説明

空間的に区別可能なインターフェースおよびこれに関連したアプリケーションフレームワークのコントロール方法

携帯装置は、空間的に区別可能なコントロールをアプリケーションプログラムに通知する方法を提供する。空間検出ユニットは、携帯装置の空間的移動を検出するとともに、検出された空間的移動に対して応答する出力を供給する。データプロセッサは、実行可能コードのためのプラットフォームを提供するとともに、通信チャネルへの出力を監視および供給する。実行可能コードは、データプロセッサのプラットフォーム上で実行される。実行可能コードは、通信チャンネルに動作可能に接続されるとともに、インタプリタライブラリを含んでいる。インタプリタは、インタプリタライブラリに関してイベントを生成する。プラグインは、インタプリタライブラリに協働的に接続されたインターフェースを有している。生成イベントは、プラグインのスクリプトインターフェースに出力される。ブラウジングプログラムは、プラグインに協働的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間的に区別可能なコントロールインターフェースに関し、さらに詳細には、装置の空間的移動が、アプリケーションプログラムのスクリプタブルな環境にコントロールイベントを通知するアプリケーションフレームワークに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に提供された“背景技術”の記載は、本発明の背景を大まかに記載することを目的としている。本明細書に記載され、ここで言及された発明者の成果は、そうでなければ出願時点での先行技術としてみなされない本明細書の態様と同様に、本発明に対する先行技術として、はっきりとも、暗黙にも認められるものではない。
【0003】
携帯電話、MP3プレイヤ、PDAなどのような携帯装置は、機能の追加、ならびに従来のキーボートおよびコントロールの小型化により、その操作がますます複雑になっている。たとえば、多様な機能が単一の装置に統合されるように、携帯装置の機能は、装置全般で非常に増加している。これらの多機能は、テキストメッセージ、電子メール、マルチメディア再生、ウェブブラウジングなどを含んでいる。より機能的であることへの要求と矛盾して、同時に、そのような携帯装置の物理的サイズおよび重量をさらに低減させることへの強い要求が存在する。
【0004】
要求される小型化に関して、ディスプレイは、より鮮明になることによって、小型化がより容易になっているとともに、電子回路およびデータ記録装置などの内部構成要素は、非常に速い速度で小型になっている。これにより、多様な機能に対するユーザコントロールまたはインターフェースを小型化することへの多大な要求が、設計者に課されている。
【0005】
携帯装置のユーザインターフェースは、より小型化されているとともに、増加する機能の集合を支援するように要求されているため、小さな物理的コントロールを操作する難しさによって、装置の全機能を利用することは、未経験ユーザ、通勤者、および熟年者にとって困難である。
【0006】
したがって、前記した携帯装置の小型化または多機能化によって制限されない、よりシンプルなユーザインターフェースに対する要求が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、携帯装置のアプリケーションプログラムにコントロールを通知する方法を提供する。前記方法は、携帯装置のディスプレイにアプリケーションプログラムのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示することを含んでいる。所定の空間的移動の発生は、携帯装置の空間プラットフォームによって判定される。前記発生に対する応答において、対応するコントロール信号が、携帯装置によって生成される。コントロール信号は、アプリケーションフレームワークのプラグインプログラムに出力される。プラグインのコントロール信号は、アプリケーションプログラムに出力される。アプリケーションプログラムによって支援されたスクリプト環境におけるスクリプト動作は、携帯装置の空間的移動に従って、そこにコントロールを通知するために実行される。
【0008】
本発明のさらなる態様では、携帯装置は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するように構成されたディスプレイを含んでいる。空間検出ユニットは、携帯装置の空間的移動を検出するとともに、応答する出力を供給するように構成されている。データプロセッサは、ソフトウェアプラットフォームを提供するとともに、通信チャネルへの出力を監視および供給するように構成されている。プラットフォーム上で実行するのに適切な実行可能コードは、通信チャネルに対して動作可能に接続されたインタプリタライブラリを含んでいる。インタプリタライブラリは、前記出力を受信するため、データプロセッサとの通信を行うように構成されている。インタプリタは、インタプリタライブラリに関してイベントを生成する。プラグインは、対応する生成イベントを受信するようにインタプリタライブラリと協働的に接続されたインターフェースを有している。生成イベントは、プラグインのスクリプトインターフェースに出力される。ディスプレイにGUIを表示するブラウジングプログラムは、そこから生成イベントを受信するように構成されたプラグインに協働的に接続されている。スクリプトインターフェースは、ブラウジングプログラムが、携帯装置の空間的移動に対する応答においてコントロールされるような、スクリプト環境を支援する。
【0009】
本発明のさらに他の態様では、アプリケーションプログラムにコントロールを通知するシステムを提供する。前記システムのハンドヘルド装置は、ハンドヘルド装置の空間的移動を検出するように構成された空間検出ユニットを有しているとともに、空間的移動に対して応答する出力を供給する。データプロセッサは、通信チャネルへの出力を監視および供給するように構成されている。システムのホスト装置は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示するように構成されたディスプレイを有している。実行可能コードは、ホスト装置のプラットフォーム上で実行するのに適しているとともに、通信チャネルに対して動作可能に接続されたインタプリタライブラリを有している。インタプリタライブラリは、前記出力を受信するために、データプロセッサとの通信を行うように構成されている。インタプリタは、インタプリタライブラリに関してイベントを生成する。プラグインは、対応する生成イベントを受信するため、インタプリタライブラリに対して協働的に接続されたインターフェースを有している。生成イベントは、プラグインのスクリプトインターフェースに出力される。ブラウジングプログラムは、GUIを表示するとともに、生成イベントを受信するように構成されたプラグインに対して協働的に接続されている。スクリプトインターフェースは、ブラウジングプログラムが、ハンドヘルド装置の空間的移動に対する応答においてコントロールされるようなスクリプト環境を支援する。
【0010】
本発明の以上の大まかな記載および以下の詳細な記載の両方は、典型的なものであって、本発明を限定するものでないことは自明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明およびそれに付随した多くの利点に対するより完全な理解は、添付図面とともに考慮された場合、以下の詳細な記載に対する参照によってより理解されるものとして、容易に得られる。
【0012】
図1は、本発明の典型的な携帯装置の透視図である。
【0013】
図2は、図1の典型的な携帯装置のアーキテクチャの上位レベルのブロック図である。
【0014】
図3は、図1の携帯装置の典型的な過程の流れを図示したフローチャートである。
【0015】
図4は、図1の携帯装置に対するユーザ入力アクションの流れ図である。
【0016】
以下の記載で使用した幾つかの技術は、単に便宜上のものであって、限定するものではない。本明細書で使用される“区別可能(articulable)”および“空間的移動(spatial movement)”という用語は、装置に関する三次元空間における全範囲の運動を指す。この範囲の運動は、任意の軸に沿った全回転、部分回転、および/または“跳ね返る(flick)”または“振る(shake)”といった非回転的移動を含んでいる。本明細書で使用される“跳ね返る”という用語は、一次元における(期間内に予め決められた)素早い運動で、その後元の開始点に戻るものとして定義する。本明細書で使用される“振る”という用語は、連続して“跳ね返る”ことを含んでいる。同様に、本明細書で使用される“区別可能”および/または“空間的移動”という用語は、任意の方向において傾きを持った移動および/または線形移動であり、元の開始点に戻る必要のないものを含んでいる。前記図面では、幾つかの図面を通して同一の要素を示すために同一の参照符号を使用している。
【0017】
本発明は、装置の空間的移動検出に基づいたスクリプトインターフェースのための入力機構に関するものである。任意の方向において、手首を“跳ね返す”のと同様に、“握手する(hand shake)”、“傾ける(tilt)”、“捩じる(twist)”、“回転する(rotate)”といった運動は、スクリプト環境によって処理されるイベントに変換される。
【0018】
本発明は、スクリプト環境を支援するアプリケーションプログラムを有し、典型的な実施形態ではワールドワイドウェブブラウザを利用する携帯装置を提供する。ウェブブラウザは、ウィンドウズ(登録商標)ベースのオペレーティングシステムで典型的に提供されるような、アイコン、メニュー、ラジオボタンなどの形式のオンスクリーンオプションのディスプレイを表示または支援するコンピュータ環境を供給するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供する。そのようなブラウザは、携帯装置のオペレーティングシステムであるシンビアン(登録商標)、リナックス(登録商標)、および/またはウィンドウズ(登録商標)CEによって支援される、モジラミニモ(登録商標)、オペラ(登録商標)、サンダーホーク(登録商標)ブラウザを含んでもよい。当然、典型的な実施形態では、ユニックス、ウィンドウズ(登録商標)ビスタおよびその類似物といった非携帯プラットフォームと、ネットスケープナビゲータ、マイクロソフトインターネットエクスプローラ、およびファイアフォックスといったブラウジング技術とを利用してもよいことは、当業者にとって自明である。
【0019】
図1は、典型的な入力携帯装置201を示している。空間的運動または握手のような手の移動(たとえば、図示したように“傾ける(tilt)”(“縦に揺らす(pitch)”こととして同様に知られている)、および手首を“左右に跳ね返す(flick)”)は、自動的にイベントに変換される(ここでは、“上に揺らす(pitch up)”、“左に揺らす(yaw left)”、および“右に揺らす(yaw right)”を矢印で図示した)。当然、上記したように矢印は、可能性のある移動を網羅したものではなく、例示的なものである。
【0020】
次に図2を参照すると、典型的な実施形態は、所定のイベントをこれに対応する携帯装置201の所定の手の移動から得る携帯装置201を提供する。これらのイベントは、そのようなイベントに対する応答において、またはこれに基づいた、ユーザインタラクションを提供するウェブブラウザを使用するホスト202に出力される。
【0021】
さらに詳細には、図2は典型的な携帯装置のアーキテクチャの上位レベルのブロック図を示している。携帯装置201は、加速度計204、デジタルデータ変換205、およびプロセッサ206を有するハードウェアプラットフォーム201aを具備している。ホストまたはソフトウェア202は、ブラウザ207、スクリプト208、プラグイン209、およびインタプリタ210を具備している。携帯装置201は、通信インターフェース203を経由してホスト202と通信する。
【0022】
携帯装置201は、運動検出器(たとえば、多方向加速度計204)を含む、ハードウェアおよび/またはソフトウェア、あるいはそれらの組み合わせである。典型的な加速度計は、三次元空間内における装置201の移動を認識するためのアナログデータを出力する。次に、このアナログデータは、A/D(アナログ−デジタル)変換器として機能するデジタルデータ変換ユニット205によってデジタルデータに変換される。加速度計204が、プロセッサ206に適合したデジタル位置データを出力する場合、デジタルデータ変換ユニット205を省いてもよい。
【0023】
アクションは、携帯装置201のユーザ駆動運動または移動として定義される(たとえば、図1の水平な矢印で示した左または右への突然の運動は、そのような2つのアクションである)。アクションは、左または右に限定されないが、例示目的のため、記載した検出アルゴリズムでは、これら2つの特定アクションのみを使用する。
【0024】
前記装置201の検出された所定の運動は、装置が基準面に対してなす角度を表した測定値である、“傾き”または“揺れ”であり得る。典型的な実施形態の目的のため、基準面は水平(すなわち、いかなる静止状態位置であっても地面に対して平行)である。基準面は、静止状態位置(閾値検出レベル以下であり、そのため不当な入力として扱われる小さな移動を伴う)であり得る。基準面をなすX軸およびY軸と、基準面に対して垂直であるZ軸とを伴うデカルト座標を使用して、上下移動は、Z軸に沿って検出され、左右移動はX軸に沿って検出されるとともに、前後移動は、Y軸に沿って検出される。“傾き”、または“縦の揺れ”は、Z軸およびY軸に沿って検出され、“左右の揺れ”は、X軸およびY軸に沿って検出されるともに、回転は、Z軸およびX軸に沿って検出される。移動の閾値は、入力として意図しない携帯装置の小さな移動を排除するとともに、加速度の閾値は、意味のない入力として判定される長い時間にわたって発生したような、距離の閾値よりも大きい移動を排除する。
【0025】
上記6種類の各移動は、方向によってさらに区別することができるため(たとえば、“縦の揺れ”は、上に対しては正、または下に対しては負)、12種類の異なる入力を含んでいる。3軸全てに沿った同時移動は、13番目の特有な入力であり、変更として、デカルト座標の代わりに極座標としてもよい。
【0026】
典型的な実施形態の空間的移動インターフェースは、1つまたは複数の加速度計(通常は、加速度計204)からの情報を解釈する。加速度計204は、デジタルデータ変換ユニット205によってデジタル形式に取り込まれる、アナログまたはパルス幅変調(PWM)信号を出力する。次に、生の加速度データは、マイクロプロセッサ206によって処理される。マイクロプロセッサ206は、所定のイベントが発生したかどうかを判定するため、加速度データを解釈する命令セットとして機能する。装置201のモードに依存して、装置201の位置または過去の位置に関する情報が、ホスト202に送信される。ホスト202は、典型的にウェブブラウザ207を含む命令セットである。
【0027】
今日存在し、本実施形態に使用することができる小型の装置運動センサ、データ変換、およびプロセッサは、様々ある(たとえば、全開示が本明細書に組み込まれる、1991年1月29日にZimmermanらに発行された米国特許第4,988,981号明細書と、全開示が本明細書に組み込まれる、2001年4月19日に公開された国際公開第WO 01/27735 A1号パンフレットとに開示されているように)。
【0028】
たとえば、前記プロセッサ206は、ソフトウェア、ミドルウェア、またはファームウェアとして具現してもよい。同様に、プロセッサ206は、プログラマブルロジック、アプリケーション特定統合化回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、または汎用コンピュータとして具現してもよい。プロセッサ206は、位置検出器または移動検出器204(たとえば、加速度計)からの位置データをホスト202が解釈できる所定のイベントに変換する。
【0029】
前記プロセッサ206からの所定のイベント出力は、信号を表す所定のイベントとして、装置201から通信インターフェース203を通してホスト202に通信される。
【0030】
前記通信インターフェース203は、信号(たとえば、装置201からホスト202へのイベント表現信号、ホスト202から装置201へのコントロール、および他のデータ)を交換する双方向通信のために、携帯装置201とホスト202とを適切に接続する。通信インターフェース203は、いずれのタイプの送信ラインを使用してもよく、本実施形態では、通信インターフェース203は、スタンドアロン構成用のハードワイヤードデータ経路である。当然、代替実施形態では、通信インターフェース203は、無線技術(たとえば、セルラー、ブルートゥース、ワイハイ、ワイマックス、狭域無線周波数、ハードワイヤリング、光学、赤外線、および人工衛星)と、好ましいほどではないがケーブリングとによって具現してもよいことは、当業者にとって自明である。そのような実施形態では、携帯装置は、ホスト202のソフトウェアから分離したハンドヘルドコントロールである。
【0031】
次に、前記通信インターフェース203によって通信されたイベントは、ブラウザによって、たとえば、スクリプト環境(たとえば、ホスト202のブラウザ207のスクリプト208)を使用して、ハンドルされる。
【0032】
前記インタプリタ210は、通信を行うとともに、ホスト202のために装置の指定をコントロールするライブラリを有している。通信手段は独立しているが、通信インターフェース203を通して通信を行うようにホスト202のソフトウェアを使用してもよい。インタプリタ210は、イベントベースであり、完全なデータメッセージを装置201から受信したらすぐに、ゼロまたはより適切に記録されたイベントリスナに対して、イベントを送信する。装置201のモードは、通信インターフェース203を通してインタプリタ210から装置201へコントロールメッセージを送信することと、これらのコントロールメッセージを確認するために装置201を待つこととによって処理される。これらの機能は、好ましくはソフトウェアを用いて実行する。
【0033】
前記ブラウザ207は、ブラウザのプラグインインターフェース209を通して、インタプリタ210を認識する。プラグインコードは、イベントリスナとしてインタプリタの要求に対してそれ自体を記録するとともに、装置201から受信されたとき、イベントは送信される。プラグイン209は、通信インターフェース203を通して送信されるイベント表現信号に対して、応答してもしなくてもよい。特に、プラグイン209は、イベント信号をスクリプト208に出力するか、またはブラウザを直接コントロールするためにイベント信号を使用してもよい。プラグイン209は、インタプリタ210のコントロール機能(同様に、スクリプトに出力される)に対するアクセスを有している。これらの機能は、好ましくはソフトウェアを用いて実行する。
【0034】
図2の前記ホスト202のスクリプト208は、装置201からの入力に基づいて、これらのウェブサイトのコンテンツを直接変更することをウェブ開発者に許可する。たとえば、装置からの“縦への揺れ”データは、ウェブベースマップ、またはこれらが発生する度にコンテンツを突然変化させるための装置201の信号によって認識されたジェスチャーをコントロールする。スクリプトインターフェース208は、装置からの大量の情報を出力しても出力しなくてもよい、プラグイン209の実行によって定義される。これらの機能は、好ましくはソフトウェアを用いて実行する。サーバー側またはクライアント側のどちらで実行されるにしても、ジャバ、ジャバスクリプト、PHP、ASP、CGI、およびパールの実行によって具現されるような、実行可能に定義されたコンテンツプロバイダとしてのスクリプトであることは、当業者にとって自明である。
【0035】
フローチャートのいずれの過程の記載またはブロックは、過程内のステップまたは特定の論理機能を実行するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、コードの一部を表現しているものとして理解されるべきものである。変形例は、当業者には自明であるように、十分に同時に、または逆の順番で関連機能に依存するステップを具備し、その機能は、本発明の典型的な実施形態の範囲内に含まれるその機能は、図示または記載されたもの以外のものであってよい。
【0036】
図3のフローチャートに関連して開示されたように、前記ソフトウェアは、加速度計204からの加速度データを解釈するのに使用されるアルゴリムに加えて、プロセッサ206上で実行されるとともに、通信インターフェース203を通してホスト202と通信する。ホスト202と装置201との間の通信は、状態マシンによって装置側でハンドルされる。ホスト202が、装置201にコマンドを送信することにより、装置201の状態が更新される。この更新された状態は、ホスト201にどのような情報が送信されたかどうかを判定する。装置201は、処理されていてもいなくともよいデータストリームを送信するのと同様に、装置201の位置における変化が、所定のイベントとなる所定のアクションとして解釈された場合に、情報を送信する。
【0037】
アクションは、突然の運動(たとえば、左または右への)である。アクションは、装置を使用している間に発生しうる他の運動(ノイズ、たとえば、ユーザが、移動する車内の乗客であるときに押された場合)から区別される。
【0038】
検出システムは、装置がアクション駆動モードに置かれた場合に入るループ内で、動作する。図3は、通信インターフェース203を用いて実行される通信ステップ407による、図2の加速度計204からホスト202へのデータ400の流れを示している。このループは、図2のプロセッサ206に含まれており、デジタルデータ変換205(たとえば、アナログ−デジタル変換器(ADC)であってよい)からのバイナリデータは、プロセッサ206(たとえば、汎用コンピュータプロセッサおよびソフトウェアであってよい)への入力である。インタプリタ210は、イベントコントロール信号をブラウザ特定コントロールに変換するための、テーブルルックアップであってよい。プラグイン209は、ブラウザ207と直接接続するとともに、ハンドヘルド携帯装置に関係する追加的機能を標準ブラウザ207に与えるプログラムモジュールであってもよい。
【0039】
ステップ402によって判定されるようにデータの新規部分が利用できる度に、ステップ403で新規イベントデータは、先行するN個のデータ点を含む、装置201の小型メモリアレイ(図示せず)に格納される。
【0040】
この時点で、前記データは、たとえば、新規の各データ点に対して、アレイ内の全データの平均をとるローパスフィルタ(図示せず)を用いて、好ましくは除去されるノイズを通常含んでいる。そのようなフィルタリングは、プロセッサ206を用いて行ってもよい。
【0041】
前記生じた信号は、信号の直列成分を除去する他のフィルタ(図示せず)に通される。直列成分は、示してはいないデジタルデータ変換器からのデータストリームの結果であり得る。前記フィルタは、第1差分(離散時間微分、ステップ404)をとることによって、この直列成分を除去する。そのようなフィルタリングは、プロセッサ206を用いて行ってもよい。
【0042】
次に、図3の加速度信号処理300、さらに詳細には、好ましくはプロセッサ206を用いて行われる、図4のステップ400,401,402,403,および404から生じるフィルタリングされたデータストリームは、ステップ406で所定のアクションが発生したかどうかを判定する、状態マシン405に出力される。所定のイベントとして判定される、所定のアクションが発生した場合、ステップ407に従って、イベント信号が、通信インターフェース203を通してホスト202に送信される。
【0043】
図3の状態マシンフローチャートは、マシンの先行状態と、ステップ300から入力されるデータとを考慮する、単純な決定構造に基づいてその状態を移す。
【0044】
前記ステップ301によってマシンが静止状態にあると判定され、かつステップ304によってアクションまたはイベント信号閾値を超えたと判定された場合、状態マシンは、特定の閾値を越えたことに対応するアクション状態305に遷移する。明瞭さのため、1つの所定イベントに、ステップ304,305の1セットのみを図示したが、好ましくは別個のセットが、所定の各イベントに提供される。装置201の主処理ループ313が、マシンの状態を検査した結果、マシンがアクション状態にある場合、ステップ312で適切な情報が、通信チャネルまたはインターフェース203を通してホストに送信される。
【0045】
突然のアクションから生じる信号は、1方向における素早い加速よりもはるかに複雑である。初期信号が確認された後に、信号が多くの閾値を越えることは、稀ではない。このため、ステップ301で信号が静止状態にないと判定され、かつステップ302で所定の移動ではないと判定された場合、状態マシンは、さらなるアクションを確認する前に、信号が静止状態に戻るまで待つ(ステップ303−311)。これを実現するために、前記マシンは、ゼロ待ち状態に置かれる。前記マシンが一旦この状態になったら、ゼロがX個続くのを待つ(ステップ306で、信号の絶対値が閾値以下の場合、ゼロが発生し、次いでステップ308でXカウントを加算する。信号の絶対値が閾値以下でない場合、ステップ307でゼロカウントをリセットし、ループ313でステップ300に処理を返す。)。ゼロがX個続いた後(ステップ309)、前記マシンは、ステップ310で静止状態に戻り、ステップ300に処理を返すループ313によって、アクションを再び確認することができる。
【0046】
通信インターフェース203の通信は、上記したようにいずれのタイプの手段を用いてもよい。ホスト202と装置201との間の通信は、ポーリングまたはイベント駆動(たとえば、ホストによって判定される)でもよい。特に、ホストは、装置の位置に関する情報を要求してもよく(ポーリング)、装置はホストに情報を独立して送信してもよい(イベント駆動)。
【0047】
実施形態の変形として、前記装置201は、ホスト202からのコマンドにより特定のモードに置くことができるので、装置201は、突然の左または右への運動(“左右の揺れ”)に対応する情報のみを送信する。他の実施例として、前記装置は、地面に対してなす装置の角度に対応する“傾き”(“縦の揺れ”)データのストリームを送信してもよい。同様に、回転データを送信してもよい。
【0048】
明らかに、容易に理解できる本発明の変更および変形は、上記説明の観点において可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書で具体的に記載したもののほかに、別の方法で実施してもよいことが分かる。たとえば、相互に協働するソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントの片方または両方で記載した一方で、本明細書に記載したシステムは、全てソフトウェアで実施してもよいことを想定している。前記ソフトウェアは、磁気または光学ディスク、あるいは無線周波数または可聴周波数搬送波のようなキャリアに具現してもよい。
【0049】
したがって、上述の説明は、単に本発明の典型的な実施形態を開示および記載したものである。当業者には自明であるように、本発明は、それらの趣旨又は本質的な特徴から逸脱せずに、他の特定の形式で実施してもよい。したがって、本発明の開示は、例示を意図したものであり、他の請求項と同様に、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書の説明の容易に理解できる変形を含む本開示は、発明性のある要旨は公開されないが、先の請求項の用語の範囲の一部分を定義する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の典型的な携帯装置の透視図である。
【図2】図1の典型的な携帯装置のアーキテクチャの上位レベルのブロック図である。
【図3】図1の携帯装置の典型的な過程の流れを図示したフローチャートである。
【図4】図1の携帯装置に対するユーザ入力動作の流れ図である。
【符号の説明】
【0051】
201 携帯装置
201a ハードウェアプラットフォーム
202 ホスト
203 通信インターフェース
204 加速度計
205 デジタルデータ変換ユニット
206 マイクロプロセッサ
207 ブラウザ
208 スクリプト
209 プラグインインターフェース
210 インタプリタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯装置のアプリケーションプログラムにコントロールを通知する方法であって、
前記携帯装置のディスプレイにアプリケーションプログラムのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するステップと、
前記携帯装置の所定の空間的移動の発生を判定するステップと、
前記発生に対する応答において、対応するコントロール信号を生成するステップと、
前記アプリケーションプログラムのプラグインプログラムにコントロール信号を出力するステップと、
前記アプリケーションプログラムにプラグインのコントロール信号を出力するステップと、
前記携帯装置の空間的移動に従ってコントロールを通知するため、アプリケーションプログラムによって支援されるスクリプト環境において、スクリプト処理を実行するステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コントロール信号は、前記アプリケーションプログラムを実行可能に接続するプラグインによって出力されることを特徴する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記判定ステップは、携帯装置の状態マシンを用いて行われることを特徴する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記携帯装置のさらなる移動を監視するとともに、ハンドヘルド携帯装置の移動が実質的に静止状態にあることを判定するステップと、
さらに、前記静止状態の判定に対する応答において、別の所定の移動に関して判定するステップと、生成するステップと、出力するステップとを繰り返すステップと
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記判定ステップは、装置内の加速度出力のノイズおよび直流成分のフィルタリングを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生成ステップは、プラグインアプリケーションによってコントロール信号を生成し、
前記コントロール信号は、ウェブブラウジングアプリケーションプログラムのスクリプト環境を通して処理されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するように構成されたディスプレイと、
携帯装置の空間的移動を検出するように構成され、かつ応答する出力を供給する空間検出ユニットと、
ソフトウェアプラットフォームを提供するとともに、通信チャネルへの出力を監視および供給するように構成されたデータプロセッサと、
プラットフォーム上で実行する適切な実行可能コードと
を具備し、
前記実行可能コードは、
通信チャネルに動作可能に接続されているとともに、出力を受信するためにデータプロセッサと通信を行うように構成されたインタプリタライブラリと、
対応する生成イベントを受信するため、インタプリタライブラリに協働的に接続されたインターフェースを有するプラグインと、
GUIを出力するとともに、生成イベントを受信するため、協動的にプラグインを接続するように構成されたブラウジングプログラムと
を含み、
前記インタプリタは、インタプリタライブラリに関してイベントを生成し、
前記生成イベントは、スクリプトインターフェースに出力され、
前記スクリプトインターフェースは、ブラウジングプログラムが携帯装置の空間的移動に対する応答においてコントロールされるように、スクリプト環境を支援することを特徴とする携帯装置。
【請求項8】
前記出力のデータ点を格納するように構成されたメモリをさらに具備することを特徴とする請求項7に記載の携帯装置。
【請求項9】
前記空間検出ユニットは、先の移動の判定との比較によって空間的移動を判定するように構成された状態マシンをさらに具備することを特徴する請求項7に記載の携帯装置。
【請求項10】
アプリケーションプログラムにコントロールを通知するシステムであって、
ハンドヘルド装置と、
ホスト装置と
を具備し、
前記ハンドヘルド装置は、
ハンドヘルド装置の空間的移動を検出するように構成され、かつ応答する出力を供給する空間検出ユニットと、
通信チャネルへの出力を監視および供給するように構成されたデータプロセッサと
を有し、
前記ホスト装置は、
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するように構成されたディスプレイと、
ホスト装置のプラットフォーム上で実行する適切な実行可能コードと
を有し、
前記実行可能コードは、
通信チャネルに動作可能に接続され、かつ前記出力を受信するためデータプロセッサとの通信を行うように構成されたインタプリタライブラリと、
対応する生成イベントを受信するためインタプリタライブラリに協働的に接続されたインターフェースを有するプラグインと、
GUIを表示し、かつ生成イベントを受信するためプラグインに協働的に接続されたブラウジングプログラムと
を含み、
前記インタプリタは、インタプリタライブラリに関してイベントを生成し、
前記生成イベントは、スクリプトインターフェースに出力され、
前記スクリプトインターフェースは、ブラウジングプログラムがハンドヘルド装置の空間的移動に対する応答においてコントロールされるように、スクリプト環境を支援することを特徴とするシステム。
【請求項11】
コンピュータの空間的移動に対する応答において、アプリケーションプログラムをコントロールする方法を実行するコンピュータによるコンピュータプログラム命令を含むコンピュータ読み取り可能なキャリアであって、
携帯装置のディスプレイにアプリケーションプログラムのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するステップと、
前記携帯装置の所定の空間的移動の発生を判定するステップと、
前記発生に対する応答において、対応するコントロール信号を生成するステップと、
アプリケーションプログラムのプラグインプログラムにコントロール信号を出力するステップと、
アプリケーションプログラムにプラグインのコントロール信号を出力するステップと、
携帯装置の空間的移動に従って、コントロールを通知するため、アプリケーションプログラムによって支援されたスクリプト環境のスクリプトを実行するステップと
を具備することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−524331(P2009−524331A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550903(P2008−550903)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050821
【国際公開番号】WO2007/083289
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】