説明

空気調和装置の室外機

【課題】加湿機能を有する室外機のダウンサイジングを図るとともに、ダウンサイジングにともなう熱交換性能の低下を防止する。
【解決手段】加湿ユニット60は、送風機室に配置されており、吸気口と加湿ロータ63と排気口69とシャッタ91、92とを有している。加湿ロータ63は、吸湿部61で外気から吸湿し、放湿部62で放湿して空気を加湿する。吸気口及び排気口69は、室外ファンで加湿ロータ63に対して外気が吸排気されるように配置されている。シャッタ91,92は、加湿ロータ63の形状に対応した形状を持ち加湿ロータ63の直下に配置されていて排気口69を開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿ユニットを有する空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
加湿機能を有する従来の空気調和装置の中には、空気調和装置の室外機と加湿ユニット(又は加湿装置)とが一体化されたタイプのものがある。このような空気調和装置は、例えば、特許文献1(特開2004−353898号公報)や特許文献2(特開2002−89896号公報)に記載されているように、仕切板によって室外機が上下に仕切られている。そして、これら特許文献1や特許文献2に記載されている室外機においては、加湿ユニットが仕切板の上方に設置され、熱交換器や熱交換器に送風するファンが仕切板の下方に配置されている。
【0003】
このような加湿機能を有する室外機のダウンサイジングを図るため、特許文献1や特許文献2に記載の空気調和装置では、加湿ユニットの加湿ロータが水平に設置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような構成でも室外機のダウンサイジングが十分ではなく、また室外機のコンパクト化のために加湿ユニットを小型化し、送風機室内に格納すると、加湿ユニットの加湿性能が低下する傾向がある。
【0005】
本発明の課題は、加湿機能を有する室外機のダウンサイジングを図るとともに、ダウンサイジングにともなう熱交換性能の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る空気調和装置の室外機は、空気調和を行うために室内機に接続される空気調和装置の室外機であって、外気が通過する送風機室を有するケーシングと、送風機室に設置され、外気との間で熱交換を行う室外熱交換器と、送風機室に設置され、室外熱交換器に外気を送風する室外ファンと、送風機室に配置されて外気から吸湿するための吸湿機能及び放湿して空気を加湿する放湿機能を持つ加湿ロータと、室外ファンで加湿ロータに対して外気が吸排気されるように配置されている吸気口及び排気口と、加湿ロータの形状に対応した形状を持ち加湿ロータの直下に配置されていて排気口を開閉する開閉部材とを有する加湿ユニットと、を備える。
【0007】
第1観点に係る室外機によれば、開閉部材が加湿ロータの形状に対応した形状であって加湿ロータの直下に配置されているので、加湿ユニットの開閉部材の上面視の形状をほぼ加湿ロータの形状に対応したコンパクトな形状にすることができる。また、加湿ユニットに流れる空気を加湿機能不使用時に遮断して室外熱交換器に流れる外気を増やすことができる。
【0008】
本発明の第2観点に係る空気調和装置の室外機は、第1観点に係る室外機において、加湿ロータは、円盤状であり、排気口及び開閉部材は、加湿ロータの外周円弧形状に沿った外縁を持つ。
【0009】
第2観点の室外機によれば、排気口が円盤状の加湿ロータの外周円弧形状に沿った外縁を持つことから、加湿ロータに対応したコンパクトな開閉部材であっても外周円弧形状の外縁に沿って排気口を十分に大きく開くことができる。
【0010】
本発明の第3観点に係る空気調和装置の室外機は、第2観点の室外機において、開閉部材は、加湿ロータの外周円弧形状に沿って回転摺動して排気口を開閉する。
【0011】
第3観点の室外機によれば、開閉部材が開閉されるために移動する領域を小さくして加湿ユニットのコンパクト化が図れる。
【0012】
本発明の第4観点に係る空気調和装置の室外機は、第1観点から第3観点のいずれかの室外機において、排気口が加湿ロータの半分に対応する半円形に形成され、開閉部材は、排気口を開閉するために半円形よりも大きな扇形に形成されている。
【0013】
第4観点の室外機によれば、開閉部材の閉じる部分と開閉する部分をいずれも半円形にすることができ、開閉部材を円形の小さな領域で動作させることができる。
【0014】
本発明の第5観点に係る空気調和装置の室外機は、第4観点の室外機において、排気口は、加湿ロータについて中心角が180度を超える領域に対応する扇形に形成され、開閉部材は、中心角が180度より小さい複数枚の扇形部材を組み合わせて構成されている。
【0015】
第5観点の室外機によれば、複数枚の扇形部材を使うことで、中心角が180度より大きい排気口に対応させることができる。
【0016】
本発明の第6観点に係る空気調和装置の室外機は、第1観点から第5観点のいずれかの室外機において、吸気口及び排気口は、室外ファンのみで加湿ロータに対して外気が吸排気されるように配置されている。
【0017】
第6観点の室外機によれば、送風機室内に加湿ユニットを配置する形態において吸湿部に対する吸排気専用のファンを省くことができる。
【0018】
本発明の第7観点に係る空気調和装置の室外機は、第1観点から第6観点のいずれかの室外機において、ケーシングは、送風機室から仕切られた機械室をさらに有し、加湿ユニットは、加湿ロータで加湿された空気を室内機に送るための加湿ファンと、加湿ファンと加湿ロータとの間に配置されて加湿ロータで加湿された空気の通過と遮断とを開閉部材による排気口の開閉に応じて切り換えるダンパとをさらに有し、加湿ファンは、回転軸の延びる方向を前後に向けて機械室に配置されているものである。
【0019】
第7観点の室外機によれば、加湿ロータから加湿ファンに至る部分の小型化が容易になり、回転軸の延びる方向を前後に向けて加湿ファンを機械室に収納し易くなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1観点に係る空気調和装置の室外機では、加湿機能を有する室外機のダウンサイジングを図るとともに、ダウンサイジングにともなう熱交換性能の低下を防止することができる。
【0021】
本発明の第2観点に係る空気調和装置の室外機では、排気口を大きく開くことによって加湿性能が得られる。
【0022】
本発明の第3観点に係る空気調和装置の室外機では、開閉部材が開閉するために必要な移動領域を最小限に抑えることで加湿ユニットを小さくでき、室外機のコンパクト化が図れる。
【0023】
本発明の第4観点に係る空気調和装置の室外機では、開閉部材をし易くなり、加湿ユニットひいては室外機のコンパクト化が図れる。
【0024】
本発明の第5観点に係る空気調和装置の室外機では、中心角が180度より大きい吸湿面積の大きな加湿ユニットを用いて吸湿性能を向上させ、コンパクト化を図ることができる。
【0025】
本発明の第6観点に係る空気調和装置の室外機では、吸排気専用のファンを省くことによって、さらなるダウンサイジングが図れる。
【0026】
本発明の第7観点に係る空気調和装置の室外機では、加湿ロータから加湿ファンに至る部分の小型化がさらに進み、ひいては室外機全体の小型化が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る空気調和装置の構成の概要を示す概念図。
【図2】空気調和装置の室外機の概要を示す回路図。
【図3】グリルや室外熱交換器が取り外された状態の室外機の外観を示す斜視図。
【図4】天板が取外された状態の室外機の上面図。
【図5】前板、天板及び左側板などが取り外されている状態の室外機の外観を示す斜視図。
【図6】図1のI−I線断面図。
【図7】前方右斜め上から見た加湿ユニットの斜視図。
【図8】後方右斜め上から見た加湿ユニットの斜視図。
【図9】加湿ユニット周辺の外気の流れを説明するための室外機の部分拡大断面図。
【図10】加湿ロータとヒータを示す分解斜視図。
【図11】加湿ユニットのヒータ周辺の部材の底面図。
【図12】加湿ロータとシャッタと排気口の関係を示す分解斜視図。
【図13】(a)排気口が開いたときのシャッタの状態を示す模式図、(b)排気口を閉じているときのシャッタの状態を示す模式図、(b)排気口を閉じているときのシャッタの状態を示す模式図、(d)排気口が閉じられたときのシャッタの状態を示す模式図。
【図14】室外機の加湿ユニット周辺の部分拡大断面図。
【図15】第2実施形態に係る空気調和装置の構成の概要を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明に係る空気調和装置の室外機の実施形態は、以下に説明する実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0029】
<第1実施形態>
(1)空気調和装置の構成の概要
本発明の第1実施形態に係る空気調和装置10は、図1に示されているように、室内機20と室外機30とが連絡配管12によって接続されて構成されている。この空気調和装置10は、冷房運転、暖房運転、除湿運転、加湿運転、給気運転及び排気運転などの複数の運転モードを持っており、これらの運転モードを適宜組み合わせることもできる。
【0030】
冷房運転や暖房運転においては、室内の空気を冷やしたり温めたりするため、室内機20及び室外機30でそれぞれ熱交換が行われ、連絡配管12を通して室内機20と室外機30との間で熱の移動がある。このような熱交換と熱の移動とを行わせるために、例えば空気調和装置10には図2に示されている冷媒回路が形成される。冷媒回路を形成するため、図2の室内機20には室内熱交換器21が設けられ、室外機30には圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動弁34、フィルタ35、アキュムレータ36、液閉鎖弁37及びガス閉鎖弁38が設けられている。また、室内機20と室外機30とを結ぶ液冷媒配管14及びガス冷媒配管16が連絡配管12の中に通っている。
【0031】
また、加湿運転、給気運転及び排気運転では、室内に外気を供給したり室内の空気を排出したりするため、連絡配管12の給気ダクト18を通して室内機20と室外機30との間で空気の移動がある。特に、加湿運転では、水分を多く含んだ湿度の高い空気を室外機30から室内機20に供給するため室外機30において外気から水分を取り込む。そのために、室外機30には、外気から水分を取り込む機能を持つ加湿ユニット60が設けられている。
【0032】
(1−1)冷媒回路の動作
冷媒回路の動作は従来からあるものと変わらないが、図2に示されている冷媒回路の動作について簡単に説明する。
【0033】
冷房時には、四路切換弁32が実線の接続になっており、圧縮機31で圧縮されて吐出された冷媒が四路切換弁32を介して室外熱交換器33に送られる。室外熱交換器33で外気との熱交換が行われて熱を奪われた冷媒は、電動弁34に送られる。高圧液状の冷媒が電動弁34で低圧状態に変化する。電動弁34で膨張した冷媒は、フィルタ35を介して液閉鎖弁37及び液冷媒配管14を通って室内熱交換器21に入る。室内熱交換器21で室内空気との熱交換が行われて熱を奪って温度が上昇した冷媒は、ガス冷媒配管16を通って四路切換弁32に送られる。四路切換弁32では、ガス閉鎖弁38とアキュムレータ36とが接続されている。そのため、ガス冷媒配管16を通って室内熱交換器21から送られてきた冷媒は、アキュムレータ36を介して圧縮機31に送られる。
【0034】
暖房時には、四路切換弁32が点線の接続になっており、圧縮機31で圧縮されて吐出された冷媒が室内熱交換器21に送られる。そして、冷房時とは逆の経路をたどって、室外熱交換器33を出た冷媒は圧縮機31に戻ってくる。つまり、圧縮機31、四路切換弁32、ガス冷媒配管16、室内熱交換器21、液冷媒配管14、電動弁34、室外熱交換器33、四路切換弁32、アキュムレータ36及び圧縮機31の順に冷媒が循環する。
【0035】
(2)室内機の構成
室内機20には、室内熱交換器21の他に、図2に示されているように、モータで駆動される室内ファン22が室内熱交換器21の下流側に設けられている。この室内ファン22はクロスフローファンである。室内ファン22が駆動されると、図1に示されている室内機20上部の吸込口23から吸い込まれた室内空気が、室内熱交換器21を通過して室内機20下部の吹出口24から吹き出される。
【0036】
また、室内機20には、給気ダクト18の給気口25が、室内熱交換器21の上流側空間に設けられている。給気ダクト18は加湿ユニット60に接続されており、加湿ユニット60から送られてくる湿度の高い空気が給気口25から室内熱交換器21の上流側空間に供給される。このような湿度の高い空気が給気口25から供給されている状態で室内ファン22を駆動することにより、室内機20の吹出口24から吹き出される調和空気の湿度を高くすることができる。例えば、このとき同時に室内熱交換器21を蒸発器として用いて、室内機20に、加湿運転と冷房運転を同時に行わせることができる。
【0037】
(3)室外機の構成
(3−1)室外機の構成の概要
室外機30は、ケーシング40と仕切板43とを備えており、図2に示すように、ケーシング40の内部空間が仕切板43によって送風機室41と機械室42とに分けられている。室外機30では、送風機室41から機械室42に風が回り込まないように、送風機室41と機械室42とが仕切板43によって遮蔽されている。
【0038】
室外機30には、冷媒回路を構成する上述の機器や加湿ユニット60の他に、図2に示されているように、ファンモータ39aによって駆動される室外ファン39が室外熱交換器33の下流側に設けられている。この室外ファン39はプロペラファンであり、ファンモータ39aによって駆動されるプロペラ39bを有している。室外ファン39が駆動されると、室外熱交換器33の後面側から室外熱交換器33を通して吸い込まれた外気が、室外機30の吹出口44から吹き出される。図1に示すように吹出口44の前面は、グリル45で覆われ、室外ファン39のプロペラ39bが室外機30の外部にある物と接触しないよう構成されている。このグリル45は、ケーシング40の前板46に取り付けられている。
【0039】
この室外機30の送風機室41には加湿ユニット60が設けられており、加湿ユニット60が室外熱交換器33の前に配置されている。加湿ユニット60が室外熱交換器33の前に配置されるということは、室外熱交換器33を通過する送風経路に加湿ユニット60の一部が掛かっているということである。このような場所にある加湿ユニット60には、室外熱交換器33を通過する送風経路の送風抵抗の増加を抑えるために、後述するような形状と配置位置とが与えられている。
【0040】
(3−2)ケーシング
図3は、室外機30の斜視図であり、図1の室外機30からグリル45などが取り外された状態を示している。図4は、室外機30の平面図であり、室外機30の天板48が取外された状態を示している。図5は、室外機30の斜視図であり、前板46、天板48及び左側板50などが取り外されている状態を示している。また、図6は、図1のI−I線断面図である。
【0041】
室外機30のケーシング40は、図3に示されている前板46、右側板47、天板48及び底板49を備えている。また、図4に示されているように室外熱交換器33は上面視L型の形状であり、ケーシング40の左側面には、L字型の室外熱交換器33の左側面部332に正対して左側板50が取り付けられている。図4からは視認できないが、室外熱交換器33に外気を導くため、左側板50が格子形状に成形されている。室外熱交換器33の後面部331のために送風機室41の後側が開放されており、図示省略されているが、送風機室41の後側には室外熱交換器33の後面部331を覆う保護金網が取り付けられている。
【0042】
ケーシング40を送風機室41と機械室42とに仕切る仕切板43は、図5に示されているように、右側板47に略並行に配置されている。この仕切板43は、室外熱交換器33の右端から前方に向かって延びるとともに、底板49から天板48まで上下に延びている。この仕切板43の前方部は、前板46に接して取り付けられる。右側板47は、室外熱交換器33の後面部51の右端から右側面に至る後面及び右側面全体を覆っている。
【0043】
また、仕切板43には開口部43bが形成されている(図5参照)。図4に示されている電装品箱55がこの開口部43bに配置され、パワーデバイスを冷却するためのフィンが開口部43bから送風機室41内に向かって突出して配置される。
【0044】
ところで、前板46には図3に示されている円形の吹出口44が形成されており、吹出口44の周囲にリング状のベルマウス52が取り付けられている。プロペラ39bの一部がこのベルマウス52で囲まれた空間内に入るように配置されている。
【0045】
プロペラ39bの回転軸をファンモータ39aの駆動軸に結合させるため、プロペラ39bの後面側にファンモータ39aが取り付けられている。このファンモータ39aを支持するためのファンモータ台53は、プロペラ39bの後面側にある上下に長い金属製の部材である。このファンモータ台53は、プロペラ39bによる外気の流れを妨げないように、上下に延びる2本の支柱部と、これらの支柱部をファンモータ39aや室外熱交換器33の上端33bや底板49の付近で繋ぐ複数の横桟部とで構成されている。そして、ファンモータ台53は、底板49と室外熱交換器33の上端33bとに取り付けられている。
【0046】
(3−3)室外熱交換器
室外熱交換器33は、既に説明したように、ケーシング40の後側に配置される後面部331と左側面側に配置される左側面部332を有しており、上面視においてL字型の形状を呈する。この室外熱交換器33は、高さ方向に長く延びる多数のフィンと、フィンを貫いて水平に取り付けられて多数のフィンと熱的に接続されている伝熱管とを有している。そして、室外熱交換器33は、底板49から天板48に達する背丈を持っている。伝熱管は、室外熱交換器33の両端部で複数回折り返されることによって高さ方向に多数列配置されている。例えば、冷房時には、室外熱交換器33の最下層の列の伝熱管から高温の冷媒が入って上の列ほど冷媒温度が下がるように配置され、暖房時には、最上層の列の伝熱管から低温の冷媒が入って下の列ほど冷媒温度が上がるように配置される。このような配置にすると、暖房時には、室外熱交換器33の上部付近で冷やされた外気が加湿ユニット60の吸湿用ダクト68に導かれる。
【0047】
(3−3−1)室外熱交換器と加湿ユニットの配置
図7及び図8には、室外熱交換器33の前に配置されている加湿ユニット60が示されている。図7は、加湿ユニット60を取り出して、加湿ユニット60の前方右斜め上から見た斜視図であり、図8は、加湿ユニット60の後方右斜め上から見た斜視図である。ただし、図7及び図8は、図4及び図5に示されている上部カバー67を取外した状態を示している。
【0048】
室外熱交換器33の前に加湿ユニット60が剥き出しで配置されているのが、この室外熱交換器30の特徴である。加湿ユニット60の上面60aの位置の高さは、室外熱交換器33の上端33b(頂部)の高さと一致する。加湿ユニット60は、比較的複雑な外観をそのままに、できるだけ容積が小さくなる形状が与えられている。
【0049】
(3−4)グリル
図1に示されているグリル56は、ケーシング40の前板46に取り付けられ、吹出口44を覆っている。グリル56には、外気を吹き出すため、図9に示されている開口部56aが多数形成されている。
【0050】
また、図9に示されているように、吸気口68aの正面側に面するグリル56の上部の領域Ar1にまで開口部56aが形成されている。図9に二点鎖線で示されている経路r1のように、グリル56の領域Ar1の開口部56aから吸い込まれた外気は、吸気口68aから吸気ダクト68を通り、加湿ロータ63を通過して、室外ファン39によって負圧になっている空間70へと導かれる。
【0051】
(3−5)加湿ユニット
(3−5−1)吸湿部と放湿部
加湿ユニット60は、図2や図5などに示されているように、外気から吸湿するための吸湿部61と、放湿して空気を加湿するための放湿部62とを有する。この加湿ユニット60においては、吸湿部61と放湿部62とは、1枚の円盤状の加湿ロータ63によって構成されている。つまり、加湿ロータ63は、吸湿部61と放湿部62とを兼ねる吸放湿材である。この円盤状の加湿ロータ63は、ゼオライト等の焼成によって形成されたハニカム構造のゼオライトロータである。加湿ロータ63は、円盤の中心を回転軸として回転するように取り付けられ、加湿ロータ63の周囲に設けられているギア64に伝達されるロータ駆動用モータ(図示省略)の動力によって回転駆動される。
【0052】
加湿ロータ63を形成しているゼオライト等の吸着剤は、例えば常温で空気から吸湿し、ヒータ71で高温に加熱された空気により常温よりも高い温度になることによって放湿するという性質を持っている。つまり、加湿ロータ63のうちの高温の空気にさらされている側が吸湿部61になり、高温の空気にさらされている側が放湿部62になる。別の観点から見ると、加湿ロータ63は、加湿ロータ63の温度が低い側で吸湿し、加湿ロータ63の温度が高い側で放湿する。この加湿ロータ63が回転するので、吸湿部61での吸湿によって加湿ロータ63に吸着された水分は、加湿ロータ63の回転に連れて放湿部62に運ばれ、放湿部62での放湿によって吸着されていた水分が脱着されて放湿部62の周囲の空気が加湿される。
【0053】
(3−5−2)ヒータ
図10に示されているように、放湿部62から放湿させるために、加湿ロータ63の放湿部62の上方にヒータ71が設けられている。図11は、ヒータ71及びヒータ支持部材74を下方から見た底面図である。ヒータ71は、筒状の筐体の中に電熱線(図示省略)が設けられた構造を持ち、吸入口72から吸入されて加湿ロータ63に送られる外気を電熱線で加熱する。加湿ロータ63のハニカム構造の開口を加熱された空気が通り抜けるときに、加湿ロータ63からの放湿によって加湿用ダクト73の空気が加湿される。
【0054】
ヒータ71は、図11に示されているように、ヒータ支持部材74の下側に取り付けられている。ヒータ支持部材74は、上面部74aと周囲の外壁部74bと固定板74cとを有し、上面と側面とが上面部74aと外壁部74bとで囲まれ下方が解放されている筒体である。ヒータ71の筐体及びヒータ支持部材74は、耐熱性を必要とするため板金によって形成されている。吸入口72は、ヒータ支持部材74の前面側かつ加湿ロータ63の下にあって、吸入口72から吸入されて加湿ロータ63を上に抜けた外気がヒータ71の筐体の中を前面側から後面側に向けて通過する。このとき、ヒータ71によって外気が加熱される。ヒータ71の筐体を通過した空気は、加湿ロータ63の上を通って後面側に進む。加湿ロータ63の後面側の下方が加湿用ダクト73(図5参照)に繋がっているので、加湿用ダクト73の上方に達した空気は、加湿ロータ63を下に向けて通過して加湿用ダクト73に吸い込まれる。加湿ロータ63は、ヒータ71によって温度が上昇した空気に晒されて放湿する。このように加湿ロータ63によって加湿された空気が加湿用ダクト73を経て室内機20へと導かれる。そのため、加湿ロータ63のうち、図10に示されているように、ヒータ支持部材74の下方が放湿部62になり、それ以外の部分が吸湿部61になる。加湿ロータ63は、上面から見て時計回りに回転しており、吸湿部61として機能した加湿ロータ63の部分が回転してヒータ支持部材74の下に来ると放湿部62として機能する。
【0055】
ヒータ支持部材74は、板金で形成されていて熱伝達率が高いため、ヒータ支持部材74が冷えるとヒータ71によって加熱された空気から再び熱が奪われる。このような状況で空気を加熱しなければならないとすると電力消費が大きくなるので、ヒータ支持部材74から熱が逃げないよう、図4に示されている上部カバー67でヒータ支持部材74が覆われている。
【0056】
(3−5−3)包囲壁
図7及び図8に示されているように、円盤状の加湿ロータ63の外周の全周囲は、包囲壁65,66によって包囲されている。この加湿ユニット60では、吸湿部61の外周が包囲壁65によって覆われ、放湿部62の外周が包囲壁66によって覆われている。
【0057】
(3−5−4)吸湿用ダクト
吸湿部61の上部には、吸湿部61に外気を導くための吸湿用ダクト68が設けられている。吸湿用ダクト68を上から見ると、図4に示されているように、中心角αが180度より大きい扇形の吸湿部61の上を覆っている。
【0058】
吸湿用ダクト68は、前面側に向かって開口していて前面側から外気を吸い込む吸気口68aを有している。吸湿用ダクト68は、図6に示されているように、吸気口68aに続く傾斜部68bが吸湿用ダクト68の上部に形成されており、そのため、側面から見ると吸湿用ダクト68が下方に向けて湾曲している形になる。また、吸湿用ダクト68は、吸気口68aから後面側に進むに従って上下に広がっており、吸気口68aから後面側に進む外気は、後面側に進むに従って上下に広がり、吸湿部61の全体に行き渡り易くなる。吸湿用ダクト68は、図4に示されているように吸湿部61の全面を覆っており、下方に配置されている加湿ロータ63を上から下に向けて外気が通過する。
【0059】
吸湿用ダクト68は、樹脂で形成されるのが一般的であるが、板金部材で構成してもよい。板金部材で構成すると、吸湿用ダクト68の内部を流れる空気が吸湿用ダクト68によって冷やされ、吸湿部61で吸湿され易くなる。吸湿部61に隣接する放湿部62では、ヒータ71による加熱が行われているので、吸湿部61と放湿部62とは断熱部材で断熱されてヒータ71の熱が吸湿用ダクト68に伝わらないようにすることが好ましい。
【0060】
吸湿用ダクト68には、後部に傾斜部68cが設けられている。一方、放湿部62の側の上部カバー67は、このような傾斜構造を有しておらず、上部のアールの部分を除いて垂直な壁のような形状をしている。このように構成することで、吸湿部61の側に流れる外気の方が放湿部62の側に流れる外気よりも多くなるように構成されている。
【0061】
加湿ユニット60の上部の傾斜部68cがあることによって、室外熱交換器33を前方に向かって通過して傾斜部68cに当たる外気については、加湿ユニット60に当たって左側の前方に進む。図4に示されているように、左側面側に進んだ外気は、室外熱交換器33と加湿ユニット60との空間41aから下に向けて流れ、プロペラ39bの方に向かう経路r3が形成される。そのため、この経路r3が形成されない場合に比べて、送風抵抗が低下する。
【0062】
(3−5−5)排気口
図12に示されているように、排気口69は、加湿ロータ63の直下に設けられている。この排気口69の形状は、中心角αの吸湿部61の形状と同じ扇形である。そして、この排気口69は、吸湿用ダクト68の上面からの投影部分にほぼ等しい領域を占める。排気口69の下方には、図6や図9に示されているように、プロペラ39bが配置されている。つまり、この排気口69は、プロペラ39bが回転するときに負圧になる負圧空間70に対向していることになる。このような構成によって、ベルマウス52からプロペラ39bによって吹き出して吸気口68aに入った外気が、図9に二点鎖線で記されている経路を通って、負圧空間70の方に引かれて排気口69から送風機室41に吹き出される。そのため、室外ファン39のみによって外気が吸湿部61に送られ、従来必要であった吸湿部61に外気を送るための専用のファンを省くことができる。
【0063】
この排気口69には、図12に示されているシャッタ91,92が設けられ、シャッタ91,92によって排気口69が開閉される。シャッタ91,92も加湿ロータ63の形状に対応して円盤状に形成されている。シャッタ91,92は、ギア91cによって加湿ロータ63の外周円弧形状に沿って回転摺動して排気口69の開閉を行う。図13(a)には、重なったシャッタ91,92によって排気口69が開口されている状態が示され、図13(b)には、図13(a)の状態からシャッタ91が時計回りに少し回転した状態が示されている。図13(c)には、図13(b)の状態からシャッタ91,92がさらに時計回りに回転した状態が示され、図13(d)にはシャッタ91,92によって排気口69が閉じられた状態が示されている。シャッタ91,92は、排気口69の開閉のために、開口部91a,92aと扇形部材91b,92bとを有している。
【0064】
シャッタ92には、シャッタ91からの駆動力を受けるため、ガイド溝92cが形成されている。このガイド溝92cには、シャッタ91の下側にある突起91dが嵌まっている。この突起91dは、ガイド溝92cの端部92c1,92c2に当たるまでは、シャッタ91の回転に合わせてガイド溝92の位置に係わりなくガイド溝92の中を移動することができる。ガイド溝92の端部92c1,92c2に突起91dが当たると、突起91dに端部92c1,92c2が押されて、シャッタ92がシャッタ91の回転に連れて回転する。
【0065】
図13(a)の状態は、シャッタ91が反時計回りに回転するとともに、シャッタ92の突起91dがガイド溝92の端部92c1を押して反時計回りに回転して、シャッタ91の開口部91aとシャッタ92の開口部92aが排気口69に重なった状態である。図13(b)の状態は、図13(a)の状態からシャッタ91が時計回りに回転した状態である。このとき、シャッタ91の突起91dはガイド溝92の中を自由に動き、突起91dからシャッタ92に力が伝わらないので、シャッタ92は静止している。シャッタ91が時計回りに回転することで、図13(b)の状態では、シャッタ91の扇形部材91bによって排気口69が少し閉じられて狭くなっている。
【0066】
図13(c)の状態は、図13(b)の状態からさらにシャッタ91が時計回りに回転した状態である。図13(c)の状態になるまでに、図13(b)の状態からシャッタ91が時計回りに回転して、シャッタ91の突起91dがガイド溝92の端部92c2に当たってさらに時計回りに回転している。そのため、突起91dがガイド溝92の端部92c2に当たってからは、シャッタ92がシャッタ91とともに時計回りに回転している。その結果、シャッタ91の開口部91aをシャッタ92の扇形部材92bが閉じ、シャッタ91とシャッタ92の扇形部材91b,92bによって排気口69の大部分が閉じられる。そして、さらにシャッタ91がさらに時計回りに回転して、図13(d)の状態になると、シャッタ91の扇形部材91bが加湿ユニット60の筐体部分に達し、シャッタ91,92の扇形部材91b,92bによって排気口69が閉じられる。
【0067】
加湿ユニット60の加湿機能を使用しないときは、図13(d)の状態にすることで、室外ファン39によって加湿ユニット60に流れる外気を室外熱交換器33への送風に振り向けられる。このように、加湿ユニット60に流れる空気を加湿機能不使用時に遮断することで、室外熱交換器33に流れる外気を増やすことができる。
【0068】
(3−5−6)ターボファン及び加湿用ダクト
加湿用ダクト73は、上述のように、加湿ロータ63の下方後面側に位置するとともに室外熱交換器33の前方に位置するため、室外熱交換器33を通過する外気にとっての送風抵抗になる。また、ターボファン75も室外熱交換器33の前に配置されると送風抵抗を発生させる原因になるため、比較的占有容積の大きなターボファン75は、図2や図4に示されているように機械室42に設置されている。
【0069】
プロペラ39bが加湿ユニット60の下方に配置されており、プロペラ39bの回転する領域のうち最も高い位置でも、室外熱交換器33の上端33bに比べると加湿ユニット60の高さ方向の大きさ分だけ下に位置することになる。そのため、室外熱交換器33の上端近傍を通過した外気は、プロペラ39bに向かって斜め下に向かって流れる。このような外気の流路を加湿用ダクト73ができるだけ妨げないように、加湿用ダクト73はターボファン75に近い方が室外熱交換器33の上端33bの高さと同じ位置にくるように、ターボファン75に向かって斜めに配置されている。加湿用ダクト73には、図2に示されているようにダンパ78が取り付けられており、加湿運転時における加湿用ダクト73における逆流つまりターボファン75側から加湿ロータ63へ流れる空気の流れを防止している。このダンパ78は、シャッタ91が開くときに、ターボファン75に向けて加湿された空気が流れるように空気を通過させる。一方、シャッタ91が閉じてか何時ユニット60の加湿機能が停止したときには、ダンパ78が閉じられて空気の流通は遮断される。
【0070】
ターボファン75は、図7に示されているように、前後方向に場所を取らない配置になっている。すなわち、ターボファン75の羽根車の回転軸が前後方向に伸びる縦置きの配置となっている。そして、ターボファン75の吸込口76は、加湿ユニット60の方を向いて水平に配置されている。また、ターボファン75の吐出口77は、下方に向けて垂直に配置されている。そのため、ターボファン75の吐出口77及び吐出口77近傍の一部を室外機30の外に出している。このようにターボファン75の一部を外に出すことで、室外機30のケーシング40の左右の幅を小さくすることができる。ターボファン75の吐出口77には、給気ダクト18が取り付けられる。
【0071】
(3−5−7)加湿ユニットの固定
図14は、加湿ユニット60の断面形状を示すための室外機30の部分断面図である。加湿ユニット60は、ファンモータ台53の上にビス53aで固定されている。また、加湿ユニット60の前方が前板46にまで達している。固定された状態では、加湿ユニット60は前後左右に移動しない。そのため、室外熱交換器33の前面33aと加湿ユニット60後面60bとの間に所定隙間Isが形成されている。この隙間Isは、後面60bに形成されているリブ60cによって確実に保たれる。また、吸湿用ダクト68の後面側には、傾斜部68cが形成され、図14に示されている包囲壁65は下方に行くに従って前方に張り出すように傾斜している傾斜部65cが設けられている。傾斜部65cが設けられて下方が図9に示されているように傾斜していると、外気の通りが良くなる。
【0072】
上述のように隙間Isが形成されているため、図14に示されている経路r2のように外気が流れ、加湿ユニット60の後面側にある室外熱交換器33を外気が通過してこの通過する外気が熱交換されるので、熱交換効率が低下するのを抑制できる。
【0073】
<第2実施形態>
第1実施形態では、加湿ロータ63の吸湿部61の中心角αが180度より大きく、そのため、排気口69の中心角も吸湿部61と同じで形状も扇形の場合について説明した。このように、大きな排気口69の開閉を行うため、2枚のシャッタ91,92が必要であった。そして、2枚のシャッタ91,92を配置するためには、重ねて配置するとシャッタ91,92の2枚分の高さが必要になり、加湿ユニット60の高さを低くするには不利である。
【0074】
そこで、第2実施形態では、円盤状の加湿ロータ63Aは、半円形の部分が吸湿部61に設定され、もう半分の半円形の部分が放湿部62に設定されている。そのような構成の加湿ロータ63Aに対応して、排気口69Aも加湿ロータ63Aと同等かそれよりも大きな相似形の半円形に形成されている。
【0075】
シャッタ95は、ギア91cによって加湿ロータ63の外周円弧形状に沿って回転摺動して排気口69の開閉を行う。シャッタ95の半円形の開口部95aが排気口69Aに重なれば、排気口69が全開状態になる。一方、シャッタ95の半円形の扇形部材95bが排気口69Aに重なれば、排気口69が全閉状態になる。
【0076】
(4)特徴
(4−1)
図4や図5に示されているように、加湿ユニット60は、送風機室41に配置されており、吸気口68aと図12に記載されている加湿ロータ63と排気口69とシャッタ91、92,95(開閉部材)とを有している。加湿ロータ63は、吸湿部61で外気から吸湿し、放湿部62で放湿して空気を加湿する。図11に示されているように、吸気口68a及び排気口69は、室外ファン39で加湿ロータ63に対して外気が吸排気されるように配置されている。シャッタ91,92,95は、加湿ロータ63の形状に対応した形状を持ち加湿ロータ63の直下に配置されていて排気口69を開閉する。シャッタ91,92,95が円盤状の加湿ロータ63の形状に対応した円盤状の形状であって加湿ロータ63の直下に配置されている。そのため、加湿ユニット60のシャッタ91,92,95の上面視の形状をほぼ加湿ロータの形状に対応したコンパクトな形状にすることができる。また、加湿ユニット60に流れる空気を加湿機能不使用時に遮断して室外熱交換器33に流れる外気を増やすことができる。その結果、加湿機能を有する室外機30のダウンサイジングを図るとともに、ダウンサイジングにともなう熱交換性能の低下を防止することができる。
【0077】
加湿ロータ63が円盤状であって、排気口69が円盤状の加湿ロータ63の外周円弧形状に沿った外縁69aを持つことから、加湿ロータに対応したコンパクトな開閉部材であっても外周円弧形状の外縁に沿って排気口69aを十分に大きく開くことができる。排気口を大きく開くことによって加湿性能が得られる。
【0078】
(4−2)
シャッタ91,92は、ギア91c,92cによって加湿ロータ63の外周円弧形状に沿って回転摺動して排気口69を開閉する。加湿ロータ63の投影領域の中だけで回転するので、シャッタ91,92が開閉されるために移動する領域は小さく、加湿ユニット60のコンパクト化が図れる。
【0079】
(4−3)
排気口69Aの場合は、加湿ロータ63の半分に対応する半円形に形成されている。シャッタ95(開閉部材)は、排気口69Aを開閉するために排気口69Aの半円形よりも大きな扇形、ここでは半円形に形成されている。本発明において、半円形よりも大きな扇形とは、半円形と等しい形状も含む概念である。シャッタ95の閉じる部分と開閉する部分をいずれも半円形にすることができ、シャッタ95を一枚の円盤で構成できる。それにより、シャッタ95をし易くなり、加湿ユニット60ひいては室外機30のコンパクト化が図れる。
【0080】
(4−4)
排気口69は、加湿ロータ63について中心角が180度を超える領域に対応する扇形に形成され、シャッタ91,92は、中心角が180度より小さい複数枚の扇形部材91b,92bを組み合わせて構成されている。複数枚の扇形部材91b,92bを使うことで、中心角が180度より大きい排気口69に対応させることができる。
【0081】
(4−5)
吸気口68a及び排気口69,69aは、室外ファン39のみで吸湿部61に対して外気が吸排気されるように配置されている。そのため、送風機室41内に加湿ユニット60を配置する形態において吸湿部61に対する吸排気専用のファンを省くことができる。
【0082】
(4−6)
ダンパ78は、ターボファン75(加湿ファン)と加湿ロータ63との間に、加湿ロータ63で加湿された空気の通過と遮断とをシャッタ91,92(開閉部材)による排気口69,69aの開閉に応じて切り換える。このように構成することで、加湿ユニット60は、加湿ロータ63で加湿された空気を室内機20に送るための加湿ファン75を、回転軸の延びる方向D1を前後に向けて機械室42に収納し易くなる。それにより、室外機30の小型化が容易になる。
【0083】
(5)変形例
(5−1)
図5に示されているように、排気用ダクト80が設けられてもよい。このような排気用ダクトが設けられる場合にも、室外熱交換器33の前面33aから排気用ダクトの後面との間に所定隙間Is以上の隙間Is2が設けられることが好ましい。また、排気用ダクト80の下方に傾斜部が設けられて、傾斜部80aによって送風抵抗が低下されるのが好ましい。
【0084】
(5−2)
上記実施形態では、1台の室内機20に1台の室外機30が接続されているペア型の空気調和装置10について説明したが、本発明が適用できる空気調和装置のタイプはペア型には限られない。例えば、1台の室外機に複数台の室内機が接続されているマルチ型の空気調和装置にも本発明を適用することができる。
【0085】
(5−3)
上記実施形態では、室外機30のケーシング40内が、送風機室41と機械室42の2つに分割されている場合について説明したが、内部に送風機室41が設けられているケーシング40であれば本発明の室外機を構成することができる。例えば、送風機室41と機械室42以外に仕切られた空間が形成されていてもよく、例えば機械室42が他の機能も含む他の室として設けられていてもよい。
【0086】
(5−4)
上記実施形態では、室外熱交換器33が上面視L字型の形状を呈するものについて説明したが、本発明の室外機を構成する室外熱交換器は上述の形状には限られない。例えば、上面視I字型の形状を持つ室外熱交換器で構成することもできる。
【0087】
(5−5)
上記実施形態では、室外ファン39がプロペラ型のプロペラ39bを持つものについて説明したが、プロペラ型のプロペラ39bを持つものに限られない。プロペラ型以外のタイプのプロペラを持つ室外ファンでも本発明の室外機を構成することができる。
【0088】
(5−6)
上記実施形態では、吸湿部61に外気を導くための専用のファンやそのファンを駆動するためのモータを省いているが、従来よりも小型化された専用ファンや専用ファン用のモータを取り付けてもよい。そのような場合であっても、室外ファン39によって吸湿部61に送風されるため、吸湿部61に外気を導くためだけの専用ファンや専用ファン用のモータを従来に比べて小型化できる分だけ従来よりも室外機をコンパクト化できる。
【符号の説明】
【0089】
10 空気調和装置
20 室内機
30 室外機
33 室外熱交換器
39 室外ファン
40 ケーシング
60 加湿ユニット
63,63A 加湿ロータ
68 吸湿用ダクト
73 加湿用ダクト
75 ターボファン
91,92,95 シャッタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2004−353898号公報
【特許文献1】特開2002−89896号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和を行うために室内機(20)に接続される空気調和装置(10)の室外機(30)であって、
外気が通過する送風機室(41)を有するケーシング(40)と、
前記送風機室に設置され、外気との間で熱交換を行う室外熱交換器(33)と、
前記送風機室に設置され、前記室外熱交換器に外気を送風する室外ファン(39)と、
前記送風機室に配置されて外気から吸湿するための吸湿機能及び放湿して空気を加湿する放湿機能を持つ加湿ロータ(63,63A)と、前記室外ファンで前記加湿ロータに対して外気が吸排気されるように配置されている吸気口(68a)及び排気口(69,69A))と、前記加湿ロータの形状に対応した形状を持ち前記加湿ロータの直下に配置されていて前記排気口を開閉する開閉部材(91,92,95)とを有する加湿ユニット(60)と、
を備える、空気調和装置の室外機。
【請求項2】
前記加湿ロータは、円盤状であり、
前記排気口及び前記開閉部材は、前記加湿ロータの外周円弧形状に沿った外縁を持つ、
請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項3】
前記開閉部材は、前記加湿ロータの外周円弧形状に沿って回転摺動して前記排気口を開閉する、
請求項2に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項4】
前記排気口(69A)が前記加湿ロータの半分に対応する半円形に形成され、
前記開閉部材(95)は、前記排気口を開閉するために前記半円形よりも大きな扇形に形成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項5】
前記排気口(69)は、前記加湿ロータについて中心角が180度を超える領域に対応する扇形に形成され、
前記開閉部材は、中心角が180度より小さい複数枚の扇形部材(91b,92b)を組み合わせて構成されている、
請求項4に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項6】
前記吸気口及び前記排気口は、前記室外ファンのみで前記加湿ロータに対して外気が吸排気されるように配置されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項7】
前記ケーシングは、前記送風機室から仕切られた機械室をさらに有し、
前記加湿ユニットは、前記加湿ロータで加湿された空気を前記室内機に送るための加湿ファン(75)と、前記加湿ファンと前記加湿ロータとの間に配置されて前記加湿ロータで加湿された空気の通過と遮断とを前記開閉部材による前記排気口の開閉に応じて切り換えるダンパ(78)とをさらに有し、
前記加湿ファンは、回転軸の延びる方向を前後に向けて前記機械室に配置されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の空気調和装置の室外機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−251692(P2012−251692A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123410(P2011−123410)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】