説明

穿孔方法及び穿孔装置

【課題】 複数の打ち抜き片を効率的且つ確実に回収することが出来る簡易な構成の穿孔装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る穿孔装置は、グリーンシート2を挟んで対向配備された雄金型11及び雌金型12を具え、雄金型11の雌金型12との対向面には、グリーンシート2の厚さよりも大きな突出高さを有する複数の凸部11aが形成される一方、雌金型12は、前記凸部11aの高さよりも小さな厚さを有する平板状部材からなり、該雌金型12には、前記各凸部11aに対応する位置にそれぞれ貫通孔12aが開設されている。前記雌金型12の背面側には、複数の貫通孔12aを覆って粘着テープ14が配備されると共に、粘着テープ14の背面側には、粘着テープ14を介して雌金型12を雄金型11に向けて加圧する加圧部材13が配備され、該加圧部材13の粘着テープ14との対向面には、弾性部材13aが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリーンシート等の平板状の被加工物を打ち抜いて打ち抜き孔を穿設する穿孔方法及び穿孔装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミック多層基板の製造工程において、各層間を電気的に接続するバイアホールは、グリーンシートを打ち抜いて複数の打ち抜き孔を穿設した後、各打ち抜き孔に導体ペーストを充填して形成される。
【0003】
グリーンシートに打ち抜き孔を穿設する従来の穿孔装置においては、図4に示す如く、上金型(32)及び下金型(33)がそれぞれ取り付けられた一対のプレスプレート(31)(31)が互いに対向配備されており、上金型(32)の表面には、下金型(33)に向けて複数の凸部(32a)が形成され、下金型(33)には、上金型(32)の各凸部(32a)に対応する位置に貫通孔(33a)が開設されている。
そして、打ち抜き孔を穿設すべきグリーンシート(34)を上金型(32)と下金型(33)の間に挟んだ状態で、両プレスプレート(31)(31)を互いに接近させる方向へ駆動することにより、上金型(32)の凸部(32a)と下金型(33)の貫通孔(33a)によりグリーンシート(34)を打ち抜いて、該グリーンシート(34)の所定位置に打ち抜き孔を穿設する(特許文献1参照)。
【0004】
上記穿孔装置においては、上金型(32)の凸部(32a)がグリーンシート(34)を打ち抜くことにより、下金型(33)の貫通孔(33a)内には、打ち抜き片(34a)が残留することになる。従って、連続して穿孔作業を行なうためには、貫通孔(33a)から打ち抜き片(35)を除去する必要がある。
【0005】
そこで、打ち抜き片を効率的に除去すべく、図5に示す穿孔装置が提案されている。
該穿孔装置は、貫通孔(44a)が開設された受け台(44)上に、グリーンシート(42)を載置し、該グリーンシート(42)の外周部をフレーム(43)によって受け台(44)に押しつけた状態で、受け台(44)の貫通孔(44a)に対向配備されたポンチ(41)によって、グリーンシート(42)を打ち抜くことにより、グリーンシート(42)に打ち抜き孔を穿設するものである。
受け台(44)の貫通孔(44a)の下方には吸引装置(45)が配備され、該吸引装置(45)によって、貫通孔(44a)からグリーンシート(42)の打ち抜き片(42a)を吸引除去する。(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−221446号公報 [H05K 3/40]
【特許文献2】特開平5−318448号公報 [B28B 11/12]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、グリーンシートに同時に複数の打ち抜き孔を穿設することが出来る図4に示す如き穿孔装置において、穿孔作業に伴って生じる複数の打ち抜き片を一挙に除去する方法として、例えば、下金型(33)が取り付けられた一方のプレスプレート(31)に開口部を設けると共に、該開口部を覆って図5に示す様な吸引装置を設け、該吸引装置により、下金型(33)に開設した全ての貫通孔(33a)から打ち抜き片(34a)を吸引除去する方法が考えられる。
しかしながら、この方法によると、下金型(33)に開設された複数の貫通孔(33a)を覆うことが可能な吸引装置が必要となるため、穿孔装置が大掛かりなものとなる問題があった。
又、プレスプレート(31)への上金型(32)及び下金型(33)の取り付け精度のばらつきによっては、一部の打ち抜き孔が歪んだ形状となったり、打ち抜き片(34a)が完全に打ち抜かれずにグリーンシート(34)と部分的に繋がったままになる(以下、打ち抜き欠損と言う)問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数の打ち抜き孔を一括して短時間に穿孔し、発生した複数の打ち抜き片を効率的且つ確実に回収することが出来ると共に、打ち抜き孔の形状改善と打ち抜き欠損の回避が可能な簡易な構成の穿孔装置並びに穿孔方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、雄金型(11)と雌金型(12)の間に平板状の被加工物を挟んで、両金型(11)(12)を互いに接近させる方向へ少なくとも何れか一方の金型を駆動することにより、被加工物に複数の打ち抜き孔を穿設する方法に関し、雄金型(11)の雌金型(12)との対向面には、複数の凸部(11a)が突設される一方、雌金型(12)は平板状部材から構成され、該雌金型(12)には、前記雄金型(11)の各凸部(11a)に対応する位置にそれぞれ貫通孔(12a)が開設され、雄金型(11)の凸部(11a)と雌金型(12)の貫通孔(12a)により被加工物を打ち抜いて打ち抜き孔を穿設する。
【0009】
本発明に係る穿孔方法は、前記雌金型(12)の背面側に、前記複数の貫通孔(12a)を覆って粘着シートを配備すると共に、該粘着シートの背面側に、前記雌金型(12)の複数の貫通孔(12a)を覆うことが可能な平坦な表面を有する弾性部材(13a)を配備する第1工程と、
雄金型(11)と雌金型(12)の間に被加工物を挟んだ状態で、両金型(11)(12)を互いに接近させる方向へ少なくとも何れか一方の金型を駆動することにより、被加工物に複数の打ち抜き孔を穿設すると同時に、雌金型(12)の背面に前記粘着シートを介して前記弾性部材(13a)を押圧し、前記打ち抜き孔の穿設に伴って生じた複数の打ち抜き片(21)を粘着シートの表面に付着せしめる第2工程と、
両金型(11)(12)の間から穿孔後の被加工物を取り出すと共に、粘着シートに付着した複数の打ち抜き片(21)を粘着シートと共に回収する第3工程
とを有している。
尚、被加工物としては、例えば、誘電体磁気組成物、有機バインダー、可塑剤等を含むセラミック材料からなるグリーンシートが挙げられる。
【0010】
上記本発明の穿孔方法においては、第2工程にて、被加工物に打ち抜き孔を穿設する過程で、被加工物の打ち抜き片(21)は、雄金型(11)の凸部(11a)によって雌金型(12)の貫通孔(12a)に向けて押し出され、これによって、該打ち抜き片(21)は、雌金型(12)の貫通孔(12a)を経て、その先端が雌金型(12)の背面から突出することになる。
雌金型(12)の背面から突出した打ち抜き片(21)は、第1工程にて雌金型の背面側に配備された粘着シートを介して弾性部材(13a)を押圧し、これに伴って、該弾性部材(13a)の打ち抜き片(21)との対向部に弾性変形が生じて、該対向部の表面は、打ち抜き片(21)の突出量だけ後退する。これによって、打ち抜き片(21)の突出が許容される。
雄金型(11)の凸部(11a)が被加工物を貫通して、被加工物に打ち抜き孔が穿設された後、第3工程にて、両金型(11)(12)の間から穿孔後の被加工物を取り出すと共に、粘着シートに付着した複数の打ち抜き片(21)を粘着シートと共に回収して穿孔作業を完了する。
上記本発明の穿孔方法によれば、被加工物の打ち抜き片(21)は、被加工物に打ち抜き孔を穿設する過程で粘着シートに付着し、穿孔後、該粘着シートに付着した複数の打ち抜き片(21)を粘着シートと共に回収することが出来るので、穿孔作業の効率化並びに時間短縮を図ることが出来る。
【0011】
具体的構成において、前記雄金型(11)の各凸部(11a)は、被加工物の厚さよりも大きな突出高さを有すると共に、前記雌金型(12)を構成する平板状部材は、前記雄金型(11)の凸部(11a)の高さよりも小さな厚さを有している。
【0012】
該具体的構成によれば、少なくとも雄金型(11)の各凸部(11a)が被加工物を貫通した際には、被加工物の打ち抜き片(21)の先端が雌金型(12)の背面から突出することになるので、該打ち抜き片(21)を粘着シートに確実に付着させることが出来る。
【0013】
又、本発明に係る穿孔装置は、平板状の被加工物を挟んで対向配備されるべき雄金型(11)及び雌金型(12)と、両金型(11)(12)を互いに接近させる方向へ少なくとも何れか一方の金型を駆動する駆動機構(15)とを具え、雄金型(11)の雌金型(12)との対向面には、複数の凸部(11a)が突設される一方、雌金型(12)は平板状部材から構成され、該雌金型(12)には、前記雄金型(11)の各凸部(11a)に対応する位置にそれぞれ貫通孔(12a)が開設され、雄金型(11)の凸部(11a)と雌金型(12)の貫通孔(12a)により被加工物を打ち抜いて打ち抜き孔を穿設する。
前記雌金型(12)の背面側には、前記複数の貫通孔(12a)を覆って粘着シートが配備されると共に、該粘着シートの背面側には、前記雌金型(12)の複数の貫通孔(12a)を覆うことが可能な平坦な表面を有する弾性部材(13a)が配備され、雄金型(11)と雌金型(12)の間に被加工物を挟んだ状態で、前記駆動機構(15)によって少なくとも何れか一方の金型を駆動することにより、被加工物に複数の打ち抜き孔を穿設すると同時に、雌金型(12)の背面に前記粘着シートを介して前記弾性部材(13a)を押圧し、前記打ち抜き孔の穿設に伴って生じた複数の打ち抜き片(21)を粘着シートの表面に付着せしめる。
具体的には、前記粘着シートの背面側には、前記駆動機構(15)を構成する加圧部材(13)が配備され、該加圧部材(13)の粘着シートとの対向面に、前記弾性部材(13a)が取り付けられている。
【0014】
上記本発明の穿孔装置において、穿孔作業を行なう場合には、雄金型(11)と雌金型(12)の間に被加工物を挟んだ状態で、駆動機構(15)により加圧部材(13)を雌金型(12)に接近する方向に駆動して、該加圧部材(13)を粘着テープ(14)を介して雌金型(12)の背面に圧接させる。これによって、雌金型(12)が被加工物を雄金型(11)の凸部(11a)に押し付けて、該凸部(11a)と雌金型(12)の貫通孔(12a)によって、被加工物に打ち抜き孔が穿設されることになる。
【0015】
被加工物に打ち抜き孔を穿設する過程で、被加工物の打ち抜き片(21)は、雄金型(11)の凸部(11a)によって雌金型(12)の貫通孔(12a)に向けて押し出され、これによって、該打ち抜き片(21)は、雌金型(12)の貫通孔(12a)を経て、その先端が雌金型(12)の背面から突出することになる。
雌金型(12)の背面から突出した打ち抜き片(21)は、粘着シートを介して加圧部材(13)に取り付けられた弾性部材(13a)を押圧し、これによって、該弾性部材(13a)には弾性変形が生じ、その表面が打ち抜き片(21)の突出量だけ後退して、打ち抜き片(21)の突出が許容される。
又、弾性部材(13a)の反発力によって、打ち抜き片(21)は粘着シートと密着した状態に保たれる。
従って、上記本発明の穿孔装置によれば、被加工物の打ち抜き片(21)は、被加工物に打ち抜き孔を穿設する過程で粘着シートに付着し、穿孔後、該粘着シートに付着した複数の打ち抜き片(21)を粘着シートと共に回収することが出来るので、穿孔作業の効率化並びに時間短縮を図ることが出来る。
【0016】
具体的構成において、前記粘着シートは、雌金型(12)との対向面が粘着性を有する帯状の粘着テープ(14)によって形成され、該粘着テープ(14)の長手方向の一方の端部がロール状に巻回されると共に、他方の端部が巻き取り装置(19)に連結されている。
該具体的構成においては、打ち抜き片(21)が付着した粘着テープ(14)を巻き取り装置(19)により巻き取ることによって、打ち抜き片(21)の回収と、粘着テープ(14)の新たな粘着面の供給とを同時に行なうことが出来、これによって、穿孔作業の更なる効率化並びに時間短縮を図ることが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る穿孔方法並びに穿孔装置によれば、簡易な構成で、複数の打ち抜き孔を一括して短時間に穿孔し、発生した打ち抜き片を効率的且つ確実に回収することが出来ると共に、打ち抜き孔の形状改善と打ち抜き欠損の回避が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明をグリーンシートの穿孔装置に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1に示す如く、本発明に係る穿孔装置(1)は、表面が水平な機台(10)上に、後述する雄金型(11)、グリーンシート(2)及び雌金型(12)が設置されるべき可動ステージ(17)を具え、穿孔装置(1)の上部には、雌金型(12)を雄金型(11)に接近させる方向へ駆動する駆動機構(15)が設けられている。該駆動機構(15)は、昇降駆動される円柱状のロッド部(15a)を具え、該ロッド部(15a)の先端には、平板状の加圧部材(13)が取り付けられている。又、加圧部材(13)の機台(10)との対向面には、ショアA硬度90度、厚さ15mmのウレタンシートからなる弾性部材(13a)が取り付けられている。
加圧部材(13)の下方には帯状の粘着テープ(14)が配備され、該粘着テープ(14)の長手方向の一方の端部は、穿孔装置(1)の左端部に設けられた供給軸(19a)にロール状に巻回されている。穿孔装置(1)の右端部には、粘着テープ(14)を巻き取るための巻き取り装置(19)が配備され、粘着テープ(14)の他方の端部は、該巻き取り装置(19)の巻き取り軸(19b)に連結されている。
【0019】
機台(10)上には、可動ステージ(17)を水平方向に駆動するためのシリンダ機構(16)が配備され、シリンダ機構(16)の駆動によって、可動ステージ(17)は、加圧部材(13)の下方の第1位置と手前側の第2位置との間で水平方向に往復移動する。又、機台(10)上の手前側には、駆動機構(15)、巻き取り装置(19)及びシリンダ機構(16)を起動/停止させるための操作部(18)が設けられている。
【0020】
図2(a)に示す如く、雄金型(11)と雌金型(12)は、グリーンシート(2)を間に挟んで互いに対向配備され、雄金型(11)の雌金型(12)との対向面には、グリーンシート(2)の厚さよりも大きな突出高さを有する複数の凸部(11a)が突設されている。一方、雌金型(12)は、該凸部(11a)の高さよりも小さな厚さを有する平板からなり、該雌金型(12)には、雄金型(11)の各凸部(11a)に対応する位置にそれぞれ貫通孔(12a)が開設されている。尚、雄金型(11)、グリーンシート(2)及び雌金型(12)の厚さは、それぞれ3mm、0.15mm及び0.07mm、雄金型(11)の凸部(11a)の突出高さは0.175mmである。
【0021】
上記本発明の穿孔装置(1)において、穿孔作業を行なう場合には、先ず、図1に示す可動ステージ(17)を手前側の第2位置に移動させ、該可動ステージ(17)上に、雄金型(11)、グリーンシート(2)、雌金型(12)の順で、それぞれ水平方向の所定位置に位置決めして重ね合わせる。
【0022】
次に、可動ステージ(17)を加圧部材(13)下方の第1位置に移動させた後、駆動機構(15)により加圧部材(13)を該第1位置に向けて下降させる。これによって、図2(b)に示す如く、加圧部材(13)は、粘着テープ(14)を介して雌金型(12)の背面に圧接する。
更に加圧部材(13)を下降させると、該加圧部材(13)が雌金型(12)を下方へ押圧し、これによって、グリーンシート(2)が雄金型(11)の凸部(11a)に押し付けられる。
そして、図2(c)に示す如く、雄金型(11)の凸部(11a)がグリーンシート(2)を貫通し、該グリーンシート(2)に打ち抜き孔が穿設される。
【0023】
グリーンシート(2)に打ち抜き孔を穿設する過程で、グリーンシート(2)の打ち抜き片(21)は、雄金型(11)の凸部(11a)によって雌金型(12)の貫通孔(12a)に向けて押し出され、これによって、該打ち抜き片(21)は、雌金型(12)の貫通孔(12a)を経て、図3に示す如く、その先端が雌金型(12)の背面から突出することになる。
打ち抜き片(21)の先端部が雌金型(12)の背面から突出すると、該打ち抜き片(21)は、粘着テープ(14)を介して加圧部材(13)の弾性部材(13a)を押圧し、これに伴って、弾性部材(13a)の打ち抜き片(21)との対向部に弾性変形が生じて、該対向部の表面は、打ち抜き片(21)の突出量だけ後退する。これによって、打ち抜き片(21)の突出が許容される。
又、弾性部材(13a)の弾性反発力によって、打ち抜き片(21)は粘着テープ(14)と密着した状態に保たれる。
【0024】
次に、図2(d)に示す如く、加圧部材(13)を上昇させた後、両金型(11)(12)の間から、穿孔後のグリーンシート(2)を取り出すと共に、前記巻き取り装置(19)により粘着テープ(14)を一定量だけ巻き取って、粘着テープ(14)に付着した複数の打ち抜き片(21)を粘着テープ(14)と共に回収して、穿孔作業を完了する。
【0025】
上述の如く、本発明に係る穿孔装置(1)によれば、グリーンシート(2)の打ち抜き片(21)は、グリーンシート(2)に打ち抜き孔を穿設する過程で粘着テープ(14)に付着するので、穿孔後に、該粘着テープ(14)に付着した複数の打ち抜き片(21)を粘着テープ(14)と共に一挙に回収することが出来、これによって、穿孔作業の効率化並びに時間短縮を図ることが出来る。
又、本発明に係る穿孔装置(1)は、粘着テープ(14)の巻き取り装置(19)を具えているので、該巻き取り装置(19)により、打ち抜き片(21)が付着した粘着テープ(14)の回収と、粘着テープ(14)の新たな粘着面の供給とを同時に行なうことが出来、これによって、穿孔作業の更なる効率化並びに時間短縮を図ることが出来る。
形成された打ち抜き孔を観察したところ、歪むことなく所望の形状となっており、打ち抜き欠損も発生していなかった。これは、弾性部材(13a)を具えたことにより、雌金型(12)のグリーンシート(2)に対するグリーンシート(2)の厚さ方向の精度の許容範囲が広がったためと考えられる。
【0026】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、本実施例においては、弾性部材(13a)は加圧部材(13)と一体に設けたが、これに替えて、例えば、加圧部材(13)と粘着テープ(14)の間に加圧部材(13)とは別体のシート状の弾性部材(13a)を介在させた構成を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る穿孔装置の斜視図である。
【図2】該穿孔装置による穿孔作業を示す一連の工程図である。
【図3】図2(c)の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】従来の穿孔装置の構成を示す断面図である。
【図5】従来の穿孔装置の他の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
(1) 穿孔装置
(11) 雄金型
(11a) 凸部
(12) 雌金型
(12a) 貫通孔
(13) 加圧部材
(13a) 弾性部材
(14) 粘着テープ
(15) 駆動機構
(17) 可動ステージ
(19) 巻き取り装置
(2) グリーンシート
(21) 打ち抜き片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄金型(11)と雌金型(12)の間に平板状の被加工物を挟んで、両金型(11)(12)を互いに接近させる方向へ少なくとも何れか一方の金型を駆動することにより、被加工物に複数の打ち抜き孔を穿設する方法であって、雄金型(11)の雌金型(12)との対向面には、複数の凸部(11a)が突設される一方、雌金型(12)は平板状部材から構成され、該雌金型(12)には、前記雄金型(11)の各凸部(11a)に対応する位置にそれぞれ貫通孔(12a)が開設され、雄金型(11)の凸部(11a)と雌金型(12)の貫通孔(12a)により被加工物を打ち抜いて打ち抜き孔を穿設する穿孔方法において、
前記雌金型(12)の背面側に、前記複数の貫通孔(12a)を覆って粘着シートを配備すると共に、該粘着シートの背面側に、前記雌金型(12)の複数の貫通孔(12a)を覆うことが可能な平坦な表面を有する弾性部材(13a)を配備する第1工程と、
雄金型(11)と雌金型(12)の間に被加工物を挟んだ状態で、両金型(11)(12)を互いに接近させる方向へ少なくとも何れか一方の金型を駆動することにより、被加工物に複数の打ち抜き孔を穿設すると同時に、雌金型(12)の背面に前記粘着シートを介して前記弾性部材(13a)を押圧し、前記打ち抜き孔の穿設に伴って生じた複数の打ち抜き片(21)を粘着シートの表面に付着せしめる第2工程と、
両金型(11)(12)の間から穿孔後の被加工物を取り出すと共に、粘着シートに付着した複数の打ち抜き片(21)を粘着シートと共に回収する第3工程
とを有していることを特徴とする穿孔方法。
【請求項2】
前記雄金型(11)の各凸部(11a)は、被加工物の厚さよりも大きな突出高さを有すると共に、前記雌金型(12)を構成する平板状部材は、前記雄金型(11)の凸部(11a)の高さよりも小さな厚さを有している請求項1に記載の穿孔方法。
【請求項3】
前記被加工物は、誘電体磁気組成物、有機バインダー及び可塑剤を含むセラミック材料からなるグリーンシートである請求項1又は請求項2に記載の穿孔方法。
【請求項4】
平板状の被加工物を挟んで対向配備されるべき雄金型(11)及び雌金型(12)と、両金型(11)(12)を互いに接近させる方向へ少なくとも何れか一方の金型を駆動する駆動機構(15)とを具え、雄金型(11)の雌金型(12)との対向面には、複数の凸部(11a)が突設される一方、雌金型(12)は平板状部材から構成され、該雌金型(12)には、前記雄金型(11)の各凸部(11a)に対応する位置にそれぞれ貫通孔(12a)が開設され、雄金型(11)の凸部(11a)と雌金型(12)の貫通孔(12a)により被加工物を打ち抜いて打ち抜き孔を穿設する穿孔装置において、
前記雌金型(12)の背面側には、前記複数の貫通孔(12a)を覆って粘着シートが配備されると共に、該粘着シートの背面側には、前記雌金型(12)の複数の貫通孔(12a)を覆うことが可能な平坦な表面を有する弾性部材(13a)が配備され、雄金型(11)と雌金型(12)の間に被加工物を挟んだ状態で、前記駆動機構(15)によって少なくとも何れか一方の金型を駆動することにより、被加工物に複数の打ち抜き孔を穿設すると同時に、雌金型(12)の背面に前記粘着シートを介して前記弾性部材(13a)を押圧し、前記打ち抜き孔の穿設に伴って生じた複数の打ち抜き片(21)を粘着シートの表面に付着せしめることを特徴とする穿孔装置。
【請求項5】
前記雄金型(11)の各凸部(11a)は、被加工物の厚さよりも大きな突出高さを有すると共に、前記雌金型(12)を構成する平板状部材は、前記雄金型(11)の凸部(11a)の高さよりも小さな厚さを有している請求項4に記載の穿孔装置。
【請求項6】
前記粘着シートの背面側には、前記駆動機構(15)を構成する加圧部材(13)が配備され、該加圧部材(13)の粘着シートとの対向面に、前記弾性部材(13a)が取り付けられている請求項4又は請求項5に記載の穿孔装置。
【請求項7】
前記粘着シートは、雌金型(12)との対向面が粘着性を有する帯状の粘着テープ(14)によって形成され、該粘着テープ(14)の長手方向の一方の端部がロール状に巻回されると共に、他方の端部が巻き取り装置(19)に連結されている請求項4乃至請求項6の何れかに記載の穿孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−224250(P2006−224250A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41632(P2005−41632)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】