説明

空気調和機の開閉弁

【課題】開閉弁本体の肉厚等を厚くすることなく、弁本体寸法を大きくせずに開閉弁本体の弁座部に歪が発生し冷媒洩れすることを防止すること。
【解決手段】開閉弁10の弁棒15を受入れ螺着する開閉弁本体11の弁棒受入部16の弁座部16bに樹脂コーティングしたことにより、弁棒15と弁座部16bの螺接精度を上げて冷媒漏れを低減し気密性を有することとなり、冷媒漏れを低減したので、液側三方弁本体11の肉厚等を従来より薄くすることができ、弁本体寸法が小さくなり室外機の配管カバーサイズも小さくでき、コンパクトで設置性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に冷凍機・空気調和機の冷媒配管系に介装する開閉弁に関するものであって、特に弁体の通路を弁棒による開閉操作位置によるシール構造の改善に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の冷媒回路は、室内機と室外機を冷媒配管により接続した冷媒回路を形成し、室外機と室内機とを冷媒の封入/回収のための流路切換を可能とする開閉弁を介して配管接続している。そしてかかる空気調和機の冷媒回路は設置時には、配管接続後に室内側をエアーパージ及び冷媒封入するためサービスポートを有する開閉弁(例えば三方弁)を備えている。開閉弁の弁キャップを外し弁棒を開閉することにより、室内外間に於ける冷媒を連通するか閉止するかの操作を行うものである。
【0003】
従来、開閉弁本体のフレア部にフレアナットをモンキーレンチ等の治工具で締付ける際に、過度のトルクで締付けて開閉弁本体の弁座部に歪が発生し冷媒洩れすることを防止するため、開閉弁本体の肉厚等を厚くして冷媒漏れを防止する発明がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−152231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、モンキーレンチで2丁掛けするため弁本体寸法が大きくなり室外機の配管カバーサイズが大きくなるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、弁棒と弁座部の螺接精度を上げて冷媒漏れを低減し気密性を有した空気調和機の開閉弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機の開閉弁は、弁棒を受入れる弁棒受入部と、ロウ付配管部を有し、前記弁棒を螺着する前記開閉弁本体の前記弁棒受入部の弁座部に樹脂コーティングしたものである。
【0007】
これによって、ロウ付け部に配管ロウ付けフラックス除去のための酸処理による開閉弁本体筒部の面粗さが悪くなっても、弁棒と弁座部の螺接精度を上げて冷媒漏れを低減し気密性を有することとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気調和機の開閉弁は、弁棒と弁座部の螺接精度を上げて冷媒漏れを低減したので、開閉弁本体の肉厚等を従来より薄くすることができ、弁本体寸法が小さくなり室外機の配管カバーサイズも小さくでき、コンパクトで設置性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は圧縮機、室外熱交換器、膨張弁を搭載した室外機と、室内熱交換器を搭載した室内機に分離され、前記室外機と前記室内機とを冷媒の封入/回収のための流路切換を可能とする開閉弁本体を介して配管接続し、冷凍サイクルを形成するようにした構成の空気調和機において、前記空気調和機の前記開閉弁の弁棒を受入れる弁棒受入部と、ロウ付配管部を有し、前記弁棒を螺着する前記開閉弁本体の前記弁棒受入部の弁座部に樹脂コーティングしたことにより、ロウ付け部に配管ロウ付けフラックス除去のための酸処理に
よる開閉弁本体筒部の面粗さが悪くなっても、弁棒と弁座部の螺接精度を上げて冷媒漏れを低減し気密性を有することとなり、冷媒漏れを低減したので、開閉弁本体の肉厚等を従来より薄くすることができ、弁本体寸法が小さくなり室外機の配管カバーサイズも小さくでき、コンパクトで設置性を向上させることができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の弁棒受入部の弁座部と螺合する弁棒のネジ部にメッキ処理したことにより、弁棒と弁座部の螺接精度をより上げて冷媒漏れを低減し気密性を有することとなり、冷媒漏れを低減したので、開閉弁本体の肉厚等を従来より薄くすることができ、弁本体寸法が小さくなり室外機の配管カバーサイズも小さくでき、コンパクトで設置性を向上させることができる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における空気調和機の冷凍サイクル構成図を示すものである。
【0013】
図1において、圧縮機2、室外熱交換器4、膨張弁5、四方弁3を搭載した室外機1と、室内熱交換器8を搭載した室内機に分離され、室外機1と室内機とをガス側三方弁6、液側三方弁10を介して接続配管7、接続配管9にて配管接続し、冷凍サイクルを形成する。液側三方弁10は、冷媒の封入/回収のための流路切換を可能とする開閉弁である。
【0014】
室外機1の圧縮機2より吐出した冷媒が四方弁3より室外機熱交換器4に流れ凝縮され、膨張弁5を流れてガス側三方弁6より接続配管7にて室内熱交換器8に流れ室内熱交換器8で蒸発した冷媒が接続配管9を経て液側三方弁10から前記四方弁3より圧縮機2に戻るサイクルである。
【0015】
図2は、本発明の第1の実施の形態における液側三方弁の(a)全体構造を示す縦断面図(b)一部分解縦断面図を示すものである。
【0016】
図2において、液側三方弁10の構成と動作について説明する。液側三方弁本体11には、その三方に室内配管側ポート12、室外配管側ポート13、サービスポート14を有し、残る一方の弁棒受け入れ部16に弁棒15が装着されている。
【0017】
室内配管側ポート12には、室内熱交換器8に接続された接続配管9がフレアナット17を介して接続され、室外配管側ポート13には、銅管18がフラックス剤を介してロウ付け接続されて同様に室外熱交換器4側の配管に接続されるようになっている。
【0018】
サービスポート14にはバルブコア19が挿入されておりサービスポートキャップ20が取りつけられている。通常は密封されているが、空気調和機の設置時には、このサービスポート14から真空引きを行う。
【0019】
弁棒15には、ネジ部15a、六角レンチ用挿入穴15b、Oリング22を介装する溝部15cを一体に備える。弁棒15のネジ部15aは、弁棒受入部16のネジ部16aと螺合しており、六角レンチ用挿入穴15bに六角レンチを用いて回転操作をすることにより弁棒15を進退させる。
【0020】
弁棒15は真鍮材からなり、ネジ部15aを備える。ネジ部15aにはフッ素コーティング約6ミクロンの薄膜処理が施され、更にネジ加工後Niメッキ処理されている。
【0021】
弁棒受入部16は真鍮材からなり、弁棒15のネジ部15aと螺接するネジ部16aを弁座部16bに備える。ネジ部16aにはフッ素コーティング約6ミクロンの薄膜処理が施されている。この組合せにより銅管9がフラックス剤を介してロウ付け接続され、後酸洗いによる寸法変化の影響を受けず、弁棒15と弁棒受入部16の設計通りの寸法にでき冷媒漏れを防止できる。
【0022】
以上のように、本実施の形態においては、冷媒の封入/回収のための流路切換を可能とする液側三方弁10の弁棒15を受入れる弁棒受入部16と、ロウ付配管部9を有し、弁棒15を螺着する液側三方弁本体11の弁棒受入部16の弁座部16bに樹脂コーティングしたことにより、ロウ付け部に配管ロウ付けフラックス除去のための酸処理による液側三方弁本体11の内筒部の面粗さが悪くなっても、弁棒15と弁座部16bの螺接精度を上げて冷媒漏れを低減し気密性を有することとなり、冷媒漏れを低減したので、液側三方弁本体11の肉厚等を従来より薄くすることができ、弁本体寸法が小さくなり室外機の配管カバーサイズも小さくでき、コンパクトで設置性を向上させることができる。
【0023】
また、弁棒受入部16の弁座部16bと螺合する弁棒15のネジ部15aにメッキ処理したことにより、弁棒と弁座部の螺接精度をより上げて冷媒漏れを低減し気密性を有することとなり、冷媒漏れを低減したので、開閉弁本体の肉厚等を従来より薄くすることができ、弁本体寸法が小さくなり室外機の配管カバーサイズも小さくでき、コンパクトで設置性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明にかかる空気調和機の開閉弁は、弁棒と弁座部の螺接精度を上げて冷媒漏れを低減したので、開閉弁本体の肉厚等を従来より薄くすることができ、弁本体寸法が小さくなり室外機の配管カバーサイズも小さくでき、コンパクトで設置性の向上が可能となるので、システムエアコン等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における空気調和機の冷凍サイクル構成図
【図2】本発明の実施の形態1における液側三方弁の(a)は全体構造を示す縦断面図(b)は一部分解縦断面図
【符号の説明】
【0026】
1 室外機
2 圧縮機
3 四方弁
4 室外熱交換器
5 膨張弁
6 ガス側三方弁
7、9 接続配管
8 室内熱交換器
10 液側三方弁
11 液側三方弁本体
12 室内配管側ポート
13 室外配管側ポート
14 サービスポート
15 弁棒
15a ネジ部
15b 六角レンチ用挿入穴
15c 溝部
16 弁棒受け入れ部
16a ネジ部
16b 弁座部
17 フレアナット
18 銅管
19 バルブコア
20 サービスポートキャップ
21 弁棒キャップ
22 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、室外熱交換器、膨張弁を搭載した室外機と、室内熱交換器を搭載した室内機に分離され、前記室外機と前記室内機とを冷媒の封入/回収のための流路切換を可能とする開閉弁本体を介して配管接続し、冷凍サイクルを形成するようにした構成の空気調和機において、弁棒を受入れる弁棒受入部と、ロウ付配管部を有し、前記弁棒を螺着する前記開閉弁本体の前記弁棒受入部の弁座部に樹脂コーティングしたことを特徴とする空気調和機の開閉弁。
【請求項2】
弁棒受入部の弁座部と螺合する弁棒のネジ部にメッキ処理したことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の開閉弁。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−164149(P2010−164149A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7410(P2009−7410)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】