空隙のない埋め込み型密閉構造
【課題】空隙のない埋め込み型密閉構造の提供。
【解決手段】回路層を密閉する共形薄膜密閉層を含む、埋込み型集積回路構造を提供する。また、電極構造、それを含むリード、リードを含む埋込み型パルス発生器、ならびにその構成要素を有するシステムおよびキット、本構造を利用するその他の埋込み型装置、および、対象構造を形成、使用する方法も開示する。本発明の側面は、埋込み型構造、例えば集積回路(IC)装置、IPG等を含み、その外面上の少なくとも一部に存在して構造を腐食性環境から密閉する、共形で空洞のない密閉層を有する。
【解決手段】回路層を密閉する共形薄膜密閉層を含む、埋込み型集積回路構造を提供する。また、電極構造、それを含むリード、リードを含む埋込み型パルス発生器、ならびにその構成要素を有するシステムおよびキット、本構造を利用するその他の埋込み型装置、および、対象構造を形成、使用する方法も開示する。本発明の側面は、埋込み型構造、例えば集積回路(IC)装置、IPG等を含み、その外面上の少なくとも一部に存在して構造を腐食性環境から密閉する、共形で空洞のない密閉層を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、米国仮特許出願第60/791,244号(2006年4月12日出願)、および同第60/893,548号(2007年3月7日出願)の米国特許法119条(e)項の優先権を主張するものであり、両出願の開示内容は、参考として本明細書に援用
される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、概して、埋込み型医療機器に関する。
【背景技術】
【0003】
ペースメーカおよびその他の埋込み型医療機器は、今日の医療システムにおいて幅広い使用を認める。典型的なペースメーカは、心筋に接して配置される刺激電極と、心筋の動きを検出するよう配置される検出電極と、検出電極から受信した信号に基づいて刺激電極を操作する制御回路とを含む。従って、ペースメーカは異常な(例えば、不規則な)動きを検出し、電気パルスを心臓に送達して正常な動きを回復することができる。
【0004】
体内の血管に埋め込まれたペーシングリードは、多くの用途において、柔軟な円筒形装置である。体内血管の蛇行性のため、埋込みに続いて、現在採用されている多くの装置において1つの電極の回転方向を事前設定することはできない。そのようにして、現在採用されている多くのリード装置は、リードの全直径の周囲組織に対して導電性のある円筒形の電極設計を採用する。これは、円筒形の電極が埋め込まれると、その一部が興奮組織と接触することを保証する。多重装置は円筒形の連続リング電極を採用するにもかかわらず、そのような構造には、好ましくない非標的組織の励起が生じ、例えば、望ましくない副作用、高い電力消費等をもたらす可能性がある等の不利益があるが、それらに限定されない。
【0005】
この問題を解決するための革新的な方法は、分割電極構造を採用することである。環帯電極は、個別に起動することができ、電気的に絶縁され、不連続帯において構成された2つ以上の電極構造で形成される電極構造と置き換えられる。そのような分割電極構造は、特許文献1および特許文献2において開示される。これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの分割電極構造は、集積回路を含んでもよい。そのような回路を使用し、個別の電極を制御してもよい。これらの回路は、電極構造に配置されてもよいが、それでもなお腐食性の体液に曝される場合がある。回路が十分に腐食から保護されない場合、早期に故障する可能性がある。
【0006】
腐食性環境において長期間持続可能な集積回路構造を製造する以前の試みは、多くの要因のため失敗に終わった。この問題は、上述の埋込み型医療機器において特に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/069322号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/029090号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この問題は、埋込み型心臓装置の場合において、コアエレクトロニクスおよび心臓の外側に位置する「ペースメーカ缶」のすべての制御チップを提供することにより解決された。この比較的大型の装置は、コア電気部品の完全な腐食保護を可能にする。しかし、そのサイズが心臓内のセンサおよびその他の装置部位におけるこの保護の使用を妨げる。この制限が、感知または作動部位においてマイクロプロセッシングを提供する心臓装置の開発における課題である。
【0009】
局地原料が装置内に漏出することによる影響から主要な電気的、機械的、および/または作動構成要素を保護するオンサイトパッケージングが使用可能になれば、医療機器開発の重要な道が開かれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態の独創的な共形の小型耐食密閉パッケージは、埋込み型医療機器およびその構成要素、例えば集積回路(IC)チップ、埋込み型パルス発生器等が、生理食塩水、血液またはその他の体液または組織と長期接触する際に保護を提供し、以前に使用可能であった設計より小型である。このパッケージ配置は、埋込み型構造、例えばICチップと完全に一致し、基本的に構造自体より大きいことはなく、構造(例えば、ICチップまたはその他の装置)と耐食パッケージとの間から任意のギャップまたは空洞を排除するシェルを(以下に詳述されるように完全または部分的に)形成する。この要素は、構造と耐食パッケージとの間の任意のギャップまたは空洞が腐食性液体の集積点として作用する可能性があるため、重要である。
【0011】
また、密閉装置を例えば単一集積回路から埋込み型パルス発生器等の大型埋込み型構造まで様々なサイズで単純かつ実用的に、最小の故障率で製造できる方法について記載する。本発明により、数日、数ヶ月、および数年にわたり実践的かつ確実に使用できる小型埋込み型医療機器の実用的開発を可能にする。
【0012】
この独創的な構成の実施形態は、これまで使用可能であった技術に比べ多くの利点を提供する。このアプローチは、埋込み型装置、例えばICまたはIPGの製造を著しく簡素化する。本発明の側面は、製造コストを削減し、信頼性を高める。IPGに関して、本発明の実施形態は、IPGのサイズを例えば容量で約10〜90%、約30〜70%、および約40〜55%削減する。この空洞のない装置にはその他の重要な利点がある。これらの装置は、ろう付け材料として金を使用するフィードスルーの必要性を削減または排除できる。IPGの形状を制約する必要がない。さらに、独創的な構造により頭部領域がより頑丈になる。
【0013】
本発明の側面は、その外面の少なくとも一部に共形密閉層を有する埋込み型構造を含む。特定の実施形態において、密閉層は、実質的に構造の外面全体に存在してもよい。さらに別の実施形態において、密閉層は、構造の表面の一部のみ、例えば外面の一部のみに存在してもよい。本発明の一実施形態において、IC等の構造は、共形で空洞のない密閉層に完全に包み込まれる。本発明の一実施形態において、ICチップの上面は、密閉層で被覆される。
【0014】
本発明の実施形態は、水、金属またはセラミック材料に対する最善の拡散障壁の利点を利用する。金属およびセラミックのアセンブリ構築は、エレクトロニクスパッケージへの水の拡散を減速させる。このパッケージの共形性により、全体パッケージサイズを劇的に削減できる。本発明のこの主要な利点は、医療機器開発のまったく新しい可能性を開く。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
埋込み型密閉構造を提供するために、該構造の外面の少なくとも一部の上に共形の密閉層を含む、埋込み型密閉構造。
(項目2)
前記共形の密閉層は、前記構造の外面の全体を被覆する、項目1に記載の構造。
(項目3)
前記共形の密閉層は、前記構造の外面の一部のみを被覆する、項目1に記載の構造。
(項目4)
前記構造は集積回路である、項目1に記載の構造。
(項目5)
基板と、
集積回路含む回路層であって、該回路層が該基板の上面上および/または上面内にある、回路層と、
該回路層の上面上にある密閉層であって、該回路層を密閉することにより、埋込み型密閉集積回路装置を提供する、密閉層と
を含む、項目4に記載の集積回路。
(項目6)
前記密閉層は、前記密閉回路層と該密閉回路層の外部位置との間に電気通信を提供する電気ビアを含む、項目5に記載の埋込み型密閉集積回路装置。
(項目7)
前記ビアは耐食性の伝導体要素を含む、項目6に記載の埋込み型密閉集積回路装置。
(項目8)
前記回路層は傾斜端を含む、項目5に記載の埋込み型密閉集積回路装置。
(項目9)
前記構造は埋込み型パルス発生器である、項目1に記載の埋込み型密閉構造。
(項目10)
埋込み型密閉集積回路を製造する方法であって、
回路層を基板の上面に提供することと、
該回路層を密閉する該回路層の上面上に密閉層を生成することにより、該埋込み型密閉集積回路装置を提供することと
を含む、方法。
(項目11)
前記密閉層を前記基板の上面上に生成する、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記密閉層を生成することは、前記回路層の上面上に密閉層材料を蒸着させることを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記密閉層は、プラズマ蒸着、プラズマ助長化学蒸着、スパッタリング、電子ビーム蒸着、メッキ、陰極アーク蒸着および低圧化学蒸着をから成る群から選択されるプロセスにより蒸着される、項目12に記載の方法。
(項目14)
項目5に記載の密閉集積回路装置を含む埋込み型医療機器。
(項目15)
前記埋込み型医療機器は、埋込み型パルス発生器のリードである、項目14に記載の埋込み型医療機器。
(項目16)
項目5に記載の埋込み型密閉集積回路を含む電極集合体。
(項目17)
前記電極集合体は、2つ以上の電極を含む分割電極である、項目16に記載の電極集合体。
(項目18)
前記分割電極は4つの電極を含む、項目17に記載の電極集合体。
(項目19)
近位端と遠位端、および項目18に記載の電極集合体を少なくとも1つ含む、細長い柔軟構造。
(項目20)
前記構造は血管リードである、項目19に記載の細長い柔軟構造。
(項目21)
前記血管リードは2つ以上の電極集合体を含む、項目20に記載の細長い柔軟構造。
(項目22)
前記血管リードは3本以下のワイヤを有する多重リードである、項目21に記載の細長い柔軟構造。
(項目23)
(a)電源および電気刺激制御要素を含むハウジングと、
(b)項目20〜22のいずれか1項に記載の血管リードと
を含む、埋込み型パルス発生器。
(項目24)
項目23のいずれかに記載の埋込み型パルス発生器を対象に埋め込むことと、
該埋め込まれたパルス発生器を使用することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う、密閉集積回路装置の断面図を示す。
【図2】図2は、密閉集積回路装置の代替実施形態の断面図を示す。
【図3】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図4】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図5】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図6】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図7】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図8】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図9】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図10】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図11】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図12】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図13A】図13Aは、第1の厚耐食金属蒸着後のパッケージの上面図を示す。
【図13B】図13Bは、第1の厚耐食金属蒸着後のパッケージの側面図を示す。
【図13C】図13Cは、第1の厚耐食金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。
【図13D】図13Dは、第1の誘電体蒸着および第2の金属蒸着後のパッケージの上面図を示す。
【図13E】図13Eは、第1の誘電体蒸着および第2の金属蒸着後のパッケージの端面図を示す。
【図13F】図13Fは、第1の誘電体蒸着および第2の金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。第2金属蒸着は、シェルの半分を形成する。
【図13G】図13Gは、第2の誘電体蒸着および第3の金属蒸着後のパッケージの裏面図を示す。
【図13H】図13Hは、第2の誘電体蒸着および第3の金属蒸着後のパッケージの側面図を示す。
【図13I】図13Iは、第2の誘電体蒸着および第3の金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。第3金属蒸着は、耐食シェルの相補的半分を形成する。
【図14A】図14Aは、シェル(外側材料)が厚い耐食金属であるパッケージの断面を示す。
【図14B】図14Bは、シェル(外側材料)が厚い耐食誘電体であるパッケージの断面を示す。
【図15A】図15Aは、シェル(外側材料)が厚い耐食誘電体である、基板上の複数ICチップパッケージの断面を示す。
【図15B】図15Bは、シェル(外側材料)が平坦化された厚い耐食誘電体である、基板上の複数ICチップパッケージの断面を示す。
【図16】図16は、パッケージ化された単一のICチップの断面を示し、装置の片側は電極を提供する。
【図17A】図17Aおよび17Bは、基板上の複数ICチップパッケージの断面を示し、リークを検出するようセンサが構築される。
【図17B】図17Aおよび17Bは、基板上の複数ICチップパッケージの断面を示し、リークを検出するようセンサが構築される。
【図18】図18は、ICチップの断面を示し、パッケージのシェル(外側材料)は、光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する耐食誘電体である。
【図19】図19は、複数のICチップの断面を示し、一方のチップは電子回路を含み、別のチップは、同じく耐食誘電材料である光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する。
【図20】図20は、複数のICチップの断面を示し、一方のチップは電子回路を含み、別のチップは、同じく耐食誘電材料である光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する。
【図21A】図21Aは、ICチップの断面を示し、チップの片側に厚い金属でアンテナが形成される。
【図21B】図21Bは、ICチップの断面を示し、チップの片側に厚い金属でアンテナが形成される。
【図22A】図22Aは、ICチップの断面を示し、チップに取り付けられた複数の電極は厚い金属で形成される。
【図22B】図22Bは、ICチップの断面を示し、チップに取り付けられた複数の電極は厚い金属で形成され、それらの電極はある形状を成す。
【図23】図23は、ICチップの断面を示し、チップの表面上に厚い金属で複数の電極が形成される。
【図24A】図24Aは、積まれたICチップの断面を示し、チップの間の電気接続が厚い金属で形成される。
【図24B】図24Bは、積まれたICチップの断面を示し、誘電体が別のICチップの上に1つの空洞チップの密閉を形成する。
【図25】図25は、ICチップの断面を示し、電気回路に加えて、ICチップにMEMSセンサが組み込まれる。
【図26】図26は、完全に包み込まれたIPGの図を示す。
【図27A】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27B】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27C】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27D】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27E】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27F】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図28】図28は、本発明の実施形態に従う、電極支持構造の斜視図を示す。
【図29】図29は、図29に示される電極支持構造と併用する分割電極集合体に組み込まれる図1の装置の斜視図を示す。
【図30】図30は、本発明の実施形態に従う、多くのペーシングサテライトの典型図を示す。
【図31A】図31Aは、本発明の実施形態に従い、リードの伝導性部材に対して配置される本発明のサテライト電極構造の3次元図を提供する。
【図31B】図31Bは、図31Aに示されるサテライト電極構造の断面図を提供する。
【図32】図32は、本発明の実施形態に従う、リード電極に連結された1つ以上の密閉集積回路を含む、心臓再同期療法システムを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の側面は、埋込み型構造、例えば集積回路(IC)装置、IPG等を含み、その外面上の少なくとも一部に存在して構造を腐食性環境から密閉する、共形で空洞のない密閉層を有する。本発明の実施形態の密閉構造は、多くの利点を提供する。例えば、ICチップ等の構造は、医療機器の一部として生体内に埋め込まれると、血液、生理食塩水、またはその他の腐食性流体もしくは組織に曝される場合がある。この腐食性環境に対してある程度の保護がなければ、通常ICチップは劣化および故障する。ICチップを密閉層でコーティングする利点は、チップのサイズが増加するとしてもほんのわずかなことである。密閉チップのこの側面は、ICチップが体内に埋め込まれる装置の一部である場合、例えば、心臓室または血管内に配置されたリード上にチップが存在する場合、埋め込まれた装置の追加容積が破壊的となりうる上で重要である。ICチップを密閉層でコーティングする別の利点は、チップをカプセル化する、またはそれを保護ハウジングに載置するよりもプロセスがはるかに簡単で費用がかからないことであり、また腐食に起因する欠陥に対して同程度またはそれ以上に確実にチップを保護する。
【0017】
前述のように、本発明の側面は埋込み型密閉構造を含む。埋込み型密閉構造は、構造をその環境から密閉するよう作用する構造の外面上の少なくとも一部に共形で空洞のない密閉層を含む。前述のように、特定の実施形態において、密閉は、完全でないとしても実質的に構造の全外面をカバーする。特定の実施形態において、構造は、密閉層で包装される、または包み込まれるものであってもよい。さらに別の実施形態において、実質的に構造全体を密閉層で被覆してもよい。例えば、特定の実施形態において、一表面、例えば、ICの上面のみを密閉層で被覆してもよい。
【0018】
埋込み型とは、体内に見られる高塩、高湿度の環境を含む生理的環境に2日以上、例えば約1週間以上、約4週間以上、約6ヶ月以上、約1年以上、例えば約5年以上存在する場合に、機能性を維持するよう構成される構造を意味する。特定の実施形態において、埋込み型回路は、生理的部位に約1年〜約80年以上、例えば約5年〜約70年以上、および約10年〜約50年以上の範囲の期間、機能性を維持するよう構成される。
【0019】
密閉層は、「薄膜」コーティングとして特徴付けられてもよい。その厚みは、それが関連する構造の総容量を著しく増加させない厚みである。層に起因しうる装置容量の任意の増加は、容量で約10%以下、例えば約5%以下、約1%以下である。本発明の側面に従って、密閉層は厚みが約0.1〜約10.0μmの範囲、例えば約0.3〜約3.0μmの範囲であり、約1.0μm厚以上の範囲を含む。
【0020】
本発明の側面に従って、平坦化処理プロトコル、例えばプラズマ助長化学蒸着、物理蒸着、スパッタリング、蒸発、陰極アーク蒸着(例えば、2006年6月21日出願の米国仮出願第60/805,464号を参照。陰極アーク蒸着プロトコルに関するこの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、低圧化学蒸着、およびその他の同様のプロセスを使用して密閉層を適用してもよい。
【0021】
密閉層は共形で空洞がないため、本発明の側面は、密閉層と、密閉層が適用される埋込み型構造の表面との間に空洞のない構造を含む。そのようにして、密閉層は、装置においてそれが関連する構造の表面に一致する。例えば、構造の形状に対応する。
【0022】
上述のように、本発明の側面は、幅広い埋込み型構造を含む。したがって、微小回路だけでなく幅広い装置を、独創的な密閉アセンブリに有利にカプセル化することができる。例えば、本発明の特定の実施形態において、圧力および温度センサを独創的なアセンブリ内に組み込む。関心の圧力センサ、例えば低ドリフト圧センサは、国際公開第2005/058133号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。そのため、本発明のアセンブリは、ICチップだけでなく圧力および温度センサ、ならびにその他の装置をチップに関連して、または独自に含み、保護することができる。
【0023】
説明を容易にするため、本明細書では、主に集積回路(IC)実施形態に関して本発明を詳述する。しかし上述のように、本発明に従って密閉される構造はICに限定されない。
【0024】
IC実施形態の場合、装置の回路層は、1つ以上の個別の回路層を含んでもよい。2つ以上の回路層が提供される場合、個別の回路層の数は、2つ以上、例えば、3つ以上、4つ以上等であってもよい。特定の実施形態において、個別の回路層の数は、約10以下、例えば約7以下である。特定の実施形態において、回路層は基板と同延(coextensive)の端を有するが、その他の実施形態において、回路層は前記基板と同延でない端を有する。
【0025】
本発明の実施形態の集積回路は、モノリシック集積回路であり(IC、マイクロ回路、マイクロチップ、シリコンチップ、コンピュータチップまたはチップとしても知られる)、半導体材料の薄い基板の表面に製造されている小型電子回路(半導体装置および受動素子を含んでもよい)である。本発明の特定の実施形態の集積回路は、個別の半導体装置および受動素子で構成され、基板または回路基板に接着された小型電子回路であるハイブリッド集積回路とは異なる。集積回路は、デジタル、アナログまたはその混合信号であってもよい。
【0026】
特定の実施形態の埋込み型集積回路は、多数の個別の機能ブロック、例えばモジュールを含む。機能ブロックは、すべて腔内サイズの支持構造上にある単一の集積回路に存在する。単一の集積回路とは、すべての異なる機能ブロックを含む単一の回路構造を意味する。本発明の集積回路は、その意図される使用に必要な回路の機能性を提供する多数の機能ブロックを含んでもよい。この機能ブロックは、すべて単一の集積回路の一部である。特定の実施形態において、回路は少なくとも電力抽出機能ブロック、エネルギー蓄積機能ブロック、通信機能ブロック、および装置構成機能ブロックを含む。そのような回路は、2006年12月22日出願の国際出願第PCT/US06/48944号(名称「Implantable Integrated Circuit」)に記載されている。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
回路が関連する支持構造は、例えば、支持構造の表面に存在するか、または少なくとも一部が支持構造の内部に統合されることにより、任意の好適な支持構造であってもよく、必要に応じて堅固または柔軟であってもよい。支持構造は腔内サイズであるため、その寸法は、生理的内腔の内側、例えば心血管、静脈または動脈等の血管の内側に配置できるようにする。特定の実施形態において、腔内サイズの集積回路は、(例えば、最大面の面積に関して)約0.05mm2〜約5mm2、例えば約1.125mm2〜約2.5mm2の間のサイズであり、約1.5mm2を含む。集積回路の支持構造は、正方形、長方形、楕円形、および六角形、不規則形状等の様々な異なる形状を有してもよい。
【0028】
必要な場合、密閉層は、密閉回路層とその外側位置との間に電気通信を提供する電気ビアを1つ以上含んでもよい。ビアは耐食導電要素で形成されてもよく、例えば密閉層における開口または空洞を通って延在し、回路層と電気的に接触する部分を有する溶接タブ等の様々な形式を有してもよい。
【0029】
本発明の実施形態は、本発明の密閉集積回路を有する埋込み型医療機器を含む。特定の実施形態において、埋込み型医療機器は、集積回路、それを含むリード、リードを含む埋込み型パルス発生器、およびその構成要素を有するシステムならびにキット、および対象装置を製造および使用する方法を含むサテライト電極構造を含む。
【0030】
本発明に従う密閉構造の一実施形態は、1つのパッケージデザインあたり複数のチップを有する。高電圧に耐えるよう製造または設計されるチップをアセンブリの一部分に提供する。第1チップよりライン幅が小さいが、心臓ペーシングまたはその他の構成要素の要求から高電圧を維持する能力を不要とするコンパニオンチップは、アセンブリの別の部分に存在する。これらのチップをともに接着し、共形パッケージを両者の周囲に構築する。上述の例は、単一の発明耐食密閉パッケージ内に2つのチップを相乗的に提供することに関するガイダンスを提供するが、これらのアセンブリは、単一パッケージにおいて最大4、5、6、またはそれ以上のチップを処理できる。そのような大型アセンブリにおいて、これらのアセンブリを積み上げ、密閉保護される医療機器構成要素に対する機能性をさらに追加できるという利点もある。
【0031】
本発明の側面をさらに詳述するため、密閉回路構造の実施形態について最初に詳述した後、それらの製造方法の特定実施形態について説明する。次に、密閉回路構造を含む分割電極、およびそれを含む医療担体ならびに医療機器に関する説明を提供する。さらに、本発明のキットおよびシステム、ならびに本発明の様々な側面を使用する方法について詳しく説明する。
【0032】
(密閉構造)
上述のように、本発明の埋込み型密閉構造は、構造の外面全体ではないが、実質的に全体に共形密閉層が存在する構造を含んでもよく、その構造は、密閉層に包み込まれる、または包装される、例えば、パッケージ化される構造であってもよい。代替として、密閉層は構造の一部、例えば上部分にのみ存在し、密閉層が構造の外面を部分的に被覆するようにしてもよい。これらの実施形態それぞれについて、ここで個別に詳述する。
【0033】
(共形密閉層で部分的に被覆される埋込み型構造)
図1を参照すると、本発明の側面に従うIC装置10の典型的な一実施形態が示されている。装置10は、例えばシリコン等であるがそれらに限定されない基板12上に形成してもよい。図1に示されるような単一ダイスを個別に形成するか、または複数のダイスを、例えばシリコンウエハ上でともに形成し、処理中または処理後に個別のダイスに単一化してもよい。
【0034】
回路層14は、基板12の上面16に構築してもよい。一実施形態において、層14は、標準的な相補型金属酸化膜半導体(CMOS)ファウンドリ層により形成してもよい。例えば、層14は、膜または酸化ケイ素、窒化ケイ素、およびアルミニウム等の材料を含んでもよい。層14は、保護層を含んでもよい。層14は、センサ、エフェクタ、プロセッサ、またはその他のデジタル若しくはアナログ回路または構成要素をともに形成してもよい。明確にするため、図1には3つの層14のみを示すが、任意の数の層14を形成してもよい。また、明確にするため、図1の層14およびその他の特徴は、特定の厚みおよびその他の寸法で示され、必ずしも縮小されていない。しかし、当然のことながら、実際は以下に記載されるようなその他の寸法およびアスペクト比を採用してもよい。上面16は、電気接続18を含んでもよく、以下で説明されるように、層14上の回路を外部構成要素に接続する。図に示されるように、電気接続を上層14および/または下層14に配置してもよく、その上の層におけるビアを介してアクセスできる。
【0035】
本発明の側面に従って、装置10を密閉層20により回路層14上の基板12の上面16において密閉してもよい。密閉層20は、薄膜保護層であってもよい。この実施形態において、密閉層20は基板12と協働し、層14を周辺環境から密閉するエンベロープを形成する。層14にとって特に脆弱な点は端22である。端22が保護されなければ、腐食性の液体または物質が層14の間に侵入し、層間剥離および回路の故障を生じる場合がある。したがって、図1の実施形態に示されるように、密閉層20は端22を被覆する。この実施形態において、密閉層20は、基板ダイス12の上面16の周辺部分24も被覆し、層14の端22が保護されることを保証する。
【0036】
密閉層20を基板ダイス12の上面16に直接接触させるため、この実施形態では回路層14を基板ダイス12の端26から奥まった位置に配置し、回路層14を持たない周辺部分24を形成する。この配置を実現するには、層14を基板ダイス12の上面16の中央領域に形成するだけでよい。代替として、層14を周辺部分24の一部または全体に形成した後に除去してもよい。例えば、標準的な半導体処理型フォトレジストをフォトリソグラフプロセスと併用することにより、層14の一部を除去し、残る層14の領域を保護してもよい。次に、非保護領域をエッチングで除去してもよい。例えば、反応性イオンエッチングおよびウェット化学エッチングの組み合わせを使用することにより、アルミニウム、二酸化ケイ素、および窒化ケイ素等の周辺部分24上の層をすべて除去することによって、裸の基板12を露出させたままにする。
【0037】
その他の実施形態において(図示せず)、層14は基板ダイス12の端26まで延長してもよい。つまり、個別のダイスが大きい基板12から単一化される前に、基本的に基板またはウエハ全体は層14により覆われる。しかし、個別のダイスが単一化された後、そのような実施形態における層14の脆弱な端22を保護するためには、密閉層20で端22の周囲を包み込み、基板12の一部と接触する必要がある。これは、ダイスが単一化された後、密閉層20を上面16上および側表面26の少なくとも一部に形成することにより行ってもよい。代替として、ダイスの単一化前、および密閉層20が形成される前に溝または分割ラインを基板12上に形成し、密閉層20が層14の1つ以上の端22を完全にカバーし、基板12の一部と接触するようにしてもよい。
【0038】
回路層14の1つ以上の端22は、ダイス基板12の端26からくぼんでいるか否かにかかわらず、図1に示されるように傾斜があってもよい。「傾斜端」とは、層14が全体的に傾斜した端をともに形成することを意味する。各層自体が傾斜端を有してもよく、または各層は平方端を有し、実際に階段状の傾斜端をともに形成してもよい。一部の実施形態において、密閉層20は、傾斜端22を有する層14上に、端22が正方形であるか、または切り取られている場合より完全で耐久性のある密閉を形成してもよい。端22と上面16が成す角度は、特定の実施形態において、約15〜約75°、例えば約30〜60°の範囲であり、約45°を含む。その他の端部断面、例えば、オジー形状、1つ以上の凹凸曲線、異なるピッチを有する複数の傾斜部分、またはそれらの組み合わせを有する断面を採用してもよい。層14の成形端は、層を形成する際に、エッチングまたは材料除去、あるいはそれらの組み合わせにより形成されてもよい。
【0039】
図1に示される実施形態において、密閉層20を形成した後、1つ以上の溶接タブ28を装置10上に取り付けまたは形成する。電極18上の密閉層20にビアを形成し、溶接タブ28が電気接続18にアクセスし、それとの物理および電気接続を形成するようにしてもよい。例えば、マスクを使用すること、密閉層20を形成した後、そこから材料を除去すること、エッチングによること、またはそれら2つの組み合わせにより、ビアを密閉層20として形成してもよい。一実施形態において、装置10上のマスクを介して金属コーティングを溶射することにより、溶接タブ28を作成する。図1に示されるように、金属コーティングの一部は、密閉層20におけるビアを充てんし、電気接続18との接触を形成して、残りは端22上の層20の輪郭に沿う。金属コーティングは、電気接続18上のビアを充てんし、密閉層20に付着して、層14上の密閉の完全性を維持し、溶接タブ28が装置10に堅固に取り付けられるようにしてもよい。隣接するダイス上またはダイス間の金属コーティングを基板12の一部に適用することにより、溶接タブ28の片持ち部分30を形成してもよい。離型剤または犠牲層をその形成前に片持ち部分30の下に直接適用し、片持ち部分30が隣接する基板に付着しないようにしてもよい。
【0040】
溶接タブ28は、電気的に導電性であり腐食に耐える材料で形成されてもよく、隣接する構造に容易に溶接することができ、電極18および/または密閉層20に付着する。導電タブは、多種の異なる材料で製造されてもよい。適切な対象材料は、金属、例えば金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、およびイリジウム(Ir)等の貴金属およびその合金を含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、貴金属は金またはその合金ではない。さらにその他の実施形態において、導電材料は金合金である。適切な貴金属合金の生成において貴金属と結合してもよい金属は、その他の貴金属、チタン(Ti)、クロミウム(Cr)、タングステン(W)等を含むが、それらに限定されない。また関心の導電材料は、以下で詳細に検討されるように、例えば金属シリサイドを持つ貴金属の合金である。一実施形態において、溶接タブ28はプラチナを含む。別の実施形態において、溶接タブ28はインジウムを含む。さらに別の実施形態において、溶接タブはプラチナとイリジウムを両方含む。
【0041】
一実施形態において、密閉層20は炭化ケイ素で形成され、高い耐食密閉を形成する。代替として、密閉層は二酸化ケイ素、酸化炭素、酸窒化炭素、例えば、プラチナ、ロジウム、イリジウム等の貴金属およびその合金を含む金属、金属シリサイド、例えば、窒化ケイ素、窒化炭素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の窒化物、炭化タングステンまたはその他の炭化物を含んでもよい。密閉層20は、単一層であるか、または同一あるいは異なる材料の複数層で形成されてもよい。複数の材料を採用する場合、熱膨張係数を計算し、それらがチップの働きに悪影響を及ぼさないよう設計してもよい。
【0042】
一実施形態において、密閉層20は、プラズマ化学蒸着を使用して基板12の上面16上に形成される。このプロセスは密閉層20の材料を反応的に蒸着するため、この層はその下の材料にしっかり付着する。このプロセスは、密閉層20にピンホールおよびその他の欠陥がない密閉装置10の良好な収率を提供することも分かった。代替または組み合わせとして、プラズマ気相成長法、スパッタリング、電子ビーム蒸着、陰極アーク蒸着、低圧化学蒸着、およびその他の同様のプロセスを用いて、密閉層20またはその一部を適用または形成してもよい。特定の実施形態において、下位層14または基板12の温度を約400℃〜約450℃以上に上げないプロセスを採用する。これは、そのような温度が典型的なCMOS層を損傷する可能性があるためである。
【0043】
図2を参照して、本発明の側面に従って構成されるIC装置32の代替実施形態を示す。図2に示されるように、上述の装置10と同様に、装置32は基板12、回路層14、上面16、電気的接続18、回路層端22、周辺部分24、およびダイス基板端26を含んでもよい。本実施形態において、金属薄膜密閉層34は、層14の端22に適用され、端22上に耐食密閉を形成する。密閉層が存在しない場合、密閉を提供する保護層15Aが最上の回路層上に存在することに注意する。図1の実施形態と同様に、密閉層34は周辺部分24上で基板12と直接接触する。密閉層34は、図に示されるようにダイス基板12の端26に向かって延長するか、または端26の寸前で止まってもよい。層14の端22は傾斜があり、上述のような任意の形状を有してもよい。本発明の特定実施形態において、密閉層34は、チタン、プラチナ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、またはその合金で形成される。
【0044】
電気的接続18は、回路層14をその他の装置と相互接続するための上層14上に形成されてもよい。電気的接続18および密閉層34の下または上に追加の密閉層を形成し、回路層14を完全に密閉してもよい。非導電層を密閉層34上に適用し、溶接タブ28(図1に示す)が電気的接続18および密閉層34の上に形成される場合に、電気的短絡を回避してもよい。そのような非導電層は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、または上述のその他の薄膜で形成されてもよい。
【0045】
密閉構造の実施形態は、任意の便利なプロトコルを使用して製造してもよい。本発明のこれらの実施形態の側面は、集積回路基板上に密閉層を形成し、耐食密閉構造を生成するステップを含む。密閉構造を採用する埋込み型エフェクタの性質に応じて、方法の実施形態は、エフェクタを集積回路に電気的に連結するステップをさらに含む。さらに、方法の実施形態は耐食ホルダを形成するステップを含む。
【0046】
多種の異なるプロトコルのいずれかは密閉構造およびその構成要素の製造に採用されてもよい。成形、蒸着および材料除去、例えば、微小電気機械システム(MEMS)製造等の平坦化処理技術を採用してもよい。構造製造の特定側面において採用されてもよい蒸着技術は、電気メッキ、陰極アーク蒸着、プラズマ溶射、スパッタリング、電子ビーム蒸着、物理蒸着、化学蒸着、プラズマ化学蒸着等を含むがそれらに限定されない。材料除去技術は、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば化学機械研磨、レーザアブレーション、電子放射機械加工(EDM)等の平坦化等を含むがそれらに限定されない。またリソグラフプロトコルも興味深い。特定の実施形態において、平坦化処理プロトコルの使用が興味深い。ここで、構造が構築され、および/または連続して基板に適用される多種の異なる材料除去および蒸着プロトコルを使用して、初期平坦化基板の1つ以上の表面から除去される。
【0047】
ここで、本発明の特定の実施形態に従って上述される様々な回路構造を生成するための製造プロトコルについて詳述する。図3〜12は、密閉構造の製造に採用できる本発明の実施形態に従う処理プロトコルのフロー図を提供する。図3において、初期構造40は、CMOSファウンドリから受けてもよいが、第1表面46上に存在するファウンドリ保護層44を有する基層42(例えば、シリコン、炭化ケイ素等)を含む。ファウンドリ金属層48は、ファウンドリ保護層44上に存在してもよい。別のファウンドリ保護層50は、ファウンドリ金属層48上に存在してもよい。凹部52は、金属ファウンドリ層48の一部を露出するファウンドリ保護層50において提供されてもよい。これらの凹部は、最終的に、以下に示すような導電フィードスルーまたはビアになる。
【0048】
薄い金属腐食障壁層54は、図4に示されるように、保護層50上に蒸着されてもよい。図に示されるように、障壁層54は、下位保護層50における凹部52に隣接してギャップを残すようパターン化されてもよい。この実施形態において、障壁層50の厚みは、約200Å〜約50,000Åの範囲であってもよい。
【0049】
図5A〜5Dに示されるように、層44、48および50の外側端は、基板42の各ダイス部分の周辺端部56を露出するようエッチングされてもよい。層は、1つのステップで一度にエッチングされるか、または複数のステップで個別にエッチングされてもよい。図5Aは、正方形の端部断面を示す。代替として、図5Bにおいて示されるように、反応性プラズマエッチング法を用いる等により、傾斜または傾斜した端部断面を得てもよい。図5Cは、ウェット化学エッチングにより得られる曲線状の端部断面の例を示す。図5Dは、それぞれ異なるマスクを利用してもよいエッチングステップを複数使用することにより得られる場合がある階段状の端部断面を表す。
【0050】
図6は、耐食層58の蒸着を示す。層58は、任意の便利なプロトコル、例えばプラズマ化学蒸着(PECVD)により蒸着されてもよい。層58は、図に示されるように、凹部52に隣接してギャップを残すようパターン化されてもよい。次に図7に描かれるように、シャドーマスク60を配列し、一時的に下位構造と結合してもよい。本発明の側面に関する理解を助けるため、図7〜9は2倍縮小され、1つではなく2つのダイス部分を示していることに注意する。シャドーマスク60は、任意の便利なプロトコルを使用し、例えば反応性イオンエッチング、フォトエッチング、または電鋳法等により生成されてもよい。次に図8に示されるように、例えば蒸着、メッキ等により、例えば厚い金属の導電層62を下位構造の上面およびマスク60全体に生成してもよい。導電層62は、凹部52を完全に充てんし、下位金属層48との電気接触を形成してもよい。次に、図9に示されるように、シャドーマスクを除去してもよい。続いて、基板42の底部側をパターン化およびエッチングし、図10A〜10Dに示されるように、ダイス間にある基板42の一部を除去してもよい。図10Aは直壁構造を示し、図10Bは傾斜壁構造を示し、図10Cは曲線壁構造を示し、図10Dは複雑形状の例を示す。次に、図11に示されるように、層58の部分をエッチング除去してもよい。最後に、図12に示されるように、基板42の個別のダイス部分を個別の集積回路チップに単一化してもよい。この例において、導体素子62はチップの端を越えて延長し、チップ回路への電気的接続を提供する。導体素子62は、耐食層58、障壁層54、および基板42と協働してチップを密閉する。
【0051】
上述の製造方法は、本発明に従う密閉構造を製造するために採用可能な異なるプロトコルの単なる例示であることに注意する。
【0052】
特定の実施形態において、さらに不活性導電層を集積回路に含めてもよい。この層は、多くの異なる利点を提供する場合がある。「不活性導電層」とは、導電性であるがIC構造の機能回路の一部を形成しないため、回路の機能性に影響する、または調節する回路の機能構成要素でない層を意味する。特定の実施形態において、この不活性導電層は、密閉層により被覆されないチップ部分のすべてではないが一部を被覆する。例えば、図12に示される構造は、層54が不活性導電層であるように修正してもよい。不活性導電層の存在は、1つ以上の目的で機能する場合がある。特定の実施形態において、その存在により、保護層、例えば図12に示される層58の性質を特定する簡単な方法を提供する。例えば、保護層に任意のピンホール欠陥が存在するかどうかは、層54を通って左62から右62に流れる電流を検出することにより容易に特定できる。不活性導電層は、存在する場合、拡散障壁としても機能するため、装置をさらに密閉する。
【0053】
(共形密閉層にパッケージ化される埋込み型構造)
上述のように、本発明に従って様々な埋込み型構造を密閉することができる。2つの関心の構造は、集積回路および埋込み型パルス発生器である。これらの例示的実施形態それぞれについて、以下で個別に詳述する。
【0054】
(密閉集積回路)
本発明の一実施形態において、ICチップをPt薄膜(例えば、層)、次に炭化ケイ素膜で被覆する。エッチングで炭化ケイ素膜に穴を開け、特定の領域において下位のPt膜を露出する。厚い耐食金属導体(Pt、PtIr、PtTi、PtTiIr、Tiまたはその他の耐食金属)を露出した薄いPt領域上のICチップに蒸着させる。これらの耐食層は、露出した薄いPt膜上に保護障壁を形成し、ICチップとの電気相互接続として機能する。次に、薄い炭化ケイ素またはその他の耐食誘電体(AIN、AIO、TiO2またはその他の適切な誘電体/セラミック)を厚い金属線の上に蒸着させる。第2の厚い金属または誘電体層をチップ上に選択的に蒸着させる。この層は、追加の耐食層として、および第1の厚い金属蒸着中に形成された電気相互接続の機械的支持構造として機能する。次に、薄い炭化ケイ素またはその他の耐食誘電体をチップの裏面に蒸着させる。続いて、第3の厚い金属または誘電体層をチップの裏面に蒸着させ、共形パッケージを完了する。第2および第3の厚い金属蒸着により、電気導体およびICチップの周囲にシェルが形成される。
【0055】
耐食密閉層は、特定の実施形態において、厚くストレスフリーの金属構造である。特定の実施形態において、構造の厚みは約0.01μm〜約500μmの範囲、例えば、約0.1μm〜約150μmである。特定の実施形態において、構造は厚さ約1μm以上、例えば厚さ約25μm以上であり、約50μm以上の厚さを含む。この厚みは約75、85、95、または100μm以上であってもよい。特定の実施形態において、構造の厚みは、約1〜約200μm、例えば約10〜約100μmの範囲である。密閉層は、特定の実施形態においてストレスフリーである。「ストレスフリー」とは、構造の機能性を損なう可能性のある欠陥が層にないことを意味する。そのようにして、「ストレスフリー」とは、構造を引き離す、例えばそれらが蒸着される基板から剥離しうるストレスと比較して、ストレスが低いことを意味する。したがって、構造にひび、ギャップ、穴またはその他の欠陥、特に構造の機能性、例えば構造が装置の内部容量を密閉する能力、導体素子としての働き等を損なうような欠陥がない。
【0056】
製造アセンブリの構成に使用される誘電材料は、特にシリコン、炭化ケイ素、アルミニウムまたは窒化アルミニウム等から選択できる。選択したセラミックが特定のアセンブリおよびその対象環境の腐食要件を満たす限り、本発明において事実上、任意のセラミックを採用することができる。当業者により十分理解されるように、複数の材料を採用する場合は、熱膨張係数も計算し、それらがチップの動作を干渉しないよう設計する。
【0057】
任意で全体アセンブリをプラスチックでコーティングし、操作または磨耗から保護することができる。
【0058】
図13Aは、チップレベルの保護(薄いプラチナおよび炭化ケイ素膜蒸着)および第1の厚金属蒸着直後のパッケージの上面図を示す。このステップにおいて、厚い金属で形成された線は、チップへの電気接続を形成する。露出した薄いプラチナパッドは、この厚い金属層により保護される。図13Bは、同一パッケージの側面図を示す。ICチップの側壁は傾斜していることに注意する。この傾斜端により、第3の最終裏面金属蒸着における側壁の被覆が促進される。図13Cは、第1の金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。これは、厚い金属線が傾斜したICチップの端を越えて延在する様子を示す。ICチップへの電気接続は、耐食導体をこれらの機構に接着することにより(溶接、ろう付け、スウェージング、圧着等により)形成することができる。これらの接続は、チップから離して形成することができ、それによりICチップを損傷する可能性が最小限になる。図13Dは、第2の厚金属蒸着後のパッケージの上面を示す。薄い耐食誘電体(SiC、AIN、TiO2等)は、第1および第2の金属層を分離し、それらが互いに短絡することを防ぐ。この第2金属層は、別の拡散障壁として、および第1金属線の機械的支持として機能する。図13Eは、第2の厚金属蒸着後のパッケージの側面図を示す。第2金属層は、ICチップの端を越えて延在する。図13Fは、第2の厚金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。この第2層が第1金属層に対してどのように共形であるかに注意する。このように第2金属が第1金属と密に接触することにより、ICチップとパッケージの間に空洞が生じないよう保証する。
【0059】
図13Gは、第3の厚金属蒸着後のパッケージの裏面を示す。薄い耐食誘電体が、第3の厚金属と、ICチップと、パッケージの残りの部分を分ける。この図において、チップとの電気接続に使用される線が、第3および最終の厚金属層の端を通過して延在することが分かる。図13Hは、第3の厚い金属蒸着後のパッケージの側面を示す。図13Iは、第3の金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。第3の金属もICチップの裏面に対して共形であるため、空洞ができる可能性がないことに注意する。また、その環境に露出される材料は、耐食誘電体および金属のみであることにも注意する。
【0060】
図14Aは、3層の厚い耐食層がすべて耐食金属であるパッケージの断面を示す。図14Aは、その上面にあるIC保護層242を有するシリコンチップ241を示す。IC保護層を被覆しているのは炭化ケイ素層243である。また、3つの異なる厚い金属蒸着層244が示される。これらは、チップを包み込む共形で空洞のないパッケージにおいて協働してICチップを密閉する追加の炭化ケイ素層を有する。図14Bは、第2および第3の厚い耐食層245が耐食誘電体である、パッケージの断面を示す。
【0061】
図15Aは、絶縁基板上でパッケージ化された複数ICチップの断面を示す。ここでチップ間の電気接続は基板上で形成され、チップのアセンブリは1つ以上の耐食誘電体および/または金属で保護される。金属導体は、1つ以上の厚い金属ビアを通って基礎基板を貫通する場合もある。図15Bは、絶縁基板上でパッケージ化された複数ICチップの断面を示す。ここでチップ間の電気接続は基板上で形成され、チップのアセンブリは1つ以上の耐食誘電体および/または金属で保護される。金属導体は、1つ以上の厚い金属ビアを通って基礎基板を貫通する場合もある。耐食誘電体は平坦化されている。
【0062】
図16は、装置の一側面が電極および耐食金属層を提供する単一のICチップパッケージの断面を示す。また電極は、電解電極であることに加え、容量性電極であってもよい。図17Aおよび17Bは、パッケージ化された複数のICチップの異なる図を示す。ここでセンサは、保護層の下に構築され、液体輸送用の測定方法を形成する。
【0063】
図18は、パッケージのシェル(外側材料)は、光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する耐食誘導体である、ICチップの断面を示す。図19は、複数のICチップの断面を示す。一方のチップは電子回路を含み、別のチップは、同じく耐食誘電材料である光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する。図20は、複数のICチップの断面を示す。一方のチップは電子回路を含み、別のチップは、同じく耐食誘電材料である光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する。チップは、互いに「フリップチップ」アセンブリにおいて電気的に接続される。
【0064】
図21Aは、チップの一側面に厚い金属でアンテナが形成されるICチップの断面を示す。厚い金属は自立するか、基板により支持されてもよい。図21Bは、チップの1つ以上の側面に厚い金属でアンテナが形成されるICチップの断面を示す。図22Aは、チップに取り付けられる複数の電極が厚い金属で形成されるICチップの図を示す。電極は自立するか、基板により支持されてもよい。電極は、電解電極であることに加え、容量性であってもよい。図22Bは、それらの電極が形成されるICチップの断面を示す。
【0065】
図23は、厚い金属で複数の電極がチップの表面に形成されるICチップの断面を示す。図24Aは、積まれたICチップの断面を示し、ここで厚い金属でチップ間の電気接続が形成される。図24Bは、積まれたICチップの断面を示し、ここで誘導体により別のICチップ上に1つの空洞チップが密閉される。この空洞スペースに、圧力センサを組み込むことができる。図25は、電気回路に加え、MEMSセンサがICチップに組み込まれるICチップの断面を示す。
【0066】
(埋込み型パルス発生器)
図26に示されるように、本発明の方法を使用し、様々な構成要素を持つ完全な複数の単位装置を単一の密閉パッケージに封入することができる。例えば、厚金属蒸着プロセスを採用し、IPG/ICD装置構成全体を封入できる。複数の構成要素を封入する本発明の実施形態により、単一の基板を作成し、バッテリ、IC、個別の構成要素(コンデンサ)、およびIS1コネクタブロックを取り付けることが可能になる。厚い金属を作成し、その金属をパターン化する能力により、厚く幅広い金属線が形成され、そこにIS1コネクタブロックを直接溶接できる。
【0067】
本発明のアプローチの1つにおいて、ポリマーキャップをバッテリおよびプラスチック構成要素上に配置し、金属蒸着中にそれらを保護する。このポリマーキャップも均一な表面を形成する。共形コーティングを採用してもよい。取り付けられたキャップとともに、誘電体を表面に適用する。このステップにより、金属蒸着用の厚い金属線を絶縁する。IS1コネクタブロック領域をマスクし、厚い金属をポリマーキャップの上部およびセラミック基板上に適用し、内側のエレクトロニクスを密閉することができる。最終ステップとして、コネクタブロックを溶接し、ヘッダを取り付ける。本発明の最終構造を図26に示す。図26は、その表面に個別の構成要素264を有する基板262を含む埋込み型パルス発生器260を示す。また、IS1コネクタブロック268に連結する厚い金属線266も示される。バッテリ267は、基板266の下に配置される。全体構造は、空洞のない共形密閉層270で被覆される。
【0068】
複数の構成要素を包含する本発明の実施形態には多くの利点がある。ヘッダブロックの位置決めは、ピックアンドプレースと同様に容易になる。レーザー溶接が不要となる。蒸着は真空下で行われるため、空気をパッケージから除去する。ペースメーカおよびICDの現行の製造プロセスは、ハイブリッド回路基板を使用してエレクトロニクスアセンブリを構築し、それらを溶接したチタン缶に詰める。缶からリードへの接続は、フィードスルーを使用して形成する。フィードスルーは、セラミックを導体にろう付けすること、および金ろう付け材料を使用して缶にろう付けすることにより製造する。次に、これらのフィードスルーをエポキシまたは別のポリマーに包含し、ICDまたはIPG上にヘッダを作成する。アセンブリとともにチタン缶を製造し、筐体を溶接するプロセスは、多くの故障モードを有する労働集約的プロセスである。
【0069】
本発明の側面は、厚い金属蒸着プロセスを使用し、IPGおよびICDを製造および包含する方法を変えることである。図26は、そのようなIPGアセンブリの図を示す。1つの可能な製造方法を以下に説明する。
【0070】
第1に、ICおよび/またはコンデンサ等の個別の構成要素への接続を持つ必要なハイブリッド(セラミック)回路基板を形成する。ハイブリッドは、厚い金属線で製造され、ヘッダにあるコネクタブロックに直接接続される。この設計では、フィードスルーの使用は除かれる。
【0071】
個別の構成要素をハイブリッド回路に取り付ける。次に、エレクトロニクス装置を共形誘電材料で被覆する。この材料は、エレクトロニクスに適合するよう成形または形成されるポリマーであってもよい。特定の例において、層は、回路に溶射、溶解、または蒸着される共形材料であることにより、互いに絶縁し、全体パッケージを厚い金属または誘電材料の耐食パッケージにおいてコーティングすることができる。
【0072】
次に、厚い金属線およびコネクタブロックを含む領域をエポキシまたは幾つかのその他のポリマーでコーティングし、従来の様相のヘッダを形成する。この製造方法は、すべて真空下で行うことができる。これは、カプセル封入が部品の形状に一致するため、はるかに小さいパッケージの形成を可能にする。組立は基本的にピックアンドプレース操作であり、コネクタブロックをハイブリッド回路上の厚い金属線に接続するためのレーザー溶接のみを用いる。エレクトロニクスアセンブリを製造済みのチタン缶に配置し、それを溶接で閉じる現行の製造方法とは対照的に、厚い金属または誘電体をエレクトロニクスアセンブリの外側に適用する本発明に基づいて、その他のステップをプロセスに採用することも可能である。
【0073】
(製造方法)
上述のように、多種の異なるプロトコルのいずれかを採用し、密閉構造およびその構成要素を製造してもよい。例えば、鋳造、蒸着および材料除去、例えば、微小電気機械システム(MEMS)等の平坦化処理技術を採用してもよい。構造製造の特定の側面において採用してもよい蒸着技術は、電気メッキ、陰極アーク蒸着、プラズマ溶射、スパッタリング、電子ビーム蒸着、物理蒸着、化学蒸着、プラズマ化学蒸着等を含むがそれらに限定されない。材料除去技術は、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば、化学機械研磨、レーザアブレーション、電子放射機械加工(EDM)等による平坦化等を含むがそれらに限定されない。またリソグラフプロトコルも興味深い。特定の実施形態において、平坦化処理プロトコルを使用することも興味深い。ここで、構造は構築され、および/または連続的に基板に適用される様々な異なる材料除去および蒸着プロトコルを使用して、初期平坦基板の1つまたは複数の表面から除去される。
【0074】
本発明の空洞のない装置を生成する1つのプロセスを図27A〜27Fに示す。図27Aに示されるように、すべての露出接着パッドはウエハレベルで保護される。接着パッド3は、チップレベルで保護される必要がある。これは、薄い層のプラチナ5を最初に置くことにより達成される。これは離昇プロセスでパターン化される。炭化ケイ素層7は、プラチナ5の薄層上に提供される。次に、炭化ケイ素7に穴をあける。この点に対するプロセスは、チップレベルの保護を提供する。
【0075】
図27Bに示されるように、第1金属蒸着ステップが提供される。このステップは、最終チップの端を越えて延在するすべての特徴を画定し、適切な溶接部位を提供する。これらの特徴は、シャドーマスクプロセスを使用してパターン化される。堅個なマスク、またはそれにエッチングされた穴を有するマスクを提供する。このシャドーマスク9はウエハ1と接触する。シャドーマスク9はそこにスペースを有し、ウエハ1の上部に配置される。次に、金属の陰極アーク蒸着を提供し、蒸着金属11を生じる。続いて、シャドーマスク9を物理的に除去する。結果として生じる構造は、ウエハ1上の幾つかの小さな金属パッドである。蒸着された金属接着パッド11が残る。これはすべて連続し、シャドーマスク9とともにスクリーンとして機能する。全体シャドーマスク9を剥がし、それに付着した余分な金属を取り、開口部にあった金属を残す。
【0076】
図27Cは、後で接着される接着パッド11を用いた第1金属化を示す。接着パッド11は、チップ1の側面に突出するスタブをほとんど作らない。本プロセスの次のステップは、この層を薄い誘電体で保護することである。この誘電体層13は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、二酸化チタン、または窒化アルミニウム等のよく知られた多くの材料から選択できる。誘電体層13は、この第1金属を次の金属蒸着から電気的に絶縁する。このプロセスにおける次の金属蒸着、金属15は本質的に保護装置(lock)である。金属15は誘電体層13の上部に降り、ブランケットで表面をコーティングする。ここで金属15と指定される層は、その他の場合において金属である必要はない。例えば、厚い誘電体であってもよい。
【0077】
図27Dは、第2金属15の自己マスキングを示す。ブランケットエッチングは上面で行われ、13と記載された露出誘電体をすべて取り除く。金属がその上部にある領域では露出されないことに注意する。この構成では、接着パッド11と第2金属15の間に層13が残る。さらに層13と接着パッド11の間には絶縁体があり、ともに短絡しないようにする。代わりに、金属15が誘電体である場合は、短絡の心配はない。裏面からエッチングを使用し、傾斜した側壁を生成する。これにより、領域19におけるシリコンが除去される。この処理の後、シリコン17が残る。2つのピット19がチップ1の裏側にエッチングされているため、残りのシリコンは17である。活性回路がこの領域21に残ることにより、金属11によってのみ懸垂される完全に機能的なチップとなる。次にこのチップの裏層を炭化ケイ素、窒化アルミニウム、または二酸化チタン等の誘電体層23を蒸着することにより保護する。図27Eに示されるように、別の厚い絶縁体または厚い金属25の厚蒸着も提供される。
【0078】
図27Eに示されるように、このプロセスは、チップに共形で空洞のない密閉を提供する厚い金属および誘電体でチップ全体を包含する。図27Fは、本発明の特定な実践的利点を示す。全表面が保護されているため、交差領域27において、シリコンは依然として露出される。化学気相エッチングを提供し、シリコンのみを除去する。この特徴により、本製造アプローチが完全にウエハレベルのプロセスとなる。製造されたチップは、ウエハから落ちる。典型的なダイスカットステップが排除される。実際に、処理がまったくないため、チップにかかる圧力の処理もない。最終チップはホルダに入る。シリコンの領域27は、この金属11の裏面からエッチングされる。支持構造はエッチングにより取り除かれている。最終チップは自由になり落ちる。
【0079】
(埋込み型医療機器)
上述のように、本発明は、上述のような密閉集積回路構造を含む埋込み型医療機器を提供する。埋込み型医療機器とは、生体上または生体内に配置されるよう構成される装置を意味する。特定の実施形態において、埋込み型医療機器は生体内に埋め込まれるよう構成される。埋込み型装置の実施形態は、体内に見られる高塩、高湿度環境を含む生理的環境に2日以上、例えば約1週間以上、約4週間以上、約6ヶ月以上、約1年以上、例えば約5年以上存在する場合に機能性を維持するよう構成される。特定の実施形態において、埋込み型装置は、約1年〜約80年以上、例えば約5年〜約70年以上の範囲の期間、および約10年〜約50年以上の範囲の期間、生理的部位に埋め込まれる場合に機能性を維持するよう構成される。本発明の埋込み型医療機器の寸法は異なることがある。しかし、埋込み型医療機器は埋め込み可能であるため、装置の特定実施形態の寸法は、成人の体内に配置できないような大きさではない。
【0080】
本発明のアセンブリは、高湿度の生理食塩水環境で生存できるため、人体における使用の他に多くの重要なアプリケーションを有する。また塩水および/または高湿度、あるいはその他の腐食性環境に曝されるその他の信頼性の高いアセンブリにおいて使用することもできる。
【0081】
対象の密閉集積回路を含む埋込み型医療機器は、様々に異なることがあり、 集積回路を含む電極構造を含む装置、例えば、埋込み型パルス発生器およびリード等のその構成要素、検体検出装置、視力回復装置等を含むがそれらに限定されない。これらの例示的タイプの装置それぞれについて、ここで詳述する。
【0082】
(電極を含む装置)
関心の埋込み型医療機器の1つのタイプは、電極を含む装置である。そのような装置において、1つ以上の電極は集積回路に電気的に連結される。特定の実施形態において、電極を含む装置は、以下に詳述されるように、分割電極集合体等の電極集合体を含む。
【0083】
本発明の実施形態は、電極サテライト構造等の電極集合体をさらに含む。特定の実施形態において、構造は、電極支持構造、少なくとも1つの電極要素、および上述のようなICチップ等の密閉集積回路を少なくとも1つ含む。さらなる実施形態において、サテライト構造は、例えばICの形態で支持構造の内側に制御回路を含んでもよく、サテライト構造および/またはその電極が電子バス上でアドレス指定可能となるようにする。
【0084】
図28は、以下で詳述されるように、それぞれ個別の電極要素を受け取る4つの凹部66A〜66Dを含む分割電極支持構造64の図を提供する。支持構造64は、それぞれ凹部13A〜13Dと関連する4つのフィードスルーノッチ68A〜68Dをさらに含む(図13においてフィードスルーノッチ68Dは見られない)。フィードスルーノッチ68A〜68Dは、以下に記載されるように、支持構造64の内部から外部に取り付けられた電極要素へのアクセスを提供する。本実施形態において、ノッチは支持構造に対して電極要素を整列させる働きもする。
【0085】
上述のように、電極集合体はICチップまたは集合体にアドレス指定能力を付与するその他の制御要素を含んでもよい。図29は、本発明の特定実施形態において使用が認められる密閉ICチップの図を示す。ICチップ10は、前述のように構成されるような密閉構造であり、ここで回路は密閉され、4つの導電溶接タブ28およびその他の電気接続(図示せず)により電気的にアクセスできる。密閉ICチップの実施形態は、2005年12月22日に出願された国際出願PCT/US2005/046815号(名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)に記載されるものを含むがそれらに限定されない。この出願において提供される密閉構造に関する説明は、参照により本明細書に特異的に組み込まれる。密閉されたIC10を、図13に示される支持構造64のスロット70および72に滑り込ませ、IC10が支持10の内側に安定して配置されるようにしてもよい。代替として、またはスロット70および72と併せて、ここで説明されるように、支持構造64の外側に配置された電極に接続することにより、IC10を支持構造64内に固定してもよい。
【0086】
図29を参照して、IC装置10および4つの個別の耐食電極セグメント74は、図28の電極支持構造64内に受け入れられてサテライト構造を形成する場合にそれらが占める方向で示される(明確にするため、図14では電極支持構造64を省略する)。4つの個別の電極セグメント74は、ともにセグメント化されたリング電極を形成し、サテライトを分割電極構造として見なしてもよい。分割電極構造とは、2つ以上、例えば3つ以上、4つ以上の個別の電極要素を含む電極構造を意味する。分割電極構造の実施形態は、次の明細書等において開示される:国際出願PCT/US2005/031559号(2006年9月1日出願、名称「Methods and Apparatus for Tissue Activation and Monitoring」)、同PCT/US2005/46811号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、同PCT/US2005/46815号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)、国際公開第60/793,295号(2006年4月16日出願、名称「High Phrenic,Low Pacing Capture Threshold Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、同第60/807,289号(2006年7月13日出願、名称「High Phrenic,Low Capture Threshold Pacing Devices and Methods」)、および同第60/865,760号(2006年11月14日出願、名称「Electrode Support」)。これらの出願における様々な分割電極構造の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。1つ以上のそのような電極集合体は、以下に説明されるように、心臓ペーシングリードに沿って配置されてもよい。この典型的な実施形態では4つの電極セグメント74が示されているが、任意の数の電極を使用してもよい。
【0087】
各電極セグメント74は、主要弓形部分76および湾曲ラグ部分78を含んでもよい。各ラグ部分78は、図13に示されるフィードスルーノッチ68A〜68Dの1つを通過してもよく、各電極が図28に示されるように支持構造64の外側に取り付けられると、そのラグ部分78が図29に示されるようにIC10と接続するための支持構造64の内部に突出するようにする。各ラグ部分78は、溶接、ろう付、スウェージング、圧着、ワイヤ接続等により、IC装置10上の溶接タブ28に物理的および/または電気的に接続されてもよい。これらの接続は、チップから離れて、溶接タブ28の片持ち部分30上で形成されてもよく、それによりICチップ10を損傷する可能性を最小限にする。
【0088】
またIC装置10は、後述されるように、1つ以上のバスワイヤを通じて埋込み型パルス発生器等の埋込み型装置、例えばペースメーカに電気的に接続されてもよい。電極セグメント76は、IC装置10および/または図28に示されるような支持構造64、ポリマーリードまたはその他の好適な手段等のセラミック担体により物理的に支持されてもよい。キャップ構造(図示せず)は、電極セグメント74の支持を促進するようIC装置10の上部に結合されてもよい。
【0089】
上述のような電極74の配置で、各電極74はIC装置10により独立に作動されてもよい。例えば、電極74は、装置10から周辺組織に電気刺激を伝達する。代替または組み合わせとして、電極74は周辺組織からの電気信号を感知し、IC装置10に信号を伝達してもよい。
【0090】
本発明の実施形態は、例えば上述のような1つ以上の電極サテライト構造を含む薬剤担体も含む。関心の担体は、血管リード構造を含むがそれらに限定されない。そのような構造は、一般に埋め込み可能なサイズであり、生理適合性材料で製造される。血管リードに関して、多種の異なる血管リード構造を採用してもよい。特定の実施形態において、血管リードは細長いチューブ状、例えば、円筒形構造であり、近位端と遠位端を有する。近位端は、例えば「缶」または類似する装置に存在する制御装置に接続するためのコネクタ要素、例えば、IS‐1コネクタを含む。リードは、ガイドワイヤとともに使用して、例えばワイヤ等の1つ以上の導体素子を格納する1つ以上のルーメンを含んでもよい。遠位端は、必要に応じて多種の異なる特徴、例えば固定手段等を含んでもよい。
【0091】
対象システムの特定実施形態において、上述のような1セット以上の電極サテライトは、少なくとも1つの細長い導電部材、例えば、心臓血管リード等のリードに存在する細長い導電部材と電気的に連結される。特定の実施形態において、細長い導電部材は、多重リードの一部である。多重リード構造は、必要に応じて2つ以上、例えば3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上、20以上等のサテライトを含んでもよい。特定の実施形態において、多重リードはサテライトより少数の導電部材を有する。特定の実施形態において、多重リードはワイヤを3本以下、例えば2本または1本のみ含む。関心の多重リード構造は、次の明細書等に記載されるものを含む:米国特許出願第10/734,490号(2003年12月11日出願、名称「Method and System for Monitoring and Treating Hemodynamic Parameters」)、国際出願PCT/US2005/031559号(2006年9月1日出願、名称「Methods and Apparatus for Tissue Activation and Monitoring」)、同PCT/US2005/46811号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、同PCT/US2005/46815号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)、米国特許出願第60/793,295号(2006年4月18日出願、名称「High Phrenic, Low Pacing Capture Threshold Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、および同第60/807,289号(2006年7月13日出願、名称「High Phrenic, Low Capture Threshold Pacing Devices and Methods」)。これらの出願の様々な多重リード構造の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の一部実施形態において、装置およびシステムは、オンボード論理回路またはプロセッサ、例えばペースメーカ缶等の中央制御装置に存在するプロセッサを含んでもよい。これらの実施形態において、中央制御装置は、近位端IS‐1接続等のコネクタによりリードに電気的に連結されてもよい。
【0092】
図30は、本発明の多重リード実施形態に従う多くの典型的ペーシングサテライトの外観を示す。一実施形態に従って、ペーシングリード200(例えば、図32の右心室リード109または左心室リード107)は、サテライト202等多くの(例えば8)サテライトに連結される2つのバスワイヤS1およびS2を収容する。また図30は、サテライト202を拡大図で示す。サテライト202は、サテライト202の円筒形外壁の4つの四分円に配置され、本発明の支持構造により支持される電極212、214、216、および218を含む。各サテライトは、ペーシングおよび信号検出システムと通信し、4つの電極のうちのどれがバスワイヤS1またはS2と連結されるかを決定する構成信号を受信する構造内に制御チップも含む。
【0093】
構成信号、後次のペーシングパルス信号、および電極により収集されるアナログ信号は、すべてバスワイヤS1およびS2を通じていずれかの方向に通信できる。左右対称配置で示されるが、電極212、214、216および218をリード200に沿って補正し、これらの電極間の容量性連結を最小化してもよい。電極の四分円配置により、好適な方向、例えば、神経から離れて、またはペーシング電流を下げるよう構成された電極に面して配向された電極を介してペーシング電流を投与することが可能になる。そのような精密なペーシングは、低電力ペーシングを可能にし、ペーシング信号によりもたらされる組織損傷を最小限にする。
【0094】
図31Aは、図30に示されるリードのサテライトの3次元断面図を提供する。図31Aに示されるように、サテライト202は、支持構造64の凹部に存在し、電極と電気的に連結される4つの電極212、214、216および218を有する。IC10は、支持構造64内に存在し、電極と電気的に連結される。またリードの3つの内部ルーメンを示す。これらは、中央ガイドワイヤルーメン270、およびワイヤS1およびS2を保持する導体素子ルーメン271および272を含む。
【0095】
図31Bは、サテライト202の断面図を提供する。サテライト202は、その凹部に固定され、上昇した構造250A、250B、250Cおよび250Dにより分離される4つの電極要素212、214、216および218を有する支持構造64を含む。支持構造64の内側にはIC10が存在する。IC10は、柔軟な導体素子276によりルーメン272内のS1と電気的に連結される。柔軟な導体素子276は、接続点279においてICと連結される。同様に、IC10は柔軟な導体素子275によりルーメン271内のS2と電気的に連結される。また電極は、例えば電極214とIC10との接続277および電極216とIC10との接続278により説明されるように、IC10と電気的に連結される。
【0096】
さらに、リードは多種の異なるエフェクタ要素を含む。この要素は、サテライトとは異なるサテライトまたは構造を採用してもよい。エフェクタは、圧力データ、容積データ、寸法データ、温度データ、酸素または二酸化炭素濃度データ、ヘマトクリットデータ、電気導電性データ、電位データ、pHデータ、化学データ、血流速度データ、熱伝導率データ、光学的性質データ、断面領域データ、粘度データ、放射線データ等のデータ収集を目的としてもよいがそれらに限定されない。そのようにして、エフェクタは、例えば、温度センサ、加速度計、超音波送信器または受信器、電圧センサ、電位デンサ、電流センサ等のセンサであってもよい。代替として、エフェクタは、電流または電圧を提供する、電位を設定する、基板または領域を加熱する、圧力変化を誘導する、材料または基板を解放または捕捉する、発光する、音波または超音波エネルギーを放射する、放射線を放射する等の作動または介入を目的としてもよい。
【0097】
関心のエフェクタは、本出願の発明者の少なくとも一部による以下の出願に記載されているエフェクタを含むがそれらに限定されない:米国特許出願第10/734490号(米国特許出願公開第20040193021号、名称「Method And System For Monitoring And Treating Hemodynamic Parameters」)、米国特許出願第11/219,305号(米国特許出願公開第20060058588号、名称「Methods And Apparatus For Tissue Activation And Monitoring」)、国際出願PCT/US2005/046815号(名称「Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、米国特許出願第11/324,196号(名称「Implantable Accelerometer−Based Cardiac Wall Position Detector」)、米国特許出願第10/764,429号(名称「Method and Apparatus for Enhancing Cardiac Pacing」)、米国特許出願第10/764,127号(名称「Methods and Systems for
Measuring Cardiac Parameters」)、米国特許出願第10/764,125号(名称「Method and System for Remote Hemodynamic Monitoring」)、国際出願PCT/ US2005/046815号(名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)、米国特許出願第11/368,259号(名称「Fiberoptic Tissue Motion Sensor」)、国際出願PCT/US2004/041430号(名称「Implantable Pressure Sensors」)、米国特許出願第11/249,152号(名称「Implantable Doppler Tomography System」であって、米国仮特許出願第60/617,618号の優先権を主張する)、および国際出願PCT/USUS05/39535号(名称「Cardiac Motion Characterization by Strain Gauge」)。これらの出願は、本明細書において参照によりそれら全体が組み込まれる。
【0098】
本発明の実施形態は、埋込み型パルス発生器をさらに含む。埋込み型パルス発生器は、電源および電気刺激制御要素を含むハウジングと、上述のような1つ以上の血管リード、例えば2つ以上の血管リードであって、それぞれ例えばIS‐1コネクタ等の適切なコネクタを介してハウジングの制御要素に連結される血管リードと、を含んでもよい。特定の実施形態において、埋込み型パルス発生器は、心臓血管アプリケーション、例えばペーシングアプリケーション、心臓再同期療法アプリケーション等に採用されるものである。そのようにして、特定の実施形態において、制御要素は、例えば適切な制御アルゴリズムを制御要素のプロセッサのコンピュータ読み取り可能な媒体上に記録させることにより、ペースメーカとして作動するような方法でパルス発生器を操作するよう構成される。特定の実施形態において、制御要素は、例えば適切な制御アルゴリズムを制御要素のプロセッサのコンピュータ読み取り可能な媒体上に記録させることにより、心臓再同期療法装置として作動するような方法でパルス発生器を操作するよう構成される。
【0099】
本発明の実施形態に従う、埋込み型パルス発生器を図32に示す。これは、心臓再同期療法(CRT)システムの実施形態を持つ心臓の断面図を提供する。システムは、ペースメーカ缶106を含み、缶には制御要素(例えば、プロセッサ)および電源、右心室電極リード109、右心房電極リード108、および左心室心臓血管リード107が含まれる。また右心室側壁102、心室中隔壁103、心尖105、および左心室側壁の心静脈104が示される。
【0100】
左心室電極リード107は、リード本体と、1つ以上のサテライト電極アセンブリ110、111、および112で構成される。各電極アセンブリは、上述のようなサテライトであり、図31Bに示されるような四分円構成に配置される4つの個別の電極要素に電気的に連結される密閉集積回路を含む。複数の遠位電極アセンブリを有することにより、CRTに対する最適電極位置を選択することが可能になる。代表的な実施形態において、電極リード107は、例えばリード本体にはシリコンまたはポリウレタン等、Pt‐Ir(90%プラチナ、10%イリジウム)電極アセンブリ110、111および112に接続されるコイル状またはより線にはMP35Nといった心臓リードに標準的な材料で構成される。代替として、これらの装置構成要素は、多重システム(例えば、米国特許出願公開第20040254483号(名称「Methods and systems for
measuring cardiac parameters」)、同第20040220637号(名称「Method and apparatus for enhancing cardiac pacing」)、同第20040215049号(名称「Method and system for remote hemodynamic
monitoring」)、および同第20040193021号(名称「Method and system for monitoring and treating
hemodynamic parameters」)に記載されるような多重システムであって、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。)により電極リード107の近位端に接続できる。電極リード107の近位端は、例えばIS−1コネクタを介してペースメーカ106に接続する。
【0101】
電極リード107は、導入器、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および/またはスタイレットを含む標準的な心臓リード配置装置を使用して心臓に配置される。つまり、導入器は鎖骨静脈に配置される。ガイドカテーテルは、導入器を通して配置され、右心房における冠静脈の配置に使用される。次に、ガイドワイヤを使用し、左心室心静脈の配置に使用される。電極リード107を、ガイドワイヤを越えて左心室心静脈104に滑り込ませ、CRTに最適な位置が検出されるまで試験する。マルチ電極リード107が埋め込まれても、最適な電極位置を連続的に再調整できる。
【0102】
電極リード109は、心中隔に埋め込まれる端116にアクティブな固定らせんとともに心臓の右心室に配置される。この図において、電極リード109は、1つまたは複数の電極113、114、115とともに提供される。
【0103】
電極リード109は、心臓右心室リードの典型的な配置手順に類似した手順で心臓に配置される。電極リード109は、導入器、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および/またはスタイレットを含む標準的なリード装置を使用して心臓に配置される。電極リード109は、鎖骨静脈に挿入され、上大静脈、右心房を通じて右心室に下がる。蛍光透視下で医師が決定した位置に配置される電極リード109は、電極リード109の固定において臨床的に最適であり、論理上実用的である。蛍光透視下で、アクティブな固定らせん116を進め、心臓組織にねじ込んで電極リード109を中隔に固定する。電極リード108は、アクティブな固定らせん118を使用して右心房に配置される。遠位端電極118を使用し、右心房のペーシングおよび運動感知を提供する。
【0104】
上述の側面を要約すると、本発明の埋込み型パルス発生器を使用する場合、そのような方法は、例えば上述のように、埋込み型パルス発生器を対象に埋め込み、対象の心臓をペースする、対象において心臓再同期療法を行う等のステップを含む。本発明の説明は、本明細書において、対象または患者を参照する特定の例において提供される。本明細書で使用されるように、「対象」および「患者」という用語は、動物等の生体を意味する。特定の実施形態において、動物は「哺乳動物」または「哺乳類」であり、これらの用語は、哺乳網に含まれる有機体を説明するため広く使用され、肉食動物(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、ウサギ目(例えば、ウサギ)、および霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む。特定の実施形態において、対象、例えば患者はヒトである。
【0105】
動作中の埋込み型パルス発生器の使用は、パルス発生器の少なくとも1つの電極を起動し、電気エネルギーを対象に送達するステップを含んでもよい。この起動は選択的であってもよく、例えば、パルス発生器のどの電極を起動するかを最初に決定した後、その電極を起動するステップを含む。例えばペーシングおよびCRTにIPGを使用する方法は、国際出願PCT/US2005/031559号(2006年9月1日出願、名称「Methods and Apparatus for Tissue Activation and Monitoring」)、同PCT/US2005/46811号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、同PCT/US2005/46815号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)、米国特許出願第60/793,295号(2006年4月18日出願、名称「High Phrenic,Low Pacing Capture Threshold Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、および同60/807,289号(2006年7月13日出願、名称「High Phrenic,Low Capture Threshold Pacing Devices and Methods」)に開示されている。これらの出願の様々な操作方法の開示は、参照により本明細書に組み込まれ、本装置の使用に適用できる。
【0106】
(検体検出装置およびシステム)
本発明の密閉構造の実施形態の使用が認められるさらに別タイプの医療機器およびシステムは、血液検体検出装置等の検体検出装置、例えば、血糖検出装置である。多種の異なる光ベース、例えば、赤外線または近赤外線ベースの検体検出装置が開発されており、例えば血液等の液体標本を証明するための赤外線または近赤外線光源等の光源と、標本から反射、屈折する光等の戻る光を検出するための検出器を含む。ここで、標本からの光に応答して検出器により生成された信号が処理され(例えば、参照または対照と比較することにより)、標本に含まれる1つ以上の検体、例えば血液標本中の糖を質的または量的に検出する。密閉構造を含む、例えば赤外線光源および/または検出器を含むよう適合されてもよい赤外線または近赤外線血液検体検出装置は、次の出願の明細書に記載されるものを含むがそれらに限定されない:米国特許出願公開第20040206905号、同第20040077950号、同第20040024321号、同第20020193671号、同第20020067476号、同第20020027649号、同第20050267346号、同第20050192493号、同第20050171413号、同第20050131286号、同第20050124869号、同第20050043603号、同第20050027183号、同第20040242977号、同第20040220458号、同第20040193031号、同第20040162470号、同第20040133086号、同第20040106163号、同第20030220581号、同第20030191377号、同第20030105391号、同第20030100846号、同第20030076508号、同第20030050541号、同第20030032885号、同第20030023152号、同第20030013947号、同第20020193673号、同第20020173709号、同第20020103423号、同第20020091324号、同第20020084417号、同第20020082487号、同第20020072658号、同第20020055671号、同第20020041166号、同第20020038080号、同第20020035341号、同第20020026106号、同第20020019055号、同第20020016534号、および同第20010018560号。これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。上述の公開済み出願の多くは、埋込み型装置またはシステムではない装置およびシステムについて説明している。本密閉構造は、これらの装置およびシステムを容易に埋込み型形式に修正することができる。例えば、本発明の特定実施形態において、埋込み型光学ベースの血糖検体検出装置を提供する。ここで、光源、例えば赤外線光源は、赤外線を通すシリコンホルダにおいて密閉される。密閉光源は、適切な血管の第1側面に配置され、密閉された光源からの光が血管内の血液を照明できるようにする。血管の反対側には密閉検出器が配置される。この検出器は、血管に存在する血液からの光を検出し、それに応じて電気信号を生成する。密閉光源および検出器は、例えば、後次処理のための起動信号を光源に提供し、検出器から信号を受信して、例えば血管における血液中の糖等の検体を質的または量的に特定する少なくとも1つの導体を介して、それぞれ制御装置に連結される。
【0107】
(視力回復装置およびシステム)
対象密閉構造の使用が認められるさらに別タイプの医療機器およびシステムは、視力回復装置およびシステム、例えば、検出された光を電気信号に変換し、例えば視神経を刺激する埋込み型光検出器要素を含む装置およびシステムである。本発明の実施形態にしたがって、集積回路および光センサ、例えば光電池を関心の波長を十分に通す構造において密閉でき、装置およびシステムの長期の埋め込み可能性を提供する。対象の密閉構造が組み込まれてもよい代表的な埋込み型視力回復装置およびシステムは、以下の明細書等に記載される装置およびシステムを含むがそれらに限定されない:米国特許第4,628,933号、同第5,042,223号、同第5,397,350号、同第6,230,057および国際公開第01/74444号(名称「Multi−Phasic Microphotodetector Retinal Implant With Variable Voltage And Current Capability And Apparatus For Insertion」)、同第01/83026号(名称「Artificial Retina Device With Stimulating
And Ground Return Electrodes Disposed On Opposite Sides Of The Neuroretina And Method Of Attachment」)、同第03/002190号(名称「Methods For Improving Damaged Retinal Cell Function」)、同第03/002070号(名称「Methods For
Improving Damaged Retinal Cell Function
Using Physical And/Or Mechanical Stimulation」)、同第2004/071338号(名称「Implantable Device Using Diamond−Like Carbon Coating」)、同第2004/112893号(名称「Implant Instalment」)、同第2005/004985号(名称「Treatment Of Degenerative Retinal Disease Via Electrical Stimulation Of Surface Structures」)、同第2005/004985号(名称「Device For Treatment Of Degenerative Retinal Disease Via Electrical Stimulation Of Surface Structures Of The Eyeball」)、および同第2005/110326号(名称「Mechanically Activated Objects For Treatment Of Degenerative Retinal Disease」)。
【0108】
(システム)
また上述の装置、埋込み型パルス発生器を1つ以上含むシステムも提供する。本発明のシステムは、対象、例えばヒトの体内で情報通信するシステムと見なしてもよい。システムは、信号を送信および/または受信するよう構成されたトランシーバを含む上述のIPG装置等の第1埋込み型医療機器と、信号を送信および/または受信するよう構成されたトランシーバを含む第2装置と、を含む。第2装置は、体内、体表面、または使用中に体から隔離される装置であってもよい。
【0109】
また、本発明のシステムを使用する方法も提供される。本発明の方法は、概して、例えば、上述のように第1および第2医療機器を含む本発明のシステムを提供するステップを含む。それら医療機器のうちの1つは、埋め込み可能であり、第1装置と第2装置の間に信号を伝送する。特定の実施形態において、この伝送ステップは、第1装置から前記第2装置に信号を送信するステップを含む。特定の実施形態において、伝送ステップは、第2装置から前記第1装置に信号を送信するステップを含む。信号は任意の便利な周波数で伝送されてもよい。特定の実施形態において、周波数は約400〜約405MHzの範囲である。信号の性質は著しく異なる場合があり、患者から得られた1つ以上のデータ、埋め込まれた装置から得られた装置の機能、埋め込まれた装置の制御情報、電力等に関するデータを含んでもよい。
【0110】
システムの使用は、装置を用いて得られたデータの視覚化を含んでもよい。本発明の一部は、発明システムの使用により収集された複数ソースの情報を調整する様々なディスプレイおよびソフトウェアツールを開発した。これらの例は、国際出願PCT/US2006/012246号において見られる。この出願、およびその優先出願の開示は、その全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
(キット)
埋込み型装置またはシステム、例えば埋込み型パルス発生器の1つ以上の構成要素の一部として、例えば上述のように対象の電極構造を含むキットも提供する。特定の実施形態において、キットには、少なくとも1つの制御装置が、例えば、ペースメーカ缶の携帯でさらに含まれる。これらの特定の実施形態において、構造および制御装置を細長い導電部材により電気的に連結してもよい。特定の実施形態において、電極構造は心血管リード等のリードに存在してもよい。
【0112】
対象キットの特定実施形態において、キットには、対象装置または同様の結果を得る要素を使用するための指示書がさらに含まれる(例えば、指示を提供するウェブページにユーザを導くウェブサイトURL)。これらの指示は、一般に基板上に印刷される。基板は添付文書、包装、試薬容器等のうちの1つ以上であってもよい。対象キットにおいて、1つ以上の構成要素は、便宜上または必要に応じて、同一または異なる容器に存在する。
【0113】
記載される特定の実施形態は異なる場合があるため、本発明は、それらに限定されないことを理解されたい。また、当然のことながら、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、制限を意図しない。本発明の範囲は、添付の請求項のみによって限定される。
【0114】
値の範囲が提供される場合、文脈上別段の明確な記載がない限り、その範囲の上限および下限と、規定範囲の任意のその他の規定値または介在値との間の各介在値は、下限の単位の10分の1まで本発明に包含されることを理解されたい。これらの小範囲の上限および下限は、さらに小さい範囲に独立に含まれてもよく、規定の範囲における任意の特異的に排除される制限を条件として、本発明に含まれる。規定の範囲がその制限の1つまたは両方を含む場合、それらの包含される制限値のいずれかまたは両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0115】
本明細書において、数値の前に「約」という用語を付けて特定の範囲を提示する。本明細書において、「約」という用語を使用し、それが先行する数字、およびそれに近い数字、あるいはその用語が先行する数字に近似する数字の正確性に対する逐語的サポートを提供する。数字が特異的に引用された数字に近い、または近似するかどうかを判断する際に、引用されていないがそれに近い、または近似する数字は、それが提示される文脈において、特異的に引用された数字と実質的に等しい数字を提供するものであってもよい。
【0116】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および化学的用語は、本発明が属する当該技術分野において通常の技術を有する者により一般に理解されるような意味を持つ。本明細書に記載されるものに類似または相当する任意の方法および材料も、本発明の実施または試験に使用することができる。代表的な例示的方法および材料をここで説明する。
【0117】
本明細書および添付の請求書で使用されるように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段の明確な記載がない限り、複数の指示対象を含むことに注意する。さらに、任意の追加要素を排除するよう請求項を草稿してもよいことが理解される。そのようにして、この記述は、請求項要素の引用と関連して「唯一」、「のみ」等の限定的用語を使用すること、または「否定的な」限定を使用することの先行詞となることを意図する。
【0118】
本開示を読めば当業者に明らかとなるように、本明細書において記載および例示される個別の実施形態は、それぞれ個別の構成要素および機能を有し、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、その他の幾つかの実施形態のいずれかの機能から容易に区別または組み合わせることができる。引用される任意の方法は、引用されるイベントの順番、または論理的に可能なその他の順番で実行できる。
【0119】
前述の発明は、理解を明確にする目的で図および例を用いて詳細に記載されているが、本発明の教示に照らして、添付の請求項の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変化および修正を行ってもよいことは、当業者に容易に明らかとなる。
【0120】
したがって、前述の記載は本発明の原理の単なる例示である。当然のことながら当業者は、本明細書において明記または明示されていないが、本発明の原理を具現化し、その精神および範囲に含まれる様々な配置を設計できる。さらに、本明細書で引用されるすべての例および条件付き言語は、原則として、本発明の原理および当該技術の推進に対して本発明者が寄与した概念について読者の理解を助けることを目的とし、そのような特異的に引用された例および条件に限定されないと解釈される。さらに、本明細書において本発明の原理、側面、および実施形態を引用するすべての記述、およびその特定例は、その構造的および機能的相当物を含むことを意図する。さらに、そのような相当物は、現在知られている相当物および将来開発される相当物、例えば構造にかかわらず同一機能を実行する任意の開発要素をどちらも含むことを意図する。そのため、本発明の範囲は、本明細書に図示および説明される典型的な実施形態に限定するものではない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の請求項により具現化される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、米国仮特許出願第60/791,244号(2006年4月12日出願)、および同第60/893,548号(2007年3月7日出願)の米国特許法119条(e)項の優先権を主張するものであり、両出願の開示内容は、参考として本明細書に援用
される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、概して、埋込み型医療機器に関する。
【背景技術】
【0003】
ペースメーカおよびその他の埋込み型医療機器は、今日の医療システムにおいて幅広い使用を認める。典型的なペースメーカは、心筋に接して配置される刺激電極と、心筋の動きを検出するよう配置される検出電極と、検出電極から受信した信号に基づいて刺激電極を操作する制御回路とを含む。従って、ペースメーカは異常な(例えば、不規則な)動きを検出し、電気パルスを心臓に送達して正常な動きを回復することができる。
【0004】
体内の血管に埋め込まれたペーシングリードは、多くの用途において、柔軟な円筒形装置である。体内血管の蛇行性のため、埋込みに続いて、現在採用されている多くの装置において1つの電極の回転方向を事前設定することはできない。そのようにして、現在採用されている多くのリード装置は、リードの全直径の周囲組織に対して導電性のある円筒形の電極設計を採用する。これは、円筒形の電極が埋め込まれると、その一部が興奮組織と接触することを保証する。多重装置は円筒形の連続リング電極を採用するにもかかわらず、そのような構造には、好ましくない非標的組織の励起が生じ、例えば、望ましくない副作用、高い電力消費等をもたらす可能性がある等の不利益があるが、それらに限定されない。
【0005】
この問題を解決するための革新的な方法は、分割電極構造を採用することである。環帯電極は、個別に起動することができ、電気的に絶縁され、不連続帯において構成された2つ以上の電極構造で形成される電極構造と置き換えられる。そのような分割電極構造は、特許文献1および特許文献2において開示される。これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの分割電極構造は、集積回路を含んでもよい。そのような回路を使用し、個別の電極を制御してもよい。これらの回路は、電極構造に配置されてもよいが、それでもなお腐食性の体液に曝される場合がある。回路が十分に腐食から保護されない場合、早期に故障する可能性がある。
【0006】
腐食性環境において長期間持続可能な集積回路構造を製造する以前の試みは、多くの要因のため失敗に終わった。この問題は、上述の埋込み型医療機器において特に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/069322号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/029090号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この問題は、埋込み型心臓装置の場合において、コアエレクトロニクスおよび心臓の外側に位置する「ペースメーカ缶」のすべての制御チップを提供することにより解決された。この比較的大型の装置は、コア電気部品の完全な腐食保護を可能にする。しかし、そのサイズが心臓内のセンサおよびその他の装置部位におけるこの保護の使用を妨げる。この制限が、感知または作動部位においてマイクロプロセッシングを提供する心臓装置の開発における課題である。
【0009】
局地原料が装置内に漏出することによる影響から主要な電気的、機械的、および/または作動構成要素を保護するオンサイトパッケージングが使用可能になれば、医療機器開発の重要な道が開かれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態の独創的な共形の小型耐食密閉パッケージは、埋込み型医療機器およびその構成要素、例えば集積回路(IC)チップ、埋込み型パルス発生器等が、生理食塩水、血液またはその他の体液または組織と長期接触する際に保護を提供し、以前に使用可能であった設計より小型である。このパッケージ配置は、埋込み型構造、例えばICチップと完全に一致し、基本的に構造自体より大きいことはなく、構造(例えば、ICチップまたはその他の装置)と耐食パッケージとの間から任意のギャップまたは空洞を排除するシェルを(以下に詳述されるように完全または部分的に)形成する。この要素は、構造と耐食パッケージとの間の任意のギャップまたは空洞が腐食性液体の集積点として作用する可能性があるため、重要である。
【0011】
また、密閉装置を例えば単一集積回路から埋込み型パルス発生器等の大型埋込み型構造まで様々なサイズで単純かつ実用的に、最小の故障率で製造できる方法について記載する。本発明により、数日、数ヶ月、および数年にわたり実践的かつ確実に使用できる小型埋込み型医療機器の実用的開発を可能にする。
【0012】
この独創的な構成の実施形態は、これまで使用可能であった技術に比べ多くの利点を提供する。このアプローチは、埋込み型装置、例えばICまたはIPGの製造を著しく簡素化する。本発明の側面は、製造コストを削減し、信頼性を高める。IPGに関して、本発明の実施形態は、IPGのサイズを例えば容量で約10〜90%、約30〜70%、および約40〜55%削減する。この空洞のない装置にはその他の重要な利点がある。これらの装置は、ろう付け材料として金を使用するフィードスルーの必要性を削減または排除できる。IPGの形状を制約する必要がない。さらに、独創的な構造により頭部領域がより頑丈になる。
【0013】
本発明の側面は、その外面の少なくとも一部に共形密閉層を有する埋込み型構造を含む。特定の実施形態において、密閉層は、実質的に構造の外面全体に存在してもよい。さらに別の実施形態において、密閉層は、構造の表面の一部のみ、例えば外面の一部のみに存在してもよい。本発明の一実施形態において、IC等の構造は、共形で空洞のない密閉層に完全に包み込まれる。本発明の一実施形態において、ICチップの上面は、密閉層で被覆される。
【0014】
本発明の実施形態は、水、金属またはセラミック材料に対する最善の拡散障壁の利点を利用する。金属およびセラミックのアセンブリ構築は、エレクトロニクスパッケージへの水の拡散を減速させる。このパッケージの共形性により、全体パッケージサイズを劇的に削減できる。本発明のこの主要な利点は、医療機器開発のまったく新しい可能性を開く。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
埋込み型密閉構造を提供するために、該構造の外面の少なくとも一部の上に共形の密閉層を含む、埋込み型密閉構造。
(項目2)
前記共形の密閉層は、前記構造の外面の全体を被覆する、項目1に記載の構造。
(項目3)
前記共形の密閉層は、前記構造の外面の一部のみを被覆する、項目1に記載の構造。
(項目4)
前記構造は集積回路である、項目1に記載の構造。
(項目5)
基板と、
集積回路含む回路層であって、該回路層が該基板の上面上および/または上面内にある、回路層と、
該回路層の上面上にある密閉層であって、該回路層を密閉することにより、埋込み型密閉集積回路装置を提供する、密閉層と
を含む、項目4に記載の集積回路。
(項目6)
前記密閉層は、前記密閉回路層と該密閉回路層の外部位置との間に電気通信を提供する電気ビアを含む、項目5に記載の埋込み型密閉集積回路装置。
(項目7)
前記ビアは耐食性の伝導体要素を含む、項目6に記載の埋込み型密閉集積回路装置。
(項目8)
前記回路層は傾斜端を含む、項目5に記載の埋込み型密閉集積回路装置。
(項目9)
前記構造は埋込み型パルス発生器である、項目1に記載の埋込み型密閉構造。
(項目10)
埋込み型密閉集積回路を製造する方法であって、
回路層を基板の上面に提供することと、
該回路層を密閉する該回路層の上面上に密閉層を生成することにより、該埋込み型密閉集積回路装置を提供することと
を含む、方法。
(項目11)
前記密閉層を前記基板の上面上に生成する、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記密閉層を生成することは、前記回路層の上面上に密閉層材料を蒸着させることを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記密閉層は、プラズマ蒸着、プラズマ助長化学蒸着、スパッタリング、電子ビーム蒸着、メッキ、陰極アーク蒸着および低圧化学蒸着をから成る群から選択されるプロセスにより蒸着される、項目12に記載の方法。
(項目14)
項目5に記載の密閉集積回路装置を含む埋込み型医療機器。
(項目15)
前記埋込み型医療機器は、埋込み型パルス発生器のリードである、項目14に記載の埋込み型医療機器。
(項目16)
項目5に記載の埋込み型密閉集積回路を含む電極集合体。
(項目17)
前記電極集合体は、2つ以上の電極を含む分割電極である、項目16に記載の電極集合体。
(項目18)
前記分割電極は4つの電極を含む、項目17に記載の電極集合体。
(項目19)
近位端と遠位端、および項目18に記載の電極集合体を少なくとも1つ含む、細長い柔軟構造。
(項目20)
前記構造は血管リードである、項目19に記載の細長い柔軟構造。
(項目21)
前記血管リードは2つ以上の電極集合体を含む、項目20に記載の細長い柔軟構造。
(項目22)
前記血管リードは3本以下のワイヤを有する多重リードである、項目21に記載の細長い柔軟構造。
(項目23)
(a)電源および電気刺激制御要素を含むハウジングと、
(b)項目20〜22のいずれか1項に記載の血管リードと
を含む、埋込み型パルス発生器。
(項目24)
項目23のいずれかに記載の埋込み型パルス発生器を対象に埋め込むことと、
該埋め込まれたパルス発生器を使用することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う、密閉集積回路装置の断面図を示す。
【図2】図2は、密閉集積回路装置の代替実施形態の断面図を示す。
【図3】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図4】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図5】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図6】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図7】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図8】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図9】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図10】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図11】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図12】図3〜図12は、本発明の実施形態に従う、密閉集積回路装置を製造する方法を示す図である。
【図13A】図13Aは、第1の厚耐食金属蒸着後のパッケージの上面図を示す。
【図13B】図13Bは、第1の厚耐食金属蒸着後のパッケージの側面図を示す。
【図13C】図13Cは、第1の厚耐食金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。
【図13D】図13Dは、第1の誘電体蒸着および第2の金属蒸着後のパッケージの上面図を示す。
【図13E】図13Eは、第1の誘電体蒸着および第2の金属蒸着後のパッケージの端面図を示す。
【図13F】図13Fは、第1の誘電体蒸着および第2の金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。第2金属蒸着は、シェルの半分を形成する。
【図13G】図13Gは、第2の誘電体蒸着および第3の金属蒸着後のパッケージの裏面図を示す。
【図13H】図13Hは、第2の誘電体蒸着および第3の金属蒸着後のパッケージの側面図を示す。
【図13I】図13Iは、第2の誘電体蒸着および第3の金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。第3金属蒸着は、耐食シェルの相補的半分を形成する。
【図14A】図14Aは、シェル(外側材料)が厚い耐食金属であるパッケージの断面を示す。
【図14B】図14Bは、シェル(外側材料)が厚い耐食誘電体であるパッケージの断面を示す。
【図15A】図15Aは、シェル(外側材料)が厚い耐食誘電体である、基板上の複数ICチップパッケージの断面を示す。
【図15B】図15Bは、シェル(外側材料)が平坦化された厚い耐食誘電体である、基板上の複数ICチップパッケージの断面を示す。
【図16】図16は、パッケージ化された単一のICチップの断面を示し、装置の片側は電極を提供する。
【図17A】図17Aおよび17Bは、基板上の複数ICチップパッケージの断面を示し、リークを検出するようセンサが構築される。
【図17B】図17Aおよび17Bは、基板上の複数ICチップパッケージの断面を示し、リークを検出するようセンサが構築される。
【図18】図18は、ICチップの断面を示し、パッケージのシェル(外側材料)は、光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する耐食誘電体である。
【図19】図19は、複数のICチップの断面を示し、一方のチップは電子回路を含み、別のチップは、同じく耐食誘電材料である光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する。
【図20】図20は、複数のICチップの断面を示し、一方のチップは電子回路を含み、別のチップは、同じく耐食誘電材料である光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する。
【図21A】図21Aは、ICチップの断面を示し、チップの片側に厚い金属でアンテナが形成される。
【図21B】図21Bは、ICチップの断面を示し、チップの片側に厚い金属でアンテナが形成される。
【図22A】図22Aは、ICチップの断面を示し、チップに取り付けられた複数の電極は厚い金属で形成される。
【図22B】図22Bは、ICチップの断面を示し、チップに取り付けられた複数の電極は厚い金属で形成され、それらの電極はある形状を成す。
【図23】図23は、ICチップの断面を示し、チップの表面上に厚い金属で複数の電極が形成される。
【図24A】図24Aは、積まれたICチップの断面を示し、チップの間の電気接続が厚い金属で形成される。
【図24B】図24Bは、積まれたICチップの断面を示し、誘電体が別のICチップの上に1つの空洞チップの密閉を形成する。
【図25】図25は、ICチップの断面を示し、電気回路に加えて、ICチップにMEMSセンサが組み込まれる。
【図26】図26は、完全に包み込まれたIPGの図を示す。
【図27A】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27B】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27C】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27D】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27E】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図27F】図27A〜27Fは、独創的な空洞のない密閉構造の製造プロセスを示す。
【図28】図28は、本発明の実施形態に従う、電極支持構造の斜視図を示す。
【図29】図29は、図29に示される電極支持構造と併用する分割電極集合体に組み込まれる図1の装置の斜視図を示す。
【図30】図30は、本発明の実施形態に従う、多くのペーシングサテライトの典型図を示す。
【図31A】図31Aは、本発明の実施形態に従い、リードの伝導性部材に対して配置される本発明のサテライト電極構造の3次元図を提供する。
【図31B】図31Bは、図31Aに示されるサテライト電極構造の断面図を提供する。
【図32】図32は、本発明の実施形態に従う、リード電極に連結された1つ以上の密閉集積回路を含む、心臓再同期療法システムを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の側面は、埋込み型構造、例えば集積回路(IC)装置、IPG等を含み、その外面上の少なくとも一部に存在して構造を腐食性環境から密閉する、共形で空洞のない密閉層を有する。本発明の実施形態の密閉構造は、多くの利点を提供する。例えば、ICチップ等の構造は、医療機器の一部として生体内に埋め込まれると、血液、生理食塩水、またはその他の腐食性流体もしくは組織に曝される場合がある。この腐食性環境に対してある程度の保護がなければ、通常ICチップは劣化および故障する。ICチップを密閉層でコーティングする利点は、チップのサイズが増加するとしてもほんのわずかなことである。密閉チップのこの側面は、ICチップが体内に埋め込まれる装置の一部である場合、例えば、心臓室または血管内に配置されたリード上にチップが存在する場合、埋め込まれた装置の追加容積が破壊的となりうる上で重要である。ICチップを密閉層でコーティングする別の利点は、チップをカプセル化する、またはそれを保護ハウジングに載置するよりもプロセスがはるかに簡単で費用がかからないことであり、また腐食に起因する欠陥に対して同程度またはそれ以上に確実にチップを保護する。
【0017】
前述のように、本発明の側面は埋込み型密閉構造を含む。埋込み型密閉構造は、構造をその環境から密閉するよう作用する構造の外面上の少なくとも一部に共形で空洞のない密閉層を含む。前述のように、特定の実施形態において、密閉は、完全でないとしても実質的に構造の全外面をカバーする。特定の実施形態において、構造は、密閉層で包装される、または包み込まれるものであってもよい。さらに別の実施形態において、実質的に構造全体を密閉層で被覆してもよい。例えば、特定の実施形態において、一表面、例えば、ICの上面のみを密閉層で被覆してもよい。
【0018】
埋込み型とは、体内に見られる高塩、高湿度の環境を含む生理的環境に2日以上、例えば約1週間以上、約4週間以上、約6ヶ月以上、約1年以上、例えば約5年以上存在する場合に、機能性を維持するよう構成される構造を意味する。特定の実施形態において、埋込み型回路は、生理的部位に約1年〜約80年以上、例えば約5年〜約70年以上、および約10年〜約50年以上の範囲の期間、機能性を維持するよう構成される。
【0019】
密閉層は、「薄膜」コーティングとして特徴付けられてもよい。その厚みは、それが関連する構造の総容量を著しく増加させない厚みである。層に起因しうる装置容量の任意の増加は、容量で約10%以下、例えば約5%以下、約1%以下である。本発明の側面に従って、密閉層は厚みが約0.1〜約10.0μmの範囲、例えば約0.3〜約3.0μmの範囲であり、約1.0μm厚以上の範囲を含む。
【0020】
本発明の側面に従って、平坦化処理プロトコル、例えばプラズマ助長化学蒸着、物理蒸着、スパッタリング、蒸発、陰極アーク蒸着(例えば、2006年6月21日出願の米国仮出願第60/805,464号を参照。陰極アーク蒸着プロトコルに関するこの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、低圧化学蒸着、およびその他の同様のプロセスを使用して密閉層を適用してもよい。
【0021】
密閉層は共形で空洞がないため、本発明の側面は、密閉層と、密閉層が適用される埋込み型構造の表面との間に空洞のない構造を含む。そのようにして、密閉層は、装置においてそれが関連する構造の表面に一致する。例えば、構造の形状に対応する。
【0022】
上述のように、本発明の側面は、幅広い埋込み型構造を含む。したがって、微小回路だけでなく幅広い装置を、独創的な密閉アセンブリに有利にカプセル化することができる。例えば、本発明の特定の実施形態において、圧力および温度センサを独創的なアセンブリ内に組み込む。関心の圧力センサ、例えば低ドリフト圧センサは、国際公開第2005/058133号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。そのため、本発明のアセンブリは、ICチップだけでなく圧力および温度センサ、ならびにその他の装置をチップに関連して、または独自に含み、保護することができる。
【0023】
説明を容易にするため、本明細書では、主に集積回路(IC)実施形態に関して本発明を詳述する。しかし上述のように、本発明に従って密閉される構造はICに限定されない。
【0024】
IC実施形態の場合、装置の回路層は、1つ以上の個別の回路層を含んでもよい。2つ以上の回路層が提供される場合、個別の回路層の数は、2つ以上、例えば、3つ以上、4つ以上等であってもよい。特定の実施形態において、個別の回路層の数は、約10以下、例えば約7以下である。特定の実施形態において、回路層は基板と同延(coextensive)の端を有するが、その他の実施形態において、回路層は前記基板と同延でない端を有する。
【0025】
本発明の実施形態の集積回路は、モノリシック集積回路であり(IC、マイクロ回路、マイクロチップ、シリコンチップ、コンピュータチップまたはチップとしても知られる)、半導体材料の薄い基板の表面に製造されている小型電子回路(半導体装置および受動素子を含んでもよい)である。本発明の特定の実施形態の集積回路は、個別の半導体装置および受動素子で構成され、基板または回路基板に接着された小型電子回路であるハイブリッド集積回路とは異なる。集積回路は、デジタル、アナログまたはその混合信号であってもよい。
【0026】
特定の実施形態の埋込み型集積回路は、多数の個別の機能ブロック、例えばモジュールを含む。機能ブロックは、すべて腔内サイズの支持構造上にある単一の集積回路に存在する。単一の集積回路とは、すべての異なる機能ブロックを含む単一の回路構造を意味する。本発明の集積回路は、その意図される使用に必要な回路の機能性を提供する多数の機能ブロックを含んでもよい。この機能ブロックは、すべて単一の集積回路の一部である。特定の実施形態において、回路は少なくとも電力抽出機能ブロック、エネルギー蓄積機能ブロック、通信機能ブロック、および装置構成機能ブロックを含む。そのような回路は、2006年12月22日出願の国際出願第PCT/US06/48944号(名称「Implantable Integrated Circuit」)に記載されている。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
回路が関連する支持構造は、例えば、支持構造の表面に存在するか、または少なくとも一部が支持構造の内部に統合されることにより、任意の好適な支持構造であってもよく、必要に応じて堅固または柔軟であってもよい。支持構造は腔内サイズであるため、その寸法は、生理的内腔の内側、例えば心血管、静脈または動脈等の血管の内側に配置できるようにする。特定の実施形態において、腔内サイズの集積回路は、(例えば、最大面の面積に関して)約0.05mm2〜約5mm2、例えば約1.125mm2〜約2.5mm2の間のサイズであり、約1.5mm2を含む。集積回路の支持構造は、正方形、長方形、楕円形、および六角形、不規則形状等の様々な異なる形状を有してもよい。
【0028】
必要な場合、密閉層は、密閉回路層とその外側位置との間に電気通信を提供する電気ビアを1つ以上含んでもよい。ビアは耐食導電要素で形成されてもよく、例えば密閉層における開口または空洞を通って延在し、回路層と電気的に接触する部分を有する溶接タブ等の様々な形式を有してもよい。
【0029】
本発明の実施形態は、本発明の密閉集積回路を有する埋込み型医療機器を含む。特定の実施形態において、埋込み型医療機器は、集積回路、それを含むリード、リードを含む埋込み型パルス発生器、およびその構成要素を有するシステムならびにキット、および対象装置を製造および使用する方法を含むサテライト電極構造を含む。
【0030】
本発明に従う密閉構造の一実施形態は、1つのパッケージデザインあたり複数のチップを有する。高電圧に耐えるよう製造または設計されるチップをアセンブリの一部分に提供する。第1チップよりライン幅が小さいが、心臓ペーシングまたはその他の構成要素の要求から高電圧を維持する能力を不要とするコンパニオンチップは、アセンブリの別の部分に存在する。これらのチップをともに接着し、共形パッケージを両者の周囲に構築する。上述の例は、単一の発明耐食密閉パッケージ内に2つのチップを相乗的に提供することに関するガイダンスを提供するが、これらのアセンブリは、単一パッケージにおいて最大4、5、6、またはそれ以上のチップを処理できる。そのような大型アセンブリにおいて、これらのアセンブリを積み上げ、密閉保護される医療機器構成要素に対する機能性をさらに追加できるという利点もある。
【0031】
本発明の側面をさらに詳述するため、密閉回路構造の実施形態について最初に詳述した後、それらの製造方法の特定実施形態について説明する。次に、密閉回路構造を含む分割電極、およびそれを含む医療担体ならびに医療機器に関する説明を提供する。さらに、本発明のキットおよびシステム、ならびに本発明の様々な側面を使用する方法について詳しく説明する。
【0032】
(密閉構造)
上述のように、本発明の埋込み型密閉構造は、構造の外面全体ではないが、実質的に全体に共形密閉層が存在する構造を含んでもよく、その構造は、密閉層に包み込まれる、または包装される、例えば、パッケージ化される構造であってもよい。代替として、密閉層は構造の一部、例えば上部分にのみ存在し、密閉層が構造の外面を部分的に被覆するようにしてもよい。これらの実施形態それぞれについて、ここで個別に詳述する。
【0033】
(共形密閉層で部分的に被覆される埋込み型構造)
図1を参照すると、本発明の側面に従うIC装置10の典型的な一実施形態が示されている。装置10は、例えばシリコン等であるがそれらに限定されない基板12上に形成してもよい。図1に示されるような単一ダイスを個別に形成するか、または複数のダイスを、例えばシリコンウエハ上でともに形成し、処理中または処理後に個別のダイスに単一化してもよい。
【0034】
回路層14は、基板12の上面16に構築してもよい。一実施形態において、層14は、標準的な相補型金属酸化膜半導体(CMOS)ファウンドリ層により形成してもよい。例えば、層14は、膜または酸化ケイ素、窒化ケイ素、およびアルミニウム等の材料を含んでもよい。層14は、保護層を含んでもよい。層14は、センサ、エフェクタ、プロセッサ、またはその他のデジタル若しくはアナログ回路または構成要素をともに形成してもよい。明確にするため、図1には3つの層14のみを示すが、任意の数の層14を形成してもよい。また、明確にするため、図1の層14およびその他の特徴は、特定の厚みおよびその他の寸法で示され、必ずしも縮小されていない。しかし、当然のことながら、実際は以下に記載されるようなその他の寸法およびアスペクト比を採用してもよい。上面16は、電気接続18を含んでもよく、以下で説明されるように、層14上の回路を外部構成要素に接続する。図に示されるように、電気接続を上層14および/または下層14に配置してもよく、その上の層におけるビアを介してアクセスできる。
【0035】
本発明の側面に従って、装置10を密閉層20により回路層14上の基板12の上面16において密閉してもよい。密閉層20は、薄膜保護層であってもよい。この実施形態において、密閉層20は基板12と協働し、層14を周辺環境から密閉するエンベロープを形成する。層14にとって特に脆弱な点は端22である。端22が保護されなければ、腐食性の液体または物質が層14の間に侵入し、層間剥離および回路の故障を生じる場合がある。したがって、図1の実施形態に示されるように、密閉層20は端22を被覆する。この実施形態において、密閉層20は、基板ダイス12の上面16の周辺部分24も被覆し、層14の端22が保護されることを保証する。
【0036】
密閉層20を基板ダイス12の上面16に直接接触させるため、この実施形態では回路層14を基板ダイス12の端26から奥まった位置に配置し、回路層14を持たない周辺部分24を形成する。この配置を実現するには、層14を基板ダイス12の上面16の中央領域に形成するだけでよい。代替として、層14を周辺部分24の一部または全体に形成した後に除去してもよい。例えば、標準的な半導体処理型フォトレジストをフォトリソグラフプロセスと併用することにより、層14の一部を除去し、残る層14の領域を保護してもよい。次に、非保護領域をエッチングで除去してもよい。例えば、反応性イオンエッチングおよびウェット化学エッチングの組み合わせを使用することにより、アルミニウム、二酸化ケイ素、および窒化ケイ素等の周辺部分24上の層をすべて除去することによって、裸の基板12を露出させたままにする。
【0037】
その他の実施形態において(図示せず)、層14は基板ダイス12の端26まで延長してもよい。つまり、個別のダイスが大きい基板12から単一化される前に、基本的に基板またはウエハ全体は層14により覆われる。しかし、個別のダイスが単一化された後、そのような実施形態における層14の脆弱な端22を保護するためには、密閉層20で端22の周囲を包み込み、基板12の一部と接触する必要がある。これは、ダイスが単一化された後、密閉層20を上面16上および側表面26の少なくとも一部に形成することにより行ってもよい。代替として、ダイスの単一化前、および密閉層20が形成される前に溝または分割ラインを基板12上に形成し、密閉層20が層14の1つ以上の端22を完全にカバーし、基板12の一部と接触するようにしてもよい。
【0038】
回路層14の1つ以上の端22は、ダイス基板12の端26からくぼんでいるか否かにかかわらず、図1に示されるように傾斜があってもよい。「傾斜端」とは、層14が全体的に傾斜した端をともに形成することを意味する。各層自体が傾斜端を有してもよく、または各層は平方端を有し、実際に階段状の傾斜端をともに形成してもよい。一部の実施形態において、密閉層20は、傾斜端22を有する層14上に、端22が正方形であるか、または切り取られている場合より完全で耐久性のある密閉を形成してもよい。端22と上面16が成す角度は、特定の実施形態において、約15〜約75°、例えば約30〜60°の範囲であり、約45°を含む。その他の端部断面、例えば、オジー形状、1つ以上の凹凸曲線、異なるピッチを有する複数の傾斜部分、またはそれらの組み合わせを有する断面を採用してもよい。層14の成形端は、層を形成する際に、エッチングまたは材料除去、あるいはそれらの組み合わせにより形成されてもよい。
【0039】
図1に示される実施形態において、密閉層20を形成した後、1つ以上の溶接タブ28を装置10上に取り付けまたは形成する。電極18上の密閉層20にビアを形成し、溶接タブ28が電気接続18にアクセスし、それとの物理および電気接続を形成するようにしてもよい。例えば、マスクを使用すること、密閉層20を形成した後、そこから材料を除去すること、エッチングによること、またはそれら2つの組み合わせにより、ビアを密閉層20として形成してもよい。一実施形態において、装置10上のマスクを介して金属コーティングを溶射することにより、溶接タブ28を作成する。図1に示されるように、金属コーティングの一部は、密閉層20におけるビアを充てんし、電気接続18との接触を形成して、残りは端22上の層20の輪郭に沿う。金属コーティングは、電気接続18上のビアを充てんし、密閉層20に付着して、層14上の密閉の完全性を維持し、溶接タブ28が装置10に堅固に取り付けられるようにしてもよい。隣接するダイス上またはダイス間の金属コーティングを基板12の一部に適用することにより、溶接タブ28の片持ち部分30を形成してもよい。離型剤または犠牲層をその形成前に片持ち部分30の下に直接適用し、片持ち部分30が隣接する基板に付着しないようにしてもよい。
【0040】
溶接タブ28は、電気的に導電性であり腐食に耐える材料で形成されてもよく、隣接する構造に容易に溶接することができ、電極18および/または密閉層20に付着する。導電タブは、多種の異なる材料で製造されてもよい。適切な対象材料は、金属、例えば金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、およびイリジウム(Ir)等の貴金属およびその合金を含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、貴金属は金またはその合金ではない。さらにその他の実施形態において、導電材料は金合金である。適切な貴金属合金の生成において貴金属と結合してもよい金属は、その他の貴金属、チタン(Ti)、クロミウム(Cr)、タングステン(W)等を含むが、それらに限定されない。また関心の導電材料は、以下で詳細に検討されるように、例えば金属シリサイドを持つ貴金属の合金である。一実施形態において、溶接タブ28はプラチナを含む。別の実施形態において、溶接タブ28はインジウムを含む。さらに別の実施形態において、溶接タブはプラチナとイリジウムを両方含む。
【0041】
一実施形態において、密閉層20は炭化ケイ素で形成され、高い耐食密閉を形成する。代替として、密閉層は二酸化ケイ素、酸化炭素、酸窒化炭素、例えば、プラチナ、ロジウム、イリジウム等の貴金属およびその合金を含む金属、金属シリサイド、例えば、窒化ケイ素、窒化炭素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の窒化物、炭化タングステンまたはその他の炭化物を含んでもよい。密閉層20は、単一層であるか、または同一あるいは異なる材料の複数層で形成されてもよい。複数の材料を採用する場合、熱膨張係数を計算し、それらがチップの働きに悪影響を及ぼさないよう設計してもよい。
【0042】
一実施形態において、密閉層20は、プラズマ化学蒸着を使用して基板12の上面16上に形成される。このプロセスは密閉層20の材料を反応的に蒸着するため、この層はその下の材料にしっかり付着する。このプロセスは、密閉層20にピンホールおよびその他の欠陥がない密閉装置10の良好な収率を提供することも分かった。代替または組み合わせとして、プラズマ気相成長法、スパッタリング、電子ビーム蒸着、陰極アーク蒸着、低圧化学蒸着、およびその他の同様のプロセスを用いて、密閉層20またはその一部を適用または形成してもよい。特定の実施形態において、下位層14または基板12の温度を約400℃〜約450℃以上に上げないプロセスを採用する。これは、そのような温度が典型的なCMOS層を損傷する可能性があるためである。
【0043】
図2を参照して、本発明の側面に従って構成されるIC装置32の代替実施形態を示す。図2に示されるように、上述の装置10と同様に、装置32は基板12、回路層14、上面16、電気的接続18、回路層端22、周辺部分24、およびダイス基板端26を含んでもよい。本実施形態において、金属薄膜密閉層34は、層14の端22に適用され、端22上に耐食密閉を形成する。密閉層が存在しない場合、密閉を提供する保護層15Aが最上の回路層上に存在することに注意する。図1の実施形態と同様に、密閉層34は周辺部分24上で基板12と直接接触する。密閉層34は、図に示されるようにダイス基板12の端26に向かって延長するか、または端26の寸前で止まってもよい。層14の端22は傾斜があり、上述のような任意の形状を有してもよい。本発明の特定実施形態において、密閉層34は、チタン、プラチナ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、またはその合金で形成される。
【0044】
電気的接続18は、回路層14をその他の装置と相互接続するための上層14上に形成されてもよい。電気的接続18および密閉層34の下または上に追加の密閉層を形成し、回路層14を完全に密閉してもよい。非導電層を密閉層34上に適用し、溶接タブ28(図1に示す)が電気的接続18および密閉層34の上に形成される場合に、電気的短絡を回避してもよい。そのような非導電層は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、または上述のその他の薄膜で形成されてもよい。
【0045】
密閉構造の実施形態は、任意の便利なプロトコルを使用して製造してもよい。本発明のこれらの実施形態の側面は、集積回路基板上に密閉層を形成し、耐食密閉構造を生成するステップを含む。密閉構造を採用する埋込み型エフェクタの性質に応じて、方法の実施形態は、エフェクタを集積回路に電気的に連結するステップをさらに含む。さらに、方法の実施形態は耐食ホルダを形成するステップを含む。
【0046】
多種の異なるプロトコルのいずれかは密閉構造およびその構成要素の製造に採用されてもよい。成形、蒸着および材料除去、例えば、微小電気機械システム(MEMS)製造等の平坦化処理技術を採用してもよい。構造製造の特定側面において採用されてもよい蒸着技術は、電気メッキ、陰極アーク蒸着、プラズマ溶射、スパッタリング、電子ビーム蒸着、物理蒸着、化学蒸着、プラズマ化学蒸着等を含むがそれらに限定されない。材料除去技術は、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば化学機械研磨、レーザアブレーション、電子放射機械加工(EDM)等の平坦化等を含むがそれらに限定されない。またリソグラフプロトコルも興味深い。特定の実施形態において、平坦化処理プロトコルの使用が興味深い。ここで、構造が構築され、および/または連続して基板に適用される多種の異なる材料除去および蒸着プロトコルを使用して、初期平坦化基板の1つ以上の表面から除去される。
【0047】
ここで、本発明の特定の実施形態に従って上述される様々な回路構造を生成するための製造プロトコルについて詳述する。図3〜12は、密閉構造の製造に採用できる本発明の実施形態に従う処理プロトコルのフロー図を提供する。図3において、初期構造40は、CMOSファウンドリから受けてもよいが、第1表面46上に存在するファウンドリ保護層44を有する基層42(例えば、シリコン、炭化ケイ素等)を含む。ファウンドリ金属層48は、ファウンドリ保護層44上に存在してもよい。別のファウンドリ保護層50は、ファウンドリ金属層48上に存在してもよい。凹部52は、金属ファウンドリ層48の一部を露出するファウンドリ保護層50において提供されてもよい。これらの凹部は、最終的に、以下に示すような導電フィードスルーまたはビアになる。
【0048】
薄い金属腐食障壁層54は、図4に示されるように、保護層50上に蒸着されてもよい。図に示されるように、障壁層54は、下位保護層50における凹部52に隣接してギャップを残すようパターン化されてもよい。この実施形態において、障壁層50の厚みは、約200Å〜約50,000Åの範囲であってもよい。
【0049】
図5A〜5Dに示されるように、層44、48および50の外側端は、基板42の各ダイス部分の周辺端部56を露出するようエッチングされてもよい。層は、1つのステップで一度にエッチングされるか、または複数のステップで個別にエッチングされてもよい。図5Aは、正方形の端部断面を示す。代替として、図5Bにおいて示されるように、反応性プラズマエッチング法を用いる等により、傾斜または傾斜した端部断面を得てもよい。図5Cは、ウェット化学エッチングにより得られる曲線状の端部断面の例を示す。図5Dは、それぞれ異なるマスクを利用してもよいエッチングステップを複数使用することにより得られる場合がある階段状の端部断面を表す。
【0050】
図6は、耐食層58の蒸着を示す。層58は、任意の便利なプロトコル、例えばプラズマ化学蒸着(PECVD)により蒸着されてもよい。層58は、図に示されるように、凹部52に隣接してギャップを残すようパターン化されてもよい。次に図7に描かれるように、シャドーマスク60を配列し、一時的に下位構造と結合してもよい。本発明の側面に関する理解を助けるため、図7〜9は2倍縮小され、1つではなく2つのダイス部分を示していることに注意する。シャドーマスク60は、任意の便利なプロトコルを使用し、例えば反応性イオンエッチング、フォトエッチング、または電鋳法等により生成されてもよい。次に図8に示されるように、例えば蒸着、メッキ等により、例えば厚い金属の導電層62を下位構造の上面およびマスク60全体に生成してもよい。導電層62は、凹部52を完全に充てんし、下位金属層48との電気接触を形成してもよい。次に、図9に示されるように、シャドーマスクを除去してもよい。続いて、基板42の底部側をパターン化およびエッチングし、図10A〜10Dに示されるように、ダイス間にある基板42の一部を除去してもよい。図10Aは直壁構造を示し、図10Bは傾斜壁構造を示し、図10Cは曲線壁構造を示し、図10Dは複雑形状の例を示す。次に、図11に示されるように、層58の部分をエッチング除去してもよい。最後に、図12に示されるように、基板42の個別のダイス部分を個別の集積回路チップに単一化してもよい。この例において、導体素子62はチップの端を越えて延長し、チップ回路への電気的接続を提供する。導体素子62は、耐食層58、障壁層54、および基板42と協働してチップを密閉する。
【0051】
上述の製造方法は、本発明に従う密閉構造を製造するために採用可能な異なるプロトコルの単なる例示であることに注意する。
【0052】
特定の実施形態において、さらに不活性導電層を集積回路に含めてもよい。この層は、多くの異なる利点を提供する場合がある。「不活性導電層」とは、導電性であるがIC構造の機能回路の一部を形成しないため、回路の機能性に影響する、または調節する回路の機能構成要素でない層を意味する。特定の実施形態において、この不活性導電層は、密閉層により被覆されないチップ部分のすべてではないが一部を被覆する。例えば、図12に示される構造は、層54が不活性導電層であるように修正してもよい。不活性導電層の存在は、1つ以上の目的で機能する場合がある。特定の実施形態において、その存在により、保護層、例えば図12に示される層58の性質を特定する簡単な方法を提供する。例えば、保護層に任意のピンホール欠陥が存在するかどうかは、層54を通って左62から右62に流れる電流を検出することにより容易に特定できる。不活性導電層は、存在する場合、拡散障壁としても機能するため、装置をさらに密閉する。
【0053】
(共形密閉層にパッケージ化される埋込み型構造)
上述のように、本発明に従って様々な埋込み型構造を密閉することができる。2つの関心の構造は、集積回路および埋込み型パルス発生器である。これらの例示的実施形態それぞれについて、以下で個別に詳述する。
【0054】
(密閉集積回路)
本発明の一実施形態において、ICチップをPt薄膜(例えば、層)、次に炭化ケイ素膜で被覆する。エッチングで炭化ケイ素膜に穴を開け、特定の領域において下位のPt膜を露出する。厚い耐食金属導体(Pt、PtIr、PtTi、PtTiIr、Tiまたはその他の耐食金属)を露出した薄いPt領域上のICチップに蒸着させる。これらの耐食層は、露出した薄いPt膜上に保護障壁を形成し、ICチップとの電気相互接続として機能する。次に、薄い炭化ケイ素またはその他の耐食誘電体(AIN、AIO、TiO2またはその他の適切な誘電体/セラミック)を厚い金属線の上に蒸着させる。第2の厚い金属または誘電体層をチップ上に選択的に蒸着させる。この層は、追加の耐食層として、および第1の厚い金属蒸着中に形成された電気相互接続の機械的支持構造として機能する。次に、薄い炭化ケイ素またはその他の耐食誘電体をチップの裏面に蒸着させる。続いて、第3の厚い金属または誘電体層をチップの裏面に蒸着させ、共形パッケージを完了する。第2および第3の厚い金属蒸着により、電気導体およびICチップの周囲にシェルが形成される。
【0055】
耐食密閉層は、特定の実施形態において、厚くストレスフリーの金属構造である。特定の実施形態において、構造の厚みは約0.01μm〜約500μmの範囲、例えば、約0.1μm〜約150μmである。特定の実施形態において、構造は厚さ約1μm以上、例えば厚さ約25μm以上であり、約50μm以上の厚さを含む。この厚みは約75、85、95、または100μm以上であってもよい。特定の実施形態において、構造の厚みは、約1〜約200μm、例えば約10〜約100μmの範囲である。密閉層は、特定の実施形態においてストレスフリーである。「ストレスフリー」とは、構造の機能性を損なう可能性のある欠陥が層にないことを意味する。そのようにして、「ストレスフリー」とは、構造を引き離す、例えばそれらが蒸着される基板から剥離しうるストレスと比較して、ストレスが低いことを意味する。したがって、構造にひび、ギャップ、穴またはその他の欠陥、特に構造の機能性、例えば構造が装置の内部容量を密閉する能力、導体素子としての働き等を損なうような欠陥がない。
【0056】
製造アセンブリの構成に使用される誘電材料は、特にシリコン、炭化ケイ素、アルミニウムまたは窒化アルミニウム等から選択できる。選択したセラミックが特定のアセンブリおよびその対象環境の腐食要件を満たす限り、本発明において事実上、任意のセラミックを採用することができる。当業者により十分理解されるように、複数の材料を採用する場合は、熱膨張係数も計算し、それらがチップの動作を干渉しないよう設計する。
【0057】
任意で全体アセンブリをプラスチックでコーティングし、操作または磨耗から保護することができる。
【0058】
図13Aは、チップレベルの保護(薄いプラチナおよび炭化ケイ素膜蒸着)および第1の厚金属蒸着直後のパッケージの上面図を示す。このステップにおいて、厚い金属で形成された線は、チップへの電気接続を形成する。露出した薄いプラチナパッドは、この厚い金属層により保護される。図13Bは、同一パッケージの側面図を示す。ICチップの側壁は傾斜していることに注意する。この傾斜端により、第3の最終裏面金属蒸着における側壁の被覆が促進される。図13Cは、第1の金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。これは、厚い金属線が傾斜したICチップの端を越えて延在する様子を示す。ICチップへの電気接続は、耐食導体をこれらの機構に接着することにより(溶接、ろう付け、スウェージング、圧着等により)形成することができる。これらの接続は、チップから離して形成することができ、それによりICチップを損傷する可能性が最小限になる。図13Dは、第2の厚金属蒸着後のパッケージの上面を示す。薄い耐食誘電体(SiC、AIN、TiO2等)は、第1および第2の金属層を分離し、それらが互いに短絡することを防ぐ。この第2金属層は、別の拡散障壁として、および第1金属線の機械的支持として機能する。図13Eは、第2の厚金属蒸着後のパッケージの側面図を示す。第2金属層は、ICチップの端を越えて延在する。図13Fは、第2の厚金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。この第2層が第1金属層に対してどのように共形であるかに注意する。このように第2金属が第1金属と密に接触することにより、ICチップとパッケージの間に空洞が生じないよう保証する。
【0059】
図13Gは、第3の厚金属蒸着後のパッケージの裏面を示す。薄い耐食誘電体が、第3の厚金属と、ICチップと、パッケージの残りの部分を分ける。この図において、チップとの電気接続に使用される線が、第3および最終の厚金属層の端を通過して延在することが分かる。図13Hは、第3の厚い金属蒸着後のパッケージの側面を示す。図13Iは、第3の金属蒸着後のパッケージの斜視図を示す。第3の金属もICチップの裏面に対して共形であるため、空洞ができる可能性がないことに注意する。また、その環境に露出される材料は、耐食誘電体および金属のみであることにも注意する。
【0060】
図14Aは、3層の厚い耐食層がすべて耐食金属であるパッケージの断面を示す。図14Aは、その上面にあるIC保護層242を有するシリコンチップ241を示す。IC保護層を被覆しているのは炭化ケイ素層243である。また、3つの異なる厚い金属蒸着層244が示される。これらは、チップを包み込む共形で空洞のないパッケージにおいて協働してICチップを密閉する追加の炭化ケイ素層を有する。図14Bは、第2および第3の厚い耐食層245が耐食誘電体である、パッケージの断面を示す。
【0061】
図15Aは、絶縁基板上でパッケージ化された複数ICチップの断面を示す。ここでチップ間の電気接続は基板上で形成され、チップのアセンブリは1つ以上の耐食誘電体および/または金属で保護される。金属導体は、1つ以上の厚い金属ビアを通って基礎基板を貫通する場合もある。図15Bは、絶縁基板上でパッケージ化された複数ICチップの断面を示す。ここでチップ間の電気接続は基板上で形成され、チップのアセンブリは1つ以上の耐食誘電体および/または金属で保護される。金属導体は、1つ以上の厚い金属ビアを通って基礎基板を貫通する場合もある。耐食誘電体は平坦化されている。
【0062】
図16は、装置の一側面が電極および耐食金属層を提供する単一のICチップパッケージの断面を示す。また電極は、電解電極であることに加え、容量性電極であってもよい。図17Aおよび17Bは、パッケージ化された複数のICチップの異なる図を示す。ここでセンサは、保護層の下に構築され、液体輸送用の測定方法を形成する。
【0063】
図18は、パッケージのシェル(外側材料)は、光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する耐食誘導体である、ICチップの断面を示す。図19は、複数のICチップの断面を示す。一方のチップは電子回路を含み、別のチップは、同じく耐食誘電材料である光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する。図20は、複数のICチップの断面を示す。一方のチップは電子回路を含み、別のチップは、同じく耐食誘電材料である光透過コーティングの下に光学センサまたはエミッタを有する。チップは、互いに「フリップチップ」アセンブリにおいて電気的に接続される。
【0064】
図21Aは、チップの一側面に厚い金属でアンテナが形成されるICチップの断面を示す。厚い金属は自立するか、基板により支持されてもよい。図21Bは、チップの1つ以上の側面に厚い金属でアンテナが形成されるICチップの断面を示す。図22Aは、チップに取り付けられる複数の電極が厚い金属で形成されるICチップの図を示す。電極は自立するか、基板により支持されてもよい。電極は、電解電極であることに加え、容量性であってもよい。図22Bは、それらの電極が形成されるICチップの断面を示す。
【0065】
図23は、厚い金属で複数の電極がチップの表面に形成されるICチップの断面を示す。図24Aは、積まれたICチップの断面を示し、ここで厚い金属でチップ間の電気接続が形成される。図24Bは、積まれたICチップの断面を示し、ここで誘導体により別のICチップ上に1つの空洞チップが密閉される。この空洞スペースに、圧力センサを組み込むことができる。図25は、電気回路に加え、MEMSセンサがICチップに組み込まれるICチップの断面を示す。
【0066】
(埋込み型パルス発生器)
図26に示されるように、本発明の方法を使用し、様々な構成要素を持つ完全な複数の単位装置を単一の密閉パッケージに封入することができる。例えば、厚金属蒸着プロセスを採用し、IPG/ICD装置構成全体を封入できる。複数の構成要素を封入する本発明の実施形態により、単一の基板を作成し、バッテリ、IC、個別の構成要素(コンデンサ)、およびIS1コネクタブロックを取り付けることが可能になる。厚い金属を作成し、その金属をパターン化する能力により、厚く幅広い金属線が形成され、そこにIS1コネクタブロックを直接溶接できる。
【0067】
本発明のアプローチの1つにおいて、ポリマーキャップをバッテリおよびプラスチック構成要素上に配置し、金属蒸着中にそれらを保護する。このポリマーキャップも均一な表面を形成する。共形コーティングを採用してもよい。取り付けられたキャップとともに、誘電体を表面に適用する。このステップにより、金属蒸着用の厚い金属線を絶縁する。IS1コネクタブロック領域をマスクし、厚い金属をポリマーキャップの上部およびセラミック基板上に適用し、内側のエレクトロニクスを密閉することができる。最終ステップとして、コネクタブロックを溶接し、ヘッダを取り付ける。本発明の最終構造を図26に示す。図26は、その表面に個別の構成要素264を有する基板262を含む埋込み型パルス発生器260を示す。また、IS1コネクタブロック268に連結する厚い金属線266も示される。バッテリ267は、基板266の下に配置される。全体構造は、空洞のない共形密閉層270で被覆される。
【0068】
複数の構成要素を包含する本発明の実施形態には多くの利点がある。ヘッダブロックの位置決めは、ピックアンドプレースと同様に容易になる。レーザー溶接が不要となる。蒸着は真空下で行われるため、空気をパッケージから除去する。ペースメーカおよびICDの現行の製造プロセスは、ハイブリッド回路基板を使用してエレクトロニクスアセンブリを構築し、それらを溶接したチタン缶に詰める。缶からリードへの接続は、フィードスルーを使用して形成する。フィードスルーは、セラミックを導体にろう付けすること、および金ろう付け材料を使用して缶にろう付けすることにより製造する。次に、これらのフィードスルーをエポキシまたは別のポリマーに包含し、ICDまたはIPG上にヘッダを作成する。アセンブリとともにチタン缶を製造し、筐体を溶接するプロセスは、多くの故障モードを有する労働集約的プロセスである。
【0069】
本発明の側面は、厚い金属蒸着プロセスを使用し、IPGおよびICDを製造および包含する方法を変えることである。図26は、そのようなIPGアセンブリの図を示す。1つの可能な製造方法を以下に説明する。
【0070】
第1に、ICおよび/またはコンデンサ等の個別の構成要素への接続を持つ必要なハイブリッド(セラミック)回路基板を形成する。ハイブリッドは、厚い金属線で製造され、ヘッダにあるコネクタブロックに直接接続される。この設計では、フィードスルーの使用は除かれる。
【0071】
個別の構成要素をハイブリッド回路に取り付ける。次に、エレクトロニクス装置を共形誘電材料で被覆する。この材料は、エレクトロニクスに適合するよう成形または形成されるポリマーであってもよい。特定の例において、層は、回路に溶射、溶解、または蒸着される共形材料であることにより、互いに絶縁し、全体パッケージを厚い金属または誘電材料の耐食パッケージにおいてコーティングすることができる。
【0072】
次に、厚い金属線およびコネクタブロックを含む領域をエポキシまたは幾つかのその他のポリマーでコーティングし、従来の様相のヘッダを形成する。この製造方法は、すべて真空下で行うことができる。これは、カプセル封入が部品の形状に一致するため、はるかに小さいパッケージの形成を可能にする。組立は基本的にピックアンドプレース操作であり、コネクタブロックをハイブリッド回路上の厚い金属線に接続するためのレーザー溶接のみを用いる。エレクトロニクスアセンブリを製造済みのチタン缶に配置し、それを溶接で閉じる現行の製造方法とは対照的に、厚い金属または誘電体をエレクトロニクスアセンブリの外側に適用する本発明に基づいて、その他のステップをプロセスに採用することも可能である。
【0073】
(製造方法)
上述のように、多種の異なるプロトコルのいずれかを採用し、密閉構造およびその構成要素を製造してもよい。例えば、鋳造、蒸着および材料除去、例えば、微小電気機械システム(MEMS)等の平坦化処理技術を採用してもよい。構造製造の特定の側面において採用してもよい蒸着技術は、電気メッキ、陰極アーク蒸着、プラズマ溶射、スパッタリング、電子ビーム蒸着、物理蒸着、化学蒸着、プラズマ化学蒸着等を含むがそれらに限定されない。材料除去技術は、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば、化学機械研磨、レーザアブレーション、電子放射機械加工(EDM)等による平坦化等を含むがそれらに限定されない。またリソグラフプロトコルも興味深い。特定の実施形態において、平坦化処理プロトコルを使用することも興味深い。ここで、構造は構築され、および/または連続的に基板に適用される様々な異なる材料除去および蒸着プロトコルを使用して、初期平坦基板の1つまたは複数の表面から除去される。
【0074】
本発明の空洞のない装置を生成する1つのプロセスを図27A〜27Fに示す。図27Aに示されるように、すべての露出接着パッドはウエハレベルで保護される。接着パッド3は、チップレベルで保護される必要がある。これは、薄い層のプラチナ5を最初に置くことにより達成される。これは離昇プロセスでパターン化される。炭化ケイ素層7は、プラチナ5の薄層上に提供される。次に、炭化ケイ素7に穴をあける。この点に対するプロセスは、チップレベルの保護を提供する。
【0075】
図27Bに示されるように、第1金属蒸着ステップが提供される。このステップは、最終チップの端を越えて延在するすべての特徴を画定し、適切な溶接部位を提供する。これらの特徴は、シャドーマスクプロセスを使用してパターン化される。堅個なマスク、またはそれにエッチングされた穴を有するマスクを提供する。このシャドーマスク9はウエハ1と接触する。シャドーマスク9はそこにスペースを有し、ウエハ1の上部に配置される。次に、金属の陰極アーク蒸着を提供し、蒸着金属11を生じる。続いて、シャドーマスク9を物理的に除去する。結果として生じる構造は、ウエハ1上の幾つかの小さな金属パッドである。蒸着された金属接着パッド11が残る。これはすべて連続し、シャドーマスク9とともにスクリーンとして機能する。全体シャドーマスク9を剥がし、それに付着した余分な金属を取り、開口部にあった金属を残す。
【0076】
図27Cは、後で接着される接着パッド11を用いた第1金属化を示す。接着パッド11は、チップ1の側面に突出するスタブをほとんど作らない。本プロセスの次のステップは、この層を薄い誘電体で保護することである。この誘電体層13は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、二酸化チタン、または窒化アルミニウム等のよく知られた多くの材料から選択できる。誘電体層13は、この第1金属を次の金属蒸着から電気的に絶縁する。このプロセスにおける次の金属蒸着、金属15は本質的に保護装置(lock)である。金属15は誘電体層13の上部に降り、ブランケットで表面をコーティングする。ここで金属15と指定される層は、その他の場合において金属である必要はない。例えば、厚い誘電体であってもよい。
【0077】
図27Dは、第2金属15の自己マスキングを示す。ブランケットエッチングは上面で行われ、13と記載された露出誘電体をすべて取り除く。金属がその上部にある領域では露出されないことに注意する。この構成では、接着パッド11と第2金属15の間に層13が残る。さらに層13と接着パッド11の間には絶縁体があり、ともに短絡しないようにする。代わりに、金属15が誘電体である場合は、短絡の心配はない。裏面からエッチングを使用し、傾斜した側壁を生成する。これにより、領域19におけるシリコンが除去される。この処理の後、シリコン17が残る。2つのピット19がチップ1の裏側にエッチングされているため、残りのシリコンは17である。活性回路がこの領域21に残ることにより、金属11によってのみ懸垂される完全に機能的なチップとなる。次にこのチップの裏層を炭化ケイ素、窒化アルミニウム、または二酸化チタン等の誘電体層23を蒸着することにより保護する。図27Eに示されるように、別の厚い絶縁体または厚い金属25の厚蒸着も提供される。
【0078】
図27Eに示されるように、このプロセスは、チップに共形で空洞のない密閉を提供する厚い金属および誘電体でチップ全体を包含する。図27Fは、本発明の特定な実践的利点を示す。全表面が保護されているため、交差領域27において、シリコンは依然として露出される。化学気相エッチングを提供し、シリコンのみを除去する。この特徴により、本製造アプローチが完全にウエハレベルのプロセスとなる。製造されたチップは、ウエハから落ちる。典型的なダイスカットステップが排除される。実際に、処理がまったくないため、チップにかかる圧力の処理もない。最終チップはホルダに入る。シリコンの領域27は、この金属11の裏面からエッチングされる。支持構造はエッチングにより取り除かれている。最終チップは自由になり落ちる。
【0079】
(埋込み型医療機器)
上述のように、本発明は、上述のような密閉集積回路構造を含む埋込み型医療機器を提供する。埋込み型医療機器とは、生体上または生体内に配置されるよう構成される装置を意味する。特定の実施形態において、埋込み型医療機器は生体内に埋め込まれるよう構成される。埋込み型装置の実施形態は、体内に見られる高塩、高湿度環境を含む生理的環境に2日以上、例えば約1週間以上、約4週間以上、約6ヶ月以上、約1年以上、例えば約5年以上存在する場合に機能性を維持するよう構成される。特定の実施形態において、埋込み型装置は、約1年〜約80年以上、例えば約5年〜約70年以上の範囲の期間、および約10年〜約50年以上の範囲の期間、生理的部位に埋め込まれる場合に機能性を維持するよう構成される。本発明の埋込み型医療機器の寸法は異なることがある。しかし、埋込み型医療機器は埋め込み可能であるため、装置の特定実施形態の寸法は、成人の体内に配置できないような大きさではない。
【0080】
本発明のアセンブリは、高湿度の生理食塩水環境で生存できるため、人体における使用の他に多くの重要なアプリケーションを有する。また塩水および/または高湿度、あるいはその他の腐食性環境に曝されるその他の信頼性の高いアセンブリにおいて使用することもできる。
【0081】
対象の密閉集積回路を含む埋込み型医療機器は、様々に異なることがあり、 集積回路を含む電極構造を含む装置、例えば、埋込み型パルス発生器およびリード等のその構成要素、検体検出装置、視力回復装置等を含むがそれらに限定されない。これらの例示的タイプの装置それぞれについて、ここで詳述する。
【0082】
(電極を含む装置)
関心の埋込み型医療機器の1つのタイプは、電極を含む装置である。そのような装置において、1つ以上の電極は集積回路に電気的に連結される。特定の実施形態において、電極を含む装置は、以下に詳述されるように、分割電極集合体等の電極集合体を含む。
【0083】
本発明の実施形態は、電極サテライト構造等の電極集合体をさらに含む。特定の実施形態において、構造は、電極支持構造、少なくとも1つの電極要素、および上述のようなICチップ等の密閉集積回路を少なくとも1つ含む。さらなる実施形態において、サテライト構造は、例えばICの形態で支持構造の内側に制御回路を含んでもよく、サテライト構造および/またはその電極が電子バス上でアドレス指定可能となるようにする。
【0084】
図28は、以下で詳述されるように、それぞれ個別の電極要素を受け取る4つの凹部66A〜66Dを含む分割電極支持構造64の図を提供する。支持構造64は、それぞれ凹部13A〜13Dと関連する4つのフィードスルーノッチ68A〜68Dをさらに含む(図13においてフィードスルーノッチ68Dは見られない)。フィードスルーノッチ68A〜68Dは、以下に記載されるように、支持構造64の内部から外部に取り付けられた電極要素へのアクセスを提供する。本実施形態において、ノッチは支持構造に対して電極要素を整列させる働きもする。
【0085】
上述のように、電極集合体はICチップまたは集合体にアドレス指定能力を付与するその他の制御要素を含んでもよい。図29は、本発明の特定実施形態において使用が認められる密閉ICチップの図を示す。ICチップ10は、前述のように構成されるような密閉構造であり、ここで回路は密閉され、4つの導電溶接タブ28およびその他の電気接続(図示せず)により電気的にアクセスできる。密閉ICチップの実施形態は、2005年12月22日に出願された国際出願PCT/US2005/046815号(名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)に記載されるものを含むがそれらに限定されない。この出願において提供される密閉構造に関する説明は、参照により本明細書に特異的に組み込まれる。密閉されたIC10を、図13に示される支持構造64のスロット70および72に滑り込ませ、IC10が支持10の内側に安定して配置されるようにしてもよい。代替として、またはスロット70および72と併せて、ここで説明されるように、支持構造64の外側に配置された電極に接続することにより、IC10を支持構造64内に固定してもよい。
【0086】
図29を参照して、IC装置10および4つの個別の耐食電極セグメント74は、図28の電極支持構造64内に受け入れられてサテライト構造を形成する場合にそれらが占める方向で示される(明確にするため、図14では電極支持構造64を省略する)。4つの個別の電極セグメント74は、ともにセグメント化されたリング電極を形成し、サテライトを分割電極構造として見なしてもよい。分割電極構造とは、2つ以上、例えば3つ以上、4つ以上の個別の電極要素を含む電極構造を意味する。分割電極構造の実施形態は、次の明細書等において開示される:国際出願PCT/US2005/031559号(2006年9月1日出願、名称「Methods and Apparatus for Tissue Activation and Monitoring」)、同PCT/US2005/46811号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、同PCT/US2005/46815号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)、国際公開第60/793,295号(2006年4月16日出願、名称「High Phrenic,Low Pacing Capture Threshold Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、同第60/807,289号(2006年7月13日出願、名称「High Phrenic,Low Capture Threshold Pacing Devices and Methods」)、および同第60/865,760号(2006年11月14日出願、名称「Electrode Support」)。これらの出願における様々な分割電極構造の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。1つ以上のそのような電極集合体は、以下に説明されるように、心臓ペーシングリードに沿って配置されてもよい。この典型的な実施形態では4つの電極セグメント74が示されているが、任意の数の電極を使用してもよい。
【0087】
各電極セグメント74は、主要弓形部分76および湾曲ラグ部分78を含んでもよい。各ラグ部分78は、図13に示されるフィードスルーノッチ68A〜68Dの1つを通過してもよく、各電極が図28に示されるように支持構造64の外側に取り付けられると、そのラグ部分78が図29に示されるようにIC10と接続するための支持構造64の内部に突出するようにする。各ラグ部分78は、溶接、ろう付、スウェージング、圧着、ワイヤ接続等により、IC装置10上の溶接タブ28に物理的および/または電気的に接続されてもよい。これらの接続は、チップから離れて、溶接タブ28の片持ち部分30上で形成されてもよく、それによりICチップ10を損傷する可能性を最小限にする。
【0088】
またIC装置10は、後述されるように、1つ以上のバスワイヤを通じて埋込み型パルス発生器等の埋込み型装置、例えばペースメーカに電気的に接続されてもよい。電極セグメント76は、IC装置10および/または図28に示されるような支持構造64、ポリマーリードまたはその他の好適な手段等のセラミック担体により物理的に支持されてもよい。キャップ構造(図示せず)は、電極セグメント74の支持を促進するようIC装置10の上部に結合されてもよい。
【0089】
上述のような電極74の配置で、各電極74はIC装置10により独立に作動されてもよい。例えば、電極74は、装置10から周辺組織に電気刺激を伝達する。代替または組み合わせとして、電極74は周辺組織からの電気信号を感知し、IC装置10に信号を伝達してもよい。
【0090】
本発明の実施形態は、例えば上述のような1つ以上の電極サテライト構造を含む薬剤担体も含む。関心の担体は、血管リード構造を含むがそれらに限定されない。そのような構造は、一般に埋め込み可能なサイズであり、生理適合性材料で製造される。血管リードに関して、多種の異なる血管リード構造を採用してもよい。特定の実施形態において、血管リードは細長いチューブ状、例えば、円筒形構造であり、近位端と遠位端を有する。近位端は、例えば「缶」または類似する装置に存在する制御装置に接続するためのコネクタ要素、例えば、IS‐1コネクタを含む。リードは、ガイドワイヤとともに使用して、例えばワイヤ等の1つ以上の導体素子を格納する1つ以上のルーメンを含んでもよい。遠位端は、必要に応じて多種の異なる特徴、例えば固定手段等を含んでもよい。
【0091】
対象システムの特定実施形態において、上述のような1セット以上の電極サテライトは、少なくとも1つの細長い導電部材、例えば、心臓血管リード等のリードに存在する細長い導電部材と電気的に連結される。特定の実施形態において、細長い導電部材は、多重リードの一部である。多重リード構造は、必要に応じて2つ以上、例えば3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上、20以上等のサテライトを含んでもよい。特定の実施形態において、多重リードはサテライトより少数の導電部材を有する。特定の実施形態において、多重リードはワイヤを3本以下、例えば2本または1本のみ含む。関心の多重リード構造は、次の明細書等に記載されるものを含む:米国特許出願第10/734,490号(2003年12月11日出願、名称「Method and System for Monitoring and Treating Hemodynamic Parameters」)、国際出願PCT/US2005/031559号(2006年9月1日出願、名称「Methods and Apparatus for Tissue Activation and Monitoring」)、同PCT/US2005/46811号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、同PCT/US2005/46815号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)、米国特許出願第60/793,295号(2006年4月18日出願、名称「High Phrenic, Low Pacing Capture Threshold Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、および同第60/807,289号(2006年7月13日出願、名称「High Phrenic, Low Capture Threshold Pacing Devices and Methods」)。これらの出願の様々な多重リード構造の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の一部実施形態において、装置およびシステムは、オンボード論理回路またはプロセッサ、例えばペースメーカ缶等の中央制御装置に存在するプロセッサを含んでもよい。これらの実施形態において、中央制御装置は、近位端IS‐1接続等のコネクタによりリードに電気的に連結されてもよい。
【0092】
図30は、本発明の多重リード実施形態に従う多くの典型的ペーシングサテライトの外観を示す。一実施形態に従って、ペーシングリード200(例えば、図32の右心室リード109または左心室リード107)は、サテライト202等多くの(例えば8)サテライトに連結される2つのバスワイヤS1およびS2を収容する。また図30は、サテライト202を拡大図で示す。サテライト202は、サテライト202の円筒形外壁の4つの四分円に配置され、本発明の支持構造により支持される電極212、214、216、および218を含む。各サテライトは、ペーシングおよび信号検出システムと通信し、4つの電極のうちのどれがバスワイヤS1またはS2と連結されるかを決定する構成信号を受信する構造内に制御チップも含む。
【0093】
構成信号、後次のペーシングパルス信号、および電極により収集されるアナログ信号は、すべてバスワイヤS1およびS2を通じていずれかの方向に通信できる。左右対称配置で示されるが、電極212、214、216および218をリード200に沿って補正し、これらの電極間の容量性連結を最小化してもよい。電極の四分円配置により、好適な方向、例えば、神経から離れて、またはペーシング電流を下げるよう構成された電極に面して配向された電極を介してペーシング電流を投与することが可能になる。そのような精密なペーシングは、低電力ペーシングを可能にし、ペーシング信号によりもたらされる組織損傷を最小限にする。
【0094】
図31Aは、図30に示されるリードのサテライトの3次元断面図を提供する。図31Aに示されるように、サテライト202は、支持構造64の凹部に存在し、電極と電気的に連結される4つの電極212、214、216および218を有する。IC10は、支持構造64内に存在し、電極と電気的に連結される。またリードの3つの内部ルーメンを示す。これらは、中央ガイドワイヤルーメン270、およびワイヤS1およびS2を保持する導体素子ルーメン271および272を含む。
【0095】
図31Bは、サテライト202の断面図を提供する。サテライト202は、その凹部に固定され、上昇した構造250A、250B、250Cおよび250Dにより分離される4つの電極要素212、214、216および218を有する支持構造64を含む。支持構造64の内側にはIC10が存在する。IC10は、柔軟な導体素子276によりルーメン272内のS1と電気的に連結される。柔軟な導体素子276は、接続点279においてICと連結される。同様に、IC10は柔軟な導体素子275によりルーメン271内のS2と電気的に連結される。また電極は、例えば電極214とIC10との接続277および電極216とIC10との接続278により説明されるように、IC10と電気的に連結される。
【0096】
さらに、リードは多種の異なるエフェクタ要素を含む。この要素は、サテライトとは異なるサテライトまたは構造を採用してもよい。エフェクタは、圧力データ、容積データ、寸法データ、温度データ、酸素または二酸化炭素濃度データ、ヘマトクリットデータ、電気導電性データ、電位データ、pHデータ、化学データ、血流速度データ、熱伝導率データ、光学的性質データ、断面領域データ、粘度データ、放射線データ等のデータ収集を目的としてもよいがそれらに限定されない。そのようにして、エフェクタは、例えば、温度センサ、加速度計、超音波送信器または受信器、電圧センサ、電位デンサ、電流センサ等のセンサであってもよい。代替として、エフェクタは、電流または電圧を提供する、電位を設定する、基板または領域を加熱する、圧力変化を誘導する、材料または基板を解放または捕捉する、発光する、音波または超音波エネルギーを放射する、放射線を放射する等の作動または介入を目的としてもよい。
【0097】
関心のエフェクタは、本出願の発明者の少なくとも一部による以下の出願に記載されているエフェクタを含むがそれらに限定されない:米国特許出願第10/734490号(米国特許出願公開第20040193021号、名称「Method And System For Monitoring And Treating Hemodynamic Parameters」)、米国特許出願第11/219,305号(米国特許出願公開第20060058588号、名称「Methods And Apparatus For Tissue Activation And Monitoring」)、国際出願PCT/US2005/046815号(名称「Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、米国特許出願第11/324,196号(名称「Implantable Accelerometer−Based Cardiac Wall Position Detector」)、米国特許出願第10/764,429号(名称「Method and Apparatus for Enhancing Cardiac Pacing」)、米国特許出願第10/764,127号(名称「Methods and Systems for
Measuring Cardiac Parameters」)、米国特許出願第10/764,125号(名称「Method and System for Remote Hemodynamic Monitoring」)、国際出願PCT/ US2005/046815号(名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)、米国特許出願第11/368,259号(名称「Fiberoptic Tissue Motion Sensor」)、国際出願PCT/US2004/041430号(名称「Implantable Pressure Sensors」)、米国特許出願第11/249,152号(名称「Implantable Doppler Tomography System」であって、米国仮特許出願第60/617,618号の優先権を主張する)、および国際出願PCT/USUS05/39535号(名称「Cardiac Motion Characterization by Strain Gauge」)。これらの出願は、本明細書において参照によりそれら全体が組み込まれる。
【0098】
本発明の実施形態は、埋込み型パルス発生器をさらに含む。埋込み型パルス発生器は、電源および電気刺激制御要素を含むハウジングと、上述のような1つ以上の血管リード、例えば2つ以上の血管リードであって、それぞれ例えばIS‐1コネクタ等の適切なコネクタを介してハウジングの制御要素に連結される血管リードと、を含んでもよい。特定の実施形態において、埋込み型パルス発生器は、心臓血管アプリケーション、例えばペーシングアプリケーション、心臓再同期療法アプリケーション等に採用されるものである。そのようにして、特定の実施形態において、制御要素は、例えば適切な制御アルゴリズムを制御要素のプロセッサのコンピュータ読み取り可能な媒体上に記録させることにより、ペースメーカとして作動するような方法でパルス発生器を操作するよう構成される。特定の実施形態において、制御要素は、例えば適切な制御アルゴリズムを制御要素のプロセッサのコンピュータ読み取り可能な媒体上に記録させることにより、心臓再同期療法装置として作動するような方法でパルス発生器を操作するよう構成される。
【0099】
本発明の実施形態に従う、埋込み型パルス発生器を図32に示す。これは、心臓再同期療法(CRT)システムの実施形態を持つ心臓の断面図を提供する。システムは、ペースメーカ缶106を含み、缶には制御要素(例えば、プロセッサ)および電源、右心室電極リード109、右心房電極リード108、および左心室心臓血管リード107が含まれる。また右心室側壁102、心室中隔壁103、心尖105、および左心室側壁の心静脈104が示される。
【0100】
左心室電極リード107は、リード本体と、1つ以上のサテライト電極アセンブリ110、111、および112で構成される。各電極アセンブリは、上述のようなサテライトであり、図31Bに示されるような四分円構成に配置される4つの個別の電極要素に電気的に連結される密閉集積回路を含む。複数の遠位電極アセンブリを有することにより、CRTに対する最適電極位置を選択することが可能になる。代表的な実施形態において、電極リード107は、例えばリード本体にはシリコンまたはポリウレタン等、Pt‐Ir(90%プラチナ、10%イリジウム)電極アセンブリ110、111および112に接続されるコイル状またはより線にはMP35Nといった心臓リードに標準的な材料で構成される。代替として、これらの装置構成要素は、多重システム(例えば、米国特許出願公開第20040254483号(名称「Methods and systems for
measuring cardiac parameters」)、同第20040220637号(名称「Method and apparatus for enhancing cardiac pacing」)、同第20040215049号(名称「Method and system for remote hemodynamic
monitoring」)、および同第20040193021号(名称「Method and system for monitoring and treating
hemodynamic parameters」)に記載されるような多重システムであって、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。)により電極リード107の近位端に接続できる。電極リード107の近位端は、例えばIS−1コネクタを介してペースメーカ106に接続する。
【0101】
電極リード107は、導入器、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および/またはスタイレットを含む標準的な心臓リード配置装置を使用して心臓に配置される。つまり、導入器は鎖骨静脈に配置される。ガイドカテーテルは、導入器を通して配置され、右心房における冠静脈の配置に使用される。次に、ガイドワイヤを使用し、左心室心静脈の配置に使用される。電極リード107を、ガイドワイヤを越えて左心室心静脈104に滑り込ませ、CRTに最適な位置が検出されるまで試験する。マルチ電極リード107が埋め込まれても、最適な電極位置を連続的に再調整できる。
【0102】
電極リード109は、心中隔に埋め込まれる端116にアクティブな固定らせんとともに心臓の右心室に配置される。この図において、電極リード109は、1つまたは複数の電極113、114、115とともに提供される。
【0103】
電極リード109は、心臓右心室リードの典型的な配置手順に類似した手順で心臓に配置される。電極リード109は、導入器、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および/またはスタイレットを含む標準的なリード装置を使用して心臓に配置される。電極リード109は、鎖骨静脈に挿入され、上大静脈、右心房を通じて右心室に下がる。蛍光透視下で医師が決定した位置に配置される電極リード109は、電極リード109の固定において臨床的に最適であり、論理上実用的である。蛍光透視下で、アクティブな固定らせん116を進め、心臓組織にねじ込んで電極リード109を中隔に固定する。電極リード108は、アクティブな固定らせん118を使用して右心房に配置される。遠位端電極118を使用し、右心房のペーシングおよび運動感知を提供する。
【0104】
上述の側面を要約すると、本発明の埋込み型パルス発生器を使用する場合、そのような方法は、例えば上述のように、埋込み型パルス発生器を対象に埋め込み、対象の心臓をペースする、対象において心臓再同期療法を行う等のステップを含む。本発明の説明は、本明細書において、対象または患者を参照する特定の例において提供される。本明細書で使用されるように、「対象」および「患者」という用語は、動物等の生体を意味する。特定の実施形態において、動物は「哺乳動物」または「哺乳類」であり、これらの用語は、哺乳網に含まれる有機体を説明するため広く使用され、肉食動物(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、ウサギ目(例えば、ウサギ)、および霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む。特定の実施形態において、対象、例えば患者はヒトである。
【0105】
動作中の埋込み型パルス発生器の使用は、パルス発生器の少なくとも1つの電極を起動し、電気エネルギーを対象に送達するステップを含んでもよい。この起動は選択的であってもよく、例えば、パルス発生器のどの電極を起動するかを最初に決定した後、その電極を起動するステップを含む。例えばペーシングおよびCRTにIPGを使用する方法は、国際出願PCT/US2005/031559号(2006年9月1日出願、名称「Methods and Apparatus for Tissue Activation and Monitoring」)、同PCT/US2005/46811号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、同PCT/US2005/46815号(2005年12月22日出願、名称「Implantable Hermetically Sealed Structures」)、米国特許出願第60/793,295号(2006年4月18日出願、名称「High Phrenic,Low Pacing Capture Threshold Implantable Addressable Segmented Electrodes」)、および同60/807,289号(2006年7月13日出願、名称「High Phrenic,Low Capture Threshold Pacing Devices and Methods」)に開示されている。これらの出願の様々な操作方法の開示は、参照により本明細書に組み込まれ、本装置の使用に適用できる。
【0106】
(検体検出装置およびシステム)
本発明の密閉構造の実施形態の使用が認められるさらに別タイプの医療機器およびシステムは、血液検体検出装置等の検体検出装置、例えば、血糖検出装置である。多種の異なる光ベース、例えば、赤外線または近赤外線ベースの検体検出装置が開発されており、例えば血液等の液体標本を証明するための赤外線または近赤外線光源等の光源と、標本から反射、屈折する光等の戻る光を検出するための検出器を含む。ここで、標本からの光に応答して検出器により生成された信号が処理され(例えば、参照または対照と比較することにより)、標本に含まれる1つ以上の検体、例えば血液標本中の糖を質的または量的に検出する。密閉構造を含む、例えば赤外線光源および/または検出器を含むよう適合されてもよい赤外線または近赤外線血液検体検出装置は、次の出願の明細書に記載されるものを含むがそれらに限定されない:米国特許出願公開第20040206905号、同第20040077950号、同第20040024321号、同第20020193671号、同第20020067476号、同第20020027649号、同第20050267346号、同第20050192493号、同第20050171413号、同第20050131286号、同第20050124869号、同第20050043603号、同第20050027183号、同第20040242977号、同第20040220458号、同第20040193031号、同第20040162470号、同第20040133086号、同第20040106163号、同第20030220581号、同第20030191377号、同第20030105391号、同第20030100846号、同第20030076508号、同第20030050541号、同第20030032885号、同第20030023152号、同第20030013947号、同第20020193673号、同第20020173709号、同第20020103423号、同第20020091324号、同第20020084417号、同第20020082487号、同第20020072658号、同第20020055671号、同第20020041166号、同第20020038080号、同第20020035341号、同第20020026106号、同第20020019055号、同第20020016534号、および同第20010018560号。これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。上述の公開済み出願の多くは、埋込み型装置またはシステムではない装置およびシステムについて説明している。本密閉構造は、これらの装置およびシステムを容易に埋込み型形式に修正することができる。例えば、本発明の特定実施形態において、埋込み型光学ベースの血糖検体検出装置を提供する。ここで、光源、例えば赤外線光源は、赤外線を通すシリコンホルダにおいて密閉される。密閉光源は、適切な血管の第1側面に配置され、密閉された光源からの光が血管内の血液を照明できるようにする。血管の反対側には密閉検出器が配置される。この検出器は、血管に存在する血液からの光を検出し、それに応じて電気信号を生成する。密閉光源および検出器は、例えば、後次処理のための起動信号を光源に提供し、検出器から信号を受信して、例えば血管における血液中の糖等の検体を質的または量的に特定する少なくとも1つの導体を介して、それぞれ制御装置に連結される。
【0107】
(視力回復装置およびシステム)
対象密閉構造の使用が認められるさらに別タイプの医療機器およびシステムは、視力回復装置およびシステム、例えば、検出された光を電気信号に変換し、例えば視神経を刺激する埋込み型光検出器要素を含む装置およびシステムである。本発明の実施形態にしたがって、集積回路および光センサ、例えば光電池を関心の波長を十分に通す構造において密閉でき、装置およびシステムの長期の埋め込み可能性を提供する。対象の密閉構造が組み込まれてもよい代表的な埋込み型視力回復装置およびシステムは、以下の明細書等に記載される装置およびシステムを含むがそれらに限定されない:米国特許第4,628,933号、同第5,042,223号、同第5,397,350号、同第6,230,057および国際公開第01/74444号(名称「Multi−Phasic Microphotodetector Retinal Implant With Variable Voltage And Current Capability And Apparatus For Insertion」)、同第01/83026号(名称「Artificial Retina Device With Stimulating
And Ground Return Electrodes Disposed On Opposite Sides Of The Neuroretina And Method Of Attachment」)、同第03/002190号(名称「Methods For Improving Damaged Retinal Cell Function」)、同第03/002070号(名称「Methods For
Improving Damaged Retinal Cell Function
Using Physical And/Or Mechanical Stimulation」)、同第2004/071338号(名称「Implantable Device Using Diamond−Like Carbon Coating」)、同第2004/112893号(名称「Implant Instalment」)、同第2005/004985号(名称「Treatment Of Degenerative Retinal Disease Via Electrical Stimulation Of Surface Structures」)、同第2005/004985号(名称「Device For Treatment Of Degenerative Retinal Disease Via Electrical Stimulation Of Surface Structures Of The Eyeball」)、および同第2005/110326号(名称「Mechanically Activated Objects For Treatment Of Degenerative Retinal Disease」)。
【0108】
(システム)
また上述の装置、埋込み型パルス発生器を1つ以上含むシステムも提供する。本発明のシステムは、対象、例えばヒトの体内で情報通信するシステムと見なしてもよい。システムは、信号を送信および/または受信するよう構成されたトランシーバを含む上述のIPG装置等の第1埋込み型医療機器と、信号を送信および/または受信するよう構成されたトランシーバを含む第2装置と、を含む。第2装置は、体内、体表面、または使用中に体から隔離される装置であってもよい。
【0109】
また、本発明のシステムを使用する方法も提供される。本発明の方法は、概して、例えば、上述のように第1および第2医療機器を含む本発明のシステムを提供するステップを含む。それら医療機器のうちの1つは、埋め込み可能であり、第1装置と第2装置の間に信号を伝送する。特定の実施形態において、この伝送ステップは、第1装置から前記第2装置に信号を送信するステップを含む。特定の実施形態において、伝送ステップは、第2装置から前記第1装置に信号を送信するステップを含む。信号は任意の便利な周波数で伝送されてもよい。特定の実施形態において、周波数は約400〜約405MHzの範囲である。信号の性質は著しく異なる場合があり、患者から得られた1つ以上のデータ、埋め込まれた装置から得られた装置の機能、埋め込まれた装置の制御情報、電力等に関するデータを含んでもよい。
【0110】
システムの使用は、装置を用いて得られたデータの視覚化を含んでもよい。本発明の一部は、発明システムの使用により収集された複数ソースの情報を調整する様々なディスプレイおよびソフトウェアツールを開発した。これらの例は、国際出願PCT/US2006/012246号において見られる。この出願、およびその優先出願の開示は、その全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
(キット)
埋込み型装置またはシステム、例えば埋込み型パルス発生器の1つ以上の構成要素の一部として、例えば上述のように対象の電極構造を含むキットも提供する。特定の実施形態において、キットには、少なくとも1つの制御装置が、例えば、ペースメーカ缶の携帯でさらに含まれる。これらの特定の実施形態において、構造および制御装置を細長い導電部材により電気的に連結してもよい。特定の実施形態において、電極構造は心血管リード等のリードに存在してもよい。
【0112】
対象キットの特定実施形態において、キットには、対象装置または同様の結果を得る要素を使用するための指示書がさらに含まれる(例えば、指示を提供するウェブページにユーザを導くウェブサイトURL)。これらの指示は、一般に基板上に印刷される。基板は添付文書、包装、試薬容器等のうちの1つ以上であってもよい。対象キットにおいて、1つ以上の構成要素は、便宜上または必要に応じて、同一または異なる容器に存在する。
【0113】
記載される特定の実施形態は異なる場合があるため、本発明は、それらに限定されないことを理解されたい。また、当然のことながら、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、制限を意図しない。本発明の範囲は、添付の請求項のみによって限定される。
【0114】
値の範囲が提供される場合、文脈上別段の明確な記載がない限り、その範囲の上限および下限と、規定範囲の任意のその他の規定値または介在値との間の各介在値は、下限の単位の10分の1まで本発明に包含されることを理解されたい。これらの小範囲の上限および下限は、さらに小さい範囲に独立に含まれてもよく、規定の範囲における任意の特異的に排除される制限を条件として、本発明に含まれる。規定の範囲がその制限の1つまたは両方を含む場合、それらの包含される制限値のいずれかまたは両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0115】
本明細書において、数値の前に「約」という用語を付けて特定の範囲を提示する。本明細書において、「約」という用語を使用し、それが先行する数字、およびそれに近い数字、あるいはその用語が先行する数字に近似する数字の正確性に対する逐語的サポートを提供する。数字が特異的に引用された数字に近い、または近似するかどうかを判断する際に、引用されていないがそれに近い、または近似する数字は、それが提示される文脈において、特異的に引用された数字と実質的に等しい数字を提供するものであってもよい。
【0116】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および化学的用語は、本発明が属する当該技術分野において通常の技術を有する者により一般に理解されるような意味を持つ。本明細書に記載されるものに類似または相当する任意の方法および材料も、本発明の実施または試験に使用することができる。代表的な例示的方法および材料をここで説明する。
【0117】
本明細書および添付の請求書で使用されるように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段の明確な記載がない限り、複数の指示対象を含むことに注意する。さらに、任意の追加要素を排除するよう請求項を草稿してもよいことが理解される。そのようにして、この記述は、請求項要素の引用と関連して「唯一」、「のみ」等の限定的用語を使用すること、または「否定的な」限定を使用することの先行詞となることを意図する。
【0118】
本開示を読めば当業者に明らかとなるように、本明細書において記載および例示される個別の実施形態は、それぞれ個別の構成要素および機能を有し、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、その他の幾つかの実施形態のいずれかの機能から容易に区別または組み合わせることができる。引用される任意の方法は、引用されるイベントの順番、または論理的に可能なその他の順番で実行できる。
【0119】
前述の発明は、理解を明確にする目的で図および例を用いて詳細に記載されているが、本発明の教示に照らして、添付の請求項の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変化および修正を行ってもよいことは、当業者に容易に明らかとなる。
【0120】
したがって、前述の記載は本発明の原理の単なる例示である。当然のことながら当業者は、本明細書において明記または明示されていないが、本発明の原理を具現化し、その精神および範囲に含まれる様々な配置を設計できる。さらに、本明細書で引用されるすべての例および条件付き言語は、原則として、本発明の原理および当該技術の推進に対して本発明者が寄与した概念について読者の理解を助けることを目的とし、そのような特異的に引用された例および条件に限定されないと解釈される。さらに、本明細書において本発明の原理、側面、および実施形態を引用するすべての記述、およびその特定例は、その構造的および機能的相当物を含むことを意図する。さらに、そのような相当物は、現在知られている相当物および将来開発される相当物、例えば構造にかかわらず同一機能を実行する任意の開発要素をどちらも含むことを意図する。そのため、本発明の範囲は、本明細書に図示および説明される典型的な実施形態に限定するものではない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の請求項により具現化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図13I】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図27E】
【図27F】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図2】
【図3】
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【図17B】
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【図22B】
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【図27B】
【図27C】
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【図27F】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【公開番号】特開2012−183384(P2012−183384A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−146983(P2012−146983)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【分割の表示】特願2009−505514(P2009−505514)の分割
【原出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146983(P2012−146983)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【分割の表示】特願2009−505514(P2009−505514)の分割
【原出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
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