説明

窯業製品用転写シート及びその製造方法

【課題】フリット層による外観の劣化を防止するとともに、良好な画像を得ることができる窯業製品用転写シートを提供することである。
【解決手段】剥離層12を有する支持体11に、第1カバー層13、水溶性樹脂層14、フリット層15、インク画像層16、及び第2カバー層23が順に形成され、フリット層15は、インク画像層16のインク画像の領域に対応して形成される、窯業製品用転写シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窯業製品用転写シート、その製造方法、窯業製品の製造方法、及び窯業製品用転写シートセットに関する。
【背景技術】
【0002】
陶磁器や、琺瑯、タイル等の窯業製品への画像の形成には、転写シートを用いて、転写シート上に画像を形成し、この画像を窯業製品の表面に転写する方法がある。従来の転写シート、及び転写方法を以下に説明する。
【0003】
まず、吸水性を有する台紙に水溶性樹脂を塗布、乾燥し、剥離層を作製する。次に、無機顔料及びガラスフラックスを、溶剤型のアクリル樹脂であるスキージオイルと練り合わせてインクを作製する。そして、このインクを使用して、剥離層上にスクリーン印刷で画像を形成し、画像層を作製する。なお、上絵の具を水溶性樹脂と一緒に溶いたものを絵筆で描いて手書きで画像層を作製することもできる。画像層上から溶剤型のアクリル樹脂であるカバーコート樹脂をスクリーン印刷でコーティングしてカバーコート樹脂層を作製することで、画像層をカバーコート樹脂層で固定し、転写シートを作製する。
【0004】
窯業製品に画像を転写する際は、転写シートを水に浸し、剥離層の水溶性樹脂を膨潤、溶解させることで、画像層及びカバーコート樹脂層が台紙から剥離し、分離することが可能になる。この画像層及びカバーコート樹脂層を、窯業製品の表面に滑らして貼り付け、固定する。貼り付ける面は、素焼き状態でも釉薬層上でもかまわない。この状態で、窯業製品を焼成することにより、樹脂成分が蒸発、分解されて消失し、インク中のガラス成分が溶融して窯業製品の基材とインク中の無機顔料とを融着させ、また、冷却することで、画像が窯業製品の表面に固着する。
【0005】
従来の転写方法ではシルクスクリーン、パッド印刷等で画像を形成するため、版作製に時間がかかることや、コストがかかるという問題がある。また、写真画質を再現することが困難であるという問題もある。
【0006】
これらの問題を解決するために、静電複写方式、熱転写方式、インクジェット方式を用いて、版無しで写真画質を再現する、いくつかの提案がなされている。
【0007】
特許文献1では、台紙上に水溶性樹脂層と、合成樹脂層と、疎水性樹脂及びフリットからなるフリット層とを設けた転写紙を用いて、フリット層上に水性インクジェットで画像を形成した後、水中で台紙を剥離し陶磁器上にこれを貼り付け、焼成することが提案されている。
【0008】
特許文献1では、台紙の全面にフリット層が形成されるため、画像の形成領域以外でフリット層部分と陶磁器表面との違いが目立ち、特にフリット層の輪郭部分の段差が目立ち、外観が劣るという問題がある。
【0009】
特許文献2では、転写台紙上に窯業用絵具を用いてプリンター装置で画像を出力し、この絵柄を窯業製品に貼付し、焼成する窯業製品の製造方法が開示され、プリンター装置にインクジェットプリンタ装置を使用することが提案されている。窯業用絵具として、無機顔料とガラス成分、金属粉末および金属酸化物粉末等を含む絵具について記載されている。
【0010】
特許文献2では、フリット層が設けられず、無機顔料及びガラス成分をともに含む絵具によって画像が形成されるため、フリット層部分と窯業製品表面との違いは目立たない。しかし、無機顔料及びガラス成分を絵具にともに配合すると、インクジェット用インクとしては、高粘度であるため吐出不良が発生することがあり、さらに顔料分散性も低下するため貯蔵安定性が低下することがあるという問題がある。低粘度化し顔料分散性を高めるためには、無機顔料の配合量を増大できないため、画像濃度を十分に得ることができないという問題もある。
【0011】
さらに、特許文献2では、転写台紙に剥離層が形成され、剥離層に窯業用絵具によって画像が出力されるため、水に浸して転写台紙を剥離する際に、剥離層とともに画像が乱れるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−281072号公報
【特許文献2】特開2001−39092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的としては、フリット層による外観の劣化を防止するとともに、良好な画像を得ることができる窯業製品用転写シート、その製造方法、窯業製品の製造方法、及び窯業製品用転写シートセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一構成としては、剥離層を有する支持体に、第1カバー層、水溶性樹脂層、フリット層、インク画像層、及び第2カバー層が順に形成され、前記フリット層は、前記インク画像層のインク画像の領域に対応して形成される、窯業製品用転写シートである。
【0015】
本発明の他の構成としては、剥離層を有する支持体に形成される第1カバー層と、前記第1カバー層に形成される水溶性樹脂層とを含む第1カバー部材にインクジェット記録法によりフリット分散液を塗布しフリット層を形成する工程、前記フリット層にインクジェット記録法により水性インクを塗布しインク画像層を形成する工程、及び前記インク画像層に第2カバー層を含む第2カバー部材を形成する工程を備え、前記フリット層は、前記インク画像層のインク画像の領域に対応して形成される、窯業製品用転写シートの製造方法である。
【0016】
本発明の別の他の構成としては、上記窯業製品用転写シートを用いて窯業製品を製造する方法であって、前記窯業製品用転写シートから前記支持体を剥離し、前記窯業製品用転写シートを前記窯業製品に貼り付け、前記窯業製品を乾燥及び焼成する、窯業製品の製造方法である。
【0017】
本発明の別の他の構成としては、剥離層を有する支持体に形成される第1カバー層と、前記第1カバー層に形成される水溶性樹脂層とを含む第1カバー部材、第2カバー層を含む第2カバー部材、インクジェット用フリット分散液、及びインクジェット用水性インク、を備える、窯業製品用転写シートセットである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フリット層による外観の劣化を防止するとともに、良好な画像を得ることができる窯業製品用転写シート、その製造方法、窯業製品の製造方法、及び窯業製品用転写シートセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における窯業製品用転写シートの断面模式図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態における窯業製品用転写シートの製造方法の説明図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態における窯業製品の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態について説明するが、本実施の形態における例示が本発明を限定することはない。
【0021】
以下、本発明の窯業製品用転写シート(以下、単に「転写シート」と称することがある。)の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態における転写シート30の断面模式図である。
【0023】
図1において、転写シート30は、剥離層12を有する支持体11に、第1カバー層としてのカバー層13、水溶性樹脂層14、フリット層15、インク画像層16、及び第2カバー層としてのカバー層23が順に形成される。図1の例では、カバー層23は、剥離層22を有する支持体21に形成される。
【0024】
第1カバー部材10は、剥離層12を有する支持体11に形成されるカバー層13と、カバー層13に形成される水溶性樹脂層14とを含む。また、第2カバー部材20は、カバー層23を含み、図1の例では、カバー層23は剥離層22を有する支持体21に形成される。
【0025】
第1カバー部材10の支持体11としては、材料、質量及び厚みは特に限定されないが、支持体11に形成される剥離層12及びカバー層13を支持することができ、また、機械搬送性を確保することができる強度、及びフレキシビリティを有することが好ましい。また、転写工程で剥離層12を水と接触させて剥離するために、支持体11は水吸収性を有することが好ましい。例えば、厚さ50μm〜500μmの上質紙やコート紙等を支持体11として使用することができる。
【0026】
第1カバー部材10の剥離層12としては、支持体11とカバー層13とを剥離する役割をなし、水溶性樹脂を含むことが好ましい。水溶性樹脂を含む剥離層12は、転写シートが水中に浸漬される等して水と接触すると、水溶性樹脂が溶解及び/又は膨潤し、支持体11とカバー層13とを剥離する。水溶性樹脂としては、例えば、デキストリン、アラビアゴム、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン等、及びこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。また、剥離層12は、その他の成分として、塗工性を確保し、また水膨潤性を向上するために、活性剤、水溶性有機溶剤等を適宜添加して形成されてもよい。
【0027】
第1カバー部材10のカバー層13としては、フリット層15及びインク画像16を保護する役割をなし、疎水性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。疎水性を有する熱可塑性樹脂を含むカバー層13は、第1カバー部材10、特にフリット層15及びインク画像16の耐水性を確保することができる。また、第1カバー部材10と第2カバー部材20とを貼り付ける際に、加圧及び加熱することで、良好に圧着することができる。疎水性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等、及びこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0028】
また、カバー層13のTg(ガラス転移温度)は20℃以下であることが好ましい。転写シート30は、窯業製品の転写面の形状に対応して貼り付ける必要があるため、柔軟性及び伸縮性を有することが好ましい。そのため、カバー層13の樹脂にはTgが20℃以下の低い材料が好ましい。また、カバー層13の樹脂自体のTgが高くても可塑剤等の添加剤によってTgを低下させて20℃以下としてもよい。添加剤としては、DBP(フタル酸ジブチル)、DOP(フタル酸ジオクチル)、DOA(アジピン酸ジオクチル)等が挙げられる。
【0029】
第1カバー部材10の水溶性樹脂層14としては、後述するフリット層15及びインク画像層16の定着性を高める役割をなし、水溶性樹脂を含む。水溶性樹脂層14は、フリット層15及びインク画像層16に含まれる水溶性成分を吸収するために、親水性を保つことが好ましく、これによってフリット層15及びインク画像層16の定着性を高めることができる。
【0030】
水溶性樹脂層14の水溶性樹脂としては、デキストリン、アラビアゴム、PVA、CMC、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン等、及びこれらの2種以上の組み合わせを好ましく使用することができる。
【0031】
次に、転写シート30には、第1カバー部材10の水溶性樹脂層14上にフリット層15及びインク画像層16が順に形成され、フリット層15は、インク画像層16のインク画像の領域に対応して形成される。
【0032】
フリット層15がインク画像層16のインク画像の領域に対応して形成されることで、転写シートを窯業製品に貼付し焼成した後に、フリット層15とインク画像層16との輪郭がほぼ重なり、窯業製品表面とフリット層との違いによる段差が目立つことを防止することができる。
【0033】
また、フリット層15とインク画像層16とが独立して形成されるため、インクジェット記録法を用いて各層を形成する場合に、フリット分散液中のフリット及び水性インク中の顔料等を適正量で配合することができ、吐出不良を防止し、貯蔵安定性を良好に維持することができる。これによって、良好な画像を得ることができる。
【0034】
また、インクジェット記録法を用いてフリット層15及びインク画像層16を形成する場合、分散液やインクの溶剤が水だけであると、蒸発が速くフリットや顔料等の固形分が析出することがあり、インクジェットヘッドを放置するとノズルの目詰まりが生じやすくなる。そこで、高沸点の水溶性有機溶剤を分散液やインク中に20質量%〜30質量%以上入れることがある。その結果、ノズルの目詰まりは防止することができるが、分散液やインクの乾燥が遅くなり、画像に触れると画像が乱れることがある。このような分散液やインクを用いてカバー層13の上に直接フリット層15及びインク画像層16を形成すると、フリット分散液及びインクがはじかれる場合があり、また、フリット分散液及びインク中の水溶性有機溶剤が残るため画像が定着しにくい。そこで、水溶性樹脂層14を設けることで、フリット層15を形成するフリット分散液に含まれる溶媒を水溶性樹脂層14が吸収するため、フリット層15を短時間で固定することができる。そして、インク画像層16を形成する水性インクもフリット層15に滲みを防止して固定することができる。これによって、滲みやズレのない良好な画像を得ることができる。
【0035】
フリット層15としては、フリットを含み、後述するインク画像層16のインク画像の領域に対応して形成される。フリット層15は、インクジェット記録法によりフリット分散液を用いて形成されることが好ましい。インクジェット記録法によれば、版を必要とせず、オンデマンドによって、所望の形状にフリット層15を形成することができる。
【0036】
フリット分散液としては、水にフリットが分散した溶液であり、特に限定されないが、例えば、フリット、分散剤、水、水溶性有機溶剤、浸透剤、防腐剤、その他各種添加剤を含む分散液を用いることができ、インクジェット用に粘度が調製されたインクジェット用フリット分散液であることが好ましい。
【0037】
フリットとしては、被転写体である窯業製品の焼成温度で、窯業製品の表面を形成する材料と融着可能であれば特に限定されない。フリットは、例えば、次の無機材料を単独で、又は2種以上を組み合わせて、混合後溶融させ、溶融物を冷却粉砕したものを使用することができる。フリットを構成する無機材料の一例としては、水酸化リチウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物、塩化アルミニウム、ほう酸、アルカリ金属やアルカリ土類金属のほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のメタほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のリン酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のピロリン酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の珪酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のメタ珪酸塩、珪酸ジルコニウム、骨灰、硼砂、メタバナジン酸アンモニウム、酸化タングステンや五酸化バナジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化モリブデン等の金属酸化物、フッ化カルシウムやフッ化アルミニウム等の金属フッ化物、ガラスレット等、並びに、石灰長石やカリ長石、ソーダ長石、ベタライト(リチウム長石)等の長石類、カオリン、珪石、蝋石、アルミナ、シリカ、石英、酸化チタン、シャモット等、並びに、土灰類、石灰石、マグネサイト、タルク、ドロマイト等の天然鉱物、炭酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸ストロンチウム等の化合物等が挙げられる。フリットは、フリット分散液中に、1〜40質量%程度含まれることが好ましい。
【0038】
フリットの平均粒径は0.1μm〜5μmが好ましい。さらに、インクジェット記録法によりフリット分散液を用いてフリット層15を形成する際には、ノズルの目詰まり防止や貯蔵安定性の観点から、フリットの粒径を小さくすることが好ましい。そのため、インクジェット用フリット分散液として使用する場合、フリットの粒径は、平均粒径で1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、また、最大粒径で5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。
【0039】
分散剤としては、例えば、脂肪酸塩類、高級アルコールのエステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、高級アルコールのリン酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤、脂肪族アミン塩類、4級アンモニュウム塩類等のカチオン界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型等の両性界面活性剤、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物等の非イオン界面活性剤、又は高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。分散剤は、質量比でフリット1に対し0.1〜1で配合することができる。
【0040】
水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物が用いられる。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等のグリコール類;グリセリン;アセチン類(モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン);トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、スルホランを用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。水溶性有機溶剤は、フリット分散液中に、10〜40質量%程度含まれることが好ましい。
【0041】
水は、フリット分散液中に、30〜80質量%程度含まれることが好ましい。水としては、イオン交換水、蒸留水などの純水、または超純水を使用することが好ましい。
【0042】
フリット分散液はさらに樹脂を含んでもよい。フリット分散液をインクジェット記録法により吐出する際は、吐出性の観点から、フリット分散液の樹脂の含有量を調整することが好ましい。フリット層15の樹脂は、フリットを結合するために添加される材料であり、特に限定されないが、水溶性樹脂であることが好ましい。転写シート30は、カバー層13及び23によってフリット層15が覆われて保護される。そのため、フリット層15の樹脂に水溶性樹脂を用いることができる。そして、フリット層15の樹脂に水溶性樹脂を用いることで、フリット層15に画像を形成する際に、水性インクを用いると、水性インクがフリット層15の内部まで浸透し、画像を安定して保持することが可能になる。また、フリット層15の樹脂に水溶性樹脂を用いると、水性インクが深さ方向により速く浸透し、タッチフリーの状態(印刷面を手で触っても画像が乱れない状態)が速やかに得られる。
【0043】
このようなフリット分散液の水溶性樹脂としては、例えば、デキストリン、アラビアゴム、PVA、CMC、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、ポリエチレングリコール系樹脂等、及びこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0044】
また、フリット分散液には、その他の成分として、水溶性樹脂層14とのぬれ性を改善するために活性剤等を含むこともできる。活性剤としては、アセチレン系活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0045】
インクジェット用フリット分散液の粘度としては、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが最も適している。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
【0046】
インク画像層16は、インクジェット記録法により水性インクを用いて形成されることが好ましい。インクジェット記録法によれば、オンデマンドによって、所望の形状にインク画像層16を形成することができる。また、インクジェット記録法は、版を必要とせず、写真画質の画像を簡便にすることができる。
【0047】
転写シート30は、フリット層15がカバー層13及び23によって防水されるため、水性インクを用いてインク画像層16を形成しても、支持体11及び21の剥離の際に水によってインク画像層16が滲むことを防止することができる。
【0048】
水性インクとしては、特に限定されないが、例えば、着色剤、分散剤、水、水溶性有機溶剤、浸透剤、防腐剤、その他各種添加剤を含むインクを用いることができ、インクジェット用に粘度が調製されたインクジェット用フリット分散液であることが好ましい。
【0049】
着色剤としては、無機顔料等のフリット層15のフリットと融着する着色剤が好ましく、例えば、コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物及び硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わされて使用されてもよい。インクに含まれる着色剤(固形分)の配合量は、0.1〜30質量%程度であることが好ましい。
【0050】
顔料の粒径は0.1μm〜5μmが好ましい。インクジェット用水性インクとして使用する場合、顔料の粒径は、ノズルの目詰まり防止や貯蔵安定性の観点から、平均粒径で1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、また、最大粒径で5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。
【0051】
分散剤及び水溶性有機溶剤としては、上記したフリット分散液と同様のものを使用することができる。分散剤は、質量比で顔料1に対し0.1〜1で配合することができる。水溶性有機溶剤は、インク中に15〜40質量%で配合されることが好ましい。
【0052】
水は、インク中に、30〜80質量%程度含まれることが好ましい。水としては、イオン交換水、蒸留水などの純水、または超純水を使用することが好ましい。
【0053】
また、水性インクには、その他の成分として、フリット層15とのぬれ性を改善するために活性剤等を含むこともできる。活性剤としては、アセチレン系活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0054】
インクジェット用水性インクの粘度としては、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが最も適している。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
【0055】
また、好ましくは、水性インクが第1カバー部材10のフリット層15の内部に浸透している。水性インクがフリット層15の内部に浸透していることで、画像を安定して保持することができる。これは、水性インクがフリット層15の内部に浸透すると、フリット層15内でフリットと着色剤とが混合された状態になり、焼成の際にフリットと着色剤との融着性が向上し、焼成後の画像の定着性を良好にすることができる。また、フリット層15内で着色剤が保持されるため、焼成の際の画像の歪みを防止することができる。
【0056】
フリット層15及びインク画像層16において、フリットと着色剤との割合は、質量比で着色剤1に対しフリットが0.8以上であることが好ましい。フリットの割合が少なくなると、着色剤の定着性が低下することがあり、望ましくない。フリット層15とインク画像層16とをインクジェット記録法により形成する場合では、フリット分散液及び水性インクの吐出量を上記範囲に調整するとよい。フリット層15をインクジェット記録法により形成する際に、フリット分散液を複数回吐出することで、フリットの塗布量を増加させ、フリットの割合を高めてもよい。
【0057】
次に、第2カバー部材20の支持体21、剥離層22、及びカバー層23は、それぞれ上記した第1カバー部材10で説明したものと同様のものを使用することができる。第1カバー部材10と第2カバー部材20の各層は、同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。
【0058】
第2カバー部材20の支持体21は、第1カバー部材10と第2カバー部材20を熱圧着する際に、第1カバー部材10上の画像を第2カバー部材20を介して確認することができるように、光透過性、好適には透明性を有する材料から構成されることが好ましい。
【0059】
第2カバー部材としては、上記した構成の他、第1カバー部材にインク画像を形成した後に、その上から疎水性を有する熱可塑性樹脂を溶液の状態で塗布してもよいし、樹脂シートの形態としてラミネートしてもよい。この場合、支持体21及び剥離層22は不要である。
【0060】
第1カバー部材10及び第2カバー部材20の製造方法としては、特に限定されないが、支持体に各層を塗布等で形成することができる。粘性の高い樹脂を塗布する場合は、エタノールや酢酸エチル等の有機溶媒で希釈してから塗布してもよい。また、各層の厚さは、好ましくは、剥離層12及び22では1μm〜50μm、カバー層13及び23では5μm〜100μm、水溶性樹脂層14では1μm〜50μmとするとよい。
【0061】
このような窯業製品用転写シートによれば、窯業製品表面とフリット層との違いによる外観の劣化を防止するとともに、良好な画像を得ることができる窯業製品用転写シートを提供することができる。
【0062】
以下、本発明の窯業製品用転写シートの製造方法、及び窯業製品の製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。図2は、本発明の一実施形態である窯業製品用転写シートの製造方法であり、図3は、本発明の一実施形態である窯業製品の製造方法である。
【0063】
図2(a)では、上記した第1カバー部材10を用意する。
【0064】
図2(b)では、第1カバー部材10に、インクジェット記録装置(不図示)のインクジェットヘッド100を使用して、フリット分散液を用いてフリット層15を形成する。このとき、第1カバー部材10の表面に水溶性樹脂層14が形成されているため、フリット層15を安定して保持することができる。
【0065】
図2(c)では、第1カバー部材10にフリット層15を形成した後、インクジェットヘッド100を使用して、水性インクを用いてインク画像層16を形成する。このとき、フリット層15が水溶性樹脂層14に安定して保持されているため、水性インクもまたフリット層15によって安定して保持することができる。
【0066】
図2(b)及び(c)では、フリット層15は、インク画像層16のインク画像の領域に対応して形成される。例えば、複数のインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタにおいて、一方のインクジェットヘッドにフリット分散液を装填し、他方のインクジェットヘッドに水性インクを装填し、同じ画像情報に基づいて、まずフリット分散液を吐出し、次に水性インクを吐出することで、フリット層15とインク画像層16とを対応させて形成することができる。フリット層15は、インク画像層16のインク画像とほぼ同一形状及び寸法で重なり合って形成されることが好ましい。また、インク画像層16はフリット層15に形成されることが好ましいため、インク画像16が第1カバー部材に直接接触しないように、フリット層15をインク画像層16より少し大きく形成するようにしてもよい。なお、誤差の範囲でフリット層15はインク画像より大きく、または小さく形成されることがあり、また、インク画像とずれて形成されることもある。
【0067】
図2(d)では、インク画像層16が形成された第1カバー部材10に合わせて、上記した第2カバー部材20を用意する。
【0068】
図2(e)では、第1カバー部材10と第2カバー部材20とを貼り合わせて熱圧着する。この工程によって、転写シート30の耐水性を確保することができる。また、このとき、第2カバー部材20の支持体21が光透過性又は透明性を有することで、第2カバー部材20を介して第1カバー部材10上の画像15を確認することができ、両シートの位置合わせを簡便に行うことができる。
【0069】
次に、図3(a)では、転写シート30を水中に浸漬する等して水と接触させて、第1カバー部材10の剥離層12と第2カバー部材20の剥離層22とを溶解及び/又は膨潤させて、第1カバー部材10の支持体11と第2カバー部材20の支持体21とを剥離する。このとき、フリット層15がカバー層13及び23によって保護されるため、フリット層15上に形成された画像15が水で滲むことを防止することができる。
【0070】
図3(b)から(c)では、転写シート30を水に濡れた状態で、第1カバー部材10のカバー層13を窯業製品40側に向けて、釉薬41が塗布された窯業製品40に貼り付ける。このとき、貼り付け面の空気を抜くために、布等で転写シート30を窯業製品40に押し付けても、画像15はカバー層23によって保護されているため、画像15を傷つけずに速やかに貼り付けることができる。また、転写シート30は、カバー層13及び23によって覆われていることより柔軟性があり、画像をしっかり保持しているため、窯業製品の被転写面が複雑な形状で、被転写面の形状に応じてカバー層13及び23を伸ばしても、カバー層13及び23の変形に応じて画像15も変形し、全体として画像を良好に維持することができる。
【0071】
図3(d)では、転写シート30が貼り付けられた状態で、窯業製品40を乾燥及び焼成する。例えば、700℃〜1000℃の温度範囲で焼成することができる。焼成工程では、カバー層13及び23とフリット層15の樹脂が燃焼、すなわち熱分解し、フリット層15のフリットが溶融し、インク画像層16部分の着色剤が窯業製品40の釉薬41と一体化し、冷却することで固着、定着する。
【0072】
このような窯業製品用転写シートの製造方法及び窯業製品の製造方法によれば、窯業製品表面とフリット層との違いによる外観の劣化を防止するとともに、良好な画像を得ることができる窯業製品を提供することができる。窯業製品としては、特に限定されないが、陶磁器、琺瑯、タイル等を用いることができる。また、窯業製品の被転写面は、上記したように釉薬が塗布されていてもよいし、素焼きの状態の面でもよい。
【0073】
以上説明したように、本発明によれば、フリット層がインク画像のインク画像の領域に対応して形成されるため、窯業製品表面とフリット層との違いによる外観の劣化を防止することができる。具体的には、フリット層による段差を目立たなくすることができる。さらに、フリット層は、カバー層に直接形成されず、水溶性樹脂層を介して形成されるため、フリット層及びインク画像層の滲みやズレを防止し、良好な画像を得ることができる。
【0074】
本発明は、また、剥離層を有する支持体に形成される第1カバー層と、第1カバー層に形成される水溶性樹脂層とを含む第1カバー部材、第2カバー層を含む第2カバー部材、インクジェット用フリット分散液、及びインクジェット用水性インク、を備える、窯業製品用転写シートセットを提供する。ここで、第1カバー部材及び第2カバー部材は、上記したものを使用することができる。インクジェット用フリット分散液及びインクジェット用水性インクは、上記したフリット分散液及び水性インクをインクジェット用に調製したものであり、特に粘度の観点から調製されたものであることが好ましい。
【0075】
このような窯業製品用転写シートセットによれば、インクジェット記録装置を用いて、第1カバー部材にインクジェット用フリット分散液を用いてフリット層を形成し、次にインクジェット用水性インクを用いてインク画像層を形成し、次に第2カバー部材を圧着することで、使用者によって所望の画像を簡便に形成することができる。このとき、フリット層をインク画像層のインク画像の領域に対応させて形成することで、フリット層による外観の劣化を防止することができる。さらに、フリット層は、カバー層に直接形成されず、水溶性樹脂層を介して形成されるため、フリット層及びインク画像層のズレを防止し、良好な画像を得ることができる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)
窯業製品として、白色タイル(AA10#HS1、TOTO株式会社製)を用意した。転写シートの支持体として、あらかじめ剥離層として水溶性樹脂であるデキストリンが塗布されている陶磁器用転写紙台紙(伊勢久株式会社製)を用意した。転写シートの第1カバー層樹脂、水溶性樹脂層樹脂、フリット分散液、水性インク、及び第2カバー層樹脂の処方を以下に示す。第1カバー層樹脂及び第2カバー層樹脂は同じ処方である。なお、以下の説明において、「部」は「質量部」を示す。
【0078】
第1カバー層樹脂及び第2カバー層樹脂は、以下の各成分を混合することで調整した。水溶性樹脂層樹脂は、以下のメチルセルロースSM25を5%水溶液として使用した。
【0079】
フリット分散液は、以下の各成分を混合し、ビーズミルを用いて平均粒径1μm以下まで粉砕し、フィルターを用いて10μm以上の粗粒を除去し、調製した。粒径は、粒度分布計(BL−500、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
【0080】
水性インクは、以下の各成分を混合し、ビーズミルで分散し、3μmのフィルターを通し、調製した。
【0081】
<第1カバー層樹脂及び第2カバー層樹脂の処方>
アクリル系樹脂(LO−170SY、互応化学工業株式会社製) 20.0部
酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製) 10.0部
<水溶性樹脂層樹脂の処方>
メチルセルロースSM25(信越化学工業株式会社製)5%水溶液 100.0部
<フリット分散液の処方>
フリット(12−3619、屈伏点571℃、東罐マテリアル・テクノロジー株式会社製) 17.5部
オルフィンPD301(日信化成製) 5.0部
グリセリン(和光純薬工業株式会社製) 13.5部
1,3プロパンジオール(和光純薬工業株式会社製) 11.0部
水 53.0部
<水性インクの処方>
黒無機顔料(♯9550 大日精化工業株式会社製) 21.0部
ディスパーサント5034(サンノプコ株式会社製) 6.0部
1,3プロパンジオール(和光純薬工業株式会社製) 9.0部
グリセリン(和光純薬工業株式会社製) 28.0部
水 36.0部
【0082】
まず、支持体に第1カバー層樹脂をワイヤーバーで塗工し30μmの第1カバー層を形成した。次に、この第1カバー層に水溶性樹脂層樹脂をワイヤーバーで塗工、乾燥し、水溶性樹脂層を形成した。次に、この水溶性樹脂層にフリット分散液をインクジェット記録装置としてインクジェットヘッドCB−1(東芝テック株式会社製)を用いて塗布し、フリット層を形成した。次に、このフリット層に水性インクをインクジェットヘッドCB−1を用いて塗布し、インク画像層を形成した。ここで、インク画像層は、水性インクを第1カバー層の内側の領域に部分的に塗布して形成した。また、フリット層は、インク画像層のインク画像の領域に対応させて形成した。
【0083】
具体的には、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドのうち一方にフリット分散液を充填し、他方に水性インクを充填した。インクジェットプリンタは、同一の画像情報に基づいて、まずフリット分散液を吐出し、次に水性インクを吐出することで、フリット層とインク画像層が重なった画像を形成した。
【0084】
次に、インク画像層が形成された第1カバー層に第2カバー層を重ね、熱圧着することで、貼り合せた。次に、転写シートを水に浸漬し、第1支持体及び第2支持体を剥離した。次に、第1支持体及び第2支持体を剥離した転写シートを白色タイルの上薬上から貼り付け、水分を拭き取った。次に、この白色タイルを陶芸用の炉(DDR−3000、伊勢久株式会社製)で800℃、30分で焼成した。
【0085】
得られた転写シートを目視で観察したところ、フリット層に滲みはなく、またその上に形成したインク画像層にも滲みはなかった。フリット層とインク画像層との位置ずれも目視では確認できない程度に収まっていた。
【0086】
また、得られた焼成後の白色タイルを目視で観察したところ、水性インクの無機顔料が上薬に強固に定着しており、従来のフリット層による段差も観察されなかった。
【0087】
(比較例1)
上記した実施例1において、水溶性樹脂層を形成しない他は、同様の方法及び成分で転写シートを作製し、窯業製品を製造した。
【0088】
得られた転写シートは、フリット層と第1カバー層の固着が低下し、手で触る程度で容易にフリット層が動いた。また、フリット層上でインク画像が滲んだ。
【0089】
また、得られた焼成後の白色タイルを目視で観察したところ、インク画像に若干の滲みが観察された。
【0090】
(比較例2)
上記した実施例1において、第1カバー層の全面に下記の処方のフリット分散液をワイヤーバーで塗工、乾燥し、フリット層を形成し、その他は、同様の方法及び成分で転写シートを作製し、窯業製品を製造した。
【0091】
<フリット分散液の処方>
フリット(12−3619、屈伏点571℃、東罐マテリアル・テクノロジー株式会社製) 25.0部
メチルセルロースSM25(信越化学工業株式会社製)5%水溶液 50.0部
【0092】
得られた転写シートを目視で観察したところ、インク画像は滲みなく良好に形成された。
【0093】
また、得られた焼成後の白色タイルを目視で観察したところ、インク画像は白色タイルに定着していたが、転写シート全体にフリット層が形成されたため、インク画像以外の領域でフリット層部分と白色タイルの釉薬との違いが目立った。
【符号の説明】
【0094】
10 転写シート1
11 支持体
12 剥離層
13 カバー層
14 水溶性樹脂層
15 フリット層
16 インク画像層
20 転写シート2
21 支持体
22 剥離層
23 カバー層
30 転写シート
40 窯業製品
41 釉薬
100 インクジェットプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離層を有する支持体に、第1カバー層、水溶性樹脂層、フリット層、インク画像層、及び第2カバー層が順に形成され、前記フリット層は、前記インク画像層のインク画像の領域に対応して形成される、窯業製品用転写シート。
【請求項2】
剥離層を有する支持体に形成される第1カバー層と、前記第1カバー層に形成される水溶性樹脂層とを含む第1カバー部材にインクジェット記録法によりフリット分散液を塗布しフリット層を形成する工程、
前記フリット層にインクジェット記録法により水性インクを塗布しインク画像層を形成する工程、及び
前記インク画像層に第2カバー層を含む第2カバー部材を形成する工程を備え、
前記フリット層は、前記インク画像層のインク画像の領域に対応して形成される、窯業製品用転写シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載された窯業製品用転写シートを用いて窯業製品を製造する方法であって、前記窯業製品用転写シートから前記支持体を剥離し、前記窯業製品用転写シートを前記窯業製品に貼り付け、前記窯業製品を乾燥及び焼成する、窯業製品の製造方法。
【請求項4】
剥離層を有する支持体に形成される第1カバー層と、前記第1カバー層に形成される水溶性樹脂層とを含む第1カバー部材、
第2カバー層を含む第2カバー部材、
インクジェット用フリット分散液、及び
インクジェット用水性インク、
を備える、窯業製品用転写シートセット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−51823(P2011−51823A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201696(P2009−201696)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】