説明

空調コントロール装置

【課題】ユーザが好みに応じて機能スイッチ部の表示レイアウトを選択できるようにした空調コントロール装置を提供する。
【解決手段】空調コントロール装置は、空調関連機器の動作状態の変更指示を受け付ける機能スイッチ部46,47,48を表示するタッチセンサ方式の表示操作部14と、表示操作部14の表示画面を制御するとともに表示操作部14上でのタッチ操作で受け付けた指示に基づいて空調関連機器に制御信号を送信する制御部とを備える。制御部は、表示操作部14上における機能スイッチ部46,47,48の表示レイアウトを変更して表示可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調コントロール装置に係り、特に、自動車等の車両に搭載される空調コントロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図13に示すようなコントロールパネル102を有する空調コントロール装置100が自動車等の車両に搭載されている。一般に、自動車における空調コントロール装置100のコントロールパネル102は、運転席と助手席との間に位置するコンソールボックスの上部に設置されている。
【0003】
空調コントロール装置100のコントロールパネル102は、例えば液晶表示装置によって構成される表示部104と、この表示部104に隣接する両側および下側に配列された多数の押しボタン式の機能スイッチ106〜128とを含む。
【0004】
表示部104は、空気吹き出しやエアコンディショナ等の車両用空調関連機器の現状の動作状態を表示する部分である。この例では、表示部104の両側104a,104bに設定温度が数値によってそれぞれ表示され、中央領域104cには空気吹き出し量および吹き出し方向がマークによって表示されている。なお、設定温度の数値は、下記する温度調整スイッチによって所定の温度範囲内で例えば0.5度刻みで任意に設定が可能である。
【0005】
図13に示すコントロールパネル102に含まれる機能スイッチについて簡単に説明すると、図中の上段右側から順に、運転席側温度調整スイッチ106、オート制御スイッチ108、空調オフスイッチ110、フロントデフォッガスイッチ112、デュアルモードスイッチ114および助手席側温度調整スイッチ107が配置され、図中の下段右側から順に、エアコン(「A/C」と表記、エアコンプレッサの略、以下に同じ。)スイッチ116、内外気切り替えスイッチ118、風量調整スイッチ120、吹き出しモードスイッチ122、後部座席空調スイッチ124、リアデフォッガスイッチ126、および、花粉除去モードスイッチ128が配置されている。
【0006】
コントロールパネル102の右側に配置される温度調整スイッチ106は縦長のスイッチであり、上側部分を押すと押し回数等に応じて運転席側の設定温度が上昇し、下側部分を押すと押し回数等に応じて運転席側の設定温度が下がるようになっている。また、コントロールパネル102の左側に配置されている温度調整スイッチ107も同様に縦長のスイッチであって、デュアルモードスイッチ114がオンされているときに助手席側の設定温度を運転席側とは独立して調整可能にするものであり、上側部分を押すと押し回数等に応じて助手席側の設定温度が上昇し、下側部分を押すと押し回数等に応じて助手席側の設定温度が下がるようになっている。
【0007】
さらに、オート制御スイッチ108、フロントデフォッガスイッチ112、デュアルモードスイッチ114、エアコンスイッチ116、内外気切り替えスイッチ118、後部座席空調スイッチ124、リアデフォッガスイッチ126および花粉除去モードスイッチ128には、オン状態にあることを点灯によって示す作動インジケータランプ130がそれぞれ設けられている。
【0008】
このように上記空調コントロール装置100のコントロールパネル102には、表示部104の近傍に計13個のスイッチ部が密集して配置されている。なお、デュアルモード機能がない(いわゆるシングルモードの)空調コントロール装置では、表示部104の助手席側104bの温度表示、デュアルモードスイッチ、および、助手席側温度調整スイッチ107が存在しない。
【0009】
ここで、本発明に関連する先行技術として、例えば特開平7−112632号公報(特許文献1)には、車両用風向切替え表示装置が開示されている。この装置では、ステアリングホイールに設けられたエアコンディションスイッチ(17a)を操作すると、通常は車速メータが表示されている表示部の初期画面(図6)がエアコン関係用のメニュー画面(図7)に切り替わり、それから、コンソールボックスに設けられた多方向スイッチ(18)の操作選択部(18a)を操作して上記メニュー画面から「吹出口」を選択すると、表示部の表示が乗員に対する吹出方向を矢印で表す吹出方向選択画面(図8)に切り替わり、そして、表示部の吹出方向選択画面を見ながら上記多方向スイッチ(18)を操作して乗員等に対する空気吹出方向を選択および設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−112632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記において図13を参照して説明した従来の空調コントロール装置では、多くのスイッチ部が密集して配列されているために、例えば運転者はスイッチ操作を行いたいがどのスイッチがどの機能に対応するものなのかを直ぐに判断できずに操作に時間がかかったり、また、各スイッチに表示される図柄や文字等が小さいために表示内容が同じように見えてしまってスイッチを押し間違えることがあった。
【0012】
このことに対応して使用頻度が多い幾つかの機能スイッチを常時現れた状態とし、他の機能スイッチはカバーなどにより隠しておくことも考えられるが、この場合にはユーザによっては、機能スイッチが横並びで設置されている方が見やすくて操作しやすいと感じる人もいれば、縦並びまたは分散配置で設置されている方が見やすくて操作しやすいと感じることもある。
【0013】
これに関して特許文献1では、表示部を初期画面からエアコン関係用メニュー画面に切り替え、さらに、このメニュー画面から「吹出口」を選択して吹出方向選択画面に切り替えて、この選択画面上で吹出方向を設定または変更するものであるが、表示部はインストルメントパネルに設置され、表示部にエアコン関係用メニュー画面を表示させるためのエアコンディションスイッチがステアリングホイールに設置され、メニュー画面から「吹出口」、「オート」、「ファン」、「エアコン」の4つの機能のうちからどれを選択するかの操作、および、「吹出口」を選択した後に切り替わった吹出方向選択画面でどの方向の吹出しにするかを選択操作するための多方向スイッチがコンソールボックスに設置されている。このように操作位置と表示位置とが離れている車両用空調表示装置は、使い易い構造になっているとはとてもいえないし、また、上記4つの機能の表示レイアウトをユーザが好みに応じて変更することもできない。
【0014】
本発明の目的は、ユーザが好みに応じて機能スイッチ部の表示レイアウトを選択できるようにした空調コントロール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る空調コントロール装置は、空調関連機器の動作状態を表示可能であるとともに、前記空調関連機器の動作状態の変更指示を受け付ける機能スイッチ部を表示するタッチセンサ方式の表示操作部と、前記表示操作部の表示画面を制御するとともに前記表示操作部上でのタッチ操作で受け付けた指示に基づいて前記空調関連機器に制御信号を送信する制御部と、を備え、前記制御部は、前記表示操作部上における前記機能スイッチ部の表示レイアウトを変更して表示可能であるものである。ここで、本願明細書において「表示レイアウトの変更」は、表示操作部に表示される機能スイッチ部の表示位置、機能スイッチ部の数、および、機能スイッチ部の表示内容の少なくともいずれかが変更された場合を含むものとする。
【0016】
本発明に係る空調コントロール装置において、前記制御部は、前記空調関連機器の動作状態の表示モードとして、車室内のインストルメントパネルの正面画像または側面画像にエア吹出しを表すマークを付した吹出し状態表示モードを選択して表示可能であってもよい。
【0017】
また、本発明に係る空調コントロール装置において、前記制御部は、前記表示操作部の表示色を選択して変更可能であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様である空調コントロール装置によれば、空調コントロール装置の表示操作部について、機能スイッチ部の表示レイアウトを変更して表示可能としたことで、ユーザが好みに応じた表示レイアウトの表示画面を選択することができ、商品価値が向上する。
【0019】
また、本発明の別の態様である空調コントロール装置によれば、インストルメントパネルからのエア吹出し方向を一目で分かりやすく表示することができる。
【0020】
さらに、本発明の更に別の態様の空調コントロール装置によれば、空調コントロール装置の表示色をユーザの好みに応じて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態である空調コントロール装置のコントロールパネルを示す正面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】空調コントロール装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】空調コントロール装置の表示操作部を示す図であり、通常表示画面が表示されている状態を示す図である。
【図5】通常表示画面上のメニュースイッチ部のタッチ操作により切り替わった第1メニュー画面を示す図である。
【図6】図5の第1メニュー画面上の設定スイッチ部をタッチ操作することにより切り替わった第2メニュー画面を示す図である。
【図7】図6の第2メニュー画面上の機能表示切替スイッチ部をタッチ操作することによって切り替わった全機能表示画面を示す図である。
【図8】写真のようなインパネ正面画像にエア吹出し方句を矢印で示す第1エア吹出し表示モードを示す図である。
【図9】模式的なインパネ正面画像にエア吹出し方句を矢印で示す第2エア吹出し表示モードを示す図である。
【図10】エア吹出し状態を模式的なインパネ側面画像とエア吹出しマークとで示す第3エア吹出し表示モードを示す図である。
【図11】表示操作部の中央領域に風景画像、家族写真等の表示可能にした例を示す図である。
【図12】図4の通常表示画面に対して機能スイッチ部の配置が変更された後の通常表示画面を示す図である。
【図13】従来の車両用空調コントロール装置のコントロールパネルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態である空調コントロール装置10のコントロールパネル12を示す正面図であり、図2は図1におけるA−A断面図である。
【0024】
空調コントロール装置10は、自動車等の車両に搭載される空調関連機器の動作を制御および操作するためのものであり、例えば自動車では運転席と助手席との間に位置するコンソールボックスに設置されるのが一般的である。
【0025】
空調コントロール装置10は、車室内に面した部分にコントロールパネル12を有している。コントロールパネル12は、その中央領域に略長方形状の表示操作部14を含む意匠パネル16を備えている。意匠パネル16は、例えば樹脂板によって形成され、表示操作部14に対応する部分が透光部18となっている。この透光部18は、薄い透明フィルムによって構成されるのが好ましいが、意匠パネル16に貫通して形成された開口部としてもよい。
【0026】
意匠パネル16の透光部18の裏面(すなわち車室に面した表面とは反対側の面)には、透明又は半透明なタッチセンサシート20が貼着されている。タッチセンサシート20は、表示操作部14よりも一回り大きい長方形状をなし、その周辺部が意匠パネル16に接着等されて取り付けられている。タッチセンサシート20は、例えば静電容量式の電極シートが好適に用いられる。ただし、これに限定されるものではなく、抵抗接触式のタッチセンサシートが用いられてもよい。
【0027】
タッチセンサシート20は、ユーザ等の操作者によって表示操作部14のどの部分または領域がタッチ操作されたかを検出するためのものである。このタッチセンサシート20によって検出されるタッチ位置を後述する表示装置に表示される機能スイッチ部の位置と対応づけることにより、どの機能スイッチ部がタッチ操作されたかを認識できるようになっている。
【0028】
このように本実施形態における表示操作部14は、タッチセンサ方式(またはタッチパネル方式)の表示操作部である。タッチセンサシート20が貼着された意匠パネル16はハウジング22に取り付けられ、これによりハンジングサブアセンブリが組み立てられる。
【0029】
また、表示操作部14は、タッチセンサシート20に隙間をあけて対向する位置に薄型の表示装置24が配置されている。表示装置24には、省電力で高精細な画面表示が可能なドットマトリクス方式の有機ELディスプレイが好適に用いられる。ただし、これに限定されるものはなく、液晶ディスプレイ等が表示装置24に用いられてもよい。
【0030】
表示装置24は、ホルダ26によって保持された状態で制御基板28上に固定され、これにより基板サブアセンブリが構成されている。この基板サブアセンブリが組み立てられるとき、表示装置24に一端が接続されたフレキシブル配線(図示せず)の他端が制御基板28に接続される。制御基板28には、後述する制御部を構成するCPU、ROM、RAM等の電子部品が実装されていている。
【0031】
コントロールパネル12を構成する意匠パネル16には、表示操作部14の両側に温度調整スイッチ32,33がそれぞれ設けられている。表示操作部14の右側に設置された温度調整スイッチ32は、運転席側の空調温度を設定するためのものであり、昇温ボタン32aおよび降温ボタン32bの2つの押しボタン式のノブスイッチにより構成されている。他方、表示操作部14の左側に設置されている温度調整スイッチ33は、助手席側の空調温度を設定するためのものであり、昇温ボタン33aおよび降温ボタン33bの2つの押しボタン式のノブスイッチにより構成されている。
【0032】
温度調整スイッチ32,33を構成する4つのノブスイッチ32a,32b,33a,33bにはコンタクトスイッチがそれぞれ設けられている。各コンタクトスイッチは、制御基板28に接続されている。これにより、温度調整スイッチ32,33が押し操作されることによって設定または変更された温度情報が制御基板28に伝達され、表示操作部14において上部右側領域に運転席側の設定温度が、上部左側領域に助手席側の設定温度がそれぞれ表示されるようになっている。ただし、いわゆる左ハンドル車では、運転席側と助手席側とが逆になる。
【0033】
なお、本実施形態の空調コントロール装置10は、運転席側と助手席側とで独立して空調温度を設定可能なデュアルモードを採用するが、単一の温度設定のみが可能であるシングルモードの空調関連機器のための空調コントロール装置では温度調整スイッチ33およびその設定温度表示が存在しないものとなる。
【0034】
空調コントロール装置10のコントロールパネル12には、さらに、表示操作部14の下方位置にフロントデフォッガスイッチ34およびリアデフォッガスイッチ36が互いに隣接して設定されている。各デフォッガスイッチ34,36は、法令上常に表示しておくことが求められる機能スイッチ部であり、フロントウィンドおよびリアウィンドの霜取りまたは曇り取りを行うためのものである。各デフォッガスイッチ34,36は、コンタクトスイッチを内蔵した押しボタン式のノブスイッチであり、一回の押し操作でオン状態となって作動インジケータランプ38が点灯し、次の押し操作でオフ状態となって作動インジケータランプ38が消灯するようになっている。
【0035】
上記のような構成を有する空調コントロール装置10は、まず、表示装置24、ホルダ26および制御基板28からなる基板サブアセンブリが、凹状空間を含むケース30にネジ留め等により取り付けられ、そして、意匠パネル16、タッチセンサシート20およびハウジング22で構成されるハウジングサブアセンブリとネジ留め等によって組付けられる。このとき、タッチセンサシート20に一端が接続されている図示しないフレキシブル配線の他端が制御基板28に接続される。これにより、空調コントロール装置10の組立が完了する。
【0036】
図3は、空調コントロール装置10の概略構成を示すブロック図である。空調コントロール装置10は、制御部40を備える。制御部40は、表示操作部14の表示装置24に表示する画面を制御するとともに表示操作部14上でのタッチ操作で受け付けた指示に基づいて車載された空調関連機器90に対して制御信号を送信する機能を有する。
【0037】
制御部40は、制御基板28に実装されたCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータによって好適に構成される。CPUは、必要に応じてROMから制御プログラム、画像データ等を読み出して処理および表示制御等を実行する。ROMは、制御プログラム、画像データを予め記憶する記憶部である。RAMは、処理または表示制御される制御プログラムや画像データを一時的に書き換え可能に記憶する記憶部である。
【0038】
制御部40には、表示装置24、タッチセンサシート20、および、各ノブスイッチ32,33,34,36に内蔵されたコンタクトスイッチが接続されている。また、制御部40は、空調コントロール装置10から外部に延伸するケーブル等を介して、例えば、ブロアファン、エアコンプレッサ、吹出通路切替え用駆動モータ、デフォッガ用熱線などの空調関連機器90に電気的に接続されている。
【0039】
図4は、空調コントロール装置10の表示操作部14を示す拡大図であり、通常表示画面(A)が表示されている状態を示す図である。表示操作部14には、空気吹き出しやエアコン等の空調関連機器90の現状の動作状態が表示されるとともに、各種空調機能のオン・オフまたは設定変更等を行うためのスイッチ部が表示されている。
【0040】
表示操作部14は、上側表示領域14Uと下側表示領域14Lとを含む。表示操作部14に表示された通常表示画面(A)において、上側表示領域14Uの右側部分15aには運転席側設定温度41が、同左側部分15bには助手席側設定温度43がそれぞれ表示されている。
【0041】
通常表示画面(A)において上側表示領域14Uの中央部分15cには、吹出し方向表示マーク42とファン作動状態表示マーク44とが表示されている。より詳しくは、吹出し方向表示マーク42は、乗員およびフロントガラスを模した図形に対して矢印でエア吹出し方向を示すマークであり、図4では乗員の正面および足元とフロントウィンドとにエアがそれぞれ吹き出している状態を示している。なお、本実施形態では、例えば、正面のみ、足元のみ、正面と足元、および、足元とフロントウィンドの4つのモードでエア吹出し方向を切り替えられるようになっている。
【0042】
上記ファン作動状態表示マーク44は、ファンの現状の作動状態を表示するマークであり、ファンをイメージした4枚羽根のファンマークと、その下に表示されるオート制御マーク(「AUTO」と表記)とを含んでいる。ここで、ファンがオフされたときには上記ファンマークが表示されなくなり、また、オート制御モードがオンされていないときにはオート制御マークが表示されないこととなる。
【0043】
表示操作部14に表示された通常表示画面(A)の下側表示領域14Lには、複数の機能スイッチ部46〜49が表示されている。具体的には、3つの機能スイッチ部46,47,48と1つのメニュースイッチ部49が右側から順に横一列に並んで配置されている。
【0044】
より詳しくは、通常表示画面(A)には、ファンスイッチ部46、内外気切替えスイッチ部47、および、風量調整スイッチ部48が表示されている。これらの機能スイッチ部46,47,48は、車両に搭載された空調関連機器90が実行可能な全ての機能群から選択された一部の機能に対応する機能スイッチ部である。そして、本実施形態では、通常表示画面(A)に含まれるファンスイッチ部46、内外気切替えスイッチ部47、および、風量調整スイッチ部48の3つの機能スイッチ部は、一般に使用頻度が多いと想定される機能スイッチ部が選択されて通常表示されている例を示している。
【0045】
ここで、ファンスイッチ部46は、ファンをオンまたはオフされる際にタッチ操作される表示アイコンである。内外気切替えスイッチ部47は、外気を車室内に取り込むか内気を循環させるかを切り替える際にタッチ操作される表示アイコンである。さらに、風量調整スイッチ部48は、ファンによって送風される風量を増減させる際にタッチ操作される表示アイコンである。
【0046】
ただし、通常表示画面(A)に含まれる機能スイッチ部は、上記のもの以外の機能スイッチ部(例えば、図5に示すエアコンスイッチ部51、吹出しモードスイッチ部52等)が初期設定として表示されてもよいことは勿論である。また、通常表示画面(A)に含まれる機能スイッチ部の数は、3つに限定されるものではなく、例えば2つ、4つ等の他の数であってもよい。
【0047】
一方、通常表示画面(A)の下側表示領域14Lにおいて左端に表示されたメニュースイッチ部49は、操作者によるタッチ操作に応じて、通常表示画面(A)に表示されていない機能スイッチ部を表示操作部14に表示させるための表示アイコンである。本実施形態では、メニュースイッチ部49をタッチ操作すると、表示操作部14の下側表示領域14Lが図5に示すようなメニュー画面に切り替わる。なお、本実施形態では、通常表示画面(A)からメニュー画面を呼び出す際のスイッチ部を「メニュー」と表記したが、これに限定されるのもではなく、例えば「エアコン」、「詳細」、「設定」等の他の表記としてもよい。
【0048】
図5は、通常表示画面(A)上のメニュースイッチ部49がタッチ操作により切り替わった第1メニュー画面(M1)を示す。第1メニュー画面(M1)の下側表示領域14Lには、空調関連機器90で実行可能な機能群のうち通常表示されていない機能に対応する機能スイッチ部の一部が含まれる。具体的には、図5に示す第1メニュー画面(M1)には、エアコンスイッチ部51および吹出しモードスイッチ部52が横に並んだ状態で表示される。これらの機能スイッチ部51,52をタッチ操作することによって、エアコンプレッサ(すなわちエアコンディショナ機能)のオン・オフ、および、エア吹出しモードの変更を行うことができる。
【0049】
また、第1メニュー画面(M1)には、上記各機能スイッチ部51,52に並んでネクストスイッチ部(「NEXT」と表記)53と設定スイッチ部(「設定」と表記)66とが横に並んで表示されている。なお、ここでは設定スイッチ部66を「設定」と表記したスイッチ部として説明および図示しているが、例えば、「選択」、「カスタム」、「スイッチ」、「切替」等の他の表記をしたスイッチ部としてもよい。
【0050】
第1メニュー画面(M1)においてネクストスイッチ部53をタッチ操作すると、表示操作部14の下側表示領域14Lの表示が例えばスクロール方式で別のメニュー画面(図示せず)に切り替わる。この別のメニュー画面には、通常表示画面(A)および第1メニュー画面(M1)に含まれていない他の機能スイッチ部(例えば、図7に示すようなオート制御スイッチ部50、後部座席空調スイッチ部55、デュアルモードスイッチ部56等)が表示される。これにより、通常表示画面(A)および第1メニュー画面(M1)に表示されていない機能スイッチ部についてタッチ操作することでオン・オフさせることができる。
【0051】
さらに、第1メニュー画面(M1)に切り替わったとき、表示操作部14の上側表示領域14Uの左端には、リターンスイッチ部54が表示される。このとき通常表示画面(A)において上側表示領域14Uに表示されている運転席側および助手席側設定温度41,43、ならびに、その間の吹出し方向表示マーク42およびファン作動状態表示マーク44が、横方向幅が少し縮小されて表示されることになる。上記リターンスイッチ部54をタッチ操作すると、図4に示す通常表示画面(A)に戻ることができる。
【0052】
図6は、第1メニュー画面(M1)に含まれる設定スイッチ部66をタッチ操作することにより切り替わった第2メニュー画面(M2)を示す。第2メニュー画面(M2)の下側表示領域14Lには、左側から順に、機能表示モード選択スイッチ部(図中「機能」と表記)58、表示スイッチ部(図中「表示」と表記)60、配置スイッチ部(図中「配置」と表記)62、および、カラースイッチ部(図中「カラー」と表記)64が横方向に並んで表示されている。
【0053】
ここで、機能表示モード選択スイッチ部58、表示スイッチ部60、および、配置スイッチ部62が、それぞれ、表示操作部14上における機能スイッチ部の表示レイアウトを変更して表示させるためのスイッチ部に相当し、カラースイッチ部64は表示操作部14の表示色を選択して変更するためのスイッチ部に相当する。
【0054】
第2メニュー画面(M2)において機能表示モード選択スイッチ部58がタッチ操作されると、表示操作部14の表示が図7に示す全機能表示画面(M3)に切り替わる。この全機能表示画面(M3)には、通常表示画面(A)に表示されていた機能スイッチ部46〜48を含む、空調コントロール装置10によって制御可能な全ての機能に対応する機能スイッチ部が含まれる。
【0055】
具体的には、表示操作部14の上側表示領域14Uには右側から順に、エアコンスイッチ部51、吹出しモードスイッチ部52、内外気切替えスイッチ部47、後部座席空調スイッチ部55、および、デュアルモードスイッチ部56が横に並んで表示されている。
【0056】
また、全機能表示画面(M3)の下側表示領域14Lには、右側から順に、オート制御スイッチ部50、ファンスイッチ部46、風量アップスイッチ部48a、風量ダウンスイッチ部48b、および、メニュースイッチ部49が横に並んで表示されている。
【0057】
さらに、全機能表示画面(M3)の中段領域14Mには、右側から順に、運転席側設定温度41、ファン作動状態表示マーク44、吹出し方向表示マーク42、および、助手席側設定温度43が、図4に示す通常表示画面(A)に比べて縦寸法が縮められて表示されている。
【0058】
なお、全機能表示画面(M3)は、図4の通常表示画面(A)と対比すると、機能スイッチ部の数、表示位置、および、表示内容が変更された表示画面である。
【0059】
このように全面機能表示画面(M3)が表示されると、制御部40は、この全機能表示画面(M3)を新たな通常表示画面に設定する。これにより、使用頻度の多い幾つかの機能スイッチ部だけが表示されていた通常表示画面(A)では操作しにくいと感じるユーザは、全機能表示画面(M3)を通常表示画面とすることで、この画面上で全ての機能スイッチ部についてタッチ操作することができる。したがって、そのユーザにとって空調コントロール装置10が操作し易いものになる。
【0060】
図8は、図6に示す第2メニュー画面(M2)上で表示スイッチ部60がタッチ操作されることにより切り替わる第1エア吹出し表示モードを示す。第1エア吹出し表示モードでは、例えば24℃に設定されている運転席側設定温度が上側領域の右側角部近傍に、例えば25℃に設定されている助手席側設定温度が上側領域の左側角部近傍に、オート制御スイッチ部が下側領域の右側角部近傍に、メニュースイッチ部が下側領域の左側角部近傍にそれぞれ表示されている。そして、表示操作部14の残る全ての表示領域には、写真のようなインパネ正面画像にエア吹出し方向を矢印で現した画像が背景として表示されている。この場合、例えば、矢印サイズの大小によって、風量の多少を現すことができる。
【0061】
この表示モードによれば、インストルメントパネルからのエア吹出し方向を一目で分かりやすく表示することができる。また、ドットマトリックス表示方式の有機ELディスプレイによって表示される高精細な写真のような画像でエア吹出し状態を表示することで、図4等に示す吹出し方向表示マーク42に比べると、見た目にこれまでにない斬新な印象を与えるコントロールパネルとなり、このような表示モードを好むユーザにとっては商品価値がより高いものとなる。
【0062】
なお、図8に示す第1エア吹出し表示モードの画面は、図4の通常表示画面(A)と対比すると、機能スイッチ部の数、表示位置、および、表示内容が変更された表示画面である。
【0063】
図9は、第2エア吹出し表示モードを示す。この第2エア吹出し表示モードでは、模式的なインパネ正面画像にエア吹出し方句を矢印で示している。図6中の表示スイッチ部60がタッチ操作されることにより第2エア吹出し表示モードに切り替えてもよい。これによっても、インストルメントパネルからのエア吹出し方向を一目で分かりやすく表示することができる。この第2エア吹出し表示モードは、上記第1エア吹出し表示モードに代えて用いられてもよいし、あるいは、ユーザがいずれかを選択できるようにしてもよい。
【0064】
図10は、また別の第3エア吹出し表示モードを示す。この第3吹出し表示モードは、模式的なインパネ側面画像とエア吹出しマークとで示されている。また、ここでは風量が、略扇状の白いマークが順次に積み重なって表示されることで示される。これによっても、インストルメントパネルからのエア吹出し方向を一目で分かりやすく表示することができる。この第3エア吹出し表示モードは、上記第1および第2エア吹出し表示モードに代えて用いられてもよいし、あるいは、ユーザがいずれかを選択できるようにしてもよい。
【0065】
図11は、更に別の表示モードを示す。この表示モードでは、表示操作部14の中央領域に風景画像、家族写真等を表示可能にしている。風景画像等は、予め制御部40に記憶された画像データを呼び出して表示させるようにしてもよいし、家族写真等は、例えばUSBメモリ等の記憶媒体を介して又は携帯電話等からの無線送信によって制御部40が受け取って表示するようにしてもよい。この場合、吹出し方向表示マーク42を隅部に小さく表示させてもよい。このように、ユーザが好みの画像を背景として表示させるようにカスタマイズできるようにすることで、多様な好みのユーザに対応することが可能になって、空調コントロール装置10の商品価値がより向上する。
【0066】
図6に示す第2メニュー画面(M2)において配置スイッチ部62をタッチ操作すると、図12に示すような表示レイアウトの通常表示画面(A1)に切り替わる。この通常表示画面(A1)は、図4に示す通常表示画面(A)と対比すると、表示される機能スイッチ部の数および表示内容は同じであるが、表示位置が変更されている。すなわち、図12に示す通常表示画面(A1)では、表示操作部14の右端部分にファンスイッチ部46と内外気切替えスイッチ部47とが縦に並んで表示され、表示操作部14の左端部分に風量調整スイッチ部48がメニュースイッチ部49と縦に並んで表示されている。また、表示操作部14の中央部分に、運転席側設定温度41および助手席側設定温度43と吹出し方向表示マーク42とが表示されている。
【0067】
図12に示す画面が表示操作部14に表示されると、そのままこれが通常表示画面(A1)となる。一方、図12に示す通常表示画面(A1)上のメニュースイッチ部49をタッチ操作して図5に示す第1メニュー画面(M1)に切り替え、第1メニュー画面(M1)で設定スイッチ部66をタッチ操作して第2メニュー画面(M2)に切り替えて、再び配置スイッチ部62をタッチ操作することによって図4に示す通常表示画面(A)に設定し直すこともできる。
【0068】
次に、表示操作部14における表示色の変更について説明する。図6に示す第2メニュー画面(M2)上でカラースイッチ部64をタッチ操作すると、図9に示すように初期は黒地に白い文字、線図で示される表示が例えば赤等の別の色に変更することができる。これは、光源としてLEDを用いた場合、白色LEDに加えて、赤色LEDを装備しておくことで可能になる。また、多数色のLEDを装備しておき、カラースイッチ部64をタッチするごとに表示色が白→赤→オレンジ→緑→青→白といったように順次に変わっていくようにしてもよい。そして、ユーザが好みの表示色になったところでカラースイッチ部64の操作を止めれば、その表示色で通常表示画面(A),(A1),(M2)等が表示されることになる。
【0069】
上述したように本実施形態によれば、空調コントロール装置10の表示操作部14について、図4,7,12に示すように機能スイッチ部の表示レイアウトを変更して表示可能としたことで、ユーザが好みに応じた表示レイアウトの表示画面を通常表示画面として選択することができ、空調コントロール装置10の商品価値を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態の空調コントロール装置10では、エア吹出し状態の表示を、図4中の吹出し方向表示マーク42と、図8〜11に示すような表示モードに変更することができる。これにより、インストルメントパネルからのエア吹出し方向を一目で分かりやすく表示することができるとともに、ユーザが好みに応じた表示モードを選択できるという付加価値を創出できる。
【0071】
さらに、本実施形態の空調コントロール装置10では、表示色も変更可能としたことで、ユーザの好みに応じた表示色を選択して変更することができ、これによっても付加価値をより向上させることができる。
【0072】
なお、上記において本実施形態の空調コントロール装置10について説明したが、本発明は上記実施形態および変形例の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の変更や改良が可能である。
【0073】
例えば、上記においては空調コントロール装置10の表示操作部14において、通常表示画面(A)上のメニュースイッチ部49のタッチ操作により第1メニュー画面(M1)に移行し、それから、第1メニュー画面(M1)上の設定スイッチ部66をタッチ操作して第2メニュー画面(M2)に移行すると説明したが、通常表示画面(A)上のメニュースイッチ部49のタッチ操作により第2メニュー画面(M2)へ移行するものとしてもよい。これにより、表示レイアウト変更の操作がより簡易となる利点がある。
【0074】
また、上記においては空調コントロール装置10の表示操作部14における通常表示画面を図4、図7または図12に示す表示画面へと切り替えて表示レイアウトの変更を行うものとして説明したが、これに限定されるものではなく、図4に示す通常表示画面(A)に含まれる機能スイッチ部46〜48うちの何れかを長押し操作して選択して図7に示すような全機能表示画面(M3)に移行し、そこでタッチ操作した機能スイッチ部を上記長押し操作した機能スイッチ部と置換することによって通常表示画面の表示レイアウトの変更を行ってもよい。これにより、空調コントロール装置のカスタマイズ機能がより高くなり、ユーザが使い易いものとすることができる。
【符号の説明】
【0075】
10 空調コントロール装置、12 コントロールパネル、14 表示操作部、14L 下側表示領域、14U 上側表示領域、15a 右側部分、15b 左側部分、15c 中央部分、16 意匠パネル、18 透光部、20 タッチセンサシート、22 ハウジング、24 表示装置、26 ホルダ、28 制御基板、30 ケース、32,33 温度調整スイッチ、32,33,34,36 ノブスイッチ、32a,33a 昇温ボタン、32b,33b 降温ボタン、34 フロントデフォッガスイッチ、36 リアデフォッガスイッチ、38 作動インジケータランプ、40 制御部、41 運転席側設定温度、42 吹出し方向表示マーク、43 助手席側設定温度、44 ファン作動状態表示マーク、46 ファンスイッチ部、47 内外気切替えスイッチ部、48 風量調整スイッチ部、48a 風量アップスイッチ部、48b 風量ダウンスイッチ部、49 メニュースイッチ部、50 オート制御スイッチ部、51 エアコンスイッチ部、52 吹出しモードスイッチ部、53 ネクストスイッチ部、54 リターンスイッチ部、55 後部座席空調スイッチ部、56 デュアルモードスイッチ部、58 機能表示モード選択スイッチ部、60 表示スイッチ部、62 配置スイッチ部、64 カラースイッチ部、66 設定スイッチ部、90 空調関連機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調コントロール装置であって、
空調関連機器の動作状態を表示可能であるとともに、前記空調関連機器の動作状態の変更指示を受け付ける機能スイッチ部を表示するタッチセンサ方式の表示操作部と、
前記表示操作部の表示画面を制御するとともに前記表示操作部上でのタッチ操作で受け付けた指示に基づいて前記空調関連機器に制御信号を送信する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記表示操作部上における前記機能スイッチ部の表示レイアウトを変更して表示可能である、
空調コントロール装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空調コントロール装置において、
前記制御部は、前記空調関連機器の動作状態の表示モードとして、車室内のインストルメントパネルの正面画像または側面画像にエア吹出しを表すマークを付した吹出し状態表示モードを選択して表示可能である、空調コントロール装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空調コントロール装置において、
前記制御部は、前記表示操作部の表示色を選択して変更可能である、空調コントロール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−82379(P2013−82379A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224733(P2011−224733)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】