空気通路形成部材を有する圧縮スリーブ
【課題】患者の脚等の脚へ圧縮力を加える装置に使用するための圧縮スリーブにおいて、個体の脚の周りに巻き付けて行う圧縮療法中にスリーブの全体における空気の流れを維持する圧縮スリーブを提供する。
【解決手段】圧縮スリーブは、第1シート12と、少なくとも1つの膨張可能部分を画成して前記第1シートに取り付けられる第2シート14と、前記膨張可能部分のうちの少なくとも1つに配置される少なくとも1つの通路形成部材38と、を有する。使用時、圧縮スリーブは患者の脚の周りに配置され、周期的な圧縮サイクル中、膨張可能部分を順次に間欠的に膨張させてマッサージを行う。
【解決手段】圧縮スリーブは、第1シート12と、少なくとも1つの膨張可能部分を画成して前記第1シートに取り付けられる第2シート14と、前記膨張可能部分のうちの少なくとも1つに配置される少なくとも1つの通路形成部材38と、を有する。使用時、圧縮スリーブは患者の脚の周りに配置され、周期的な圧縮サイクル中、膨張可能部分を順次に間欠的に膨張させてマッサージを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して患者の脚等の肢へ圧縮力(圧力)を加える装置に使用するための圧縮スリーブに関する。詳細には、本開示は、個体の肢の周りに巻きつけて行う圧縮療法中にスリーブの全体における空気の流れを維持する圧縮スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の選択された領域に圧縮力を加える圧縮器具は、一般に、その選択領域における血流を改善するために使用される。間欠パルス状の圧縮された流体(例えば空気)を、スリーブ内の少なくとも1つの膨張可能なチャンバ(膨張室)へ供給することによりこれを膨張させる圧縮器具はとりわけ有用である。この周期的な加圧は、器具等を生体内に挿入することを要することなく深部静脈血栓症(DVT)等の発生率を低減する予防法を提供する。これらの圧縮器具は、特に、肥満、高齢、悪性腫瘍または血栓塞栓症予備群等の危険性の高い症状を伴う患者の手術中に用いられる。この症状を有する患者は、下肢に腫れ(すなわち浮腫)および組織破壊(すなわち静脈うっ血性潰瘍)を持つことが多い。
【0003】
一般に、圧縮器具はスリーブを含み、スリーブはそれに沿って長手方向に延在する少なくとも1つの流体膨張可能(流体により膨張可能な)圧力チャンバを有する。圧力源(例えばポンプ)は、周期的な圧縮サイクル中に加圧された流体(加圧流体)源からこれらの膨張可能なチャンバ内における圧力パルスを間欠的に生成する。圧縮スリーブは、その圧縮サイクル中、患者の肢に沿った圧力勾配であって肢の下部分から上部分へ(すなわち、足首から大腿部へ)漸次に減少する圧力勾配を提供する。
【0004】
圧縮スリーブの例は、Hastyの米国特許第4,013,069号および第4,030,488号、Dyeの米国特許第4,029,087号および第5,795,312号、ならびに、Toblerらの米国特許第5,626,556号に開示されている。これらの米国特許に係る権利は、いずれも現在はTyco Healthcare Group LPが有している。これらの米国特許をここに引用して本明細書に組み込む。圧縮スリーブの他の例は、Gardnerらの米国特許第4,696,289号およびLinaの同第5,989,204号に開示されている。
【0005】
圧縮療法が患者へ施される場合、上述した圧縮スリーブの膨張可能な圧力チャンバは、閉じ込められた空気を含んでいてもよい。この閉じ込められた空気は、チャンバの容積を変えることにより、治療中の患者の肢に沿った圧力勾配を減少させる。患者の肢の形状、重さおよび位置が、形成される空気の孤立した塊の大きさ及び数に関与することになる。圧縮治療方法の例は、Watsonらの米国特許第6,231,532号に開示されている。この米国特許に係る権利は、現在、Tyco Healthcare Group LPが有している。この米国特許の内容全体をここに引用して本明細書に組み込む。
【発明の開示】
【0006】
本開示は、患者の体の選択された部分に圧縮力(圧力)を加えるための圧縮スリーブについて述べる。圧縮スリーブは、複数の膨張可能な部分(膨張可能部分)と、そのうちの1つの内部に配置された少なくとも1つの通路形成部材と、を有するスリーブを含む。加圧流体(例えば空気)源を有するコントローラへスリーブを動作可能に接続する複数の管腔が設けられている。更に、圧縮スリーブは、圧縮スリーブを患者の体の選択された部分に固定するためのフック状体及びそれに取り付けられるループ状体(面ファスナ)を含む。
【0007】
一実施の形態において、圧縮スリーブは、圧縮力(圧力)を患者の肢(例えば脚)に加えるためのスリーブを含む。スリーブは、複数の膨張可能部分(膨張可能チャンバ)を画成する第1シートおよび第2シートと、複数の膨張可能部分内に配置された少なくとも1つの空気通路形成部材と、を含む。第1シートおよび第2シートは、両シートの対応する周縁に沿って高周波(RF)溶着または他の好適な方法によって接合固定されることにより両シート間に複数の膨張可能部分を画成する。第2層はフック状体及びループ状体(面ファスナ)用の取り付け面を提供する。
【0008】
複数の膨張可能部分は、連続する圧力付与(加圧)サイクル中、圧縮力(圧力)を患者の脚の一部分へ加えるために加圧流体源からの加圧流体(例えば空気)を受け入れ且つ保持するように構成される。
【0009】
空気通路形成部材は、圧縮療法中、複数の膨張可能部分(膨張可能チャンバ)において加圧空気を流れやすくするための通路を形成するように構成され且つ適合される。加圧空気が各膨張可能部分へ導入されるときに、空気通路形成部材により第1シートと第2シートとの間に形成される通路は、各膨張可能部分の膨張特性を改善する。更に、空気通路形成部材は、圧縮スリーブの収縮中、加圧空気を流体源へ向けて導くことにより加圧空気を除去しやすくして加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0010】
本開示の圧縮スリーブの他の特徴は、本開示の圧縮スリーブを例として図示した添付図面と併せて考察することにより、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、同一または対応する要素に同様な符号を付した図面を参照しながら、本開示の圧縮スリーブの種々の実施形態を詳細に説明する。本開示の圧縮スリーブは、Toblerらの米国特許第5,626,556号およびDyeの同第5,795,312号に開示された圧縮スリーブと同様である。両特許に係る権利は、現在、Tyco Healthcare Group LPが有している。これらの米国特許の全体をここに引用して本明細書に組み込む。
【0012】
先ず図1を参照すると、本開示による圧縮スリーブが示されていて、その全体が圧縮スリーブ10として表わされている。圧縮スリーブ10は、患者の、肢(例えば脚等)の一部分に圧縮力(圧力)を加えるための装置において使用されるようになっている。圧縮スリーブ10は、横方向に延びる複数のシール(密閉する)線16と横方向のシール線16の両端部を接続する複数の縦方向に延びるシール線18とによって接続された、第1シート(外側シート)12及び第2シート(内側シート)14を含む。第1シート12および第2シート14は、人の肢へ載置されるために内部へガスを通さない(内部ガス不浸透性)シートとして適合される。シール線16、18は高周波(RF)溶着等により形成されていてもよい。更に、シール線16、18は、連続する圧力付与(加圧)サイクル中に患者の肢へ圧縮力を加えるために加圧流体(例えば空気等)を保持することができ且つ縦方向へ配置された複数の膨張可能部分(膨張可能チャンバ)20a、20b、20cを画成する。
【0013】
第1シート12は、例えば、厚さ5〜10ミル程度のポリ塩化ビニル(PVC)等の好適な可撓性ポリマー材料を含んでいてもよい。第2シート14は、着用者の快適性を高めるために肢の上へ載置される内側面に積層された不織布材料(例えばポリエステル等)を有する同様のポリマー材料(すなわち、5〜10ミルのPVC)を含むことが好ましい。各膨張可能部分20a、20b、20cは、少なくとも1つの波形境界22を含んでいてもよい。膨張可能部分20a、20b、20cが互いに隣接する場合、波形境界22は、図1に示したように、膨張不能な複数の「目」を画成する。
【0014】
更に、圧縮スリーブ10は、スリーブを患者の肢の周りに取り付けるための複数の面ファスナを含む。面ファスナは、第1シート12上に配置された一組の離間したループ材等のストリップ(細長状体)24a、24b、24cを含む。ストリップ24a、24b、24cは、膨張可能部分20a、20b、20cにおいて横方向に延在し、第2シート14上に配置された一組の離間したフック材26a、26b、26cと協働してスリーブ10を脚に解放可能に固定する。
【0015】
圧縮スリーブ10が患者の肢に取り付けられるとき、各膨張可能部分20a、20b、20cは、患者の肢の長手方向軸を実質的に横断する方向に配向させられる。すなわち、圧縮スリーブ10は脚を取り巻く。
【0016】
圧縮スリーブ10は、スリーブを用いて圧縮力(圧力)を肢に加える状態において、膝領域30となるだろうところを通って延在する細長い開口部28を含む。開口部28は、その周りに延在する周縁部32によって画成される。加えて、膝領域30は、細長い切欠部(開口部)31aおよび31bを有する。細長い切欠部(開口部)31aおよび31bは、その周りの側縁部33aおよび33bのそれぞれにより画成される。圧縮スリーブ10は、一組の管腔34a、34b、34cを備える。管腔34a、34b、34cは、加圧流体(例えば空気)源を有するコントローラ(不図示)へ管腔34a、34b、34cを操作(動作)可能に接続するためのコネクタ36を有する。
【0017】
引き続き図1を参照すると、圧縮スリーブ10は、更に、膨張可能部分20a、20b、20cのうちの少なくとも1つの内部に配置された複数の空気通路形成部材38を含む。空気通路形成部材38は、圧縮療法が施されているとき、少なくとも1つの膨張可能部分20a、20bまたは20cにおいて加圧空気を流れやすくするための通路を形成するようになっている。各空気通路形成部材38は、圧縮スリーブ10が収縮状態にある場合に、第1シート12と第2シート14とを分離することによって膨張可能部分20a、20bまたは20c内において加圧空気を流れやすくする。空気通路形成部材38は種々の図において直線構造として示されているが、膨張可能部分20a、20bまたは20c(図1参照)が画成する円弧に実質的に対応する円弧に従った形状であってもよい。空気通路形成部材38は押出PVCにより形成されていてもよい。各空気通路形成部材38が、例えば、Kendall社の製品カタログH−4693VT「血管療法製品(Vascular Therapy Products)」から入手可能な他の可撓性スリーブおよび足カフ(裾の位置における足)の形状に適合するように構成されていてもよいことが想定される。
【0018】
本開示によれば、使用時、圧縮スリーブ10は、患者の脚に圧縮力を加えるように構成される。圧縮スリーブ10は患者の脚の周りに配置される。この状態において、面ファスナのフック材26a、26b、26cは、面ファスナのループ材24a、24b、24cに係合するように構成される。圧縮スリーブ10を患者の脚の周りに載置するとともに、コネクタ36を介して圧縮スリーブ10を加圧流体源へ接続した後に、加圧空気を圧縮スリーブ10へ供給して、圧縮療法を始めるようにコントローラ(不図示)を駆動させてもよい。このようにして、コントローラは、周期的な圧縮サイクル中、膨張可能部分20a、20b、20cを順次に、間欠的に膨張させ、圧力勾配のプロファイル(形状)を定める。
【0019】
空気通路形成部材38は、各膨張可能部分において空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。加圧空気が各膨張可能部分20a、20b、20cへ導入される場合、第1シート12と第2シート14との間に位置する少なくとも1つの空気通路形成部材38により形成される通路は、各膨張可能部分の膨張特性を改善する。少なくとも1つの空気通路形成部材38を含まない器具においては、膨張可能部分20a、20bまたは20cが収縮する際に、第1シート12及び第2シート14がつぶされる(接触する)ことにより加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることがある。これらの孤立した塊は、膨張可能部分20a、20bまたは20cを通る加圧空気の流れの向きを無秩序に(ランダムに)変え及び/又はその流れを規制することによって加圧流体の除去を妨げる。
【0020】
空気通路形成部材38を膨張可能部分20a、20bまたは20c内へ配置することによって、各膨張可能部分20a、20bまたは20cにおいて加圧空気を流れやすくする通路が形成される。連続する膨張サイクル間の収縮は、当該技術分野において周知のように、膨張可能部分20a、20b、20c内の空気をコントローラまたは他の通気孔(不図示)へ戻すことによって生じる。空気通路形成部材38は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて効果的に導き、その結果、膨張可能部分20a、20bまたは20cにおける加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。更に、空気通路形成部材38は、加圧空気を管腔34a、34b、34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去速度を改善するとともに、圧縮スリーブ10の全体にわたって加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0021】
図2A〜2Cを参照すると、空気通路形成部材38の一実施の形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Aとして表されている。空気通路形成部材38Aは、ベース部材42から上方へ突出する複数の隆起部(リブ)40を含む。ベース部材42は、図2Cに示したように、膨張可能部分20a、20bまたは20cの、第2シート14または第1シート12に接着固定されている。リブ40は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの第1シート12または第2シート14と解放可能に接触している。複数のリブ40は、中央リブ40a、中間リブ40bおよび外側リブ40cを含み、いずれも以下詳細に検討する。
【0022】
特に図2Bを参照すると、リブ40の高さは、ベース部材42の外側縁部にて最小であるとともに、中央リブ40aがリブ40のうちの最大の高さを有するようにベース部材42の中央へ向けて漸次増大している。ベース部材の厚さは約19ミルから約39ミルである。一実施の形態においては、中央リブの高さは約65ミルから約85ミルであり、中間リブ40bの高さは約43ミルから約63ミルであり、外側リブの高さは約29ミルから約49ミルである。更に、中央リブの幅は約50ミルから約70ミルであり、中間リブ40bおよび外側リブ40cの幅は約40ミルから約60ミルである。従って、空気通路形成部材38は薄型であり、第1シート12および第2シート14と一体となって薄型圧縮スリーブ10を画成する。更に、隣接する中間リブ40bおよび外側リブ40cは、それらの間に溝部44を画成するように離間させられている。溝部44は、空気通路形成部材38Aの対向する両端部を流体的に結合し、膨張可能部分20a、20bまたは20c内の加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導くように構成される。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるとき、空気通路形成部材38A内のリブ40によって形成された通路は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、溝部44は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0023】
図3A、3B、3Cを参照すると、本開示による空気通路形成部材38の第2の実施形態が図示されていて、その全体が空気通路形成部材38Bとして表されている。図3Bにて最もよく示されるように、空気通路形成部材38Bは、ベース部材48から上方へ延在する複数のランダムに(無秩序に)配置されたピン(こぶ、隆起)46を含む。ベース部材48は、図3Cに示したように、膨張可能部分20a、20bまたは20cの第2シート14または第1シート12に固定されている。ピン46は、膨張可能部分20a、20b、20cのうちの少なくとも1つの膨張可能部分の第1シート12または第2シート14と解放可能に接触している。従って、空気通路形成部材38Bは、圧縮スリーブ10が収縮状態にあるときに、第1シート12と第2シート14とを効果的に分離する。複数のピン46により形成された通路は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、ピン46は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0024】
図4A〜4Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Cとして表されている。空気通路形成部材38Cは、膨張可能部分20a、20bまたは20cのうちの少なくとも1つの内部に配置された少なくとも1つの膨張可能な細長いシース(さや状部材)49を含む。少なくとも1つの細長いシース49は、図4Cに示したように、第2シート14または第1シート12に接着固定され、第1シート12または第2シート14と解放可能に接触している。代替となる実施形態においては、シースは、第2シート14または第1シート12の内側面へRF溶着されていてもよい。この特定の実施形態においては、空気通路形成部材38Cは、図4Cに示したように、外周の泡状通路(circumferential bubble passageway)を形成する。少なくとも1つの細長いシース49は、脚の荷重を受けてもつぶされない発泡材料により形成されていてもよい。これにより、第1シート12と第2シート14との間の分離が維持される。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるとき、空気通路形成部材38Cが形成する外周の泡状通路は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、少なくとも1つの細長いシース49は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。更に、脚を支えるスリーブの支持構造の剛性を高めるために第1シート12および第2シート14の外側面に細長いシース49を配置してもよい。または、肢をベッドの面から持ち上げておくための別体の脚支持体を設けてもよい。
【0025】
図5A、5B、5Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Dとして表されている。空気通路形成部材38Dは空気通路形成部材38Aと同様であって、構成および動作の相違を明確にするために必要な範囲において詳細に検討する。空気通路形成部材38Dは、ウェブ部(桁腹部)50と、ウェブ部50の両端に配置された2つのフランジ部52とを有する半剛体の「I」字型のビーム(梁)部材を含む。空気通路形成部材38Dは、第1シート12と第2シート14とを分離するために、図5Cに示したように、膨張可能部分20a、20bまたは20cのうちの少なくとも1つの内部に配置されるので、スリーブ10が患者の脚の重さによってつぶされることを防止する。更に、膨張可能部分20a、20bまたは20cの全体にわたって連通しやすくするために、複数の開口部54がウェブ部50上に配置される。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20bまたは20c内へ導入される場合に、ウェブ部50上に配置された複数の開口部54は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、空気通路形成部材38Dの半剛体の「I」字型のビーム部材は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0026】
図6A〜6Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Eとして表されている。空気通路形成部材38Eは空気通路形成部材38Aと同様であって、構成および動作の相違を明確にするために必要な範囲において詳細に検討する。空気通路形成部材38Eは、ベース部材58に取り付けられた複数の長手方向に延びる波形突起56を含む。波形突起56は、空気が通過する通路を形成する。波形突起56は、空気が膨張可能部分20a、20bまたは20cへ染み入ることを許容する。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるときに、波形突起56は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、波形突起は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0027】
図7A〜7Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Fとして表されている。空気通路形成部材38Fは空気通路形成部材38Aと同様であって、構成および動作の相違を明確にするために必要な範囲において詳細に検討する。空気通路形成部材38Fは、図7Bに示したように、長手方向に延びる中央の通路部(チャネル)62を有するベース部60を含む。この特定の実施形態においては、空気通路形成部材38Fは、通路部62が膨張可能部分20a、20bまたは20c内を通る通路を形成するように、膨張可能部分20a、20bまたは20c内に設置されている。ベース部60および通路部62は、膨張可能であってもよいし、又は、第1シート12および第2シート14上にRF溶着されていてもよい。また、ベース部60および通路部62は、剛性がより高い通路を形成するようにPVCのシートの層が追加されることにより補強されていてもよい。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるときに、長手方向に延びる中央の通路部62は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、長手方向に延びる通路部62は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ方向づけ、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0028】
また、図7Dに示したように、第1シート12および第2シート14は、RF溶着された状態においてスリーブを横断する直線状の空間64が形成されるように予め成形されていてもよい。この特定の実施形態においては、直線状の空間64は、加圧空気を管腔34a、34b、34cへ方向づけ、その結果、加圧空気の除去を改善するとともに加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0029】
図8A、8B、8Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Gとして表されている。空気通路形成部材38Gは、空気通路形成部材38C(図4A、4B、4C)と同様であって、構成および動作の相違を明確にするために必要な範囲において詳細に検討する。空気通路形成部材38Gは、軸方向の開口部66(図8B)と、横断する複数の開口部68(図8A)と、を有する少なくとも1つの細長いシース(さや状部材)49Aを含む。軸方向の開口部66及び横断する開口部68は、圧縮スリーブ10の全長にわたって空気が分散することを許容する。少なくとも1つの細長いシース49Aは、図8Cに示したように、膨張可能部分20a、20bまたは20c内に配置され、且つ、第2シート14または第1シート12に接着固定されるとともに第1シート12または第2シート14と解放可能に接触している。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるときに、少なくとも1つの細長いシース49Aの軸方向の開口部66及び横断する開口部68は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、軸方向の開口部66は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0030】
膨張可能部分20a、20b、20c内の加圧空気を流れやすくする他の方法が想定される。例えば、圧縮スリーブ10は、剛性が比較的高い支持構造を備えるために、図9に示したように、内部を支持部材72が移動する通路部(チャネル)70を含むように製造されていてもよい。これにより、脚の重さは、支持部材72によって堅固に支持される。また、シール線16(図1)は、空気の通過を促進するように第1シート12および第2シート14に沿って合理的に配置されていてもよい。更に、膨張可能部分20a、20b、20cの全体にわたる加圧空気の流れを許容する範囲において、構造上の剛性を高めるために膨張可能部分20a、20b、20cにスチレンからなる発泡ペレット(球粒)を充填してもよい。更に、複数の位置から加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ供給されるように、複数のコネクタ36を圧縮スリーブの全体にわたる任意の位置に合理的に設置してもよい。同様に、複数のコネクタ36を、空気の孤立した塊を最少にしながらチャンバを収縮させるように作動させてもよい。加えて、破裂に対する強度を高めるためにスリーブの材料の強度を高くしてもよい。この結果、スリーブの圧力及び容積をより大きくできるので、大きい肢を持ち上げることができる。例えば、膨張可能部分20a、20b、20cが大きい肢の重さによってつぶされることを防止するために、第1シート12および第2シート14を堅固な(剛性が高い)材料(剛体材料)により形成してもよい。更に、圧縮スリーブ10の製造時に、第1シート12および第2シート14の表面に沿って複数の通路がエンボス加工により形成(エンボス成形)されていてもよい。
【0031】
図10Aおよび10Bを参照すると、第1シート12および第2シート14は、スリーブの表面構造(テクスチャ)が空気の流れを改善する設計及び形状を含んでいる。例えば、図10Aおよび10Bに示したように、第1シート12および第2シート14の内側面上に特定の表面構造を設けてもよく、その結果、第1シート12および第2シート14が完全にはつぶされない(全面にわたって接触しない)ので加圧空気を通過しやすくすることができる。表面構造は積層されていてもよく、あるいは、表面構造は第1シート12および第2シート14の一部に形成されていてもよい。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるときに、第1シート12および第2シート14の内側面上の表面構造は、膨張可能部分20a、20b、20cの膨張特性を改善する。収縮中、第1シート12および第2シート14の内側面上の表面構造は、加圧空気を管腔34a、34b、34cへ向けて導くことを促進し、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。当該技術に精通した者は、空気以外の流体を本発明の範囲から逸脱することなく使用できることが分かるであろう。
【0032】
形態および細部における多くの改変および変更が本開示の実施形態に対してなされ得ることは言うまでもない。例えば、具体的に開示した以外に、多くの他の通路形成部材の構成を使用することができ、スリーブおよび/または通路形成部材の材料を多くの材料から選択できることが考えられる。従って、上記の説明は、種々の実施形態を限定するものとして解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本開示による圧縮スリーブの平面図である。
【図2A】図2Aは、本開示による第1実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図2B】図2Bは、本開示による第1実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図2C】図2Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図2Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図3A】図3Aは、本開示による第2実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図3B】図3Bは、本開示による第2実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図3C】図3Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図3Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図4A】図4Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図4B】図4Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図4C】図4Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図4Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図5A】図5Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図5B】図5Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図5C】図5Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図5Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図6A】図6Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図6B】図6Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図6C】図6Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図6Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図7A】図7Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図7B】図7Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図7C】図7Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図7Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図7D】図7Dは、スリーブを横断する直線状の空間を示す圧縮スリーブの正面図である。
【図8A】図8Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図8B】図8Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図8C】図8Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図8Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図9】図9は、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図10A】図10Aは、本開示による第1シートおよび第2シートの内面の構造を示す圧縮スリーブの他の実施形態の断面図である。
【図10B】図10Bは、本開示による第1シートおよび第2シートの内面の構造を示す圧縮スリーブの他の実施形態の断面図である。
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して患者の脚等の肢へ圧縮力(圧力)を加える装置に使用するための圧縮スリーブに関する。詳細には、本開示は、個体の肢の周りに巻きつけて行う圧縮療法中にスリーブの全体における空気の流れを維持する圧縮スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の選択された領域に圧縮力を加える圧縮器具は、一般に、その選択領域における血流を改善するために使用される。間欠パルス状の圧縮された流体(例えば空気)を、スリーブ内の少なくとも1つの膨張可能なチャンバ(膨張室)へ供給することによりこれを膨張させる圧縮器具はとりわけ有用である。この周期的な加圧は、器具等を生体内に挿入することを要することなく深部静脈血栓症(DVT)等の発生率を低減する予防法を提供する。これらの圧縮器具は、特に、肥満、高齢、悪性腫瘍または血栓塞栓症予備群等の危険性の高い症状を伴う患者の手術中に用いられる。この症状を有する患者は、下肢に腫れ(すなわち浮腫)および組織破壊(すなわち静脈うっ血性潰瘍)を持つことが多い。
【0003】
一般に、圧縮器具はスリーブを含み、スリーブはそれに沿って長手方向に延在する少なくとも1つの流体膨張可能(流体により膨張可能な)圧力チャンバを有する。圧力源(例えばポンプ)は、周期的な圧縮サイクル中に加圧された流体(加圧流体)源からこれらの膨張可能なチャンバ内における圧力パルスを間欠的に生成する。圧縮スリーブは、その圧縮サイクル中、患者の肢に沿った圧力勾配であって肢の下部分から上部分へ(すなわち、足首から大腿部へ)漸次に減少する圧力勾配を提供する。
【0004】
圧縮スリーブの例は、Hastyの米国特許第4,013,069号および第4,030,488号、Dyeの米国特許第4,029,087号および第5,795,312号、ならびに、Toblerらの米国特許第5,626,556号に開示されている。これらの米国特許に係る権利は、いずれも現在はTyco Healthcare Group LPが有している。これらの米国特許をここに引用して本明細書に組み込む。圧縮スリーブの他の例は、Gardnerらの米国特許第4,696,289号およびLinaの同第5,989,204号に開示されている。
【0005】
圧縮療法が患者へ施される場合、上述した圧縮スリーブの膨張可能な圧力チャンバは、閉じ込められた空気を含んでいてもよい。この閉じ込められた空気は、チャンバの容積を変えることにより、治療中の患者の肢に沿った圧力勾配を減少させる。患者の肢の形状、重さおよび位置が、形成される空気の孤立した塊の大きさ及び数に関与することになる。圧縮治療方法の例は、Watsonらの米国特許第6,231,532号に開示されている。この米国特許に係る権利は、現在、Tyco Healthcare Group LPが有している。この米国特許の内容全体をここに引用して本明細書に組み込む。
【発明の開示】
【0006】
本開示は、患者の体の選択された部分に圧縮力(圧力)を加えるための圧縮スリーブについて述べる。圧縮スリーブは、複数の膨張可能な部分(膨張可能部分)と、そのうちの1つの内部に配置された少なくとも1つの通路形成部材と、を有するスリーブを含む。加圧流体(例えば空気)源を有するコントローラへスリーブを動作可能に接続する複数の管腔が設けられている。更に、圧縮スリーブは、圧縮スリーブを患者の体の選択された部分に固定するためのフック状体及びそれに取り付けられるループ状体(面ファスナ)を含む。
【0007】
一実施の形態において、圧縮スリーブは、圧縮力(圧力)を患者の肢(例えば脚)に加えるためのスリーブを含む。スリーブは、複数の膨張可能部分(膨張可能チャンバ)を画成する第1シートおよび第2シートと、複数の膨張可能部分内に配置された少なくとも1つの空気通路形成部材と、を含む。第1シートおよび第2シートは、両シートの対応する周縁に沿って高周波(RF)溶着または他の好適な方法によって接合固定されることにより両シート間に複数の膨張可能部分を画成する。第2層はフック状体及びループ状体(面ファスナ)用の取り付け面を提供する。
【0008】
複数の膨張可能部分は、連続する圧力付与(加圧)サイクル中、圧縮力(圧力)を患者の脚の一部分へ加えるために加圧流体源からの加圧流体(例えば空気)を受け入れ且つ保持するように構成される。
【0009】
空気通路形成部材は、圧縮療法中、複数の膨張可能部分(膨張可能チャンバ)において加圧空気を流れやすくするための通路を形成するように構成され且つ適合される。加圧空気が各膨張可能部分へ導入されるときに、空気通路形成部材により第1シートと第2シートとの間に形成される通路は、各膨張可能部分の膨張特性を改善する。更に、空気通路形成部材は、圧縮スリーブの収縮中、加圧空気を流体源へ向けて導くことにより加圧空気を除去しやすくして加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0010】
本開示の圧縮スリーブの他の特徴は、本開示の圧縮スリーブを例として図示した添付図面と併せて考察することにより、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、同一または対応する要素に同様な符号を付した図面を参照しながら、本開示の圧縮スリーブの種々の実施形態を詳細に説明する。本開示の圧縮スリーブは、Toblerらの米国特許第5,626,556号およびDyeの同第5,795,312号に開示された圧縮スリーブと同様である。両特許に係る権利は、現在、Tyco Healthcare Group LPが有している。これらの米国特許の全体をここに引用して本明細書に組み込む。
【0012】
先ず図1を参照すると、本開示による圧縮スリーブが示されていて、その全体が圧縮スリーブ10として表わされている。圧縮スリーブ10は、患者の、肢(例えば脚等)の一部分に圧縮力(圧力)を加えるための装置において使用されるようになっている。圧縮スリーブ10は、横方向に延びる複数のシール(密閉する)線16と横方向のシール線16の両端部を接続する複数の縦方向に延びるシール線18とによって接続された、第1シート(外側シート)12及び第2シート(内側シート)14を含む。第1シート12および第2シート14は、人の肢へ載置されるために内部へガスを通さない(内部ガス不浸透性)シートとして適合される。シール線16、18は高周波(RF)溶着等により形成されていてもよい。更に、シール線16、18は、連続する圧力付与(加圧)サイクル中に患者の肢へ圧縮力を加えるために加圧流体(例えば空気等)を保持することができ且つ縦方向へ配置された複数の膨張可能部分(膨張可能チャンバ)20a、20b、20cを画成する。
【0013】
第1シート12は、例えば、厚さ5〜10ミル程度のポリ塩化ビニル(PVC)等の好適な可撓性ポリマー材料を含んでいてもよい。第2シート14は、着用者の快適性を高めるために肢の上へ載置される内側面に積層された不織布材料(例えばポリエステル等)を有する同様のポリマー材料(すなわち、5〜10ミルのPVC)を含むことが好ましい。各膨張可能部分20a、20b、20cは、少なくとも1つの波形境界22を含んでいてもよい。膨張可能部分20a、20b、20cが互いに隣接する場合、波形境界22は、図1に示したように、膨張不能な複数の「目」を画成する。
【0014】
更に、圧縮スリーブ10は、スリーブを患者の肢の周りに取り付けるための複数の面ファスナを含む。面ファスナは、第1シート12上に配置された一組の離間したループ材等のストリップ(細長状体)24a、24b、24cを含む。ストリップ24a、24b、24cは、膨張可能部分20a、20b、20cにおいて横方向に延在し、第2シート14上に配置された一組の離間したフック材26a、26b、26cと協働してスリーブ10を脚に解放可能に固定する。
【0015】
圧縮スリーブ10が患者の肢に取り付けられるとき、各膨張可能部分20a、20b、20cは、患者の肢の長手方向軸を実質的に横断する方向に配向させられる。すなわち、圧縮スリーブ10は脚を取り巻く。
【0016】
圧縮スリーブ10は、スリーブを用いて圧縮力(圧力)を肢に加える状態において、膝領域30となるだろうところを通って延在する細長い開口部28を含む。開口部28は、その周りに延在する周縁部32によって画成される。加えて、膝領域30は、細長い切欠部(開口部)31aおよび31bを有する。細長い切欠部(開口部)31aおよび31bは、その周りの側縁部33aおよび33bのそれぞれにより画成される。圧縮スリーブ10は、一組の管腔34a、34b、34cを備える。管腔34a、34b、34cは、加圧流体(例えば空気)源を有するコントローラ(不図示)へ管腔34a、34b、34cを操作(動作)可能に接続するためのコネクタ36を有する。
【0017】
引き続き図1を参照すると、圧縮スリーブ10は、更に、膨張可能部分20a、20b、20cのうちの少なくとも1つの内部に配置された複数の空気通路形成部材38を含む。空気通路形成部材38は、圧縮療法が施されているとき、少なくとも1つの膨張可能部分20a、20bまたは20cにおいて加圧空気を流れやすくするための通路を形成するようになっている。各空気通路形成部材38は、圧縮スリーブ10が収縮状態にある場合に、第1シート12と第2シート14とを分離することによって膨張可能部分20a、20bまたは20c内において加圧空気を流れやすくする。空気通路形成部材38は種々の図において直線構造として示されているが、膨張可能部分20a、20bまたは20c(図1参照)が画成する円弧に実質的に対応する円弧に従った形状であってもよい。空気通路形成部材38は押出PVCにより形成されていてもよい。各空気通路形成部材38が、例えば、Kendall社の製品カタログH−4693VT「血管療法製品(Vascular Therapy Products)」から入手可能な他の可撓性スリーブおよび足カフ(裾の位置における足)の形状に適合するように構成されていてもよいことが想定される。
【0018】
本開示によれば、使用時、圧縮スリーブ10は、患者の脚に圧縮力を加えるように構成される。圧縮スリーブ10は患者の脚の周りに配置される。この状態において、面ファスナのフック材26a、26b、26cは、面ファスナのループ材24a、24b、24cに係合するように構成される。圧縮スリーブ10を患者の脚の周りに載置するとともに、コネクタ36を介して圧縮スリーブ10を加圧流体源へ接続した後に、加圧空気を圧縮スリーブ10へ供給して、圧縮療法を始めるようにコントローラ(不図示)を駆動させてもよい。このようにして、コントローラは、周期的な圧縮サイクル中、膨張可能部分20a、20b、20cを順次に、間欠的に膨張させ、圧力勾配のプロファイル(形状)を定める。
【0019】
空気通路形成部材38は、各膨張可能部分において空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。加圧空気が各膨張可能部分20a、20b、20cへ導入される場合、第1シート12と第2シート14との間に位置する少なくとも1つの空気通路形成部材38により形成される通路は、各膨張可能部分の膨張特性を改善する。少なくとも1つの空気通路形成部材38を含まない器具においては、膨張可能部分20a、20bまたは20cが収縮する際に、第1シート12及び第2シート14がつぶされる(接触する)ことにより加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることがある。これらの孤立した塊は、膨張可能部分20a、20bまたは20cを通る加圧空気の流れの向きを無秩序に(ランダムに)変え及び/又はその流れを規制することによって加圧流体の除去を妨げる。
【0020】
空気通路形成部材38を膨張可能部分20a、20bまたは20c内へ配置することによって、各膨張可能部分20a、20bまたは20cにおいて加圧空気を流れやすくする通路が形成される。連続する膨張サイクル間の収縮は、当該技術分野において周知のように、膨張可能部分20a、20b、20c内の空気をコントローラまたは他の通気孔(不図示)へ戻すことによって生じる。空気通路形成部材38は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて効果的に導き、その結果、膨張可能部分20a、20bまたは20cにおける加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。更に、空気通路形成部材38は、加圧空気を管腔34a、34b、34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去速度を改善するとともに、圧縮スリーブ10の全体にわたって加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0021】
図2A〜2Cを参照すると、空気通路形成部材38の一実施の形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Aとして表されている。空気通路形成部材38Aは、ベース部材42から上方へ突出する複数の隆起部(リブ)40を含む。ベース部材42は、図2Cに示したように、膨張可能部分20a、20bまたは20cの、第2シート14または第1シート12に接着固定されている。リブ40は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの第1シート12または第2シート14と解放可能に接触している。複数のリブ40は、中央リブ40a、中間リブ40bおよび外側リブ40cを含み、いずれも以下詳細に検討する。
【0022】
特に図2Bを参照すると、リブ40の高さは、ベース部材42の外側縁部にて最小であるとともに、中央リブ40aがリブ40のうちの最大の高さを有するようにベース部材42の中央へ向けて漸次増大している。ベース部材の厚さは約19ミルから約39ミルである。一実施の形態においては、中央リブの高さは約65ミルから約85ミルであり、中間リブ40bの高さは約43ミルから約63ミルであり、外側リブの高さは約29ミルから約49ミルである。更に、中央リブの幅は約50ミルから約70ミルであり、中間リブ40bおよび外側リブ40cの幅は約40ミルから約60ミルである。従って、空気通路形成部材38は薄型であり、第1シート12および第2シート14と一体となって薄型圧縮スリーブ10を画成する。更に、隣接する中間リブ40bおよび外側リブ40cは、それらの間に溝部44を画成するように離間させられている。溝部44は、空気通路形成部材38Aの対向する両端部を流体的に結合し、膨張可能部分20a、20bまたは20c内の加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導くように構成される。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるとき、空気通路形成部材38A内のリブ40によって形成された通路は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、溝部44は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0023】
図3A、3B、3Cを参照すると、本開示による空気通路形成部材38の第2の実施形態が図示されていて、その全体が空気通路形成部材38Bとして表されている。図3Bにて最もよく示されるように、空気通路形成部材38Bは、ベース部材48から上方へ延在する複数のランダムに(無秩序に)配置されたピン(こぶ、隆起)46を含む。ベース部材48は、図3Cに示したように、膨張可能部分20a、20bまたは20cの第2シート14または第1シート12に固定されている。ピン46は、膨張可能部分20a、20b、20cのうちの少なくとも1つの膨張可能部分の第1シート12または第2シート14と解放可能に接触している。従って、空気通路形成部材38Bは、圧縮スリーブ10が収縮状態にあるときに、第1シート12と第2シート14とを効果的に分離する。複数のピン46により形成された通路は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、ピン46は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0024】
図4A〜4Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Cとして表されている。空気通路形成部材38Cは、膨張可能部分20a、20bまたは20cのうちの少なくとも1つの内部に配置された少なくとも1つの膨張可能な細長いシース(さや状部材)49を含む。少なくとも1つの細長いシース49は、図4Cに示したように、第2シート14または第1シート12に接着固定され、第1シート12または第2シート14と解放可能に接触している。代替となる実施形態においては、シースは、第2シート14または第1シート12の内側面へRF溶着されていてもよい。この特定の実施形態においては、空気通路形成部材38Cは、図4Cに示したように、外周の泡状通路(circumferential bubble passageway)を形成する。少なくとも1つの細長いシース49は、脚の荷重を受けてもつぶされない発泡材料により形成されていてもよい。これにより、第1シート12と第2シート14との間の分離が維持される。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるとき、空気通路形成部材38Cが形成する外周の泡状通路は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、少なくとも1つの細長いシース49は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。更に、脚を支えるスリーブの支持構造の剛性を高めるために第1シート12および第2シート14の外側面に細長いシース49を配置してもよい。または、肢をベッドの面から持ち上げておくための別体の脚支持体を設けてもよい。
【0025】
図5A、5B、5Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Dとして表されている。空気通路形成部材38Dは空気通路形成部材38Aと同様であって、構成および動作の相違を明確にするために必要な範囲において詳細に検討する。空気通路形成部材38Dは、ウェブ部(桁腹部)50と、ウェブ部50の両端に配置された2つのフランジ部52とを有する半剛体の「I」字型のビーム(梁)部材を含む。空気通路形成部材38Dは、第1シート12と第2シート14とを分離するために、図5Cに示したように、膨張可能部分20a、20bまたは20cのうちの少なくとも1つの内部に配置されるので、スリーブ10が患者の脚の重さによってつぶされることを防止する。更に、膨張可能部分20a、20bまたは20cの全体にわたって連通しやすくするために、複数の開口部54がウェブ部50上に配置される。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20bまたは20c内へ導入される場合に、ウェブ部50上に配置された複数の開口部54は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、空気通路形成部材38Dの半剛体の「I」字型のビーム部材は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0026】
図6A〜6Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Eとして表されている。空気通路形成部材38Eは空気通路形成部材38Aと同様であって、構成および動作の相違を明確にするために必要な範囲において詳細に検討する。空気通路形成部材38Eは、ベース部材58に取り付けられた複数の長手方向に延びる波形突起56を含む。波形突起56は、空気が通過する通路を形成する。波形突起56は、空気が膨張可能部分20a、20bまたは20cへ染み入ることを許容する。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるときに、波形突起56は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、波形突起は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0027】
図7A〜7Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Fとして表されている。空気通路形成部材38Fは空気通路形成部材38Aと同様であって、構成および動作の相違を明確にするために必要な範囲において詳細に検討する。空気通路形成部材38Fは、図7Bに示したように、長手方向に延びる中央の通路部(チャネル)62を有するベース部60を含む。この特定の実施形態においては、空気通路形成部材38Fは、通路部62が膨張可能部分20a、20bまたは20c内を通る通路を形成するように、膨張可能部分20a、20bまたは20c内に設置されている。ベース部60および通路部62は、膨張可能であってもよいし、又は、第1シート12および第2シート14上にRF溶着されていてもよい。また、ベース部60および通路部62は、剛性がより高い通路を形成するようにPVCのシートの層が追加されることにより補強されていてもよい。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるときに、長手方向に延びる中央の通路部62は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、長手方向に延びる通路部62は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ方向づけ、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0028】
また、図7Dに示したように、第1シート12および第2シート14は、RF溶着された状態においてスリーブを横断する直線状の空間64が形成されるように予め成形されていてもよい。この特定の実施形態においては、直線状の空間64は、加圧空気を管腔34a、34b、34cへ方向づけ、その結果、加圧空気の除去を改善するとともに加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0029】
図8A、8B、8Cを参照すると、空気通路形成部材38の他の実施形態が示されていて、その全体が空気通路形成部材38Gとして表されている。空気通路形成部材38Gは、空気通路形成部材38C(図4A、4B、4C)と同様であって、構成および動作の相違を明確にするために必要な範囲において詳細に検討する。空気通路形成部材38Gは、軸方向の開口部66(図8B)と、横断する複数の開口部68(図8A)と、を有する少なくとも1つの細長いシース(さや状部材)49Aを含む。軸方向の開口部66及び横断する開口部68は、圧縮スリーブ10の全長にわたって空気が分散することを許容する。少なくとも1つの細長いシース49Aは、図8Cに示したように、膨張可能部分20a、20bまたは20c内に配置され、且つ、第2シート14または第1シート12に接着固定されるとともに第1シート12または第2シート14と解放可能に接触している。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるときに、少なくとも1つの細長いシース49Aの軸方向の開口部66及び横断する開口部68は、膨張可能部分20a、20bまたは20cの膨張特性を改善する。収縮中、軸方向の開口部66は、加圧空気を管腔34a、34bまたは34cへ向けて導き、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。
【0030】
膨張可能部分20a、20b、20c内の加圧空気を流れやすくする他の方法が想定される。例えば、圧縮スリーブ10は、剛性が比較的高い支持構造を備えるために、図9に示したように、内部を支持部材72が移動する通路部(チャネル)70を含むように製造されていてもよい。これにより、脚の重さは、支持部材72によって堅固に支持される。また、シール線16(図1)は、空気の通過を促進するように第1シート12および第2シート14に沿って合理的に配置されていてもよい。更に、膨張可能部分20a、20b、20cの全体にわたる加圧空気の流れを許容する範囲において、構造上の剛性を高めるために膨張可能部分20a、20b、20cにスチレンからなる発泡ペレット(球粒)を充填してもよい。更に、複数の位置から加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ供給されるように、複数のコネクタ36を圧縮スリーブの全体にわたる任意の位置に合理的に設置してもよい。同様に、複数のコネクタ36を、空気の孤立した塊を最少にしながらチャンバを収縮させるように作動させてもよい。加えて、破裂に対する強度を高めるためにスリーブの材料の強度を高くしてもよい。この結果、スリーブの圧力及び容積をより大きくできるので、大きい肢を持ち上げることができる。例えば、膨張可能部分20a、20b、20cが大きい肢の重さによってつぶされることを防止するために、第1シート12および第2シート14を堅固な(剛性が高い)材料(剛体材料)により形成してもよい。更に、圧縮スリーブ10の製造時に、第1シート12および第2シート14の表面に沿って複数の通路がエンボス加工により形成(エンボス成形)されていてもよい。
【0031】
図10Aおよび10Bを参照すると、第1シート12および第2シート14は、スリーブの表面構造(テクスチャ)が空気の流れを改善する設計及び形状を含んでいる。例えば、図10Aおよび10Bに示したように、第1シート12および第2シート14の内側面上に特定の表面構造を設けてもよく、その結果、第1シート12および第2シート14が完全にはつぶされない(全面にわたって接触しない)ので加圧空気を通過しやすくすることができる。表面構造は積層されていてもよく、あるいは、表面構造は第1シート12および第2シート14の一部に形成されていてもよい。使用時、加圧空気が膨張可能部分20a、20b、20cへ導入されるときに、第1シート12および第2シート14の内側面上の表面構造は、膨張可能部分20a、20b、20cの膨張特性を改善する。収縮中、第1シート12および第2シート14の内側面上の表面構造は、加圧空気を管腔34a、34b、34cへ向けて導くことを促進し、その結果、加圧空気の除去を効果的に改善するとともに、加圧空気の孤立した塊が無秩序に形成されることを抑制する。当該技術に精通した者は、空気以外の流体を本発明の範囲から逸脱することなく使用できることが分かるであろう。
【0032】
形態および細部における多くの改変および変更が本開示の実施形態に対してなされ得ることは言うまでもない。例えば、具体的に開示した以外に、多くの他の通路形成部材の構成を使用することができ、スリーブおよび/または通路形成部材の材料を多くの材料から選択できることが考えられる。従って、上記の説明は、種々の実施形態を限定するものとして解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本開示による圧縮スリーブの平面図である。
【図2A】図2Aは、本開示による第1実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図2B】図2Bは、本開示による第1実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図2C】図2Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図2Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図3A】図3Aは、本開示による第2実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図3B】図3Bは、本開示による第2実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図3C】図3Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図3Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図4A】図4Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図4B】図4Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図4C】図4Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図4Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図5A】図5Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図5B】図5Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図5C】図5Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図5Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図6A】図6Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図6B】図6Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図6C】図6Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図6Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図7A】図7Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図7B】図7Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図7C】図7Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図7Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図7D】図7Dは、スリーブを横断する直線状の空間を示す圧縮スリーブの正面図である。
【図8A】図8Aは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図8B】図8Bは、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の断面図である。
【図8C】図8Cは、図1の2−2線に沿って切断した断面図であり、圧縮スリーブの膨張可能部分内に配置された図8Aの空気通路形成部材を示す図である。
【図9】図9は、本開示による他の実施形態に係る空気通路形成部材の平面図である。
【図10A】図10Aは、本開示による第1シートおよび第2シートの内面の構造を示す圧縮スリーブの他の実施形態の断面図である。
【図10B】図10Bは、本開示による第1シートおよび第2シートの内面の構造を示す圧縮スリーブの他の実施形態の断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シートと、
前記第1シートに取り付けられ且つ少なくとも1つの膨張可能な部分を画成する第2シートと、
前記膨張可能な部分の少なくとも1つに配置された少なくとも1つの通路形成部材と、
を備える圧縮スリーブ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮スリーブであって、更に、
加圧された流体源へ管腔を接続するためのコネクタと、
前記スリーブを患者の身体の一部の周りに固定する面ファスナ要素を含む複数のファスナと、
を備える圧縮スリーブ。
【請求項3】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、前記第1シート及び前記第2シートの一方に固定される圧縮スリーブ。
【請求項4】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ベース部材と、前記ベース部材の第1面に設けられた複数の隆起部と、を含む圧縮スリーブ。
【請求項5】
請求項4に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記複数の隆起部材の高さは、前記ベース部材の外側端部にて最小となるとともに同ベース部材の中央部にて最大となる圧縮スリーブ。
【請求項6】
請求項4に記載の圧縮スリーブにおいて、
隣接した隆起部材は、その間に溝部を画成するように離間されている圧縮スリーブ。
【請求項7】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ポリ塩化ビニルからなる圧縮スリーブ。
【請求項8】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ベース部材と、前記ベース部材の第1面に設けられた複数のピンと、
を含む圧縮スリーブ。
【請求項9】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、膨張可能な細長いさや状部材を含む圧縮スリーブ。
【請求項10】
請求項9に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記細長いさや状部材は、半剛体の発泡材料からなる圧縮スリーブ。
【請求項11】
請求項9に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記細長いさや状部材は、同細長いさや状部材を横断するように配置された複数の開口部を含む圧縮スリーブ。
【請求項12】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ウェブ部と、前記ウェブ部の両端に配置された2つのフランジ部と、を有するビーム部材を含む圧縮スリーブ。
【請求項13】
請求項12に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記ウェブ部は、複数の開口部を含む圧縮スリーブ。
【請求項14】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、長手方向に延びる中央の通路部を画成するベース部材を含む圧縮スリーブ。
【請求項15】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、複数の長手方向に延びる波形突起を含む圧縮スリーブ。
【請求項16】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、複数の長手方向に延びる管を含む圧縮スリーブ。
【請求項17】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、前記複数の膨張可能な部分内に配置されたスチレンからなる複数の発泡ペレットを含む圧縮スリーブ。
【請求項18】
請求項5に記載の圧縮スリーブにおいて、
中央リブの高さは、薄型の圧縮スリーブを画成するように70ミルと80ミルとの間に設定される圧縮スリーブ。
【請求項19】
患者の身体の一部に圧力を加えるための方法であって、
第1シートと、前記第1シートに取り付けられ且つ少なくとも1つの膨張可能な部分を画成する第2シートと、前記少なくとも1つの膨張可能な部分に配置された少なくとも1つの通路形成部材と、を含むスリーブを前記患者の身体の前記一部に取り付けるステップと、
前記複数の膨張可能な部分に取り付けられた管腔を加圧された流体源へ接続するステップと、
前記少なくとも1つの通路形成部材が前記加圧された流体を流れやすくするための通路を形成しながら前記スリーブを所定の圧力まで膨張させるステップと、
前記少なくとも1つの通路形成部材の一部分が加圧された流体を前記管腔へ向けて導きながら前記スリーブを収縮させるステップと、
を含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、肢の長手方向軸を実質的に横断する方向に配向された方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、
前記スリーブは、更に、前記スリーブを患者の身体の周りに固定する面ファスナ要素を含む複数のファスナを備える方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法において、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、前記第1シート及び前記第2シートの一方に固定された方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法において、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ベース部材と、前記ベース部材の第1面に設けられた複数の隆起部材と、を含む方法。
【請求項24】
請求項19に記載の方法において、
前記スリーブがポリ塩化ビニルからなる方法。
【請求項1】
第1シートと、
前記第1シートに取り付けられ且つ少なくとも1つの膨張可能な部分を画成する第2シートと、
前記膨張可能な部分の少なくとも1つに配置された少なくとも1つの通路形成部材と、
を備える圧縮スリーブ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮スリーブであって、更に、
加圧された流体源へ管腔を接続するためのコネクタと、
前記スリーブを患者の身体の一部の周りに固定する面ファスナ要素を含む複数のファスナと、
を備える圧縮スリーブ。
【請求項3】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、前記第1シート及び前記第2シートの一方に固定される圧縮スリーブ。
【請求項4】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ベース部材と、前記ベース部材の第1面に設けられた複数の隆起部と、を含む圧縮スリーブ。
【請求項5】
請求項4に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記複数の隆起部材の高さは、前記ベース部材の外側端部にて最小となるとともに同ベース部材の中央部にて最大となる圧縮スリーブ。
【請求項6】
請求項4に記載の圧縮スリーブにおいて、
隣接した隆起部材は、その間に溝部を画成するように離間されている圧縮スリーブ。
【請求項7】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ポリ塩化ビニルからなる圧縮スリーブ。
【請求項8】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ベース部材と、前記ベース部材の第1面に設けられた複数のピンと、
を含む圧縮スリーブ。
【請求項9】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、膨張可能な細長いさや状部材を含む圧縮スリーブ。
【請求項10】
請求項9に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記細長いさや状部材は、半剛体の発泡材料からなる圧縮スリーブ。
【請求項11】
請求項9に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記細長いさや状部材は、同細長いさや状部材を横断するように配置された複数の開口部を含む圧縮スリーブ。
【請求項12】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ウェブ部と、前記ウェブ部の両端に配置された2つのフランジ部と、を有するビーム部材を含む圧縮スリーブ。
【請求項13】
請求項12に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記ウェブ部は、複数の開口部を含む圧縮スリーブ。
【請求項14】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、長手方向に延びる中央の通路部を画成するベース部材を含む圧縮スリーブ。
【請求項15】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、複数の長手方向に延びる波形突起を含む圧縮スリーブ。
【請求項16】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、複数の長手方向に延びる管を含む圧縮スリーブ。
【請求項17】
請求項1に記載の圧縮スリーブにおいて、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、前記複数の膨張可能な部分内に配置されたスチレンからなる複数の発泡ペレットを含む圧縮スリーブ。
【請求項18】
請求項5に記載の圧縮スリーブにおいて、
中央リブの高さは、薄型の圧縮スリーブを画成するように70ミルと80ミルとの間に設定される圧縮スリーブ。
【請求項19】
患者の身体の一部に圧力を加えるための方法であって、
第1シートと、前記第1シートに取り付けられ且つ少なくとも1つの膨張可能な部分を画成する第2シートと、前記少なくとも1つの膨張可能な部分に配置された少なくとも1つの通路形成部材と、を含むスリーブを前記患者の身体の前記一部に取り付けるステップと、
前記複数の膨張可能な部分に取り付けられた管腔を加圧された流体源へ接続するステップと、
前記少なくとも1つの通路形成部材が前記加圧された流体を流れやすくするための通路を形成しながら前記スリーブを所定の圧力まで膨張させるステップと、
前記少なくとも1つの通路形成部材の一部分が加圧された流体を前記管腔へ向けて導きながら前記スリーブを収縮させるステップと、
を含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、肢の長手方向軸を実質的に横断する方向に配向された方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、
前記スリーブは、更に、前記スリーブを患者の身体の周りに固定する面ファスナ要素を含む複数のファスナを備える方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法において、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、前記第1シート及び前記第2シートの一方に固定された方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法において、
前記少なくとも1つの通路形成部材は、ベース部材と、前記ベース部材の第1面に設けられた複数の隆起部材と、を含む方法。
【請求項24】
請求項19に記載の方法において、
前記スリーブがポリ塩化ビニルからなる方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公開番号】特開2007−175490(P2007−175490A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−334471(P2006−334471)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(501100342)タイコ・ヘルスケアー・グループ・エルピー (20)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Healthcare Group LP
【住所又は居所原語表記】15 Hampshire Street,Mansfield,Massachusetts 02048,United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334471(P2006−334471)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(501100342)タイコ・ヘルスケアー・グループ・エルピー (20)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Healthcare Group LP
【住所又は居所原語表記】15 Hampshire Street,Mansfield,Massachusetts 02048,United States of America
【Fターム(参考)】
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