて構成してもよい。これらの成分は繊維類や不織布、織物中に練り込んでも、後加工で添着、及び担持して付与してもよい。例えば、難燃剤を含めて構成することにより、FMVSS.302で規定されている遅燃性の基準やUL難燃規格に合致した空気清浄用濾材を製造することが可能である。
【0030】
上記の付随的機能を有する成分は、活性炭等へ添着又は担持してもよい。但し、この際には、活性炭本来の吸着機能を損なわないよう留意する必要がある。また、基材不織布や通気性シート等の繊維に吸着性能を有する機能を付与、例えば、酸やアルカリの薬剤を添着したりイオン交換繊維等を用いることにより、脱臭機能を強化することも可能である。
【0031】
空気清浄用濾材の基本的な製法について説明する。まず、活性炭と粉末状熱可塑性樹脂を所定の重量秤量し、シェーカー(撹拌器)に入れ、約10分間回転速度30rpmで撹拌する。この際の水分率は混合物重量の15%以内が好ましい。この時点で粉末状熱可塑性樹脂が活性炭表面に仮接着された混合物となっている。次に、この混合粉粒体を基材層の上に散布後、通気性シート(基材層)を積層し、熱プレス処理を実施する。熱プレスの際のシート表面温度は熱可塑性粉末樹脂融点の3〜30℃、好ましくは5〜20℃高い程度が好ましい。別法として、活性炭と粉末状熱可塑性樹脂を予め混合した混合粉体を基材層の上に散布後、更に粒状熱可塑性樹脂を一定量散布し、更に通気性シート(基材層)を積層後、熱プレス処理を実施する方法、あるいは基材層に予め粒状熱可塑性樹脂を固着させておき、このシートを上述した基材層として、この上に活性炭と粉末状熱可塑性樹脂を予め混合した混合粉体を散布、あるいは通気性シート(基材層)に使用し、熱プレス処理を実施して空気清浄用濾材を得ることもできる。
【0032】
また、熱処理する前に赤外線等で予め予備加熱し、仮接着しておけば、プレス時におこりがちな混合粉粒体の不規則な流動も生じず、より分散性が良好な空気清浄用濾材が製造できる。赤外線による熱処理は、気流などを起こさず、混合粉粒体を静置した状態で加熱することができ、混合粉粒体の飛散などを防止することができる。
【0033】
最終的に熱プレスしシート製造するにはよく使用されるロール間熱プレス法、あるいは上下ともフラットな熱ベルトコンベヤー間にはさみこむフラットベッドラミネート法等があげられる。より均一な厚み、接着状態をつくりだすには後者の方がより好ましい。また、本特許で記載する基材不織布と上記製法の特徴の組み合わせにより、活性炭同志の過度の結着を抑制することができると同時に、基材不織布との実用上充分な接着強力を得ることができる。
当然ながら前述した構成単位を複数層重ね合わせることもできる。該処方の詳細は実施例中で述べる。
【0034】
本発明の濾材を使用したプリーツ状フィルタユニットの厚みは、10〜400mmが好ましい。カーエアコンに内蔵装着をはじめとする車載用途や家庭用空気清浄機であれば、通常の内部スペースの関係から、10〜60mm程度、ビル空調用途へよく設置される大型のフィルタユニットであれば40〜400mm程度が収納スペースから考えると好ましい。
【0035】
本発明のフィルタユニットのひだ山頂点間隔は2〜30mmが好ましい。2mm以下ではひだ山間が密着しすぎでデッドスペースが多く、効率的にシートを活用できなくなるため好ましくない。一方、30mm以上ではシート展開面積が小さくなるためフィルタ厚みに応じた除去効果を得ることができなくなるため好ましくない。
本発明のフィルタユニットは、いずれの面を上流側に使用しても構わないが、嵩高いシート面を上流に使用する方が粉塵保持量も大きくなり好ましい。
【実施例】
【0036】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に沿って設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
尚、実施例中の数値は以下のような方法で測定した値である。
【0037】
(厚み)
荷重686Paの圧力を加えた時の値を測定した。
【0038】
(通気抵抗)
図1に示す測定冶具により、試料大きさφ75mm、有効濾過面積φ50.5mm、風速30cm/sの条件下で測定した。
【0039】
(目付)
200mm×200mmの試料を使用し、80℃の恒温槽中に30分放置後、デシケータ(乾燥剤:シリカゲル)中で30分放置する。その後取り出し、感量10mgの化学天秤で測定して、m当りの重量に換算した。
【0040】
(平均粒子径)
活性炭等の吸着剤粒子に関してはJIS K−1474記載の粒度分布測定法に従い測定実施し、熱可塑性樹脂に関してはコールター法により測定した粒径で平均粒径を算出した。
【0041】
(L値)
JIS L1015(2010) 8.17 ハンターの方法(C法)に準拠し、L値を測定した。
【0042】
[実施例1]
ポリエステル繊維2.2dtex×51mmからなる目付25/mのウォーターパンチ法不織布を酸化チタンとアクリルバインダーの混合エマルジョンに浸漬後、絞って乾燥し酸化チタン15g/m、アクリルバインダー5g/mが添着された合計目付45g/mの上流層用基材シートを得た。このシートの厚みは0.6mm、通気抵抗は3Paであった。
平均粒径400μm、JIS K−1474法によって測定したトルエン吸着能が35重量%であるヤシガラ系粒状活性炭を1kg、熱可塑性粉末樹脂として住友精化製フロービーズEA209(エチレンーアクリル酸共重合、平均粒径10μm、MI 9g/10min、融点105℃)を0.1kg秤量し、約10分間撹拌混合した。この混合粉粒体を前記上流層用基材シート上に総量65g/m(活性炭50g/m相当)になるように散布し、更にスパンボンド法により作成したポリエステル長繊維不織布2.2dtex、目付20g/m、厚み0.18mm、通気抵抗5Paの不織布(東洋紡績株式会社製エクーレ(登録商標)6201A)を上から重ね合わせテフロン(登録商標)/ガラス製のベルト間に挟み込み、このベルト間隔を0.3mm、圧力100kPaに設定し120℃、30秒間熱プレス加工実施した。その後冷却し所望の空気清浄用濾材を得た。
この空気清浄用濾材は厚み0.6mm、通気抵抗15Pa、上流側表面のL値は90であった。
【0043】
[実施例2]
上流層用基材としてポリエステル繊維2.2dtex×51mmからなる目付25/mのウォーターパンチ法不織布を用いた以外は実施例1と同様にして空気清浄用濾材を得た。得られた濾材の上流側表面に酸化チタンとアクリルバインダーの混合エマルジョンを塗布、乾燥し酸化チタン15g/m、アクリルバインダー5g/mが上流側にコーティングされた空気清浄用濾材を得た。この空気清浄用濾材は厚み0.5mm、通気抵抗12Pa、上流側表面のL値は91であった。
【0044】
[実施例3]
ポリエステル繊維2.2dtex×51mmからなる目付25/m2のウォーターパンチ法不織布を酸化チタンとアクリルバインダーの混合エマルジョンに浸漬後、絞って乾燥し酸化チタン15g/m、アクリルバインダー5g/mが添着された合計目付45g/mの上流層用基材シートを得た。このシートの厚みは0.6mm、通気抵抗は3Paであった。
平均粒径400μm、JIS K−1474法によって測定したトルエン吸着能が35重量%であるヤシガラ系粒状活性炭を1kg、熱可塑性粉末樹脂として住友精化製フロービーズEA209(エチレンーアクリル酸共重合、平均粒径10μm、MI 9g/10min、融点105℃)を0.1kg秤量し、約10分間撹拌混合した。この混合粉粒体を前記上流層用基材シート上に総量65g/m(活性炭50g/m相当)になるように散布し、更にポリエステル芯鞘繊維4.4dtex×51mm、15重量%(芯部融点265℃、鞘部融点150℃)、ポリエステル芯鞘繊維22dtex×51mm、70重量%(芯部融点265℃、鞘部融点190℃)、及び非芯鞘繊維17dtex×51mm、15重量%(融点265℃)の繊維からなる目付65g/m2、厚み0.3mm、通気抵抗2.0Paのサーマルボンド法不織布をを上から重ね合わせテフロン(登録商標)/ガラス製のベルト間に挟み込み、このベルト間隔を0.3mm、圧力100kPaに設定し120℃、30秒間熱プレス加工実施した。その後冷却し所望の空気清浄用濾材を得た。
この空気清浄用濾材は厚み0.6mm、通気抵抗9Pa、上流側表面のL値は90であった。
【0045】
[比較例1]
上流層用基材としてメルトブローン法により作成された平均繊維径5μm、目付20g/m、厚み0.2mmのポリプロピレン不織布を用いた以外は実施例1と同様にして空気清浄用濾材を得た。この空気清浄用濾材は厚み0.5mm、通気抵抗25Pa、上流側のL値は75であった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上述べた如く、本発明の空気清浄用濾材は、上流側表面に酸化チタンを含有しかつ、L値80以上を有することにより、濾材表面状態の視認性を維持したままで低圧力損失、高脱臭性能を実現することができ、産業界に貢献することが大である。
【符号の説明】
【0047】
1 空気清浄用濾材
2 基材層A
3 活性炭/粉末状熱可塑性樹脂
4 基材層B


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層間に活性炭及び熱可塑性樹脂を含む空気清浄用濾材であって、濾材の上流側基材表面には酸化チタンを含み、かつ上流側基材表面のL値が80以上である空気清浄用濾材。
【請求項2】
上流側基材中の酸化チタン量が10重量%以上である請求項1に記載の空気清浄用濾材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−96129(P2012−96129A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243353(P2010−243353)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】