説明

空気調整装置

【課題】本発明は、少なくとも1つの空気案内装置(21)を備える空気調整装置(20)に関する。
【解決手段】空気調整装置(20)は、第1の作動状態で少なくとも部分的に空気を第1の方向へ貫流する。空気調整装置(20)は、第2の作動状態で少なくとも部分的に第1の方向と異なる第2の方向へと空気を貫流する。空気案内装置(21)内の空気の流れ方向を変えるために、空気調整装置(20)が少なくとも1つの切換装置(23)を有することが提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、請求項1の前段部に記載の、車両内部空間において空気調整する対象物のための空気調整装置である。
【背景技術】
【0002】
このような空気調整装置においては、利用者を強すぎずまた弱すぎずに冷房することや、可能な限り効率的に作動することが期待されている。さらに、このシステムは、夏でも冬でも快適な環境を作るものである。従って、前記要件の1以上を好適に満たす技術的解決策への需要がある。
【発明の概要】
【0003】
このような背景に対して、請求項1の特徴を有する技術的コンセプトが提案される。その他の有利な態様は、その他の請求項および以下の明細書から読み取ることができる。
【0004】
以下、本発明の詳細を説明する。当該説明は本発明を理解しやすくするためのものであるが、例示的特徴のみを有するものであり、本発明の枠組みの中で説明した個別的または複数の特徴を省略、変更、補足できることはもちろんである。また、異なる実施形態の特徴は、もちろん互いに組み合わせてもよい。本発明のコンセプトは本質的に実現されていることが決定的である。1つの特徴が少なくとも部分的に満たされているとき、これは前記特徴が完全に満たされていることや、または本質的に満たされていることも含む。ここで「本質的に」とは、特に前記実現が所望の利用の達成を認識し得る範囲で可能であることを意味する。これは、特に相応の特徴が少なくとも50%、90%、95%または99%まで満たされていることを意味してよい。最小量が表示されているときに前記最小量よりも多く使用されてもよいのはもちろんである。どのような目的物が記載されているかは、他の同種の全ての目的物の主たる部分または全体に適用されてもよい。特別の表示がない限り、範囲はその周縁点も同時に含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】空気調整装置を備えるシートを備える車両。
【図2a】空気調整装置の流れ方向を切り換えるための切換装置の第1の形態。
【図2b】図2aの切換装置を作動するためのスイッチ。
【図3a】空気調整装置における流れ方向を切り換えるための切換装置の第2の形態。
【図3b】図3aの切換装置を作動するためのスイッチ。
【図4】手動操作可能の切換装置の第3の実施形態の縦断面図。
【図5a】電気的に切り換えられる切換装置の第4の実施形態の下からの展開図。
【図5b】図5aの実施形態の側面図。
【図5c】図5aの実施形態の上からの展開図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
少なくとも1つの空気調整対象物10は、少なくとも1つの空気調整される区域30を有する。空気調整される区域30は、空気調整装置20によって温度調節、除湿および/または通気されることが好ましい。これは特に、例えばシート、スイッチング装置、ステアリングホイール等の表面のような、乗員が接触する表面を含む。
【0007】
少なくとも1つの空気調整対象物10は、少なくとも1つの空気調整装置20に割り当てられていることが好ましく、前記空気調整装置を有していると特に好ましい。
【0008】
図1に示した実施形態において、空気調整対象物10はシート11の形態である。この空気調整対象物10は、シートレスト用の少なくとも1つの空気案内装置21およびシートクッション用の少なくとももう1つの空気案内装置21を有することが好ましい。
【0009】
少なくとも1つの空気案内装置21は、少なくとも部分的に空気流通層211から製造されている。空気流通層211は、空気調整される区域30の外部へと空気案内装置21から空気が漏出するのを回避または低減するために、少なくとも部分的に被覆層212によってカバーされていることが好ましい。
【0010】
少なくとも1つの空気調整装置20は、空気調整される区域30の空気を排出および/または前記区域へ供給する空気供給装置22を備えていると好ましい。空気供給装置22は、特にベンチレータ、好ましくはラジアルベンチレータを含む。その数は、目的に応じてそれぞれ空気調整される物体あたり1〜5の間であり、空気調整される面あたり1〜2の間であると好ましく、特にシートあたり、一方のシートクッション用および他方のシートレスト用に1〜2であると好ましい。
【0011】
少なくとも1つの空気調整装置20は、少なくとも1つの空気供給装置22から空気を排出するために、または前記空気供給装置へと空気を案内するために、および/または空気調整される区域30から空気を排出するか前記区域へと空気を案内するために、少なくとも1つの空気案内装置21を備えることが好ましい。これは、特にホースまたはチャネルを含む。
【0012】
少なくとも1つの空気調整装置20は、空気案内装置21の中に案内された空気から流れ方向を空気案内装置21の少なくとも部分区間へ変更する、特に転換可能な、少なくとも1つの切換装置23を備えていると好ましい。前記切換装置の数はシート11あたりそれぞれ1〜2であり、空気調整される区域(面)30あたりまたは空気供給装置22あたり1〜2である場合が有利である。
【0013】
少なくとも1つの空気供給装置22は、空気調整される対象物10の横、中または近傍に配設されていると好ましい。前記空気供給装置は、例えばシート11の横または下に、あるいはシートレストの横または中に取り付けることができる。
【0014】
少なくとも1つの空気供給装置22は、少なくとも1つの空気排出口22aおよび少なくとも1つの空気取入口22bを備えると好ましい。
【0015】
少なくとも1つの切換装置23は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの空気供給装置22と、少なくとも1つの空気案内装置21との間に配設されていると好ましい。これはその空間位置には必ずしも関係なく、空気案内装置21と空気供給装置22との間の空気流の中での配置に関係する。これは好ましくは少なくとも部分的にシート11の表面に、特にシートクッションおよび/またはその支持構造の前部または側面に配置されている。
【0016】
少なくとも1つの切換装置23は、少なくとも部分的に少なくとも1つの空気案内装置21および/または空気供給装置22の少なくとも1つの空気取入口22bへの周囲に導くことができる少なくとも1つの吸入装置232を備えることが好ましい。吸入装置は特にホース状またはプレート状のチャネルを含み、このチャネルを介して空気を空気案内装置21の中へ吹き入れることができる。
【0017】
少なくとも1つの切換装置23は、空気供給装置22の少なくとも1つの空気排出開口部から周囲へおよび/または少なくとも1つの空気案内装置21へ少なくとも部分的に空気を導くことができる、少なくとも1つの吹入装置233を備えることが好ましい。切換装置は、吸入装置232と同様に構成されていてよい。
【0018】
少なくとも1つの切換装置23は、吸入装置232および/または吹入装置233を切り換え、特に遮断しまたは貫流するために解除する少なくとも1つの切換機構231を備えることが好ましい。切換機構の中には、特に回転可能、傾倒可能または押込可能の、フラップ、プレート、円板または球形弁が含まれる。押込可能の切換素子は取付空間が少ないため、特に有利である。共通の切換機構231が、空気流を少なくとも1つの吸入装置232でも少なくとも1つの吹入装置233でも切り換え、好ましくは同時におよび/または同一の切換機構作動運動によっておよび/または同一の作動パルスによって切り換えるために設けられていと、特に有利である。
【0019】
少なくとも1つの切換機構231は、吸入装置232および/または吹入装置233を閉鎖する遮断装置231aを有すると好ましい。図2、図3の実施形態において、これは吸入装置232および/または吹入装置233の開口部を閉鎖するプレート状の区間によって実現されている。
【0020】
少なくとも1つの切換機構231は、少なくとも1つの通路装置231bをさらに有する。この通路装置231bは、貫流する空気が開口部231b’を通して吸入装置232および/または吹入装置233から空気供給装置22の空気排出口22aおよび/または空気取入口22bへ移行できるように形成されていると好ましい。同時に、通路装置231bは移行時に空気の漏出を最小限にするチャネル状の区間を有する。図2および図3の実施形態において、通路装置231bは、空気案内装置21を空気供給装置22と接続する管区間によって形成されており、断面四角形のプラスチック管の形態であることが好ましい。
【0021】
好ましくは遮断装置231aおよび通路装置231bは、構造的に互いに接続されており、その結果、前記装置は同じ調整運動によって同時に切換可能である。図2の実施形態において、切換機構231はその中心に通路開口部231b’を有する管状の区間を有する長方形のプレートによって形成されている。このプレートは、方向23xへの移動によって、2つの作動状態の間で切り替え可能である。図2に示した第1の状態において、空気案内装置21は、切換機構231の吹入装置233および通路装置231bを介して、空気供給装置22の空気排出口22aに接続されている。空気供給装置22の空気取入口22bは、空気流入開口部15を介して周囲と接続されている。この空気流入開口部15を介して、空気供給装置22の空気取入口22bと空気が吸入される。続いて、前記空気は、空気排出口22aおよび通路装置231bを介して、吹入装置233および空気案内装置21の中へ吹き入れられる。次に、空気は次に空気貫流開口部21aに流れるとともに、利用者へ向けて流出する。その間に、空気案内装置21の吸入装置232が遮断装置231aによって遮断される。
【0022】
図示されない第2の作動状態の調整のために、切換機構231は方向23xに沿って移動される。これにより遮断装置231aが空気案内装置21の吹入装置233の手前に位置決めされ、かつ前記吹入装置が閉鎖される。通路装置231bは、空気案内装置21の吸入装置232と空気案内装置21の空気取入口22bとの間で切り換えられる。これにより、吸入装置232を通る空気の貫流が自由になる。空気流入開口部15が閉鎖される結果、空気供給装置22は周囲空気をそれ以上吸入しない。同時に、その前に閉鎖された空気排出開口部16が開放され、それを通して空気供給装置22が空気を周囲へ引き渡すことができる。ここで、空気が空気貫流開口部21aで空気案内装置21の中へ流入する。この空気は、吸入装置232を介して空気取入口22bおよび空気供給装置22へと送られ、そこから空気排出開口部16を介して周囲へ流出する。
【0023】
図3の実施形態は、図2の実施形態にほぼ相当する。しかしながら、ここで切換機構231の調整運動は直線状の移動ではない。図3において、遮断装置231aおよび通路装置231bの交換は、切換機構231が軸23z周りに回転されることによって行われる。本実施例において、この回転軸は、吸入装置232と吹入装置233との間の中心にある。
【0024】
図4および図5a、5b、5cの実施形態において、切換装置23は、それぞれの作動状態に応じて、空気案内装置21が吹入装置233または吸入装置232へ結合されるように構成されている。その際に、まさに結合されていない貫流開口部を遮断する必然性がなくなる。
【0025】
切換装置23および/または切換機構231は電気的に制御されており、例えば空気案内装置21の運動および結合を自動的に行ってもよい。また、信号を電子制御、操作素子および切換装置23および/または切換機構231の間で交換するために、信号伝達装置を設けてもよい。
【0026】
切換装置23または切換機構231は、所定のアルゴリズムによって切り換えられてもよい。前述したように、第1の作動状態において、空気は第1の方向へ空気調整装置20を貫流する。第1の方向は、例えばシートのカバーからベンチレーターの方へと空気を吸引する方向である。また、第2の作動状態において、空気は第1の方向とは異なる第2の方向へ空気調整装置20を貫流する。第2の方向は、例えばベンチレーターからシートのカバーの方へと空気を送る方向である。これらの作動状態は、例えば下記の条件に基づいて選択することができる。
・ユーザー識別(例えば、ほこりに対するアレルギーのある人に対しては送風を行わない)およびその事前選択。
・車載空調装置の運転状態(例えば、ユーザーに対する送風は、空調装置を5分以上運転した後で行う)。
・周囲温度(例えば、冬には送風を行わず、吸引のみを行う)。
・シートの表面温度(例えば、シートの表面温度が40℃を超える場合には送風を行わず、吸引のみを行う)。
・供給される空気の温度(例えば、空気の温度が50℃を超える場合または15℃未満の場合には送風を行わず、吸引のみを行う)。
また、空気調整装置20の作動開始時および/または終了時には、切換装置が自動的に所定の始動状態または終了状態へ切り換えられてもよい。
【0027】
本発明は、以下の構成を有する。
<1>
少なくとも1つの空気案内装置(21)を備える空気調整装置(20)であって、第1の作動状態において、空気が少なくとも部分的に第1の方向へ前記空気調整装置(20)を貫流し、第2の作動状態において、空気が少なくとも部分的に前記第1の方向と異なる第2の方向へ前記空気調整装置(20)を貫流し、前記空気調整装置(20)が、前記空気案内装置(21)内の空気の流れ方向を変えるために、少なくとも1つの切換装置(23)を有することを特徴とする空気調整装置。
【0028】
<2>
前記空気調整装置が少なくとも1つの空気供給装置(22)を有し、前記空気供給装置(22)が好ましくはターボ機械(Stromungsmaschine)であり、前記切換装置(23)が、前記空気供給装置(22)の排出方向および/または前記ターボ機械の回転方向を変更することなく、前記空気案内装置(21)内の空気の流れ方向を変更可能であることを特徴とする上記<1>記載の空気調整装置(20)。
【0029】
<3>
少なくとも1つの第1の作動状態から少なくとも1つの第2の作動状態へと貫流方向を切り換えるために、前記切換装置(23)が、自動式、特に電子制御式装置、および/または手動操作式切換機構(231)を有することを特徴とする上記<1>または<2>に記載の空気調整装置(20)。
【0030】
<4>
上記<1>〜<3>のいずれかに記載の空気調整装置(20)を少なくとも1つ備えることを特徴とする特に車両(100)および/または車両用シート(11)の空気調整対象物(10)。
【0031】
<5>
空気調整装置(20)を作動する方法であって、第1の作動状態において、空気が少なくとも部分的に第1の方向へ前記空気調整装置(20)を貫流し、第2の作動状態において、空気が少なくとも部分的に前記第1の方向と異なる第2の方向へ前記空気調整装置(20)を貫流し、ユーザー識別およびその事前選択、車載空調装置の運転状態、周囲温度および/またはシート表面の温度、前記空気供給装置(22)から吸入または排出される空気の温度に基づき、作動状態の調整が行われることを特徴とする方法。
【0032】
<6>
上記<5>に挙げた温度値の少なくとも1つが所定の目標値を上回る場合、前記空気供給装置(22)が前記空気調整装置(20)の中へ空気を吹き入れ、上記<5>に挙げた温度値の少なくとも1つが場合によって別の所定の目標値を下回る場合、前記空気供給装置(22)が前記空気調整装置(20)から空気を吸引し、および/または、前記空気調整装置(20)が、作動時間の開始時および/または終了時に所定の作動状態へリセットされることを特徴とする上記<5>記載の方法。
【符号の説明】
【0033】
10 空気調整対象物
11 シート
15 空気流入開口部
16 空気排出開口部
20 空気調整装置
21 空気案内装置
21a 空気貫流開口部
22 空気供給装置
22a 空気排出口
22b 空気取入口
23 切換装置
23x 方向
23z 軸
30 空気調整される区域
100 車両
211 空気流通層
212 被覆層
231 切換機構
231a 遮断装置
231b 通路装置
231b’ 通路開口部
232 吸入装置
233 吹入装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの空気案内装置(21)を備える空気調整装置(20)であって、
第1の作動状態において、空気が少なくとも部分的に第1の方向へ前記空気調整装置(20)を貫流し、
第2の作動状態において、空気が少なくとも部分的に前記第1の方向と異なる第2の方向へ前記空気調整装置(20)を貫流し、
前記空気調整装置(20)が、前記空気案内装置(21)内の空気の流れ方向を変えるために、少なくとも1つの切換装置(23)を有することを特徴とする空気調整装置。
【請求項2】
前記空気調整装置が少なくとも1つの空気供給装置(22)を有し、
前記空気供給装置(22)が好ましくはターボ機械であり、
前記切換装置(23)が、前記空気供給装置(22)の排出方向および/または前記ターボ機械の回転方向を変更することなく、前記空気案内装置(21)内の空気の流れ方向を変更可能であることを特徴とする請求項1記載の空気調整装置(20)。
【請求項3】
少なくとも1つの第1の作動状態から少なくとも1つの第2の作動状態へと貫流方向を切り換えるために、前記切換装置(23)が、自動式、特に電子制御式装置、および/または手動操作式切換機構(231)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調整装置(20)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調整装置(20)を少なくとも1つ備えることを特徴とする特に車両(100)および/または車両用シート(11)の空気調整対象物(10)。
【請求項5】
空気調整装置(20)を作動する方法であって、
第1の作動状態において、空気が少なくとも部分的に第1の方向へ前記空気調整装置(20)を貫流し、
第2の作動状態において、空気が少なくとも部分的に前記第1の方向と異なる第2の方向へ前記空気調整装置(20)を貫流し、
ユーザー識別およびその事前選択、車載空調装置の運転状態、周囲温度および/またはシート表面の温度、前記空気供給装置(22)から吸入または排出される空気の温度に基づき、作動状態の調整が行われることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に挙げた温度値の少なくとも1つが所定の目標値を上回る場合、前記空気供給装置(22)が前記空気調整装置(20)の中へ空気を吹き入れ、
請求項5に挙げた温度値の少なくとも1つが場合によって別の所定の目標値を下回る場合、前記空気供給装置(22)が前記空気調整装置(20)から空気を吸引し、および/または、
前記空気調整装置(20)が、作動時間の開始時および/または終了時に所定の作動状態へリセットされることを特徴とする請求項5記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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