説明

空調システム及び空調方法

【課題】送風ファンの搬送動力を低く押えて空気調和装置の運転コストを低減する。
【解決手段】空気調和装置1の送風ファン3と小型送風機12との間に分岐チャンバ9を備え、分岐チャンバ9内の圧力が、全ての小型送風機12の停止時に各空調ゾーンに対して最小外気風量が供給される一定圧力を保持するように送風ファン3の回転数を制御する圧力制御器16と、送風ファン出口の給気温度が設定温度に保持されるように温度調節器2を制御する温度制御器19と、各空調ゾーンの還気温度を検出する還気温度センサ23からの還気検出温度を入力して上限許容温度と下限許容温度に基づき各空調ゾーンの小型送風機の起動・停止を指示するゾーン発停演算部、及び、還気温度センサからの還気検出温度に基づいて前記温度制御器における設定温度を変更する給気温度可変演算部を有する制御装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調システム及び空調方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、オフィスビルなどの大規模な建物では、空調対象空間の温度(室温)を一定に保つために、変風量単一ダクト方式の空調システムを採用している。その理由は、昔よく採用された定風量単一ダクト方式と比べ、室温追従性能が高く、送風量が空調対象空間の熱負荷により絞られるため搬送エネルギー消費が大幅に削減される利点があるためである。
【0003】
変風量単一ダクト方式の空調システムの基本的な温調の考え方は、以下のとおりである。熱負荷発生状況が同じとは限らない複数の空調ゾーンを有する空調対象空間を受け持つ空気調和装置(Air Handling Unit:AHU)は、その給気経路を、空調機から直接出ている主ダクトである給気ダクトを振り出しに、途中の分岐により空調ゾーンなどで分かれる複数の分岐ダクトを途中に介し、最後に空調対象空間の天井などにある多数の吹出口までとしている。空気調和装置は、複数の空調対象空間を受け持つが、給気経路に送り出す温調した空気は原則として空気温度を変化させずに供給し、各空調対象空間に対応する吹出口からの給気風量を、その空調対象空間の熱負荷に応じて変化させて、室内負荷や建屋負荷を処理することを基本としている。
【0004】
よって、各々の空調対象空間(空調対象空間の個別部分:空調ゾーンの場合もある)への風量調整は、設定室温、熱負荷が異なる場合があるため、天井の吹出口から空調対象空間へ送り込む冷風や温風の風量調節を行う必要がある。
【0005】
そこで、空気調和装置から空調対象空間へ至る給気経路の吹出口の手前に、風量の絞り手段としてのダンパを有する風量可変装置(Variable Air Volume:VAV)を設置したものが一般に用いられている。そして、空調対象空間の各空調ゾーンの熱負荷が少ない中間期などの場合に、風量可変装置が絞り込まれ、全体として給気経路に空気調和装置により押し込まれる温調空気が過剰になる場合が多くなる。よって、主ダクトである給気ダクトや給気ダクトの折曲部などに配されるサプライチャンバなどに、静圧を計測する圧力センサを設けて大気圧との差圧を計測し、その圧力値に応じて空気調和装置に備えた送風ファンの回転数を制御して温調空気の送風量が過剰にならないようにすることで、搬送エネルギーを削減するのである。(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、特許文献1に示す変風量単一ダクト方式の空調システムでは、送風ファンから給気ダクトに供給された給気を風量可変装置が内蔵するダンパで絞ることによって空調対象空間への供給風量を調節しているので、その給気ダクトの圧力値が例えば200〜300Paになるように給気の供給を行っており、その圧力値200〜300Paの殆どがダンパ抵抗として作用するので、圧力損失が大きいために送風ファンの消費動力が増加するという問題があった。更に、送風ファンと風量可変装置内蔵のダンパとの間の給気ダクト内の圧力が上記圧力値200〜300Paと大きく、さらにダンパ開閉による静圧も大きく変動するために、給気ダクトは圧力の変動によって変形しない高い強度を有した構成とする必要があり、従って、設備費用が増加するという問題を有していた。
【0007】
こうした問題に対処するために、本特許出願人は、空気調和装置から空調対象空間へ給気を送る給気経路の分岐ダクトと吹出口との間に、空調対象空間へ給気を送り込む回転数調整可能な小型送風機を備え、空調対象空間各空調ゾーン内に設けた温度センサの検出温度に基づいて小型送風機の回転数を調節することで、空調対象空間を細かく分けた小型送風機受け持ちエリアの温度を独立に制御できるようにした風量可変装置及び空調システムを出願した(特許文献2参照)。
【0008】
上記特許文献2では、空気調和装置の送風ファンから供給された主ダクトである給気ダクトや給気ダクトの折曲部などに配されるサプライチャンバ内の静圧が微正圧(例えば0〜5Pa)に保持されるように送風ファンの回転数を制御して給気の供給を行い、小型送風機は空調対象空間に設けた温度センサの検出温度に基づいて回転数を調整することにより、空調対象空間に送り込む給気量を、静圧測定点から吹出口までの給気量分の静圧を小型送風機で受け持って独立に制御しているので、前記ダンパによる空調方式に比して給気ダクト内の静圧上昇を大幅に低下することができて風路材料の選択を拡げ、又、ダンパによる空調方式に比して風量を調整するための風路抵抗が基本的に無くなることから、圧力損失が著しく少なくなるので、空気調和装置の搬送動力を効果的に低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−357356号公報
【特許文献2】特開2008−051466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記特許文献2では、給気経路には空気調和装置の送風ファンと風量可変装置の小型送風機という2台の送風機が直列に配置され、それぞれの送風機については、主ダクトである給気ダクトや給気ダクトの折曲部に配されるサプライチャンバに設けた圧力センサの検出圧力が一定値を保持するように、コントローラによって送風ファンの回転数を制御し、又、小型送風機は空調対象空間各空調ゾーン内に設けた温度センサの検出温度に基づいて独自に回転数を制御するようにしているため、送風ファンの回転数制御と小型送風機の回転数制御が追っ掛けっこして制御が不安定になる問題を有しており、又、小型送風機の回転数が低い部分負荷回転では効率が著しく低下するため、各小型送風機に高価なインバータを備えて制御しても十分な制御効果が得られない問題も有していた。この前述の制御が不安定になる問題に対しては、送風ファンの静圧を少し大きくしてさらに制御の応答性を遅くしたりして制御の追い掛けが生じなくしたり、後述の小型送風機の部分負荷効率低下の問題では、最低回転数を高めに規定しておいたりする対応を取る場合があり、その場合は理想的な搬送動力低減ができず、動力が増加するという問題を有していた。
【0011】
又、各小型送風機というモータを有する機器を空調対象空間各空調ゾーン内に設けた温度センサの検出温度に基づいて回転数調整する制御を行うため、ダンパを内蔵した風量可変装置の空調システムと比べ操作器が高価になる場合があり、必ずしも制御装置の設備コストが低減するとは言えない問題があった。
【0012】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、空気調和装置の送風ファン及び風量可変装置の小型送風機とを含む全体の送風機搬送動力を低く押えて空気調和装置の運転コストを低減できるようにし、且つ、簡単な装置構成によって制御装置の設備コストを低減できるようにした空調システム及び空調方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1の空調システムは、空調対象空間を複数の空調ゾーンに区分けして各空調ゾーンごとに少なくとも1台以上の小型送風機を配置し、温度調節器と送風ファンを有する空気調和装置を給気ダクトにより分岐チャンバに接続し、該分岐チャンバと前記空調ゾーンごとに配置した小型送風機との間をゾーンダクトにより接続し、小型送風機から各空調ゾーンの天井に複数配置した吹出口へ温調した給気を送るよう接続した構成において、
分岐チャンバ内又は分岐チャンバ近傍のゾーンダクト内の圧力が、全ての小型送風機の停止時に各空調ゾーンに対して最小外気風量が供給される一定圧力を保持するように前記送風ファンの回転数を制御する圧力制御器と、
前記給気ダクト内給気温度が設定温度に保持されるように前記温度調節器を制御する温度制御器と、
各空調ゾーンの還気温度を検出する空調ゾーン毎の還気温度センサからの還気検出温度を入力して、還気上限許容温度と還気下限許容温度に基づき、前記還気温度センサが対応する空調ゾーンの小型送風機の起動・停止を指示するゾーン発停演算部を有する制御装置と
を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2の空調システムは、請求項1の空調システムに追加して、複数ある空調ゾーン毎の還気温度センサからの各還気検出温度を入力して、前記還気上限許容温度の超過時間及び/または前記還気下限許容温度の超過時間に基づいて、前記温度制御器における設定温度を変更する給気温度可変演算部を有する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項3の空調システムは、空調対象空間を複数の空調ゾーンに区分けして各空調ゾーンごとに少なくとも1台以上の小型送風機を配置し、温度調節器と送風ファンを有する空気調和装置を給気ダクトにより分岐チャンバに接続し、該分岐チャンバと前記空調ゾーンごとに配置した小型送風機との間をゾーンダクトにより接続し、小型送風機から各空調ゾーンの天井に複数配置した吹出口へ温調した給気を送るよう接続した構成において、
分岐チャンバ内又は分岐チャンバ近傍のゾーンダクト内の圧力が、全ての小型送風機の停止時に各空調ゾーンに対して最小外気風量が供給される一定圧力を保持するように前記送風ファンの回転数を制御する圧力制御器と、
前記給気ダクト内給気温度が設定温度に保持されるように前記温度調節器を制御する温度制御器と、
各空調ゾーンの還気温度を検出する空調ゾーン毎の還気温度センサからの還気検出温度を入力して、各空調ゾーン毎に設定された、還気上限許容温度、還気下限許容温度、及び起動開始時間、停止開始時間に基づき、前記還気温度センサが対応する各空調ゾーンの小型送風機をスケジュールローテーションによって起動・停止を指示するスケジュール発停演算部を有する制御装置と
を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項4の空調システムは、請求項3の空調システムに追加して、複数ある空調ゾーン毎の還気温度センサからの各還気検出温度を入力して、前記還気上限許容温度の超過時間及び/または前記還気下限許容温度の超過時間に基づいて、前記温度制御器における設定温度を変更する給気温度可変演算部を有する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項5の空調システムは、請求項1から4の何れかの空調システムに追加して、制御装置が、前記ゾーン発停演算部または前記スケジュール発停演算部からの起動・停止指示が複数の空調ゾーンで略同時に出力されても、各空調ゾーンごとに備えた小型送風機の同時発停を防止する同時発停防止演算部を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項6の空調システムは、請求項1から5の何れかの空調システムに追加して、前記空調対象空間には、該空調対象空間から前記空気調和装置へ還気を戻す還気経路として天井室を設け、該天井室内に前記分岐チャンバ、前記ゾーンダクト、前記小型送風機、及び複数ある空調ゾーン毎の還気温度センサを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項7の空調システムは、請求項1から6の何れかの空調システムに追加して、一部の空調ゾーンに室内温度を検出する室内温度センサを設け、該一部の空調ゾーンでは前記制御装置の代わりに該室内温度センサからの室内検出温度に基づいて前記一部の空調ゾーンの小型送風機の回転数を制御する単独制御器を有することを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項8の空調方法は、請求項1の空調システムをもちいて冷房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度及び還気下限許容温度を予め制御装置に設定しておき、
暑い空調ゾーン、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーンがあるときはゾーン発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機へ起動信号を送る制御を行い、
寒い空調ゾーン、つまり還気下限許容温度を下回る空調ゾーンがあるときはゾーン発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機へ停止信号を送る制御を行う
ことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項9の空調方法は、請求項2の空調システムをもちいて冷房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度の超過許容時間及び還気下限許容温度の超過許容時間を予め制御装置に設定しておき、
暑すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンも還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンもあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値に維持し、
寒すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないとき、つまり還気上限許容温度または還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンがないときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更する
ことを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項10の空調方法は、請求項3の空調システムをもちいて冷房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気温度の上限許容温度、下限許容温度及び起動開始時間、停止開始時間を予め制御装置に設定しておき、
暑い空調ゾーンも寒い空調ゾーンもないとき、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーン及び還気下限許容温度を下回る空調ゾーンとも無い場合は、スケジュール発停演算部によるスケジュールローテーションによって各空調ゾーンの小型送風機を順次起動或いは順次停止する制御を行い
暑い空調ゾーン、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制起動のために該小型送風機へ起動信号を送る制御を行い、
寒い空調ゾーン、つまり還気下限許容温度を下回る空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制停止のために該小型送風機へ停止信号を送る制御を行う
ことを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項11の空調方法は、請求項4の空調システムをもちいて冷房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度の超過許容時間及び還気下限許容温度の超過許容時間を予め制御装置に設定しておき、
暑すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンも還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンもあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値に維持し、
寒すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないとき、つまり還気上限許容温度または還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンがないときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更する
ことを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項12の空調方法は、請求項1の空調システムをもちいて暖房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度及び還気下限許容温度を予め制御装置に設定しておき、
暑い空調ゾーン、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーンがあるときはゾーン発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機へ停止信号を送る制御を行い、
寒い空調ゾーン、つまり還気下限許容温度を下回る空調ゾーンがあるときはゾーン発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機へ起動信号を送る制御を行う
ことを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項13の空調方法は、請求項2の空調システムをもちいて暖房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度の超過許容時間及び還気下限許容温度の超過許容時間を予め制御装置に設定しておき、
暑すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンも還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンもあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値に維持し、
寒すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないとき、つまり還気上限許容温度または還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンがないときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更する
ことを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項14の空調方法は、請求項3の空調システムをもちいて暖房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気温度の上限許容温度、下限許容温度及び起動開始時間、停止開始時間を予め制御装置に設定しておき、
暑い空調ゾーンも寒い空調ゾーンもないとき、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーン及び還気下限許容温度を下回る空調ゾーンとも無い場合は、スケジュール発停演算部によるスケジュールローテーションによって各空調ゾーンの小型送風機を順次起動或いは順次停止する制御を行い
暑い空調ゾーン、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制停止のために該小型送風機へ停止信号を送る制御を行い、
寒い空調ゾーン、つまり還気下限許容温度を下回る空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制起動のために該小型送風機へ起動信号を送る制御を行う
ことを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項15の空調方法は、請求項4の空調システムをもちいて暖房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度の超過許容時間及び還気下限許容温度の超過許容時間を予め制御装置に設定しておき、
暑すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンも還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンもあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値に維持し、
寒すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないとき、つまり還気上限許容温度または還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンがないときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更する
ことを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項16の空調方法は、請求項5の空調システムをもちいて空調を行う空調方法であって、各空調ゾーンごとに備えた小型送風機の起動・停止が重ならないように、同時発停防止演算部により、以前発せられた起動信号もしくは停止信号により、起動遅延信号もしくは停止遅延信号が各空調ゾーン全てに発せられ、所定時間経過しないと小型送風機へ起動信号もしくは停止信号が出力されないよう演算されることによって、各空調ゾーンごとに備えた小型送風機の起動・停止をずらして制御することを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項17の空調方法は、請求項7の空調システムをもちいて空調を行う空調方法であって、一部の空調ゾーンに備えた室内温度センサの室内温度を入力する単独制御器により小型送風機の回転数を制御することで一部の空調ゾーンの室内温度を一定に保持するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明の空調システム及び空調方法によれば、下記のような優れた効果を奏し得る。
【0031】
(1)分岐チャンバ内の圧力が、全ての小型送風機の停止時に各空調ゾーンに対して最小外気風量が供給される一定圧力を保持するように送風ファンの回転数を制御し、且つ、各空調ゾーンごとの還気温度に基づいて各還気温度センサが対応する空調ゾーンごとに小型送風機の起動・停止を行う、又は、各空調ゾーンの起動開始時間、停止開始時間に基づいて、及び副次的に還気上限許容温度、還気下限許容温度に基づいて各空調ゾーンの小型送風機をスケジュールローテーションによって起動・停止を行うようにしたので、簡略な装置構成によって制御が容易になり、制御装置の設備コストが低減できる。
【0032】
(2)空調対象空間の温湿度などを決定するのは、居住している人間の生理的なセンサ(主に皮膚で感じる、実温度や当たる風による体感温度を感じている)により脳により決定させる快適環境条件を、例えば空調対象空間に満たされる空気の温湿度に置き換えている。この人間の生理的なセンサは、空気の温湿度変化に対してその変化が緩やかであれば遅れを持ってその変化を感じるところがある。この人間が感じる温冷感とそれに基づく快適感が、上記生理的なセンサが応答遅れがあることから、室内の給気について、定常的に給気を行う環境での快適感と、所定のスケジュールで給気/給気停止を行う環境での快適感とが殆ど同じで損なわれないことがある。
この再現性のある現象を利用して、給気を停止して空調ゾーン内の空気温度が上昇しても快適感が損なわれたと感じるまでの時間以前に給気を開始することを、スケジュール発停演算部によって、予め設定した起動開始時間と停止開始時間とでスケジュールローテーションによって各空調ゾーンの小型送風機を順次起動或いは順次停止する運転を行うことで、空調対象空間の熱負荷に依存しない給気制御を行うことができ、給気の搬送エネルギーが大幅に削減できる。
さらに、暑い空調ゾーン、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制起動し、寒い空調ゾーン、つまり還気下限許容温度を下回る空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制停止するので、空調対象空間の快適な温度条件が大きく崩れることも防ぐことができる。
【0033】
(3)給気温度可変演算部によって、各空調ゾーンの還気上限許容温度の超過許容時間または還気下限許容温度の超過許容時間に基づいて温度制御器における設定温度を変更するようにしたので、変風量単一ダクト方式でのロードリセット制御が的確にできるとともに、空気調和装置の温度調整器による入口出口空気の温度差をさらに拡大できて最小外気風量で運べる熱量が増加するので、各空調ゾーンの小型送風機の起動・停止の作動回数及び作動時間が減少し、よって小型送風機の搬送動力が低減できる。
【0034】
(4)同時発停防止演算部により各空調ゾーンに備えられる小型送風機の同時発停を防止するようにしたので、分岐チャンバ内又はゾーンダクト内の圧力の変動を抑制することができる。
【0035】
(5)小型送風機は回転数制御に比べて、給気風量の搬送エネルギーに対するモータに入力される電力のエネルギー比が常に効率の高いポイントで運転できることになり、よって小型送風機の搬送動力が低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の空調システムの一実施例を示す構成概念図である。
【図2】図1の空調システムの空調ゾーンの一例を示す平面図である。
【図3】図2の他の例を示す平面図である。
【図4】本発明に備える圧力制御器の制御方法を説明するための線図である。
【図5】本発明に備える温度制御器の制御方法を説明するための線図である。
【図6】本発明に備える制御装置の一例を示すブロック図である。
【図7】ゾーン発停演算部により1つの空調ゾーンを制御する際の制御フローチャートである。
【図8】ゾーン発停演算部による小型送風機の起動・停止の制御動作を示す線図である。
【図9】ゾーン発停演算部による小型送風機の起動・停止の運転動作を示す線図である。
【図10】制御装置に備える給気温度可変演算部の一例を示すフローチャートである。
【図11】制御装置に備える同時発停防止演算部の一例を示すフローチャートである。
【図12】図6に示した制御装置の他の例を示すブロック図である。
【図13】スケジュール発停演算部により1つの空調ゾーンを制御する際の制御フローチャートである。
【図14】スケジュール発停演算部による小型送風機の起動・停止の制御動作を示す線図である。
【図15】スケジュール発停演算部による小型送風機の起動・停止の運転動作を示す線図である。
【図16】本発明の空調システムの他の実施例を示す構成概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0038】
図1は本発明の空調システムの一実施例を示すもので、建物の空調対象空間Aである部屋に隣接して機械室Bが設けられ、この機械室Bには空気調和装置1が設けられている。空気調和装置1は、例えば冷温水コイルまたは直膨コイルなどの温度調節器2と送風ファン3を有しており、前記空調対象空間Aの天井4に備えた天井スリット5から、一般に天井還気チャンバと呼ばれる天井室Cに導かれた還気RAが、機械室Bの天井内壁から天井室Cへ開放端を覗かせた還気ダクト6により前記空気調和装置1に送風ファン3の吸引力により戻され、又、外気OAが外気ダクト7により図示しない外気送風機で空気調和装置1に供給されたり、送風ファン3の吸引力により導入されたりしている。そして、上記還気RAと外気OAが空気調和装置1内で混合された後、混合空気は、前記温度調節器2によって温度が調節された後、送風ファン3により給気SAとして、主ダクトである給気ダクト8を介して前記天井室Cに設けた分岐チャンバ9に供給している。即ち、従来では場合によっては空気調和装置には給気ダクトが接続され直接分岐ダクトが分岐しているのみであるが、本発明では空気調和装置1に給気ダクトを介して接続した分岐チャンバ9を備えている。又、前記天井室Cと建物の外部との間は排気ファン10を備え、末端の開放端を前記天井室Cに配置した排気ダクト11によって連通されており、前記外気ダクト7によって空気調和装置1に供給される外気OAと略同量の排気EAが、還気RAの一部から排気ファン10によって建物の外部に排出されている。このような空調対象空間Aの空調換気方式を、天井還気チャンバを用いた天井リターン方式といい、システム天井の普及にともない採用が多くなっている。
【0039】
尚、前記空調対象空間Aを冷房する場合には温度調節器2に冷却コイルが備えられ、又、空調対象空間Aを暖房する場合には温度調節器2に温水コイルが備えられ、その冷却コイルと温水コイルは個別にあっても、熱媒の供給切替により機能実現できる冷温水コイルであってもよく、以下において、空調対象空間Aを冷房する場合について説明する。
【0040】
図2は図1の空調システムの平面を示したものであり、図2では、機械室Bをコの字状に取り囲んだ形状を有する空調対象空間Aを3つの空調ゾーン(ゾーン1,ゾーン2,ゾーン3)に区分けした場合を示しており、各空調ゾーンの夫々に対応して3台ずつの小型送風機12a,12b,12cが天井室Cに配置されており、各小型送風機12a,12b,12cは、各空調ゾーンごとに天井に配置した複数の吹出口13に接続されている。そして、各空調ゾーンごとに配置された小型送風機12a,12b,12cは、ゾーンダクト14を介して前記分岐チャンバ9に接続されている。図2では、各空調ゾーンごとに配置される3台の小型送風機をまとめて1本のゾーンダクト14により分岐チャンバ9に接続した場合を示しているが、図3に示すように、各3台ずつの小型送風機12a,12b,12cを独自のゾーンダクト14によって分岐チャンバ9に接続してもよい。又、前記還気ダクト6は、図2、図3に示すように、各空調ゾーンに対応して開口した末端の開放端である3つの吸込口15から還気RAを吸い込み空気調和装置1へ戻すようにしている。
【0041】
図1中、16は圧力制御器であり、この圧力制御器16には分岐チャンバ9内又は分岐チャンバ近傍のゾーンダクト14内の圧力を大気圧差圧で検出する圧力センサ17からの圧力検出信号が入力されており、圧力制御器16は、全ての小型送風機12a,12b,12cが停止した時に各空調ゾーンに対して法的に定められた最小外気風量(例えば、居室にいる室内人員の呼気による二酸化炭素濃度上昇を防ぐため、居室用途での床面積あたり人員に一人あたり20m3/hの外気量を乗じた外気風量を指す。)が供給される一定圧力(給気ダクトの抵抗や設定風量によって異なるが、例えば、一般事務室では最小外気風量として、空調対象空間の熱負荷とそれを処理する温度調節器の入口出口空気温度差から決まる給気風量と導入される最小外気風量とが同じ比率:定格給気風量の30%前後になることが多く、その定格給気風量の30%前後を確保できる一定圧力=例えば12Pa)を保持するように送風ファン3のインバータ18を制御して送風ファン3の回転数を制御する。前記圧力制御器16は、図4に示すように、圧力センサ17で計測した圧力値(吐出圧力)及び前記最小外気風量が供給される一定圧力設定値(吐出圧力設定)との偏差に基づいて、図4に規定された吐出圧力と出力指令との関係として設定された比例帯の1次曲線で得られるインバータ出力指令を、操作器である送風ファン3のインバータ18に対し出力することで、送風ファン3の回転数を制御する。
【0042】
図1中、19は温度制御器であり、この温度制御器19には 前記給気ダクト8内を流動する給気SAの温度を検出する温度センサ20からの温度検出信号が入力されており、温度制御器19は、前記温度調節器2に供給する熱媒である温度調節流体の流量を調節する2方弁21の開度を指令し、給気SAの温度が所定の設定温度に保持されるよう制御する。前記温度制御器19は、図5に示すように、温度センサ20で計測した給気SA温度値及び給気の設定温度との偏差に基づいて、図5に規定された給気温度と2方弁開度指令との関係として設定された比例帯の1次曲線で得られる2方弁開度指令を、操作器である2方弁21に対し出力することで、2方弁21の開度を制御する。
【0043】
図1中、22は制御装置であり、この制御装置22には 前記図2、図3に示す各空調ゾーンの還気RAを吸い込む吸込口15開放端もしくはその近傍に配置して夫々の還気RAの温度を検出する還気温度センサ23a,23b,23cからの還気検出温度が入力されており、制御装置22は、予め設定された上限許容温度と下限許容温度に基づいて、小型送風機12a,12b,12cの起動・停止を各空調ゾーンごとに演算し、電源29を子型送風機12a,12b,12cへ分電するため設けられた分電盤に備わる開閉器30に、小型送風機12a,12b,12cの起動・停止を行う開閉指示を出力するようにした図6の制御ブロック図に示すゾーン発停演算部24と、前記還気温度センサ23a,23b,23cからの複数ある空調ゾーン毎の各還気検出温度を入力して、還気上限許容温度の超過時間及び/または前記還気下限許容温度の超過時間に基づいて、温度制御器19における設定温度を変更する給気温度可変演算部25を備えている。
【0044】
更に、前記制御装置22は、各空調ゾーンの小型送風機12a,12b,12cの同時発停を防止するための同時発停防止演算部26を備えている。
【0045】
図6は前記制御装置22の一例を示すブロック図であり、制御装置22に備えたゾーン発停演算部24には、空調機起動信号、還気温度センサ23a,23b,23cからの複数ある空調ゾーン毎の各還気検出温度、及び、各空調ゾーンの還気上限許容温度の設定値と還気下限許容温度の設定値が夫々入力されており、更に、日中と夜間で営業時間と停止時間とがある空調対象空間の場合に、朝の営業時間開始時の急速快適環境立ち上げのための、立上りモードが各空調ゾーンに設定されている場合には、その立上りモードが入力されている。
【0046】
そして、図7において前記ゾーン発停演算部24により1つの空調ゾーンを制御する際の制御フローチャートを示すように、空調開始が行われると、立上りモードがある場合には、所定時間だけ立上りモードが行われて空調ゾーンの温度を前記設定温度まで急激に変化させる制御を行った後、図8の制御動作、図9の運転動作にも示すように、ステップS1において還気検出温度が還気上限許容温度よりも高い、即ち、θRi(PV)>θHi(SP)と判断された場合には当該空調ゾーンに対応する小型送風機を起動し、ステップS2において還気検出温度が還気下限許容温度より低い、即ち、θRi(PV)<θLi(SP)と判断された場合には当該空調ゾーンに対応する小型送風機を停止する制御を行い、上記のいずれにも該当しない場合には、判断ステップS3により今の起動又は停止の状態を維持するように、小型送風機の状態と同じ起動または停止の信号を出力する制御をおこなう。そして、所定の時間毎にステップS1へ戻り再び同じ演算を続けて行い続けて制御する。従って、上記ゾーン発停演算部24は、冷房運転の場合、各空調ゾーンの還気検出温度に基づいて、暑い空調ゾーンがあるときは当該空調ゾーンの小型送風機を起動し、寒い空調ゾーンがあるときは当該空調ゾーンの小型送風機を停止する制御を行うことになる。
【0047】
又、図6のゾーン発停演算部24において、各空調ゾーンごとの前記還気検出温度の一つでも還気上限許容温度よりも高くなったこと、又は、還気下限許容温度よりも低くなったことが演算された場合には、その還気上限許容温度が超過した状態信号または還気下限許容温度を下回った状態信号が時間計測演算部27に入力される。そして、該時間計測演算部27では各空調ゾーンの還気上限許容温度の超過時間と還気下限許容温度の超過時間が演算され、演算された各空調ゾーンの還気温度の上限許容温度の超過時間と下限許容温度の超過時間が、前記給気温度可変演算部25に入力される。
【0048】
更に、給気温度可変演算部25では、予め設定された各空調ゾーンの還気上限許容温度の超過許容時間と還気下限許容温度の超過許容時間の設定値が入力されており、還気上限許容温度の超過時間が還気上限許容温度の超過許容時間の設定値を超えたかどうか、及び、還気下限許容温度の超過時間が還気下限許容温度の超過許容時間の設定値を超えたかどうかを演算し、演算結果の組合せによって、前記給気温度の設定値を変更する信号を前記温度制御器19(図1)に出力するようになっている。上記給気温度可変演算部25には現在の給気温度の設定値が記憶されている。
【0049】
変風量単一ダクト方式では、室内温度センサの計測値に基づいて風量可変装置により給気風量が制御されるが、中間期など空調対象室内の熱負荷が少なくなり、室内温度センサにより風量可変装置のダンパが絞られてくると、そのままでは換気上必要な最小外気風量を下回ってしまう。といって熱負荷がないのに、例えば冷房では空気調和装置の温度制御器で冷却された給気を供給すると冷えすぎる。それではまずいので、最小外気風量を確保するため、どこかの空調ゾーンで風量可変装置が最小外気風量まで絞られた場合、給気温度の設定値を上昇させ(これをリセットという)空気調和装置の温度制御器の制御に反映させる。これを、一般的にロードリセット制御という。給気温度可変演算部25は、このロードリセット制御機能を有していることとなる。
【0050】
図10は上記給気温度可変演算部25の一例を示すフローチャートであり、給気温度可変演算部25は次の制御を行う。
1)ステップS1において還気上限許容温度超過時間が還気上限許容温度の超過許容時間を超えた空調ゾーンがあり、ステップS2において還気下限許容温度超過時間が還気下限許容温度の超過許容時間を超えた空調ゾーンはないと判断された場合、即ち、暑すぎる空調ゾーンのみがあると判断された場合には、給気温度を現在の設定温度よりも所定差分α分低い設定値に変更する。
2)ステップS1において還気上限許容温度超過時間が還気上限許容温度の超過許容時間を超えた空調ゾーンがあり、且つ、ステップS2において還気下限許容温度超過時間が還気下限許容温度の超過許容時間を超えた空調ゾーンがあると判断された場合、即ち、暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンの両方があると判断された場合には、給気温度は変更せず、現在の設定値を維持する。
3)ステップS1において還気上限許容温度超過時間が還気上限許容温度の超過許容時間を超えた空調ゾーンがなく、ステップS3において還気下限許容温度超過時間が還気下限許容温度の超過許容時間を超えた空調ゾーンがあると判断された場合、即ち、寒すぎる空調ゾーンのみがあると判断された場合には、給気温度を現在の設定温度よりも所定差分α分高い設定値に変更する。
4)ステップS1において還気上限許容温度超過時間が還気上限許容温度の超過許容時間を超えた空調ゾーンがなく、ステップS3において還気下限許容温度超過時間が還気下限許容温度の超過許容時間を超えた空調ゾーンがないと判断された場合、即ち、暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないと判断された場合には、給気温度を現在の設定温度よりも所定差分α分低い設定値に変更する。
【0051】
上記4)に示したように、暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないと判断された場合に、給気温度を現在の設定温度よりも低い設定値に変更するようにしたので、空気調和装置の温度調整器による入口出口空気の温度差をさらに拡大できて最小外気風量で運べる熱量が増加するので、小型送風機12a,12b,12cの運転時間が短縮されると共に、送風ファン3の搬送動力が減少するようになる。
【0052】
又、図6に示したゾーン発停演算部24からの指令は、同時発停防止演算部26に出力されており、この同時発停防止演算部26では、以前発せられた起動信号もしくは停止信号により、起動遅延信号もしくは停止遅延信号が各空調ゾーン全てに発せられ、所定時間経過しないと小型送風機へ起動信号もしくは停止信号が出力されないよう演算されることによって、各空調ゾーンごとに備えた小型送風機12a,12b,12cの起動・停止を順番に行わせて、各空調ゾーンごとの小型送風機12a,12b,12cが同時に起動されたり同時に停止されたりすることがないようにしている。
【0053】
図11は上記同時発停防止演算部26の一例を示すフローチャートであり、ステップS1aに示すゾーン1の状態、ステップS2aに示すゾーン2の状態、ステップS3aに示すゾーン3の状態のそれぞれの状態演算には、所定の時間毎に信号が発せられ、都度状態演算してその下流へ移行する。ステップS1aに示すゾーン1の状態が起動であり、図11の左側に示すステップS1bに停止信号が入力されずゾーン1の停止信号がない場合には、制御はステップS1aに戻って起動が維持される。この状態から、ステップS1bのゾーン1に停止信号が入力されて停止信号ありとなった場合には、ステップS1cに移行するがこの時点では停止遅延信号はないので更にステップS1dに移行して例えば一例を示す30秒間の停止遅延信号(この停止遅延信号の長さは任意に設定できる)をステップS1c,S2c,S3cに出し続けるカウントが開始されると共に、図1の開閉器30に停止指令が送られてゾーン1の小型送風機12aは停止される。
【0054】
ゾーン1の小型送風機12aが停止されると、ステップS1aにおけるゾーン1の状態が停止となるので、図11の右側に示すように、ステップS1b'のゾーン1にはまだ起動信号はないので、制御はステップS1aに戻って停止が維持される。
【0055】
ステップS2aに示すゾーン2の起動の状態から、前記ゾーン1に引き続いてステップS2bのゾーン2に停止信号が入力されて停止信号ありとなった場合には、ステップS2cに移行するがステップS2cには、前記ステップS1dからの停止遅延信号が与えられているため、ゾーン1の停止から30秒間が経過するまでは停止遅延信号ありとなって、制御はステップS2aに戻って起動が維持される。
【0056】
30秒間が経過するとステップS2cの停止遅延信号はなくなるので、遅延信号なしでステップS2dに移行し、例えば30秒間の停止遅延信号をステップS1c,S2c,S3cに出し続けるカウントが開始されると共に、図1の開閉器30に停止指令が送られてゾーン2の小型送風機12bは停止される。このようにして、ゾーン3の停止はゾーン2の停止から少なくとも30秒間経過後に行われる。又、図11の右側に示すように、各ゾーンが停止の状態から起動が行われる場合においても、上記した起動の状態から停止が行われる場合と同様に制御される。
【0057】
従って、図11の同時発停防止演算部26によれば、各空調ゾーンごとに備えた小型送風機12a,12b,12cは最短でも30秒間ずつずれて順番に起動又は停止が行われるようになる。
【0058】
上記した同時発停防止演算部26によれば、小型送風機12a,12b,12cの起動・停止を各空調ゾーンごとで時間をずらして行い、起動・停止が同時に行われないようにしたので、小型送風機12a,12b,12cの起動・停止による給気SAの圧力の変動が抑えられ、よって容量が小さい分岐チャンバ9内又はゾーンダクト14内によっても圧力を安定させることができる。
【0059】
図12は図6に示した制御装置22の他の例を示したもので、前記図6に示したゾーン発停演算部24に代えてスケジュール発停演算部28を備えている。スケジュール発停演算部28には、前記ゾーン発停演算部24と同様に、空調機起動信号、各空調ゾーンの還気検出温度、各空調ゾーンの還気上限許容温度と還気下限許容温度、立上りモードが入力されている他に、図14、図15にも示すように、各空調ゾーンの起動開始時間TR1,TR2・・が設定されていると共に、各空調ゾーンの停止開始時間TS1,TS2・・が設定されており、更に、現在時刻が入力されている。
【0060】
そして、図13において前記スケジュール発停演算部28により1つの空調ゾーンを制御する際の制御フローチャートを示すように、空調開始が行われると、立上りモードがある場合には、所定時間だけ立上りモードが行われて空調ゾーンの温度を前記設定温度まで急激に変化させる制御を行った後、図14、図15にも示すように、ステップS1において還気検出温度が還気上限許容温度と同じかそれより低い、即ち、θRi(PV)≦θHi(SP)と判断され、且つ、ステップS2において還気検出温度が還気下限許容温度と同じかそれより高い、即ち、θRi(PV)≧θLi(SP)と判断された場合には、ステップS3により現在時間が起動開始時間TRiを過ぎており、且つ、停止開始時間TSiに到達していない場合には、小型送風機12a,12b,12cを現在状態と同じ起動信号を出力する制御により運転しており、現在時間が停止開始時間TSiを超えた場合には小型送風機12a,12b,12cを停止信号にて停止することにより設定された時間で小型送風機12a,12b,12cの起動・運転を繰り返している。そして、所定の時間毎にステップS1へ戻り再び同じ演算を続けて行い続けて制御する。
【0061】
そして、前記ステップS1において還気検出温度が還気上限許容温度を超えて高くなった場合には当該空調ゾーンに対応する小型送風機12a,12b,12cを強制起動し、又、ステップS2において還気検出温度が還気下限許容温度を下回った場合には、当該空調ゾーンに対応する小型送風機12a,12b,12cを強制停止するようにしている。
【0062】
上記した本発明の空調システムによれば、分岐チャンバ9内又はゾーンダクト14内の圧力が、全ての小型送風機12a,12b,12cの停止時に各空調ゾーンに対して最小外気風量が供給される一定圧力を保持するように送風ファン3の回転数を制御し、且つ、各空調ゾーンの還気温度に基づいて各空調ゾーンの小型送風機12a,12b,12cの起動・停止を行う、又は、各空調ゾーンの起動開始時間、停止開始時間に基づいて、及び副次的に還気上限許容温度、還気下限許容温度に基づいて各空調ゾーンの小型送風機12a,12b,12cをスケジュールローテーションによって起動・停止を行うようにしたので、各小型送風機12a,12b,12cにインバータや温度検出センサや制御器等がないために簡略な装置構成となって制御が容易になり、制御装置の設備コストが低減できる。
【0063】
更に、給気温度可変演算部25により、各空調ゾーンの還気温度に基づいて温度制御器19における設定温度を変更するようにしたので、各空調ゾーンの小型送風機12a,12b,12cの起動・停止の作動回数及び作動時間が減少し、よって小型送風機12a,12b,12cの搬送動力を低減することができる。
【0064】
又、同時発停防止演算部によって各空調ゾーンに備えられる小型送風機12a,12b,12cの同時発停を防止するようにしたので、分岐チャンバ9内又はゾーンダクト14内の圧力の変動を抑制することができる。
【0065】
又、分岐チャンバ内又は分岐チャンバ近傍のゾーンダクト内に、全ての小型送風機の停止時に各空調ゾーンに対して最小外気風量が供給される一定圧力の基準になる圧力を計測する圧力センサを設けたので、新設の場合の分岐チャンバに開口を切って圧力センサを設けることができる場合の他、改修工事の際に、分岐チャンバまでを既設工事範囲として工事区分された場合でも、分岐チャンバとほぼ大気圧基準静圧が同等である分岐チャンバ近傍のゾーンダクト内で計測し制御できるので、手間が掛かることなく、アンカに施工が可能である。
【0066】
図16は、本発明の空調システムの他の実施例を示すもので、一部の空調ゾーンに対応する天井室Cに、前記分岐チャンバ9にゾーンダクト14を介して接続され且つインバータ31を備えた小型送風機32を設置し、該小型送風機32に連通した吹出口13を天井4に設け、更に、前記小型送風機32に対応するように空調対象空間Aに設けた室内温度センサ33の室内検出温度に基づいて前記インバータ31を調節することにより小型送風機32の回転数を制御するようにした単独制御器34を設けている。このように、一部の空調ゾーンに単独制御器34により独自に回転を制御して温度制御を行うようにした小型送風機32は、空調対象空間Aの特に室内温度を一定に保持したい場所に適用することができ、更に、この小型送風機32は、図1、図6、図12に示した実施例と組み合わせて用いることができる。
【0067】
又、上記実施例においては、空調対象空間Aを冷房する場合について説明したが、空調対象空間Aを暖房する場合にも、暑いときには小型送風機を停止し、寒いときには小型送風機を起動し、暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に設定する以外は前述の実施例と同様の方法によって制御することができる。
【0068】
なお、本発明の空調システム及び空調方法は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、空調対象空間を3個の空調ゾーンに区分けした場合について説明したが空調ゾーンの数には限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
1 空気調和装置
2 温度調節器
3 送風ファン
8 給気ダクト
9 分岐チャンバ
12 小型送風機
12a,12b,12c 小型送風機
14 ゾーンダクト
16 圧力制御器
19 温度制御器
22 制御装置
23 還気温度センサ
23a,23b,23c 還気温度センサ
24 ゾーン発停演算部
25 給気温度可変演算部
26 同時発停防止演算部
28 スケジュール発停演算部
31 インバータ
32 小型送風機
33 室内温度センサ
34 単独制御器
A 空調対象空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象空間を複数の空調ゾーンに区分けして各空調ゾーンごとに少なくとも1台以上の小型送風機を配置し、温度調節器と送風ファンを有する空気調和装置を給気ダクトにより分岐チャンバに接続し、該分岐チャンバと前記空調ゾーンごとに配置した小型送風機との間をゾーンダクトにより接続し、小型送風機から各空調ゾーンの天井に複数配置した吹出口へ温調した給気を送るよう接続した構成において、
分岐チャンバ内又は分岐チャンバ近傍のゾーンダクト内の圧力が、全ての小型送風機の停止時に各空調ゾーンに対して最小外気風量が供給される一定圧力を保持するように前記送風ファンの回転数を制御する圧力制御器と、
前記給気ダクト内給気温度が設定温度に保持されるように前記温度調節器を制御する温度制御器と、
各空調ゾーンの還気温度を検出する空調ゾーン毎の還気温度センサからの還気検出温度を入力して、還気上限許容温度と還気下限許容温度に基づき、前記還気温度センサが対応する空調ゾーンの小型送風機の起動・停止を指示するゾーン発停演算部を有する制御装置と
を備えたことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記複数ある空調ゾーン毎の還気温度センサからの各還気検出温度を入力して、前記還気上限許容温度の超過時間及び/または前記還気下限許容温度の超過時間に基づいて、前記温度制御器における設定温度を変更する給気温度可変演算部を有する制御装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
空調対象空間を複数の空調ゾーンに区分けして各空調ゾーンごとに少なくとも1台以上の小型送風機を配置し、温度調節器と送風ファンを有する空気調和装置を給気ダクトにより分岐チャンバに接続し、該分岐チャンバと前記空調ゾーンごとに配置した小型送風機との間をゾーンダクトにより接続し、小型送風機から各空調ゾーンの天井に複数配置した吹出口へ温調した給気を送るよう接続した構成において、
分岐チャンバ内又は分岐チャンバ近傍のゾーンダクト内の圧力が、全ての小型送風機の停止時に各空調ゾーンに対して最小外気風量が供給される一定圧力を保持するように前記送風ファンの回転数を制御する圧力制御器と、
前記給気ダクト内給気温度が設定温度に保持されるように前記温度調節器を制御する温度制御器と、
各空調ゾーンの還気温度を検出する空調ゾーン毎の還気温度センサからの還気検出温度を入力して、各空調ゾーン毎に設定された、還気上限許容温度、還気下限許容温度、及び起動開始時間、停止開始時間に基づき、前記還気温度センサが対応する各空調ゾーンの小型送風機をスケジュールローテーションによって起動・停止を指示するスケジュール発停演算部を有する制御装置と
を備えたことを特徴とする空調システム。
【請求項4】
前記複数ある空調ゾーン毎の還気温度センサからの各還気検出温度を入力して、前記還気上限許容温度の超過時間及び/または前記還気下限許容温度の超過時間に基づいて、前記温度制御器における設定温度を変更する給気温度可変演算部を有する制御装置を備えたことを特徴とする請求項3に記載の空調システム。
【請求項5】
前記制御装置が、前記ゾーン発停演算部または前記スケジュール発停演算部からの起動・停止指示が複数の空調ゾーンで略同時に出力されても、各空調ゾーンごとに備えた小型送風機の同時発停を防止する同時発停防止演算部を有することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の空調システム。
【請求項6】
前記空調対象空間には、該空調対象空間から前記空気調和装置へ還気を戻す還気経路として天井室を設け、該天井室内に前記分岐チャンバ、前記ゾーンダクト、前記小型送風機、及び複数ある空調ゾーン毎の還気温度センサを備えることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の空調システム。
【請求項7】
一部の空調ゾーンに室内温度を検出する室内温度センサを設け、該一部の空調ゾーンでは前記制御装置の代わりに該室内温度センサからの室内検出温度に基づいて前記一部の空調ゾーンの小型送風機の回転数を制御する単独制御器を有することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の空調システム。
【請求項8】
請求項1の空調システムをもちいて冷房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度及び還気下限許容温度を予め制御装置に設定しておき、
暑い空調ゾーン、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーンがあるときはゾーン発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機へ起動信号を送る制御を行い、
寒い空調ゾーン、つまり還気下限許容温度を下回る空調ゾーンがあるときはゾーン発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機へ停止信号を送る制御を行う
ことを特徴とする空調方法。
【請求項9】
請求項2の空調システムをもちいて冷房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度の超過許容時間及び還気下限許容温度の超過許容時間を予め制御装置に設定しておき、
暑すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンも還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンもあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値に維持し、
寒すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないとき、つまり還気上限許容温度または還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンがないときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更する
ことを特徴とする空調方法。
【請求項10】
請求項3の空調システムをもちいて冷房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気温度の上限許容温度、下限許容温度及び起動開始時間、停止開始時間を予め制御装置に設定しておき、
暑い空調ゾーンも寒い空調ゾーンもないとき、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーン及び還気下限許容温度を下回る空調ゾーンとも無い場合は、スケジュール発停演算部によるスケジュールローテーションによって各空調ゾーンの小型送風機を順次起動或いは順次停止する制御を行い
暑い空調ゾーン、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制起動のために該小型送風機へ起動信号を送る制御を行い、
寒い空調ゾーン、つまり還気下限許容温度を下回る空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制停止のために該小型送風機へ停止信号を送る制御を行う
ことを特徴とする空調方法。
【請求項11】
請求項4の空調システムをもちいて冷房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度の超過許容時間及び還気下限許容温度の超過許容時間を予め制御装置に設定しておき、
暑すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンも還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンもあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値に維持し、
寒すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないとき、つまり還気上限許容温度または還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンがないときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更する
ことを特徴とする空調方法。
【請求項12】
請求項1の空調システムをもちいて暖房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度及び還気下限許容温度を予め制御装置に設定しておき、
暑い空調ゾーン、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーンがあるときはゾーン発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機へ停止信号を送る制御を行い、
寒い空調ゾーン、つまり還気下限許容温度を下回る空調ゾーンがあるときはゾーン発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機へ起動信号を送る制御を行う
ことを特徴とする空調方法。
【請求項13】
請求項2の空調システムをもちいて暖房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度の超過許容時間及び還気下限許容温度の超過許容時間を予め制御装置に設定しておき、
暑すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンも還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンもあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値に維持し、
寒すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないとき、つまり還気上限許容温度または還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンがないときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更する
ことを特徴とする空調方法。
【請求項14】
請求項3の空調システムをもちいて暖房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気温度の上限許容温度、下限許容温度及び起動開始時間、停止開始時間を予め制御装置に設定しておき、
暑い空調ゾーンも寒い空調ゾーンもないとき、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーン及び還気下限許容温度を下回る空調ゾーンとも無い場合は、スケジュール発停演算部によるスケジュールローテーションによって各空調ゾーンの小型送風機を順次起動或いは順次停止する制御を行い
暑い空調ゾーン、つまり還気上限許容温度を超える空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制停止のために該小型送風機へ停止信号を送る制御を行い、
寒い空調ゾーン、つまり還気下限許容温度を下回る空調ゾーンがあるときはスケジュール発停演算部により当該空調ゾーンの小型送風機を強制起動のために該小型送風機へ起動信号を送る制御を行う
ことを特徴とする空調方法。
【請求項15】
請求項4の空調システムをもちいて暖房を行う空調方法であって、各空調ゾーンにおける還気上限許容温度の超過許容時間及び還気下限許容温度の超過許容時間を予め制御装置に設定しておき、
暑すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より低い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがあるとき、つまり還気上限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンも還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンもあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値に維持し、
寒すぎる空調ゾーンのみがあるとき、つまり還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンのみがあるときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更し、
暑すぎる空調ゾーンと寒すぎる空調ゾーンがいずれもないとき、つまり還気上限許容温度または還気下限許容温度の超過許容時間を超える空調ゾーンがないときは給気温度可変演算部により給気温度の設定温度を現在の設定値より高い温度に変更する
ことを特徴とする空調方法。
【請求項16】
請求項5の空調システムをもちいて空調を行う空調方法であって、各空調ゾーンごとに備えた小型送風機の起動・停止が重ならないように、同時発停防止演算部により、以前発せられた起動信号もしくは停止信号により、起動遅延信号もしくは停止遅延信号が各空調ゾーン全てに発せられ、所定時間経過しないと小型送風機へ起動信号もしくは停止信号が出力されないよう演算されることによって、各空調ゾーンごとに備えた小型送風機の起動・停止をずらして制御することを特徴とする空調方法。
【請求項17】
請求項7の空調システムをもちいて空調を行う空調方法であって、一部の空調ゾーンに備えた室内温度センサの室内温度を入力する単独制御器により小型送風機の回転数を制御することで一部の空調ゾーンの室内温度を一定に保持するように制御することを特徴とする空調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−94899(P2011−94899A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250244(P2009−250244)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】