説明

窓構造のための断熱性が改善された強化プラスチック断面の製造方法

本発明は、発泡コア(5)を有するプラスチック断面を共押出法で製造するための方法に関する。発泡材料は特に固体状でプラスチック中空断面の空洞内に共押出され、空洞内で発泡する。本発明に係る方法は、特に窓のサッシ及び枠断面の製造に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の発泡コアを有するプラスチック断面の製造方法に関する。当該プラスチック断面は、特に窓や戸などの枠及び/又はサッシの断面に適している。
さらに本発明は、その他の独立請求項のプリアンブルに記載のプラスチック断面に関する。
【背景技術】
【0002】
押出プラスチック中空断面を強化するために、しばしば鋼断面がプラスチック中空断面の空洞に嵌め込まれる。このような強化プラスチック断面は、窓や戸などの枠及び/又はサッシの断面としてしばしば使用される。このとき使用されるプラスチックは大抵ポリ塩化ビニル(PVC)である。このような鋼断面によって強化されたプラスチック断面の欠点は、特に金属をプラスチック断面の内部に嵌め込むことによって、断熱性が著しく損なわれることにある。金属は総じて熱伝導性が高いからである。断熱性を高めるために、プラスチック断面に嵌め込まれる鋼断面の中空空間は、例えばポリウレタンのような発泡材料フォームで満たされる。しかしながら、あとから中空断面内で発泡させることは非常に手間がかかることがわかっている。直線状の窓断面は通常、数メートルの長さで押出されるものであり、したがって発泡は長いゾンデを用いて行わなければならないからである。
プラスチック断面を強化するための金属断面を、代替物無しに省くことは、剛性が小さくなりすぎるので考えられない。
それでもPVC断面内部の金属を省く場合は、改めて強化のために、断熱性の強化断面が用いられる。当該強化断面は、繊維強化複合材料から製造されており、ポリウレタンフォームが充填されている。このような断面は、その製造方法が時間を要するものであるという欠点を有する。当該方法においては、コアとなる断面が外側断面とは別に製造され、完成後ようやく外側断面に嵌め込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、プラスチック断面の容易な製造方法を提供することにある。プラスチック断面の力学的性質ならびに断熱特性は、先行技術に対して改善される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の課題は、請求項1の特徴部分によって解決される。
【0005】
すなわち、本発明の核は、発泡コアを有するプラスチック断面を共押出法で製造するための方法である。発泡材料は、特に固体の状態でプラスチック中空断面の空洞に共押出され、空洞内で発泡する。
【0006】
当該共押出法は特に以下の特徴を有する。
i)第1の加熱可能な押出機に固体状のプラスチックが装入される。
ii)プラスチックがスクリューコンベヤによってノズルの方向に搬送されている間に融解し、圧縮される。
iii)融解したプラスチックがノズルを通って中空断面に絞り出される。
iv)第2の押出機に固体状の発泡材料が装入される。
v)固体状の発泡材料がスクリューコンベヤによってノズルの方向に搬送される。
vi)固体状の発泡材料が共押出されるプラスチック断面の空洞内に搬送される。
vii)発泡材料がプラスチック断面の内部で発泡する。
【0007】
本発明の利点は特に、本発明に係る断面が容易な方法で共押出によって製造される点にある。このとき、断面の長さを任意に選択することが可能であり、非常に長い断面でもさらなる費用を要さずに製造することができる。発泡材料もしくは泡をあとからプラスチック中空断面に注入する必要がないからである。
さらに有利なのは、本発明に係る方法で製造されるプラスチック断面の力学的特性ならびに断熱特性が改善されることである。これらの特性は、さらに発泡材料の選択に影響を受ける。
本発明に係る方法のさらなる利点は、熱によって発泡する材料を使用する場合に、プラスチック断面の押出によって発生する熱を利用して当該材料を発泡させることができるという点にある。すなわち、発泡のためにさらなるエネルギーを用いる必要がない。
【0008】
本発明のさらなる側面は、さらなる独立請求項の対象である。本発明の特に好適な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0009】
以下に図を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。異なる図中の同じ部材については同じ参照符号を用いる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】プラスチック断面の横断面の概略図である。
【図2】窓断面の横断面の概略図である。
【図3】本発明に係る、プラスチック断面を製造するための共押出法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を直接理解するために重要な要素のみを示した。当然のことながら、本発明は図示かつ記載された実施例に限定されるものではない。
【0012】
本明細書において、「ポリ」で始まるポリイソシアネート、ポリウレタン、ポリエステル又はポリオールなどの物質は、物質名を構成する官能基を、1分子について2以上有する物質を指している。
本明細書では「ポリマー」という概念は一方において、化学的には単一だが、重合度、モル質量及び鎖長の点で異なる高分子であって、重合反応(重合、付加重合、縮合重合)によって製造された高分子の集合体を含んでいる。他方では、こうした重合反応によって生じる高分子の集合体の誘導体も含んでいる。すなわち、例えば付加又は置換といった、所定の高分子の官能基の変換によって得られる化合物であり、当該化合物は化学的に単一であっても良いし、単一でなくとも良い。当該概念はさらに、いわゆるプレポリマーも含んでいる。すなわち、その官能基が高分子の合成に関与する反応性低重合プレポリマーである。
「ポリウレタンポリマー」という概念は、いわゆるジイソシアネート付加重合法によって製造されるポリマー全体を含む。また、ほぼ又は完全にウレタン基を含まないポリマーも含まれる。ポリウレタンポリマーの例としては、ポリエーテル‐ポリウレタン、ポリエステル‐ポリウレタン、ポリエーテル‐ポリウレア、ポリウレア、ポリエステル‐ポリウレア、ポリイソシアヌレート及びポリカルボジイミドが挙げられる。
本明細書では「プラスチック中空断面」(「外側断面」とも言う)は、プラスチックから成る縦長の中空体を指す。通常、その長さは横断面よりもはるかに大きい。第2の材料が当該中空体の内部に同時に押し出される共押出法においては、当該中空体は完全に充填され、プラスチック中空断面という概念は単にこの外側のプラスチック体に関連する。内側の材料は「コア」と呼ばれる。
本明細書では「プラスチック断面」という概念は、全ての要素、すなわちコアを含む当該プラスチック中空断面を指している。
【実施例1】
【0013】
図1及び図2には、本発明に係る方法で製造されたプラスチック断面1が概略的に示されている。当該プラスチック断面は、プラスチック中空断面2もしくは外側断面と、発泡した材料によるコア5とから構成されている。
図1には、長方形の断面形状を有するプラスチック断面1の単純な形状が概略的に示されている。こうしたプラスチック断面は、例えばプラスチックのジャロジーなどの薄板に適している。
【0014】
図2には、本発明に係るプラスチック断面の好適な実施形態として、枠断面23及びサッシ断面22を有する窓断面が概略的に示されている。当該断面は窓ガラス24を囲んでいる。サッシ断面22も枠断面23も発泡コア5を有しており、本発明に係る方法で製造された。当該窓断面は、内部で発泡が行われる1つの空洞の他に、発泡が行われない複数の空洞を有する。もちろん、さらなる空洞内でも発泡材料を発泡させるというように、窓断面内部の空洞について他の配分を選択することも可能である。ノズル12を適切に選択することによって、空洞をほぼ任意に配分し、必要な場合には本発明に係る共押出法によって発泡させることが可能になる。この種類の窓断面は、剛性が極めて大きい場合に、非常に優れた熱的分離もしくは断熱特性を有するという利点を備えている。当該利点は一方では、窓のサッシ断面及び枠断面が補強のために内部に剛断面のような金属断面を保持していないことに起因する。他方では、優れた断熱特性は、発泡コア5の熱的分離特性にも起因している。
本発明に係る方法で製造されたプラスチック断面は、剛性が非常に大きく、熱的分離特性が非常に優れている点に加えて、遮音特性も改善しており、特に窓の構造にとってはさらなる利点となる。
図2の窓断面のように、この種類のプラスチック断面は、ワンピース又はツーピースであっても、例えば戸、門、シャッター、天窓などに使用可能である。
【0015】
この種類のプラスチック断面は共押出し法において、押出されたプラスチック中空断面の内部に固体状の発泡材料が共押出しされ、そこで発泡が行われることによって得られる。
【0016】
当該プラスチック中空断面を製造するためのプラスチックとしては、典型的にはポリ塩化ビニル(PVC)などの熱可塑性プラスチック、特に硬質ポリ塩化ビニル(PVC−Uもしくはunplasticized PVCとも言う)、又はポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)又はその他の適切な熱可塑性プラスチックが適している。特に適しているのはPVCであり、硬質PVCが好ましい。その理由としては、特にPVCは天候の悪影響に対して耐性があるので、屋外での使用が可能であることが挙げられる。
【0017】
さらにプラスチック中空断面を製造するためのプラスチックは、例えば熱安定剤及び光安定剤などの安定剤、衝撃靱性調節剤、軟化剤、難燃剤、帯電防止剤、増量剤、グラスファイバ又はカーボンファイバなどの繊維、染料又は色素、のような付加的な構成要素を含むことも可能である。
特に硬質PVCを使用する際には安定剤の添加が必要である。硬質PVCは熱感受性が強く、約140℃で分解を開始するからである。
【0018】
プラスチック断面のコアのための発泡材料としては、発泡をコントロールできる材料で、かつ強化特性を有している材料であれば、基本的に任意の材料を使用することができる。当該発泡材料は湿気又は電磁気の放射による熱で発泡することが好ましい。
このような発泡材料は、典型的には化学的又は物理的な発泡剤を有している。化学的発泡剤は、温度、湿度、又は電磁気の放射の影響を受けて分解する有機化合物又は無機化合物であり、分解生成物の少なくとも1つはガスである。物理的発泡剤としては、例えば温度を上昇させると気体状の凝集状態に遷移する化合物を使用することができる。それによって、化学的発泡剤も物理的発泡剤も、ポリマー内の発泡構造の位置に発生し得る。
【0019】
最も好適には当該発泡材料は160℃以下、特に80℃〜150℃、好適には90℃〜140℃の熱によって発泡する。このとき、化学的発泡剤が使用される。化学的発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド、スルホヒドラジド、炭酸水素塩又はカーボネートなどが適している。
【0020】
適切な発泡剤は例えば商品としても入手可能である。当該商品としては、オランダのAkzo Nobel社のExpancel(登録商標)又はアメリカのChemtura Corp.のCelogen(登録商標)が挙げられる。
発泡に必要な熱は、外部熱源又は発熱性化学反応のような内部熱源によって供給される。
【0021】
本発明に係るプラスチック断面の製造方法の最も好適な実施形態においては、発泡材料の発泡は熱によって、特に当該発泡材料が共押出の後、もしくはノズルを離れた後、プラスチック中空断面の内壁に接触し、発泡プロセスに足る高温に曝露されて軟化し、発泡することによって行われる。
当該好適な実施形態の利点は、発泡材料の発泡のために別個のエネルギー源を必要とせず、押出されたプラスチック中空断面の余熱を発泡に利用できるという点にある。
【0022】
さらに、押出されたプラスチック中空断面の余熱を、発泡のためだけではなく、泡の硬化にも利用するような発泡材料が特に好ましい。すなわち、場合によっては発泡材料内に存在する、熱によって活性化する硬化剤、あるいは、ブロック化又はカプセル化された硬化剤のような、その他の化学的又は物理的にブロックされた化合物であって、発泡した材料の硬化のために放出されなければならない化合物も、押出されたプラスチック中空断面の余熱を、ブロックの解除又は自身の放出に利用する。このとき、発泡材料の硬化は、その発泡温度と同じ、又は発泡温度よりも高い温度になって初めて開始すべきである。なぜなら、その他の場合には、発泡材料の硬化はその発泡以前に行われるので、硬化前の発泡した材料がプラスチック中空断面の空洞全体に充填され、泡がコンパクトな構造を有するということは保証されないからである。
【0023】
最も好適な方法においては、発泡材料は発泡温度を下回る温度で軟化するので、その変形は発泡プロセスを通じて初めて可能になる。発泡温度に達すると、発泡材料は発泡する。硬化プロセスは特に、発泡温度を超えて、発泡が少なくとも部分的に完了しているときにようやく開始する。
自明のことながら、発泡材料が軟化、発泡、硬化する温度の範囲は、それぞれ明確に区切られてはおらず、互いに重なることもある。例えば、発泡材料の軟化は70℃〜120℃の範囲で行われ、発泡プロセスは80℃〜160℃の範囲で行われ、硬化は140℃〜220℃の範囲で行われる。したがって、発泡材料の選択及び製造に際しては、その温度に依存する特性が方法の要求を満たし得るよう、すなわち、例えば発泡剤及び熱によって活性化する硬化剤の選択を調整し合って、発泡が硬化の前に行われるように注意すべきである。
【0024】
同じく大きな意味を有するのは、コアの発泡材料と、プラスチック中空断面の熱可塑性プラスチックとの相互調整である。押出されたプラスチック中空断面の余熱が、発泡材料の軟化、発泡、及び硬化にとって十分であるように発泡材料を選択することが好ましい。
【0025】
発泡材料として適しているのは、例えば単一成分による、雰囲気温度では流動的ではないエポキシ樹脂系である。エポキシ樹脂系は、特に増大した衝撃靱性を有し、エアロジル又はナノクレイなどのチキソトロープ剤を含んでいる。当該エポキシ樹脂系は、例えば20重量%〜50重量%の液状エポキシ樹脂と、0重量%〜30重量%の固体状エポキシ樹脂と、5重量%〜30重量%の靱性改善剤と、1重量%〜5重量%の物理的又は化学的発泡剤と、10重量%〜40重量%の増量剤と、1重量%〜10重量%のチキソトロープ剤と、2重量%〜10重量%の熱によって活性化する硬化剤と、を有する。固体状エポキシ樹脂の他にも、結晶性ポリエポキサイドが適している。例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、テレフタル酸ジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエーテルとトリメリト酸トリグリシジルエーテルとの混合物、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ならびにトリメチロールプロパンジグリシジルエーテルの、4,4’‐、2,4’‐、2,2’‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4‐、2,6‐トルイレンジイソシアネート(TDI)、又は1‐イソシアナト‐3,3,5‐トリメチル‐5‐イソシアナトメチル‐シクロヘキサン(IPDI)などのジイソシアネート付加物である。
発泡材料のための靱性改善剤として適しているのは、ニトリルゴム又はポリエーテルポリオール‐ポリウレタンの誘導体に基づく反応性液状ゴム、コアシェルポリマー、及び当業者に知られている類似の系である。
【0026】
発泡材料に適しているのは、発泡剤を含む、単一成分によるポリウレタン組成物である。当該組成物は、結晶性で、OH基を有するポリエステルと、さらなるポリオール、好適にはポリエーテルポリオールとの混合物、及びブロック化されたイソシアネート基を有するポリイソシアネートから合成されている。結晶性ポリエステルの融点は50℃以上の方が良い。ポリイソシアネートのイソシアネート基は、例えばカプロラクタム、フェノール、又はベンゾオキサゾロンなどの求核剤でブロック化される。さらに、例えば粉末コーティング分野で用いられるようなブロック化されたポリイソシアネート、及び、例えばVestagon(登録商標)BF1350、Vestagon(登録商標)BF1540の商標名でドイツのDegussa GmbHが販売しているブロック化されたポリイソシアネートが適している。イソシアネートとしては、いわゆるカプセル化された、又は表面不活性化されたポリイソシアネートが適している。当該ポリイソシアネートは当業者に知られており、例えば欧州特許第0204970号明細書に開示されている。
【0027】
さらに発泡材料としては、発泡剤を含む、2つの成分によるエポキシド/ポリウレタン組成物が適している。当該組成物については、例えば国際公開第2005/080524号パンフレットに記載されており、これをもって開示したものとする。
【0028】
やはり適した発泡材料として、例えばアメリカのSika Corp.によって商標名SikaBaffle(登録商標)240、SikaBaffle(登録商標)250、又はSikaBaffle(登録商標)255で販売されているものがある。当該材料は、米国特許第5266133号明細書及び米国特許第5373027号明細書に記載されており、これをもって開示したものとする。強化特性を有する発泡材料として特に好ましいのは、例えばアメリカのSika Corp.によって商標名SikaReinforcer(登録商標)941で販売されているものがある。当該材料は米国特許第6387470号明細書に記載されており、これをもって開示したものとする。
【0029】
図3には、発泡コア5を有するプラスチック断面1を製造するための本発明に係る方法が概略的に示されている。このとき、第1の押出機の漏斗14には、固体状の熱可塑性プラスチック3が充填される。当該プラスチック3は任意の形状をとることができるが、特にペレット又は粉末が好ましい。
当該プラスチックは、好ましくは150℃〜350℃、特に170℃〜260℃、特に好ましくは180℃〜220℃で押出される。
プラスチック3は、漏斗14を通って第1の押出機8の内部に至る。当該プラスチックは、第1の押出機の内部において、エンジン18によってギア16を介して駆動されるスクリューコンベヤ10によってノズル12の方向に搬送されると同時に、第1の押出機に取り付けられた加熱要素13によって、外側からその融点を超す温度まで加熱されて融解する。融解したプラスチック4は、製造されるべき断面の横断面形状を有するノズル12を通じて圧縮される。
上述のステップと並行して、発泡材料6を特にペレットの形状で、第2の押出機9の漏斗15に充填すると、発泡材料6は漏斗15を通って第2の押出機の内部に至る。第1の押出機とは異なり、第2の押出機では加熱が行われず、当該発泡材料は固体状のまま、エンジン19によってギア17を通じて駆動されるスクリューコンベヤ11によってノズル12の方向に搬送される。
発泡材料6は、ノズルからプラスチック中空断面の空洞内に共押出され、プラスチック中空断面の内壁と接触する。好ましくは150℃〜350℃、特に170℃〜260℃、特に好ましくは180℃〜220℃の温度で融解物から押出されるプラスチック中空断面は、発泡材料を軟化するため、160℃以下、特に80℃〜150℃、好ましくは90℃〜140℃の温度で熱によって発泡させるため、及び、硬化するために十分な温度を有している。
【0030】
発泡プロセスの間、部分的に発泡した材料7又は完全に発泡した材料5は、内側からプラスチック中空断面に圧力を与えることによって、当該プラスチック中空断面に堅く結びつき、ねじれの強さが大きい、非常に硬く、安定した構造を築く。このとき、プラスチック断面1を調整装置20に差し込むことによって、プラスチックが凝固するまで、当該プラスチック中空断面が発泡プロセスによって変形せず、所定の横断面形状を維持するようにすべきである。
【0031】
調整装置20は、製造されるべきプラスチック中空断面2の外側の横断面形状に対して、輪郭が一致した形状を有していることが好ましい。当該プラスチック中空断面は、発泡材料が発泡によって内側から中空断面に与える圧力だけではなく、調整装置の長手方向に渡って広がる真空チャンバによって、調整装置の内壁に吸着する。また、当該調整装置は冷却可能だが、プラスチック断面内部の温度が、発泡材料6の軟化、発泡及び硬化を完全に行うために十分であるよう注意しなければならない。必要に応じて当該調整装置を、発泡プロセス及び/又は硬化プロセスを支援するために、少なくともプラスチック断面の入口領域においても加熱することが可能である。
必要な場合、プラスチック断面1は調整装置の後に別個の冷却装置を通過し、例えば水浴に達するか、又は水のシャワーが吹き付けられる。
特定の条件下において、調整装置20の代わりに1つの冷却装置のみを使用することも可能である。これは例えば、プラスチック中空断面が発泡プロセスの開始直前又は開始と同時に、外側から冷却されることによって、当該プラスチック中空断面が表面的には完全に凝固しているが、内側は発泡プロセスに十分な温度を有している場合である。このとき、凝固した外部領域には、プラスチック断面の横断面形状が発泡プロセスの間に損なわれないだけの硬さが必要である。共押出法の最後に除去装置21が用いられる。プラスチック断面1は、除去装置21によって押出機の能力に適応した一定の速度で取り去られ、分離装置によって所望の長さに切断される。
【0032】
本発明はさらに、前述の方法で製造されるプラスチック断面も含んでいる。
【0033】
さらに、本発明は前述の方法で製造されるプラスチック断面の、窓、戸、門、シャッター、天窓などの断面として、特に窓のサッシ断面及び/又は枠断面としての使用も含んでいる。
【符号の説明】
【0034】
1 発泡コアを有するプラスチック断面
2 プラスチック中空断面もしくは外側断面
3 固体状のプラスチック
4 融解したプラスチック
5 コア/発泡した材料
6 発泡材料
7 部分的に発泡した材料
8 第1の押出機
9 第2の押出機
10 第1の押出機のスクリューコンベヤ
11 第2の押出機のスクリューコンベヤ
12 ノズル
13 加熱要素
14 第1の押出機の漏斗
15 第2の押出機の漏斗
16 第1の押出機のギア
17 第2の押出機のギア
18 第1の押出機のエンジン
19 第2の押出機のエンジン
20 調整装置
21 除去装置
22 窓のサッシ断面
23 窓の枠断面
24 窓ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡コアを有するプラスチック断面(1)を共押出法で製造するための方法において、
発泡材料(6)がプラスチック中空断面の空洞内に共押出され、前記空洞内において発泡することを特徴とする方法。
【請求項2】
加熱可能な第1の押出機(8)に固体状のプラスチック(3)が装入されること、
前記プラスチック(3)はスクリューコンベヤ(10)によってノズル(12)の方向へ搬送されている間に融解し、圧縮されること、
融解したプラスチック(4)が前記ノズルを通ってプラスチック中空断面(2)に絞り出されること、
第2の押出機(9)に固体状の発泡材料(6)が装入されること、
前記固体状の発泡材料がスクリューコンベヤ(11)によって前記ノズル(12)の方向に搬送されること、
前記固体状の発泡材料が前記共押出されるプラスチック中空断面の空洞内に搬送されること、及び、
前記発泡材料が前記プラスチック中空断面の内部で発泡すること、
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラスチック中空断面のプラスチックが、150℃〜350℃、特に170℃〜260℃、好適には180℃〜220℃の温度で押出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記プラスチックがポリ塩化ビニル(PVC)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記プラスチック(3)がペレット又は粉末の形状であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記発泡材料は160℃以下、特に80℃〜150℃、好適には90℃〜140℃の熱によって発泡可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記発泡材料(6)が前記ノズル(12)を離れる際に、前記プラスチック中空断面の余熱によって発泡することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
発泡した材料が前記プラスチック中空断面の余熱によって硬化することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記発泡材料(6)がペレットの形状であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記発泡材料(6)が少なくとも1つの化学的発泡剤を含有していることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記プラスチック断面(1)が共押出法の直後に調整装置(20)を通過し、前記調整装置内では前記プラスチック断面の所定の横断面形状が、発泡材料が発泡している間も維持されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記プラスチック断面(1)が共押出法の後に冷却装置を通過することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記プラスチック断面(1)が窓又は戸のサッシ断面(22)又は枠断面(23)であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法によって製造されたプラスチック断面。
【請求項15】
前記プラスチック断面が窓又は戸のサッシ断面(22)又は枠断面(23)であることを特徴とする請求項14に記載のプラスチック断面。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法によって製造されるプラスチック断面の、窓、戸、門、シャッター、天窓などとして、特に窓のサッシ断面及び/又は枠断面としての使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−502832(P2011−502832A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533570(P2010−533570)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065432
【国際公開番号】WO2009/062986
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】