説明

空調シート

【課題】空調による熱を効果的に使用可能にし、即効性にも優れて乗員の身体を温め、そして、空気調和装置の補助として空調効果を高めて消費電力量を低減する。
【解決手段】着座面20あるいは背当て面31に対応するトリム・カバー23、33の裏面24、34に縫い付けられてトリム・バッグ27、37を形成する裏当て布25、35と、そのトリム・バッグ27、37内に配置されて通気層を形成する網状クッション・スペーサ28、38と、その裏当て布25、35の内側面26、36に貼り付けられ若しくは一体加工される熱反射材29、39と、そのトリム・バッグ27、37内に送風する送風装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の空気調和装置の補助として送風装置によりトリム・カバーに暖気を送風可能にする空調シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空調シートでは、自動車に装備される空気調和装置の補助として機能させるようにシート・パッドとトリム・カバーの間に網状クッション体を配置し、送風装置でその網状クッション体に暖気を送風して乗員を温める構造が採られる。
この種の構造の空調シートは、暖気の熱がそのシート・パッドの側にも吸収され、空調効果が低くなって即効性に乏しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2009−77760公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、空調による熱を効果的に使用可能にし、即効性にも優れて乗員の身体を温め、そして、空気調和装置の補助として空調効果を高めて消費電力量を低減するところの空調シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の空調シートは、着座面あるいは背当て面に対応するトリム・カバーの裏面に縫い付けられてトリム・バッグを形成する裏当て布と、そのトリム・バッグ内に配置されて通気層を形成する網状クッション・スペーサと、その裏当て布の内側面に貼り付けられ若しくは一体加工される熱反射材と、そのトリム・バッグ内に送風する送風装置とを含んで構成される。
【発明の効果】
【0006】
この発明の空調シートでは、空調による暖気が送風装置によりそのトリム・バッグ内に送られ、その暖気がそのトリム・バッグ内でその網状クッション・スペーサを通って流れる際、その暖気の熱が熱反射材でトリム・カバー側に反射されるので、その空調による暖気の熱が効果的に使用可能になって即効性にも優れ、そして、乗員の身体が温められ、そして、空気調和装置の補助として空調効果が高められ、その空気調和装置の消費電力量が低減される経済効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】乗用車のドライバー・シートに活用されるところのこの発明の空調シートの具体例を示した斜視図である。
【図2】図1の2−2線に沿って示した断面図である。
【図3】トリム・バックを拡大して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の空調シートは、着座面あるいは背当て面に対応するトリム・カバーの裏面に縫い付けられてトリム・バッグを形成する裏当て布と、そのトリム・バッグ内に配置されて通気層を形成する網状クッション・スペーサと、その裏当て布の内側面に貼り付けられ若しくは一体加工される熱反射材と、そのトリム・バッグ内に送風装置とを含んで具体化
される。
【0009】
そして、その熱反射材はアルミ蒸着フィルムでそのアルミ蒸着フィルムはその裏当て布の内側面に貼り付けられ若しくはその裏当て布のその内側面にアルミ蒸着加工を施して形成される。
【実施例1】
【0010】
以下、特定されて図示された具体例に基づいて、この発明の空調シートを説明するに、図1ないし図3は、乗用車のドライバー・シートに活用されるところのこの発明の空調シートの具体例10を示し、そして、この空調シート10では、シート・クッション11がシート・トラック(図示せず)およびハイト・アジャスター(図示せず)を組み込み、また、シート・バック12が左右のリクライニング・デバイス(図示せず)でそのシート・クッション11に前倒しおよび角度調整可能に支持され、さらに、ヘッドレスト13がそのシート・バック12に取り外し可能に取り付けられ、そして、そのシート・クッション11がそのシート・トラックでその乗用車のフロアのフロント部分に前後調整可能に据え付けられる。
そして、この空調シート10では、さらに、そのシート・クッション11にもそのシート・バック12にも空気調和装置(図示せず)による空調された暖気が送風装置(図示せず)によりシート・クッション・トリム・カバー23、シート・バック・トリム・カバー33に送られる構造が採られてドライバーの身体が即効的に温められるようにしてある。
【0011】
詳述するに、そのシート・クッション11は、その乗用車に装備された空気調和装置(図示せず)による暖気をそのシート・クッション・トリム・カバー23の下に通す構造になされている。
そのシート・クッション・トリム・カバー23のために裏当て布25が、予め、それの内側面26に熱反射材29を貼り付けて準備される。そして、このシート・クッション・トリム・カバー23は、着座面20に対応させてそれの裏面24にその裏当て布25を縫い付けてトリム・バッグ27が形成される。そして、網状クッション・スペーサ28がそのトリム・バッグ27内に配置されてそのトリム・バッグ27に通気層を形成する。
そして、このシート・クッション・トリム・カバー23は、そのトリム・バッグ27の開口(図示せず)をその送風装置のブロア送風口(図示せず)の側に向けてそのシート・クッション・パッド21に被せられ、カバー端末の多数のフック30をそのシート・クッション・フレームに引っ掛けて固定される。
【0012】
その送風装置は、そのシート・クッション・パッドに貫通されて穴明けされた送風穴(図示せず)にそのブロア送風口を合わせてそのシート・クッション・パッド21の下面22に固定的に組み付けられ、そして、その送風穴を経てそのブロア送風口をそのトリム・バッグ27のその開口に連通させてブロア(図示せず)で空調による暖気をそのトリム・バッグ27に送風可能にしている。勿論、その送風された暖気は、そのトリム・バッグ27内でその網状クッション・スペーサ28を通って流れ、そして、そのトリム・バッグ27の空気出口(図示せず)から外部に流れる。
【0013】
そのシート・バッグ12は、そのシート・クッション11に同様にその空気調和装置による暖気をシート・バッグ・トリム・カバー33の下に通す構造を採っている。
そのシート・バッグ・トリム・カバー33のために裏当て布35が、予め、それの内側面36に熱反射材39を貼り付けて準備される。そして、このシート・バック・トリム・カバー33は、背当て面31に対応させてそれの裏面34にその裏当て布35を縫い付けてトリム・バッグ37が形成される。そして、網状クッション・スペーサ38がそのトリム・バッグ37内に配置されてそのトリム・バッグ内に通気層を形成する。
そして、このシート・バッグ・トリム・カバー33は、そのトリム・バッグ37の開口
(図示せず)を別の送風装置(図示せず)のブロア送風口(図示せず)の側に向けてそのシート・バッグ・パッド32に被せられ、そして、適宜に固定される。
【0014】
その別の送風装置は、そのシート・バッグ・パッド32に貫通されて穴明けされた送風穴(図示せず)にそのブロア送風口を合わせてそのシート・バッグ・パッド32の背裏面(図示せず)に固定的に組み付けられ、そして、その送風穴を経てそのブロア送風口をそのトリム・バッグ37のその開口に連通させてブロア(図示せず)で空調による暖気をそのトリム・バッグ37に送風可能にしている。勿論、その送風された暖気は、そのトリム・バッグ37に送風可能にしている。勿論、その送風された暖気は、そのトリム・バッグ37内でその網状クッション・スペーサ38を通って流れ、そして、そのトリム・バッグ38の空気出口(図示せず)から外部に流れる。
【0015】
その熱反射材29、39は、アルミ蒸着フィルムで、そのアルミ蒸着フィルム29、39は、その裏当て布25、35のその内側面26、36に貼られたが、その裏当て布25、35のその内側面26、36にアルミ蒸着加工を施してその裏当て布25、35のその内側面26、36に一体的に形成されてもかまわない。
【0016】
したがって、この空調シート10では、寒冷時、そのドライバーはその乗用車に乗車直後にエンジンを始動し、その空調調和装置のスイッチを入れてその空調調和装置を暖房運転にし、そして、その送風装置のスイッチを入れてそのブロアを回すと、その空調による暖気がその送風穴を経てそのトリム・バッグ27、37に流れ、そのトリム・バッグ27、37内でその網状クッション・スペーサ28、38内を通って流れるので、その暖気の熱がそのアルミ蒸着フィルム29、39でそのシート・クッションおよびシート・バッグ・トリム・カバー23、33側に反射されてそのトリム・カバー23、33が暖められ、そして、その暖められたそのトリム・カバー23、33によってそのドライバーの身体が即効的に温められて座り心地が快適になる。
そのようにして、この空調シート10では、その空調による暖気に熱が効果的に使用可能になって即効性にも優れ、そして、そのドライバーの身体が温められ、そして、その空調調和装置の補助として空調効果が高められ、その空気調和装置の消費電力量が低減されて経済効果が得られる。
【0017】
先に図面を参照して説明されたところのこの発明の特定された具体例から明らかであるように、この発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、この発明の内容は、その発明の性質(nature)および本質(substance)に由来し、そして、それらを内在させると客観的に認められる別の態様に容易に具体化される。勿論、この発明の内容は、その発明の課題に相応し(be commensurate with)、そして、その発明の成立に必須である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
上述から理解されるように、この発明の空調シートは、着座面あるいは背当て面に対応するトリム・カバーの裏面に縫い付けられてトリム・バッグを形成する裏当て布と、そのトリム・バッグ内に配置されて通気層を形成する網状クッション・スペーサと、その裏当て布の内側面に貼り付けられ若しくは一体加工される熱反射材と、そのトリム・バッグ内に送風する送風装置とを含むので、この発明の空調シートでは、空調による暖気が送風装置によりそのトリム・バッグ内に送られ、その暖気がそのトリム・バッグ内でその網状クッション・スペーサを通って流れる際、その暖気の熱がその熱反射材でトリム・カバー側に反射され、その空調による暖気の熱が効果的に使用可能になって即効性にも優れ、そして、乗員の身体が温められて座り心地が快適になり、そして、空気調和装置の補助として空調効果が高められ、その空気調和装置の消費電力量が低減される経済効果が得られ、その結果、自動車にとっても非常に有用で実用的である。
【符号の説明】
【0019】
10 空調シート
11 シート・クッション
12 シート・バッグ
13 ヘッドレスト
20 着座面
21 シート・クッション・パッド
22 下面
23 シート・クッション・トリム・カバー
24 裏面
25 裏当て布
26 内側面
27 トリム・バッグ
28 網状クッション・スペーサ
29 熱反射材/アルミ蒸着フィルム
30 フック
31 背当て面
32 シート・バッグ・パッド
33 シート・バッグ・トリム・カバー
34 裏面
35 裏当て布
36 内側面
37 トリム・バッグ
38 網状クッション・スペーサ
39 熱反射材/アルミ蒸着フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座面あるいは背当て面に対応するトリム・カバーの裏面に縫い付けられてトリム・バッグを形成する裏当て布と、そのトリム・バッグ内に配置されて通気層を形成する網状クッション・スペーサと、その裏当て布の内側面に貼り付けられ若しくは一体加工される熱反射材と、そのトリム・バッグ内に送風する送風装置とを含む空調シート。
【請求項2】
その熱反射材が、アルミ蒸着フィルムである請求項1に記載の空調シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−158205(P2012−158205A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17324(P2011−17324)
【出願日】平成23年1月29日(2011.1.29)
【出願人】(000133098)株式会社タチエス (454)
【Fターム(参考)】