説明

立体内視鏡

【課題】側視型立体内視鏡の視野方向を選択可能とすることで、観察や計測時の操作性を著しく改善した立体内視鏡を提供することである。
【解決手段】
側視型の立体内視鏡の挿入方向軸に対して前方視野を有するように装着された直視撮像モジュールと、挿入方向軸に対して挿入方向軸の周りを回転可能とした側視方向の視野をもつ立体撮像モジュールを有し、回転する立体撮像モジュールの視野方向を検出し画像信号を発生させ、直視撮像モジュールによる画像内に重畳して表示し、回転方向を制御することで立体撮像モジュールの視野方向を選択可能とした立体内視鏡。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器内部やパイプの内壁、体腔内部等の立体観察や立体計測に適した側視方向の視野を持つ立体内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体としての機器内部や体腔内を観察する目的の内視鏡は、被検体を観察する手段として対物レンズ+リレーレンズを用いた硬性内視鏡や、対物レンズ+ファイバーイメージガイドを用いたファイバースコープ、対物レンズ+CCDのような固体撮像素子を用いた電子内視鏡等があり使用目的に応じて使い分けられているが、近年は固体撮像素子の小型化、高性能化に伴って固体撮像素子を用いた電子内視鏡が広く使われてきている。
【0003】
特に固体撮像素子の高画素化、小型化に伴って対物レンズと固体撮像素子を含んだ撮像モジュール2個を人間の右、左の目に相当する視差を有するように配置した先端部構造を持った立体内視鏡は、被検体の立体画像観察装置や被検体の立体計測装置として医用、工業用に利用したいとの要求があり実用化されつつある。
【0004】
以降の説明では、前記右の目に相当する撮像系を右系(図面ではRで表示)、左の目に相当する撮像系を左系(図面ではLで表示)と記述する。
【0005】
固体撮像素子を用いた基本的な立体内視鏡は、図1に示すように水平方向に視差を持つように配置された一組の撮像モジュールより構成さる立体撮像モジュール100を内視鏡先端部に装着している。立体撮像モジュール100は、右系の撮像モジュール110Rと左系の撮像モジュールを視差を持たせて配置し、それぞれの撮像モジュールは、対物レンズ111R、111Lの結像面にCCDのような固体撮像素子112R,112Lの撮像面を配置して構成されており、固体撮像素子112R,112Lは映像信号処理手段113R、113Lに組込まれている固体撮像素子の駆動手段で駆動される。固体撮像素子112R,112Lで電気信号に変換された対物レンズ111R,111Lによる画像は映像信号処理手段113R、113Lで映像信号に処理される。
【0006】
処理された映像信号は立体映像信号処理手段114に組込まれている記憶手段(メモリー)に記憶させ、記憶手段を制御する制御手段によって右系、左系の映像信号として順次読み出し立体映像信号処理手段114で立体表示用の映像信号に処理される。
【0007】
この立体映像信号を映像化する方式はいろいろあるが、1例としては立体映像信号の右系、左系に同期し偏光方向を変える液晶の偏光シャッターを持った立体モニター117で画像化し、偏光眼鏡等を介して時系列で順次右系の画像を右目で、左系の画像を左目で観察することで立体視を可能にしている。
【0008】
さらに立体内視鏡には、立体画像の観察だけでなく、立体撮像の特徴を生かし披検体までの距離や披検体の大きさの計測を無接触で可能にしたいとの立体計測の要求がある。このような要求に対しては、立体内視鏡で得られる視差を有する右系、左系の画像をパソコンのような演算装置に読み込み、右系、左系の画像上で披検体の測定点を観察者がクリックし、演算装置で寸法等を演算表示することが出来る。図1中115は視差のある右系、左系の画像を取込む画像取込手段を、116は計測演算を行う演算手段を示し、118は計測表示を行う計測用モニターを示している。
【0009】
なを、立体内視鏡では目的に応じて、立体画像の観察部または立体画像の計測部のみで構成されることもあり、また観察部と計測部が一体に構成される場合もある。
【0010】
立体撮像装置では前記撮像モジュールを2個並べて配置する必要があるため、先端部の挿入軸方向に視野を持つように撮像モジュールを装着した直視型では先端部の外径が太くなるので高画素の固体撮像素子を採用するには問題がある。先端部の挿入軸方向に対してほぼ直角方向に視野を持つように撮像モジュールを配置した側視型では2個の撮像モジュールは先端部の挿入軸方向に配置されるので、先端部の径は大幅に太くなることなく高画素の固体撮像素子を採用できるので、立体画像の画質の向上と特に計測をおこなう場合の計測精度を高くすることが可能となる。
【0011】
このような立体内視鏡では、直視型と呼ばれるものと、側視型と呼ばれるものがある。側視型内視鏡は、食道のような筒状披検体やパイプのような筒状披検体の内壁を観察するには観察目標を正面より撮像できるので直視型より有効であるが、視野が限定されるため管状披検体の内壁を全周観察するためには内視鏡自体を回転する必要があり操作上の自由度が制約される。
【0012】
この様に、側視型は直視型に比べ技術上有利な点も多いが、管状披検体の全周観察の自由度が低いという問題点がある。この問題点を解決する方策として特開平9−56662では先端部の外周に複数個の側方視野を持つ撮像手段を装着し、各撮像手段からの映像信号を合成する手段が提案されているが、多数の撮像手段を先端部周囲に装着するので外径が大きくなる等の問題がある。
【0013】
また、本出願人は先に内視鏡自体を回転せず、内視鏡先端部に装着された側方視野を持つ撮像手段のみを回転し、管状披検体の内壁の任意方向を観察可能な構造を提案している(特願2008−103411)。
【特許文献1】特開平9−56662号公報
【特許文献2】特願2008−103411号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、管状披検体内壁の全周観察時に側視型立体内視鏡の視野方向を選択操作可能とすることで、観察や計測時の操作性を著しく改善した立体内視鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、先端部の挿入方向軸に対して前方視野を有するように装着された、対物レンズと固体撮像素子を含む直視撮像モジュールと、先端部の挿入方向軸に対して挿入方向軸の周りを回転する回転部材に側方視野を有するように装着された2個の対物レンズと固体撮像素子を含む立体撮像撮像モジュールと、 立体撮像モジュールを装着した回転部材の回転位置を検出する回転位置検出手段と、回転位置検出手段の信号を画像として表示する位置信号発生手段を有し、前方視野を持つ直視撮像モジュールによる画像内に前記回転位置画像を重畳して表示することで、立体撮像モジュールの視野方向を直視撮像モジュールによる画像内に表示することを特徴とした立体内視鏡を構成する。
【0016】
さらに詳細に説明すると、本発明による立体内視鏡は2次元画像を撮像する直視撮像モジュールと側方視野を持った側視の立体撮像モジュールを持ち、直視撮像モジュールの後方に立体撮像モジュールが配置されるが、直視撮像モジュールによる画像は立体内視鏡の挿入時の被検体前方の状況を判断するのに有用であるだけでなく、前方視野内に傷等の観察物を見つけた時に、側視立体撮像モジュールの視野方向が同一画面内に表示されるように構成されており、容易に立体側視撮像モジュールの視野方向を観察物方向に合致させる操作が可能となるので立体内視鏡の操作性を向上させることが出来る。
【0017】
前記立体撮像モジュールは、対物レンズと固体撮像素子を含んだ撮像モジュールを2個、視差を有するように並べて配置する構造が基本となるが、立体撮像モジュールは、1個の固体撮像素子の撮像面を2分し、2分したそれぞれの撮像面に結像する対物レンズ2個を装着した構造を選択することも可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明による立体内視鏡は、内視鏡の外形を著しく増加させることなく高画素固体撮像素子が組み込み可能であり、内視鏡自体を回転することなく360度の円周方向に広がる管状披検体の内壁の任意方向の視野を簡単な操作で選択可能なので、屈曲可能な挿入部を持つ立体内視鏡に適用した場合でも、屈曲した管空内の任意の場所を容易に選択観察できるのでその利用価値は非常に大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお実施例の説明で使用する図面は本発明を容易に把握、理解できるよう本発明と直接関係ない機構等の具体的な詳細は省略して示し、同一の機能部品の符号は極力同じものを使用する。
【実施例1】
【0020】
図2は本発明の実施の一形態を示す立体内視鏡先端部の構成図で図2(A)は先端部の断面を示し、図2(B)は左側前方より見た正面図、図2(C)は図2(A)のX−X‘方向の断面図を示している。
【0021】
立体内視鏡の先端部210は透明なアクリル等の材質で作られた透明な円筒体221と、円筒体221の端面に装着された直視撮像モジュール222と、円筒体内に回転自在に装着された立体撮像モジュール223を主構成要素としている。
【0022】
直視撮像モジュール222は、図3(A)に示すように少なくとも対物レンズ111とCMOSやCCDのような固体撮像素子112を含めて構成されており、目的に応じて固体撮像素子の駆動回路、信号処理回路等を組込んだ構成要素に変えることが出来る。なお鎖線は対物レンズ111の視野範囲を示している。
【0023】
立体撮像モジュール223は、図3(B)に示すように少なくとも対物レンズ111R、111LとCMOSやCCDのような固体撮像素子112R、112Lを含めた撮像モジュールを並べて構成されており、目的に応じて固体撮像素子の駆動回路、信号処理回路等を組込んだ構成要素に変えることが出来るのは直視撮像モジュールの場合と同じである。なお鎖線は対物レンズ111R、111Lの視野範囲を示している
例えば、極力内視鏡の先端部を細くしようとした場合の撮像モジュールは、対物レンズと固体撮像素子とプリアンプ等で構成し、固体撮像素子の駆動回路、信号処理回路等は撮像ユニットから離れた操作部や外部等に配置することで小型化出来る。
【0024】
また形状はやや大きくなるが、対物レンズとCMOS撮像素子とその周辺回路を一体化しUYVYのデジタル出力を取り出せる撮像モジュールが実用化されているのでこの様な撮像モジュールとすることも可能である。
【0025】
図2に示すように、直視撮像モジュール222は透明な円筒体221の前方の一端面に前方方向の視野を持つよう固定して装着され、立体撮像モジュール223は直視撮像モジュール222の後方に配置され、立体撮像モジュール223は直視撮像モジュール222の光軸に対して側視方向(概略90度)の光軸を持ち、透明な円筒体221の内部で回転自在に動くよう装着される。
【0026】
更に詳細に直視撮像モジュールの装着方法を説明すると、前面保持枠224は透明な円筒体221の前面に固定され、直視撮像モジュール222は前面保持枠224に装着される。更に前面保持枠224の前面にはカバーガラス225が装着され、この内部に照明用の小型発光ダイオード226が組み込まれる。
【0027】
透明な円筒体221の他の端面には、透明な円筒部221と内視鏡の挿入部227を連結する連結部材228が装着され、連結部材228には、立体撮像モジュール223を装着した回転部材232が透明な円筒体221内で回転できるように、円筒状の摺動部242が設けられている。
【0028】
また前面保持枠224の後端には、立体撮像モジュール223を装着した回転部材232が透明な円筒体221内で回転できるように、円筒状の摺動部241が設けられている。
【0029】
回転部材232の外周は、前記摺動部241、242と接しており、透明な円筒体221の内部で回転部材232は回転するが、回転部材232の後端部には内側にギアー243が設けられており、連結部材228に装着されたモーター231の回転軸先端に装着されたギアー244と連結され、回転部材232はモーター231によって駆動される。さらに回転部材232に装着された立体撮像モジュール223の近傍には側視方向の視野を照明する発光ダイオード245が装着されており、立体撮像デバイス223に同期して、透明な円筒体221内で回転する。
【0030】
図4にモーター231を駆動する制御手段を示す。260はモーメンタリ動作の2極双投スイッチで、図中上方に示された方向にスイッチのレバーを倒したとき、モーター231の端子261には電源265のプラス端子が接続され、モーター131の他の端子262には電源265のマイナス端子が接続される。また、図中下方に示された方向にスイッチのレバーを倒したとき、モーター231の端子261には電源265のマイナス端子が接続され、モーター231の他の端子262には電源265のプラス端子が接続される。なおスイチのレバーをフリーにすると、スイチ260はオフの状態に戻る。
【0031】
このように、モーメンタリ動作の2極双投スイッチ260を用いることで、スイッチ260のレバー操作でモーター231の回転方向を右回り、左回りと変えることができ、また容易に回転を止めることができるが、第1、第2の撮像モジュール等からのケーブルの保護のため、回転の範囲は360度以内に制限するのが望ましい。なお、この2極双投スイッチは立体内視鏡の操作部内に組込まれるのが一般的である
【0032】
また、立体撮像モジュール223は回転部材232に装着されているので、回転部材232の回転位置で立体撮像モジュール223の視野方向が変わる。回転部材232の回転位置を検出する手段はいろいろ考えられるが、この実施例ではポテンショメーターを装着した例を示している。図中250は回転位置検出手段(ポテンショメーター)を示しており、その回転軸の先端にはギアー251が装着され、立体撮像モジュール223が装着されている回転部材232の後端部に設けられたギアー243に連接されている。
【0033】
図5は本発明による立体内視鏡の基本構成を示す。立体内視鏡の先端部に装着された直視撮像モジュール222は、立体内視鏡の挿入方向の前方視野にある披検体を撮像し、映像信号処理手段113で映像信号に処理される。直視撮像モジュール222の後方に配置され、立体内視鏡の挿入方向に対して側視視野を持つ立体撮像モジュール223は、立体内視鏡の先端部に組み込まれた回転可能な回転部材232に装着され、視差を持った右系、左系の撮像モジュール110R,110Lからの信号は信号処理手段113R,113Lで右系、左系の映像信号に処理され、立体映像観察や立体計測に使用されるのは図1で説明した場合と同様なので以降の説明は省略する。
【0034】
図5中、250は回転部材232の位置を検出する回転位置検出手段で、図2においてはポテンショメーターがこれに相当し、回転部材232はモーター231で回転駆動される。回転位置検出手段250よりの位置信号は、位置表示信号発生手段281で画像化された位置信号に変換している。この画像化された位置表示信号は画像重畳手段282によって、直視モジュー222による前方視野画像に重畳して前方視野画像表示用モニター283に表示される。
【0035】
図6(A)は、本発明による立体内視鏡でパイプ300の内部管壁を観察している状態を示したもので、図6(B)は図6(A)における前方視野の画像を示している。立体内視鏡の直視撮像デバイス222による画像は、管壁aの位置は、図6(B)の外周円(a)で、管壁bの位置は図6(B)の点線の円(b)で、管壁cの位置は図6(B)の小円(c)で表示される。パイプ300の内部管壁にある傷状物301が管壁bの位置の円周上にあるとすれば直視撮像デバイスによる画像として認識できる。
【0036】
直視撮像デバイス222による前方視野内に傷状物301が観察された場合、直視撮像デバイスによる画像を表示するモニターの画像上に、立体撮像デバイスの視野方向が位置表示パターン(マーカー)302で表示されると、マーカー302が傷状物301と重なるように立体撮像デバイス223の回転方向を制御し、立体内視鏡を前方に進めることで容易に傷状物301を立体撮像デバイス223の視野内に捕捉することが出来、立体画像としてモニター上に表示可能となる。
【0037】
この様子を図7で更に詳しく説明する。直視撮像モジュール222で撮像したパイプ300の内部管壁画像(クロスしたハッチングで示す)と、画像化された回転位置表示パターン302(マーカー)は合成した画像としてモニター283上に図7(A)のように表示される。ここで、301は管壁の傷状物、302は立体撮像デバイス223の回転位置表示のマーカーを表している。ここで中心部の円形305はパイプ先端の開口を示している。
【0038】
この状態では、立体撮像モジュール223の視野方向の中心は傷状物301より後方にあるので(図6参照)、立体内視鏡を内視鏡を前方に挿入すると、立体撮像モジュール223からの画像は、モニター117上に図8(B)のように管壁の傷状物301を正面視した立体画像として表示される。
【0039】
この傷状物301を立体計測する場合には、演算手段を介して計測用モニター上に視差のある右系、左系の画像として表示できるので、右系、左系の画像いずれかを用いることで、計測時にも立体内視鏡の操作が容易になる。
【0040】
図5の説明では、直視撮像モジュール222による画像と、立体撮像モジュール223による画像は2台のモニターに個別に表示しているが、立体画像を表示するモニター284内に、ピクチャー・イン・ピクチャーのような形態で表示することも可能である。
【実施例2】
【0041】
図2で説明した立体内視鏡の先端部は、透明な円筒体121の端面に装着された直視撮像モジュール222と、円筒体内に回転自在に装着された立体撮像モジュール223を主構成要素としている。このような構造は、側視型の立体内視鏡の先端部を小型で気密構造にするのに適しているが、シリンドリカルレンズ効果を持つ透明な円筒の一部分を立体撮像モジュールの窓ガラスとして使用するので対物レンズの結像に微妙な歪を与える。立体画像の計測時には、この歪の影響を除去するために基準チャートを用いてキャリブレーション行う必要がある。
【0042】
図8は上記窓ガラスのシリンドリカルレンズ効果を避けるために、立体撮像モジュール223の窓ガラス326を透明な平行平面板とした場合の立体内視鏡先端部の構造を示す。この場合も基本的には内視鏡先端部の挿入方向軸に対して、直視撮像モジュール222を装着し、直視撮像モジュール222の後方に挿入方向軸の周りを回転する回転部材321を設け、この回転部材321に側視方向の視野を持った立体撮像モジュール223を装着した構造を持っている。
【0043】
図8(A)は先端部の断面図を示し、図8(B)はX−X‘方向の断面を示している。図に示すように挿入部227にモーター231と回転位置検出手段(ポテンショメーター)250を組込んだ連結部材325に、回転を支える主軸320をネジ部で固定締結させ、この主軸320を回転軸として回転部材321が回転可能に装着されている。回転部材321には側視方向の視野を持つ立体撮像モジュール223が装着され、モーター231、ポテンショメーター250との連結も回転部材後方に設けられたギアーを介して行われる構造は実施例1の場合と同じであるので詳細な説明は省略する。
【0044】
この主軸には前面保持枠324がネジ327で固定締結されており、前面保持枠324に直視撮像モジュール222、窓ガラス225等が装着されているのは図2の実施例と同じである。
【0045】
この様に実施例2は実施例1の立体内視鏡先端部の機構に関するものであり、信号の処理系、使用上の問題、効果等は実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0046】
このように、 立体内視鏡の視野方向を側視型にすることで先端部の形状をあまり大きくせずに、高画素固体撮像素子を使用することが可能になり、高画質の立体画像と高精度の立体計測機能を持った立体内視鏡が可能になり、さらに前方視野を持つ直視撮像モジュールの画像内に、側方視野を持つ立体撮像モジュールの視野方向を表示することによって、管壁等内部の傷等が容易に発見でき、前記傷等が管壁のどの方向にあっても、内視鏡自体を回転せずに常に正面視した画像を容易に得ることが出来るので、利用しやすい立体内視鏡が提供可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明による立体内視鏡は、内視鏡の挿入軸方向に対して側視方向の視野を持ち高画質の立体画像を得ることができ、高精度な立体計測が可能であるが、直視方向の撮像モジュールによる画像と、側視方向の立体撮像モジュールによる画像を利用することで広視野内視鏡も構成できるので広い分野で利用できる可能性が非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】立体電子内視鏡の基本構成図。
【図2】立体内視鏡の第1の実施例による先端部の構成図。
【図3】撮像モジュールの基本構成図。
【図4】モーターを駆動する制御手段の説明図。
【図5】本発明による立体内視鏡の基本構成図。
【図6】パイプ内壁を観察している状態の説明図。
【図7】直視撮像モジュールの画像と立体撮像モジュールの視野方向表示の説明図。
【図8】立体内視鏡の第2の実施例による先端部の構成図。
【符号の説明】
【0049】
100 立体撮像のジュール
110R 右系の撮像モジュール
110L 左系の撮像モジュール
111、111R,111L 対物レンズ
112、112R,112L 固体撮像素子
113、113R,113L 映像信号処理手段
114 立体映像信号処理手段
116 演算手段
117 立体モニター
118 計測用モニター
221 透明な円筒体
222 直視撮像モジュール
223 立体撮像モジュール
224、324 前面保持枠
226、245 発光ダイオード
228、325 連結部材
231 モーター
232、321 回転部材
250 回転位置検出手段
260 2極双投スイチ
281 位置表示信号発生手段
282 画像重畳手段
283 前方視野画像表示モニター
320 主軸
326 窓ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部の挿入方向軸に対して前方視野を有するように装着された対物レンズと固体撮像素子を含む直視撮像モジュールと、先端部の挿入方向軸に対して挿入方向軸の周りを回転する回転部材に側方視野を有するように装着された2個の対物レンズと固体撮像素子を含む立体撮像モジュールと、 立体撮像モジュールを装着した回転部材の回転位置を検出する回転位置検出手段と、回転位置検出手段の信号を画像として表示する信号発生手段を有し、前方視野を持つ直視撮像モジュールによる画像内に前記回転位置画像を重畳して表示することで、立体撮像モジュールの視野方向を直視撮像モジュールによる画像内に表示することを特徴とした立体内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−268657(P2009−268657A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120878(P2008−120878)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(502085628)有限会社 アイシステムズ (15)
【出願人】(597105153)株式会社メディア・テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】