説明

窓用部材

【課題】空間の開放感を高めた窓用部材を提供する。
【解決手段】窓用部材は、ガラスなどの透光性材料により形成された略矩形板状の透光部1と、アルミニウム製の押出し成形品であって、透光部1を保持する略矩形枠状の枠体2と、枠体2に取り付けられる面発光光源3とを備えており、例えば住宅用の窓に用いられる。面発光光源3は、枠体2において透光部1を透過する光の透過方向と法線方向が略平行な面に取り付けられており、この面発光光源3を発光させて枠体2の明るさを透光部1の明るさに近づけることによって、透光部1に拡がりを持たせ、空間の開放感を高めている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓用部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅などで用いられる窓は、例えば透光性を有するガラス部と、ガラス部を保持する枠体とで構成され、外部からの光がガラス部を透過して室内に取り込まれることによって、室内の開放感を高めることができる。しかし、北向きに配置された窓では、十分な光を室内に取り込むことができず、開放感が得られない場合が多い。このような場合でもガラス表面に例えばELシートを貼り付けることによって、ELシートに設けた採光部から外部の光を取り込むとともにELシートを発光させることで、室内の開放感を高めることができる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−93102号公報(段落[0040]−段落[0044]、及び、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の窓に用いられる枠体は、通常、アルミニウムなどの金属や塩化ビニル樹脂などの合成樹脂で形成され、上述の特許文献1に示したELシートを発光させた場合、ガラス部は明るくなるのに対してガラス部を取り囲む枠体は明るくならず、ガラス部と枠体の間で明るさの差が大きくなり、その結果、室内の開放感が十分に得られないという問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、空間の開放感を高めた窓用部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、透光性材料により形成された透光部と、透光部を保持する枠体と、枠体において透光部を透過する光の透過方向と法線方向が略平行な面に取り付けられた面発光光源とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、透光部の表面輝度を計測するための計測手段と、当該計測手段により計測した輝度に合わせた輝度で面発光光源を点灯させる点灯手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、面発光光源は、透光部から離れるにしたがって輝度を漸減させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、枠体に取り付けられた面発光光源を発光させることによって、枠体の明るさを透光部の明るさに近づけることができるので、透光部に拡がりを持たせることができ、その結果、空間の開放感を高めることができるという効果がある。また、透光部を透過して入射する光と面発光光源から照射された光により、空間内をより明るく照らすことができるという効果もある。
【0009】
請求項2の発明によれば、計測手段により計測した透光部の表面輝度に合わせた輝度で面発光光源を点灯させることによって、枠体の明るさを透光部の明るさと略同じ明るさにすることができるので、枠体と透光部とが一体的に感じられ、空間の開放感をより高めることができるという効果がある。
【0010】
請求項3の発明によれば、面発光光源は、透光部から離れるにしたがって輝度を漸減させているので、枠体と枠体の外側領域との境目をぼかすことができ、その結果、窓周辺を自然な雰囲気にすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明に係る窓用部材は、例えば住宅などの建物の窓や自動車の窓などに用いられる。
【0012】
まず、本発明に係る窓用部材を住宅用の窓に適用した一実施形態を図1に基づいて説明する。図1は、住宅用の窓を室内側から見た斜視図であり、本実施形態の窓用部材は、略矩形板状の透光部1と、透光部1を保持する枠体2と、枠体2に取り付けられる面発光光源3と、面発光光源3に点灯電力を供給する点灯回路ブロック5(点灯手段)とを備えている。尚、以下の説明では特に断りがない限り、図1中の矢印a−bの方向を前後方向、矢印c−dの方向を上下方向、矢印e−fの方向を左右方向として説明を行う。
【0013】
枠体2は、例えばアルミニウム製の押出し成形品であって、図1に示すように縦長の略矩形枠状に形成されている。この枠体2の略中央部には、透光部1が配置される略矩形状の開口窓2dが設けられ、開口窓2dの周縁には透光部1を保持するための保持溝(図示せず)が設けられている。尚、保持溝には樹脂製のモール(図示せず)が取り付けられており、このモールは透光部1と枠体2の間の緩衝材として機能する。また、枠体2の上枠部2aの左右方向中央部には点灯回路ブロック5が内装され、さらに上枠部2aの左側の上部には点灯回路ブロック5に電源を供給するための接点部6が取り付けられており、接点部6と点灯回路ブロック5との間は電源線(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0014】
さらに、枠体2の上枠部2a及び下枠部2bにはそれぞれ車輪4(図1では下枠部2bのみ図示)が各2個ずつ取り付けられている。一方、壁面(図示せず)には略矩形枠状の内枠(サッシ)10が埋込配設されており、この内枠10の内周面において上面及び下面には、それぞれレール11が前後方向に2列に配置されている(図1では、下面の前側のレールのみ図示)。而して、枠体2の上枠部2a及び下枠部2bに設けた各車輪4を対応するレール11に填め込むことによって枠体2が内枠10に取り付けられ、この状態において枠体2はレール11に沿って左右方向にスライド移動できるようになっている。また、内枠10の内周面において上記接点部6に対応する部位には、接点部6に電源を供給するための給電部(図示せず)が左右方向に沿って設けられ、枠体2の左右方向の位置に関わらず給電できるようになっている。ここに本実施形態では、図1に示すように窓用部材が2個1組で用いられ、各窓用部材は内枠10の前後方向において隣接して配置される。また、内枠10の前面側(室内側)には、内枠10よりも外形寸法が大きい略矩形枠状の外枠9が取り付けられる。
【0015】
透光部1は、例えばガラスなどの透光性材料により略矩形板状に形成され、枠体2の保持溝内にその端縁を挿通させることで枠体2に取り付けられる。また、透光部1において左側の上部には、透光部1の表面輝度を計測するための輝度計7(計測手段)が取り付けられている。この輝度計7は、信号線8を介して点灯回路ブロック5に電気的に接続されており、輝度計7で計測した輝度データが信号線8を介して点灯回路ブロック5に入力される。
【0016】
点灯回路ブロック5は、輝度計7からの輝度データに基づいて面発光光源3の点灯電力を算出する制御部と、制御部で算出した点灯電力を面発光光源3に出力する出力部とを備えており、本実施形態では、面発光光源3から照射される光の輝度が入力された輝度データと略同じ輝度になる点灯電力が制御部により算出され、制御部で算出した点灯電力が出力部から面発光光源3に供給される。
【0017】
面発光光源3は、例えば透明基板の一面に陽極電極、有機発光層及び陰極電極が積層された所謂有機EL発光素子が用いられ、図1に示すように枠体2の上枠部2a、下枠部2b及び左右両側枠部2c、2cの前面(枠体2において透光部1を透過する光の透過方向と法線方向が略平行な面であって、室内側の面)にそれぞれ取り付けられる。これらの面発光光源3は、それぞれ電源線(図示せず)を介して点灯回路ブロック5の出力部に接続され、出力部から供給された点灯電力に応じた輝度で一様に発光する。尚、本実施形態では、面発光光源3として従来周知のものを採用しており、詳細については説明を省略する。
【0018】
ここで、本実施形態の窓用部材の動作について説明する。まず、点灯回路ブロック5に、接点部6を介して電源が供給されるとともに、透光部1に設けた輝度計7から輝度データが入力される。その後、点灯回路ブロック5では、面発光光源3から照射される光の輝度が入力された輝度データと略同じ輝度となる点灯電力が制御部により算出され、制御部で算出した点灯電力が出力部から各面発光光源3にそれぞれ供給される。そして、各面発光光源3は、供給された点灯電力によりそれぞれ輝度データと略同じ輝度で一様に発光する。
【0019】
而して、本実施形態の窓用部材では、枠体2に取り付けられた面発光光源3を発光させることによって、枠体2の明るさを透光部1の明るさに近づけることができるので、透光部1に拡がりを持たせることができ、その結果、空間の開放感を高めることができる。また、面発光光源3を輝度計7で計測した透光部1の表面輝度と略同じ輝度で発光させることによって、枠体2の明るさを透光部1の明るさと略同じ明るさにすることができるので、枠体2と透光部1とが一体的に感じられ、空間の開放感をより高めることができる。さらに、透光部1を透過して入射する光と面発光光源3から照射された光により、空間内をより明るく照らすこともできる。
【0020】
尚、本実施形態では、面発光光源3を一様に発光させた場合を例に説明したが、例えば面発光光源3において透光部1から離れるにしたがって輝度が漸減するように発光させてもよい。この場合、枠体2と外枠9(枠体の外側領域)との境目をぼかすことができるので、枠体2と窓枠9の境目が際立つことがなく、その結果、窓周辺を自然な雰囲気にすることができる。
【0021】
また、本実施形態では、内枠10に対して窓用部材を左右方向にスライド可能に設けた所謂横引きの窓を例に説明したが、例えば開閉できない所謂はめ殺しの窓であってもよく、この場合外枠9(枠体)の前面(室内側の面)に面発光光源3を取付けることによって、同様に空間の開放感を高めることができる。
【0022】
次に、本発明に係る窓用部材を自動車のフロントガラスに適用した他の実施形態について図2に基づいて説明する。図2は、自動車のフロント部分を車内から見た正面図であり、本実施形態の窓用部材は、前面側(図2中の後面側)に凸となる曲面状に形成されたガラス製の透光部21と、透光部21を左右両側からそれぞれ保持するフロントピラー(以下、Aピラーという。)22、22と、透光部21を上側から保持するフロントルーフレール(以下、ルーフレールという。)23とを備え、両Aピラー22、22及びルーフレール23の内側面(図2中の前面)には面発光光源3がそれぞれ取り付けられている。また、透光部21の右側の上部には遮光用のバイザー24が設けられており、バイザー24の内側面にも面発光光源3が取り付けられている。ここに、左右両側のAピラー22、22と、ルーフレール23と、透光部21を下側から保持するフロントパネル25の上面により枠体が構成されている。
【0023】
また、面発光光源3に点灯電力を供給するための点灯回路ブロック(図示せず)が車内の適所に設置されており、点灯回路ブロックと面発光光源3との間は図示しない電線を介して電気的に接続されている。尚、点灯回路ブロックには、車載のバッテリーから電源が供給される。また、本実施形態の窓用部材の動作については、図1で説明した窓用部材と同様であり、説明は省略する。
【0024】
この窓用部材では、面発光光源3を発光させることによって、Aピラー22及びルーフレール23の明るさを透光部21の明るさに近づけることができるので、透光部21に拡がりを持たせることができ、その結果、車内空間の開放感を高めることができる。また、バイザー24を使用した場合でも、内側面に設けた面発光光源3を発光させることによって、バイザー24の明るさを透光部21の明るさに近づけることができるので、車内空間の開放感が損なわれない。
【0025】
尚、本実施形態では、本発明に係る窓用部材を自動車のフロントガラスに適用した場合を例に説明したが、用途は自動車に限定されるものではなく、例えば列車や船などの窓に適用してもよい。また、フロントガラスに限定されるものではなく、サイドガラスやリアガラスなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る窓用部材を住宅用の窓に適用した一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同上を自動車用の窓に適用した他の実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 透光部
2 枠体
3 面発光光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料により形成された透光部と、透光部を保持する枠体と、枠体において透光部を透過する光の透過方向と法線方向が略平行な面に取り付けられた面発光光源とを備えたことを特徴とする窓用部材。
【請求項2】
前記透光部の表面輝度を計測するための計測手段と、当該計測手段により計測した輝度に合わせた輝度で前記面発光光源を点灯させる点灯手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の窓用部材。
【請求項3】
前記面発光光源は、前記透光部から離れるにしたがって輝度を漸減させることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の窓用部材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−74316(P2009−74316A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245960(P2007−245960)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】