説明

窓用の採光面材料

【課題】 採光と、昼間および夜間のプライバシーの確保と、プロジェクション影像によるディスプレイとを可能とするとともに、地震等に際しての割れ飛散防止性を高めた安全性の高い窓用の採光面材料30を提供する。
【解決手段】 透明のガラス基板31の片面に金属薄膜層32を形成してハーフミラーとし、金属薄膜層32の表面に光拡散粒子を分散させた半透明で強靭な樹脂製結像シート33を貼着積層する。この採光面材料30は、ビル等の窓に窓ガラスとして適用し、室内側INから樹脂製結像シート33に投じたプロジェクション影像を屋外側OTにディスプレイすることができるとともに、樹脂製結像シート33は、夜間において室内外の明るさが反転した際に、ブラインドとしても機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造住宅や鉄筋コンクリート造ビル、その他の窓を有する建造物の窓にはめ込んで用いる窓用の採光面材料に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物に設けられる窓本来の機能としては、採光、採景、通風の確保等が代表的である。しかし、今日では、空調機器の発達や、住宅の密集化、好ましい自然景観の消失等の理由により、窓を開放する頻度は低下し、窓を設けることの目的は、専ら、建物の外観デザイン目的や採光目的に重点が移行している。
【0003】
窓用の採光面材料としては、透明の板ガラスが永年にわたって多用されている。ガラスの透明性は、採光や採景目的においては、好都合に機能する反面、視線遮断機能を有しないため、プライバシー維持の面においては、不利に機能する。このため、ガラス窓には、カーテンやブラインドが併設されるのが普通である。
【0004】
一般住宅の窓においては、採光面材料としての透明ガラスと視線遮断材料としてのカーテン等の組合せで格別の支障はないのであるが、建物の外壁面積に占める窓面積の大きい近代的デザインの大規模商業ビル等においては、透明ガラスとブラインドの組合せによっていくつかの問題を生じている。
【0005】
例えば、ブラインドの設置に過分の費用を要するという問題、各室入居者が異なるデザインのブラインドを採用することによるビル全体の外観価値の低下の問題、ブラインドを開放している際の日射被害や、建物全体としての断熱性の低下等の問題である。なお、建物全体としての外観価値の低下は、各室入居者が窓ガラスに広告物を貼着したり、専用部分の空きスペースを利用して看板等を設置することによって惹き起こされることも少なくない。このため、大規模商業ビルの設営者は、ビルの全体イメージを維持しようと入居契約によってこれらの宣伝行為を一律に禁止する場合もある。また、大規模商業ビルの大きな窓面積については、地震災害時において窓ガラスの割れ飛散による二次災害を引き起こすことが懸念されている。
【0006】
大規模商業ビル等における上記諸問題については、これらの問題の全てを同時に解決できるような提案は従来存在しないといえる。しかし、上記問題に個々的に対処する従来の技術としては、次に説明するようなものが知られている。また、次のような文献技術も提案されている。
【特許文献1】特開2001−2200号公報
【特許文献2】特開2005−250124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
窓面積の大きい大規模商業ビル等における外観維持問題、日射被害問題、視線遮断問題、建物全体の断熱性の低下問題に関しては、窓ガラスとしてハーフミラーを使用することで対応する事例が増大している。ハーフミラーは、板ガラスの片面に極薄い金属皮膜層を形成したものであって、採光機能と視線遮断機能とを両立することができるという極めて有利な特徴を有する他、熱線や紫外線の遮断機能も発揮することができる。単なるガラスに較べてコスト増にはなるが、ブラインドを省略することが可能であり、建物全体としての断熱機能を向上させることができるとともに、建物全体の近代的外観の形成および維持に大きく寄与することができるものである。しかし、日没と内部照明との関係によって建物内外の明るさが反転した場合においては、屋外側からの視線を遮断する機能が消失するという特有の問題点を有するものでもある。
【0008】
大規模商業ビル等の入居者の宣伝活動の要求に関しては、個々の入居者が看板等を用いることなく屋外に向けて任意の宣伝影像をディスプレイをすることができる技術が提案されている(特許文献1参照)。この提案は、透明基板の機能を担うシートとプロジェクタから投射される影像光を結像する機能を担うシートとを張り合わせた素材でブラインドを構成し、このブラインドを透過型スクリーン代用として用いるものである。専用のスクリーンが不要であるという利点があるが、窓ガラス面とブラインドとの間には、通常、ブラインドの開閉操作用の空隙を設ける必要があるため、外光の混入やブラインドと窓ガラス間における光線の相互反射現象等によって安定な影像形成が難しい方式である。いわば、窓越しに室内の影像を見ている状態であり、室内照明によっては影像品質が大きく低下することとなる。仮に、影像状態が良好であるとしても、ブラインド自体を省略することはできない。
【0009】
直接に窓ガラスとして使用することができると思われる透過型スクリーンも提案されている(特許文献2参照)。ただし、この文献に紹介されている透過型スクリーンは、プロジェクションTVのスクリーンとしての提案であって、直接に窓ガラスとして使用することを予定したものではない。ただ、基板としてガラス基板を用いていることから、窓ガラスとして必要とされる強度のガラス基板を採用することにより、窓ガラスとして用いることができる可能性があるということである。この技術の基本的構成は、ガラス基板に光拡散剤を含む樹脂フィルムを張り合わせたものであり、この樹脂フィルムがプロジェクタからの影像光を結像する機能を担うものである。この技術による透過型スクリーンを窓ガラスとして用いた場合には、プロジェクタを用いて窓ガラスに直接に任意の影像情報をディスプレイをすることができるとともに、樹脂フィルムの強度が十分である場合には、災害時にガラス基板の割れ飛散を防止する機能を発揮することが期待できる。しかし、この種の樹脂フィルムの外観は、乳白濁色の例えばトレーシングペーパ様外観であり、このような樹脂フィルム積層ガラスを近代的な大規模商用ビル等の窓ガラスとして用いた場合には、ビル全体の外観を大きく損なうことが避けられない結果となる。
【0010】
本発明は、上記従来技術の利害得失を検討するとともに、各種の素材の組合せ実験の結果、一見して矛盾すると思われるハーフミラーとプロジェクション影像の形成とを両立させることができるという実験結果に基づいてなされたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、昼間において高級感を演出することができるハーフミラーの利点を損なうことなく、夜間においてプライバシー機能を喪失するハーフミラーの欠点を解消するとともに、昼間夜間を問わずに明快なプロジェクション影像を形成する透過型スクリーンとして利用できる安全性の高い窓用の採光面材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するための手段として本発明は、次のような構成を採用する。
【0013】
本発明の請求項1に記載の窓用の採光面材料は、透明のガラス基板または透明の樹脂基板の片面に金属薄膜層を形成してハーフミラーとし、金属薄膜層の表面に光拡散粒子を分散させた半透明で強靭な樹脂製結像シートを貼着積層してなり、この樹脂製結像シートを室内側として用いることを特徴とする。
【0014】
上記構成による窓用の採光面材料は、透明のガラス基板または樹脂基板と、金属薄膜層と、光拡散粒子を分散させた樹脂製結像シートとの3層からなる。このうち、透明のガラス基板または樹脂基板と金属薄膜層とは、室外側が相対的に明るい昼間においては、ハーフミラーとして機能する。したがって、室外からは樹脂製結像シートの存在は、視認されることはなく、ハーフミラーとしての特有の高級感をそのまま発揮することができる。一方、室外側が相対的に暗くなる夜間においては、透明のガラス基板または樹脂基板と金属薄膜層とは、ハーフミラーとしては機能することができなくなるが、その内側に貼着積層された樹脂製結像シートが室外からの視線を遮断するため、夜間にプライバシー維持機能が失われるというハーフミラーの欠点を解消することができる。換言すれば、樹脂製結像シートは、夜間においてはブラインドとして機能するのである。ここで、本発明の採光面材料に対して室内側からプロジェクタによって影像光を投射した場合、昼間夜間を問わず、投射された影像光は、樹脂製結像シートによって影像を形成し、形成された影像は、金属薄膜層およびガラス基板または樹脂基板を透過して室外側から視認することができる。この際、意外なことに、金属薄膜層は、室外側から観察される影像品質を殆ど劣化させないのである。これは、金属薄膜層が影像品質を劣化させる方向ばかりでなく、影像品質を向上させる向きにも機能するのであろうと推定される。また、ハーフミラーがハーフミラーとして機能する昼間において採光面材料の一定範囲に投射された影像は、金属フレームにはめ込まれた画面のような特有の視覚効果を奏する。なお、ハーフミラーに貼着積層された樹脂フィルムは、その破断強度にしたがってガラス基板の割れ飛散防止に寄与することができる。また、本構成における透明のガラス基板または樹脂基板における「透明」は、無色透明のほか有色透明を含む趣旨である。
【0015】
本発明の請求項2に記載の窓用の採光面材料は、樹脂製結像シートの表面に透明樹脂のシート材料からなる保護シートを貼着積層することを特徴とする。
【0016】
上記構成は、光拡散粒子を含ませた樹脂製結像シートが必ずしも耐久性に優れているとは言えない現状を考慮し、樹脂製結像シートを保護シートによって擦過傷や汚れから保護する趣旨である。
【0017】
本発明の請求項3に記載の窓用の採光面材料は、樹脂製結像シートの保護シートとして、偏光シートを用いることを特徴とする。
【0018】
今日主流を占める液晶バルブを用いたプロジェクタによる投影光は、偏光であり、したがって、保護シートの偏光軸とプロジェクタによる投影光の偏光軸を一致させて用いることにより、保護シートに樹脂製結像シートの保護機能のほかに、プロジェクタによる投影光以外の外乱光が樹脂製結像シートに入力されるのを阻止するフィルタ機能を発揮させることができる。
【0019】
本発明の請求項4に記載の窓用の採光面材料は、樹脂製結像シートの保護シートとしてノングレア加工されたものを用いることを特徴とする。
【0020】
ノングレア加工は、通常、視聴者側の面に適用される一種の乱反射処理であるが、本発明の採光面材料では、夜間に室内の照明を落とすことなく使用することを想定しており、この際に、室内側の保護シートにノングレア加工を適用することにより、室内照明等や、鏡反射を利用してプロジェクションする場合のプロジェクタと保護シート間の不要反射光が直接的に樹脂製結像シートに入力されるのを緩和し、影像品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の窓用の採光面材料は、透明のガラス基板または透明の樹脂基板の片面に金属薄膜層を形成してハーフミラーとし、金属薄膜層の表面に光拡散粒子を分散させた半透明で強靭な結像シートを貼着積層してなり、この採光面材料を結像シートを室内側にしてビル等の窓に窓ガラスとして適用することにより、昼間においては、透明のガラス基板または透明の樹脂基板と金属薄膜層とをハーフミラーとして機能させ、樹脂製結像シートが目に付かないものとすることができるので、ハーフミラーの有する高級感を損ねることなく発揮させることができるとともに、ハーフミラーとしての機能を発揮することができない、夜間においては、樹脂製結像シートがブラインドとして機能するので、夜間にプライバシー機能を喪失するという従来のハーフミラーの欠点を解消することができる。さらに、樹脂製結像シートは、昼間夜間を問わずに明快なプロジェクション影像を形成することができるので、看板等を用いることなく室内側から任意のプロジェクション影像を屋外側に向けてディスプレイすることができ、また、樹脂製結像シートはガラス基板の割れ飛散の抑制にも寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を引用しながら本発明の窓用の採光面材料の実施の形態を説明する。
【0023】
本発明の窓用の採光面材料30は、透明のガラス基板31と、金属薄膜層32と、樹脂製結像シート33とを、この順に貼着積層してなる三層構造の積層板体である(図1(A),(B))。
【0024】
ガラス基板31は、無色透明または有色透明の板ガラスであって窓用に提供されているソーダガラス等をそのまま用いることができる。金属薄膜層32は、蒸着手段またはコーティング手段によってガラス基板31の片面にナノミクロンメートル単位で形成する金属の薄膜層であって、ガラス基板31と金属薄膜層32とは、いわゆるハーフミラーを構成している。
【0025】
すなわち、金属薄膜層32を形成するための素材金属には、アルミニウムや銀等の光線反射率の高い金属元素が用いられ、金属薄膜層32の厚みは、所定の光線透過率(光線反射率)を有するように設定されている。なお、ガラス基板31に対する金属薄膜層32の形成工程は、ガラス製のハーフミラーとして市販されているものを用いることで省略することができ、本実施の形態も市販のハーフミラーを利用するものである。
【0026】
樹脂製結像シート33は、光拡散粒子を分散させた樹脂材料を延伸加工してなる半透明のシート状またはフィルム状材料である。このようなシート材料は、様々な利用目的のものとして、多種類市場に提供されている(例えば、特許第3245592号、特開平5−490号公報、特開2004−271774号公報、特開2006−195453号公報等)。本発明における樹脂製結像シート33の主な目的は、プロジェクタ50から投射される投影光5Lを明快な透過可視影像として結像させること(図2)、およびプライバシー確保の観点からの視線の遮断である。
【0027】
したがって、上記市販のシート材料から透過型スクリーンとしての結像性能が良好であって、視線を良好に遮断するものを選定することによって本発明の樹脂製結像シート33として用いることができる。ただし、窓ガラスとしての採光機能を阻害するものであってはならない。なお、樹脂製結像シート33を金属薄膜層32上に貼着積層するには、通常は、紫外線硬化型の接着剤を推奨することができる他、樹脂製結像シート33の材質によっては、二塩化メチレン系の接着剤を用いることができる。
【0028】
本発明の採光面材料30の他の実施の形態としては、上記実施の形態におけるガラス基板31に換えて、無色透明または有色透明の樹脂基板(図示せず)を用いることができる。この場合においても、樹脂基板に対する金属薄膜層32の形成工程は、例えば、アクリルハーフミラーとして市販されているものを用いることで省略することが好ましい。樹脂基板の場合は、ガラス基板31ほどの曲げ強度や表面硬度が得られないものの、小面積の窓や室内窓においては、ガラス基板31を用いる窓用の採光面材料30と同等に使用することができる。
【0029】
本発明の窓用の採光面材料30は、樹脂製結像シート33の表面に、さらに透明樹脂のシート材料からなる保護シート34を貼着積層したものとすることができる(図3)。保護シート34としては、表面硬化処理をした透明度の高いアクリルプレートやポリカーボネイトプレートを利用することができる。保護シート34を有する実施の形態においては、樹脂製結像シート33の材質を考慮することなく雑巾掛け等を行うことができるので、樹脂製結像シート33の選択範囲を大幅に拡大することができることが最大の利点となる。
【0030】
窓用の採光面材料30が、保護シート34を有する場合における保護シート34としては、偏光シートを用いることができる。また、単なる保護シート34または偏光シートである保護シート34のいずれについても、これらの保護シート34として、ノングレア加工したものを用いることができる。偏光作用のある保護シート34は、プロジェクタ50として液晶プロジェクタを用いる場合において、樹脂製結像シート33にプロジェクタ50からの投影光以外の外乱光が入力されるのを阻止する効果が得られる。また、ノングレア加工については、不要反射光に起因する影像劣化を抑制する等の周知の効果が得られるものである。
【0031】
上記いずれの実施の形態に示す窓用の採光面材料30についても、例えば、ビルBLの窓に使用する際には、ガラス基板31を室外側OTとし樹脂製結像シート33を室内側INとして使用する(図1(B),図4)。この際、同一のビルBLにおいて隣接する複数の窓には、全て本発明の窓用の採光面材料30を同時に採用することが好ましい。本発明の窓用の採光面材料30は、樹脂製結像シート33を有するにかかわらず、昼間においては、通常のハーフミラーとして機能することから、全ての窓に本発明の窓用の採光面材料30を使用することでビルBLの外観を統一することができるからである。
【0032】
すなわち、昼間における室外光Bは、透明のガラス基板31を通過して金属薄膜層32によって直接反射する反射光成分B1と、金属薄膜層32および樹脂製結像シート33を透過して室内側INに到達する透過光成分B2となる(図1(B))。ハーフミラー効果は、この際の反射光成分B1による視覚効果として得られるのである。そして、このハーフミラー効果が得られる限りは、室外側OTから樹脂製結像シート33を視認することができないので、採光面材料30は、通常のハーフミラーと同様の先鋭で近代的な外観を提供することができるのである。なお、室内側INに到達する透過光成分B2は、光拡散粒子を含む樹脂製結像シート33によって分散されることから、採光面材料30は、先鋭な外観にかかわらず極めて柔らかい採光性能を発揮することができる。
【0033】
一方、夜間における室内光Aは、樹脂製結像シート33および金属薄膜層32による反射光成分A1と室外側OTに透過する透過光成分A2とに分かたれる。この際、反射光成分A1と透過光成分A2は、いずれも樹脂製結像シート33を通過することにより必然的に分散光線となり、室内側INにおいては柔らかな反射光となり、室外側OTからの視線については、これを遮断する機能を発揮する。すなわち、夜間における樹脂製結像シート33は、ブラインドとして機能することになる。
【0034】
また、上記いずれの実施の形態に示す窓用の採光面材料30についても、樹脂製結像シート33を備えることによって、金属薄膜層32の存在にかかわらず、透過型スクリーンとして機能することが特徴的であり、ビルBL等の窓ガラスとして用いた採光面材料30に任意形式のプロジェクタ50によって鮮明な投射影像IMを形成することができる(図2,図4)。
【0035】
プロジェクタ50としては、液晶式のプロジェクタ50を用いることが好ましい(図2)。プロジェクタ50から投射される投影光5Lは、樹脂製結像シート33によって可視影像として結像することができる。ここで、投射される影像光5L自体は、具体的影像としては認識されないのであり、影像と人の視覚との関係においては、結像した投射影像IMが所定の輝度の可視像光を放つものとして考えるものとする。これは、液晶パネル等の表示機器における画素ないしピクセルと同等の考え方である。
【0036】
すなわち、プロジェクタ50からの投影光5Lが樹脂製結像シート33で結像した結果として室内側INに放たれる反射可視像光L1は、室内側INにおいてそのままモニタすることができる。また、室外側OTに向けて放たれる透過可視像光L2は、金属薄膜層32を透過して室外側OTから良好に観察される。なお、透過可視像光L2が金属薄膜層32を通過することによって投射影像IM全体の明るさ自体は僅かに減衰するものの、投射影像IMの明確性は低下しない。これは、樹脂製結像シート33と金属薄膜層32とが密着していることによって、金属薄膜層32が影像を明確化するためのマスクとして機能するからであろうと考えられる。
【0037】
ビルBL等の窓ガラスとして本発明の採光面材料30を用いることにより、固定看板や置き看板、カッティングシート等の物的手段を用いることなく、室内側INから室外側OTに向けて、静止画像や動画像によって社名その他の任意内容のディスプレイが可能となる(図4)。物的手段を用いないので、視線を煩わせることや通行を障害するようなことがなく、後片付け作業等も一切必要でない。なお、昼間におけるディスプレイに際しては、採光面材料30のプロジェクタ50の投影光5Lに投射される部分以外の部分30Aは、そのままハーフミラーとして機能するのであり、極めて新規なビルBL等の外観を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(A)本発明の窓用の採光面材料の構成概念を示す分解斜視図である。 (B)上記実施の形態における窓用の採光面材料の側端面図である。
【図2】上記実施の形態における窓用の採光面材料の動作説明図である。
【図3】本発明の窓用の採光面材料の他の実施の形態を示す側端面図である。
【図4】本発明の窓用の採光面材料の使用状態説明図である。
【符号の説明】
【0039】
IN 室内側
OT 室外側
30 採光面材料
31 ガラス基板
32 金属薄膜層
33 樹脂製結像シート
34 保護シート





【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明のガラス基板または透明の樹脂基板の片面に金属薄膜層を形成してハーフミラーとし、前記金属薄膜層の表面に光拡散粒子を分散させた半透明で強靭な樹脂製結像シートを貼着積層してなり、樹脂製結像シートを室内側として用いることを特徴とする窓用の採光面材料。
【請求項2】
前記樹脂製結像シートの表面に透明樹脂のシート材料からなる保護シートを貼着積層してなる請求項1に記載の窓用の採光面材料。
【請求項3】
前記保護シートが、偏光シートであることを特徴とする請求項2に記載の窓用の採光面材料。
【請求項4】
前記保護シートが、ノングレア加工されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の窓用の採光面材料。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−1628(P2010−1628A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160134(P2008−160134)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(597069741)株式会社ブイオーシーダイレクト (16)
【Fターム(参考)】