空港向け航空管制システム
【課題】 空港の管制業務に負担をかけることなくヒューマンエラーを防止できるようにする。
【解決手段】空港面の航空機の位置を検知し、管制官の音声による航空機への移動指示を解析する。そして、検知した航空機の現在位置と、解析した音声による移動指示から算出した誘導経路を同時に表示する。これにより、管制官が無線による音声通話でパイロットに対して行う移動経路の指示自体を、指示入力手段の入力とすることができるため、管制業務に負担をかけることなくヒューマンエラーを防止できる。
【解決手段】空港面の航空機の位置を検知し、管制官の音声による航空機への移動指示を解析する。そして、検知した航空機の現在位置と、解析した音声による移動指示から算出した誘導経路を同時に表示する。これにより、管制官が無線による音声通話でパイロットに対して行う移動経路の指示自体を、指示入力手段の入力とすることができるため、管制業務に負担をかけることなくヒューマンエラーを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港面における航空機または移動体(車両など)の経路指示を行う管制業務の負担を軽減すべく走行誘導支援を行う空港向け航空管制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港面(飛行場内の地上)を移動する航空機と車両は、管制官との無線による音声通話で移動経路や指示が与えられて空港面を移動する。管制官は刻々と変化する複数の航空機や車両の位置を目視監視し、移動許可、経路指定、及び待機などの指示を与えている。この管制官の業務は、非常に負担のかかる業務である。
【0003】
また、近年の航空交通の急激な量的変化に伴い、管制業務の負担が増大している。空港面をタキシング(地上走行)する航空機の誘導の例としては、着陸機(到着機)の場合は、滑走路からスポット(駐機場)までの幾通りかある移動経路の中からどの経路で航空機をタキシングさせるかを決定し、無線による音声通話でパイロットへ指示を与え誘導する。また、出発機の場合は、スポットからのプッシュバック(牽引車により航空機を後退もしくは旋回させる)指示の後、プッシュバック位置から滑走路の進入位置までの移動経路を無線による音声通話でパイロットへ指示を与え誘導する。上述した到着機及び出発機への誘導は、数回の通話により行われるが、この誘導の指示の中には、指定位置での一時待機、待機位置からの移動許可などの指示も含まれる。
【0004】
管制業務を支援する公知例として特許文献1、2に示されているものが知られている。
特許文献1に記載の技術は、空港内を走行する移動体の位置を検出し、管制対象移動体の速度に対する他の移動体の速度と挙動から対象移動体の走行可能区間を予測し、管制官に指示すべき経路を提供するものである。
また、特許文献2に記載の技術は、飛行場内における航空機の移動元及び移動先の情報を入力し、移動元と移動先の間の経路を自動的に決定するものである。そして、このようにして決定された経路に存在する誘導路灯を、管制官の介在なしに点灯させることでパイロットへ進行すべき経路を指示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−197600号公報
【特許文献2】特開2000−043800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、管制官がパイロットへ指示すべき経路の提供を行うことはできるが、その際の人為的なミス(ヒューマンエラー)による経路指示があった場合までは、考慮されていない。また、特許文献2に記載の技術も、航空機の移動元及び移動先の間の経路にある誘導路灯を点灯するだけで、上記ヒューマンエラーまでは考えていない。
【0007】
本発明は、空港の航空機に対して、安全に誘導を行うことを目的とするものであり、管制官が航空機に対して経路指示の誘導を行う際のヒューマンエラー防止を支援する空港向け航空管制システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の空港向け航空管制システムは、空港面上の滑走路、誘導路及びスポット位置など管制の表示に必要となる形状データを格納する空港面情報格納手段と、空港面に存在する航空機や車両を含む移動体を検出して現在位置を解析する移動体位置解析手段と、移動体位置解析手段で解析した移動体の位置を、画面上にシンボルで表示する表示手段と、表示手段でシンボル表示した移動体の選択を行う操作入力手段と、を備えている。
【0009】
また、管制官の発話を入力する音声入力手段と、この音声入力手段から入力した発話を解析して、移動体を識別するとともに、この識別した移動体への誘導指示を抽出する音声解析手段と、移動体位置解析手段において解析した移動体の現在位置と、音声解析手段において抽出した移動体への誘導指示を入力とし、移動体の誘導経路を計算する誘導経路計算手段と、を備えている。ここで、航空機の位置を検知する航空機等の移動体を検知するセンサには、特開平09−288175号公報で示す空港面探知レーダ装置(Airport Surface Detection Equipment:以下「ASDE」という。)が用いられる。
【0010】
また、本発明の好ましい形態としては、更に、指示入力手段から音声入力した移動指示を復唱する発話復唱手段を備える。これにより、視覚による指示経路の確認を行うことができる他、聴覚によっても指示経路の確認を行うことが可能となる。
【0011】
更に、本発明の好ましい形態としては、音声解析手段による誘導指示を解析する誘導指示解析手段と、移動体毎の誘導指示の状態を格納する移動体情報格納手段と、移動体に対して音声入力する誘導指示を行うための誘導パターンを格納する誘導パターン情報格納手段を、備えることを特徴としている。また、上述した表示手段は、移動体位置解析手段で解析した移動体の現在位置と、音声解析手段によって抽出した音声による移動指示から算出した誘導経路を、同時に表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、管制官が無線による音声通話でパイロットに対して行う移動経路の指示自体を、指示入力手段の入力とすることができるため、管制業務に負担をかけることなくヒューマンエラーを防止できるという作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態例における、空港向け航空管制システムの全体構成を示すシステムブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態例における空港面情報の経路形状を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態例における空港面情報の滑走路区域とスポット区域の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態例における空港面情報を、ノードを視点として描いた説明図である。
【図5】本発明の一実施形態例における空港面情報を、エッジを視点として描いた説明図である。
【図6】本発明の一実施形態例における移動体情報DB2に格納される移動体情報データを示した図である。
【図7】本発明の一実施形態例における航空機の状態を複数のパターンに分けて示した図である。
【図8】本発明の一実施形態例における、移動体入力部から入力されるセンサ検知移動体情報の例を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態例における、誘導経路計算部が算出する誘導経路ルート表の一例を示した図である。
【図10】本発明の一実施形態例における、出発機を誘導するための文型パターン辞書データの一例を示した図である。
【図11】本発明の一実施形態例における、到着機を誘導するための文型パターン辞書データの一例を示した図である。
【図12】本発明の一実施形態例において用いられる、記号<C/S>の候補の例である。
【図13】本発明の一実施形態例において用いられる、記号<rwy-n>の候補の例である。
【図14】本発明の一実施形態例において用いられる、記号<way-n>の候補の例である。
【図15】本発明の一実施形態例において用いられる、記号<spot-n>の候補の例である。
【図16】本発明の一実施形態例における出発機に対する誘導パターンの遷移図である。
【図17】本発明の一実施形態例における到着機に対する誘導パターンの遷移図である。
【図18】本発明の一実施形態例における誘導経路計算パラメータの例である。
【図19】本発明の一実施形態例における、移動体入力部及び移動体位置解析部の処理を説明するフローチャートである。
【図20】本発明の一実施形態例における、移動体入力部及び移動体位置解析部の処理のうち、新規に移動体データを登録する処理について説明するフローチャートである。
【図21】本発明の一実施形態例において、音声解析部における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図22】本発明の一実施形態例における管制官の発話の例である。
【図23】本発明の一実施形態例における、誘導経路計算部及び入出力制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の一実施形態例における、管制官の誘導指示の処理を説明するためのフローチャートである。
【図25】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(始めて出発機を検知した場合)である。
【図26】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(第1の音声指示処理(図24のS31)後)である。
【図27】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(到着機を始めて検知した場合)である。
【図28】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(第2、第3の音声指示(図24のS32、S33)後)である。
【図29】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(第4、第5の音声指示(図24のS34、S35)後)である。
【図30】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(第6の音声指示(図24のS36)後)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態例(以下、「本例」ということもある。)について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の空港向け航空管制システムの一実施形態例を示したものである。図1に示すように、本例の空港向け航空管制システムでは、空港面情報DB(データベース)1と、移動体情報DB2と、経路情報DB3と、マンマシン情報DB4を備えている。また、本例のシステムは、音声入力部5と、操作入力部6と、移動体入力部7を有し、更に移動体位置解析部8と、入出力制御部9と、誘導経路計算部10とを備えている。また、本例のシステムは、単語辞書データ11aと文型パターン辞書データ11bが蓄積された辞書11と、音声認識部12と、誘導パターン情報格納部13と、誘導指示解析部14と、音声解析部15と、発話復唱部16を備え、更に音声出力部17と表示部18とを備えている。
【0015】
空港面情報DB1は、当該空港の滑走路、誘導路及びスポット(駐機場)等の管制に必要な経路形状情報が予め格納されているデータベースである。この経路形状情報は、直線や円弧の幾何学情報を組み合わせた情報である。図2は、本例のシステムにおける空港面情報DB1に格納されている経路形状情報の例を示している。この空港面情報DB1に格納される経路形状情報は、図3〜図5に示すように、航空機の移動経路網をノードとエッジのグラフでモデル化したデータ構造を持っている。
【0016】
図3は、本例のシステムにおける空港面情報の中の滑走路区域101とスポット区域102の位置関係について示した図である。図4は、図3の中のノードにスポットを当てて示した図であり、N1〜N21、SPOT1〜SPOT3がノードを示している。図5は、図3の中のエッジだけを取り出して示した図であり、E1〜E26がエッジ名称を示している。後述するように、これらのノード名称とエッジ名称が航空機の誘導に利用されることになる。更に、空港面情報DB1には、滑走路の区域を識別する情報とスポット(駐機場)の区域を識別する情報も予め格納されている。
【0017】
移動体情報DB2は、当該空港内に存在する航空機や車両等、全ての移動体の位置と各移動体を識別する識別データ及び移動中、待機中などの動態データを含む移動体に関連する情報が格納されるデータベースである。
【0018】
図6は、本例の移動体情報DB2に格納される移動体情報データテーブル210を示した図である。この移動体情報データテーブル210は、空港内に存在する全ての移動体(ここでは1〜n個の移動体を対象とする)について、図に示すような識別ID211から移動先エッジ名称220までのデータを記録したものである。識別ID211は、航空機を一意に識別可能とするIDである。この航空機を一意に識別可能とするIDとしては、航空機ごとに付与されるモードSアドレスを用いても良い。コールサイン212は、管制官と航空機パイロット間の通信で用いる呼び出し名称である。X座標213とY座標214は、後述する移動体入力部7を介して入力される、空港内に設置された航空機位置検出センサが検出した座標である。
【0019】
また、検出時刻215は、センサが移動体座標を検出した時刻である。航空機種別216には、当該移動体が「出発機」か「到着機」か「それ以外」かの情報が設定される。動態状態217には、当該航空機の状態が設定されている。ここで航空機の状態としては、図7にしめされるように、「新規指示待ち」221、「プッシュバック中」222、「プッシュバック完了、指示待ち」223、「滑走路上を移動中」224「誘導路を移動中」225、「指定位置で停止中、指示待ち」226の6つの状態のいずれか1つが設定される。
【0020】
「新規指示待ち」221は、新しくセンサにより検出した移動体であることを意味する。すなわち、管制官が何も移動指示を行っていない移動体に対して設定されるものである。「プッシュバック中」222は、管制官が出発機に対しプッシュバックの指示を行った後に、プッシュバック中の移動体であることを示している。「プッシュバック完了、指示待ち」223は、管制官が出発機に対しプッシュバックの指示を行い、プッシュバックが完了した移動体である。「滑走路上を移動中」224は、管制官が到着機に対し、移動先を指示した後に、滑走路上を移動中の移動体であることを示している。「誘導路を移動中」225は、管制官が、出発機に対し「プッシュバック完了、指示待ち」223の指示を行った後に、滑走路へ向かう指示を行った移動体か、若しくは、「滑走路上を移動中」224の到着機に対し、移動先のスポットまたは、タクシーを指示した後の移動体について設定される。
【0021】
「指定位置で停止中、指示待ち」226は、管制官が出発機に対して滑走路へ向かう途中の誘導路停止指示をした後、指示された停止位置へ到達した移動体について設定される。または、到着機に対してスポットに向かう途中の誘導路で停止指示した後、指示された停止位置へ到達した移動体について設定される。
【0022】
また、図6に示される誘導指示ID218には、後述の音声認識部12が出力する文型パターンIDが設定されている。この文型パターンIDは、管制方式基準に基づき各空港の管制官が当該移動体へ指示するパターンを用いる。
図6に示される、移動元エッジ名称219及び移動先エッジ名称220には、後述する誘導指示解析部14(図1参照)が出力する移動体の誘導経路を計算する時の開始エッジとなるエッジ名称(移動元)と終了エッジとなるエッジ名称(移動先)が設定される。
【0023】
以上、図6に示した移動体データ210の内容について説明したが、再び図1に戻って本例の空港向けシステムについて説明する。
経路情報DB3には、管制官が音声入力部5を用いて当該空港内の航空機や車両等へ指示した誘導経路を、表示部18に表示するためのデータが記録されている。そして、この経路情報データに基づいて、空港面情報DB1で定義されたエッジ名称が移動体毎に誘導経路順に格納される。
なお、マンマシン情報DB4には、後述する操作入力部6から入力されるメニューの選択状態やシンボルの選択状態を管理するためのマンマシン操作の一時的情報が格納されている。
【0024】
音声入力部5は、管制官が空港内航空機や車輌と無線により音声通話を行うための音声入力手段であり、マイクロフォーンで構成されている。音声入力部5から入力された音声は音声解析部15に送られる。
操作入力部6は、表示部18に表示するマンマシン画面上に配置するメニューの選択、文字の入力操作及び航空機シンボルなどの選択を行うための操作入力手段であり、キーボードとマウスで構成される。この操作入力部6から入力された操作指示は、入出力制御部9へ出力される。
【0025】
移動体入力部7は、空港に設置されたセンサにより検知した航空機や車輌の移動体位置情報、つまりセンサ検知移動体情報を入力する手段である。図8は、移動体入力部7から入力されるセンサ検知移動体情報200の例を示したものである。センサ検知移動体情報200は、移動体座標情報と移動体属性情報を含む。移動体座標情報としては、センサが定義する空港面の2次元座標系におけるX座標203とY座標204の情報よりなる。また、移動体属性情報は、移動体毎に固有の識別ID201と航空機毎に一意に付与されるコールサイン202とセンサが移動体を検出した検出時刻205で構成されている。
【0026】
再び、図1に戻って説明する。図8に示されるようなセンサ検知移動体情報200が、移動体位置解析部8へ入力され、この移動体位置解析部8において解析される。そして、移動体位置解析部8は、解析したセンサ検知移動体情報200を、移動体情報DB2へ登録し、あるいはその更新又は削除を行う。このような制御は全て入出力制御部9によって行われる。
【0027】
また、入出力制御部9は、操作入力部6から入力される管制官のマンマシン操作を判別して、表示部18へ出力する表示データを更新する。この表示データの更新は、空港面情報DB1と移動体情報DB2と経路情報DB3を参照して行われる。
更に、入出力制御部9は、空港面情報DB1と移動体情報DB2と経路情報DB3を参照して、センサ検知移動体情報200を誘導経路計算部10へ出力し、誘導経路計算部10で計算した航空機や車輌の誘導経路情報を経路情報DB3へ格納する。この誘導経路情報は表示部18に表示される。また、移動体位置解析部8は、移動体入力部7から入力されたセンサ検知移動体情報200を移動体情報DB2へ格納すると共に、表示部18へ出力する移動体シンボルを更新する。
【0028】
また、誘導経路計算部10は、経路を指示する当該航空機及び車輌の現在位置と目的位置を入力し、空港面情報DB1を参照して現在位置から目的位置までの最適な経路を計算する。そして、この算出した最適な経路を入出力制御部9へ出力する。なお、誘導経路計算部10における計算方法については、詳しく説明していないが、この誘導経路計算部10の誘導経路の計算については、例えば、特開2003−30800号公報に記載されている方法を用いることができる。すなわち、特開2003−30800号公報に記載の方法は、航空機の現在位置と目的位置間の誘導経路を、最小コスト経路行列を用いて算出する方法である。
【0029】
図9は、誘導経路計算部10が算出する誘導経路ルート表701の一例を示したものである。図9に示すとおり、入出力制御部9より入力された移動元エッジ名称702と移動先エッジ名称703から、算出した誘導経路704がエッジ名称(E)で示されている。このエッジ名称(E)が図5のE1〜E26のエッジに対応するものである。
【0030】
図1に戻って説明すると、辞書11には、単語辞書データ11aと文型パターン辞書データ11bとが格納されている。ここで、文型パターン辞書データ11bは、管制官が航空機や車輌を誘導するために使用する管制用語を文型パターンで分類したデータのことである。
【0031】
図10は、出発機を誘導するための文型パターン辞書データ11bの一例を示したものであり、図11は、到着機を誘導するための文型パターン辞書データ11bの一例を示したものである。
ここでは、図11を例にとって説明する。図11の行325〜338が文型パターンの例を示している。記号<C/S>は、複数あるコールサイン(呼出し名称)候補のいずれかが指示されることを表している。記号<rwy−n>は、複数のランウェイ(滑走路と方向)候補の中のいずれかが指示されることを示し、記号<way−n>は、複数のタクシー(誘導路)候補の中のいずれかが指示されることを示している。また、記号<spot−n>は、複数のスポット(駐機場)候補の中のいずれかが指示されることを示している。
【0032】
また、図11の1列目319は文型パターンIDを示し、2列目320〜6列目324は、文型パターンを構成するフレーズを示す。文型パターン325の例(<C/S> cleared to land <rwy−n>)は、第1フレーズが記号<C/S>、第2フレーズが“cleared to land”、第3フレーズが記号<rwy−n>から成る文型パターンであることを示している。
【0033】
図12から図15は、本例で用いる記号<C/S>、記号<rwy−n>、記号<way−n>、記号<spot−n>の候補を示した図である。つまり、記号<C/S>としては、ANA798とかJAL365のような各航空機の便名を示し(図12参照)、記号<rwy−n>は、RWY09やRWY27のような滑走路を示している(図13参照)。また、記号<way−n>は、B1〜B4、C1〜C3のような複数のタクシー(誘導路)を示し(図14参照)、記号<spot−n>は、SPOT1〜3のような駐機場を示している(図15参照)。このような航空機、滑走路、誘導路、駐機場の候補が、単語辞書データ11aに予め登録されることになる。図10に示した出発機に対する文型パターンも同様に説明することができるので、ここでは説明を省略する。
【0034】
再び図1に戻って説明すると、図1に示す音声認識部12は、音声入力部5から入力された管制官の音声通話から、辞書11を用いて文型パターンIDと文型を構成するフレーズ群を出力する。そして、フレーズ群の中に含まれる空港面上の誘導経路要素を判定し、誘導経路計算部10において経路計算するための移動元エッジ名称219と移動先エッジ名称220(図6参照)を出力する。本例では、音声認識部12の詳細に関しては説明していないが、例えば、特開2000−181485号公報に記載されるようなグラマー手法により、認識させたい語を予め定義して認識させる方式などが用いられる。
また、図1の誘導パターン情報格納部13には、現在の移動体の状態と移動体を誘導するために管制官が音声指示する発話の文型パターンの遷移を定義した情報を格納する。
【0035】
図16は、本例の空港向け航空管制システムにおける出発機の誘導パターンの遷移を示した図である。また、図17は、同じく到着機の誘導パターンの遷移を示した図である。
記号A〜M(401a〜401m)は、現在の移動体の状態遷移IDを示しており、それぞれの記号A〜Mに用いられている番号319は、図10及び図11の1列目319に対応している。この番号319は、辞書11の文型パターン辞書データ11bの文型パターンIDを示している。
【0036】
次に、図16に基づいて、出発機の状態遷移(記号A〜G)と誘導パターンの関係を説明する。「START(出発機)」は、出発機の初期状態を示している。すなわち、出発機は、スポット区域102(図3参照)のSPOT1〜SPOT3に位置する状態にあり、管制官からの新規指示待ち221(図7参照)の状態である。
状態遷移ID(A:文字パターン1、2)は、管制官が出発機に対して、向かうべき滑走路を指示してプッシュバックを許可する誘導パターンを示す。
状態遷移ID(B:文字パターン3)は、管制官が出発機に対して、向かうべき滑走路を指示してロングプッシュバックを許可する誘導パターンを示している。
状態遷移ID(C:文字パターン4)は、管制官が出発機に対して、向かうべき誘導路を指示して移動を許可する誘導パターンを示している。
状態遷移ID(D:文字パターン5〜9)は、管制官が出発機に対して、向かうべき滑走路を指示して滑走路に到着した後、管制官に連絡するように誘導するパターンを示している。
【0037】
状態遷移ID(E:文字パターン10〜12)は、管制官が出発機に対して、指示位置で待機するように誘導するパターンを示している。
状態遷移ID(F:文字パターン13〜16)は、管制官が既に移動先を指示した出発機に対して、移動許可を与えると共に、指示地点に到着したら停止するように誘導するパターンを示している。
状態遷移ID(G:文字パターン17、18)は、管制官が出発機に対して、離陸許可を指示するパターンを示している。
複数の文字パターンを含む状態遷移IDは、出発機に対する誘導パターンが複数種類あることを示している。また、状態遷移ID(A)から(G)に至る矢印は、出発機が離陸許可されるまでに様々な状態遷移IDの誘導パターンを経由していることを示している。
【0038】
次に、図17に基づいて、到着機の状態変移(記号H〜M)と誘導パターンの関係を説明する。
「START(到着機)」は、到着機の初期状態を示している。すなわち、到着機は、滑走路区域101(図3参照)にあり、管制官からの新規指示待ち221(図7参照)の状態である。
状態遷移ID(H:文字パターン19、20)は、管制官が到着機に対して、着陸を許可する誘導パターンを示している。
状態遷移ID(I:文字パターン21〜24)は、管制官が到着機に対して、滑走路から離脱する誘導路を指示する誘導パターンを示す。更に、文字パターン21、22、24は、滑走路を離脱した後、管制官に連絡するように誘導するパターンを示している。
状態遷移ID(J:文字パターン25、26)は、管制官が到着機に対して、向かうべき誘導路を指示して移動を許可する誘導パターンを示している。
【0039】
状態遷移ID(K:文字パターン30〜32)は、管制官が到着機に対して、向かうべきスポットを指示して移動を許可する誘導パターンを示している。
状態遷移ID(L:文字パターン27)は、管制官が到着機に対して、指示位置で待機するように誘導するパターンを示している。
状態遷移ID(M:文字パターン28、29)は、管制官が到着機に対して、横切る誘導路を指示すると共に、向かう位置を指示する誘導パターンを示している。
複数の文字パターンを含む状態遷移IDは、到着機に対する誘導パターンが複数種類あることを示している。また、状態遷移ID(H)から(M)に至る矢印は、到着機が状態遷移ID(K)または(M)で向かうべきスポットの指示を受けるまでに、管制官から複数回の誘導指示を受けることを示している。
【0040】
再び図1に戻って説明すると、まず、音声解析部15において、音声認識部12からの出力である文型パターンIDとフレーズを入力とし、文型パターンの第1フレーズであるコールサインを求め、続いて移動体情報DB2を参照して当該移動体の現在の状態遷移ID(A)から(M)を求める。そして、現在の状態遷移IDにおいて、文型パターンIDが遷移するルートを判定し、遷移するルートがある場合は、遷移先ルートの状態変移IDを出力する。
【0041】
また、図1に示す誘導指示解析部14は、音声認識部12で抽出した文型パターンIDとフレーズを、誘導パターン情報格納部13に記憶されている文型パターンID及びフレーズと照合し、誘導経路計算パラメータを算出する。そして、誘導指示解析部14は、算出した誘導経路計算パラメータを、入出力制御部9を介して誘導経路計算部10へ出力する。
【0042】
ここで、誘導経路計算パラメータとは、図18に示すようなパラメータである。図18に示すように、誘導経路計算パラメータは、“H”で示されるような到着機が管制官からの着陸許可を受けた後、滑走路上を走行中の状態に対応する誘導指示ID501と、例えば「JAL365」のような便名に対応するコールサイン502と、出発機か到着機を示す航空機種別503と、移動元エッジ名称“E5”504及び移動先エッジ名称“NULL”505を含んでいる。ここで、移動先エッジ名称504を“NULL”としているのは、初めて出現した到着機であることを意味している。
【0043】
また、図1の音声解析部15は、音声入力部5から入力された管制官の音声通話データを音声認識部12と誘導指示解析部14によって、文型パターンID、文型を構成するフレーズ群及び当該移動体の誘導経路計算パラメータを求める。
【0044】
更に、音声解析部15は、音声認識部12にて求め、図18に示した誘導指示IDと移動元エッジ名称“E5”及び移動先エッジ名称“NULL”を移動体情報DB2へ格納する。そして、音声認識部12にて求めた文型パターンを構成するフレーズ群を発話復唱部16へ出力する。また、誘導指示解析部14は、誘導経路計算パラメータを入出力制御部9へ出力する。
【0045】
発話復唱部16は、音声入力部5から入力した管制官の誘導指示を、音声認識部12により音声認識を行い、管制官の声による誘導指示の文型を構成するフレーズ群を取得する。そして、発話復唱部16は、この取得した各フレーズに対応して、予め準備した音声再生データを音声出力部17へ出力し、この出力された音声で再生することにより、管制官の誘導指示を復唱するようにしている。
【0046】
(移動体入力部7、移動体位置解析部8の処理)
次に、図19、図20に示すフローチャートを用いて、図6〜図8に示すテーブルを参照しつつ、図1に示されている移動体入力部7及び移動体位置解析部8で行われる処理について説明する。
図19に示すように、まず、移動体入力部7は、前述の空港に設置されたセンサからセンサ検知移動体情報200(図8を参照)を取得し(ステップS1)、このセンサ検知移動体情報200を移動体位置解析部8へ出力する。
【0047】
そして、移動体位置解析部8は、入力されたセンサ検知移動体位置情報200の識別ID201が、図6に示す移動体エントリデータテーブル210に登録されているか否かの判定を行うために、移動体エントリデータテーブル210から1移動体エントリデータ211〜220を取り出す(ステップS2)。そして、当該移動体位置情報200の識別ID201と、移動体エントリデータの識別ID211とを比較して(ステップS3)、入力された移動体位置情報200が、移動体エントリデータの中に登録されているか否かを判定する(ステップS4)。
【0048】
ここで、空港面内に初めて出現した移動体の位置が何処であるか、つまり滑走路なのかSPOTなのかによって、出発機か到着機かを識別している。一度、出現した移動体は、移動体エントリデータテーブル210に登録され、誘導指示が終了して消滅するまで管理される。また、画面にプロットされる移動体の位置は、識別IDをキーにして座標を参照することにより、更新される。逆に、出発機が離陸した後の、登録済み移動体の消滅については、登録済み識別ID211(図6参照)と同じ識別ID201(図8参照)がセンサから数秒間送信されない場合に、消滅と判断され、移動体エントリデータテーブル210からそのエントリデータが削除される。
【0049】
この判断ステップS4においる移動体位置情報200が登録されているかの判定は、図6に示される移動体エントリデータテーブル210から1つの移動体データ(例えば、211〜217)を参照(ステップS2)し、図8に示した移動体位置情報200の識別ID201と図6に示した移動体エントリデータの識別ID211を比較することによって行われる。そして、この比較判断を、図6に示されているn個の移動体エントリデータについてステップS2〜S6の処理を繰り返し実施する。
【0050】
すなわち、センサで検知した移動体位置情報200の識別ID201と一致するエントリデータが存在した場合は、当該移動体エントリデータを前述の移動体位置情報(201〜205)の内容で更新し(ステップS5)、空港面の表示更新を行う(ステップS8)。
一方、判断ステップS4で、センサで検知した移動体位置情報200の識別ID(201)と一致するエントリデータが存在しないと判定された場合は、後述するように新規に移動体エントリデータを登録し(ステップS7)、空港面の表示更新を行う(ステップS8)。
【0051】
次に、新規に移動体エントリデータを登録する処理について、図20のフローチャートに基づいて説明する。まず、新規移動体エントリデータ領域(211〜217)を移動体エントリデータテーブル210に確保する(ステップS11)。そして、確保した移動体エントリデータ領域へ移動体入力部7から入力した領域ID201、コールサイン202、X座標203、Y座標204、検出時刻205を格納する(ステップS12〜S15)。
【0052】
次に、入力した移動体のX座標203、Y座標204から航空機種別の判定を行う(ステップS16)を行う。このステップS16の航空機種別の判定は、X座標203、Y座標204が図3に示す滑走路範囲内101、スポット範囲内102、滑走路とスポット以外の3通りで判定する(ステップS16〜S18)。
【0053】
すなわち、X座標203、Y座標204が図3の滑走路範囲内101の場合は、航空機種別217に“到着機”を設定する(ステップS17)。また、X座標203、Y座標204がスポット範囲内102の場合は、航空機種別217へ“出発機”を設定する(ステップS18)。そして、確保した移動体エントリデータ領域の動態状態217へ“新規指示待ち”を設定する(ステップS19)。
【0054】
なお、図19のステップS8に示す空港面の表示更新は、空港面情報DB1と移動体情報DB2を参照して、表示部18へ空港面(図2)上に移動体シンボル103(図3参照)を重ねて表示する。
【0055】
(音声認識部12、誘導指示解析部14、音声解析部15の処理)
次に、図10、11に示す出発機と到着機に関する音声文型パターン、図16、17の出発機と到着機の誘導パターンの遷移図、図21のフローチャート、及び図18の誘導経路計算パラメータ、及び図22の管制官の発話例を用いて、音声認識部12、誘導指示解析部14及び音声解析部15で行われる処理の流れを説明する。
【0056】
図22に示すように、図1に示す音声解析部15は、音声入力部5から入力された、管制官が発話した音声データ601(“JAL365 cleared to land RWT27”)を音声認識部12へ出力する。すると、音声認識部12は、単語辞書データ11a及び文型パターン辞書データ11bに基づいて、到着機の文型パターンID(=19)602と第1フレーズ(“JAL365”:コールサイン)603と第2フレーズ(“cleared to land”)604と第3フレーズ(“RWY27”)605を音声認識結果として取得する(図21のステップS21)。そして、この音声認識結果が音声解析部15に出力される。
【0057】
次に、音声解析部15は、音声認識部12より取得した第1フレーズ(“JAL365”)の当該コールサインが移動体情報DB2の移動体エントリデータへ登録済みかを確認する(ステップS22)。
【0058】
当該コールサインが移動体エントリデータへ登録済みであれば、音声解析部15は、到着機の文型パターンID(=19)602と第1フレーズ(“JAL365”:コールサイン)603と、第2フレーズ(“cleared to land”)604と、第3フレーズ(“RWY27”)605とを誘導指示解析部14へ入力する。そして、音声解析部15は、誘導パターン情報格納部13により誘導指示ID(“H”)501と移動元エッジ名称(“E5”)504と移動先エッジ名称(“NULL”)505を取得する(ステップS23)。
【0059】
次に、音声解析部15は、移動体情報DB2の移動体エントリデータテーブル(図6を参照)の当該移動体の現在の動態状態217及び現在の誘導指示ID218と、到着機の誘導パターン遷移表(図17)を参照し、今回の図6の誘導指示ID218で示す誘導指示の遷移が可能か否かの妥当性を判定する(ステップS24)。
【0060】
このステップS24における誘導指示の妥当性の判定において、誘導パターン遷移表から見て滑走路または誘導路の遷移が可能である場合は、図18に示す誘導経路計算用パラメータ(501〜505)を設定して入出力制御部9へ出力し(ステップS25)、処理を終了する。
【0061】
(入出力制御部9、誘導経路計算部10の処理)
次に、図23のフローチャート及び図9の誘導経路情報図を用いて、図1の入出力制御部9及び誘導経路計算部10で行われる処理の流れを説明する。
【0062】
入出力制御部9は、音声解析部15から入力された、図18に示す誘導経路計算用パラメータを誘導経路計算部10へ出力する。誘導経路計算部10は、経路情報DB3を参照し、移動元エッジ名称504及び移動先エッジ名称505から図9に示す移動体を誘導するための誘導経路704を算出し、エッジ名称が設定される誘導経路リストを出力する(ステップS26)。
【0063】
図9に示されるように、移動元702と移動先703と移動体の現在位置(エッジ)をキーとして誘導経路リスト701を参照し、現在位置(エッジ)以降〜移動先までの誘導経路(図9の705〜723のいずれか1つ)を文字列として出力パラメータに返す。例えば、誘導経路723では、E25、E24、E23、E13、E14、E9の誘導経路を経由することを意味している。
【0064】
次に、入出力制御部9は、誘導経路計算部10にて算出した誘導経路リストを経路情報DB3へ格納する(ステップS27)。そして、入出力制御部9は、移動体情報DB2の動態状態217、誘導指示ID218、移動元エッジ名称219及び移動先エッジ名称220を現在の情報で更新する(ステップS28)。
【0065】
次に、入出力制御部9は、空港面情報DB1を参照し空港面を表示部18へ表示すると共に、移動体情報DB2を参照して移動体シンボルを表示部18へ表示し、経路情報DB3を参照して当該移動体の経路線を表示部18へ表示する(ステップS29)。
【0066】
(一具体例)
次に、図24のフローチャート及び図25〜図30に示す誘導経路の表示画面を用いて本発明の空港向け航空管制システムの一具体例について説明する。
図24のフローチャートは、音声入力部5を用いて管制官が航空機へ誘導指示する音声通話の例を示し、ステップS31、S33、S35は、コールサイン“JAL365”で識別される出発機1001(図25〜図30参照)に対する誘導指示であり、ステップS32、S34、S36は、コールサイン“ANA798”で識別される到着機1002(図27〜図30参照)に対する誘導指示である。
【0067】
まず、空港面内に移動体が存在しない状態、即ち初期状態において、図25に示すように、センサが移動体である出発機1001を検知すると、移動体入力部7は移動体1001のセンサ検知移動体情報200(図8参照)を移動体位置解析部8に出力する。本例では、移動体1001のセンサ検知移動体情報200は、識別ID201が“ID1”、コールサイン202が“JAL365”、X座標203が“500”、Y座標204が“0”、検出時刻205が“08:00:00”であるものとする。
【0068】
そして、移動体位置解析部8は入力されたセンサ検知移動体情報200を解析し、移動体情報DB2の移動体情報データテーブル210へ格納する。
【0069】
移動体情報データテーブル210の識別ID211、コールサイン212、X座標213、Y座標214、検出時刻215へは、移動体入力部7で入力したセンサ検知移動体情報200の値をそのまま設定する。即ち、識別ID211は“ID1”、コールサイン212は“JAL365”、X座標213は“500”、Y座標214は“0”、検出時刻215は“08:00:00”がそれぞれ設定される。
【0070】
次に、移動体位置解析部8は、空港面情報DB1を参照して移動体の出現位置、すなわちX座標213とY座標214の空港面情報内での相関位置を計算する。本例では、スポット区域102の範囲内に移動体が位置するので、航空機の種別が“出発機”と求まる。そこで、移動体位置解析部8は、図6の航空機種別216へ“出発機”を設定する。また、X座標213とY座標214の近傍に位置するスポットを検索することで、移動元エッジ名称219へ“SPOT3”が設定される。
【0071】
この状態では、後述する出発機1001(図25参照)は、初めて検知した移動体であるので、図6の動態状態217へ“新規指示待ち”を設定する。そして、移動体1001に関する情報を図6の移動体情報データテーブル210へ設定する処理を行った後、同内容を移動体情報DB2へ格納する。続いて、入出力制御部9は、空港面情報DB1を参照して表示部18に空港面形状を表示し、その空港面形状の中に、移動体情報DB2を参照して移動体シンボルを表示する。また、経路情報DB3を参照して誘導経路を表示する。以上の処理を行って、図25に示すように、表示部18の表示画面に出発機1001が初めて表示される。
【0072】
(第1の音声指示の処理例)
次に、管制官は表示部18へ表示された結果(図25を参照)を確認する。そして、図24に示すとおり、出発機である移動体1001を滑走路RWY27に誘導するため、管制官が移動体1001のパイロットに対して音声入力部5より第1の誘導指示であるプッシュバック指示 “JAL365 push back approved RWY27”<ジャパンエア スリー シックス ファイブ プッシュバックアプルーブ ランウェイ ツー セブン>(ステップS31)を発話する。
【0073】
音声入力部5は入力された発話を音声解析部15へ出力する。すると、音声解析部15は、音声認識部12を利用して、入力された発話の文型パターンIDとフレーズ群を求める。具体的には、音声認識部12は、入力された発話を、辞書11を参照して単語辞書データ11aとして登録された“JAL365”と“push back approved”及び“RWY27”の単語を検出し、文型パターン辞書データ11bを参照して文型パターンが<C/S> push back approved <rwy-n>と一致する文型パターンID=1(図10の301)を検出すると共に、第1フレーズ=“JAL365”と第2フレーズ=“push back approved” と第3フレーズ=“RWY27”を検出する。つまり、音声解析部15は、音声認識部12にて検出した文型パターンID=1と第1フレーズ=“JAL365”と第2フレーズ=“push back approved”と第3フレーズ=“RWY27”を発話復唱部16及び誘導指示解析部14へ出力する。このとき、図26に示すように、表示部18の表示画面には、出発機を誘導する表示経路である、“E25→E24”(図5参照)が表示される。
【0074】
発話復唱部16は、入力された第1フレーズ〜第3フレーズに対応する、予め準備してある音声再生データを音声出力部17へ出力する。すると、音声出力部17は、“スリー シックス ファイブ プッシュバックアプルーブ ランウェイ ツー セブン”という音声を再生する。
【0075】
一方、誘導指示解析部14は、移動体情報DB2を参照し、入力された文型パターンID=1及び第1フレーズ〜第3フレーズを、誘導パターン情報格納部13を介して第1フレーズの当該コールサインに対応する誘導経路計算パラメータの誘導指示ID(図18の501)と航空機種別(到着機:同503)を検出する。
【0076】
そして、誘導指示解析部14では、最初に第1フレーズ=“JAL365”をキーとして移動体情報DB2に登録された移動体情報データテーブル210内のコールサイン212を先頭より検索する。これにより、誘導指示解析部14は、移動体情報データテーブル210内に“JAL365”と一致するコールサインが検出されると当該コールサインの航空機種別216=”出発機“と移動元エッジ名称219=“SPOT3”を音声解析部15へ出力する。
【0077】
また、誘導指示解析部14は、第3フレーズ=“RWY27”を移動体情報データテーブル210内の当該コールサインの移動先エッジ名称220へ“RWY27”を設定すると共に、移動先エッジ名称=“RWY27”を音声解析部15へ出力する。
【0078】
そして、誘導指示解析部14は、第1フレーズ〜第3フレーズをキーとして誘導パターン情報格納部13を参照し、当該フレーズに対応する誘導指示ID=“A”(401a)を検出し、その検出結果を音声解析部15へ出力する。
【0079】
結果的には、誘導指示解析部14は、誘導指示ID=“A”、コールサイン=“JAL365”、航空機種別=“出発機”、移動元エッジ名称=“SPOT3”、移動先エッジ名称=“RWY27”を誘導経路計算パラメータとして音声解析部15へ出力することになる。
【0080】
更に、音声解析部15は、誘導指示解析部14で検出した誘導経路計算パラメータを入出力制御部9へ出力する。入出力制御部9は、入力された誘導経路計算パラメータを、誘導経路計算部10を利用して経路情報DB3に登録設定する。
【0081】
次に、誘導経路計算部10は、誘導経路計算パラメータである誘導指示ID=“A”、コールサイン=“JAL365”、航空機種別=“出発機”、移動元エッジ名称=“SPOT3”、移動先エッジ名称=“RWY27”、空港面情報DB1、及び誘導経路ルート表701(図9参照)を用いて、誘導経路を意味するエッジ名称リストを算出する。
さらに、移動元エッジ名称=“SPOT3”と移動先エッジ名称=”RWY27”をキーとして誘導経路ルート表701を検索し、移動元エッジ名称702が“SPOT3”で移動先エッジ名称703が“RWY27”に対応する行723の誘導経路リスト=“E25→E24→E23→E13→E14→E9”を算出する。以上の処理が完了すると、入出力制御部9は、誘導経路計算部10で算出した誘導経路リストと当該コールサインを対応付けて経路情報DB3へ格納する。
【0082】
そして、入出力制御部9は、空港面情報DB1と移動体情報DB2と経路情報DB3を参照して表示部18の表示の更新を行う。図26は、表示部18が図25の状態になった後に、第1の音声指示(図24のステップS31)の後の表示部18の表示画面を示している。すなわち、図26に示すように、出発機はプッシュバックして図27の位置に移動することになる。
【0083】
(第2の音声指示の処理例)
次に、前述の第1の音声指示処理後に実行される、第2の音声指示の処理例について説明する。
表示部18に図26の表示画面が表示された段階で、管制官が、滑走路へ進入中の移動体1002に対して着陸許可を誘導するため、移動体1002のパイロットへ音声入力部5より第2の誘導指示である着陸許可指示 “ANA798 cleared to land RWY27”< オールニッポン セブン ナイン エイト クリアードトゥーランド ランウェイ ツー セブン>(ステップS32)を発話する。この段階の表示部18の表示画面が図27である。すると、音声入力部5は入力された発話を音声解析部15へ出力する。音声解析部15は、音声認識部12を利用して発話の文型パターンIDとフレーズ群を求める。
【0084】
すなわち、図27は、出発機1001が図5に示すSPOT3からノードN19までのプッシュバックを終え、管制官から図24に示されるステップS31の指示を受けた状態、すなわち「プッシュバック完了、管制官からの指示待ち」223(図8参照)の状態を示している。
また、到着機1002が、新たな移動体として、滑走路区域101に現れた状態も図27に表示されている。この状態は、到着機1002が、管制官からの指示を待っている図17の「START(到着機)」の状態から、管制官からステップS32の指示を受けた状態、つまり図17の状態遷移(H)の状態を示している。
【0085】
具体的には、音声認識部12は、入力された発話を、辞書11を参照して単語辞書データ11aとして登録されている“ANA798”、“cleared to land”及び“RWY27”の単語を検出する。そして、文型パターン辞書データ11bを参照して文型パターンが<C/S> cleared to land <rwy-n>と一致する文型パターンID=19(325)を検出すると共に第1フレーズ=“ANA798”と第2フレーズ=“cleared to land”と第3フレーズ=“RWY27”を検出する。
【0086】
ここで、音声解析部15は、音声認識部12にて検出した文型パターンID=19と第1フレーズ=“ANA798”と第2フレーズ=“cleared to land”と第3フレーズ=“RWY27”を発話復唱部16と誘導指示解析部14へ出力する。
【0087】
そして、発話復唱部16は、入力された第1フレーズ〜第3フレーズに対応する、予め準備してある音声再生データを音声出力部17へ出力する。すると、音声出力部17は、“オールニッポン セブン ナイン エイト クリアードトゥーランド ランウェイ ツー セブン”という音声を再生する。
【0088】
一方、誘導指示解析部14は、移動体情報DB2を参照し、入力された文型パターンID=19と第1フレーズ〜第3フレーズを、誘導パターン情報格納部13を介して第1フレーズの当該コールサインに対応する誘導経路計算パラメータの誘導指示ID501と航空機種別503(図18参照)を検出する。
【0089】
また、誘導指示解析部14は、最初に第1フレーズ=“ANA798”をキーとして移動体情報DB2に登録された移動体情報データテーブル210内のコールサイン212(図6参照)を先頭より検索する。そして、移動体情報データテーブル210内に“ANA798”と一致するコールサインが検出されると、当該コールサインの航空機種別216=“到着機”と移動元エッジ名称219=“E5”を音声解析部15へ出力する。
【0090】
そして、誘導指示解析部14は、第3フレーズ=“RWY27”を移動体情報データテーブル210内の当該コールサインの移動先エッジ名称220へ“E6”を設定すると共に、移動先エッジ名称=“E6”を音声解析部15へ出力する(図18参照)。
【0091】
次に、誘導指示解析部14は、第1フレーズ〜第3フレーズをキーとして誘導パターン情報格納部13を参照し、当該フレーズに対応する誘導指示ID=“H”(401h)を検出し、この検出結果を音声解析部15へ出力する。
【0092】
結果的には、誘導指示解析部14は、誘導指示ID=“H”、コールサイン=“ANA798”、航空機種別=“到着機”、移動元エッジ名称=“E5”、移動先エッジ名称=“E6”を誘導経路計算パラメータとして音声解析部15へ出力する。
【0093】
次に、音声解析部15は、誘導指示解析部14で検出した誘導経路計算パラメータを入出力制御部9へ出力する。そして、入出力制御部9は、誘導経路計算パラメータを、誘導経路計算部10を介して経路情報DB3を設定する。
【0094】
具体的には、誘導経路計算部10は、誘導経路計算パラメータである誘導指示ID=“H”、コールサイン=“ANA798”、航空機種別=“到着機”、移動元エッジ名称=“E5”及び移動先エッジ名称=“E6”を入出力制御部9に送る。そして、空港面情報DB1と誘導経路ルート表701(図9参照)を参照して、誘導経路を意味するエッジ名称リストを算出する。続いて、移動元エッジ名称=“E5”と移動先エッジ名称=“E6”をキーとして誘導経路ルート表701を検索することにより、移動元エッジ名称702が“E5”かつ移動先エッジ名称703が“E6”に対応する誘導経路リスト=“E5→E4→E3→E2→E6”(図5参照)が算出される。この経路は図28に到着機1002に対して示されている経路である。そして、入出力制御部9は、誘導経路計算部10で算出した誘導経路リストと当該コールサインを対応付けて経路情報DB3へ格納する。
【0095】
(第3の音声指示の処理例)
また、管制官は、第1の音声指示によりプッシュバック完了、指示待ち状態にある、出発機の移動体1001に対して、滑走路までの移動を誘導する。このため、移動体1001のパイロットへ音声入力部5より “JAL365 RWY27 approved taxi into position and hold”< ジャパンエア スリー シックス ファイブ ランウェイ ツー セブン タクシーイントゥーポジションアンドホールド>(ステップS33)を発話する。この第3の音声指示“JAL365 RWY27 approved taxi into position and hold”は、滑走路に入って離陸位置に入って待機せよ、を意味する。
【0096】
音声入力部5は、入力された発話を音声解析部15へ出力し、音声認識部12を経て発話の文型パターンIDとフレーズ群を求める。具体的には、音声認識部12は入力された発話を、辞書11を参照して単語辞書データ11aとして登録された“JAL365”と“RWY27”及び“ approved taxi into position and hold”の単語を検出し、文型パターン辞書データ11bを参照して、文型パターンが<c/s> <rwy-n> approved taxi into position and holdと一致する文型パターンID=14(314)を検出する。また、この検出と共に、第1フレーズ=“JAL365”と第2フレーズ=“RWY27”と第3フレーズ=“ approved taxi into position and hold”を検出する。
【0097】
そして、音声解析部15は、音声認識部12にて検出した文型パターンID=14と第1フレーズ=“JAL365”と第2フレーズ=“RWY27”と第3フレーズ=“approved taxi into position and hold”を発話復唱部16と誘導指示解析部14へ出力する。
【0098】
発話復唱部16は、入力された第1フレーズ〜第3フレーズを予め準備する音声再生データを音声出力部17へ出力する。そして、音声出力部17は、“ジャパンエア スリー シックス ファイブ ランウェイ ツー セブン タクシーイントゥーポジションアンドホールド”という音声を出力する。
【0099】
一方、誘導指示解析部14は、移動体情報DB2を参照し、入力された文型パターンID=14と第1フレーズ〜第3フレーズを、誘導パターン情報格納部13を介して第1フレーズの当該コールサインに対応する誘導経路計算パラメータの誘導指示ID(501)と航空機種別(503)を検出する。
【0100】
すなわち、誘導指示解析部14は、最初に第1フレーズ=“JAL365”をキーとして移動体情報DB2に登録された移動体情報データテーブル210内のコールサイン212を先頭より検索する。そして、移動体情報データテーブル210内に“ANA798”と一致するコールサインが検出されると当該コールサインの航空機種別216=“出発機”と移動元エッジ名称219=“E24”を音声解析部15へ出力する。
【0101】
更に、誘導指示解析部14は、第2フレーズ=“RWY27”を移動体情報データテーブル210内の当該コールサインの移動先エッジ名称220へ“E9”を設定すると共に、移動先エッジ名称=“E9”を音声解析部15へ出力する。
【0102】
次に、誘導指示解析部14は、第1フレーズ〜第3フレーズをキーとして誘導パターン情報格納部13を参照し、当該フレーズに対応する誘導指示ID=“F”(図16の401f)を検出し、この検出結果を音声解析部15へ出力する。
【0103】
結果的に、誘導指示解析部14は、誘導指示ID=“F”、コールサイン=“JAL365”、航空機種別=“出発機”、移動元エッジ名称=“E24”、移動先エッジ名称=“E9”を誘導経路計算パラメータとして音声解析部15に出力する。
【0104】
そして、音声解析部15は誘導指示解析部14で検出した誘導経路計算パラメータを入出力制御部9へ出力する。そして、入出力制御部9は、次に示すようにして、誘導経路計算部10を介して経路情報DB3を設定する。
【0105】
誘導経路計算部10は、誘導経路計算パラメータである誘導指示ID=“F”、コールサイン=“JAL365”、航空機種別=“出発機”、移動元エッジ名称=“E24”、移動先エッジ名称=”E9”を入出力制御部9に入力する。そして、空港面情報DB1と誘導経路ルート表701(図9)を参照し、誘導経路を意味するエッジ名称リストを算出する。移動元エッジ名称=“E24”と移動先エッジ名称=”E9”をキーとして誘導経路ルート表701を検索し、移動元エッジ名称702が“E24”で移動先エッジ名称703が”E9”に対応する誘導経路リスト=“E24→E23→E13→E14→E9” (図5参照)を算出する。そして、入出力制御部9は、誘導経路計算部10で算出した誘導経路リストと当該コールサインを対応付けて経路情報DB3へ格納する。
【0106】
次に、入出力制御部9は、空港面情報DB1と移動体情報DB2と経路情報DB3を参照して表示部18の表示画面を更新する。図28に示す表示画面は、図27に示す表示画面が表示部18に表示されている時に、第2の音声指示処理(ステップS32)及び第3の音声指示処理(ステップS33)が完了した後に、表示部18に表示される表示画面である。すなわち、表示部18には、図28に示すように、到着機1002の誘導経路リストである“E5→E4→E3→E2→E6”と、出発機1001の誘導経路リストである“E24→E23→E13→E14→E9”が表示される。
【0107】
このように、図28は、図27の状態から、出発機1001が管制官から図24のステップS33の指示を受けて「誘導路移動中」225(図7参照)であることを示している。この状態は図16の状態遷移(F)に対応している。すなわち、上述したように、図28は、誘導経路計算部10によって、誘導経路“E24→E23→E13→E14→E9”が求められ、表示された例を示している。
【0108】
続いて、第4の音声指示(ステップS34)及び第5の音声指示(ステップS35)の処理手順は、前述した第2の音声指示(ステップS32)の処理の手順と同じなので、説明は省略する。なお、図29及び図30は、第4の音声指示(ステップS34)と第5の音声指示(ステップS35)後に、表示部18の表示が更新された状態を示している。
【0109】
すなわち、図29は、図28の状態から、更に、出発機1001が管制官から図24のステップS35の指示を受けて「誘導路移動中」225(図7参照)の誘導指示を受けたことを示す。この誘導指示の状態は図12の状態遷移(G)に対応している。すなわち、誘導経路“E24→E23→E13→E14→E9”の中で通過し終わった経路“E24→E23→E13→E14” (図5参照)を画面から消去した例を示している。また、図29は、到着機1002が誘導経路“E6”を移動中であることも示している。
【0110】
図30は、図29の状態から、出発機1001が滑走路RWY27に到着し、誘導指示が「END」となった状態を示している。この状態では、出発機が通過し終わった誘導経路“E9”(図29、図5参照)も削除されている。また、到着機1002は、管制官から図24のステップS36の誘導指示を受けて「誘導路移動中」225(図7参照)であることを示す。この誘導指示の状態は図17の状態遷移(M)に対応している。すなわち、誘導経路計算部10により、新たにE6からSPOT1までの誘導経路“E10→E15→E17”(図5参照)が求められ、表示された例を示している。
【0111】
以上本発明の実施の形態例について説明したが、本発明は前述の実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の応用例、変形例を含むことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上説明したように、本発明によれば、管制官の業務を変更することなく航空機へ指示した発話から指示した誘導経路を目視確認可能となり言い間違いによる誘導ミスを発見することを可能とする。また、指示した発話を復唱する機能を具備することにより視覚に加え聴覚による誤誘導の発見が可能となりより安全な航空誘導を図ることができる。
【符号の説明】
【0113】
1…空港面情報DB、2…移動体情報DB、3…経路情報DB、4…マンマシン情報DB、5…音声有力部、6…操作入力部、7…移動体入力部、8…移動体位置解析部、9…入出力制御部、10…誘導経路計算部、11…辞書、12…音声認識部、13…誘導パターン情報格納部、14…誘導指示解析部、15…音声解析部、16…発話復唱部、17…音声出力部、18…表示部、101…滑走路区域、102…スポット区域、1001…出発機、1002…到着機
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港面における航空機または移動体(車両など)の経路指示を行う管制業務の負担を軽減すべく走行誘導支援を行う空港向け航空管制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港面(飛行場内の地上)を移動する航空機と車両は、管制官との無線による音声通話で移動経路や指示が与えられて空港面を移動する。管制官は刻々と変化する複数の航空機や車両の位置を目視監視し、移動許可、経路指定、及び待機などの指示を与えている。この管制官の業務は、非常に負担のかかる業務である。
【0003】
また、近年の航空交通の急激な量的変化に伴い、管制業務の負担が増大している。空港面をタキシング(地上走行)する航空機の誘導の例としては、着陸機(到着機)の場合は、滑走路からスポット(駐機場)までの幾通りかある移動経路の中からどの経路で航空機をタキシングさせるかを決定し、無線による音声通話でパイロットへ指示を与え誘導する。また、出発機の場合は、スポットからのプッシュバック(牽引車により航空機を後退もしくは旋回させる)指示の後、プッシュバック位置から滑走路の進入位置までの移動経路を無線による音声通話でパイロットへ指示を与え誘導する。上述した到着機及び出発機への誘導は、数回の通話により行われるが、この誘導の指示の中には、指定位置での一時待機、待機位置からの移動許可などの指示も含まれる。
【0004】
管制業務を支援する公知例として特許文献1、2に示されているものが知られている。
特許文献1に記載の技術は、空港内を走行する移動体の位置を検出し、管制対象移動体の速度に対する他の移動体の速度と挙動から対象移動体の走行可能区間を予測し、管制官に指示すべき経路を提供するものである。
また、特許文献2に記載の技術は、飛行場内における航空機の移動元及び移動先の情報を入力し、移動元と移動先の間の経路を自動的に決定するものである。そして、このようにして決定された経路に存在する誘導路灯を、管制官の介在なしに点灯させることでパイロットへ進行すべき経路を指示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−197600号公報
【特許文献2】特開2000−043800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、管制官がパイロットへ指示すべき経路の提供を行うことはできるが、その際の人為的なミス(ヒューマンエラー)による経路指示があった場合までは、考慮されていない。また、特許文献2に記載の技術も、航空機の移動元及び移動先の間の経路にある誘導路灯を点灯するだけで、上記ヒューマンエラーまでは考えていない。
【0007】
本発明は、空港の航空機に対して、安全に誘導を行うことを目的とするものであり、管制官が航空機に対して経路指示の誘導を行う際のヒューマンエラー防止を支援する空港向け航空管制システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の空港向け航空管制システムは、空港面上の滑走路、誘導路及びスポット位置など管制の表示に必要となる形状データを格納する空港面情報格納手段と、空港面に存在する航空機や車両を含む移動体を検出して現在位置を解析する移動体位置解析手段と、移動体位置解析手段で解析した移動体の位置を、画面上にシンボルで表示する表示手段と、表示手段でシンボル表示した移動体の選択を行う操作入力手段と、を備えている。
【0009】
また、管制官の発話を入力する音声入力手段と、この音声入力手段から入力した発話を解析して、移動体を識別するとともに、この識別した移動体への誘導指示を抽出する音声解析手段と、移動体位置解析手段において解析した移動体の現在位置と、音声解析手段において抽出した移動体への誘導指示を入力とし、移動体の誘導経路を計算する誘導経路計算手段と、を備えている。ここで、航空機の位置を検知する航空機等の移動体を検知するセンサには、特開平09−288175号公報で示す空港面探知レーダ装置(Airport Surface Detection Equipment:以下「ASDE」という。)が用いられる。
【0010】
また、本発明の好ましい形態としては、更に、指示入力手段から音声入力した移動指示を復唱する発話復唱手段を備える。これにより、視覚による指示経路の確認を行うことができる他、聴覚によっても指示経路の確認を行うことが可能となる。
【0011】
更に、本発明の好ましい形態としては、音声解析手段による誘導指示を解析する誘導指示解析手段と、移動体毎の誘導指示の状態を格納する移動体情報格納手段と、移動体に対して音声入力する誘導指示を行うための誘導パターンを格納する誘導パターン情報格納手段を、備えることを特徴としている。また、上述した表示手段は、移動体位置解析手段で解析した移動体の現在位置と、音声解析手段によって抽出した音声による移動指示から算出した誘導経路を、同時に表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、管制官が無線による音声通話でパイロットに対して行う移動経路の指示自体を、指示入力手段の入力とすることができるため、管制業務に負担をかけることなくヒューマンエラーを防止できるという作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態例における、空港向け航空管制システムの全体構成を示すシステムブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態例における空港面情報の経路形状を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態例における空港面情報の滑走路区域とスポット区域の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態例における空港面情報を、ノードを視点として描いた説明図である。
【図5】本発明の一実施形態例における空港面情報を、エッジを視点として描いた説明図である。
【図6】本発明の一実施形態例における移動体情報DB2に格納される移動体情報データを示した図である。
【図7】本発明の一実施形態例における航空機の状態を複数のパターンに分けて示した図である。
【図8】本発明の一実施形態例における、移動体入力部から入力されるセンサ検知移動体情報の例を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態例における、誘導経路計算部が算出する誘導経路ルート表の一例を示した図である。
【図10】本発明の一実施形態例における、出発機を誘導するための文型パターン辞書データの一例を示した図である。
【図11】本発明の一実施形態例における、到着機を誘導するための文型パターン辞書データの一例を示した図である。
【図12】本発明の一実施形態例において用いられる、記号<C/S>の候補の例である。
【図13】本発明の一実施形態例において用いられる、記号<rwy-n>の候補の例である。
【図14】本発明の一実施形態例において用いられる、記号<way-n>の候補の例である。
【図15】本発明の一実施形態例において用いられる、記号<spot-n>の候補の例である。
【図16】本発明の一実施形態例における出発機に対する誘導パターンの遷移図である。
【図17】本発明の一実施形態例における到着機に対する誘導パターンの遷移図である。
【図18】本発明の一実施形態例における誘導経路計算パラメータの例である。
【図19】本発明の一実施形態例における、移動体入力部及び移動体位置解析部の処理を説明するフローチャートである。
【図20】本発明の一実施形態例における、移動体入力部及び移動体位置解析部の処理のうち、新規に移動体データを登録する処理について説明するフローチャートである。
【図21】本発明の一実施形態例において、音声解析部における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図22】本発明の一実施形態例における管制官の発話の例である。
【図23】本発明の一実施形態例における、誘導経路計算部及び入出力制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の一実施形態例における、管制官の誘導指示の処理を説明するためのフローチャートである。
【図25】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(始めて出発機を検知した場合)である。
【図26】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(第1の音声指示処理(図24のS31)後)である。
【図27】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(到着機を始めて検知した場合)である。
【図28】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(第2、第3の音声指示(図24のS32、S33)後)である。
【図29】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(第4、第5の音声指示(図24のS34、S35)後)である。
【図30】本発明の一実施形態例における表示部18に表示される誘導経路の表示例(第6の音声指示(図24のS36)後)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態例(以下、「本例」ということもある。)について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の空港向け航空管制システムの一実施形態例を示したものである。図1に示すように、本例の空港向け航空管制システムでは、空港面情報DB(データベース)1と、移動体情報DB2と、経路情報DB3と、マンマシン情報DB4を備えている。また、本例のシステムは、音声入力部5と、操作入力部6と、移動体入力部7を有し、更に移動体位置解析部8と、入出力制御部9と、誘導経路計算部10とを備えている。また、本例のシステムは、単語辞書データ11aと文型パターン辞書データ11bが蓄積された辞書11と、音声認識部12と、誘導パターン情報格納部13と、誘導指示解析部14と、音声解析部15と、発話復唱部16を備え、更に音声出力部17と表示部18とを備えている。
【0015】
空港面情報DB1は、当該空港の滑走路、誘導路及びスポット(駐機場)等の管制に必要な経路形状情報が予め格納されているデータベースである。この経路形状情報は、直線や円弧の幾何学情報を組み合わせた情報である。図2は、本例のシステムにおける空港面情報DB1に格納されている経路形状情報の例を示している。この空港面情報DB1に格納される経路形状情報は、図3〜図5に示すように、航空機の移動経路網をノードとエッジのグラフでモデル化したデータ構造を持っている。
【0016】
図3は、本例のシステムにおける空港面情報の中の滑走路区域101とスポット区域102の位置関係について示した図である。図4は、図3の中のノードにスポットを当てて示した図であり、N1〜N21、SPOT1〜SPOT3がノードを示している。図5は、図3の中のエッジだけを取り出して示した図であり、E1〜E26がエッジ名称を示している。後述するように、これらのノード名称とエッジ名称が航空機の誘導に利用されることになる。更に、空港面情報DB1には、滑走路の区域を識別する情報とスポット(駐機場)の区域を識別する情報も予め格納されている。
【0017】
移動体情報DB2は、当該空港内に存在する航空機や車両等、全ての移動体の位置と各移動体を識別する識別データ及び移動中、待機中などの動態データを含む移動体に関連する情報が格納されるデータベースである。
【0018】
図6は、本例の移動体情報DB2に格納される移動体情報データテーブル210を示した図である。この移動体情報データテーブル210は、空港内に存在する全ての移動体(ここでは1〜n個の移動体を対象とする)について、図に示すような識別ID211から移動先エッジ名称220までのデータを記録したものである。識別ID211は、航空機を一意に識別可能とするIDである。この航空機を一意に識別可能とするIDとしては、航空機ごとに付与されるモードSアドレスを用いても良い。コールサイン212は、管制官と航空機パイロット間の通信で用いる呼び出し名称である。X座標213とY座標214は、後述する移動体入力部7を介して入力される、空港内に設置された航空機位置検出センサが検出した座標である。
【0019】
また、検出時刻215は、センサが移動体座標を検出した時刻である。航空機種別216には、当該移動体が「出発機」か「到着機」か「それ以外」かの情報が設定される。動態状態217には、当該航空機の状態が設定されている。ここで航空機の状態としては、図7にしめされるように、「新規指示待ち」221、「プッシュバック中」222、「プッシュバック完了、指示待ち」223、「滑走路上を移動中」224「誘導路を移動中」225、「指定位置で停止中、指示待ち」226の6つの状態のいずれか1つが設定される。
【0020】
「新規指示待ち」221は、新しくセンサにより検出した移動体であることを意味する。すなわち、管制官が何も移動指示を行っていない移動体に対して設定されるものである。「プッシュバック中」222は、管制官が出発機に対しプッシュバックの指示を行った後に、プッシュバック中の移動体であることを示している。「プッシュバック完了、指示待ち」223は、管制官が出発機に対しプッシュバックの指示を行い、プッシュバックが完了した移動体である。「滑走路上を移動中」224は、管制官が到着機に対し、移動先を指示した後に、滑走路上を移動中の移動体であることを示している。「誘導路を移動中」225は、管制官が、出発機に対し「プッシュバック完了、指示待ち」223の指示を行った後に、滑走路へ向かう指示を行った移動体か、若しくは、「滑走路上を移動中」224の到着機に対し、移動先のスポットまたは、タクシーを指示した後の移動体について設定される。
【0021】
「指定位置で停止中、指示待ち」226は、管制官が出発機に対して滑走路へ向かう途中の誘導路停止指示をした後、指示された停止位置へ到達した移動体について設定される。または、到着機に対してスポットに向かう途中の誘導路で停止指示した後、指示された停止位置へ到達した移動体について設定される。
【0022】
また、図6に示される誘導指示ID218には、後述の音声認識部12が出力する文型パターンIDが設定されている。この文型パターンIDは、管制方式基準に基づき各空港の管制官が当該移動体へ指示するパターンを用いる。
図6に示される、移動元エッジ名称219及び移動先エッジ名称220には、後述する誘導指示解析部14(図1参照)が出力する移動体の誘導経路を計算する時の開始エッジとなるエッジ名称(移動元)と終了エッジとなるエッジ名称(移動先)が設定される。
【0023】
以上、図6に示した移動体データ210の内容について説明したが、再び図1に戻って本例の空港向けシステムについて説明する。
経路情報DB3には、管制官が音声入力部5を用いて当該空港内の航空機や車両等へ指示した誘導経路を、表示部18に表示するためのデータが記録されている。そして、この経路情報データに基づいて、空港面情報DB1で定義されたエッジ名称が移動体毎に誘導経路順に格納される。
なお、マンマシン情報DB4には、後述する操作入力部6から入力されるメニューの選択状態やシンボルの選択状態を管理するためのマンマシン操作の一時的情報が格納されている。
【0024】
音声入力部5は、管制官が空港内航空機や車輌と無線により音声通話を行うための音声入力手段であり、マイクロフォーンで構成されている。音声入力部5から入力された音声は音声解析部15に送られる。
操作入力部6は、表示部18に表示するマンマシン画面上に配置するメニューの選択、文字の入力操作及び航空機シンボルなどの選択を行うための操作入力手段であり、キーボードとマウスで構成される。この操作入力部6から入力された操作指示は、入出力制御部9へ出力される。
【0025】
移動体入力部7は、空港に設置されたセンサにより検知した航空機や車輌の移動体位置情報、つまりセンサ検知移動体情報を入力する手段である。図8は、移動体入力部7から入力されるセンサ検知移動体情報200の例を示したものである。センサ検知移動体情報200は、移動体座標情報と移動体属性情報を含む。移動体座標情報としては、センサが定義する空港面の2次元座標系におけるX座標203とY座標204の情報よりなる。また、移動体属性情報は、移動体毎に固有の識別ID201と航空機毎に一意に付与されるコールサイン202とセンサが移動体を検出した検出時刻205で構成されている。
【0026】
再び、図1に戻って説明する。図8に示されるようなセンサ検知移動体情報200が、移動体位置解析部8へ入力され、この移動体位置解析部8において解析される。そして、移動体位置解析部8は、解析したセンサ検知移動体情報200を、移動体情報DB2へ登録し、あるいはその更新又は削除を行う。このような制御は全て入出力制御部9によって行われる。
【0027】
また、入出力制御部9は、操作入力部6から入力される管制官のマンマシン操作を判別して、表示部18へ出力する表示データを更新する。この表示データの更新は、空港面情報DB1と移動体情報DB2と経路情報DB3を参照して行われる。
更に、入出力制御部9は、空港面情報DB1と移動体情報DB2と経路情報DB3を参照して、センサ検知移動体情報200を誘導経路計算部10へ出力し、誘導経路計算部10で計算した航空機や車輌の誘導経路情報を経路情報DB3へ格納する。この誘導経路情報は表示部18に表示される。また、移動体位置解析部8は、移動体入力部7から入力されたセンサ検知移動体情報200を移動体情報DB2へ格納すると共に、表示部18へ出力する移動体シンボルを更新する。
【0028】
また、誘導経路計算部10は、経路を指示する当該航空機及び車輌の現在位置と目的位置を入力し、空港面情報DB1を参照して現在位置から目的位置までの最適な経路を計算する。そして、この算出した最適な経路を入出力制御部9へ出力する。なお、誘導経路計算部10における計算方法については、詳しく説明していないが、この誘導経路計算部10の誘導経路の計算については、例えば、特開2003−30800号公報に記載されている方法を用いることができる。すなわち、特開2003−30800号公報に記載の方法は、航空機の現在位置と目的位置間の誘導経路を、最小コスト経路行列を用いて算出する方法である。
【0029】
図9は、誘導経路計算部10が算出する誘導経路ルート表701の一例を示したものである。図9に示すとおり、入出力制御部9より入力された移動元エッジ名称702と移動先エッジ名称703から、算出した誘導経路704がエッジ名称(E)で示されている。このエッジ名称(E)が図5のE1〜E26のエッジに対応するものである。
【0030】
図1に戻って説明すると、辞書11には、単語辞書データ11aと文型パターン辞書データ11bとが格納されている。ここで、文型パターン辞書データ11bは、管制官が航空機や車輌を誘導するために使用する管制用語を文型パターンで分類したデータのことである。
【0031】
図10は、出発機を誘導するための文型パターン辞書データ11bの一例を示したものであり、図11は、到着機を誘導するための文型パターン辞書データ11bの一例を示したものである。
ここでは、図11を例にとって説明する。図11の行325〜338が文型パターンの例を示している。記号<C/S>は、複数あるコールサイン(呼出し名称)候補のいずれかが指示されることを表している。記号<rwy−n>は、複数のランウェイ(滑走路と方向)候補の中のいずれかが指示されることを示し、記号<way−n>は、複数のタクシー(誘導路)候補の中のいずれかが指示されることを示している。また、記号<spot−n>は、複数のスポット(駐機場)候補の中のいずれかが指示されることを示している。
【0032】
また、図11の1列目319は文型パターンIDを示し、2列目320〜6列目324は、文型パターンを構成するフレーズを示す。文型パターン325の例(<C/S> cleared to land <rwy−n>)は、第1フレーズが記号<C/S>、第2フレーズが“cleared to land”、第3フレーズが記号<rwy−n>から成る文型パターンであることを示している。
【0033】
図12から図15は、本例で用いる記号<C/S>、記号<rwy−n>、記号<way−n>、記号<spot−n>の候補を示した図である。つまり、記号<C/S>としては、ANA798とかJAL365のような各航空機の便名を示し(図12参照)、記号<rwy−n>は、RWY09やRWY27のような滑走路を示している(図13参照)。また、記号<way−n>は、B1〜B4、C1〜C3のような複数のタクシー(誘導路)を示し(図14参照)、記号<spot−n>は、SPOT1〜3のような駐機場を示している(図15参照)。このような航空機、滑走路、誘導路、駐機場の候補が、単語辞書データ11aに予め登録されることになる。図10に示した出発機に対する文型パターンも同様に説明することができるので、ここでは説明を省略する。
【0034】
再び図1に戻って説明すると、図1に示す音声認識部12は、音声入力部5から入力された管制官の音声通話から、辞書11を用いて文型パターンIDと文型を構成するフレーズ群を出力する。そして、フレーズ群の中に含まれる空港面上の誘導経路要素を判定し、誘導経路計算部10において経路計算するための移動元エッジ名称219と移動先エッジ名称220(図6参照)を出力する。本例では、音声認識部12の詳細に関しては説明していないが、例えば、特開2000−181485号公報に記載されるようなグラマー手法により、認識させたい語を予め定義して認識させる方式などが用いられる。
また、図1の誘導パターン情報格納部13には、現在の移動体の状態と移動体を誘導するために管制官が音声指示する発話の文型パターンの遷移を定義した情報を格納する。
【0035】
図16は、本例の空港向け航空管制システムにおける出発機の誘導パターンの遷移を示した図である。また、図17は、同じく到着機の誘導パターンの遷移を示した図である。
記号A〜M(401a〜401m)は、現在の移動体の状態遷移IDを示しており、それぞれの記号A〜Mに用いられている番号319は、図10及び図11の1列目319に対応している。この番号319は、辞書11の文型パターン辞書データ11bの文型パターンIDを示している。
【0036】
次に、図16に基づいて、出発機の状態遷移(記号A〜G)と誘導パターンの関係を説明する。「START(出発機)」は、出発機の初期状態を示している。すなわち、出発機は、スポット区域102(図3参照)のSPOT1〜SPOT3に位置する状態にあり、管制官からの新規指示待ち221(図7参照)の状態である。
状態遷移ID(A:文字パターン1、2)は、管制官が出発機に対して、向かうべき滑走路を指示してプッシュバックを許可する誘導パターンを示す。
状態遷移ID(B:文字パターン3)は、管制官が出発機に対して、向かうべき滑走路を指示してロングプッシュバックを許可する誘導パターンを示している。
状態遷移ID(C:文字パターン4)は、管制官が出発機に対して、向かうべき誘導路を指示して移動を許可する誘導パターンを示している。
状態遷移ID(D:文字パターン5〜9)は、管制官が出発機に対して、向かうべき滑走路を指示して滑走路に到着した後、管制官に連絡するように誘導するパターンを示している。
【0037】
状態遷移ID(E:文字パターン10〜12)は、管制官が出発機に対して、指示位置で待機するように誘導するパターンを示している。
状態遷移ID(F:文字パターン13〜16)は、管制官が既に移動先を指示した出発機に対して、移動許可を与えると共に、指示地点に到着したら停止するように誘導するパターンを示している。
状態遷移ID(G:文字パターン17、18)は、管制官が出発機に対して、離陸許可を指示するパターンを示している。
複数の文字パターンを含む状態遷移IDは、出発機に対する誘導パターンが複数種類あることを示している。また、状態遷移ID(A)から(G)に至る矢印は、出発機が離陸許可されるまでに様々な状態遷移IDの誘導パターンを経由していることを示している。
【0038】
次に、図17に基づいて、到着機の状態変移(記号H〜M)と誘導パターンの関係を説明する。
「START(到着機)」は、到着機の初期状態を示している。すなわち、到着機は、滑走路区域101(図3参照)にあり、管制官からの新規指示待ち221(図7参照)の状態である。
状態遷移ID(H:文字パターン19、20)は、管制官が到着機に対して、着陸を許可する誘導パターンを示している。
状態遷移ID(I:文字パターン21〜24)は、管制官が到着機に対して、滑走路から離脱する誘導路を指示する誘導パターンを示す。更に、文字パターン21、22、24は、滑走路を離脱した後、管制官に連絡するように誘導するパターンを示している。
状態遷移ID(J:文字パターン25、26)は、管制官が到着機に対して、向かうべき誘導路を指示して移動を許可する誘導パターンを示している。
【0039】
状態遷移ID(K:文字パターン30〜32)は、管制官が到着機に対して、向かうべきスポットを指示して移動を許可する誘導パターンを示している。
状態遷移ID(L:文字パターン27)は、管制官が到着機に対して、指示位置で待機するように誘導するパターンを示している。
状態遷移ID(M:文字パターン28、29)は、管制官が到着機に対して、横切る誘導路を指示すると共に、向かう位置を指示する誘導パターンを示している。
複数の文字パターンを含む状態遷移IDは、到着機に対する誘導パターンが複数種類あることを示している。また、状態遷移ID(H)から(M)に至る矢印は、到着機が状態遷移ID(K)または(M)で向かうべきスポットの指示を受けるまでに、管制官から複数回の誘導指示を受けることを示している。
【0040】
再び図1に戻って説明すると、まず、音声解析部15において、音声認識部12からの出力である文型パターンIDとフレーズを入力とし、文型パターンの第1フレーズであるコールサインを求め、続いて移動体情報DB2を参照して当該移動体の現在の状態遷移ID(A)から(M)を求める。そして、現在の状態遷移IDにおいて、文型パターンIDが遷移するルートを判定し、遷移するルートがある場合は、遷移先ルートの状態変移IDを出力する。
【0041】
また、図1に示す誘導指示解析部14は、音声認識部12で抽出した文型パターンIDとフレーズを、誘導パターン情報格納部13に記憶されている文型パターンID及びフレーズと照合し、誘導経路計算パラメータを算出する。そして、誘導指示解析部14は、算出した誘導経路計算パラメータを、入出力制御部9を介して誘導経路計算部10へ出力する。
【0042】
ここで、誘導経路計算パラメータとは、図18に示すようなパラメータである。図18に示すように、誘導経路計算パラメータは、“H”で示されるような到着機が管制官からの着陸許可を受けた後、滑走路上を走行中の状態に対応する誘導指示ID501と、例えば「JAL365」のような便名に対応するコールサイン502と、出発機か到着機を示す航空機種別503と、移動元エッジ名称“E5”504及び移動先エッジ名称“NULL”505を含んでいる。ここで、移動先エッジ名称504を“NULL”としているのは、初めて出現した到着機であることを意味している。
【0043】
また、図1の音声解析部15は、音声入力部5から入力された管制官の音声通話データを音声認識部12と誘導指示解析部14によって、文型パターンID、文型を構成するフレーズ群及び当該移動体の誘導経路計算パラメータを求める。
【0044】
更に、音声解析部15は、音声認識部12にて求め、図18に示した誘導指示IDと移動元エッジ名称“E5”及び移動先エッジ名称“NULL”を移動体情報DB2へ格納する。そして、音声認識部12にて求めた文型パターンを構成するフレーズ群を発話復唱部16へ出力する。また、誘導指示解析部14は、誘導経路計算パラメータを入出力制御部9へ出力する。
【0045】
発話復唱部16は、音声入力部5から入力した管制官の誘導指示を、音声認識部12により音声認識を行い、管制官の声による誘導指示の文型を構成するフレーズ群を取得する。そして、発話復唱部16は、この取得した各フレーズに対応して、予め準備した音声再生データを音声出力部17へ出力し、この出力された音声で再生することにより、管制官の誘導指示を復唱するようにしている。
【0046】
(移動体入力部7、移動体位置解析部8の処理)
次に、図19、図20に示すフローチャートを用いて、図6〜図8に示すテーブルを参照しつつ、図1に示されている移動体入力部7及び移動体位置解析部8で行われる処理について説明する。
図19に示すように、まず、移動体入力部7は、前述の空港に設置されたセンサからセンサ検知移動体情報200(図8を参照)を取得し(ステップS1)、このセンサ検知移動体情報200を移動体位置解析部8へ出力する。
【0047】
そして、移動体位置解析部8は、入力されたセンサ検知移動体位置情報200の識別ID201が、図6に示す移動体エントリデータテーブル210に登録されているか否かの判定を行うために、移動体エントリデータテーブル210から1移動体エントリデータ211〜220を取り出す(ステップS2)。そして、当該移動体位置情報200の識別ID201と、移動体エントリデータの識別ID211とを比較して(ステップS3)、入力された移動体位置情報200が、移動体エントリデータの中に登録されているか否かを判定する(ステップS4)。
【0048】
ここで、空港面内に初めて出現した移動体の位置が何処であるか、つまり滑走路なのかSPOTなのかによって、出発機か到着機かを識別している。一度、出現した移動体は、移動体エントリデータテーブル210に登録され、誘導指示が終了して消滅するまで管理される。また、画面にプロットされる移動体の位置は、識別IDをキーにして座標を参照することにより、更新される。逆に、出発機が離陸した後の、登録済み移動体の消滅については、登録済み識別ID211(図6参照)と同じ識別ID201(図8参照)がセンサから数秒間送信されない場合に、消滅と判断され、移動体エントリデータテーブル210からそのエントリデータが削除される。
【0049】
この判断ステップS4においる移動体位置情報200が登録されているかの判定は、図6に示される移動体エントリデータテーブル210から1つの移動体データ(例えば、211〜217)を参照(ステップS2)し、図8に示した移動体位置情報200の識別ID201と図6に示した移動体エントリデータの識別ID211を比較することによって行われる。そして、この比較判断を、図6に示されているn個の移動体エントリデータについてステップS2〜S6の処理を繰り返し実施する。
【0050】
すなわち、センサで検知した移動体位置情報200の識別ID201と一致するエントリデータが存在した場合は、当該移動体エントリデータを前述の移動体位置情報(201〜205)の内容で更新し(ステップS5)、空港面の表示更新を行う(ステップS8)。
一方、判断ステップS4で、センサで検知した移動体位置情報200の識別ID(201)と一致するエントリデータが存在しないと判定された場合は、後述するように新規に移動体エントリデータを登録し(ステップS7)、空港面の表示更新を行う(ステップS8)。
【0051】
次に、新規に移動体エントリデータを登録する処理について、図20のフローチャートに基づいて説明する。まず、新規移動体エントリデータ領域(211〜217)を移動体エントリデータテーブル210に確保する(ステップS11)。そして、確保した移動体エントリデータ領域へ移動体入力部7から入力した領域ID201、コールサイン202、X座標203、Y座標204、検出時刻205を格納する(ステップS12〜S15)。
【0052】
次に、入力した移動体のX座標203、Y座標204から航空機種別の判定を行う(ステップS16)を行う。このステップS16の航空機種別の判定は、X座標203、Y座標204が図3に示す滑走路範囲内101、スポット範囲内102、滑走路とスポット以外の3通りで判定する(ステップS16〜S18)。
【0053】
すなわち、X座標203、Y座標204が図3の滑走路範囲内101の場合は、航空機種別217に“到着機”を設定する(ステップS17)。また、X座標203、Y座標204がスポット範囲内102の場合は、航空機種別217へ“出発機”を設定する(ステップS18)。そして、確保した移動体エントリデータ領域の動態状態217へ“新規指示待ち”を設定する(ステップS19)。
【0054】
なお、図19のステップS8に示す空港面の表示更新は、空港面情報DB1と移動体情報DB2を参照して、表示部18へ空港面(図2)上に移動体シンボル103(図3参照)を重ねて表示する。
【0055】
(音声認識部12、誘導指示解析部14、音声解析部15の処理)
次に、図10、11に示す出発機と到着機に関する音声文型パターン、図16、17の出発機と到着機の誘導パターンの遷移図、図21のフローチャート、及び図18の誘導経路計算パラメータ、及び図22の管制官の発話例を用いて、音声認識部12、誘導指示解析部14及び音声解析部15で行われる処理の流れを説明する。
【0056】
図22に示すように、図1に示す音声解析部15は、音声入力部5から入力された、管制官が発話した音声データ601(“JAL365 cleared to land RWT27”)を音声認識部12へ出力する。すると、音声認識部12は、単語辞書データ11a及び文型パターン辞書データ11bに基づいて、到着機の文型パターンID(=19)602と第1フレーズ(“JAL365”:コールサイン)603と第2フレーズ(“cleared to land”)604と第3フレーズ(“RWY27”)605を音声認識結果として取得する(図21のステップS21)。そして、この音声認識結果が音声解析部15に出力される。
【0057】
次に、音声解析部15は、音声認識部12より取得した第1フレーズ(“JAL365”)の当該コールサインが移動体情報DB2の移動体エントリデータへ登録済みかを確認する(ステップS22)。
【0058】
当該コールサインが移動体エントリデータへ登録済みであれば、音声解析部15は、到着機の文型パターンID(=19)602と第1フレーズ(“JAL365”:コールサイン)603と、第2フレーズ(“cleared to land”)604と、第3フレーズ(“RWY27”)605とを誘導指示解析部14へ入力する。そして、音声解析部15は、誘導パターン情報格納部13により誘導指示ID(“H”)501と移動元エッジ名称(“E5”)504と移動先エッジ名称(“NULL”)505を取得する(ステップS23)。
【0059】
次に、音声解析部15は、移動体情報DB2の移動体エントリデータテーブル(図6を参照)の当該移動体の現在の動態状態217及び現在の誘導指示ID218と、到着機の誘導パターン遷移表(図17)を参照し、今回の図6の誘導指示ID218で示す誘導指示の遷移が可能か否かの妥当性を判定する(ステップS24)。
【0060】
このステップS24における誘導指示の妥当性の判定において、誘導パターン遷移表から見て滑走路または誘導路の遷移が可能である場合は、図18に示す誘導経路計算用パラメータ(501〜505)を設定して入出力制御部9へ出力し(ステップS25)、処理を終了する。
【0061】
(入出力制御部9、誘導経路計算部10の処理)
次に、図23のフローチャート及び図9の誘導経路情報図を用いて、図1の入出力制御部9及び誘導経路計算部10で行われる処理の流れを説明する。
【0062】
入出力制御部9は、音声解析部15から入力された、図18に示す誘導経路計算用パラメータを誘導経路計算部10へ出力する。誘導経路計算部10は、経路情報DB3を参照し、移動元エッジ名称504及び移動先エッジ名称505から図9に示す移動体を誘導するための誘導経路704を算出し、エッジ名称が設定される誘導経路リストを出力する(ステップS26)。
【0063】
図9に示されるように、移動元702と移動先703と移動体の現在位置(エッジ)をキーとして誘導経路リスト701を参照し、現在位置(エッジ)以降〜移動先までの誘導経路(図9の705〜723のいずれか1つ)を文字列として出力パラメータに返す。例えば、誘導経路723では、E25、E24、E23、E13、E14、E9の誘導経路を経由することを意味している。
【0064】
次に、入出力制御部9は、誘導経路計算部10にて算出した誘導経路リストを経路情報DB3へ格納する(ステップS27)。そして、入出力制御部9は、移動体情報DB2の動態状態217、誘導指示ID218、移動元エッジ名称219及び移動先エッジ名称220を現在の情報で更新する(ステップS28)。
【0065】
次に、入出力制御部9は、空港面情報DB1を参照し空港面を表示部18へ表示すると共に、移動体情報DB2を参照して移動体シンボルを表示部18へ表示し、経路情報DB3を参照して当該移動体の経路線を表示部18へ表示する(ステップS29)。
【0066】
(一具体例)
次に、図24のフローチャート及び図25〜図30に示す誘導経路の表示画面を用いて本発明の空港向け航空管制システムの一具体例について説明する。
図24のフローチャートは、音声入力部5を用いて管制官が航空機へ誘導指示する音声通話の例を示し、ステップS31、S33、S35は、コールサイン“JAL365”で識別される出発機1001(図25〜図30参照)に対する誘導指示であり、ステップS32、S34、S36は、コールサイン“ANA798”で識別される到着機1002(図27〜図30参照)に対する誘導指示である。
【0067】
まず、空港面内に移動体が存在しない状態、即ち初期状態において、図25に示すように、センサが移動体である出発機1001を検知すると、移動体入力部7は移動体1001のセンサ検知移動体情報200(図8参照)を移動体位置解析部8に出力する。本例では、移動体1001のセンサ検知移動体情報200は、識別ID201が“ID1”、コールサイン202が“JAL365”、X座標203が“500”、Y座標204が“0”、検出時刻205が“08:00:00”であるものとする。
【0068】
そして、移動体位置解析部8は入力されたセンサ検知移動体情報200を解析し、移動体情報DB2の移動体情報データテーブル210へ格納する。
【0069】
移動体情報データテーブル210の識別ID211、コールサイン212、X座標213、Y座標214、検出時刻215へは、移動体入力部7で入力したセンサ検知移動体情報200の値をそのまま設定する。即ち、識別ID211は“ID1”、コールサイン212は“JAL365”、X座標213は“500”、Y座標214は“0”、検出時刻215は“08:00:00”がそれぞれ設定される。
【0070】
次に、移動体位置解析部8は、空港面情報DB1を参照して移動体の出現位置、すなわちX座標213とY座標214の空港面情報内での相関位置を計算する。本例では、スポット区域102の範囲内に移動体が位置するので、航空機の種別が“出発機”と求まる。そこで、移動体位置解析部8は、図6の航空機種別216へ“出発機”を設定する。また、X座標213とY座標214の近傍に位置するスポットを検索することで、移動元エッジ名称219へ“SPOT3”が設定される。
【0071】
この状態では、後述する出発機1001(図25参照)は、初めて検知した移動体であるので、図6の動態状態217へ“新規指示待ち”を設定する。そして、移動体1001に関する情報を図6の移動体情報データテーブル210へ設定する処理を行った後、同内容を移動体情報DB2へ格納する。続いて、入出力制御部9は、空港面情報DB1を参照して表示部18に空港面形状を表示し、その空港面形状の中に、移動体情報DB2を参照して移動体シンボルを表示する。また、経路情報DB3を参照して誘導経路を表示する。以上の処理を行って、図25に示すように、表示部18の表示画面に出発機1001が初めて表示される。
【0072】
(第1の音声指示の処理例)
次に、管制官は表示部18へ表示された結果(図25を参照)を確認する。そして、図24に示すとおり、出発機である移動体1001を滑走路RWY27に誘導するため、管制官が移動体1001のパイロットに対して音声入力部5より第1の誘導指示であるプッシュバック指示 “JAL365 push back approved RWY27”<ジャパンエア スリー シックス ファイブ プッシュバックアプルーブ ランウェイ ツー セブン>(ステップS31)を発話する。
【0073】
音声入力部5は入力された発話を音声解析部15へ出力する。すると、音声解析部15は、音声認識部12を利用して、入力された発話の文型パターンIDとフレーズ群を求める。具体的には、音声認識部12は、入力された発話を、辞書11を参照して単語辞書データ11aとして登録された“JAL365”と“push back approved”及び“RWY27”の単語を検出し、文型パターン辞書データ11bを参照して文型パターンが<C/S> push back approved <rwy-n>と一致する文型パターンID=1(図10の301)を検出すると共に、第1フレーズ=“JAL365”と第2フレーズ=“push back approved” と第3フレーズ=“RWY27”を検出する。つまり、音声解析部15は、音声認識部12にて検出した文型パターンID=1と第1フレーズ=“JAL365”と第2フレーズ=“push back approved”と第3フレーズ=“RWY27”を発話復唱部16及び誘導指示解析部14へ出力する。このとき、図26に示すように、表示部18の表示画面には、出発機を誘導する表示経路である、“E25→E24”(図5参照)が表示される。
【0074】
発話復唱部16は、入力された第1フレーズ〜第3フレーズに対応する、予め準備してある音声再生データを音声出力部17へ出力する。すると、音声出力部17は、“スリー シックス ファイブ プッシュバックアプルーブ ランウェイ ツー セブン”という音声を再生する。
【0075】
一方、誘導指示解析部14は、移動体情報DB2を参照し、入力された文型パターンID=1及び第1フレーズ〜第3フレーズを、誘導パターン情報格納部13を介して第1フレーズの当該コールサインに対応する誘導経路計算パラメータの誘導指示ID(図18の501)と航空機種別(到着機:同503)を検出する。
【0076】
そして、誘導指示解析部14では、最初に第1フレーズ=“JAL365”をキーとして移動体情報DB2に登録された移動体情報データテーブル210内のコールサイン212を先頭より検索する。これにより、誘導指示解析部14は、移動体情報データテーブル210内に“JAL365”と一致するコールサインが検出されると当該コールサインの航空機種別216=”出発機“と移動元エッジ名称219=“SPOT3”を音声解析部15へ出力する。
【0077】
また、誘導指示解析部14は、第3フレーズ=“RWY27”を移動体情報データテーブル210内の当該コールサインの移動先エッジ名称220へ“RWY27”を設定すると共に、移動先エッジ名称=“RWY27”を音声解析部15へ出力する。
【0078】
そして、誘導指示解析部14は、第1フレーズ〜第3フレーズをキーとして誘導パターン情報格納部13を参照し、当該フレーズに対応する誘導指示ID=“A”(401a)を検出し、その検出結果を音声解析部15へ出力する。
【0079】
結果的には、誘導指示解析部14は、誘導指示ID=“A”、コールサイン=“JAL365”、航空機種別=“出発機”、移動元エッジ名称=“SPOT3”、移動先エッジ名称=“RWY27”を誘導経路計算パラメータとして音声解析部15へ出力することになる。
【0080】
更に、音声解析部15は、誘導指示解析部14で検出した誘導経路計算パラメータを入出力制御部9へ出力する。入出力制御部9は、入力された誘導経路計算パラメータを、誘導経路計算部10を利用して経路情報DB3に登録設定する。
【0081】
次に、誘導経路計算部10は、誘導経路計算パラメータである誘導指示ID=“A”、コールサイン=“JAL365”、航空機種別=“出発機”、移動元エッジ名称=“SPOT3”、移動先エッジ名称=“RWY27”、空港面情報DB1、及び誘導経路ルート表701(図9参照)を用いて、誘導経路を意味するエッジ名称リストを算出する。
さらに、移動元エッジ名称=“SPOT3”と移動先エッジ名称=”RWY27”をキーとして誘導経路ルート表701を検索し、移動元エッジ名称702が“SPOT3”で移動先エッジ名称703が“RWY27”に対応する行723の誘導経路リスト=“E25→E24→E23→E13→E14→E9”を算出する。以上の処理が完了すると、入出力制御部9は、誘導経路計算部10で算出した誘導経路リストと当該コールサインを対応付けて経路情報DB3へ格納する。
【0082】
そして、入出力制御部9は、空港面情報DB1と移動体情報DB2と経路情報DB3を参照して表示部18の表示の更新を行う。図26は、表示部18が図25の状態になった後に、第1の音声指示(図24のステップS31)の後の表示部18の表示画面を示している。すなわち、図26に示すように、出発機はプッシュバックして図27の位置に移動することになる。
【0083】
(第2の音声指示の処理例)
次に、前述の第1の音声指示処理後に実行される、第2の音声指示の処理例について説明する。
表示部18に図26の表示画面が表示された段階で、管制官が、滑走路へ進入中の移動体1002に対して着陸許可を誘導するため、移動体1002のパイロットへ音声入力部5より第2の誘導指示である着陸許可指示 “ANA798 cleared to land RWY27”< オールニッポン セブン ナイン エイト クリアードトゥーランド ランウェイ ツー セブン>(ステップS32)を発話する。この段階の表示部18の表示画面が図27である。すると、音声入力部5は入力された発話を音声解析部15へ出力する。音声解析部15は、音声認識部12を利用して発話の文型パターンIDとフレーズ群を求める。
【0084】
すなわち、図27は、出発機1001が図5に示すSPOT3からノードN19までのプッシュバックを終え、管制官から図24に示されるステップS31の指示を受けた状態、すなわち「プッシュバック完了、管制官からの指示待ち」223(図8参照)の状態を示している。
また、到着機1002が、新たな移動体として、滑走路区域101に現れた状態も図27に表示されている。この状態は、到着機1002が、管制官からの指示を待っている図17の「START(到着機)」の状態から、管制官からステップS32の指示を受けた状態、つまり図17の状態遷移(H)の状態を示している。
【0085】
具体的には、音声認識部12は、入力された発話を、辞書11を参照して単語辞書データ11aとして登録されている“ANA798”、“cleared to land”及び“RWY27”の単語を検出する。そして、文型パターン辞書データ11bを参照して文型パターンが<C/S> cleared to land <rwy-n>と一致する文型パターンID=19(325)を検出すると共に第1フレーズ=“ANA798”と第2フレーズ=“cleared to land”と第3フレーズ=“RWY27”を検出する。
【0086】
ここで、音声解析部15は、音声認識部12にて検出した文型パターンID=19と第1フレーズ=“ANA798”と第2フレーズ=“cleared to land”と第3フレーズ=“RWY27”を発話復唱部16と誘導指示解析部14へ出力する。
【0087】
そして、発話復唱部16は、入力された第1フレーズ〜第3フレーズに対応する、予め準備してある音声再生データを音声出力部17へ出力する。すると、音声出力部17は、“オールニッポン セブン ナイン エイト クリアードトゥーランド ランウェイ ツー セブン”という音声を再生する。
【0088】
一方、誘導指示解析部14は、移動体情報DB2を参照し、入力された文型パターンID=19と第1フレーズ〜第3フレーズを、誘導パターン情報格納部13を介して第1フレーズの当該コールサインに対応する誘導経路計算パラメータの誘導指示ID501と航空機種別503(図18参照)を検出する。
【0089】
また、誘導指示解析部14は、最初に第1フレーズ=“ANA798”をキーとして移動体情報DB2に登録された移動体情報データテーブル210内のコールサイン212(図6参照)を先頭より検索する。そして、移動体情報データテーブル210内に“ANA798”と一致するコールサインが検出されると、当該コールサインの航空機種別216=“到着機”と移動元エッジ名称219=“E5”を音声解析部15へ出力する。
【0090】
そして、誘導指示解析部14は、第3フレーズ=“RWY27”を移動体情報データテーブル210内の当該コールサインの移動先エッジ名称220へ“E6”を設定すると共に、移動先エッジ名称=“E6”を音声解析部15へ出力する(図18参照)。
【0091】
次に、誘導指示解析部14は、第1フレーズ〜第3フレーズをキーとして誘導パターン情報格納部13を参照し、当該フレーズに対応する誘導指示ID=“H”(401h)を検出し、この検出結果を音声解析部15へ出力する。
【0092】
結果的には、誘導指示解析部14は、誘導指示ID=“H”、コールサイン=“ANA798”、航空機種別=“到着機”、移動元エッジ名称=“E5”、移動先エッジ名称=“E6”を誘導経路計算パラメータとして音声解析部15へ出力する。
【0093】
次に、音声解析部15は、誘導指示解析部14で検出した誘導経路計算パラメータを入出力制御部9へ出力する。そして、入出力制御部9は、誘導経路計算パラメータを、誘導経路計算部10を介して経路情報DB3を設定する。
【0094】
具体的には、誘導経路計算部10は、誘導経路計算パラメータである誘導指示ID=“H”、コールサイン=“ANA798”、航空機種別=“到着機”、移動元エッジ名称=“E5”及び移動先エッジ名称=“E6”を入出力制御部9に送る。そして、空港面情報DB1と誘導経路ルート表701(図9参照)を参照して、誘導経路を意味するエッジ名称リストを算出する。続いて、移動元エッジ名称=“E5”と移動先エッジ名称=“E6”をキーとして誘導経路ルート表701を検索することにより、移動元エッジ名称702が“E5”かつ移動先エッジ名称703が“E6”に対応する誘導経路リスト=“E5→E4→E3→E2→E6”(図5参照)が算出される。この経路は図28に到着機1002に対して示されている経路である。そして、入出力制御部9は、誘導経路計算部10で算出した誘導経路リストと当該コールサインを対応付けて経路情報DB3へ格納する。
【0095】
(第3の音声指示の処理例)
また、管制官は、第1の音声指示によりプッシュバック完了、指示待ち状態にある、出発機の移動体1001に対して、滑走路までの移動を誘導する。このため、移動体1001のパイロットへ音声入力部5より “JAL365 RWY27 approved taxi into position and hold”< ジャパンエア スリー シックス ファイブ ランウェイ ツー セブン タクシーイントゥーポジションアンドホールド>(ステップS33)を発話する。この第3の音声指示“JAL365 RWY27 approved taxi into position and hold”は、滑走路に入って離陸位置に入って待機せよ、を意味する。
【0096】
音声入力部5は、入力された発話を音声解析部15へ出力し、音声認識部12を経て発話の文型パターンIDとフレーズ群を求める。具体的には、音声認識部12は入力された発話を、辞書11を参照して単語辞書データ11aとして登録された“JAL365”と“RWY27”及び“ approved taxi into position and hold”の単語を検出し、文型パターン辞書データ11bを参照して、文型パターンが<c/s> <rwy-n> approved taxi into position and holdと一致する文型パターンID=14(314)を検出する。また、この検出と共に、第1フレーズ=“JAL365”と第2フレーズ=“RWY27”と第3フレーズ=“ approved taxi into position and hold”を検出する。
【0097】
そして、音声解析部15は、音声認識部12にて検出した文型パターンID=14と第1フレーズ=“JAL365”と第2フレーズ=“RWY27”と第3フレーズ=“approved taxi into position and hold”を発話復唱部16と誘導指示解析部14へ出力する。
【0098】
発話復唱部16は、入力された第1フレーズ〜第3フレーズを予め準備する音声再生データを音声出力部17へ出力する。そして、音声出力部17は、“ジャパンエア スリー シックス ファイブ ランウェイ ツー セブン タクシーイントゥーポジションアンドホールド”という音声を出力する。
【0099】
一方、誘導指示解析部14は、移動体情報DB2を参照し、入力された文型パターンID=14と第1フレーズ〜第3フレーズを、誘導パターン情報格納部13を介して第1フレーズの当該コールサインに対応する誘導経路計算パラメータの誘導指示ID(501)と航空機種別(503)を検出する。
【0100】
すなわち、誘導指示解析部14は、最初に第1フレーズ=“JAL365”をキーとして移動体情報DB2に登録された移動体情報データテーブル210内のコールサイン212を先頭より検索する。そして、移動体情報データテーブル210内に“ANA798”と一致するコールサインが検出されると当該コールサインの航空機種別216=“出発機”と移動元エッジ名称219=“E24”を音声解析部15へ出力する。
【0101】
更に、誘導指示解析部14は、第2フレーズ=“RWY27”を移動体情報データテーブル210内の当該コールサインの移動先エッジ名称220へ“E9”を設定すると共に、移動先エッジ名称=“E9”を音声解析部15へ出力する。
【0102】
次に、誘導指示解析部14は、第1フレーズ〜第3フレーズをキーとして誘導パターン情報格納部13を参照し、当該フレーズに対応する誘導指示ID=“F”(図16の401f)を検出し、この検出結果を音声解析部15へ出力する。
【0103】
結果的に、誘導指示解析部14は、誘導指示ID=“F”、コールサイン=“JAL365”、航空機種別=“出発機”、移動元エッジ名称=“E24”、移動先エッジ名称=“E9”を誘導経路計算パラメータとして音声解析部15に出力する。
【0104】
そして、音声解析部15は誘導指示解析部14で検出した誘導経路計算パラメータを入出力制御部9へ出力する。そして、入出力制御部9は、次に示すようにして、誘導経路計算部10を介して経路情報DB3を設定する。
【0105】
誘導経路計算部10は、誘導経路計算パラメータである誘導指示ID=“F”、コールサイン=“JAL365”、航空機種別=“出発機”、移動元エッジ名称=“E24”、移動先エッジ名称=”E9”を入出力制御部9に入力する。そして、空港面情報DB1と誘導経路ルート表701(図9)を参照し、誘導経路を意味するエッジ名称リストを算出する。移動元エッジ名称=“E24”と移動先エッジ名称=”E9”をキーとして誘導経路ルート表701を検索し、移動元エッジ名称702が“E24”で移動先エッジ名称703が”E9”に対応する誘導経路リスト=“E24→E23→E13→E14→E9” (図5参照)を算出する。そして、入出力制御部9は、誘導経路計算部10で算出した誘導経路リストと当該コールサインを対応付けて経路情報DB3へ格納する。
【0106】
次に、入出力制御部9は、空港面情報DB1と移動体情報DB2と経路情報DB3を参照して表示部18の表示画面を更新する。図28に示す表示画面は、図27に示す表示画面が表示部18に表示されている時に、第2の音声指示処理(ステップS32)及び第3の音声指示処理(ステップS33)が完了した後に、表示部18に表示される表示画面である。すなわち、表示部18には、図28に示すように、到着機1002の誘導経路リストである“E5→E4→E3→E2→E6”と、出発機1001の誘導経路リストである“E24→E23→E13→E14→E9”が表示される。
【0107】
このように、図28は、図27の状態から、出発機1001が管制官から図24のステップS33の指示を受けて「誘導路移動中」225(図7参照)であることを示している。この状態は図16の状態遷移(F)に対応している。すなわち、上述したように、図28は、誘導経路計算部10によって、誘導経路“E24→E23→E13→E14→E9”が求められ、表示された例を示している。
【0108】
続いて、第4の音声指示(ステップS34)及び第5の音声指示(ステップS35)の処理手順は、前述した第2の音声指示(ステップS32)の処理の手順と同じなので、説明は省略する。なお、図29及び図30は、第4の音声指示(ステップS34)と第5の音声指示(ステップS35)後に、表示部18の表示が更新された状態を示している。
【0109】
すなわち、図29は、図28の状態から、更に、出発機1001が管制官から図24のステップS35の指示を受けて「誘導路移動中」225(図7参照)の誘導指示を受けたことを示す。この誘導指示の状態は図12の状態遷移(G)に対応している。すなわち、誘導経路“E24→E23→E13→E14→E9”の中で通過し終わった経路“E24→E23→E13→E14” (図5参照)を画面から消去した例を示している。また、図29は、到着機1002が誘導経路“E6”を移動中であることも示している。
【0110】
図30は、図29の状態から、出発機1001が滑走路RWY27に到着し、誘導指示が「END」となった状態を示している。この状態では、出発機が通過し終わった誘導経路“E9”(図29、図5参照)も削除されている。また、到着機1002は、管制官から図24のステップS36の誘導指示を受けて「誘導路移動中」225(図7参照)であることを示す。この誘導指示の状態は図17の状態遷移(M)に対応している。すなわち、誘導経路計算部10により、新たにE6からSPOT1までの誘導経路“E10→E15→E17”(図5参照)が求められ、表示された例を示している。
【0111】
以上本発明の実施の形態例について説明したが、本発明は前述の実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の応用例、変形例を含むことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上説明したように、本発明によれば、管制官の業務を変更することなく航空機へ指示した発話から指示した誘導経路を目視確認可能となり言い間違いによる誘導ミスを発見することを可能とする。また、指示した発話を復唱する機能を具備することにより視覚に加え聴覚による誤誘導の発見が可能となりより安全な航空誘導を図ることができる。
【符号の説明】
【0113】
1…空港面情報DB、2…移動体情報DB、3…経路情報DB、4…マンマシン情報DB、5…音声有力部、6…操作入力部、7…移動体入力部、8…移動体位置解析部、9…入出力制御部、10…誘導経路計算部、11…辞書、12…音声認識部、13…誘導パターン情報格納部、14…誘導指示解析部、15…音声解析部、16…発話復唱部、17…音声出力部、18…表示部、101…滑走路区域、102…スポット区域、1001…出発機、1002…到着機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空港面上の滑走路、誘導路及びスポット位置など管制の表示に必要となる形状データを格納する空港面情報格納手段と、
空港面に存在する航空機や車両を含む移動体を検出して現在位置を解析する移動体位置解析手段と、
前記移動体位置解析手段で解析した前記移動体の位置を、画面上にシンボルで表示する表示手段と、
前記表示手段でシンボル表示した前記移動体の選択を行う操作入力手段と、
管制官の発話を入力する音声入力手段と、
前記音声入力手段から入力した発話を解析して、前記移動体の識別と前記移動体への誘導指示を抽出する音声解析手段と、
前記移動体位置検知手段において検出した現在位置と、前記音声解析手段において抽出した前記移動体への誘導指示を入力とし、前記移動体の誘導経路を計算する誘導経路計算手段と、
を備えたことを特徴とする空港向け航空管制システム。
【請求項2】
前記音声解析手段は、前記音声入力手段から入力した移動体への誘導指示を復唱する発話復唱手段を、更に備えることを特徴とする請求項1に記載の空港向け航空管制システム。
【請求項3】
更に、前記音声解析手段による誘導指示を解析する誘導指示解析手段と、
前記移動体毎の誘導指示の状態を格納する移動体情報格納手段と、
前記移動体に対して音声入力する誘導指示を行うための誘導パターンを格納する誘導パターン情報格納手段を、
更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の空港向け航空管制システム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記移動体位置検知手段で検知した前記移動体の現在位置と、前記移動位置解析手段で解析した音声による移動指示から算出した誘導経路を、同時に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空港向け航空管制システム。
【請求項5】
空港面上の移動体の位置を検出して現在位置を解析する移動体位置解析手段と、
管制官の発話を入力する音声入力手段と、
前記移動体への誘導パターンを格納する誘導パターン格納部と、
前記音声入力手段からの音声による移動体への誘導指示を、前記誘導パターン情報に基づいて解析する誘導指示解析手段と、
前記移動体位置解析手段で解析した前記移動体の現在位置と、前記誘導指示解析手段で解析した音声による移動指示から算出した誘導経路を、同時に表示する表示手段を、
備えることを特徴とする空港向け航空管制システム。
【請求項1】
空港面上の滑走路、誘導路及びスポット位置など管制の表示に必要となる形状データを格納する空港面情報格納手段と、
空港面に存在する航空機や車両を含む移動体を検出して現在位置を解析する移動体位置解析手段と、
前記移動体位置解析手段で解析した前記移動体の位置を、画面上にシンボルで表示する表示手段と、
前記表示手段でシンボル表示した前記移動体の選択を行う操作入力手段と、
管制官の発話を入力する音声入力手段と、
前記音声入力手段から入力した発話を解析して、前記移動体の識別と前記移動体への誘導指示を抽出する音声解析手段と、
前記移動体位置検知手段において検出した現在位置と、前記音声解析手段において抽出した前記移動体への誘導指示を入力とし、前記移動体の誘導経路を計算する誘導経路計算手段と、
を備えたことを特徴とする空港向け航空管制システム。
【請求項2】
前記音声解析手段は、前記音声入力手段から入力した移動体への誘導指示を復唱する発話復唱手段を、更に備えることを特徴とする請求項1に記載の空港向け航空管制システム。
【請求項3】
更に、前記音声解析手段による誘導指示を解析する誘導指示解析手段と、
前記移動体毎の誘導指示の状態を格納する移動体情報格納手段と、
前記移動体に対して音声入力する誘導指示を行うための誘導パターンを格納する誘導パターン情報格納手段を、
更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の空港向け航空管制システム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記移動体位置検知手段で検知した前記移動体の現在位置と、前記移動位置解析手段で解析した音声による移動指示から算出した誘導経路を、同時に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空港向け航空管制システム。
【請求項5】
空港面上の移動体の位置を検出して現在位置を解析する移動体位置解析手段と、
管制官の発話を入力する音声入力手段と、
前記移動体への誘導パターンを格納する誘導パターン格納部と、
前記音声入力手段からの音声による移動体への誘導指示を、前記誘導パターン情報に基づいて解析する誘導指示解析手段と、
前記移動体位置解析手段で解析した前記移動体の現在位置と、前記誘導指示解析手段で解析した音声による移動指示から算出した誘導経路を、同時に表示する表示手段を、
備えることを特徴とする空港向け航空管制システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−211536(P2010−211536A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57153(P2009−57153)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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