説明

立体マスク

【課題】製作が容易であり、保温性、フィット性、装着性に優れた立体マスクを提供する。
【解決手段】着用者の鼻腔10及び上顎洞11の表面側を含む鼻部6周辺を覆うためのマスク本体1と、マスク本体1の中央部から上方に突出して着用者の目頭部17間の篩骨洞18の表面周辺を覆う突出部2と、マスク本体1の左右両側に設けられた耳掛け部3とを備え、マスク本体1は左右の本体シート部8をマスク本体1の略中央の上下方向の接合縁9で接合して形成され、突出部2は各本体シート部8から一体に上方に突出する突出シート部18を接合縁9に連続する接合縁19で接合して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製作が容易で保温性、フィット性、装着性に優れた立体マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アレルギー性鼻炎、花粉症等の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり等として現れる。これらの諸症状は、空気中に飛散する杉花粉、ダスト、ダニ、排ガス等のアレルゲンが鼻腔内粘膜に付着することによって発現することが知られている。
【0003】
これらの諸症状を簡便に予防、緩和又は除去する対策の一つとして、着用者の鼻腔及び上顎洞の表面を含む鼻部周辺を覆うシート状のマスク本体と、マスク本体の中央部から上方に突出し且つ着用者の目頭部間の篩骨洞の表面周辺を覆う突出部と、マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け部とを備えた保温マスクが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−328135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この保温マスクは、マスク本体で花粉等の微粒子の鼻腔への侵入を阻止する一方、マスク本体及び突出部で上顎洞、篩骨洞の表面周辺を含む鼻部周辺を保温することにより、アレルギー性鼻炎等の諸症状の発現を予防、緩和又は除去する。
【0005】
しかし、従来の保温マスクは、マスク本体の内側に、このマスク本体とは別体の突出部を設ける構造(同公報の図2参照)、突出部をマスク本体と一体に形成して、その突出部の周辺部分からマスク本体の上縁部分に掛けて保形性を有する金属線材を設ける構造(同公報の図4、図6、図8参照)、突出部をマスク本体と一体に形成して、その突出部とマスク本体とに跨がって縦方向にひだ部を設ける構造(同公報の図7参照)、突出部をマスク本体と一体に形成して、その突出部及びマスク本体を、鼻部を覆う立体形状に熱圧成型する構造(同公報の図9参照)等が採用されている。
【0006】
このため別体構造の突出部を設ける場合は勿論のこと、突出部の周辺部分等に金属線材を設ける場合、ひだ部を形成する場合、更には突出部を鼻部の形状に熱圧成型する場合の何れにおいても構造的に複雑なものとなり、加工工数が増えて製作が煩わしくなるにも拘わらず、保温マスクを装着した際に顔面と保温マスクの周縁部との間に隙間ができる等、保温マスクが顔面にフィットし難くフィット性に欠け、また保温効果が低下し易い欠点がある。
【0007】
本発明は、従来のこのような課題に鑑み、製作が容易であり、保温性、フィット性、装着性に優れた立体マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、着用者の鼻腔10及び上顎洞11の表面側を含む鼻部6周辺を覆うためのマスク本体1と、該マスク本体1の中央部から上方に突出して着用者の目頭部17間の篩骨洞18の表面周辺を覆う突出部2と、前記マスク本体1の左右両側に設けられた耳掛け部3とを備えたマスクにおいて、前記マスク本体1は左右の本体シート部8を該マスク本体1の略中央の上下方向の接合縁9で接合して形成され、前記突出部2は前記各本体シート部8から一体に上方に突出する突出シート部18を前記接合縁9に連続する接合縁19で接合して構成されている。
【0009】
前記マスク本体1及び前記突出部2は、装着時に着用者の顎部4から鼻頂部20を経て目頭部17近傍までを略円弧状に覆うように前記各接合縁9,19が側面視略円弧状であってもよい。前記マスク本体1及び前記突出部2は、装着時に着用者の顎部4から鼻頂部20までを略円弧状に覆い、鼻頂部20から目頭部17近傍までを略直線状に覆うように、前記接合縁9,19の下部が側面視略円弧状であり、前記接合縁9,19の上部が側面視略直線状であってもよい。
【0010】
前記マスク本体1は着用者の鼻孔6aを下側から覆うための鼻孔覆い部1Aを有するものでもよい。前記突出部2は、着用者の眉間部36の周辺部分を覆う長さを有するものでもよい。前記耳掛け部3は上辺部13と下辺部14とを有し、前記上辺部13の張力が下辺部14の張力よりも大としてよい。
【0011】
前記マスク本体1及び/又は前記突出部2に遠赤外線発生機能を付加してもよい。前記マスク本体1及び/又は前記突出部2の内側に保温シート27又は加温シート29を備えてもよい。前記外側マスク26と内側マスク27とを着脱自在に備えてもよい。前記加温シートとして蓄熱シート29を備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、マスク本体1が左右の本体シート部8を該マスク本体1の略中央の上下方向の接合縁9で接合して形成され、また突出部2が各本体シート部8から一体に上方に突出する突出シート部18を前記接合縁9に連続する接合縁19で接合して構成されているため、従来の保温マスクに比較して製作が容易であり、保温性、フィット性、装着性に優れたものとなる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の各実施例を図面に基づいて詳述する。図1〜図5は本発明に係る鼻部保温用の立体マスクの第1実施例を例示する。この立体マスクは図1〜図3に示すように、マスク本体1と、マスク本体1から上方に突出する突出部2と、マスク本体1の左右両側の耳掛け部3とを備えている。
【0014】
マスク本体1は着用者が顔面に装着したときに、図2、図3に示すように顎部4、口部5、鼻部6及びその左右両側の頬部7を覆う大きさであって、左右略対称な左右一対の本体シート部8を有し、その両本体シート部8を重ねて上下方向の略円弧状の接合縁9で熱溶着等により一体に接合されている。
【0015】
なお、マスク本体1は、少なくとも鼻腔10及び上顎洞11の表面を含む鼻部6周辺を覆い得るものであればよい。また各本体シート部8にはアレルギー性鼻炎症、花粉症等の原因物質である花粉等の通過を阻止し、且つ適度な通気性と保温性とを有するシート部材、例えば熱可塑性を有する合成樹脂繊維製の不織布シートが使用されている。
【0016】
耳掛け部3は耳通し孔12の上下に上辺部13と下辺部14とを有し、基部が各本体シート部8の接合縁9と反対側の上下方向の接合部3aで熱溶着等により接合されている。上辺部13、下辺部14は、マスク本体1を顔面に当てて耳掛け部3を耳部15に掛けたときに、上辺部13の張力が下辺部14の張力よりも大になるように構成されている。耳掛け部3には、熱可塑性を有する合成樹脂繊維製の不織布シートが使用されている。
【0017】
なお、耳掛け部3は上辺部13の張力が下辺部14よりも大であれば、その構造等は問題ではないが、次のようなものがある。例えば、上辺部13の幅を下辺部14よりも大にしてもよいし、上辺部13の長さを下辺部14よりも短くしてもよい。また上辺部13を二重構造にしてもよいし、別の不織布シートを上辺部13の内側に前後方向に熱溶着等で設けてもよい。耳掛け部3はスリットを形成し、装着する際にそのスリットを広げて耳通し孔12を形成するようにしてもよい。また耳掛け部3はマスク本体1の左右両側に一体に形成してもよい。
【0018】
突出部2はマスク本体1の左右方向の中央部分から所定幅で上方に突出して、着用者の鼻部6の鼻梁部16及びその左右両側から目頭部17間の篩骨洞37の表面周辺までを覆い、着用者の鼻部6及びその周辺を保温するようになっている。この突出部2はマスク本体1の中央側で本体シート部8から一体に突出する突出シート部18を有し、その一対の突出シート部18がマスク本体1側の接合縁9の延長上の接合縁19で熱溶着等により接合されている。
【0019】
マスク本体1及び突出部2は、装着時に着用者の顔面の顎部4から口部5の前方、鼻頂部20を経て目頭部17間近傍までを略円弧状に覆うように、その両接合縁9,19が上下方向に側面視略円弧状に形成されており、顔面に装着したときに接合縁9,19が左右の略中央で前方に円弧状に張り出す立体形状を呈し、接合縁9,19及びその左右両側において、目頭部17間と顎部4とを除く上下方向の中間部分で顔面との間に所定の隙間21ができるようになっている。
【0020】
なお、左右の本体シート部8、突出シート部18は、立体性のない平面形状の不織布シートを一体に裁断して構成されている。またマスク本体1の上縁と突出部2の側縁18aは、図3に示す形状の他、図4(A)〜(C)に示すように、突出部2の基部側が凹入するくの字状又は円弧状、斜め方向の直線状の何れでもよい。
【0021】
マスク本体1及び突出部2を構成する不織布シートは、遠赤外線発生材料のナノ粉体、微粉体等が混練された合成樹脂繊維製の不織布を使用する等して、マスク本体1及び突出部2から遠赤外線を発生させて顔面に対する加温効果を持たせるようにしてもよい。また不織布シートに、トルマリンのナノ粉体、微粉体等を混練した合成樹脂繊維を使用して、マイナスイオンが発生するようにしてもよい。
【0022】
この立体マスクの使用に際しては、図2、図3に示すようにマスク本体1及び突出部2を左右に広げた状態で顔面に当て、その左右の耳掛け部3を耳部15に掛けると、マスク本体1で鼻腔10及び上顎洞11の表面を含む顎部4から口部5、鼻部6及びその左右両側の頬部7の全体を覆うことができ、また突出部2で鼻部6の鼻梁部16及びその左右両側から目頭部17間の篩骨洞37の表面周辺までを覆うことができる。
【0023】
このためアレルギー性鼻炎や花粉症等の原因物質を遮断できるだけでなく、顔面の鼻腔10、上顎洞11及び篩骨洞37の周辺を一定に保温でき、アレルギー性鼻炎、花粉症等の諸症状を緩和又は除去できる。特に顔面の鼻腔10、上顎洞11の周辺だけでなく、重要保温部位である篩骨洞37の周辺を一定に保温できるため、アレルギー性鼻炎、花粉症等の諸症状に対する緩和又は除去効果が大である。
【0024】
しかもこの立体マスクは、左右の本体シート部8を上下方向の接合縁9で接合してマスク本体1を形成する一方、各本体シート部8から一体に上方に突出する突出シート部18をマスク本体1の接合縁9に連続する接合縁19で接合して立体形状に構成しているため、二枚重ねの不織布シートを接合縁9,19で接合して所定形状に切り取る等によって製造でき、構造的に簡単で加工工数が特別に増加することもなく容易に製造することができる。
【0025】
またマスク本体1、突出部2は左右に広げたときに、図3の二点鎖線で示す装着前の状態から上部側及び下部側が顔面側へと湾曲して実線で示す状態となる。そして、この状態で顔面に当てて左右の耳掛け部3を耳部15に掛けると、マスク本体1の上下両側が耳掛け部3によって左右両側へと引っ張られて顔面に沿って引き絞られ、また同時に突出部2が顔面側に押し付けられる。
【0026】
このためマスク本体1の中央部に上方へと突出する突出部2があるにも拘わらず、装着時にマスク本体1及び突出部2の周縁部との間に隙間ができ難くなり、保温性、フィット性が向上する。
【0027】
しかも、耳掛け部3は上辺部13の張力が下辺部14の張力よりも大であるため、突出部2を含むマスク本体1の上部側を顔面に確実にフィットさせることができ、装着状態での顔面の筋肉の動き等による下側へのずれ等を無くすることができる。
【0028】
因みに所定の供試マスクを使用して耳掛け部3の張力を測定したところ、図5に示すような結果が得られた。測定方法は男女三人の着用者が供試マスクを装着して、耳掛け部3の上辺部13、下辺部14にばねバカリを掛けて、顔面から離れる方向に3cm引っ張ったときの値を測定した。図5の各数値は上辺部13、下辺部14の夫々について3回ずつ測定し、その平均値を示す。なお、左右の数値が異なるのは、着用者が右利きか左利きかによるものであり、利き腕の方の値が大きくなる傾向にある。また着用者が男性の場合に数値が大きいのは、顔が大きいことによるものである。単位はgである。
【0029】
このように装着状態において上辺部13の張力が下辺部14よりも大きくなるように耳掛け部3を構成することによって、マスク本体1及び突出部2の顔面に対する押し付け力が大になり、フィット性がより向上することが確認できた。
【0030】
更にマスク本体1及び突出部2の接合縁9,19は、着用者の顎部4から鼻頂部20を経て目頭部17間の近傍までを略円弧状に覆うように接合縁9,19が側面視略円弧状であるため、接合縁9,19側及びその左右両側では顔面との間に所定の断熱空間を確保でき、これによって保温性が向上する。
【0031】
図6、図7は本発明の第2の実施例を例示する。この立体マスクでは、マスク本体1及び突出部2の接合縁9,19は、着用者の顔面の顎部4から口部5の前を経て鼻頂部20に至る範囲が側面視略円弧状に形成され、その鼻頂部20から目頭部17間の近傍までが略直線状になっている。他の構成は第1の実施例と同様である。
【0032】
このように鼻頂部20から目頭部17間の近傍までは略直線状にしてもよい。このようにすれば、マスク本体1を左右に広げて顔面に装着した場合に、図7に示すように二点鎖線の装着前の状態から実線の装着状態へと、マスク本体1の上部の鼻頂部20に対応する部分から上側の突出部2を含む部分が顔面側へと湾曲して引き絞られ、その突出部2が着用者の鼻梁部16に沿う状態となる。このため突出部2の接合縁19等が前方に突出すると突出量が小さくなり、着用者の視野の障害になる等の視覚的な違和感を極力解消できる。
【0033】
図8、図9は本発明の第3の実施例を例示する。この立体マスクでは、突出部2は着用者の目頭部17間を経て額の眉間部36の近傍周辺まで延びており、鼻部6の全体から眉間部36の周辺まで覆うようになっている。なお、他の構成は第2の実施例と同様であるが、第1の実施例と同様に目頭部17間から下側の接合縁9,19は、第1の実施例と同様にしてもよい。
【0034】
この場合には、突出部2により目頭部17間の篩骨洞37をその上端側まで確実に保温することができる。なお、突出部2の上端部には、着用者の目頭部17から額に沿って上側が前側へと湾曲する湾曲部22が設けられている。
【0035】
図10〜図13は本発明の第4の実施例を例示する。この立体マスクでは、マスク本体1は図10〜図12に示すように、着用者の鼻部6と口部5との中間から上側を覆うようになっており、そのマスク本体1の下部側に鼻孔6aを下側から覆う鼻孔覆い部1Aが形成されている。また鼻孔覆い部1Aの下端が着用者の鼻部6と口部5との間までの長さであるため、接合縁9の下側には、図12に示すように、左右の本体シート部8を接合していない非接合部9aが設けられている。なお、他の構成は第1〜3の実施例の何れかと同様である。
【0036】
この場合には、装着したときにマスク本体1の下部の鼻孔覆い部1Aが鼻孔6aの下側へと湾曲し引き絞られて、鼻孔6aを下側から覆う。このため鼻孔6a内への花粉等の侵入を防止できる上に、口部5の前側が開放されて、会話等に際してのマスク着用の違和感等も解消できる。勿論、同時に着用者の鼻腔10、上顎洞11、篩骨洞37等を保温できる。また下端部に本体シート部8を接合していない非接合部9aがあるため、接合縁9の端縁で顔面を傷つけるような惧れもない。
【0037】
なお、マスク本体1の下端部の鼻部6と口部5との間に対応する鼻孔覆い部1Aの下側部分には、図13に示すように前側に屈曲する湾曲部23を左右方向に設けて、顔面に装着したときに、この湾曲部23が鼻部6と口部5との間に接触するようにしてもよい。
【0038】
図14は本発明の第5の実施例を例示する。この立体マスクでは、図14に示すようにマスク本体1の前面側上部等の適当箇所に左右一対の保形体24が略対称に設けられている。図14(A)では突出部2の上端部と耳掛け部3の接合部3aの上端部との間に、その端縁に沿って保形体24が設けられている。また図14(B)ではマスク本体1の上端部と突出部2との間の中間部分に保形体24が設けられている。保形体24は分子配列が一軸方向に配列さたポリオレフィン系合成樹脂製等のテープ状のもの、1本又は複数本の金属線材を設けたもの等が適当である。なお、保形体24はマスク本体1の内面側に設けてもよい。また保形体24は不織布等でカバーしてもよい。
【0039】
このようにすれば、装着後に保形体24の部分を前側から顔面側に押圧する等して、保形体24を鼻梁部16の両側部分の凹凸形状に沿って屈曲させることによって、マスク本体1の上部側のフィット性を更に向上をさせることができる。
【0040】
図15は本発明の第6の実施例を例示する。この実施例では、マスク本体1及び突出部2の内面に遠赤外線発生材料等による加温部25が形成されている。図15(A)では内面の略全面にわたって面状に加温部25が形成され、図15(B)では内面の略全面にわたって多数の筋状に加温部25が夫々形成されている。図15(C)では鼻梁部16の左右両側と上顎洞11とに対応するように特定の一部分に加温部25が形成されている。なお、加温部25は、遠赤外線発生材料等のナノ粉体、微粉体等を適宜バインダーと混練して塗工したものである。
【0041】
不織布シートの合成樹脂繊維に遠赤外線発生材料を混練する他、このように遠赤外線発生材料等のナノ粉体、微粉体等を塗工して加温部25を形成しても、その加温部25により顔面を加温できる。そして、顔面を加温することによって、アレルギー性鼻炎や花粉症等の諸症状を効果的に緩和又は除去することができる。
【0042】
不織布シートが熱可塑性樹脂繊維の場合には、遠赤外線発生材料等のナノ粉体、微粉体を不織布シート上に散布した後、所定温度の熱を加えて熱融着させてもよい。この場合には、熱融着により不織布シートの目が細かくなってフィルター効果が向上する等の利点もある。なお、トルマリン等のナノ粉体、微粉体を熱融着させてもよい。
【0043】
図16、図17は本発明の第7の実施例を例示する。この実施例では、マスク本体1、突出部2、耳掛け部3を有する外側マスク26の内側に、同様のマスク本体1a及び突出部2aを有する内側マスク27が設けられている。
【0044】
外側マスク26、内側マスク27は共に立体形状をしている。内側マスク27は保温シートを構成するもので、外側マスク26との間に所定の隙間ができるように外側マスク26の内側に粘着剤28を介して着脱自在に装着されている。粘着剤28は内側マスク27のマスク本体1aの両端部、その他の所要箇所に設けられている。
【0045】
このように外側マスク26と内側マスク27との二重構造にすれば、花粉等の阻止効果が向上し、また保温性が向上するため、花粉症等の諸症状をより効果的に緩和又は除去することができる。また外側マスク26に内側マスク27を着脱自在に装着しているため、呼気等で汚れ易い内側マスク27を交換して使用することもできる。
【0046】
なお、外側マスク26、内側マスク27は同質又は異質の不織布シートで構成してもよいし、一方をガーゼ等の織布、その他のもので構成してもよい。保温シートを設ける場合には、耳掛け部3を有する側のマスク本体1、突出部2等の必要箇所に部分的に設けてもよい。またその保温シートは着脱自在であることが望ましい。
【0047】
図18〜図20は本発明の第8の実施例を例示する。この実施例では、図18、図19に示すように、マスク本体1及び/又は突出部2等の内側の一部に加温用の蓄熱シート29が略左右対称に着脱自在に設けられている。蓄熱シート29は図20に示すように密封袋30にCMC、PVA、アクリル酸ポリマー等のゲル状の蓄熱剤31を封入してシート状に構成したもので、例えば鼻梁部16の左右両側に粘着剤32等を介して着脱自在に設けられている。
【0048】
この場合には蓄熱剤31に温熱を蓄熱した状態で顔面に装着すると、その温熱により顔面の必要箇所を加温でき、加温効果が著しく向上する。なお、顔面と接触する箇所に蓄熱シート29を設ければ、顔面からの体温が蓄熱シート29に伝わるため、蓄熱シート29の蓄熱時間を長く維持できる。立体マスクを廃棄する場合に、蓄熱シート29を剥離して再利用すればよい。
【0049】
なお、蓄熱シート29は剥離不能に設けてもよい。また蓄熱シート29は上顎洞11に対応して設けてもよい。
【0050】
図21〜図23は本発明の第9の実施例を例示する。この実施例では、図21、図22に示すように、マスク本体1及び/又は突出部2等の内側の一部に、例えば篩骨洞37を含む鼻梁部16の左右両側等に対応して加温用のシート状のカイロ33が装着され、ガスバリヤー性を有する密閉袋34に封入されている。
【0051】
カイロ33は加温シートを構成するもので、鉄粉その他からなる発熱粉体35を通気袋38に充填してなり、ホットメルト剤等を介して内側に装着されている。なお、このカイロ33は図23に示すように、マスク本体1等の不織布シート1bと、その内側に装着された保持シート1cとの間にポケットを形成して、そのポケットに発熱粉体35を充填したものでもよい。なお、保持シート1cは通気性を有するものでもよいし、通気性の無いものでもよい。
【0052】
使用に際しては、密閉袋34を破断部34aから破断する等によって開封し立体マスクを取り出して、その立体マスクを顔面に装着する。するとカイロ33の発熱粉体35が空気中の酸素と反応して発熱し、例えば篩骨洞37を含む鼻梁部16の左右両側等の対応箇所を加温することができる。なお、カイロ33は他の箇所、例えば上顎洞11に対応して設けてもよいし、篩骨洞37を含む鼻梁部16の左右両側及び上顎洞11に対応して設けてもよい。
【0053】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、マスク本体1、突出部2は合成樹脂繊維以外の不織布シートでもよいし、不織布シート以外の通気性を有する織布、紙等のシート材を使用して構成してもよい。
【0054】
またマスク本体1、突出部2の接合縁9,19は、熱溶着以外の接合手段、例えば接着等で接合したものでもよい。外側マスク26と内側マスク27とを設ける場合、内側マスク27に耳掛け部3を設けて、この内側マスク27の外側に外側マスク26を着脱自在に装着するようにしてもよい。マスク本体1の接合縁9の下端側、突出部2の接合縁19の上端側の端部には、左右の不織布シートを接合していない非接合部を設けることが望ましい。
【0055】
耳掛け部3の上辺部13、下辺部14の張力は略同じでもよい。保温シート、加温シートは実施例に例示する以外のものでもよい。立体マスクは、アレルギー性鼻炎や花粉症等の諸症状を緩和又は除去対策以外の用途、例えば防塵用に使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施例を示す立体マスクの斜視図である。
【図2】同装着状態の正面図である。
【図3】同装着状態の側面図である。
【図4】同突出部の変形例を示す側面図である。
【図5】同張力の測定結果を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例を示す立体マスクの斜視図である。
【図7】同装着状態の側面図である。
【図8】本発明の第3の実施例を示す立体マスクの斜視図である。
【図9】同装着状態の側面図である。
【図10】本発明の第4の実施例を示す立体マスクの斜視図である。
【図11】同装着状態の一部破断側面図である。
【図12】同装着状態の正面図である。
【図13】同変形例を示す側面図である。
【図14】本発明の第5の実施例を示す立体マスクの斜視図である。
【図15】本発明の第6の実施例を示す概略背面図である。
【図16】本発明の第7の実施例を示す立体マスクの一部破断側面図である。
【図17】同横断平面図である。
【図18】本発明の第8の実施例を示す立体マスクの一部破断側面図である。
【図19】同横断平面図である。
【図20】同要部の拡大断面図である。
【図21】本発明の第9の実施例を示す包装状態の正面図である。
【図22】同断面図である。
【図23】同変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 マスク本体
1A 鼻孔覆い部
2 突出部
3 耳掛け部
4 顎部
6 鼻部
6a 鼻孔
8 本体シート部
9,19 接合縁
10 鼻腔
11 上顎洞
13 上辺部
14 下辺部
17 目頭部
18 篩骨洞
18 突出シート部
20 鼻頂部
27 内側マスク(保温シート)
29 蓄熱シート(加温シート)
36 眉間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の鼻腔(10)及び上顎洞(11)の表面側を含む鼻部(6)周辺を覆うためのマスク本体(1)と、該マスク本体(1)の中央部から上方に突出して着用者の目頭部(17)間の篩骨洞(18)の表面周辺を覆う突出部(2)と、前記マスク本体(1)の左右両側に設けられた耳掛け部(3)とを備えたマスクにおいて、前記マスク本体(1)は左右の本体シート部(8)を該マスク本体(1)の略中央の上下方向の接合縁(9)で接合して形成され、前記突出部(2)は前記各本体シート部(8)から一体に上方に突出する突出シート部(18)を前記接合縁(9)に連続する接合縁(19)で接合して構成されていることを特徴とする立体マスク。
【請求項2】
前記マスク本体(1)及び前記突出部(2)は、装着時に着用者の顎部(4)から鼻頂部(20)を経て目頭部(17)近傍までを略円弧状に覆うように前記各接合縁(9,19)が側面視略円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の立体マスク。
【請求項3】
前記マスク本体(1)及び前記突出部(2)は、装着時に着用者の顎部(4)から鼻頂部(20)までを略円弧状に覆い、鼻頂部(20)から目頭部(17)近傍までを略直線状に覆うように、前記接合縁(9,19)の下部が側面視略円弧状であり、前記接合縁(9,19)の上部が側面視略直線状であることを特徴とする請求項1に記載の立体マスク。
【請求項4】
前記マスク本体(1)は着用者の鼻孔(6a)を下側から覆うための鼻孔覆い部(1A)を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の立体マスク。
【請求項5】
前記鼻孔覆い部(1A)の下端は着用者の鼻部(6)と口部(5)との中間にあり、前記接合縁(9)の下側には非接合部(9a)があることを特徴とする請求項4に記載の立体マスク。
【請求項6】
前記突出部(2)は、着用者の眉間部(36)の周辺部分を覆う長さを有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の立体マスク。
【請求項7】
前記耳掛け部(3)は上辺部(13)と下辺部(14)とを有し、前記上辺部(13)の張力が下辺部(14)の張力よりも大であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の立体マスク。
【請求項8】
前記マスク本体(1)及び/又は前記突出部(2)に遠赤外線発生機能を付加したことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の立体マスク。
【請求項9】
前記マスク本体(1)及び/又は前記突出部(2)の内側に保温シート(27)又は加温シート(29)を備えたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の立体マスク。
【請求項10】
前記外側マスク(26)と内側マスク(27)とを着脱自在に備えたことを特徴とする請求項1〜9に記載の立体マスク。
【請求項11】
前記加温シートとして蓄熱シート(29)を備えたことを特徴とする請求項1〜10に記載の立体マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−295503(P2008−295503A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141593(P2007−141593)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(504373864)明広商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】